(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
電子キャッシュレジスタは、店舗の各売上げを金額で入力し、一連の売上げを登録してレシートを発行するものである。本実施形態の電子キャッシュレジスタは、売上登録の際に顧客を特定すると共に、電子レシートか紙レシートまたはその両方を出力するかを、店員(操作者)に選択させる。店員によって電子レシートと紙レシートの両方が選ばれた際に、電子キャッシュレジスタは、紙レシートに「電子レシート発行済み」の旨の情報を付加して出力する。これにより、紙レシートを確認するだけで、電子レシートを発行したか否かを容易に判定可能である。
【0012】
図1は、第1の実施形態における電子キャッシュレジスタ3を示す外観図である。
電子キャッシュレジスタ3は、ドロア35の上に筐体が配置されて構成される。なお、ドロア35は、電子キャッシュレジスタ3の筐体と分離して配置可能である。
この筐体の左側には印刷部36が配置され、その右側にはキーボード38、表示部37、モードスイッチ381が配置されている。なお、プリンタカバー361は、普段は印刷部36を覆う位置に嵌められているが、
図1では印刷部36を示すために外している。
電子キャッシュレジスタ3の操作者(店員)は、キーボード38を介して商品の単価と部門とを入力し、小計を表示させたのちに預り金を入力することで、商品を登録することができる。この商品の登録時に、電子キャッシュレジスタ3は、ドロア35を引き出して、預り金を入金させる。
【0013】
図2は、電子キャッシュレジスタの概略を示す構成図である。
電子キャッシュレジスタ3は、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)331、記憶部332、電源34、ドロア35、印刷部36、表示部37、キーボード38、通信部39、メモリカードリーダ30、計時部301を含んで構成されており、各部はバスによって接続されている。電子キャッシュレジスタ3は更に、モードスイッチ381とバーコードリーダ382を備えている。なお図面では、モードスイッチ381のことを“モードSW”と記載している場合がある。
【0014】
CPU31は、ROM331や記憶部332などに記憶されている電子キャッシュレジスタ3に対応する各種アプリケーションプログラムの中から指定されたアプリケーションプログラムと、キーボード38から入力される各種指示とをRAM32内のワークメモリに展開する。CPU31は更に、この入力指示および入力データに応じてワークメモリに展開したアプリケーションプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM32内のワークメモリに格納すると共に、表示部37に表示する。そしてCPU31は、ワークメモリに格納した処理結果をキーボード38から指示されるRAM32内の保存先に保存する。CPU31は、会計データおよびこの会計データが外部装置に送信済であることを示す情報を併せて印刷部36に印刷させる印刷制御手段として機能する。
計時部301は、年月日および時刻を計時するものである。計時部301が計時した年月日と時刻は、例えばレシートへの印字などに用いられる。
【0015】
キーボード38は、部門キー、現/預キー、クリアキー等を含む各種機能キーおよび数字入力キー等を備え、各キーで押下された押下信号をCPU31に出力する。キーボード38は、後記する
図3で詳細に説明する。
なお、キーボード38に限らず、入力指示ができるものであればどのようなものでもよい。キーボード38の代わりに、タッチパネル(タッチスクリーン)のように入力ペンや指先等により指示された座標を感知し、電磁誘電方式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理で指示された位置座標を検出するようにしてもよい。
モードスイッチ381は、電子キャッシュレジスタ3の動作モードを決定するスイッチであり、後記する
図4で詳細に説明する。
【0016】
電源34は、例えば商用交流電源を直流に変換する直流電源回路であり、直流電源を電子キャッシュレジスタ3の各部に供給する。
ドロア35は、硬貨や紙幣などの現金を収納する収納手段である。ドロア35は、この電子キャッシュレジスタ3の操作によって解錠と施錠が行われる。
【0017】
第1の実施形態の表示部37は、例えば7セグメントの液晶表示素子または発光素子等により構成され、数字や簡易的なアルファベット表示に対応している。電子キャッシュレジスタ3は、CPU31から入力される表示データに基づく信号を生成して、表示部37に各種表示を行う。
【0018】
印刷部36は、例えば熱転写プリンタであり、CPU31の指示により、レシート情報をロールペーパ(レシート用紙)に印字して出力する。
【0019】
記憶部332は磁気的、光学的記憶媒体、または半導体メモリなどの書換え可能な記憶媒体で構成されている。この記憶部332は、システムプログラムおよび、このシステムに対応する各種アプリケーションプログラム、これらプログラムによって処理されたデータ等を記憶する。
