特許第6763207号(P6763207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763207
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   B60J7/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-122790(P2016-122790)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-36035(P2017-36035A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-157319(P2015-157319)
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内田 錦寿
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】中村 禎孝
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−093471(JP,A)
【文献】 実開昭60−011826(JP,U)
【文献】 実開昭64−034328(JP,U)
【文献】 特開昭55−022967(JP,A)
【文献】 実開昭55−053615(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、
前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に設けられるガイドレールと、
前記可動パネルに固定され、車両の幅方向各縁部において当該幅方向内側に向かって延出するフランジを有し、前記フランジには車両の高さ方向に凹む取付凹部の形成された取付部材と、
車両の前後方向に延びるように設けられ、前記ガイドレールに摺動可能に係合され、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に延出して前記フランジを挟み込む一対の挟持片及びそれら両挟持片の車両の幅方向内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁を有し、前記両挟持片のいずれか一方である第1挟持片の先端部に車両の高さ方向に突出して前記取付凹部の内壁面を掛止する抜け止め爪の形成された遮蔽体とを備え、
前記第1挟持片は、前記抜け止め爪よりも前記接続壁側に位置し車両の高さ方向における前記フランジ側に突出する突部を有し、
前記遮蔽体は、断面形状において、前記第1挟持片における前記フランジとの当接点として前記フランジの前記取付凹部の開口縁部が当接する前記第1挟持片の第1部分と該第1部分よりも前記接続壁側において前記フランジが当接する前記第1挟持片の突部との2点を有するとともに、前記両挟持片のいずれか他方である第2挟持片における前記フランジとの当接点として前記第1挟持片における前記2点の中点よりも前記抜け止め爪の近くに位置する1点を有しており、
前記遮蔽体は、前記第1挟持片における前記2点と、前記第2挟持片における前記1点とで前記フランジに圧力が加わる状態で当接された、サンルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンルーフ装置において、
前記抜け止め爪における前記取付凹部の内壁面側の部分は、該抜け止め爪における前記第1挟持片側の基端部分よりも該抜け止め爪における先端部側の部分の方が車両の幅方向における前記接続壁側に張り出している、サンルーフ装置。
【請求項3】
請求項又はに記載のサンルーフ装置において、
前記第1挟持片及び前記第2挟持片の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に前記抜け止め爪に近付くに従い短くなるように設定されており、且つ、前記フランジを挟み込まない自由状態にあるときの方が短くなるように設定された、サンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を開閉する可動パネルの車両の幅方向各縁部に上端側が取り付けられ、開口の車両の幅方向各縁部に配置された長尺状のガイド部に下端側が摺動可能に係合された遮蔽体(サイドガーニッシュ)を有する。この遮蔽体は、サンルーフ装置の作動機構を車室内側から遮蔽するためのものである。遮蔽体は、可動パネルの開閉作動に伴ってガイド部を摺動しつつ可動パネルと共に移動する。
【0003】
