(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダッシュパネルには、前記車両の前後方向から見て、前記排気マニホールドの前記気筒列方向の前記他方側の端部よりも前記気筒列方向外方に、補機が取り付けられている、
請求項1に記載の車両用エンジン。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、第2実施形態以降では、第1実施形態と同様の構成には、図面に第1実施形態と同一符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置1の平面図を示し、
図2には、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置1の側面図を示し、
図3には、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置1の側面図であって一部を破断した図を示し、
図4には、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置1の底面図を示す。なお、
図1は、車両の排気系装置1を上方から見た図であるが、この図において左右方向が車両の前後方向を示し、左側が車両の前方向、右側が車両の後ろ方向を示す。また、この図において、上下方向が車両の車幅方向を示し、上側が車両の右方向、下側が車両の左方向を示す。
【0019】
これらの
図1〜
図4に示すように、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置1は、例えばディーゼルエンジンやHCCIガソリンエンジン等の圧縮自己着火形式のエンジン2に適用される。エンジン2は、シリンダブロック4と、シリンダブロック4の上部に取り付けられたシリンダヘッド6と、を有する。本実施形態において、エンジン2は、エンジンルーム102の内部で、図示しないクランクシャフトが車両100の車幅方向に沿うように配置され、吸気系がエンジン2の車両前方側に配置され、排気系がエンジン2の車両後方側に配置された、いわゆる前方吸気・後方排気のエンジンである。
【0020】
エンジン2の吸気側には、水冷インタークーラと一体となった吸気マニホールド8が取り付けられており、吸気マニホールド8の上流側には、吸気マニホールド8の上方で、エンジン2のクランクシャフトの方向に沿って、つまり本実施形態では車両100の車幅方向に沿って延びるスーパーチャージャ9が接続されている。スーパーチャージャ9の上流側にはEGRバルブ10が設けられている。EGRバルブ10は、エンジン2の車幅方向中央よりも左側に位置しており、より具体的には、車幅方向に関して、エンジン2の車幅方向左側の側面とほぼ同じ位置に位置する。EGRバルブ10が設けられた配管、スーパーチャージャ9、及び吸気マニホールド8を通る吸気の通路が、本実施形態における吸気通路11となっている。
【0021】
図5には、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置の斜視図を示す。この
図5及び前述の
図1〜
図4に示すように、エンジン2の排気側には、排気マニホールド12が取り付けられている。排気マニホールド12は、エンジン2の各シリンダ(本実施形態では4つのシリンダ)の排気ポート(図示せず)に接続される複数の排気管14と、排気管14を通る排気ガスが合流する混合管16とを有する。排気管14は、シリンダブロック4の排気ポートからそれぞれ車両100の後方に向かって延びるとともに、その下流側で車幅方向右側に湾曲しながら延び、ほぼ同じ水平面上で順次隣接する排気管14と合流しながら排気マニホールド12の右端で混合管16に接続されている。このような構造により、混合管16は、排気マニホールド12を上から見たとき、排気マニホールド12の車幅方向右側に配置され、また、エンジン2の車幅方向中央よりも右側に配置されている。混合管16は、上下方向に短く延びるとともに下面で開口している。混合管16には、排気浄化装置導入路17を介して本実施形態の排気系装置1が接続されている。
【0022】
排気浄化装置導入路17は、上下方向に延びて、ガス入口17Aとガス出口17Bとを有する。ガス入口17Aは、上方に向かって開口し、混合管16の開口に連結している。また、ガス出口17Bは、ガス入口17Aに対して略直交する方向に開口しており、具体的には、車幅方向左側に向かって開口している。
【0023】
排気系装置1は、排気マニホールド12から受け入れた排気ガスを浄化する排気浄化装置18と、排気浄化装置18を通った排気ガスを外部へ排出するために排気浄化装置18に接続されたフレキシブルパイプ20と、排気浄化装置18を通った排気ガスの一部をEGRガスとして取り出すためのEGRガス導出部22と、EGRガス導出部22に接続し、排気浄化装置18から取り出したEGRガスを冷却する第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26と、第1EGRクーラ24と第2EGRクーラ26とを連結する第1EGR配管28と、第2EGRクーラ26と吸気通路11とを連結する第2EGR配管30と、を備える。
【0024】
排気浄化装置18は、車両100の上方からみて略L字形の形状を呈し、排気マニホールド12の混合管16に接続する上流側部分32と、上流側部分32の下流側に設けられ、フレキシブルパイプ20及びEGRガス導出部22に接続する下流側部分34とを有する。本実施形態では、排気浄化装置18は、排気浄化装置導入路17を介して排気マニホールド12の混合管16に接続している。したがって、排気浄化装置導入路17は、排気マニホールド12と排気浄化装置18とを接続する接続通路として機能する。