【0020】
通信部39は、例えばBluetooth(登録商標)Low Energy(以下、“BLE”と記載する。)等に対応した通信手段であり、スマートフォン2と相互に通信可能である。通信部39は、顧客を特定したとき、この顧客に係る会計データをスマートフォン2に送信する通信手段として機能する。
電子キャッシュレジスタ3のCPU31は、電子レシートをスマートフォン2等の情報端末に送信し、かつ印刷部36によってレシート情報をロールペーパ(レシート用紙)に印字して出力する際には、紙レシートに「電子レシート発行済み」の旨の情報を付加して出力する。これにより店舗の顧客は、紙レシートを閲覧するのみで、電子レシートが同時に発行されていることが判別可能である。
【0021】
メモリカードリーダ30は、メモリカード4が挿抜可能であり、挿入されているメモリカード4との間で所望のファイルを読み書き可能である。メモリカードリーダ30は、売上データをメモリカード4(外部記憶媒体)に記憶させる記憶制御手段である。
バーコードリーダ382は、二次元バーコードを光学的に読み取って、エンコードされている情報を取得する。二次元バーコードは、顧客の会員カードに印刷されていたり、スマートフォン2上の会員専用アプリケーションの画面(不図示)に表示される。バーコードリーダ382は、顧客を示すコード情報を二次元バーコードから光学的に読み取ることで、顧客を特定する特定手段として機能する。
【0022】
また、記憶部332に記憶するプログラム、データ等は、その一部または全部をサーバやクライアント等の他の機器からネットワーク回線等の伝送媒体を介して受信して記憶する構成にしてもよい。更に記憶部332は、ネットワーク上に構築されたサーバの記録媒体であってもよい。更に、各プログラムは、ネットワーク回線等の伝送媒体を介してサーバやクライアントへ伝送してこれらの機器にインストールするように構成してもよい。
【0023】
図3は、電子キャッシュレジスタ3のキーボード38の配列図である。
キーボード38は、電子レシートキー61、紙レシートキー62、テンキー63、部門キー64、小計キー65、現/預キー66などを含んで構成される。なお、これらキーのうち、電子レシートキー61と紙レシートキー62には、LED(Light Emitting Diode)素子が組み込まれており、自らの状態を点灯と消灯とで表示している。
【0024】
電子レシートキー61は、電子レシートを発行するか否かを切り替えるトグルキーである。電子レシートを発行する場合、電子レシートキー61のLED素子が点灯するように制御される。電子レシートを発行しない場合、電子レシートキー61のLED素子は消灯するように制御される。
【0025】
紙レシートキー62は、紙レシートを出力(発行)するか否かを切り替えるトグルキーである。紙レシートを出力(発行)する場合、紙レシートキー62のLED素子が点灯するように制御される。紙レシートを出力(発行)しない場合、紙レシートキー62のLED素子は消灯するように制御される。
なお、初期状態において電子レシートキー61は消灯しており、紙レシートキー62は点灯している。このとき店員が売上登録を完了すると、紙レシートのみが発行される。
【0026】
初期状態において電子レシートキー61を押下すると、トグル動作により電子レシートキー61が点灯し、紙レシートと電子レシートの両方が発行されるようになる。
同様に、初期状態において紙レシートキー62を押下すると、トグル動作により紙レシートキー62が消灯する。このとき、紙レシートと電子レシートのどちらも発行されなくなることを防ぐため、電子レシートキー61が点灯して、電子レシートのみが発行される状態となる。
【0027】
また、電子レシートキー61のみが点灯しているときに、電子レシートキー61を押下すると、トグル動作により電子レシートキー61が消灯する。このとき、紙レシートと電子レシートのどちらも発行されなくなることを防ぐため、紙レシートキー62が点灯して、紙レシートのみが発行される状態となる。
【0028】
テンキー63は、数字を入力するときに押下するキーである。部門キー64は、個々の商品を登録するときに押下するキーである。
小計キー65は、登録金額の合計を見るときに押下するキーである。現/預キー66は、登録の完了および預かり金のときに押下するキーである。
【0029】
図4は、売上登録からレシート発行までの一連の動作を示すシーケンス図である。
店舗の顧客が、店員に対して購買の意志を示すことにより、
図4のシーケンス図が開始する。なお、
図4においては、紙レシート及び電子レシートを両方発行する場合について説明をする。
【0030】
