(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る電極部材の設置構造及び画像形成装置の一例について説明する。
【0015】
〔全体構成〕
図1には、本実施形態の画像形成装置10が示されている。なお、以下の説明では、
図1に矢印Yで示す方向を装置高さ方向、矢印Xで示す方向を装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(Zで示す)を装置奥行き方向とする。そして、画像形成装置10を正面視して、装置高さ方向、装置幅方向、装置奥行き方向をY方向、X方向、Z方向と記載する。さらに、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれ一方側と他方側を区別する必要がある場合は、画像形成装置10を正面視して、上側をY側、下側を−Y側、右側をX側、左側を−X側、奥側をZ側、前側を−Z側と記載する。
【0016】
画像形成装置10は、箱状の本体11を有する。また、画像形成装置10は、一例として、電極部材の設置構造20と、チャージワイヤ22と、露光装置23と、現像装置24と、転写装置25と、定着装置26とを有する。チャージワイヤ22は、帯電手段の一例である。露光装置23は、露光手段の一例である。現像装置24は、現像手段の一例である。転写装置25は、転写手段の一例である。定着装置26は、定着手段の一例である。さらに、画像形成装置10は、搬送装置12と、クリーニングロール16と、制御装置18とを有する。なお、電極部材の設置構造20の詳細については、後述する。
【0017】
搬送装置12は、複数のロール対13を含んで構成されており、本体11内に形成された搬送経路Aに沿って、用紙Pを搬送する。用紙Pは、記録媒体の一例として、普通紙で構成されている。クリーニングロール16は、後述する二次転写後の感光体32の外周面33を清掃する。制御装置18は、画像形成装置10内の各装置の動作を制御する。
【0018】
<チャージワイヤ>
チャージワイヤ22は、後述するシールド部材52(
図2参照)の内側にZ方向に沿って架設されている。チャージワイヤ22は、一例として、2本設けられている。2本のチャージワイヤ22は、後述する感光体32の外周面33と径方向に間隔をあけて配置されている。さらに、2本のチャージワイヤ22は、図示しない電源に接続されている。そして、2本のチャージワイヤ22は、接地された感光体32との間に電位差が生じるように電源から通電されることによりコロナ放電を生じさせ、感光体32の外周面33を帯電させる。
【0019】
<露光装置>
露光装置23は、一例として、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、チャージワイヤ22によって帯電された感光体32の外周面33に、画像信号に基づき光を照射(露光)して、潜像(静電潜像)を形成するようになっている。なお、露光装置23はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0020】
<現像装置>
現像装置24は、本体11内にZ方向を軸方向として回転するように設けられている。また、現像装置24は、一例として、複数の現像部24Aを有する。複数の現像部24Aは、現像装置24をZ方向に見て、周方向に並んでいる。現像部24Aには、現像剤の一例としてのトナーTが収容されている。なお、複数の現像部24Aは、収容するトナーTの色が異なっている。現像装置24が図示しないモータにより回転されることにより、必要とされる色の現像部24Aが、感光体32の外周面33と対向配置される。そして、現像装置24は、外周面33に形成された静電潜像を決められた色のトナーTを用いて現像して可視化させる。
【0021】
<転写装置>
転写装置25は、中間転写ベルト25Aと、中間転写ベルト25Aを周回移動させる複数のロール25Bと、一次転写ロール25Cと、二次転写ロール25Dとを有する。一次転写ロール25C及び二次転写ロール25Dには、図示しない電源が接続されている。そして、転写装置25は、一次転写ロール25Cによって感光体32から単色又は複数色のトナーTを一次転写させることで、現像剤像の一例としてのトナー像Gを中間転写ベルト25A上に形成する。また、転写装置25は、二次転写ロール16Dによって、トナー像Gを中間転写ベルト25Aから用紙Pに転写させる。