【0025】
上流側部分32は、排気浄化装置導入路17のガス出口17Bに連結された略筒状の部分であり、その中心軸(長手方向軸線)は、車幅方向に沿って配置されている。したがって、上流側部分32の外面は、エンジン2のシリンダブロック4の外面に隣接して配置されている。上流側部分32には、触媒装置が内蔵されている。
下流側部分34は、上流側部分32に一体的に形成された略筒状部分であり、その中心軸(長手方向軸線)が上流側部分32の中心軸に対して略直角に配置されている。また、下流側部分34の中心軸は、車両100の前後方向に延びており、下流側部分34の上流端が下流端よりも上方に位置するように、すなわち、下流側部分34の上流端から下流端に向かうにしたがって下方に傾斜するように配置されている。下流側部分34には、GPF(Gasoline Particulate Filter)が内蔵されている。
【0026】
このような構造により、排気浄化装置18の上流側部分32は排気マニホールド12の下方で車幅方向に沿って配置され、下流側部分34は、エンジン2の車幅方向中央よりも左側において、車両100の前後方向に沿って配置されている。
【0027】
フレキシブルパイプ20は、排気浄化装置18の下流側部分34の下流端に形成された排気出口18Aに接続された筒状部材であり、ある程度の伸縮及び屈曲が可能な材料で形成されている。フレキシブルパイプ20は、排気浄化装置18の下流側部分34の下流端の円形端面18Bにおいて車幅方向右側且つ上下方向下側の位置に配置された排気出口18Aに連結している。また、フレキシブルパイプ20の中心軸(長手方向軸線)は、車両100の前後方向に延びており、下流側の端部が上流側の端部よりも下方に位置するように、すなわち、上流側の端部から下流側の端部に向かうにしたがって下方に傾斜するように配置されており、その傾斜角度は、排気浄化装置18の下流側部分34の傾斜角度よりも大きく設定されている。
【0028】
図6は、本発明の第1実施形態に係る車両の排気系装置の一部を示す拡大斜視図である。この
図6及び前述の
図1〜
図5に示すように、EGRガス導出部22は、排気浄化装置18の下流側部分34の下流端に形成されたEGRガス出口18Cに連結された管状部材である。EGRガス導出部22は、下流側部分34の下流端の円形端面18Bにおいて車幅方向左側且つ上下方向上側の位置に配置されたEGRガス出口18Cに連結している。このような配置により、EGRガス導出部22の排気浄化装置18との接続部は、フレキシブルパイプ20の排気浄化装置18との接続部よりも上方且つ車幅方向左側に位置している。
EGRガス導出部22の長手方向軸線は、車両100の前後方向に沿って、つまり下流側部分34の中心軸とほぼ平行に、下流側部分34を流れる排気ガスのガス流れ方向に沿って配置されており、EGRガス導出部22の上流端22Aは、下流側部分34の中心軸に平行な軸線に交わる面、本実施形態では略直交する面で開口している。
【0029】
EGRガス導出部22は、断面略矩形状に形成されており、下流側に向かうにしたがって先細りの形状となっている。詳細には、EGRガス導出部22は、右側面22B、上面22C、下面22D、左側面22E、及び下流端面22Fを有し、右側面22Bは下流側に向かうにしたがって車幅方向左側に傾斜した傾斜面となっており、上面22Cは、下流側に向かうにしたがって下方に、下面22Dは下流側に向かうにしたがって上方に傾斜した傾斜面となっている。ただし、左側面22Eは、下流側部分34の中心軸に平行な平面を有する。また、下流端面22Fは、排気浄化装置18の下流側部分34の中心軸に対してほぼ直交する平面を有する。
EGRガス導出部22の下流端22Gは、左側面22Eに形成されており、したがって、EGRガス導出部22の出口(下流端22G)は、車幅方向左側に向かって開口している。また、EGRガス導出部22の出口は、その開口面を含む面が、下流側部分34の外周に接するように配置されている。
【0030】
第1EGRクーラ24は、水冷式のEGRクーラであり、第1EGRクーラ本体36と、第1EGRクーラ本体36の上流側の一端に形成された第1EGRガス流入部38と、第1EGRクーラ本体36の下流側の他端に形成された第1EGRガス流出部40と、を有する。
第1EGRクーラ本体36は、略直方体に形成されており、その長手方向軸線が、排気浄化装置18の下流側部分34の中心軸とほぼ平行に配置され、その一側面が下流側部分34の外周面に隣接して配置されている。
また、第1EGRクーラ本体36の上面には、第1EGRクーラ本体36の側面から排気浄化装置18の方へ突出するブラケット42が設けられており、このブラケット42を排気浄化装置18の下流側部分34の側面にボルト止めや溶接等で固定することにより、第1EGRクーラ24の外面が、排気浄化装置18の外面に固定されている。したがって、第1EGRクーラ24は、EGRガス導出部22を介して排気浄化装置18に接続されているのとは別の箇所において、互いに固定され取り付けられている。
【0031】
第1EGRガス流入部38は、第1EGRクーラ本体36より車両後方に位置して管状に形成され、第1EGRクーラ本体36側の一端38Aで第1EGRクーラ本体36に一体的に連結している。第1EGRガス流入部38の他端は、車両方向右側に向かって、つまり車幅方向と略直交する面で開口して、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流入口38Bとなっている。第1EGRガス流入口38Bは、EGRガス導出部22の出口(下流端22G)に連結され、これにより、第1EGRクーラ24とEGRガス導出部22が連通している。第1EGRガス流入部38の車幅方向の左側面38Cには、車両100の後方に向かって右側に傾斜した、つまり第1EGRガス流入部38の上流側に向かうにつれてEGRガス流入口38B(EGRガス導出部22)側に傾斜した傾斜面が形成されている。
