(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記応答生成部は、前記携帯端末から前記受信部が前記識別情報を受信したときに当該識別情報によって識別されるエレベーターについて既に通報があったと前記通報状況判定部が判定する場合に、当該携帯端末に表示される内容を表す前記応答信号として、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号を生成し、
前記通報状況記憶部は、当該エレベーターについて既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーターについて記憶している通報状況を更新する
請求項2または請求項3に記載のエレベーターの通報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る通報処理システムの構成図である。
【0012】
通報処理システム1は、エレベーター2に適用される。
【0013】
エレベーター2は、複数の階を有する建築物に設けられる。エレベーター2において、図示されない昇降路は、建築物の複数の階を貫く。エレベーター2は、かご3と、制御盤4と、地震計5と、を備える。
【0014】
かご3は、昇降路の内部を鉛直方向に走行することで、建築物の複数の階の間で利用者などを輸送する装置である。かご3は、かご扉6と、かご操作盤7と、を備える。かご扉6は、かご3の内側の側面に設けられる。かご扉6は、かご3が複数の階のいずれかに停止しているときに、利用者がかご3に乗降しうるように開閉する装置である。かご操作盤7は、利用者によるかご呼びの操作を受け付ける装置である。かご操作盤7は、例えばかご3の内側においてかご扉6に隣接して設けられる。かご操作盤7は、非常通話装置8を備える。非常通話装置8は、非常時において音声通話により通報する装置である。非常通話装置8は、例えば非常通話ボタンおよびインターホンである。
【0015】
エレベーター2において、乗場9は、複数の階の各々に設けられる。エレベーター2において、乗場扉10および乗場操作盤11は、乗場9に設けられる。乗場扉10は、かご扉6に連動して開閉する装置である。乗場操作盤11は、利用者による乗場呼びの操作を受け付ける装置である。乗場操作盤11は、例えば乗場扉10に隣接して設けられる。
【0016】
制御盤4は、エレベーター2の動作を制御する装置である。エレベーター2の動作は、例えばかご呼びおよび乗場呼びの登録、ならびにかご3の走行を含む。
【0017】
地震計5は、地震を検知する装置である。地震計5は、予め設定された基準より大きい地震を検知するときに検知信号を送信しうるように、制御盤4に接続される。当該基準は、例えば地震加速度などに基づいて設定される。制御盤4は、検知信号を受信するときに、図示されない安全装置を作動させる。安全装置は、例えばかご3の走行を停止させる。
【0018】
通報処理システム1は、発信機12と、遠隔監視装置13と、通報処理装置14と、を備える。
【0019】
発信機12は、例えば乗場9に設けられる。発信機12は、例えばかご3に設けられてもよい。発信機12は、無線通信によって識別情報を発信する装置である。発信機12は、例えばビーコン装置である。識別情報は、発信機12が設けられるエレベーター2を識別する情報である。識別情報は、例えば建物番号と号機番号との組合せである。建物番号は、建築物に一意に対応する番号である。号機番号は、エレベーター2のかご3を含むユニットに一意に対応する番号である。エレベーター2が複数のユニットを有する場合に、識別情報は、エレベーターバンクを識別する情報であってもよい。
【0020】
遠隔監視装置13は、例えばエレベーター2が設けられる建築物に設けられる。遠隔監視装置13は、例えばエレベーター2と通信しうるように、制御盤4に接続される。遠隔監視装置13は、ネットワーク15に接続される。ネットワーク15は、例えばインターネットである。遠隔監視装置13は、遠隔監視センター17に設けられた装置との間でネットワーク15を介してエレベーター2の情報を通信する装置である。ここで、遠隔監視センター17は、エレベーター2の運転状態などを監視する拠点である。
【0021】
エレベーター2の利用者は、携帯端末16を所持していることがある。携帯端末16は、例えばスマートホンである。携帯端末16は、ネットワーク15に接続される。携帯端末16は、通報処理システム1に対応するアプリケーションを搭載する。例えば、利用者は、エレベーター2の管理を行う保守会社のウェブサイトなどに携帯端末16からアクセスすることにより、携帯端末16への当該アプリケーションのダウンロードおよびインストールを行うことができる。当該アプリケーションは、携帯端末16に、発信機12から受信した識別情報を遠隔監視センター17に設けられた装置にネットワーク15を通じて送信させる。
【0022】
通報処理装置14は、例えば遠隔監視センター17に設けられる。通報処理装置14は、受信部18と、送信部19と、属性情報記憶部20と、通報状況記憶部21と、メッセージ記憶部22と、災害状況判定部23と、通報状況判定部24と、応答生成部25と、を備える。
【0023】
