(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結着樹脂、離型剤、及び2価以上のイオン価数を取り得る金属を含み、蛍光X線分析法(XRF)により測定される前記金属の濃度Mxが0.02質量%以上0.10質量%以下であるトナー粒子を有し、
前記トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=0.6×D+0.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される前記金属の濃度Mes(単位:%)と、加速電圧=1.8×D+4.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される前記金属の濃度Met(単位:%)との関係が、下記式(1)を満たす静電荷像現像用トナー。
・式(1):0≦Mes/Met<0.30
前記トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=1.2×D+1.8kVの条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される前記金属の濃度Mem(単位:%)と、前記金属の濃度Met(単位:%)との関係が、下記式(2)を満たす請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
・式(2):0≦Mem/Met<0.3
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
【0020】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する)は、結着樹脂、離型剤、及び2価以上のイオン価数を取り得る金属(以下、単に「金属」とも称する)を含み、蛍光X線分析法(XRF)により測定される金属の濃度Mxが0.02質量%以上0.10質量%以下であるトナー粒子を有する。
そして、トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=0.6×D+0.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される前記金属の濃度Mes(単位:%)と、加速電圧=1.8×D+4.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される前記金属の濃度Met(単位:%)との関係が、下記式(1)を満たす。
・式(1):0≦Mes/Met<0.30
【0021】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、高温高湿環境下で低画像密度の画像を繰り返し形成したとき(例えば40℃85%RHの環境下で画像密度1%の画像をA3紙に10000枚出力したとき)に生じる色点の発生、及び低温低湿環境下(例えば10℃15%RHの環境下)でトナー像の定着不良により生じる色点の発生を抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0022】
例えば、高温高湿環境下で低画像密度の画像を繰り返し形成すると、繰り返しの低画像密度の画像形成ではトナー消費量が少なく、現像手段内で同じトナーが機械的負荷及び熱的負荷を受け続けるため、トナー粒子の割れが発生することがある。特に、トナー粒子に離型剤を含むと、離型剤は母材となる結着樹脂中に、機械的強度が弱いドメインを形成して存在するため、離型剤ドメイン(又はその界面)を起点として、トナーの割れが生じやすい。
そして、トナー粒子の割れが生じると、割れたトナー粒子が帯電し難く現像手段の現像部材から落下するため、黒点として画像に現れることがある。
【0023】
一方、トナー粒子の割れを抑制するために、結着樹脂の官能基(カルボキシル基、水酸基)とイオン架橋を形成する金属(そのイオン)を増量する方法、結着樹脂として高ガラス転移温度の樹脂を使用する方法により、トナー粒子全体の硬度を上げることが知られている。
しかし、トナー粒子全体の硬度を上げると、トナー像の定着不良(特に、ハーフトーン画像を形成したときのドット等の孤立したトナーの定着不良)が生じ、トナー像の一部が定着部材へ移行し、定着部材から記録媒体を剥離する部材(フィンガー部材)に堆積して落下するため、色点として画像に現れることがある。
【0024】
それに対して、本実施形態に係るトナーでは、金属の濃度Mxを上記範囲とした上で、金属の濃度Mes及び金属の濃度Metの関係が式(1)を満たすようにする。
【0025】
ここで、金属の濃度Mxは、蛍光X線分析法(XRF)により測定される金属の濃度であるため、トナー粒子全体に対する金属の割合(質量比)を示している。
金属の濃度Mesは、加速電圧=0.6×D+0.9(kV)といった低加速電圧の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度であるため、電子線が照射される側のトナー粒子表層(例えばトナー粒子の表面からトナー粒子の体積平均粒径に対して15%以内の深さ領域)における金属の割合(質量比)を示している。
金属の濃度Metは、加速電圧=1.8×D+4.9(kV)といった高加速電圧の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度であるため、電子線が照射される領域でのトナー粒子全体(電子線が照射される領域であって、電子線が照射される側のトナー粒子の表面から反対側の裏面にかけての全領域)における金属の割合(質量比)を示している。
【0026】
つまり、式(1)中の「Mes/Met」は、トナー粒子全体に占める金属の濃度Metに対する、電子線が照射される側のトナー粒子表層に占める金属の濃度Mesの比を示している。そして、式(1):0≦Mes/Met<0.30を満たすとは、トナー粒子に含まれる金属がトナー粒子内部に偏在していることを示している。
【0027】
一方、トナー粒子中に含まれる金属は、金属イオンとして存在していると考えられる。金属イオンは、結着樹脂の官能基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)とイオン架橋を形成しているものと考えられる。
【0028】
そして、トナー粒子全体に対する金属の濃度Mxを上記範囲に抑えた上で、トナー粒子内部に金属イオンを偏在させることで、トナー粒子の表層に比べ内部において、金属イオンによるイオン架橋が多く形成しているため、結着樹脂の見かけ上の分子量が増えて、トナー粒子の内部強度が増し、トナー粒子が変形し難くなって、トナー粒子の割れが抑制される。また、トナー粒子の内部において、離型剤ドメインを取り巻く、結着樹脂の強度が高まるため、離型剤ドメイン(又はその界面)を起点とするトナーの割れも抑制される。
一方、トナー粒子の表層では、金属イオンによるイオン架橋無い又は少ないため、定着性も確保される。
【0029】
以上から、本実施形態に係るトナーは、高温高湿環境下で低画像密度の画像を繰り返し形成したときに生じる黒点の発生、及び低温低湿環境下でトナー像の定着不良により生じる色点の発生を抑制すると推測される。
【0030】
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
【0031】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を有する。トナーは、必要に応じて、トナー粒子の表面に付着する外添剤を有してもよい。
【0032】
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂、離型剤、及び金属を含む。トナー粒子には、必要に応じて、着色剤と、その他添加剤と、を含んでもよい。
【0033】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0035】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0036】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0039】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0040】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0041】
結着樹脂としては、スチレン(メタ)アクリル樹脂も好適である。
