特許第6763486号(P6763486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763486
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】人体検出装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/20 20060101AFI20200917BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200917BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20200917BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20200917BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20200917BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200917BHJP
【FI】
   G01V8/20 N
   F21S2/00 390
   F21V23/00 115
   F21V5/00 500
   F21V5/04 350
   F21Y115:10
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-541512(P2019-541512)
(86)(22)【出願日】2017年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2017032854
(87)【国際公開番号】WO2019053775
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】伏江 遼
(72)【発明者】
【氏名】吉野 勇人
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−210307(JP,A)
【文献】 特開2016−001424(JP,A)
【文献】 特開平02−228584(JP,A)
【文献】 特開2012−108058(JP,A)
【文献】 特開2000−097768(JP,A)
【文献】 特開平08−029544(JP,A)
【文献】 特開平09−245209(JP,A)
【文献】 特開平09−230060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/00−8/26
G01J 1/00−1/60
G08B 13/00−15/02
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の視野を有する第一人体検出器と、
前記第一の視野よりも小さく、前記第一の視野と少なくとも部分的に重なる第二の視野を有する第二人体検出器と、
前記第一の視野に対する前記第二の視野の相対位置を調整する位置調整手段と、
を備え、
前記第一人体検出器は、赤外線センサと、レンズアレイとを備え、
前記第二人体検出器は、赤外線センサと、レンズアレイとを備え、
前記第一人体検出器の前記レンズアレイは、最外周にある第一の数のレンズを有し、
前記第二人体検出器の前記レンズアレイは、最外周にある第二の数のレンズを有し、
前記第二の数は、前記第一の数よりも大きい人体検出装置。
【請求項2】
前記位置調整手段は、前記第一人体検出器の光軸と前記第二人体検出器の光軸との間の角度を調整可能である請求項1に記載の人体検出装置。
【請求項3】
前記位置調整手段は、前記第一の視野の位置を移動せずに前記第二の視野の位置を移動可能である請求項1または請求項2に記載の人体検出装置。
【請求項4】
前記位置調整手段は、前記第二の視野の全体が前記第一の視野と重なった状態を維持しながら前記相対位置を調整可能である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の人体検出装置。
【請求項5】
前記第一の視野は、第一縁部と、前記第一の視野の中心を介して前記第一縁部と反対側にある第二縁部とを有し、
前記第二の視野が前記第二縁部よりも前記第一縁部に近くなる第一位置関係と、前記第二の視野が前記第一縁部よりも前記第二縁部に近くなる第二位置関係とを前記位置調整手段により達成可能である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の人体検出装置。
【請求項6】
前記第一人体検出器は、前記第一の視野の外周に分布する複数の第一検出ゾーンを有し、
前記第二人体検出器は、前記第二の視野の外周に分布する複数の第二検出ゾーンを有し、
前記複数の第一検出ゾーンの間の空間は、前記第一人体検出器の不感ゾーンであり、
前記複数の第二検出ゾーンのうちの少なくとも一つが前記第一人体検出器の前記不感ゾーンと重なるように前記位置調整手段により前記相対位置を調整可能である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の人体検出装置。
【請求項7】
前記第一人体検出器の光軸及び前記第二人体検出器の光軸が地面または床面に対して斜めになった状態で使用可能である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の人体検出装置。
【請求項8】
前記位置調整手段は、前記第一人体検出器の光軸と前記第二人体検出器の光軸との間の角度を調整可能であり、
前記第一人体検出器の光軸または前記第二人体検出器の光軸の、地面または床面に対する傾斜角度に関する情報を表示する手段と、
前記第一人体検出器の光軸と前記第二人体検出器の光軸との間の角度に関する情報を表示する手段と、
を備える請求項に記載の人体検出装置。
【請求項9】
前記第二の視野の半分以上が前記第一の視野と重なる請求項1から請求項のいずれか一項に記載の人体検出装置。
【請求項10】
照明器具と、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の人体検出装置と、
を備える照明装置。
【請求項11】