【0032】
このように、EGRガス導出部22の上流端22Aが排気浄化装置18の車両100の前後方向に沿った方向に向かって開口し且つ下流端22Gが車幅方向左側に向かって開口し、また、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流入口38Aが右側に向かって開口し且つ一端38Aが車両100の前後方向に沿った方向に向かって開口することにより、排気浄化装置18のEGRガス出口18Aから第1EGRクーラ本体36の上流端までのEGRガスの経路は、車両100の後ろ方向から、EGRガス導出部22で車幅方向左側に方向を転換した後、第1EGRガス流入部38で前方に方向を転換し、全体として後方から前方に180°転回している。また、第1EGRクーラ24は、排気浄化装置18の下流側部分34に対して車幅方向左側に配置され、これにより、第1EGRクーラ24は、車幅方向に関して、吸気通路11のEGRバルブ10側の排気浄化装置18の側面に隣接している。
【0033】
第1EGRガス流出部40は、第1EGRクーラ本体36より車両前方に位置して管状に形成され、第1EGRクーラ本体36側の一端40Aで第1EGRクーラ本体36に一体的に連結している。第1EGRガス流出部40の他端は、車両方向左側に向かって、つまり車幅方向と略直交する面で開口しており、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流出口40Bとなっている。第1EGRガス流出口40Bは、第1EGR配管28の一端と連結している。第1EGRガス流出部40の車幅方向の右側面40Cには、車両100の前方に向かって左側に傾斜した、つまり第1EGRガス流出部40の下流側に向かうにつれて第1EGRガス流出口40B(第1EGR配管28)側に傾斜した傾斜面が形成されている。
【0034】
上記のような構造の第1EGRクーラ24は、上流側に向かって下方に、つまり車両後方に向かって下方に傾斜して配置されている。したがって、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流出口40Bは、第1EGRガス流入口38Bよりも上方に位置している。第1EGRクーラ24のこの傾斜角度は、排気浄化装置18の下流側部分34の傾斜角度よりも大きく、フレキシブルパイプ20の傾斜角度とほぼ同じである。
また、第1EGRクーラ24は、側面視において、排気浄化装置18の下流側部分34の上下方向寸法内に収まっており、第1EGRクーラ24は、側面視において、排気浄化装置18の上方向及び下方向に突出しない。
【0035】
第2EGRクーラ26は、水冷式のEGRクーラであり、第2EGRクーラ本体46と、第2EGRクーラ本体46の上流側の一端に形成された第2EGRガス流入部48と、第2EGRクーラ本体46の下流側の他端に形成された第2EGRガス流出部50と、を有する。
第2EGRクーラ本体46は、略直方体に形成されており、その長手方向軸線が、車両100の前後方向に沿って配置され、その一側面がエンジン2のシリンダブロック4の左側面に隣接して配置されている。
また、第2EGRクーラ本体46の上面及び下面には、第2EGRクーラ本体46の上面から上方に、または下面から下方に突出するブラケット52が設けられており、これらのブラケット52をシリンダブロック4の左側面にボルト止めや溶接等で固定することにより、第2EGRクーラ26の外面が、シリンダブロック4の外面に固定され取り付けられている。
【0036】
第2EGRガス流入部48は、第2EGRクーラ本体46より車両後方に位置して管状に形成され、第2EGRクーラ本体46側の一端48Aで第2EGRクーラ本体46に一体的に連結している。第2EGRガス流入部48の他端は、車両100の後方に向かって開口し、第2EGRクーラ26の第2EGRガス流入口48Bとなっている。第2EGRガス流入口48Bは、第1EGR配管28の他端と連結している。
第2EGRガス流出部50は、第2EGRクーラ本体46より車両前方に位置して管状に形成され、第2EGRクーラ本体46側の一端50Aで第2EGRクーラ本体46に一体的に連結している。第2EGRガス流出部50の他端は、車両100の前方に向かって開口し、第2EGRクーラ26の第2EGRガス流出口50Bとなっている。第2EGRガス流出口50Bは、第2EGR配管30の一端と連結している。
【0037】
上記のような構造の第2EGRクーラ26は、上流側に向かって下方に、つまり車両後方に向かって下方に傾斜して配置されている。したがって、第2EGRガス流入口48Bは、第2EGRガス流出口50Bよりも、車両上下方向下側に配置されている。第2EGRクーラ26の傾斜角度は、排気浄化装置18の下流側部分34の傾斜角度よりも小さい。また、第2EGRガス流入口48Bは、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流出口40Bよりも上側且つ車幅方向左側に配置されている。このような配置により、第2EGRクーラ26は、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24よりも上方且つ車幅方向左側に位置している。
【0038】