スチレン(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、公知のスチレン(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
【0042】
スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン系重合性単量体(スチレン骨格を有する重合性単量体)と(メタ)アクリル系重合性単量体((メタ)アクリロイル骨格を有する重合性単量体)とを少なくとも共重合した共重合体である。
なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
【0043】
スチレン系重合性単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等)、ビニルナフタレン等が挙げられる。スチレン系重合性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、さらに入手性の点で、スチレンが好ましい。
【0044】
(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系重合性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
スチレン系重合性単量体と(メタ)アクリル系重合性単量体との共重合比(質量基準、スチレン系重合性単量体/(メタ)アクリル系重合性単量体)は、例えば85/15乃至70/30であることがよい。
【0046】
スチレン(メタ)アクリル樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂は、例えば、スチレン系重合性単量体と(メタ)アクリル酸系重合性単量体と架橋性単量体とを少なくとも共重合して、架橋した架橋物が挙げられる。
【0047】
架橋性単量体としては、例えば、2官能以上の架橋剤が挙げられる。
2官能の架橋剤としては、例えば,ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、デカンジオールジアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、ポリエステル型ジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、トリ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等)、テトラ(メタ)アクリレート化合物(例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等)、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0048】
全単量体に対する架橋性単量体の共重合比(質量基準、架橋性単量体/全単量体)は、例えば2/1000乃至30/1000であることがよい。
【0049】
スチレン(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性の点で、例えば、50℃以上75℃以下がよく、好ましくは55℃以上65℃以下、より好ましくは57℃以上60℃以下である。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0050】
スチレン(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、保管安定性の点で、例えば、30000以上200000以下がよく、好ましくは40000以上100000以下、より好ましくは50000以上80000以下である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0051】
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0052】
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0053】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0054】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0055】
−金属−
金属としては、2価以上のイオン価数を取り得る金属である。ただし、金属としては、例えば、イオン価数が2価以上(好ましくは2価以上4価以下)の金属であることがよい。
具体的には、金属は、クロム、ジルコニウム、鉛以外の金属が好ましい。金属としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、鉄、及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンが好適に挙げられる。
【0056】
金属の供給源(トナー粒子に添加剤として含ませる化合物)としては、例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体等が挙げられる。この金属塩、無機金属塩重合体、及び、金属錯体は、例えば、トナー粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤としてトナー粒子に添加する。
金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
無機金属塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)、多硫化カルシウム等が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩等が挙げられる。金属錯体として、具体的には、例えば、エチレンジアミン4酢酸、プロパンジアミン4酢酸、ニトリル3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等の公知のキレートをベースにした金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。
【0057】
なお、これら金属の供給源は、凝集剤用途ではなく、単なる添加剤として添加してもよい。
【0058】
金属のイオン価数は、高い程、網目状のイオン架橋を形成し易くなり、かつ原子番号の小さい金属元素の方が、金属(その金属イオン)が小さく架橋の網目構造が小さくなるため、さらに、金属イオンのイオン架橋によるトナー粒子内部の強度が向上し、色点の発生を抑制する観点から好適である。
このため、金属としては、3価の金属(特にAlイオン)が好ましい。つまり、金属の供給源としては、アルミニウム塩(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。更に、色点の発生抑制の観点から、金属イオンの供給源のうち、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好ましい。
【0059】
金属の濃度Mx(蛍光X線分析法(XRF)により測定される前記金属の濃度)は、0.02質量%以上0.10質量%以下であるが、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、0.03質量%以上0.08質量%以下が好ましく、0.04質量%以上0.07質量%以下がより好ましい。
【0060】
ここで、金属の濃度Mxは、蛍光X線分析法(XRF)を利用し、次の通り測定する。
まず、樹脂と金属の供給源との混合し、金属の濃度が既知の樹脂混合物を得る。この樹脂混合物200mgを、直径13mmの錠剤成形器を用いて、ペレットサンプルを得る。このペレットサンプルの質量を精秤し、ペレットサンプルの蛍光X線強度の測定を行って、ピーク強度を求める。同様に、金属の供給源の添加量を変更したペレットサンプルについても測定を行い、これらの結果から検量線を作成する。そして、この検量線を用いて、測定対象となるトナー粒子中の金属の濃度Mxを定量分析する。
【0061】
金属の濃度Mes(トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=0.6×D+0.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度)と、金属の濃度Met(トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=1.8×D+4.9(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度)と、の関係は、下記式(1)を満たすが、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、下記式(1A)を満たすことが好ましく、下記式(1B)を満たすことがより好ましい。