受信部18は、携帯端末16から送信された識別情報を受信しうるように、ネットワーク15に接続される。送信部19は、識別情報を送信した携帯端末16に表示される内容を表す応答信号を送信しうるように、ネットワーク15に接続される。
【0024】
属性情報記憶部20は、識別情報と、エレベーター2の属性情報とを対応づけて記憶する部分である。属性情報は、例えばエレベーター2が設けられる建築物の名称および住所ならびにエレベーター2の機種などの情報を含む。
【0025】
通報状況記憶部21は、識別情報と、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報状況とを対応付けて記憶する部分である。通報状況は、例えば、通報されたエレベーター2の状態、および通報に対する技術者の派遣の有無などの情報を含む。
【0026】
メッセージ記憶部22は、エレベーター2の状態と、エレベーター2の利用者に対して報知するメッセージとを対応づけて記憶する部分である。
【0027】
災害状況判定部23は、災害の発生を判定する部分である。ここで、災害状況判定部23が発生を判定する災害は、エレベーター2の運転状態への影響が広い地理的範囲に及ぶ事象である。エレベーター2の運転状態への影響は、例えば安全装置の作動、またはエレベーター2の機器の故障もしくは不調などである。災害は、例えば自然現象によって発生する地震などの広域災害、または人為的な原因によって発生する事象を含む。災害状況判定部23は、災害フラグの状態を記憶する。災害フラグは、ONまたはOFFのいずれかの状態を持つ。災害フラグの状態は、災害が発生するときにONに切り替えられる。災害状況判定部23は、災害フラグの状態に基づいて災害の発生を判定する。
【0028】
通報状況判定部24は、識別情報によって識別されるエレベーター2について通報の有無を判定する部分である。
【0029】
応答生成部25は、識別情報を送信した携帯端末16に表示させる内容を表す応答信号を生成する部分である。
【0030】
続いて、通常時における通報処理システム1の機能を説明する。通常時において、災害状況判定部23の災害フラグの状態はOFFに設定されている。この例において、携帯端末16に搭載されているアプリケーションは、自動呼び登録の機能を備える。
【0031】
携帯端末16を所持している利用者は、エレベーター2の乗場9に接近する。携帯端末16は、発信機12が発信する無線信号の受信によって、エレベーター2への近接を検知する。携帯端末16は、通報処理システム1に対応するアプリケーションを起動させる。携帯端末16は、受信した無線信号から識別情報を取得する。携帯端末16は、取得した識別情報を通報処理装置14に送信する。
【0032】
通報処理装置14の受信部18は、ネットワーク15を通じて携帯端末16から識別情報を受信する。受信部18が識別情報を受信するときに、災害状況判定部23は、災害フラグの状態を参照する。災害フラグの状態がOFFなので、災害状況判定部23は、災害が発生していないと判定する。災害状況判定部23は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0033】
応答生成部25は、受信した判定結果に基づいて、受信部18が受信した識別情報によって識別されるエレベーター2の呼びの登録を表す信号を生成する。当該呼びは、例えば当該発信機12が設置された階の乗場呼びである。送信部19は、応答生成部25が生成した信号を、当該エレベーター2に遠隔監視装置13を通じて送信する。
【0034】
エレベーター2の制御盤4は、受信した信号に基づいて呼びを登録する。
【0035】
応答生成部25は、呼び登録済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0036】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0037】
続いて、災害発生時における通報処理システム1の機能を説明する。ここで、災害として、予め設定された基準より大きい地震が発生した場合を例として説明する。
【0038】
エレベーター2の地震計5は、地震を検知する。制御盤4は、地震計5の検知信号に基づいて安全装置を作動させる。安全装置は、かご3の走行を停止させる。遠隔監視装置13は、地震計5からの検知信号に基づいて制御盤4が安全装置を作動させたことを検知する。遠隔監視装置13は、安全装置の作動を表す信号を遠隔監視センター17に設けられた装置にネットワーク15を介して送信する。ここで、広い地理的範囲におけるエレベーター2の運転状態は、発生した災害による影響を受けている。このため、例えば通信の輻輳によって、遠隔監視装置13による安全装置の作動を知らせる通報が困難な場合がある。
【0039】
例えば災害発生時にかご3に乗車していた利用者、またはこれからかご3に乗車しようとしている利用者は、かご3の走行が停止したエレベーター2の状態について通報を試みる。ここで、例えば災害の発生によって起きる通信の輻輳によって、かご3内に設けられた非常通話装置8による通報が困難な場合がある。このとき、災害状況判定部23は、例えば音声通話などの通信の輻輳を検知して災害フラグの状態をONに切り替える。
【0040】
かご3に乗車している利用者は、携帯端末16からの通報を試みて、アプリケーションを起動する。携帯端末16は、発信機12から無線信号を受信する。携帯端末16は、受信した無線信号から識別情報を取得する。携帯端末16は、取得した識別情報を通報処理装置14に送信する。