なお、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26は、水冷式であるため、それぞれに冷却水入口24A,26A及び冷却水出口24B、26Bが設けられている。第1EGRクーラ24の冷却水出口24Bは、第2EGRクーラ26の冷却水入口26Aに連通しており、したがって、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26の冷却水回路は直列に連結している。第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26を通って冷却水出口26Bから出た冷却水は、必要に応じてラジエータで冷却されながら、シリンダヘッドやシリンダブロック壁面等のエンジン各部を冷却し、第1EGRクーラ24の冷却水入口24Aに戻る。
【0039】
第1EGR配管28は、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流出部40と、第2EGRクーラ26の第2EGRガス流入部48とを連通する管状部材であり、本実施形態ではゴムホースで形成されている。第1EGR配管28は、車幅方向に沿って第1EGRガス流出部40と連結し、車両100の前方且つ上方に向かって曲がって延び、車両100の前方方向に沿って第2EGRガス流入部48に連結している。
第2EGR配管30は、第2EGRクーラ26の第2EGRガス流出部50と、吸気通路11とを連通する管状部材である。第2EGR配管30は、車両100の前方方向に沿って延び吸気通路11下側で上方に向かって曲がって延び、EGRバルブ10に下側から連結している。
本実施形態では、第1EGRクーラ24、第2EGRクーラ26、第1EGR配管28、及び第2EGR配管30を備えて、排気浄化装置18から取り出した排気ガスの一部をEGRガスとして吸気側に供給するためのEGRガス通路が形成されている。
【0040】
ここで、排気系装置1の、車両100に対する配置について説明する。
図2〜
図4に示すように、エンジン2及び排気系装置1は、車両100のエンジンルーム102に配置されており、エンジンルーム102の後方には、車室104が形成されている。エンジンルーム102と車室104は、ダッシュパネル106によって区切られている。ダッシュパネル106は、車室104下部に配置されたロアダッシュパネル108と、ロアダッシュパネル108の前端に連結されるとともに、車室104の前部に車幅方向に延びるアッパダッシュパネル110とを有する。
【0041】
ロアダッシュパネル108及びアッパダッシュパネル110には、車両100の前後方向に延び、車室104側に突出するフロアトンネル112が形成されている。フロアトンネル112の突出した部分に囲まれ下側に開口した、フロアトンネル112の下側の領域であるフロアトンネル領域114は、前端部分に、断面積が車両100の前方に向かって増大するトンネル拡張領域116を有する。トンネル拡張領域116では、
図1及び
図4に示すように車両100の上下方向からみて、フロアトンネル領域114の車幅方向の幅が徐々に増大し、この幅の増大は、フロアトンネル領域114の車幅方向両側で、アッパダッシュパネル110の最も前端側に突出した前端110Aで終了する。したがって、本実施形態において、トンネル拡張領域116の前端は、アッパダッシュパネル110の前端110Aを通る鉛直方向の面Pに位置する。このように、トンネル拡張領域116は、フロアトンネル領域114の車幅方向の幅の増大が終了する位置までの領域をいい、フロアトンネル領域114は、トンネル拡張領域116を含む。
【0042】
また、フロアトンネル領域114は、
図2及び
図3に示すように、車両100の側面視において、上面及び下面が前方に向かって上方に傾斜している。なお、
図2及び
図3においても、トンネル拡張領域116の前端となる面Pを示す。車両100の側面視において、トンネル拡張領域116の前端の面Pと、フロアトンネル112の上端を延長した線Lとが交わる位置Qが、トンネル拡張領域116の上端となる。また、車両100の前方からみて、トンネル拡張領域116の車幅方向の境界は、アッパダッシュパネル110の前端110Aの位置となる。
【0043】
本実施形態の車両の排気系装置1では、エンジン2は、その幅方向中央がフロアトンネル領域114の幅方向中央よりも右側に位置している。排気浄化装置18、フレキシブルパイプ20、EGRガス導出部22,第1EGRクーラ24、及び第2EGRクーラ26は、車両100の前方から見て、フロアトンネル領域114とオーバーラップする位置に配置されている。つまり、本実施形態では、EGRガス通路は、車両100の前方から見て、フロアトンネル領域114とオーバーラップする位置に配置されている。なお、排気浄化装置18、フレキシブルパイプ20の一部、EGRガス導出部22、及び第1EGRクーラ24は、車両100の前方から見て、フロアトンネル領域114のうち、トンネル拡張領域116を除いた領域にもオーバーラップする位置に配置されている。
【0044】
また、
図1〜
図4に示すように、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24の車両後方側の部分は、フロアトンネル領域114内に配置されている。より詳細には、排気浄化装置18の下流側端部の一部、EGRガス導出部22の大部分、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流入部38の大部分、及びフレキシブルパイプ20の大部分が、フロアトンネル領域114の車両前方側端部であるトンネル拡張領域116内に配置されている。したがって、これらの排気浄化装置18の下流側端部、EGRガス導出部22、第1EGRガス流入部38、及びフレキシブルパイプ20は、車両100の上下方向及び側方からみて、フロアトンネル領域114にオーバーラップするように配置されている。