・式(1) :0≦Mes/Met<0.30
・式(1A):0≦Mes/Met<0.25
・式(1B):0≦Mes/Met<0.20
【0062】
また、金属の濃度Mem(トナー粒子の体積平均粒径をDとしたとき、加速電圧=1.2×D+1.8(kV)の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度)と、金属の濃度Metの関係は、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(2A)を満たすことがより好ましく、下記式(2B)を満たすことが更に好ましい。
・式(1) :0≦Mem/Met<0.30
・式(1A):0≦Mem/Met<0.25
・式(1B):0≦Mem/Met<0.20
【0063】
ここで、金属の濃度Memは、加速電圧=1.2×D+1.8(kV)といった中加速電圧の条件でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定される金属の濃度であるため、金属の濃度Mesよりも、電子線が照射される側のトナー粒子の表面から深い領域の表層(例えばトナー粒子の表面からトナー粒子の体積平均粒径に対して40%以内の深さ領域)における金属の割合(質量比)を示している。
つまり、式(2)中の「Mem/Met」は、トナー粒子全体に占める金属の濃度Metに対する、金属の濃度Mesよりも、電子線が照射される側のトナー粒子の表面から深い領域の表層に占める金属の濃度Memの比を示している。そして、式(2):0≦Mem/Met<0.3を満たすとは、式(1)を満たす場合に比べ、さらに、トナー粒子に含まれる金属がトナー粒子内部に偏在していることを示している。
【0064】
金属の濃度Mesは、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、0%以上0.04%以下が好ましく、0%以上0.03%以下がより好ましい。
【0065】
金属の濃度Metは、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、0.03%以上0.12%以下が好ましく、0.04%以上0.09%以下がより好ましい。
【0066】
金属の濃度Memは、トナー粒子の割れによる色点の発生抑制、及び、トナー像の定着不良による色点の発生抑制の観点から、0%以上0.04%以下が好ましく、0%以上0.03%以下がより好ましい。
【0067】
ここで、金属の濃度Mes、金属の濃度Met、及び金属の濃度Memは、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を利用し、次の通り測定する。
直径13mmの錠剤成型器を用いて、トナー粒子120mgからペレットサンプルを得る。前記ペレットサンプルをエネルギー分散型X線分光装置(EDX装置)付きSEM(走査型電子顕微鏡)(Horiba社製:Xmax)を用いて、加速電圧を設定して測定する。なお、観察倍率1000倍で得られる範囲における金属元素の含有割合を測定する。
【0068】
なお、蛍光X線分析法(XRF)及びエネルギー分散型X線分光法(EDX)による金属の濃度の測定は、外添剤がトナー粒子に外添されている場合、トナー粒子に対し水中で超音波処理(20℃下、振幅180μm、30分)を施してトナー粒子の表面に付着する(遊離した)外添剤を除去したトナー粒子を洗浄及び乾燥して回収したサンプルを対象に実施する。なお、この操作は外添剤が除去できるまで、繰り返し操作する。
【0069】
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0071】
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0072】
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0073】
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
なお、金属は、芯部に含まれる。また、金属は、芯部及び被覆層のいずれにも含まれてもよいが、被覆部よりも芯部に高く含まれている。
【0074】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上9μm以下がより好ましい。
【0075】
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンー・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0076】
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0077】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−2100)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0078】
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、CuO、ZnO、SnO
2、CeO
2、Fe
2O
3、MgO、BaO、CaO、K
2O、Na
2O、ZrO
2、CaO・SiO
2、K
2O・(TiO
2)n、Al
2O
3・2SiO
2、CaCO
3、MgCO
3、BaSO
4、MgSO
4等が挙げられる。
【0079】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0080】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0081】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0082】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0083】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、金属の濃度Mx、及び式(1)を満たすトナー粒子を得る観点から、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0084】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液と、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液との混合分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、第1樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、第1凝集粒子を形成する工程(第1凝集粒子形成工程)と、
第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液に対して加熱し、第1凝集粒子を融合・合一して、コア粒子を形成する工程(第1融合・合一工程)と、
コア粒子が分散されたコア粒子分散液、及び結着樹脂となる第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液を混合し、コア粒子の表面に第2樹脂粒子が付着するように凝集させ、第2凝集粒子を形成する工程(第2凝集粒子形成工程)と、
第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、第2凝集粒子を融合・合一して、コア粒子を形成する工程(第2融合・合一工程)と、
を経て、トナー粒子を製造する。
【0085】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0086】
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる第1及び第2樹脂粒子(以下、まとめて「樹脂粒子」とも称する)が分散された第1及び第2樹脂粒子分散液(以下、まとめて「樹脂粒子分散液」とも称する)と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0087】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0088】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0091】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0092】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0093】