図8(a)、(b)は、遮蔽体の上端側及び可動パネルの車両の幅方向各縁部の特許文献1に準じた取付構造を示す断面図である。同図に示すように、可動パネル91の下面には、車両の幅方向各縁部において当該幅方向内側に向かって延出するフランジ92を有する取付パネル93が固定されている。このフランジ92には、車両の幅方向内側部を起点に斜め上方に切り起こされた切り起こし片94が形成されている。
【0004】
一方、遮蔽体95の上端部は、車両の幅方向外側に向かって延出してフランジ92を車両の高さ方向に挟み込む一対の挟持片96,97を有する。そして、車両の高さ方向上方に位置する片側の挟持片96の先端(車両の幅方向外側端)には、車両の高さ方向下方に突出して切り起こし片94の先端面(車両の幅方向外側端面)94aを掛止する抜け止め爪98が形成されている。
【0005】
従って、遮蔽体95の上端部は、両挟持片96,97でフランジ92を車両の高さ方向に挟み込むとともに、抜け止め爪98で切り起こし片94の先端面94aを掛止することで、フランジ92に対して抜け止め・固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−93471号公報(第[0028]−[0029]段落、第2図、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、両挟持片96,97及びフランジ92の間には、部品精度ばらつき等によって隙間Cが形成される。このため、例えば可動パネル91のチルトアップ作動等で取付姿勢が変化すると、図8(b)に示すように、切り起こし片94の先端面94a及び抜け止め爪98の車両の高さ方向の掛かり代が減少し、フランジ92から遮蔽体95の上端部が外れる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、可動パネルからの遮蔽体の脱落を抑制することができるサンルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に設けられるガイドレールと、前記可動パネルに固定され、車両の幅方向各縁部において当該幅方向内側に向かって延出するフランジを有し、前記フランジには車両の高さ方向に凹む取付凹部の形成された取付部材と、車両の前後方向に延びるように設けられ、前記ガイドレールに摺動可能に係合され、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に延出して前記フランジを挟み込む一対の挟持片及びそれら両挟持片の車両の幅方向内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁を有し、前記両挟持片のいずれか一方である第1挟持片の先端部に車両の高さ方向に突出して前記取付凹部の内壁面を掛止する抜け止め爪の形成された遮蔽体とを備え、前記第1挟持片は、前記抜け止め爪よりも前記接続壁側に位置し車両の高さ方向における前記フランジ側に突出する突部を有し、前記遮蔽体は、断面形状において、前記第1挟持片における前記フランジとの当接点として前記フランジの前記取付凹部の開口縁部が当接する前記第1挟持片の第1部分と該第1部分よりも前記接続壁側において前記フランジが当接する前記第1挟持片の突部との2点を有するとともに、前記両挟持片のいずれか他方である第2挟持片における前記フランジとの当接点として前記第1挟持片における前記2点の中点よりも前記抜け止め爪の近くに位置する1点を有しており、前記遮蔽体は、前記第1挟持片における前記2点と、前記第2挟持片における前記1点とで前記フランジに圧力が加わる状態で当接された
【0010】
この構成によれば、前記遮蔽体は、前記両挟持片で前記フランジを車両の高さ方向に挟み込むとともに、前記抜け止め爪で前記取付凹部の前記内壁面を掛止することで、前記フランジに対して抜け止め・固定される。このとき、前記遮蔽体は、断面形状において、前記第1挟持片における2点と、前記第2挟持片における1点との3点で前記フランジに当接されることで、例えば前記可動パネルの開閉作動時に起こり得る姿勢変動が抑えられる。従って、前記抜け止め爪及び前記取付凹部の前記内壁面の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)を抑制することができ、前記フランジ(可動パネル)からの前記遮蔽体の脱落を抑制することができる。
【0012】
この構成によれば、前記遮蔽体は、前記第1挟持片における前記2点と、前記第2挟持片における前記1点とで前記フランジに圧力が加わる状態で当接される。従って、例えば製品の寸法ばらつき等で前記第1挟持片及び前記第2挟持片による前記フランジの挟み込み姿勢がばらついたとしても、前記圧力の範囲でこれに追従することで、前記第1挟持片及び前記第2挟持片における前記フランジとの当接状態をより確実に維持できる。
【0013】