【0022】
<定着装置>
定着装置26は、一例として、搬送経路Aを挟んで配置された加熱ロール26A及び加圧ロール26Bを有しており、用紙P上に転写されたトナー像Gを加熱及び加圧して用紙Pに定着させる。
【0023】
〔要部構成〕
次に、電極部材の設置構造20について説明する。
【0024】
図2に示す電極部材の設置構造20は、支持部材の一例としての筐体21(
図3参照)と、像保持体の一例としての感光体32と、電極部材34と、湾曲部材36とを有する。
【0025】
(筐体)
図3に示すように、筐体21は、Z−Y面に沿った側壁21Aと、側壁21AのZ側端部からX側に延びX−Y面に沿った側壁21Bと、側壁21A及び側壁21Bの−Y側端部を繋ぐ図示しない底壁とを含んで構成されている。筐体21の−Z側の側壁は、図示を省略するが、側壁21Bと同じ形状及び同じ大きさとされており、側壁21BとZ方向に対向配置されている。また、筐体21の−Z側の側壁は、側壁21Aの−Z側端部に対して取付け及び取外しが可能とされている。
【0026】
(感光体)
図2に示す感光体32は、Z方向を軸方向とする円柱状の軸部32Aと、軸部32Aに対して拡径された円筒部32Bとを有する。軸部32Aは、側壁21B(
図3参照)に取付けられたベアリング38により回転可能に支持されている。円筒部32Bは、図示しない円筒状の芯金と、この芯金の外周に積層された図示しない感光層とを有する。また、円筒部32Bは、Z方向に見て円形の外周面33を有する。なお、感光体32をZ方向に見て、軸部32Aの中心Oから外周面33までの半径r1として、外周面33の曲率R1=1/r1である。以後の説明では、感光体32及び後述する湾曲部材36の径方向のうち、中心Oから、2本のチャージワイヤ22の間の中央に配置される後述する仕切板56に向かう方向をD方向と称する。
【0027】
(電極部材)
電極部材34は、筐体21(
図3参照)への装着状態において、Z方向に見たときに、感光体32の外周面33とチャージワイヤ22との間に配置されている。さらに、電極部材34は、後述する湾曲部材36の湾曲面44に押し当てられて湾曲されている。電極部材34には、図示しない電源から電圧が印加されるようになっている。また、電極部材34は、湾曲部材36からD方向に電極部材34を離した状態において、Z方向に見たときに、平板状に配置される(
図5参照)。なお、電極部材34は、Z方向に見て、X方向及びY方向に交差する斜め方向(後述するW方向)に沿って配置されている。
【0028】
図4には、湾曲部材36からD方向に離した状態の電極部材34が示されている。電極部材34は、D方向に見て、Z方向を長手方向とする矩形の板状に形成されている。以後の説明では、電極部材34の短手方向をW方向と称する。W方向は、電極部材34の幅方向であり、D方向及びZ方向と直交する方向である。なお、電極部材34のW方向の幅をW1とする。
【0029】
電極部材34は、一例として、ステンレス鋼製とされており、D方向に作用する外力によってD方向に変形可能となっている。電極部材34内のZ方向を長手方向とする矩形状の領域Sには、電極部材34をD方向に貫通した複数の孔の縁部で構成された格子状のグリッド部34Aが形成されている。グリッド部34AのZ方向の長さは、感光体32における図示しない潜像形成領域のZ方向の長さよりも長い。
【0030】
電極部材34の−Z側端部には、D方向に貫通された1箇所の取付孔34Bが形成されている。電極部材34のZ側端部には、D方向に貫通された2箇所の取付孔34Cが形成されている。−Z側の湾曲部材36は、電極部材34におけるグリッド部34Aと取付孔34Bとの間の部位に接触するように配置されている。Z側の湾曲部材36は、電極部材34におけるグリッド部34Aと取付孔34Cとの間の部位に接触するように配置されている。
【0031】
ここで、
図2に示すように、本実施形態では、一例として、シールド部材52と、ホルダ54と、チャージワイヤ22と、電極部材34とにより帯電ユニット30が形成されている。帯電ユニット30は、図示しないガイドレールに案内されることにより、筐体21(