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0094】
−第1凝集粒子形成工程−
次に、第1樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とする径を持つ、第1樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0095】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、第1樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0096】
凝集剤としては、例えば、無機金属塩、2価以上を取り得る金属錯体等を用いる。
そして、必要に応じて、凝集終了後、凝集剤の金属(金属イオン)と錯体又は類似の結合を形成する添加剤を添加する。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、形成するコア粒子から凝集剤の一部を取り除き、形成するトナー粒子の内部(コア粒子)の金属の濃度の調整が実現される。
【0097】
ここで、凝集剤としての金属塩、金属塩重合体、金属錯体は、金属の供給源として用いる。これらの例示について、既述の通りである。
【0098】
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0099】
−第1融合・合一工程−
次に、第1凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、第1樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第1凝集粒子を融合・合一し、コア粒子を形成する。
【0100】
そして、第1融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたコア粒子を、固液分離工程、公知の洗浄工程等を実施し、コア粒子を得る。また、洗浄工程を経た後、固液分離工程、乾燥工程を実施し乾燥した状態のコア粒子を得てもよい。
【0101】
なお、第1融合・合一工程終了前に、第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液を得た後、当該第1凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、第1凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、さらに樹脂粒子が表面に付着した第1凝集粒子を形成する工程と、樹脂粒子付着第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液に対して加熱をし、樹脂粒子付着第1凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のコア粒子を形成する工程と、を経て、コア粒子を製造してもよい。
【0102】
−第2凝集粒子形成工程−
次に、得られたコア粒子を用いて、コア粒子分散液を調製する。そして、コア粒子分散液と、第2樹脂粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、コア粒子の表面に第2樹脂粒子が付着するようにヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子径に近い径を持つ、コア粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した第2凝集粒子を形成する。
【0103】
具体的には、例えば、混合分散液のpHを中性からアルカリ性(例えばpHが7以上8.5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加することで、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
【0104】
この操作により、コア粒子を被覆する樹脂中(トナー粒子の表層中)には、金属が含まない又は金属濃度が低減される。
【0105】
−第2融合・合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、第2樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0106】
以上の工程を経て、金属の濃度Mxが上記範囲を満たし、金属の濃度Mesと金属の濃度Metとの関係も式(1)を満たすトナー粒子が得られる。
ここで、第2凝集粒子形成工程及び第2融合・合一工程を繰り返し、コア粒子を被覆する樹脂(結着樹脂)の厚み(金属を含まない又は金属濃度が低減されたトナー粒子の表層の厚み)を調整できる。つまり、さらに内部に金属を偏在させたトナー粒子が得られ易くなる。
【0107】
一方で、凝集剤を使用したコア粒子が分散された分散剤をそのまま使用したり、第2凝集粒子形成工程で、金属塩、金属塩重合体、金属錯体等の凝集剤を使用すると、系中に凝集剤が分散されているため、凝集粒子を凝集合一時に系中のpHを低下させると、形成されるトナー粒子の表層に凝集剤が取り込まれる。そのため、金属の濃度Mxが上記範囲を満たし、金属の濃度Mesと金属の濃度Metとの関係も式(1)を満たすトナー粒子が得られ難い。
【0108】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0109】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0110】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0111】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;マトリックス樹脂に導電性粒子が分散・配合された樹脂分散型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、樹脂含浸型キャリア、及び導電性粒子分散型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0112】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0113】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0114】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0115】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0116】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0117】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0118】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0119】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0120】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0121】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0122】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0123】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0124】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0125】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10