【0041】
通報処理装置14の受信部18は、携帯端末16から識別情報を受信する。受信部18が識別情報を受信するときに、災害状況判定部23は、災害フラグの状態を参照する。災害フラグの状態がONに切り替えられているときに、災害状況判定部23は、災害が発生していると判定する。災害状況判定部23は、判定結果を通報状況判定部24に送信する。
【0042】
災害が発生していると災害状況判定部23が判定する場合に、通報状況判定部24は、受信部18が受信した識別情報に対応づけて通報状況記憶部21が記憶している通報状況を参照する。通報状況判定部24は、当該識別情報に対応する通報状況が通報状況記憶部21に記憶されている場合に、当該識別情報によって識別されるエレベーター2について既に通報があったと判定する。一方、通報状況判定部24は、当該識別情報に対応する通報状況が通報状況記憶部21に記憶されていない場合に、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についてまだ通報がないと判定する。通報状況判定部24は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0043】
既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。通報済みのメッセージは、例えば「既にご連絡を頂いています。」などの文字列を含む。既にあった通報に対して既に技術者が派遣されている場合に、当該メッセージは、「既にご連絡を頂き、技術者を手配済みです。」などの文字列を含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0044】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0045】
一方、まだ通報がないと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。通報を受け付けるメッセージは、例えばチェックボックスなどによって選択可能なリストによって列挙される「かご内閉じ込め」、「停止中」、および「運転中」などの項目を含む。ここで、例えば「運転中」の項目は、チェックボックスなどによって選択可能なリストによって列挙される「異常音」、「ランプ切れ」、および「その他」などの項目を下位項目として含んでもよい。さらに、「その他」の項目は、当該項目が選択された場合に詳細情報を文字入力する例えばテキストボックスを含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0046】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、表示された内容に基づいて、エレベーター2の状態を列挙された項目から選択する。携帯端末16は、選択された項目を表す情報を通報処理装置14に送信することで通報を行う。
【0047】
通報処理装置14の受信部18は、携帯端末16から選択された項目を表す情報を受信する。通報状況判定部24は、受信部18が受信した情報に基づいて、通報状況を識別情報に対応づけて通報状況記憶部21に記憶させる。
【0048】
遠隔監視センター17において、通報状況記憶部21が記憶している情報に基づいて、通報に対して派遣される技術者の手配が行われる。技術者の手配は、遠隔監視センター17に設けられる例えばサーバー装置が通報の受付と同時に行ってもよい。あるいは、技術者の手配は、遠隔監視センター17のオペレーターが行ってもよい。
【0049】
応答生成部25は、受付済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。受付済みのメッセージは、例えば「ご連絡ありがとうございました。」などの文字列を含む。例えば通報の受付と同時に技術者が手配される場合に、当該メッセージは、「技術者を手配しました。ご連絡ありがとうございました。」などの文字列を含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0050】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0051】
ここで、災害発生時にかご3に乗車していなかった利用者が、乗場9に接近してエレベーター2の停止に気が付く場合がある。このとき、利用者が所持している携帯端末16は、発信機12が発信する無線信号の受信によって、エレベーター2への近接を検知する。携帯端末16は、通報処理システム1に対応するアプリケーションを起動させる。携帯端末16は、受信した無線信号から識別情報を取得する。携帯端末16は、取得した識別情報を通報処理装置14に送信する。
【0052】
その後、携帯端末16および通報処理装置14は、かご3の内側において携帯端末16のアプリケーションが起動された場合と同様に通信を行う。かご3の停止に気が付いた利用者は、携帯端末16からの通報を試みる。携帯端末16のアプリケーションは既に発信機12からの無線信号の受信によって起動しているので、利用者は、既に通報がされているか否かを当該アプリケーションの表示から確認する。