店員が電子キャッシュレジスタ3に対して売上登録を行い(ステップS10)、紙レシートキー62を押下することにより、紙レシートの発行が必要であるか不要であるかを選択する(ステップS11)。また、電子レシートキー61を押下することにより、電子レシートの発行が必要であるか不要であるかを選択する(ステップS12)。店員は、電子レシートの発行が必要である場合に、顧客に対して顧客識別情報の提示を求める。顧客は、スマートフォン2の表示装置上に顧客識別情報を含むバーコードを表示させる(ステップS13)。この顧客識別情報は、顧客のスマートフォンを特定する情報であり、顧客識別情報を読み取ることにより、この顧客のスマートフォンに電子レシートを送信することができる。
【0031】
店員は、バーコードリーダ382によってバーコードを読み取り(ステップS14)、このバーコードから読み取った顧客識別情報を記憶する(ステップS15)。
なお、スマートフォン2は、表示装置上に顧客識別情報を含むバーコードを表示させると共に、電子レシートの受信待ち状態となる。
【0032】
次いで店員は、売上登録が終了しているので、現/預キー66を押下する。これにより、電子キャッシュレジスタ3は、記憶した顧客識別情報に基づいて顧客のスマートフォン2を特定し、特定されたスマートフォン2に対して電子レシートをスマートフォン2に送信する(ステップS17)。なお、読み取った顧客識別情報から対応する顧客のスマートフォン2を特定する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予めこれらが対応付けて登録された登録情報を参照することにより、特定を行う方法がある。スマートフォン2は、電子レシートを受信した旨を電子キャッシュレジスタ3に応答する(ステップS18)。
【0033】
次いで電子キャッシュレジスタ3は、紙レシートを印字する(ステップS19)。スマートフォン2は、ステップS17で受信した電子レシートを家計簿(不図示)に反映させる(ステップS20)。
【0034】
図5は、売上登録処理を示すフローチャートである。この売上登録処理は、
図4のステップS10で実行される。
店舗の顧客が、店員に対して購買の意志を示すことにより、
図5の売上登録処理が開始する。
CPU31は、操作者である店員からの操作入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30において、CPU31は、小計キー65が押下されたならば、小計処理を実行して(ステップS31)、ステップS30の処理に戻る。
【0035】
ステップS30において、CPU31は、店員によって電子レシートキー61が押下されたならば、電子レシートの発行の要否を切り替え(ステップS32)、ステップS30の処理に戻る。つまり、電子レシートキー61が点灯状態であれば、電子レシートキー61の押下によりLED素子が消灯する。電子レシートキー61が消灯状態であれば、電子レシートキー61の押下によりLED素子が点灯する。
【0036】
ステップS30において、CPU31は、店員によって紙レシートキー62が押下されたならば、紙レシートの発行または出力の要否を切り替え(ステップS33)、ステップS30の処理に戻る。つまり、つまり、紙レシートキー62が点灯状態であれば、紙レシートキー62の押下によりLED素子が消灯する。紙レシートキー62が消灯状態であれば、紙レシートキー62の押下によりLED素子が点灯する。
ステップS30において、CPU31は、バーコードリーダ382によって顧客のバーコードが読み取られたならば(ステップS34)、このバーコードに含まれた顧客識別情報を記憶して(ステップS35)、ステップS30の処理に戻る。
【0037】
ステップS30において、CPU31は、店員によって現/預キー66が押下されたならば、会計処理を行い(ステップS36)、ステップS37以降のレシート発行を行う。
CPU31は、紙レシートキー62が点灯状態かつ電子レシートキー61が消灯状態であり、よって電子レシートの発行が不要ならば(ステップS37→No)、紙レシートを印刷して(ステップS38)、
図5の処理を終了する。
【0038】
CPU31は、電子レシートキー61が点灯状態であり、よって電子レシートの発行が必要であれば(ステップS37→Yes)、顧客を特定しているか否かを判定する(ステップS39)。具体的には、ステップS35で記憶した顧客識別情報に基づいて顧客を特定できるか否かを判定する。CPU31は、顧客を特定できないならば(ステップS39→No)、電子レシート会員登録情報が入った紙レシートを印刷して(ステップS40)、
図5の処理を終了する。ステップS40で印刷された紙レシートの例を、後記する
図7に示す。
【0039】
なお、ステップS39で顧客が特定できない場合には、ステップS35で顧客識別情報の記憶を行っていない場合も含まれる。これを利用することで、店員は顧客に会員登録を容易に促すことができる。例えば、電子レシートの発行を希望しているが、電子レシート会員ではない顧客であった場合に、店員は電子レシートキー61を点灯状態にさせながら、ステップS34におけるバーコードの読み取りを行わず会計に進むことで、ステップS40において電子レシート会員登録情報が入った紙レシートを印刷することができる。
【0040】