−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0126】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
【0127】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0128】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0129】
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0130】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0131】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0132】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0133】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0134】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0135】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0136】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0137】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0138】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0139】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0140】
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0141】
<樹脂粒子分散液の調製>
(樹脂粒子分散液(P1)の調製)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.1):85質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2):217質量部
・フマル酸:80質量部
・テレフタル酸:49質量部
以上の成分を混合・溶解した溶液を、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌しながら窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら190℃で18時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて9時間反応させた後、冷却して、重量平均分子量が42500のポリエステル樹脂を得た。
【0142】
得られたポリエステル樹脂100質量部とメチルエチルケトン45質量部と、イソプロピルアルコール10質量部とを三口フラスコに収容し、攪拌しながら45℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25質量部を加え、さらにイオン交換水400質量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が150nmの樹脂粒子分散液(P1)を作製した。なお、この分散液の樹脂粒子濃度が30質量%となるように水分量を調整した。
【0143】
(樹脂粒子分散液(P2)の調製)
・デカン酸ジメチル:100質量部
・1,9−ノナンジオール75.0質量部
・ジブチルすずオキサイド0.12質量部
以上の成分を混合・溶解した溶液を、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌しながら窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら180℃で8時間反応させた後、徐々に減圧しながら230℃まで温度をあげて7時間反応させた後、冷却して、重量平均分子量が22500のポリエステル樹脂を得た。
【0144】
得られたポリエステル樹脂100質量部とメチルエチルケトン60質量部と、イソプロピルアルコール20質量部とを、攪拌しながら45℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25質量部を加え、さらにイオン交換水400質量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が174nmの樹脂粒子分散液(P2)を作製した。なお、この分散液の樹脂粒子濃度が30質量%となるように水分量を調整した。
【0145】
(樹脂粒子分散液(S1)の調製)
・スチレン :320質量部
・n−ブチルアクリレート :80質量部
・アクリル酸 :12質量部
・10−ドデカンチオール :2質量部
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三
洋化成(株)製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株
)製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解したものにフラスコ中で乳化分散さ
せ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオ
ン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内
容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径D50v=210nmであり、重量平均分子量38000、ガラス転移温度50℃のスチレンアクリル樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。
【0146】
<着色剤粒子分散液の調製>
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製:BP1300):50質量部
・非イオン性界面活性剤ノニポール400(花王社製):5質量部
・イオン交換水:200質量部
以上の成分を混合溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散し、この分散液の着色剤濃度が25質量%となるように水分量を調整して、着色剤分散液を得た。
【0147】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9,融点77℃):60質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):4質量部
・イオン交換水:200質量部
以上の成分を混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液を調製した。なお、この分散液の離型剤濃度が30質量%となるように水分量を調整した。
【0148】
<着色剤粒子分散液の調製>
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・シアン顔料: 10質量部
〔PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製〕
・アニオン性界面活性剤: 2質量部
〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕
・イオン交換水: 80質量部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー〔HJP30006、(株)スギノマシン製〕により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20質量%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0149】
<離型剤粒子分散液の調製>
(離型剤粒子分散液(1))
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9,融点77℃):60質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):4質量部
・イオン交換水:200質量部