【0053】
続いて、
図2を用いて、実施の形態1に係る通報処理装置14の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS01において、受信部18は、携帯端末16から識別情報を受信する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS02に進む。
【0055】
ステップS02において、災害状況判定部23は、災害が発生しているかを判定する。判定結果がNoの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS03に進む。判定結果がYesの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS04に進む。
【0056】
ステップS03において、応答生成部25は、受信部18が受信した識別情報によって識別されるエレベーター2の呼びの登録を表す信号を生成する。その後、送信部19は、生成された信号を遠隔監視装置13に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、終了する。
【0057】
ステップS04において、災害状況判定部23は、受信した識別情報に識別されるエレベーター2について通報が既にあったかを判定する。判定結果がYesの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS05に進む。判定結果がNoの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS06に進む。
【0058】
ステップS05において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、終了する。
【0059】
ステップS06において、応答生成部25は、通報を受け付けるメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS07に進む。
【0060】
ステップS07において、受信部18は、携帯端末16から通報の情報を受信する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS08に進む。
【0061】
ステップS08において、通報情報記憶部は、受信した通報の情報に基づいて、既に受信した識別情報と通報状況とを対応付けて記憶する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS09に進む。
【0062】
ステップS09において、応答生成部25は、受付済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、終了する。
【0063】
以上に説明したように、実施の形態1に係る通報処理システム1は、発信機12と、通報処理装置14と、を備える。発信機12は、エレベーター2に設けられる。発信機12は、当該エレベーター2を識別する識別情報を無線信号によって発信する。通報処理装置14は、受信部18と、送信部19と、通報状況記憶部21と、通報状況判定部24と、応答生成部25と、を備える。受信部18は、識別情報を携帯端末16から受信する。識別情報は、発信機12から無線通信によって携帯端末16に送信される。送信部19は、携帯端末16に表示される内容を表す応答信号を携帯端末16に送信する。通報状況記憶部21は、識別情報に対応付けて当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報状況を記憶する。通報状況判定部24は、通報状況記憶部21が記憶している通報状況に基づいて、携帯端末16から受信部18が識別情報を受信したときに当該識別情報によって識別されるエレベーター2について既に通報があったかを判定する。応答生成部25は、携帯端末16に表示される内容を表す応答信号として、既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成する。応答生成部25は、携帯端末16に表示される内容を表す応答信号として、まだ通報がなかったと前記通報状況判定部24が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する。
【0064】
特に、災害発生時において、広い地理的範囲におけるエレベーター2の運転状態が影響を受ける。このとき、同じエレベーター2について運転状態が影響を受けていることを発見する利用者も多くなる。通報処理装置14によって、利用者は、通報を行おうとするエレベーター2について既に通報がされているかを容易に把握できる。このため、同じエレベーター2について災害の影響を発見した複数の利用者からの重複した通報が抑制される。これにより、重複した通報による通信負荷が抑制される。また、音声通話が困難な場合においても、通報処理装置14は、利用者に安心感を与えられる。
【0065】
また、携帯端末16は、エレベーター2に設けられる発信機12から識別情報を取得する。利用者は、通報を行おうとするエレベーター2について既に通報がされているかを識別情報の入力を必要とせずに容易に把握できる。また、通報処理装置14から識別情報の入力を携帯端末16に求める通信を別途必要としない。これにより、通報による通信負荷が抑制される。