図3参照)に対して、D方向に移動された後で、Z方向に沿って移動可能とされている。つまり、帯電ユニット30は、感光体32及び後述する湾曲部材36に対して離れる方向及び近づく方向に相対移動可能に設けられている。電極部材34のW方向の両端部は、シールド部材52と接触している。
【0032】
シールド部材52のW−D断面の形状は、感光体32側に開口したU字状に形成されている。また、シールド部材52は、W方向に対向する側壁53A及び側壁53Bと、Z方向に対向する図示しない奥壁(Z側)及び前壁(−Z側)とを有する。図示しない奥壁には、2本の引張バネ62(
図4参照)が設けられている。図示しない前壁には、一例として、Z−D面内において−Z側に向けて開口する断面U字状の1つのフック部材64(
図4参照)が設けられている。シールド部材52の内側は、2本のチャージワイヤ22の間に配置された仕切板56によって、小室58Aと小室58Bとに区分されている。小室58A、小室58Bには、それぞれチャージワイヤ22が1本ずつ配置されている。
【0033】
ここで、
図4に示すように、電極部材34は、1つの取付孔34Bの縁部にフック部材64が引掛けられ、2つの取付孔34Cの縁部に2本の引張バネ62が引掛けられることにより、シールド部材52(
図2参照)に取付けられ、Z方向に架設されている。
【0034】
図2に示すように、ホルダ54は、Z方向に長尺状のホルダ54Aと、Z方向に長尺状のホルダ54Bとを含んで構成されている。ホルダ54Aは、側壁53Aの外側に取付けられている。ホルダ54Bは、側壁53Bの外側に取付けられている。ホルダ54A及びホルダ54BのY側端部には、−X側、X側に向けて断面L字状に折り曲げられた被案内部55が形成されている。被案内部55は、筐体21(
図3参照)に設けられた図示しないガイドレールにより、Z方向及びD方向に案内されるようになっている。
【0035】
(湾曲部材)
図3に示すように、湾曲部材36は、一例として、Z方向を厚さ方向とする扇型状の板材で構成されており、側壁21Bの−Z側の面に接触して設けられている。なお、湾曲部材36は、筐体21の−Z側の図示しない側壁にも設けられているが、Z側と−Z側とで同様の構成である。このため、−Z側の湾曲部材36の説明は省略する。具体的には、湾曲部材36は、径方向の中心側の一部がベアリング38の外周に接触した状態で、側壁21Bの−Z側の面に接着により固定されている。なお、湾曲部材36は、電荷のリークを抑制する観点から、絶縁性の高い樹脂(一例としてガラス入難燃PBT(ポリブチレンテレフタレート)製)で構成されている。
【0036】
図2に示すように、湾曲部材36は、Z方向に見て、一例として、1/8円の扇型状に形成されている。また、湾曲部材36は、D方向における中心O側に形成された曲面42と、D方向における曲面42側(中心O側)とは反対側に形成された湾曲面44とを有する。曲面42は、中心O側に向けて開口する凹状の曲面でかつ中心Oからの半径r3(<r1)の曲面であり、ベアリング38の外周面に接触している。
【0037】
湾曲面44は、Z方向に見たときに、感光体32のD方向で外周面33よりも外側に配置されている。また、湾曲面44は、周方向の中央部が両端部よりもD方向の外側に向けて凸状に湾曲されている。中心Oから湾曲面44までの半径r2(r3<r1<r2)として、湾曲面44の曲率R2=1/r2である。外周面33と湾曲面44とのD方向の間隔dは、d=r2−r1となる。ここで、湾曲面44は、感光体32の周方向において間隔dのばらつきが小さくなるように形成されている。このように、湾曲部材36は、感光体32の外周面33に沿った湾曲面44を備えている。
【0038】
図4に示すように、湾曲部材36の湾曲面44を電極部材34にD方向に投影した状態(Z−W面内)において、湾曲面44のW方向の幅をW2とすると、W1<W2となっている。つまり、電極部材34の幅W1よりも湾曲面44の幅W2の方が大きい。
【0039】
〔作用〕
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0040】
図5に示すように、帯電ユニット30が感光体32及び湾曲部材36に対して離れる退避状態では、電極部材34と湾曲部材36(湾曲面44)とが接触しない。このため、電極部材34はZ方向に見て、W方向に沿った平板状となっている。
【0041】
続いて、
図2に示すように、電極部材の設置構造20において、帯電ユニット30を筐体21(