CPU31は、ステップS34,S35の処理によって顧客識別情報を記憶し、この顧客を特定していたならば(ステップS39→Yes)、記憶した顧客識別情報に基づいて顧客のスマートフォン2を特定し、特定されたスマートフォン2に対して電子レシートを送信する(ステップS41)。更にCPU31は、紙レシートの出力が必要であるか否かを判定する(ステップS42)。CPU31は、紙レシートの出力が必要ならば(ステップS42→Yes)、「電子レシート発行済み」の旨を含んだ紙レシートを印刷部36に印刷させて(ステップS43)、
図5の処理を終了する。ステップS43で印刷された紙レシートの例を、後記する
図6に示す。
なお、変形例のステップS43で、会計データ、会計データが送信済であることを示す情報、および領収書としては無効であることを示すウォーターマークが印刷された紙レシートの例を、後記する
図8に示す。
【0041】
CPU31は、紙レシートキー62が消灯状態であり、よって紙レシートの出力が不要ならば(ステップS42→No)、そのまま
図5の処理を終了する。
【0042】
図6は、電子レシートが同時発行されたときの紙レシート7aを示す図である。
この紙レシート7aは、
図5のステップS43の処理において印刷される。この紙レシート7aは、タイトル71と、レシート領域72と、コメント領域73とを含んでいる。
タイトル71は、「御計算書」と印字されており、この紙レシート7aに印刷されている情報を示している。レシート領域72は、このレシート情報に係る年月日と時刻、部門コードと点数と金額、小計額と内税と合計と現計とおつりが印字されている。なお、印字される年月日と時刻は計時部301(
図2参照)から取得される。
【0043】
更にこのレシート領域72の下側には、コメント領域73が配置されている。コメント領域73は、「電子レシートは同時発行されています。」の文言が印字されている。これにより顧客や店員は、この紙レシートは、電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることを容易に判定可能である。
【0044】
図7は、顧客が特定できなかったときの紙レシート7bを示す図である。
この紙レシート7bは、
図5のステップS40の処理において印刷される。ステップS40の処理が実行されるのは、電子レシートが必要かつ顧客が特定できなかった場合である。このとき、もっとも効率よく会員に勧誘できるため、電子キャッシュレジスタ3は、電子レシートに会員登録情報を印刷する。この紙レシート7bは、タイトル71と、レシート領域72と、コメント領域74と、二次元コード領域75とを含んでいる。
【0045】
タイトル71とレシート領域72は、
図6に示した紙レシート7aと同様である。コメント領域74は、「当店の会員登録はこちらにアクセス。」が印字され、更にその下には二次元コード領域75に、二次元コードが印字されている。二次元コード領域75は、会員登録用Webページのリンク情報を含んだ二次元コードが印字されている。これにより顧客は、当該店舗の会員登録方法に関する情報を得ることができる。
【0046】
第1の実施形態において、紙レシート7aには「電子レシートは同時発行されています。」の文言が印刷されている。これにより第3者は、紙レシート7aが領収書としては使用できないことを判定可能である。しかし、「電子レシートは同時発行されています。」の文言の印刷領域が千切られたならば、紙レシート7aは、領収書として悪用されるおそれがある。第1の実施形態の変形例は、このような事態を防ぐためのものである。
【0047】
図8は、第1の実施形態の変形例において電子レシートが同時発行されたときの紙レシート7eを示す図である。
この紙レシート7eは、
図6に示した紙レシート7aと同様に、タイトル71と、レシート領域72と、コメント領域73とを含んでおり、更にウォーターマーク78が薄い灰色で印刷されている。
ここでウォーターマーク78は、レシート領域72に重なるように“VOID”と斜めに印刷されている。つまりCPU31(制御手段)は、この紙レシート7eが領収書としては無効であることを示す情報としてウォーターマーク78をレシート領域72(会計データ)に重ねて印刷させている。このウォーターマーク78によっても、紙レシート7eは、領収書として無効であることが示される。これにより顧客や店員は、この紙レシート7eが電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることを容易に判定可能である。
また、例え紙レシート7eのコメント領域73が千切られたとしても、この紙レシート7eは、ウォーターマーク78により領収書として無効であることが示される。顧客や店員は、この紙レシート7eが電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることを容易に判定可能である。
【0048】
図9は、第2の実施形態における電子キャッシュレジスタ3Aの外観図である。