【0066】
また、通報処理装置14は、災害状況判定部23を備える。災害状況判定部23は、受信部18が識別情報を受信したときに災害が発生しているかを判定する。
【0067】
これにより、通報処理装置14に対応するアプリケーションは、通常時においてエレベーター2についての通報の他の機能を発揮できる。一般に、携帯端末16からエレベーター2についての通報を必要とする事態は日常的に行われない。このため、通報の機能のみを有するアプリケーションは利用者によって携帯端末16にインストールされにくい。通報処理装置14に対応するアプリケーションが通常時は他の機能を発揮できるので、同アプリケーションが利用者の携帯端末16にインストールされやすい。このため、通報処理システム1が利用されやすくなる。
【0068】
また、応答生成部25は、受信部18が識別情報を受信したときに災害が発生していないと災害状況判定部23が判定する場合に、呼びの登録を表す信号を生成する。送信部19は、応答生成部25が生成した呼びの登録を表す信号を当該識別情報に識別されるエレベーター2に送信する。
【0069】
これにより、通常時の利用者の利便性が向上する。呼びの登録の機能は、エレベーター2の利用者に対するサービスである。このため、通報処理装置14に対応するアプリケーションは、エレベーター2の利用者が所持する携帯端末16にインストールされやすくなる。したがって、通報処理システム1がより利用されやすくなる。
【0070】
なお、通報処理システム1は、遠隔監視装置13を備えなくてもよい。携帯端末16に搭載されているアプリケーションは、エレベーター2についての通報の専用アプリケーションであってもよい。通報処理システム1の発信機12は、遠隔監視装置13が設けられていないエレベーター2に設けられてもよい。
【0071】
また、通報状況記憶部21は、非常通話装置8の音声通話による通報と、携帯端末16による通報とを同様に通報状況として記憶してもよい。
【0072】
また、通報処理装置14は、異なる地域に設けられる複数のエレベーター2についての通報を、単一の装置によって受け付けてもよい。通報処理装置14は、異なる地域に設けられる複数のエレベーター2についての通報を、地域ごとに設けられる複数の装置によって受け付けてもよい。このとき、例えばメッセージ記憶部22などの通報処理装置14の部分の一部は、複数の装置の間で共有されてもよい。
【0073】
また、災害状況判定部23は、例えば公的機関などの外部の災害情報サーバーからの情報に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。災害状況判定部23は、例えば遠隔監視装置13から受信する安全装置の作動を表す信号に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。災害状況判定部23は、例えば遠隔監視センター17のオペレーターによる操作に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。
【0074】
通報処理装置14は、通報状況記憶部21が記憶している情報に基づいて、通報に対して派遣される技術者の手配を行う手配部を備えてもよい。手配部は、通報の受付と同時に技術者の手配を行う。手配部は、例えば通報されたエレベーター2の位置を、属性情報記憶部20から参照した建築物の住所などから取得する。手配部は、例えば当該エレベーター2の近隣にいる技術者を選択して派遣の指示を行う。技術者の位置情報は、例えば技術者が所持している端末装置が衛星航法などによって取得した位置情報であってもよい。手配部による派遣の指示は、例えば技術者が所持している端末装置に派遣指示の信号を送信することによって行われてもよい。
【0075】
続いて、
図3を用いて通報処理装置14のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係る通報処理装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0076】
通報処理装置14の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ14bと少なくとも1つのメモリ14cとを備える。処理回路は、プロセッサ14bおよびメモリ14cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア14aを備えてもよい。
【0077】
処理回路がプロセッサ14bとメモリ14cとを備える場合、通報処理装置14の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ14cに格納される。プロセッサ14bは、メモリ14cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、通報処理装置14の各機能を実現する。
【0078】
プロセッサ14bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ14cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0079】