図3参照)に装着した装着状態では、湾曲面44にD方向の外側から電極部材34が接触する。これにより、電極部材34が湾曲部材36の湾曲面44に押し当てられ、電極部材34が感光体32の外周面33に沿って湾曲される。
【0042】
ここで、湾曲部材36は、電極部材34よりも感光体32の中心O側に設けられていることで、湾曲面44が感光体32の軸部32A(中心O)を基準として配置可能となっている。このため、電極部材34よりもチャージワイヤ22側に位置する湾曲部材で電極部材34を湾曲させる構成に比べて、電極部材34を感光体32の外周面33の曲率R1に合せて湾曲させ易くなる。これにより、電極部材34よりもチャージワイヤ22側に位置する湾曲部材で電極部材34を湾曲させる構成に比べて、電極部材34の湾曲形状の精度が上がるので、感光体32と電極部材34との間隔dの周方向のばらつきが抑制される。
【0043】
電極部材の設置構造20では、感光体32と電極部材34との間隔dの周方向のばらつきが抑制される。このため、
図1に示す画像形成装置10では、電極部材の設置構造20を有していない構成に比べて、感光体32の周方向の帯電量のばらつきが抑制されるので、現像装置24から感光体32に移動するトナーTの量のばらつきが減る。これにより、画像形成装置10では、電極部材の設置構造20を有していない構成に比べて、形成されたトナー像Gの濃度ムラが抑制されるので、定着装置26による定着後のトナー像Gの画像ムラが抑制される。
【0044】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る電極部材の設置構造及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0045】
図6には、第2実施形態の電極部材の設置構造70が示されている。電極部材の設置構造70は、第1実施形態の画像形成装置10(
図1参照)において、電極部材の設置構造20(
図1参照)に換えて設けられている。なお、画像形成装置10における電極部材の設置構造70以外の構成については、第1実施形態と同様である。
【0046】
電極部材の設置構造70は、筐体21(
図3参照)と、感光体32と、電極部材72と、湾曲部材36と、清掃部材の一例としてのクリーニングパッド74と、移動部材76とを有する。
【0047】
(電極部材)
電極部材72は、筐体21(
図3参照)への組付状態において、Z方向に見たときに、外周面33とチャージワイヤ22との間に配置されている。さらに、電極部材72は、湾曲面44に押し当てられて湾曲されている。電極部材72には、図示しない電源から電圧が印加されるようになっている。また、電極部材72は、後述する帯電ユニット80が感光体32及び湾曲部材36に対して離れる退避状態では、Z方向に見たときに、平板状となっている。
【0048】
図7には、湾曲部材36からD方向に離した状態の電極部材72が示されている。電極部材72は、D方向に見て、Z方向を長手方向とする板状に形成されている。また、電極部材72は、一例として、ステンレス鋼製とされており、D方向に作用する外力によってD方向に変形可能となっている。具体的には、電極部材72は、Z方向を長手方向とする矩形状の本体部82と、本体部82の−Z側の端部から−Z側に延びる被取付部84と、本体部82のZ側の端部からZ側に延びる第1延出部86及び第2延出部87と、を有する。
【0049】
本体部82は、感光体32の外周面33にD方向に対向して配置されている。本体部82のZ方向の長さは、感光体32の円筒部32BのZ方向の長さよりも短い。本体部82のW方向の幅はW3(>W2)とされている。本体部82の矩形状の領域Sには、既述のグリッド部34Aが形成されている。なお、本体部82のW方向におけるグリッド部34Aよりも両外側の部位を縁部82Aと称する。
【0050】
被取付部84は、D方向に見てZ方向を長手方向とする矩形状に形成されている。また、被取付部84のW方向の幅はW1とされている。さらに、被取付部84の−Z側(他方側)の端部には、D方向に貫通された1箇所の取付孔34Bが形成されている。取付孔34Bの縁部には、フック部材64が引掛けられている。
【0051】