の構成によれば、前記第1挟持片における前記2点のうちの前記抜け止め爪に近い1点と、前記第2挟持片における前記1点とで、前記抜け止め爪及び前記取付凹部の前記内壁面の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)を抑制する力をより効率的に発生できる。
上記サンルーフ装置について、前記抜け止め爪における前記取付凹部の内壁面側の部分は、該抜け止め爪における前記第1挟持片側の基端部分よりも該抜け止め爪における先端部側の部分の方が車両の幅方向における前記接続壁側に張り出している。
【0014】
上記サンルーフ装置について、前記第1挟持片及び前記第2挟持片の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に前記抜け止め爪に近付くに従い短くなるように設定されており、且つ、前記フランジを挟み込まない自由状態にあるときの方が短くなるように設定されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、前記第1挟持片及び前記第2挟持片が前記フランジを挟み込むと、該フランジに押圧されて前記第1挟持片における前記2点のうちの前記抜け止め爪に近い1点と、前記第2挟持片における前記1点との車両の高さ方向における離間距離が長くなるように前記第1挟持片及び前記第2挟持片が弾性変形する。従って、これに伴い発生する反力で、前記第1挟持片における前記2点のうちの前記抜け止め爪から遠い1点をより確実に前記フランジに当接(圧接)させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、可動パネルからの遮蔽体の脱落を抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】サンルーフ装置の第1の実施形態を斜め下方から見た斜視図。
図2図1の2−2線に沿った断面図。
図3図2の拡大図。
図4】サンルーフ装置の第2の実施形態を示す断面図。
図5】同実施形態の作用を示す断面図。
図6】サンルーフ装置の変形形態を示す断面図。
図7】サンルーフ装置の別の変形形態を示す断面図。
図8】従来形態を示す断面図であって、(a)は本来の取付姿勢の状態を示し、(b)は取付姿勢の変化した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、サンルーフ装置の第1の実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0019】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、前後方向に移動して開口10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を備える。また、サンルーフ装置11は、開口10aの車両の幅方向両縁部にそれぞれ配置された一対のガイドレール13を備える。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。
【0020】
すなわち、図2に示すように、ガイドレール13は、上方に開口する断面略C字状の第1ガイド部14を有するとともに、第1ガイド部14の車内側端上部に接続された、車内側に開口する断面略コの字状の第2ガイド部15を有する。第1ガイド部14には、可動パネル12の車両の幅方向各縁部に連係された適宜の摺動部材(図示略)が前後方向に摺動自在に支持される。可動パネル12は、摺動部材が第1ガイド部14に沿って前後方向に移動することで開閉作動する。具体的には、可動パネル12は、全閉状態において摺動部材が車両の前方に移動することで、その前部を中心に後部が上動する方向に回動するチルトアップ作動をする。あるいは、可動パネル12は、全閉状態において摺動部材が車両の後方に移動することで、その前部を中心に後部が下動する方向に回動するチルトダウン作動をするとともに、摺動部材が車両の後方に更に移動することで、チルトダウン状態のまま全開状態まで開作動する(いわゆるインナースライディング式)。
【0021】
なお、可動パネル12の下面には、その外周縁部に沿って配置される、例えば鋼板からなる略四角枠状の取付部材としての取付パネル16が固着される。可動パネル12は、第1ガイド部14の上方に位置する取付パネル16の車外側部において、前述の摺動部材に連係される。
【0022】