処理回路が専用のハードウェア14aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0080】
通報処理装置14の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、通報処理装置14の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。通報処理装置14の各機能について、一部を専用のハードウェア14aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア14a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで通報処理装置14の各機能を実現する。
【0081】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0082】
実施の形態2に係る通報状況記憶部21は、識別情報と、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報状況と、緊急度とを対応付けて記憶する。ここで、緊急度は、例えばエレベーター2の状態に対応して予め設定される。例えば「かご内閉じ込め」状態の緊急度は、「高」に設定される。例えば「停止中」状態の緊急度は、「中」に設定される。例えば「運転中」状態の緊急度は、「低」に設定される。
【0083】
続いて、災害発生時における通報処理システム1の機能を、特に実施の形態1で開示された例と相違する点について説明する。
【0084】
通報状況記憶部21が記憶している通報状況に基づいて、既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。ここで、通報済みのメッセージは、通報されたエレベーター2の状態の情報を含む。通報済みのメッセージは、例えば「既に『停止中』とのご連絡を頂いています。」などの文字列を含む。既にあった通報に対して既に技術者が派遣されている場合に、当該メッセージは、「既に『停止中』とのご連絡を頂き、技術者を手配済みです。」などの文字列を含んでもよい。
【0085】
応答生成部25は、既にあった通報の緊急度に対応したメッセージをメッセージ記憶部22からさらに取得する。例えば緊急度「高」の場合に、当該メッセージは、例えば「至急お伺いいたします」などの文字列を含む。例えば緊急度「中」の場合に、当該メッセージは、例えば「午前中にお伺いいたします」などの文字列を含む。例えば緊急度「低」の場合に、当該メッセージは、例えば「本日中にお伺いいたします」などの文字列を含む。
【0086】
応答生成部25は、追加の通報を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22からさらに取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0087】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、自らがしようとしていた通報の内容と既にあった通報の内容とが異なる場合に、再度の通報を試みる。利用者は、表示された内容に基づいて、エレベーター2の状態を列挙された項目から選択する。携帯端末16は、選択された項目を表す情報を通報処理装置14に送信することで再度の通報を行う。
【0088】
通報処理装置14の受信部18は、携帯端末16から選択された項目を表す情報を受信する。通報状況判定部24は、受信した情報による通報の緊急度と、既にあった通報の緊急度とを比較する。通報状況判定部24は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0089】
既にあった通報の緊急度が受信した情報による通報の緊急度以上であると通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0090】
一方、受信した情報による通報の緊急度が既にあった通報の緊急度より高いと判定する場合に、通報状況判定部24は、受信した情報に基づいて通報状況記憶部21が記憶している通報状況を更新する。また、通報処理装置14は、計数部を備えてもよい。計数部は、識別情報ごとに通報回数を計数する部分である。通報状況判定部24は、予め設定された回数に通報回数が達するときに、通報状況記憶部21が記憶している通報状況の緊急度をより高い緊急度に更新してもよい。
【0091】
このとき、通報に対する技術者の手配が再度行われてもよい。技術者の再手配は、例えば既に派遣が指示されている技術者に対して、他の通報に優先して対応するように再度指示をすることによって行われてもよい。あるいは、技術者の再手配は、通報されたエレベーター2の近隣にいる他の技術者に新たに派遣を指示することによって行われてもよい。
【0092】
応答生成部25は、再受付済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。再受付済みのメッセージは、受付済みのメッセージと同様であってもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末16に送信する。
【0093】