第1延出部86は、本体部82におけるZ方向のZ側(一方側)の端部でかつW方向の両端部から、Z方向に沿ってZ側へ矩形状に延びている。つまり、第1延出部86は、一対形成されている。また、第1延出部86は、一例として、本体部82から遠い側(Z側)が本体部82側(−Z側)よりも感光体32から離れる側に位置するように傾斜された傾斜部86Aと、傾斜部86AのZ側からZ方向に延びる平坦部86Bとで構成されている。
【0052】
さらに、第1延出部86は、後述するクリーニングパッド74のW方向の両端部と接触する。なお、第1延出部86のW方向の幅W4は、後述する第2延出部87の幅W1と、本体部82の幅W3との差の半分よりも短くなっている。つまり、第1延出部86は、後述する第2延出部87とはW方向に隙間をあけて配置されている。また、第1延出部86は、湾曲部材36の湾曲面44とは接触しない。
【0053】
第2延出部87は、一対の第1延出部86に対するW方向の内側でかつ本体部82のZ側の端部からZ方向に沿ってZ側へ矩形状に延びている。第2延出部87のW方向の幅はW1とされている。また、第2延出部87のZ方向の長さは、第1延出部86のZ方向の長さよりも長い。ここで、第2延出部87は、後述するクリーニングパッド74のW方向の中央部と接触するが、クリーニングパッド74のW方向の両端部には接触しないように配置されている。
【0054】
また、第2延出部87は、湾曲部材36の湾曲面44と接触する。第2延出部87が湾曲面44と接触する状態において、第2延出部87のW方向中央部のD方向の高さは、第1延出部86の平坦部86BのD方向の高さとほぼ同じ高さとされている(
図6参照)。第2延出部87のZ側端部には、D方向に貫通された2箇所の取付孔34Cが形成されている。
【0055】
図6に示すように、本実施形態では、一例として、シールド部材92と、ホルダ94A及びホルダ94Bと、後述する移動部材76と、チャージワイヤ22と、電極部材72とが一体化されて帯電ユニット80を形成している。帯電ユニット80は、筐体21(
図3参照)に対して、Z方向に沿って、−Z側からZ側への装着及びZ側から−Z側への離脱が可能とされている。つまり、帯電ユニット80は、感光体32に対して相対移動可能に設けられている。
【0056】
シールド部材92のW−D断面の形状は、感光体32側に開口したU字状に形成されている。また、シールド部材92は、W方向に対向する側壁92A及び側壁92Bと、Z方向に対向する図示しない奥壁(Z側)及び前壁(−Z側)とを有する。図示しない奥壁には、既述の引張バネ62(
図7参照)が設けられている。図示しない前壁には、既述のフック部材64(
図7参照)が設けられている。シールド部材92の内側は、仕切板56によって小室58Aと小室58Bとに区分されている。小室58A、小室58Bには、それぞれチャージワイヤ22が1本ずつ配置されている。
【0057】
ここで、
図7に示すように、電極部材72は、取付孔34Bの縁部にフック部材64が引掛けられ、取付孔34Cの縁部に引張バネ62が引掛けられることにより、シールド部材92(
図6参照)に取付けられ、Z方向に架設されている。
【0058】
図6に示す側壁92Aの外側でかつZ方向両端部(後述する移動部材76と接触しない部位)には、ホルダ94Aが設けられている。側壁92Bの外側でかつZ方向両端部(後述する移動部材76と接触しない部位)には、ホルダ94Bが設けられている。ホルダ94A及びホルダ94BのY側端部には、−X側、X側に向けて断面L字状に折り曲げられた被案内部95が形成されている。被案内部95は、筐体21(
図3参照)に設けられた図示しないガイドレールによりZ方向及びD方向に案内されるようになっている。
【0059】
(湾曲部材)
図7に示すように、−Z側の湾曲部材36は、電極部材72におけるグリッド部34Aと取付孔34Bとの間の部位に接触可能に配置されている。Z側の湾曲部材36は、電極部材72におけるグリッド部34Aと取付孔34Cとの間の部位に接触可能に配置されている。また、第2実施形態の湾曲部材36は、W方向の幅W2が第2延出部87のW方向の幅W1以上でかつ本体部82のW方向の幅W3よりも短い幅とされており、被取付部84及び第2延出部87と接触するように配置されている。
【0060】
(クリーニングパッド)