電子キャッシュレジスタ3Aは、ドロア(不図示)とは分離されて構成される。なお、ドロアは、電子キャッシュレジスタ3Aと電気的に接続可能である。
この筐体の左側には印刷部36と顧客用ディスプレイ372とが配置され、その右側にはタッチパネルディスプレイ371が配置されている。
【0049】
電子キャッシュレジスタ3Aの操作者(店員)は、タッチパネルディスプレイ371上のソフトウェアボタンを介して商品の単価と部門とを入力し、小計を表示させたのちに預り金を入力することで、商品を登録することができる。この商品の登録時に、電子キャッシュレジスタ3Aは、不図示のドロアを引き出して、預り金を入金させる。
【0050】
図10は、第2の実施形態における電子キャッシュレジスタ3Aの概略を示す構成図である。
電子キャッシュレジスタ3Aは、CPU31、RAM32、ROM331、記憶部332、電源34、印刷部36、タッチパネルディスプレイ371、顧客用ディスプレイ372、バーコードリーダ382、通信部39A、メモリカードリーダ30を含んで構成されており、各部はバスによって接続されている。電子キャッシュレジスタ3Aは、第1の実施形態とは異なり、モードスイッチを備えていない。
【0051】
CPU31は、ROM331や記憶部332などに記憶されている電子キャッシュレジスタ3Aに対応する各種アプリケーションプログラムの中から指定されたアプリケーションプログラムと、タッチパネルディスプレイ371から入力される各種指示とをRAM32内のワークメモリに展開する。CPU31は更に、この入力指示および入力データに応じてワークメモリに展開したアプリケーションプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM32内のワークメモリに格納すると共に、タッチパネルディスプレイ371に表示する。そしてCPU31は、ワークメモリに格納した処理結果をタッチパネルディスプレイ371から指示されるRAM32内の保存先に保存する。
【0052】
タッチパネルディスプレイ371は、入力ペンや指先等により指示された座標を感知し、電磁誘電方式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理で指示された位置座標を検出して、位置信号をCPU31に出力する。
【0053】
電源34は、例えば商用交流電源を直流に変換する直流電源回路であり、直流電源を電子キャッシュレジスタ3Aの各部に供給する。
【0054】
顧客用ディスプレイ372は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイにより構成され、数字や文字や図面の表示に対応している。電子キャッシュレジスタ3Aは、CPU31から入力される表示データに基づく信号を生成して、顧客用ディスプレイ372に各種表示を行う。
【0055】
印刷部36は、例えば熱転写プリンタであり、レシート情報をロールペーパ(レシート用紙)に印字して出力する。この印刷部36は、CPU31の指示により、レシート用紙に精算レポートや点検レポートを印字する。
【0056】
記憶部332は磁気的、光学的記憶媒体、または半導体メモリなどの書換え可能な記憶媒体で構成されている。この記憶部332は、システムプログラムおよび、このシステムに対応する各種アプリケーションプログラム、これらプログラムによって処理されたデータ等を記憶する。
【0057】
通信部39Aは、例えばWiFi(登録商標)等に対応した通信手段であり、インターネットを介してサーバ装置1(
図10参照)と相互に通信可能である。
電子キャッシュレジスタ3AのCPU31は、通信部39Aによって電子レシートをサーバ装置1に送信する。このサーバ装置1は、電子レシートを蓄積する。これにより店舗の顧客は、事後的に電子レシートを参照可能である。
CPU31は、印刷部36によってレシート情報をロールペーパ(レシート用紙)に印字して出力する際に、紙レシートに「電子レシート発行済み」の旨の情報と、電子レシートのリンク情報を付加して出力する。これにより店舗の顧客は、紙レシートを閲覧するのみで、電子レシートが同時に発行されていることが判別可能であり、更に紙レシートに対応した電子レシートを容易に得ることができる。
【0058】
メモリカードリーダ30は、メモリカード4が挿抜可能であり、挿入されているメモリカード4との間で所望のファイルを読み書き可能である。
バーコードリーダ382は、二次元バーコードを光学的に読み取って、エンコードされている情報を取得する。二次元バーコードは、顧客の会員カードに印刷されていたり、スマートフォン2上の会員専用アプリケーションの画面に表示される。バーコードリーダ382は、顧客を示すコード情報を二次元バーコードから光学的に読み取ることで、顧客を特定する特定手段として機能する。
【0059】
また、記憶部332に記憶するプログラム、データ等は、その一部または全部をサーバやクライアント等の他の機器からネットワーク回線等の伝送媒体を介して受信して記憶する構成にしてもよい。更に記憶部332は、ネットワーク上に構築されたサーバの記録媒体であってもよい。更に、各プログラムは、ネットワーク回線等の伝送媒体を介してサーバやクライアントへ伝送してこれらの機器にインストールするように構成してもよい。