携帯端末16は、通報処理装置14から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0094】
続いて、
図4を用いて、実施の形態2に係る通報処理装置14の動作の例を説明する。
図4は、実施の形態2に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0095】
実施の形態2に係る通報処理装置14は、ステップS01からステップS04まで、およびステップS06からステップS09までにおいて、実施の形態1に係る通報処理装置14と同様に動作する。ここで、ステップS04において判定結果がYesの場合に、実施の形態2に係る通報処理装置14の動作は、ステップS10に進む。
【0096】
ステップS10において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表し、かつ、通報を受け付けるメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS11に進む。
【0097】
ステップS11において、受信部18は、携帯端末16から通報の情報を受信する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS12に進む。
【0098】
ステップS12において、通報状況判定部24は、受信した情報による通報の緊急度が既にあった通報の緊急度より高いかを判定する。判定結果がNoの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS13に進む。判定結果がNoの場合に、通報処理装置14の動作は、ステップS14に進む。
【0099】
ステップS13において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、終了する。
【0100】
ステップS14において、通報情報記憶部は、受信した通報の情報に基づいて、記憶している通報状況を更新する。その後、通報処理装置14の動作は、ステップS15に進む。
【0101】
ステップS15において、応答生成部25は、再受付済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末16に送信する。その後、通報処理装置14の動作は、終了する。
【0102】
以上に説明したように、実施の形態2に係る通報処理装置14の通報状況記憶部21は、通報状況に緊急度を対応付けて記憶する。
【0103】
これにより、遠隔監視センター17において、通報の緊急度に応じた技術者の手配がされる。このため、より緊急度の高い通報がより優先的に対応される。
【0104】
また、応答生成部25は、緊急度に応じて異なる応答信号を生成する。
【0105】
これにより、通報の緊急度に応じて異なる対応をとる場合に、通報処理装置14は、当該対応を緊急度に応じて利用者に報知できる。このため、通報処理装置14は、通報を試みた利用者により効果的に安心感を与えられる。
【0106】
また、応答生成部25は、携帯端末16から受信部18が識別情報を受信したときに当該識別情報によって識別されるエレベーター2について既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、当該携帯端末16に表示される内容を表す応答信号を生成する。当該応答信号は、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号である。通報状況記憶部21は、当該エレベーター2について既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーター2について記憶している通報状況を更新する。
【0107】
これにより、時間の経過によってエレベーター2の状態が変化する場合においても、変化した後の状態の緊急度に基づいた対応ができる。また、他の利用者が緊急度の低い通報を既にしている場合においても、利用者は、より高い緊急度の通報をすることができる。例えば、乗場9からエレベーター2が停止していることを発見した利用者が「停止中」の通報をした後においても、当該エレベーター2のかご3に閉じ込められた利用者は、「かご内閉じ込め」の通報をすることができる。このとき、当該エレベーター2についての通報は、より高い緊急度の「かご内閉じ込め」の状態として処理される。このため、置かれた状況の異なる複数の利用者から通報がある場合においても、より緊急度の高い利用者からの通報を反映した対応がされる。
本発明は、重複した通報による通信負荷を抑制するエレベーターの通報処理装置(14)およびエレベーターの通報処理システム(1)を提供することを目的とする。通報状況判定部(24)は、通報状況記憶部(21)が記憶している通報状況に基づいて、エレベーター(2)に設けられる発信機(12)から携帯端末(16)に発信された識別情報を受信部(18)が受信したときに当該エレベーター(2)について既に通報があったかを判定する。応答生成部(25)は、まだ通報がなかったと判定される場合に、通報済みの情報を表す信号を生成する。応答生成部(25)は、既に通報があったと判定される場合に、通報を受け付ける信号を生成する。送信部(19)は、携帯端末(16)に生成された信号を送信する。