【0045】
このような配置により、排気マニホールド12は、ダッシュパネル106の前端から前後方向に所定距離離間した位置に配置される。排気マニホールド12の後端とダッシュパネル106の前端との間で且つ排気浄化装置18よりもエンジン2の幅方向右側には、排気系装置1の構成部品が配置されない空間117(
図1参照)が形成される。
【0046】
このような構造の車両の排気系装置1では、次のように動作する。
まず、エンジン2から排出された排気ガスは、排気マニホールド12の排気管14を通って混合管16で合流し、下方向に向かって流れて排気浄化装置導入路17に流入する。排気浄化装置導入路17に流入した排気ガスは、下方向から車幅方向左方向に向きを変えて排気浄化装置18に入る。排気浄化装置18では、排気ガスは、上流側部分32の触媒装置を左方向に向かって通り、下流側部分34のGPFを車両100の後方に向かって通り、浄化される。下流側部分34を通った後の排気ガスの一部は、排気出口18Aから出てフレキシブルパイプ20を通り、その後図示しないマフラ等を通って車外に排出される。
【0047】
一方、下流側部分34を通った後の排気ガスの残りの一部は、EGRガスとして、EGRガス出口18CからEGRガス導出部22に車両100の後方に向かって流入する。EGRガスは、EGRガス導入部22の右側面22B、上面22C及び下面22Dに案内されながらガス流れの向きを車幅方向左方向に変え、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流入部38の左側面得38Cに案内されながらガス流れの向きを前方方向に変えることよって、ガス流れ方向を180°転回する。
車両100の前方に向かって流れるEGRガスは、第1EGRガス流入部38から第1EGRクーラ本体36に入って冷却され、第1EGRガス流出部40から車幅方向左向きにガスの流れを変更しながら第1EGR配管28に出る。第1EGR配管28を通ったEGRガスは、車両100の前方に向かって第2EGRクーラ26に流入し、第2EGRクーラ26によって更に冷却され、車両100の前方に向かって第2EGRクーラ26から第2EGR配管30に入り、EGRバルブ10を介して吸気通路11に流入する。
【0048】
このような構造の車両の排気系装置1では、次のような効果を奏する。
排気マニホールド12がダッシュパネル106から所定距離離間して配置され、排気浄化装置18が排気マニホールド12の下方に配置されているので、エンジン2の排気浄化装置18がダッシュパネル106よりも前方に、エンジン2の近くに配置される。したがって、排気浄化装置18を含むエンジン2のコンパクトな配置を実現することができる。また、排気浄化装置18がエンジン2の近くに配置されるので、排気ガスの温度が下がらないうちに排気ガスを排気浄化装置18に通過させることができる。これにより、排気ガスの浄化に必要な温度を確保することができ、排気ガスの浄化を確実に行うことができる。
【0049】
排気浄化装置18が、車両100の前後方向から見て車体のフロアトンネル領域114にオーバーラップする位置に配置されているので、車両衝突時にエンジン2が後退しても、排気浄化装置18がフロアトンネル領域114内に収容される。したがって、排気浄化装置18によって他の部品を損傷するのを防止することができる。これにより、車両100の衝突安全性を確保することができる。
また、排気マニホールド12がダッシュパネル106の前端から所定距離離間して配置され、排気浄化装置18が排気マニホールド12の下方且つエンジン2の気筒列方向中央より一方側、つまり左側に配置されているので、排気マニホールド12の気筒列方向中央よりも他方側、つまり右側には、排気マニホールド12とダッシュパネル106との間に空間117が形成される。このため、車両衝突時にエンジン2が後退しても、排気マニホールド12がダッシュパネル106に衝突するのを回避することができ、排気マニホールド12によるダッシュパネル106の損傷を防止することができる。よって車両100の衝突安全性を確保することができる。
【0050】
排気浄化装置18の下流側部分34が、排気マニホールド12の下方からフロアトンネル112に向かって車両100の前後方向に延びているので、排気浄化装置18からの排気ガスがスムーズに後方に流れるから、排気ガスを容易に排出することができる。
【0051】
排気浄化装置18の下流側部分34が、フロアトンネル112側の端部、すなわち後方側の端部に、EGRガス導出部22を有し、EGRガス導出部22は、気筒列方向において排気浄化装置導入路17(接続通路)と反対側に配置されている。また、EGRガス通路は、気筒列方向において排気浄化装置導入路17とは反対側の排気浄化装置18の側方、つまり排気浄化装置18の左側に配置されている。したがって、排気浄化装置導入路17側、つまり気筒列方向中央より一方側(右側)の排気マニホールド12とダッシュパネル106との間の空間117が、EGRガス通路に占有されることがないので、空間117を広く確保することができる。このように空間117を広く確保することにより、車両衝突時の排気マニホールド12によるダッシュパネル106等の他の部品への損傷をより確実に防止することができる。
【0052】
EGRガス通路が、車両100の前後方向から見て、フロアトンネル領域114にオーバーラップする位置に配置されているので、車両衝突時に、エンジン2が後退しても、第1EGRガス流入部38や第1EGRクーラ24等のEGRガス通路を形成する部品がフロアトンネル領域114内に収容される。したがって、EGRガス通路を形成する部品による他の部品の損傷を防止することができ、車両100の衝突安全性を確保することができる。