取付パネル16の車内側端部は、前後方向(図2において紙面に直交する方向)に延在する略長尺状のフランジ17を形成する。図3に示すように、フランジ17は、その車内側端が自由端となっており、可動パネル12との間に車両の高さ方向の隙間をあけて車内側に向かって延出している。そして、フランジ17の車内側部には、車両の高さ方向に開口する(凹む)取付凹部としての取付孔18が形成されている。この取付孔18の車内側の内壁面は、前後方向両端部に対して中間部が車外側に突出している。そして、フランジ17には、前後方向両端部における取付孔18の車内側の内壁面の位置に対し前後方向中間部における取付孔18の車内側の内壁面が上方に位置するように斜め上方に傾斜する切り起こし片19が形成されている。切り起こし片19が取付孔18(内壁面)の一部を形成することはいうまでもない。なお、取付孔18(切り起こし片19)は、前後方向に間隔をあけて複数(例えば2つ)形成されている。
【0023】
図2に示すように、フランジ17及び第2ガイド部15間には、遮蔽体としてのガーニッシュ20が介装されている。このガーニッシュ20は、例えば樹脂の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。ガーニッシュ20の下端部は、車外側に開口する断面略コの字状の係合部21を形成する。この係合部21が前後方向に延在することはいうまでもない。ガーニッシュ20は、係合部21が第2ガイド部15に互い違いに噛み合う状態で該第2ガイド部15に前後方向に摺動自在に支持される。
【0024】
一方、ガーニッシュ20の上端部は、車外側に開口する断面略コの字状の取付部22を形成する。取付部22が前後方向に延在することはいうまでもない。図3に示すように、この取付部22は、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に互いに略平行に延出してフランジ17を挟み込む一対の挟持片としての第1挟持片23及び第2挟持片24、並びにそれら第1挟持片23及び第2挟持片24の車内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁25を有する。上方に位置する第1挟持片23の車外側への突出長は、下方に位置する第2挟持片24のそれよりも大きく設定されており、第1挟持片23の先端部は、切り起こし片19の先端(車外側端)よりも車外側に位置する。そして、第1挟持片23の先端部には、切り起こし片19よりも車外側でその先端面19aを覆うように下方に突出する断面略三角形の抜け止め爪26が形成されている。この抜け止め爪26が前後方向に延在することはいうまでもない。
【0025】
第2挟持片24の先端部(車外側端部)には、上方に突出してフランジ17の下面に当接(線当たり)する断面略三角形の突条27が形成されている。この突条27が前後方向に延在することはいうまでもない。従って、第1挟持片23は、突条27がフランジ17の下面に当接(圧接)することで、フランジ17との車両の高さ方向の隙間を詰めるように該フランジ17に向かって下方に引き込まれる。そして、切り起こし片19の存在する前後方向の位置では、第1挟持片23の下面は、フランジ17の車内側端面17a及び先端面19aに高低差が設定されていることで、それら先端面19aの上端及び車内側端面17aの上端における二箇所でフランジ17に常に当接(線当たり)する。
【0026】
つまり、取付部22は、断面(横断面)形状において、第1挟持片23における2点と、第2挟持片24(突条27)における1点との3点(便宜的に○印にて明示)でフランジ17に当接されている。このとき、抜け止め爪26は、車両の幅方向で先端面19aに対向する状態でこれを掛止する。すなわち、取付部22は、抜け止め爪26及び先端面19aの車両の高さ方向の掛かり代でフランジ17に対し車両の幅方向に抜け止めされる。換言すれば、突条27は、フランジ17の下面に当接(圧接)することで、矢印で描いたように、抜け止め爪26が切り起こし片19の先端面19aに常に掛かる方向に取付部22を回動させる(転ばせる)。これにより、抜け止め爪26及び先端面19aの車両の高さ方向の掛かり代が常に確保される。
【0027】
なお、切り起こし片19の存在しない前後方向の位置では、抜け止め爪26の下端がフランジ17の上面に当接するものの、抜け止め爪26は、基本的にフランジ17の上面までの範囲で下方に突出していることで、第1挟持片23の変形は僅少又は皆無となっている。
【0028】
図2に示すように、係合部21及び取付部22の車内側端同士は、車両の高さ方向に伸縮自在な蛇腹部28を介して連結されている。この蛇腹部28は、可動パネル12のチルトアップ動作に追従して伸長し、可動パネル12のチルトダウン動作に追従して縮退する。そして、サンルーフ装置11のガーニッシュ20よりも車外側の部位(第1ガイド部14やこれを摺動する摺動部材等)がガーニッシュ20によって車室内側から遮蔽される。
【0029】
次に、本実施形態の作用について説明する。