【0060】
図11は、売上登録およびレシート発行後に家計簿に登録するまでの一連の動作を示すシーケンス図である。
店舗の顧客が、店員に対して購買の意志を示すことにより、
図11のシーケンス図が開始する。
【0061】
店員が電子キャッシュレジスタ3Aに対して売上登録を行い(ステップS50)、タッチパネルディスプレイ371上の紙レシートキーを押下し(ステップS51)、電子レシートキーを押下する(ステップS52)。店員は、電子レシートキーを押下すると共に、顧客に対して顧客識別情報の提示を求める。顧客は、スマートフォン2の表示装置上に顧客識別情報を含むバーコードを表示させる(ステップS53)。店員は、バーコードリーダ382によってバーコードを読み取り(ステップS54)、このバーコードから読み取った情報を記憶する(ステップS55)。
【0062】
次いで店員は、売上登録が終了しているので、タッチパネルディスプレイ371上の現/預キーを押下する。これにより、電子キャッシュレジスタ3Aは、顧客識別情報と電子レシートをサーバ装置1に送信する(ステップS57)。サーバ装置1は、電子レシートを受信した旨を電子キャッシュレジスタ3Aに応答する(ステップS58)。このとき、サーバ装置1は、顧客識別情報に基づいて電子レシートを記憶する。
【0063】
次いで電子キャッシュレジスタ3Aは、電子レシートのリンク情報を含んだ紙レシートを印字する(ステップS59)。
その後、顧客は、スマートフォン2を用いて紙レシートを撮影する(ステップS70)。スマートフォン2は、電子レシートのリンク情報を得て、この電子レシートのリンク情報と顧客識別情報に基づき、サーバ装置1に電子レシートを要求する(ステップS71)。サーバ装置1は、要求された電子レシートをスマートフォン2に応答する。これによりスマートフォン2は、電子レシートを容易に得ることができる。電子レシートのリンク情報と顧客識別情報の組合せによって、はじめて電子レシートを取得することができるので、この紙レシートが他者の手に渡っただけでは、この他者は電子レシートを取得することができない。
【0064】
スマートフォン2は、この電子レシートを家計簿に反映し(ステップS73)、
図11の処理を終了する。紙レシートを撮影し、OCR(Optical Character Recognition)によって印字されたデータを認識すると、所定割合の認識エラーが発生する。これに対して、電子レシートのリンク情報を取得する方法ならば、正確なレシート情報を得ることができる。
【0065】
図12は、売上登録処理を示すフローチャートである。
店舗の顧客が、店員に対して購買の意志を示すことにより、
図12の売上登録処理が開始する。
CPU31は、操作者である店員からの操作入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS80)。ステップS80において、CPU31は、タッチパネルディスプレイ371上の小計キーがタップされたならば、小計処理を実行して(ステップS81)、ステップS80の処理に戻る。
【0066】
ステップS80において、CPU31は、タッチパネルディスプレイ371上の電子レシートキーが店員によってタップされたならば、この電子レシートキーのオンとオフを切り替え(ステップS82)、ステップS80の処理に戻る。
【0067】
ステップS80において、CPU31は、タッチパネルディスプレイ371上の紙レシートキーが店員によってタップされたならば、この紙レシートキーのオンとオフを切り替え(ステップS83)、ステップS80の処理に戻る。
ステップS80において、CPU31は、バーコードリーダ382によって顧客のバーコードが読み取られたならば(ステップS84)、このバーコードに含まれた顧客識別情報を記憶して(ステップS85)、ステップS80の処理に戻る。
【0068】
ステップS80において、CPU31は、タッチパネルディスプレイ371上の現/預キーが店員によってタップされたならば、会計処理を行い(ステップS86)、ステップS87以降のレシート発行を行う。
CPU31は、電子レシートキーがオフ状態であり、よって電子レシートの発行が不要ならば(ステップS87→No)、紙レシートを印刷して(ステップS88)、
図12の処理を終了する。
【0069】
CPU31は、電子レシートキーがオン状態であり、よって電子レシートの発行が必要であれば(ステップS87→Yes)、顧客を特定しているか否かを判定する(ステップS89)。具体的には、ステップS85で記憶した顧客識別情報に基づいて顧客を特定できるか否かを判定する。CPU31は、顧客を特定できないならば(ステップS89→No)、電子レシート会員登録情報が入った紙レシートを印刷して(ステップS90)、
図12の処理を終了する。ステップS90で印刷された紙レシートの例を、後記する
図14に示す。