前記第一人体検出器の光軸が前記照明器具の光軸に対して平行である請求項10に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体検出装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焦電素子とレンズアレイとを備えた人体検出器が広く用いられている。レンズアレイは、複数のレンズを有し、それぞれのレンズが赤外線を焦電素子の受光面に集める。下記特許文献1の図3に開示された人体検出器が備えるレンズアレイ(1)は、最外周部に14個、その内側に8個、さらにその内側に4個の、計26個のレンズを有する。このレンズアレイ(1)によれば、同文献の図1のように、検知エリア(7)に検知ビーム(5)が分布する。上記の括弧内は、同文献における符合を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2004−061335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人体検出器は、その視野の中に、人体の存在を検出可能な検出ゾーンと、人体の存在を検出できない不感ゾーンとを有する。個々の検出ゾーンは、レンズアレイの各レンズの光路に相当する。不感ゾーンは、隣り合う検出ゾーンの間の空間に相当する。検出ゾーン及び不感ゾーンは、人体検出器から遠くなるにつれて拡大する。人体が存在しうる検出エリアから人体検出器までの距離が遠くなければ、不感ゾーンの大きさは人体のサイズに比べて小さいので、問題は生じない。
【0005】
しかしながら、検出エリアから人体検出器までの距離が遠い場合がある。検出エリアから人体検出器までの距離が長いと、不感ゾーンが人体のサイズより大きくなりうる。そのような場合には、不感ゾーン内にいる人体を検出できないという問題がある。
【0006】
上記の問題に対して、レンズアレイが有するレンズの数を多くするという対処が考えられる。しかしながら、レンズアレイが有するレンズの数を多くすると以下のような別の問題が生じる。レンズアレイが大型化する。レンズアレイの用途が特殊化する。レンズアレイの汎用性が低下する。レンズアレイのコストが高くなる。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で、人体を検出できない不感ゾーンを減らすことができる人体検出装置、及び当該人体検出装置を備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の人体検出装置は、第一の視野を有する第一人体検出器と、第一の視野よりも小さく、第一の視野と少なくとも部分的に重なる第二の視野を有する第二人体検出器と、第一の視野に対する第二の視野の相対位置を調整する位置調整手段とを備え、第一人体検出器は、赤外線センサと、レンズアレイとを備え、第二人体検出器は、赤外線センサと、レンズアレイとを備え、第一人体検出器のレンズアレイは、最外周にある第一の数のレンズを有し、第二人体検出器のレンズアレイは、最外周にある第二の数のレンズを有し、第二の数は、第一の数よりも大きいものである。
本発明の照明装置は、照明器具と、上記人体検出装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で、人体を検出できない不感ゾーンを減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1による人体検出装置、及びこれを備えた照明装置を示す斜視図である。
図2】実施の形態1による人体検出装置の正面図である。
図3】レンズアレイ及び赤外線センサを有する人体検出器の分解斜視図である。
図4図3に示すレンズアレイの正面図である。
図5図3に示す人体検出器の側面図である。
図6】人体検出器の検出ゾーン及び不感ゾーンについて説明するための図である。
図7】実施の形態1による人体検出装置の視野について説明するための図である。
図8】実施の形態1による照明装置の使用例を示す斜視図である。
図9】実施の形態1による照明装置の使用例を示す側面図である。
図10】実施の形態1による人体検出装置の側面図である。
図11】実施の形態1による人体検出装置の視野を説明するための斜視図である。
図12】実施の形態1による人体検出装置の視野を説明するための斜視図である。
図13】実施の形態1による照明装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による人体検出装置1、及びこれを備えた照明装置10を示す斜視図である。図1に示すように、照明装置10は、人体検出装置1と照明器具11とを備える。本実施の形態の照明器具11は、屋内または屋外の照明器具として好ましく使用できる。特に、本実施の形態の照明器具11は、投光器として使用可能である。照明器具11は、例えば、テニスコート、運動場、ゴルフ練習場、駐車場、工場、倉庫、体育館、プールなどで使用可能である。照明器具11は、地面または床面に対して、斜めの方向から光を照射するように配置可能である。変形例として、照明器具11は、例えば工場、倉庫、体育館、競技施設などの高天井用照明器具として使用可能なものでもよい。すなわち、照明器具11は、天井の近くに取り付けられ、真下へ向けて光を放射する用途に使用可能なものでもよい。
【0013】
照明器具11は、器具本体12、光源13、ヒートシンク14、透光性カバー15、電源部16、及び本体支持器17を備える。光源13、ヒートシンク14、透光性カバー15、及び電源部16は、器具本体12に対して取り付けられている。本体支持器17は、器具本体12を支持する。
【0014】
光源13は、少なくとも一つ設けられていればよい。図示の例では、4個の光源13が設けられている。光源13は、例えば発光ダイオード(LED)を用いた発光素子を備えるものでもよい。図示の例では、光源13は、チップ・オン・ボード(COB)タイプのLEDパッケージを備えている。変形例として、光源13は、例えば、表面実装型LEDパッケージ、砲弾型LEDパッケージ、配光レンズ付きLEDパッケージ、チップ・スケール・パッケージのLEDのうちの少なくとも一つを備えるものでもよい。他の変形例として、光源13は、例えば、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子、半導体レーザなどを備えるものでもよい。
【0015】