図6に示すクリーニングパッド74は、一例として、発泡性の樹脂材料であるポリウレタンを含んで構成されている。また、クリーニングパッド74は、W方向に長くZ方向に短い直方体状に形成されている。さらに、クリーニングパッド74は、電極部材72のD方向におけるチャージワイヤ22側の面と接触して、この面を清掃する構成とされている。
【0061】
(移動部材)
移動部材76は、W方向に対向する側壁76A及び側壁76Bと、側壁76A及び側壁76Bに固定された支持部の一例としての支持壁76Cと、側壁76A及び側壁76Bに形成された端部接触部76Dとを備えている。また、移動部材76のY側には、Z方向を軸方向とし、外周面に雄ネジが形成されたリードシャフト98が設けられている。リードシャフト98のZ方向両端部は、図示しないベアリングにより回転可能に支持されている。また、リードシャフト98は、図示しないモータにより回転される。
【0062】
側壁76A及び側壁76Bは、一対の板材で構成されている。側壁76A及び側壁76BのZ方向の長さは、クリーニングパッド74のZ方向の長さよりも長い。また、側壁76A及び側壁76BのD方向の高さは、シールド部材92の側壁92A及び側壁92BのD方向の高さよりも高い。さらに、側壁76A及び側壁76Bは、側壁92A及び側壁92BをW方向の外側から挟んだ状態で配置されている。なお、側壁76A及び側壁76Bは、シールド部材92に対してZ方向に相対移動可能とされている。
【0063】
支持壁76Cは、W方向に沿った板状に形成されている。支持壁76CのZ方向の長さは、クリーニングパッド74のZ方向の長さよりも長い。支持壁76CのW方向の一端部は、側壁76Aにおける側壁92AよりもD方向の下側の部位に固定されている。支持壁76CのW方向の他端部は、側壁76Bにおける側壁92BよりもD方向の下側の部位に固定されている。つまり、支持壁76Cは、側壁76Aと側壁76Bとの間に架設されている。支持壁76Cの電極部材72側の面には、クリーニングパッド74が、一例として接着により固定されている。言い換えると、支持壁76Cは、クリーニングパッド74を支持している。
【0064】
端部接触部76Dは、側壁76A及び側壁76BのD方向における感光体32側の端部(下端部)から、W方向に沿って内側に向けて突出された一対の板状部である。また、端部接触部76DのW方向の突出幅は、一例として、第1延出部86(
図7参照)には接触するが、第2延出部87には接触しない幅とされている。
【0065】
ここで、側壁76AのD方向の上端部と、側壁76BのD方向の上端部とは、W方向に沿った上壁部76Eを介して一体化されている。上壁部76EのW方向の中央部には、Z方向を軸方向とする円筒部76Fが形成されている。円筒部76Fの内周面には、雌ネジが形成されている。そして、この雌ネジとリードシャフト98の雄ネジとが噛み合っている。つまり、リードシャフト98が図示しないモータにより順方向又は逆方向に回転されることにより、移動部材76及びクリーニングパッド74が、Z方向のZ側又は−Z側に移動するようになっている。
【0066】
なお、
図6は、移動部材76及びクリーニングパッド74が、グリッド部34AからZ方向に離れた位置Z1(
図7参照)に配置された待機状態を示している。この待機状態では、端部接触部76Dは、電極部材72のW方向の両端部となる平坦部86Bに感光体32側から接触しており、平坦部86Bを支持している。言い換えると、端部接触部76Dは、電極部材72のW方向の両端部を湾曲面44から離している。
【0067】
図8は、移動部材76及びクリーニングパッド74が、グリッド部34Aと接触する位置Z2(
図7参照)に配置された清掃状態を示している。この清掃状態では、端部接触部76Dは、電極部材72のW方向の両端部となる縁部82Aに感光体32側から接触しており、縁部82Aを支持している。
【0068】
〔作用〕
第2実施形態の作用を説明する。なお、第1実施形態と同様の作用については、説明を省略する。
【0069】
図6に示すように、帯電ユニット80を筐体21(
図3参照)に装着した装着状態でかつクリーニングパッド74による電極部材72の清掃が行われないときには、移動部材76及びクリーニングパッド74は、位置Z1(
図7参照)に位置する。そして、電極部材72は、湾曲面44にD方向の外側から接触する。これにより、電極部材72が湾曲面44に押し当てられ、電極部材72が感光体32の外周面33に沿って湾曲される。