【0070】
なお、ステップS89で顧客が特定できない場合には、ステップS85で顧客識別情報の記憶を行っていない場合も含まれる。これを利用することで、店員は顧客に会員登録を容易に促すことができる。例えば、電子レシートの発行を希望しているが、電子レシート会員ではない顧客であった場合に、店員は電子レシートキーをオン状態にさせながら、ステップS84におけるバーコードの読み取りを行わず会計に進むことで、ステップS90において電子レシート会員登録情報が入った紙レシートを印刷することができる。
【0071】
CPU31は、ステップS84,S85の処理によって顧客識別情報を記憶し、この顧客を特定していたならば(ステップS89→Yes)、サーバ装置1に対して顧客識別情報と電子レシートを送信し(ステップS91)、送信先の電子レシートのリンク情報を二次元コードに変換する(ステップS92)。
更にCPU31は、紙レシートキーがオン状態であり、よって紙レシートの出力が必要であるか否かを判定する(ステップS93)。CPU31は、紙レシートの出力が必要ならば(ステップS93→Yes)、「電子レシート発行済み」の旨と、電子レシートのリンク情報を含んだ紙レシートを印刷部36に印刷させて(ステップS94)、
図12の処理を終了する。ステップS94で印刷された紙レシートの例を、後記する
図13に示す。
なお、変形例のステップS94で、会計データのリンク情報、会計データ、会計データが送信済であることを示す情報、および領収書としては無効であることを示すウォーターマークが印刷された紙レシートの例を、後記する
図15に示す。
【0072】
CPU31は、紙レシートキーがオフ状態であり、よって紙レシートの出力が不要ならば(ステップS93→No)、そのまま
図12の処理を終了する。
【0073】
図13は、電子レシートが同時発行されたときの紙レシート7cを示す図である。
この紙レシート7cは、
図12のステップS94の処理において印刷される。この紙レシート7cは、タイトル71と、レシート領域72と、コメント領域76と、二次元コード領域77とを含んでいる。
タイトル71は、「御計算書」と印字されており、この紙レシート7cに印刷されている情報を示している。レシート領域72は、このレシート情報に係る年月日と時刻、部門コードと点数と金額、小計額と内税と合計と現計とおつりが印字されている。なお、印字される年月日と時刻は計時部301(
図10参照)から取得される。
【0074】
更にこのレシート領域72の下側には、コメント領域76と二次元コード領域77が配置されている。コメント領域76は、「電子レシートは同時発行されています。」の文言が印字されている。これにより顧客や店員は、この紙レシート7cは、電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることを容易に判定可能である。二次元コード領域77は、このレシートに対応した電子レシートのリンク情報を含んだ二次元コードが印字されている。これにより顧客は、この紙レシート7cに対応した電子レシートの情報を得ることができる。
【0075】
図14は、顧客が特定できなかったときの紙レシート7dを示す図である。
この紙レシート7dは、
図12のステップS90の処理において印刷される。この紙レシート7dは、
図7に示した紙レシート7bと同様である。
【0076】
第2の実施形態において、紙レシート7cには「電子レシートは同時発行されています。」の文言が印刷されている。これにより第3者は、紙レシート7cが領収書としては使用できないことを判定可能である。しかし、「電子レシートは同時発行されています。」の文言の印刷領域が千切られたならば、紙レシート7cは、領収書として悪用されるおそれがある。第2の実施形態の変形例は、このような事態を防ぐためのものである。
【0077】
図15は、第2の実施形態の変形例において電子レシートが同時発行されたときの紙レシート7fを示す図である。
この紙レシート7fは、
図13に示した紙レシート7cと同様に、タイトル71と、レシート領域72と、コメント領域76と、二次元コード領域77とを含んでおり、更にウォーターマーク78が薄い灰色で印刷されている。このウォーターマーク78は、
図8に示した第1の実施形態と同様に、レシート領域72に重なるように“VOID”と斜めに印刷されている。つまりCPU31(制御手段)は、この紙レシート7fが領収書としては無効であることを示す情報としてウォーターマーク78をレシート領域72(会計データ)に重ねて印刷させている。このウォーターマーク78によっても、紙レシート7fは、領収書として無効であることが示される。これにより顧客や店員は、この紙レシート7fが電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることを容易に判定可能である。
【0078】
また、例え紙レシート7fのコメント領域76が千切られたとしても、この紙レシート7fは、ウォーターマーク78により領収書として無効であることが示される。顧客や店員は、この紙レシート7fが電子レシートと同時に発行(出力)されたものであることをウォーターマーク78によって容易に判定可能である。