以上の成分を混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液を調製した。なお、この分散液の離型剤濃度が30質量%となるように水分量を調整した。
【0150】
<実施例1>
(トナー(1)の作製)
−コア粒子形成工程−
・樹脂粒子分散液(P1)600質量部
・樹脂粒子分散液(P2)85質量部
・着色剤分散液100質量部
・離型剤分散液110質量部
・カチオン界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50)1.5質量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコに収容し、0.1規定の硫酸を添加してpHを3.7に調整した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液30質量部を添加し、その後、30℃で、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。加熱用オイルバス中で1℃/分で45℃まで加熱し、45℃で2時間保持した後、この分散液中に、樹脂粒子分散液(P1)を340質量部追加して、さらに1時間保持した。
その後、0.1規定の水酸化ナトリウムを添加してpHを8.0に調整した後、攪拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱して3時間保持した後、20℃/minの速度で20℃まで冷却し、これをろ過し、イオン交換水で洗浄して、コア粒子を得た。
【0151】
−トナー粒子形成工程−
イオン交換水2500質量部にカチオン界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50)2.0質量部を添加した溶液に、得られたコア粒子を分散して、分散液を得た。
次に、この分散液に、樹脂粒子分散液(P1)200質量部を添加した後、0.1規定の水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5に調整し、攪拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱して3時間保持した後、20℃/minの速度で20℃まで冷却し、これをろ過し、イオン交換水で洗浄して、体積平均粒径が6.5μmのトナー粒子を得た。
【0152】
−トナー作製工程−
その後、トナー粒子(1) 100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製、RY50)3.3質量部を添加した。次いで、ヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を得た。
【0153】
<実施例2>
コア粒子形成工程において、保持時間を4時間にし、トナー粒子形成工程において樹脂粒子分散液(P1)の量を150質量部に変更したした以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0154】
<実施例3>
トナー粒子形成工程において、樹脂粒子分散液(P1)の量を100質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0155】
<実施例4>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液の量を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0156】
<実施例5>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液を40質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0157】
<実施例6>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムをポリ塩化マグネシウムに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0158】
<実施例7>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムをポリ塩化カルシウムに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0159】
<実施例8>
コア粒子形成工程およびトナー粒子形成工程において、樹脂粒子分散液(P1)から樹脂粒子分散液(S2)した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0160】
<比較例1>
トナー粒子形成工程において、樹脂粒子分散液(P1)の量を80質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0161】
<比較例2>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液の量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0162】
<比較例3>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液の量を50質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0163】
<比較例4>
コア粒子形成工程において、ポリ塩化アルミニウムをポリ塩化ナトリウムに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子を作製し、このトナー粒子を用いてトナーを得た。
【0164】
<測定/評価>
【0165】
(各種測定)
各例のトナー(トナー粒子)について、金属の濃度Mx、金属の濃度Mes、金属の濃度Met、及び金属の濃度Memを既述の方法に従って測定した。
これらの結果を表1に示す。なお、トナー粒子の体積平均粒径D(表中「粒径D」と表記)も表1に示す。
【0166】
(現像剤の作製)
各例で作製したトナー8質量部と下記キャリア(A)92質量部をVブレンダーにいれ20分間撹拌した後、105μmメッシュで篩分し、各々、現像剤を作製した。
【0167】
−キャリア(A)の製造−
・フェライト粒子(体積平均粒径50μm) :100質量部
・トルエン :100質量部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分モル比:90/10) :2質量部
・カーボンブラック(R330、キャボット社製) :0.25質量部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラで撹拌させ、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダに入れ、60℃で25分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアAを作製した。このキャリア(A)は、形状係数=120、真比重=4.4、飽和磁化=63emu/g、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1000Ω・cmであった。
【0168】
(色点評価)
得られた現像剤を、画像形成装置(富士ゼロックス(株)製「D110」)の現像器に充填した。
【0169】
−高温高湿環境下での色点評価−
この装置を用いて、40℃85%RH環境下で、画像密度1%の画像をA3紙に10000出力後、画像濃度50%のハーフトーン画像をA3紙に30枚出力した。そして、1〜30枚目に出力した画像の色点の数を計測し、下記評価基準により評価した。
【0170】
−低温低湿環境下での黒点評価−
次に、10℃15%Rno環境下で装置の電源を切り5時間以上放置後、電源を入れ、画像濃度50%のハーフトーン画像をA3紙に30枚出力した。そして、1〜30枚目に出力した画像の色点の数を計測し、下記評価基準により評価した。
【0171】
−評価基準−
A(◎):色点未発生
B(○):0.2mm以上の色点が1個以上4個以下発生
C(△):0.2mm以上の色点が5個以上8個以下発生
D(×):0.2mm以上の色点が9個以上発生
【0172】
【表1】
【0173】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、高温高湿環境下で低画像密度の画像を繰り返し形成したときに生じる色点の発生と共に、低温低湿環境下でトナー像の定着不良により生じる色点の発生が抑制されていることがわかる。