【0053】
第1EGRクーラ24のガス流れ方向が排気浄化装置18の下流側部分34のガス流れ方向と逆向きとなるように、且つ第1EGRクーラ24の中心軸が車両100の前後方向に沿って配置されるように、第1EGRクーラ24を排気浄化装置18に隣接させ、第1EGRクーラ24の外面を排気浄化装置18の下流側部分34の外面にブラケット42で取り付けたので、従来のように第1EGRクーラ24をエンジン4のシリンダブロック6に取り付ける必要がない。したがって、第1EGRクーラ24の配置の自由度を高めることができる。また第1EGRクーラ24の外面が排気浄化装置18の下流側部分34の外面にブラケット42で固定されているので、第1EGRクーラ24及び排気浄化装置18が1つの剛体として動作するから、第1EGRクーラ24と排気浄化装置18との共振の発生を抑制することができる。
【0054】
EGRガス導出部22が排気浄化装置18の下流側部分34に対して車両100の後方に配置され、下流側部分34内の排気ガスのガス流れ方向の下流側に配置されるので、下流側部分34を流れる排気ガスが方向を変更することなくEGRガス導出部22に流れこむ。したがって、排気浄化装置18からEGRガスを取り出しやすくすることができる。よって、例えばエンジン2が低回転軽負荷域で運転されている場合、排気ガス流量が少なくなるが、上記のような場合でも必要な排気ガス流量を確保することができる。
また、EGRガス導出部22が排気浄化装置18の下流側に配置されているので、排気浄化装置18を通過して、より温度が低下した状態の排気ガスをEGRガスとして取り出すことができるから、より低い温度のEGRガスをエンジン2に供給することができる。
【0055】
第2EGRクーラ26の第2EGRガス流出口50Bが第2EGRガス流入口48Bよりも上方に位置しているので、第2EGRクーラ26で凝縮水が発生した場合、凝縮水が第2EGRガス流出口50B側から第2EGRガス流入口48B側へ、上流側に向かって流れる。また、第2EGRガス流入口48Bが、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流出口40Bよりも上方に位置しているので、凝縮水は第1EGRクーラ24へ、上流側に向かって流れる。
更に、第1EGRクーラ24の第1EGRガス流入口38Bが、第1EGRガス流出口40Bよりも下方に位置しているので、第2EGRクーラ26から流れてきた凝縮水及び第1EGRクーラ24で発生した凝縮水は、第1EGRガス流出口40B側から第1EGRガス流入口38B側へ、上流側に向かって流れる。そして、第1EGRガス流入口38Bは、排気浄化装置18の排気出口18Aよりも上方に位置しているので、凝縮水は、排気浄化装置18の排気出口18Aに向かって流れる。排気出口18Aはフレキシブルパイプ20と接続しているので、凝縮水はフレキシブルパイプ20を通って外部に排出される。
【0056】
上記のような構造により、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26で発生した凝縮水を外部に排出することができるから、凝縮水をエンジン2側に吸引するのを防止することができる。これにより、凝縮水の吸引によって生じる場合があるウォーターハンマを防止することができる。また、第1EGRクーラ24、第2EGRクーラ26及び第1,第2EGR配管28,30に凝縮水が溜まるのを防止することができ、これらの部品の腐食を防止することができる。
【0057】
エンジン2の後方に配置された排気浄化装置18に対して、第1EGRクーラ24が排気浄化装置18の車幅方向左側の側面に隣接して配置され、第1EGR配管28、第2EGRクーラ26、及び第2EGR配管30がエンジン2の車幅方向左側の側面に沿って配置され、第2EGRガス通路30がエンジン2の前方左側においてEGRバルブ10の位置で吸気通路11と連通している。したがって、排気浄化装置18から第1、第2EGRクーラ24,26を通って吸気通路11に至るEGRガスの経路を、EGRバルブ10が配置された、エンジン2の車幅方向左側に配置することができる。これにより、EGRガスの経路を短くすることができ、EGR制御のレスポンスを良好にすることができる。特に、本実施形態においては、排気浄化装置18の下流側部分34の長手方向軸線がエンジン2に対して車幅方向左側に配置されているので、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26を含むEGRガスの経路をエンジン2の車幅方向左側に沿って配置することにより、EGRガスの経路をより短くすることができる。
【0058】
排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24の後方側端部が、車両100の下方及び側方からみて、フロアトンネル領域114にオーバーラップするので、車両100の衝突時にエンジン2やそれに接続する部品が後方に移動した場合でも、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24がフロアトンネル領域144内に収容されるようになる。したがって、車両100の衝突時の乗員の安全を確保することできるとともに、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24の損傷も防止することができる。また、このような配置により、乗員の安全性を確保しながら、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24を、エンジン2の後方で、長手方向軸線が車両100の前後方向に沿うように配置することができる。よって、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24を、車幅方向に沿って配置する他、前後方向に沿って配置することも可能になるから、排気浄化装置18及び第1EGRクーラ24の配置方向の自由度を高めることができる。