【0079】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(h)のようなものがある。
【0080】
(a) 紙レシートに印字される電子レシートのリンク情報は、QRコード(登録商標)または二次元コードに限定されず、任意のコード形式であってもよい。
(b) 紙レシートに電子レシート会員登録情報を印刷する場合は、電子レシートが必要かつ顧客が特定できなかった場合に限定されず、電子レシートが不要な場合に印刷してもよい。
(c) 紙レシートにコード化されて印字される情報は、電子レシートのリンク情報に限定されず、レシート情報自体であってもよい。
(d) 印刷部は、この電子キャッシュレジスタの筐体内に組み込まれていなくてもよく、外部の独立した印刷装置にレシートを印刷してもよい。
(e) 紙レシートのコメント領域に印字される文言は、電子レシートが発行されたことを示すものであれば、特に限定されるものではない。また、文言に限られず、電子レシートが発行されたことを示すための予め決められた文字、図形、記号等であってもよい。
(f) 紙レシートに印字されるウォーターマークは“VOID”という文字列に限定されるものではない。領収書として無効であることを示す情報であれば任意の文字列、図形、記号等であってよい。
(g) ウォーターマークが印字される領域は、レシート領域72に限定されない。少なくともレシート領域72に重なるようにウォーターマークが印字がされていれば、その他の領域にもウォーターマークが重ねて印字される構成としてもよい。
(h) 電子レシートが発行された際、紙レシートには領収書としては無効であることを示す情報が印刷されるが、この情報はウォーターマークに限定されない。レシート領域72と不可分に領収書として無効であることを示す情報が印刷されていればよい。具体的にいうと、レシート領域72を囲むように、小さな“VOID”の文字が繰り返し印刷されてもよい。また、レシート領域72の左右端に小さな“VOID”の文字が横向きに印刷されてもよい。
【0081】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
【0082】
《請求項1》
売上登録された商品の会計処理を行う処理手段と、
前記処理手段により会計処理が行われた際に、当該会計処理に係る会計データを所定の端末装置に送信するとともに、前記会計データおよび前記会計データが送信済であることを示す情報を併せて印刷部に印刷させる制御手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
《請求項2》
前記制御手段は、前記会計データ、前記会計データが送信済であることを示す情報、および領収書としては無効であることを示す情報を併せて前記印刷部に印刷させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
《請求項3》
前記制御手段は、前記領収書としては無効であることを示す情報としてウォーターマークを前記会計データに重ねて印刷させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の売上データ処理装置。
《請求項4》
前記会計処理に係る顧客を特定する特定手段、を更に備え、
前記制御手段は、前記特定手段により特定された顧客に対応付けられた携帯端末に前記会計データを送信する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の売上データ処理装置。
《請求項5》
前記特定手段は、前記会計処理が行われた際に各顧客を識別するコード情報を光学的に読み取ることにより当該会計処理に係る顧客を特定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置。
《請求項6》
前記制御手段は、外部サーバ装置に前記会計データを送信するとともに、送信した前記会計データのリンク情報、前記会計データおよび当該会計データが送信済であることを示す情報を併せて印刷させる、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の売上データ処理装置。
《請求項7》
売上登録された商品の会計処理が行われた際に、当該会計処理に係る会計データを所定の端末装置に送信するとともに、前記会計データおよび前記会計データが送信済であることを示す情報を併せて印刷する、
ことを特徴とする売上データ処理方法。
《請求項8》
コンピュータを、
売上登録された商品の会計処理を行う処理手段、
前記処理手段により会計処理が行われた際に、当該会計処理に係る会計データを所定の端末装置に送信するとともに、前記会計データおよび前記会計データが送信済であることを示す情報を併せて印刷部に印刷させる制御手段、
として機能させるための売上データ処理プログラム。