【0070】
位置Z1では、第2延出部87は湾曲面44と接触して湾曲されるが、第1延出部86は端部接触部76Dに支持されることで湾曲面44とは離れているため、湾曲されない。なお、第1延出部86と第2延出部87とは、W方向に離れている(縁切りされている)ため、第1延出部86が湾曲されなくても、第2延出部87の湾曲状態には影響しない。
【0071】
ここで、電極部材の設置構造70では、湾曲部材36を用いることにより、電極部材72よりもチャージワイヤ22側に位置する湾曲部材で電極部材72を湾曲させる構成に比べて、電極部材72の湾曲形状の精度が上がる。このため、感光体32と電極部材72との間隔dの周方向のばらつきが抑制される。
【0072】
次に、
図7に示すように、クリーニングパッド74による電極部材72の清掃を行うときには、移動部材76は、クリーニングパッド74とグリッド部34Aとを接触させた状態で、位置Z1から−Z側に位置する。なお、
図7では、一例として、移動部材76及びクリーニングパッド74が、グリッド部34Aと対向する位置Z2に移動した状態が示されている。
【0073】
ここで、移動部材76が位置Z1から位置Z2へ移動するときに、端部接触部76D(
図6参照)は、D方向の高さ位置がほとんど変わらない。このため、端部接触部76Dは、Z方向への移動に伴い傾斜部86A及び縁部82Aと接触して、傾斜部86A及び縁部82AをD方向のクリーニングパッド74側に持ち上げる。
【0074】
図8に示すように、縁部82Aがクリーニングパッド74側に持ち上げられることにより、電極部材72は、W方向に沿った平坦な状態となる。そして、クリーニングパッド74は、平坦な状態となった電極部材72のグリッド部34Aを清掃する。このように、電極部材の設置構造70では、平坦な状態となった電極部材72と平坦なクリーニングパッド74とが接触する。これにより、電極部材72を湾曲させたまま電極部材72を清掃する構成に比べて、電極部材72とクリーニングパッド74との接触面積が広くなるので、クリーニングパッド74による電極部材72の清掃能力が高まる。
【0075】
電極部材の設置構造70では、
図6に示すように、電極部材72の清掃後に位置Z1(
図7参照)に移動部材を移動させたときに、既述のように、第1延出部86及び第2延出部87がW方向に縁切りされている。このため、クリーニングパッド74のW方向の両端部を平坦部86Bで支持した状態であっても、電極部材72のグリッド部34A(
図7参照)が平坦な状態から湾曲状態に復帰する。これにより、電極部材72のW方向の幅がZ方向に同じ構成に比べて、電極部材72のグリッド部34Aには、電極部材72を平坦な状態にさせようとする力が作用し難くなる。つまり、グリッド部34Aの状態が、外周面33に沿った湾曲状態となり、感光体32と電極部材72との間隔dの周方向のばらつきが抑制される。
【0076】
電極部材の設置構造70では、感光体32と電極部材72との間隔dの周方向のばらつきが抑制される。このため、
図1に示す画像形成装置10では、電極部材の設置構造70を有していない構成に比べて、感光体32の周方向の帯電量のばらつきが抑制されるので、現像装置24から感光体32に移動するトナーTの量のばらつきが減る。これにより、画像形成装置10では、電極部材の設置構造70を有していない構成に比べて、形成されたトナー像Gの濃度ムラが抑制されるので、定着装置26による定着後のトナー像Gの画像ムラが抑制される。
【0077】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。
【0078】
画像形成装置10は、1つの感光体32と1つの現像装置24とで現像を行う構成のものに限らず、1つの感光体32と1つの現像部とで現像を行うユニットが、用紙Pの搬送方向に複数並んだ構成であってもよい。
【0079】
電極部材の設置構造20において、クリーニングパッド74及び移動部材76を設けてもよい。
【0080】
支持壁76Cは、側壁76A及び側壁76Bに固定するものに限らない。例えば、移動部材76のZ側及び−Z側に縦壁を形成して、この縦壁に支持壁76Cを固定してもよい。
【0081】
端部接触部76Dは、断面L字状のものに限らず、例えば、電極部材72と接触する部位の形状が、直線状ではなく湾曲状とされたものであってもよい。