フランジ17及び第2ガイド部15間に介装されたガーニッシュ20は、第2ガイド部15よりも車内側でそれらの間を覆う。そして、可動パネル12が開閉作動すると、ガーニッシュ20は、第2ガイド部15を摺動しつつ一体で移動する。つまり、可動パネル12の開閉作動に伴って取付部22が移動すると、蛇腹部28を介して係合部21が第2ガイド部15に沿って移動する。
【0030】
図3に示すように、ガーニッシュ20の取付部22は、断面(横断面)形状において、第1挟持片23における2点と、第2挟持片24(突条27)における1点との3点でフランジ17に当接されている。このため、例えばガーニッシュ20自体の製品の寸法ばらつきや相手部品(取付パネル16等)のばらつきによる取付部22(ガーニッシュ20)の取付姿勢の変化や可動パネル12の開閉作動時に起こり得る取付部22(ガーニッシュ20)の姿勢変動が抑えられる。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、例えばガーニッシュ20自体の製品の寸法ばらつきや相手部品(取付パネル16等)のばらつきによる取付部22の取付姿勢の変化や可動パネル12の開閉作動時に起こり得る取付部22の姿勢変動が抑えられる。そして、切り起こし片19における抜け止め爪26の姿勢も自ずと安定化される。従って、切り起こし片19の先端面19a及び抜け止め爪26の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)を抑制することができ、フランジ17(可動パネル12)からの取付部22(ガーニッシュ20)の脱落を抑制することができる。
【0032】
また、ガーニッシュ20は、前記3点でフランジ17に当接されることで、部品精度ばらつき等があっても該フランジ17及び取付部22の間に実質的に車両の高さ方向の隙間が形成されることがない。このため、当該隙間の範囲での取付部22の回動、即ち取付部22の転びやこれに起因する相互干渉による異音の発生を抑制することができる。
【0033】
(2)本実施形態では、突条27をガーニッシュ20の前後方向の全長に亘って形成したことで、該ガーニッシュ20の押出成形に合わせて成形することができ、製造工数及びコストを削減することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
以下、サンルーフ装置の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のガーニッシュ(取付部)及びフランジの3点での当接が圧力が加わるように変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。第2の実施形態の構成のうち第1の実施形態と同様の機能を有する構成については、十の位以降の符号を第1の実施形態と同一にしている。
【0035】
図4に示すように、本実施形態のガーニッシュ120の取付部122は、前記取付部22に準じて第1挟持片123、第2挟持片124、接続壁125及び抜け止め爪126を有する。ただし、第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に抜け止め爪126に近付くに従い短くなるように設定されている。そして、例えばフランジ17の車内側端面17aにおける離間距離Liよりも、第2挟持片124の車外側端における離間距離Loの方が短く設定されている。
【0036】
また、図4に2点鎖線で描いたように、フランジ17を挟み込まない自由状態にあるときの方が、全体として第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離が短くなるように設定されている。従って、例えば第2挟持片124の車外側端における離間距離Lo1は、前記離間距離Loよりも短くなっている。
【0037】
第2挟持片124の切り起こし片19よりも車内側に位置する車両の幅方向中間部には、下方に突出してフランジ17の上面に当接(線当たり)する断面略三角形の突条129が形成されている。この突条129が前後方向に延在することはいうまでもない。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
既述のように、第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に抜け止め爪126に近付くに従い短くなるように設定され、且つ、フランジ17を挟み込まない自由状態にあるときの方が短くなるように設定されている。また、切り起こし片19の存在する前後方向の位置では、フランジ17の車内側端面17a及び先端面19aに高低差が設定されている。従って、第1挟持片123及び第2挟持片124によりフランジ17を挟み込むと、第1挟持片123の下面は、先端面19aの上端における一箇所でフランジ17に常に圧力が加わる状態で当接(線当たり)するとともに、第2挟持片124の上面は、その車外側端の一箇所でフランジ17に常に圧力が加わる状態で当接(線当たり)する。そして、これに伴い発生する反力で、第1挟持片123の下面は、突条129の下端の一箇所でフランジ17に常に圧力が加わる状態で当接(線当たり)する。つまり、取付部122は、断面(横断面)形状において、第1挟持片123(突条129)における2点P11,P12と、第2挟持片124における1点P21との3点でフランジ17に圧力が加わる状態で当接されている。