【0059】
第1EGRクーラ24の下流側に第2EGRクーラ26を設けたので、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26の大型化を抑制しながら必要な冷却能力を確保することができる。また、第1EGRクーラ24の大型化を抑制できるので、第1EGRクーラ24と、第1EGRクーラ24が取り付けられた排気浄化装置18との共振を抑制することができる。
【0060】
第1EGR配管28をゴムホースで構成したので、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26の振動を吸収することができる。したがって、第1EGRクーラ24と第2EGRクーラ26との共振を抑制することができる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と比べて、エンジン2の後方にターボ過給機62が配置され、排気浄化装置18から吸気通路に至るまでのEGRガスの経路が異なる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る車両の排気系装置60の側面図である。この
図7に示すように、エンジン2の後方且つエンジン2の車幅方向中央よりも左側には、ターボ過給機62が配置されている。ターボ過給機62は、右側に配置されたタービン(図示せず)と、左側に配置されたコンプレッサ62Aとを有する。タービンは、排気マニホールド12に接続されており、コンプレッサ62Aは、下流側にコンプレッサ下流通路66を有する。コンプレッサ下流通路66は、一端でターボ過給機62のコンプレッサ62Aに接続され、エンジン2の車幅方向左端まで、エンジン2の後方で車幅方向に沿って延び、エンジン2の車幅方向左側の側面に沿って、前方側に向かって下方に傾斜するように延び、エンジン2の前方側において吸気マニホールド8に接続されている。本実施形態においては、ターボ過給機62のコンプレッサ62Aからコンプレッサ下流通路66を通って吸気マニホールド8へ通る吸気の通路が、吸気通路68となっている。
【0062】
タービンの下流側には、排気浄化装置18が接続されている。排気浄化装置18の上流側の端部(排気ガス入口)は、ターボ過給機62の排気出口よりも下方に配置されている。排気浄化装置18の下流側には、EGRガス導出部22及びEGRクーラ64が接続されている。ここで、EGRクーラ64の構造は、第1実施形態の第1EGRクーラ24と同じであるので、説明を省略する。EGRクーラ64は、排気浄化装置18の車幅方向左側に隣接して、第1実施形態と同様にブラケット(図示せず)によってその外面が排気浄化装置18の外面に取り付けられている。また、排気浄化装置18及びEGRクーラ64は、第1実施形態と同様に、車両100の後方に向かって下方に傾斜している。
【0063】
EGRクーラ64の下流側端部であるEGRガス流出口64Aには、EGRクーラ下流通路70の一端が接続されている。EGRクーラ下流通路70は、排気浄化装置18及びターボ過給機64の車幅方向左側で車両100の前後方向に沿って、後方に向かって下方に傾斜するように延びている。EGRクーラ下流通路70の他端は、コンプレッサ下流通路66において、エンジン2の後方で車幅方向に延びた部分に接続している。EGRクーラ下流通路70の途中には、EGRバルブ72が設けられており、EGRバルブ72は、ブラケット74によってターボ過給機62に固定されている。
【0064】
このような構造の排気系装置60では、第1実施形態と同様に、排気浄化装置18を出た排気ガスの一部をEGRガスとしてEGRガス導出部22で取り出し、EGRクーラ64で冷却した後、EGRクーラ下流通路70を通して吸気通路68のコンプレッサ下流通路66にEGRガスを供給する。
【0065】
以上のような構造の第2実施形態の排気系装置60では、第1実施形態と同様の効果の他、次のような効果を奏する。
エンジン2の後方にターボ過給機62が設けられ、コンプレッサ下流通路66がターボ過給機62の車幅方向左側に設けられている構造において、EGRクーラ64が、排気浄化装置18の車幅方向左側の側面で隣接して取り付けられ、EGRクーラ下流通路70も、排気浄化装置18の車幅方向左側に配置されている。そして、EGRクーラ下流通路70が、コンプレッサ下流通路66において、エンジン2の後方で車幅方向に沿って延びる部分に接続されている。このような構造により、EGRクーラ64及びEGRクーラ下流通路70を共に、コンプレッサ下流通路66が設けられた、ターボ過給機62の車幅方向左側、つまり排気浄化装置18の車幅方向左側に配置したので、排気浄化装置18からコンプレッサ下流通路66までのEGRガスの経路を短くすることができ、EGR制御のレスポンスを良好にすることができる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と比べて、ダッシュパネル106に補機が取り付けられている場合について説明する。また、第3実施形態は、第1実施形態に比べて、排気浄化装置18から吸気通路に至るまでのEGRガスの経路の構成が異なる。
【0067】
図8は、本発明の第3実施形態に係る車両100の排気系装置200の平面図であり、