【0039】
このとき、抜け止め爪126は、車両の幅方向で先端面19aに対向する状態でこれを掛止する。すなわち、取付部122は、抜け止め爪126及び先端面19aの車両の高さ方向の掛かり代でフランジ17に対し車両の幅方向に抜け止めされる。
【0040】
なお、第2挟持片124における1点P21は、第1挟持片123における2点P11,P12の中点よりも抜け止め爪126の近くに配置されている。つまり、車両の幅方向において、点P11,P21間の離間距離L1は、点P12,P21間の離間距離L2よりも短く設定されている。
【0041】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ガーニッシュ120は、断面(横断面)形状において、第1挟持片123(突条129)における2点と、第2挟持片124における1点との3点でフランジ17に圧力が加わる状態で当接される。従って、図5に示すように、例えば製品の寸法ばらつき等で第1挟持片123及び第2挟持片124によるフランジ17の挟み込み姿勢がばらついたとしても、前記圧力の範囲でこれに追従することで、第1挟持片123及び第2挟持片124におけるフランジ17との当接状態をより確実に維持できる。そして、切り起こし片19の先端面19a及び抜け止め爪126の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)をいっそう抑制することができ、フランジ17(可動パネル12)からの取付部122(ガーニッシュ120)の脱落をいっそう抑制することができる。
【0042】
(2)本実施形態では、第2挟持片124における1点P21は、第1挟持片123における2点P11,P12の中点よりも抜け止め爪126の近くに配置されている。従って、第1挟持片123における2点P11,P12のうちの抜け止め爪126に近い1点P11と、第2挟持片124における1点P21とで、切り起こし片19の先端面19a及び抜け止め爪126の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)を抑制する力をより効率的に発生できる。そして、第1挟持片123における2点P11,P12等がフランジ17に当接する際の圧力をより低減できることで、第1挟持片123及び第2挟持片124間にフランジ17を挟み入れる際の組付性をより向上できる。
【0043】
(3)本実施形態では、第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に抜け止め爪126に近付くに従い短くなるように設定されており、且つ、フランジ17を挟み込まない自由状態にあるときの方が短くなるように設定されている。従って、第1挟持片123及び第2挟持片124がフランジ17を挟み込むと、該フランジ17に押圧されて第1挟持片123における2点P11,P12のうちの抜け止め爪126に近い1点P11と、第2挟持片124における1点P21との車両の高さ方向における離間距離が長くなるように第1挟持片123及び第2挟持片124が弾性変形する。従って、これに伴い発生する反力で、第1挟持片123における2点P11,P12のうちの抜け止め爪126から遠い1点P12をより確実にフランジ17に当接(圧接)させることができる。そして、切り起こし片19の先端面19a及び抜け止め爪126の車両の高さ方向の掛かり代の変動(減少)をいっそう抑制することができ、フランジ17(可動パネル12)からの取付部122(ガーニッシュ120)の脱落をいっそう抑制することができる。
【0044】
(4)本実施形態では、突条129をガーニッシュ120の前後方向の全長に亘って形成したことで、該ガーニッシュ120の押出成形に合わせて成形することができ、製造工数及びコストを削減することができる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図6に示すように、前記第1の実施形態において、取付部22に準じた取付部30の第1挟持片31に、車両の幅方向で前記突条27を挟んでその両側に位置する第1突条32及び第2突条33を形成してもよい。第1突条32及び第2突条33は、下方に向かって突出する。この場合、切り起こし片19の存在する前後方向の位置では、第1挟持片31は、第1及び第2突条32,33における二箇所でフランジ17の上面に常に当接(線当たり)する。従って、このように変更をしても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