図9は、本発明の第3実施形態に係る車両100の排気系装置200の底面図であり、
図10は、本発明の第3実施形態に係る車両100の排気系装置200の側面図であり、
図11は、本発明の第3実施形態に係る車両100の排気系装置200の斜視図である。
これらの
図8〜
図11に示すように、第3実施形態に係る車両100には、ダッシュパネル106に、補機としてブレーキユニット202が取り付けられている。ブレーキユニット202は、ダッシュパネル106のアッパダッシュパネル110の前面に取り付けられており、車両の前後方向から見て、フロアトンネル領域114よりも車幅方向外側(右側)に位置している。これにより、ブレーキユニット202は、排気マニホールド12の気筒列方向の他方側の端部、つまり気筒列方向の右側の端部よりも、気筒列方向外方(車幅方向外方、つまり右側)に位置している。
【0068】
また、ブレーキユニット202は、車両100の前後方向または左右方向から見て、排気マニホールド12が、ブレーキユニット202の下方部分に対応する高さ位置に配置されるように、位置決めされている。
排気浄化装置204の下流側部分206の下流端(後方端)には、径方向に突出するEGR導出部208が設けられている。EGR導出部208の出口(下流端)208Aは、車両100の前方に向かって開口している。出口208Aには、EGR配管210が接続され、このEGR配管210は、車両100の前後方向に沿って延び、その下流端にはEGRクーラ212が接続されている。本実施形態では、EGRクーラ212は1つのみ設けられており、このEGRクーラ212は、エンジン2のシリンダブロック4の側面に固定されている。EGRクーラ212は、また、上流側の端部がEGR配管210に接続され、下流側の端部が吸気通路に接続されている。本実施形態では、EGR配管210、及びEGRクーラ212を含んで、EGRガス通路が形成されている。
【0069】
ここで、車両100の前方から見て、EGR配管210及びEGRクーラ212は、フロアトンネル領域114とオーバーラップする位置に配置されている。つまり、本実施形態では、EGRガス通路は、車両100の前方から見て、フロアトンネル領域114とオーバーラップする位置に配置されている。なお、排気浄化装置18、フレキシブルパイプ20の一部、EGRガス導出部208、及びEGR配管210は、車両100の前方から見て、フロアトンネル領域114のうち、トンネル拡張領域116を除いた領域にもオーバーラップする位置に配置されている。
【0070】
以上のような構成の第3実施形態によれば、次のような効果が得られる。
ダッシュパネル106には、排気マニホールド12の気筒列方向の他方側の端部、つまり右側の端部よりも気筒列方向外方に、補機としてブレーキユニット202が取り付けられているので、車両衝突時にエンジン2及び排気マニホールド12が後退しても、排気マニホールド12がブレーキユニット202に衝突するのを回避することができる。よって排気マニホールド12による他の部品の損傷を防止することができ、車両100の衝突安全性を確保することができる。
【0071】
排気マニホールド12が、車両100の前後方向から見て、ブレーキユニット202の下方部分に対応する高さ位置に配置されている。車両衝突時に排気マニホールド12がまっすぐ後方ではなくブレーキユニット202が配置されている側に向かって斜めに移動した場合、排気マニホールド12とダッシュパネル106との間は所定距離離間して空間117が形成されているので排気マニホールド12がブレーキユニット202に干渉する可能性は低くなる。また、もし仮に排気マニホールド12が所定距離を超えて斜めに移動した場合であっても、排気マニホールド12がブレーキユニット202の下方部分に干渉するのみなので、衝突によるブレーキユニット202の損傷を最小限に留めることができる。
【0072】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、以下のような態様であってもよい。
第1EGRクーラ24またはEGRクーラ64の長手方向軸線は、排気浄化装置の下流側部分34の中心軸線とほぼ平行であってもよい。例えば車両の側面視において、EGRクーラの長手方向軸線と排気浄化装置の下流側端部の中心軸線とが必ずしも一致または平行になっていなくてもよく、互いに交わっていてもよい。要するに、EGRクーラの長手方向軸線は、車両の前後方向に沿って配置されていればよい。
【0073】
前述の実施形態では、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26はともに水冷式のものであったが、これに限らず、EGRクーラが2つ直列に設けられている場合には、上流側のEGRクーラが空冷式で、下流側のEGRクーラが水冷式であってもよい。EGRクーラとして空冷式のものを採用すると、水冷式のものと比べてEGRクーラの大型化を抑制することができる。また、上流側の空冷式のEGRクーラでEGRガスの粗熱を取り、下流側の水冷式のEGRクーラでEGRガスを所望の温度まで確実に冷却することができるので、効率的にEGRガスの冷却を行うことができる。
また、前述の実施形態では、第1EGRクーラ24及び第2EGRクーラ26の冷却水回路は直列に連結されていたが。これに限らず、異なる冷却性能を持たせるために第1EGRクーラ及び第2EGRクーラがそれぞれ異なる冷却水回路上に設けられていてもよい。
【0074】
補機は、前述の第3実施形態ではブレーキユニット202であったが、これに限らず、例えば空調ユニットであってもよく、車両の任意の補機を採用することができる。
エンジンとしては、圧縮自己着火形式のエンジンに限らず、例えば火花点火形式のエンジンを使用してもよい。