なお、第2突条33のフランジ17の上面との当接が確保され、且つ、抜け止め爪26及び取付孔18の内壁面の車両の高さ方向の掛かり代が確保されるのであれば、切り起こし片19を省略してもよい。また、第1挟持片31及び第2挟持片24の車両の高さ方向の配置関係は互いに逆であってもよい。すなわち、第1挟持片31及び第2挟持片24をフランジ17を挟んでその下方及び上方にそれぞれ配置してもよい。この場合、斜め下方に傾斜する切り起こし片(19)を形成することが好ましい。
【0047】
図7に示すように、前記第1の実施形態において、切り起こし片(19)が非形成の取付凹部としての取付孔42の形成されたフランジ41であってもよい。そして、取付部22に準じた取付部45に、上向きに凸となる断面略弓形の第1挟持片46を設けてもよい。この第1挟持片46の先端部には、取付孔42の車内側の内壁面42aよりも車外側で該内壁面42aを覆うように下方に突出する断面略三角形の抜け止め爪47が形成されている。この場合、第1挟持片46の下面は、両端部が下方に位置することで、フランジ41の車内側端面41aの上端及び内壁面42aの上端における二箇所でフランジ41に常に当接(線当たり)する。従って、このように変更をしても、前記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
なお、第1挟持片46及び第2挟持片24の車両の高さ方向の配置関係は互いに逆であってもよい。すなわち、第1挟持片46及び第2挟持片24をフランジ17を挟んでその下方及び上方にそれぞれ配置してもよい。
【0049】
・前記第1の実施形態において、ガーニッシュ20は、押出成形以外で成形してもよい。この場合、突条27や抜け止め爪26などは、ガーニッシュ20の全長に亘って前後方向に延在していなくてもよい。
【0050】
・前記第2の実施形態において、第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離は、車両の幅方向に抜け止め爪126に近付くに従い短くなるように設定されていなくてもよい。あるいは、第1挟持片123及び第2挟持片124の車両の高さ方向における離間距離は、フランジ17を挟み込まない自由状態にあるときの方が短くなるように設定されていなくてもよい。
【0051】
・前記第2の実施形態において、第2挟持片124における1点P21は、第1挟持片123における2点P11,P12の中点よりも抜け止め爪126の近くに配置されていなくてもよい。
【0052】
・前記第2の実施形態において、ガーニッシュ120は、押出成形以外で成形してもよい。この場合、突条129や抜け止め爪126などは、ガーニッシュ120の全長に亘って前後方向に延在していなくてもよい。
【0053】
・前記各実施形態において、取付孔18,42に代えて、車両の高さ方向に非貫通の取付凹部としての取付穴を採用してもよい。この場合、フランジ17,41の前後方向の略全長に亘って取付穴を形成しても、フランジ17,41の連続性が保たれる。そして、取付部22,30,45,122は、前述の3点での当接状態を維持しながらも、抜け止め爪26,47,126がその前後方向の略全長に亘って取付穴の内壁面に掛止することで、フランジ17,41からの脱落がいっそう抑制される。
【0054】
・前記各実施形態において、第1挟持片23,123及び第2挟持片24,124の車両の高さ方向の配置関係は互いに逆であってもよい。すなわち、第1挟持片23,123及び第2挟持片24,124をフランジ17を挟んでその下方及び上方にそれぞれ配置してもよい。この場合、斜め下方に傾斜する切り起こし片(19)を形成することが好ましい。
【0055】
・前記各実施形態において、ガーニッシュ20,120は、係合部21、取付部22,122及び蛇腹部28のいずれかを押出成形で成形して、残りをアウトサート成形などで成形してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…ルーフ、10a…開口、12…可動パネル、13…ガイドレール、16…取付パネル(取付部材)、17,41…フランジ、18,42…取付孔(取付凹部)、19…切り起こし片、19a…先端面(内壁面)、20,120…ガーニッシュ(遮蔽体)、23,31,46,123…第1挟持片(挟持片)、24,124…第2挟持片(挟持片)、25,125…接続壁、26,47,126…抜け止め爪、42a…内壁面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8