ヒートシンク14は、光源13の裏面側にある。ヒートシンク14は、光源13で発生した熱を周囲の空気へ散逸させる。ヒートシンク14は、複数のフィンを備える。ヒートシンク14は、器具本体12の内部空間に配置されている。器具本体12は、複数の開口を有する。それらの開口を通して、器具本体12の内部空間と、器具本体12の外部空間との間を空気が流通可能である。
【0016】
透光性カバー15は、光源13を覆っている。光源13から発せられた光は、透光性カバー15を透過して、外部空間へ放射される。透光性カバー15は、光源13から発せられた光を正透過または拡散透過させる。透光性カバー15を備えたことで、光源13に汚れが付着することを防止できる。透光性カバー15は、例えば、ガラス製でもよいし、ポリカーボネートのような樹脂材料で作られていてもよい。
【0017】
電源部16は、光源13に対して反対側で器具本体12に取り付けられている。電源部16は、交流電力を直流電力に変換する電源回路を備える。電源部16から光源13へ供給される直流電力が光源13を点灯させる。変形例として、照明器具11は、電源部16を備えなくてもよい。すなわち、照明器具11の外部に設置された電源部から照明器具11が直流電力の供給を受けるようにしてもよい。
【0018】
本体支持器17は、ベース部17aと、ベース部17aから突出する一対の腕部17bとを有する。ベース部17aは、例えば、建造物、支柱、地面、床などに対して固定される。一対の腕部17bに対して器具本体12がボルト18により固定されている。ボルト18を緩めると、器具本体12は、ボルト18を中心として回転可能になる。器具本体12を回転させた後にボルト18を再び締め付けると、本体支持器17に対する器具本体12の固定角度を変えることができる。このようにして、照明器具11の投光方向を調整することができる。図示の例では、ベース部17aが水平になる姿勢で本体支持器17が配置されているが、ベース部17aが垂直または斜めになる姿勢で本体支持器17を配置してもよい。
【0019】
照明器具11は、角度ゲージ19を備える。角度ゲージ19は、本体支持器17に対する器具本体12の角度を表示するための目盛りを有する。角度ゲージ19によれば、本体支持器17に対する器具本体12の角度を知ることができるので、照明器具11の投光方向の角度を知ることができる。
【0020】
器具本体12にブラケット20が取り付けられている。ブラケット20に人体検出装置1が取り付けられている。人体検出装置1は、器具本体12と一体となって、本体支持器17に対して回転可能である。人体検出装置1は、電気ケーブル21を介して、電源部16に接続されている。電源部16からの電力が電気ケーブル21を介して人体検出装置1に供給される。人体検出装置1からの検出信号が電気ケーブル21を介して電源部16に入力される。
【0021】
人体検出装置1は、第一人体検出器2A、第二人体検出器2B、遮光カバー5、及び位置調整装置7を備える。遮光カバー5は、照明器具11から放射された光が、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの受光部に入射しないように、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの周囲を覆うためのものである。位置調整装置7については後述する。
【0022】
図2は、実施の形態1による人体検出装置1の正面図である。図2は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの光軸に平行な方向から見た図である。第一人体検出器2Aは、レンズアレイ3A及び筐体4Aを備える。レンズアレイ3Aは、筐体4Aの一つの面に設置されている。第二人体検出器2Bは、レンズアレイ3B及び筐体4Bを備える。レンズアレイ3Bは、筐体4Bの一つの面に設置されている。筐体4A,4Bの内部には、それぞれ、後述する赤外線センサ6が配置されている。
【0023】
第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bは、互いに隣接して配置されている。第一人体検出器2Aの中心と、第二人体検出器2Bの中心との距離は、例えば1cmから10cm程度でもよい。
【0024】
図3は、レンズアレイ3及び赤外線センサ6を有する人体検出器2の分解斜視図である。図4は、図3に示すレンズアレイ3の正面図である。図5は、図3に示す人体検出器2の側面図である。実施の形態1における第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bは、図3から図5に示す人体検出器2に類似した構成を有する。そこで、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの説明として、代表して人体検出器2について説明する。
【0025】
図3及び図5に示すように、人体検出器2は、赤外線センサ6を備える。赤外線センサ6は、赤外線を受光する受光面6aを有する。本実施の形態における赤外線センサ6は、焦電素子を有する焦電型の赤外線センサである。これに代えて、例えば、サーモパイルを利用した熱起電力型の赤外線センサ、導電型の赤外線センサ、熱膨張型の赤外線センサのいずれかを赤外線センサ6として用いてもよい。以下の説明では、受光面6aの中心を通る受光面6aの法線を、人体検出器2及び赤外線センサ6の「光軸」と称する。図5に示すように、人体検出器2において、レンズアレイ3の中心線は、人体検出器2及び赤外線センサ6の光軸AXに一致する。
【0026】
図4に示すように、レンズアレイ3は、複数のレンズ3a,3b,3cを有する。レンズ3a,3b,3cのそれぞれは、赤外線センサ6の受光面6aに赤外線を集めるように構成されている。レンズアレイ3の外形は、レンズアレイ3の中心線の方向から見て、円形である。レンズ3a,3b,3cのそれぞれは、集光レンズである。レンズ3a,3b,3cのそれぞれは、凸レンズでもよい。レンズ3a,3b,3cのそれぞれは、非球面レンズでもよい。レンズ3a,3b,3cのそれぞれは、フレネルレンズでもよい。
【0027】
レンズアレイ3は、赤外線透過性を有する材料で作られている。レンズアレイ3の材料は、例えば、ポリエチレンでもよい。レンズアレイ3は、例えば、射出成形法または圧縮成形法により製造されてもよい。レンズアレイ3の材料は、例えば、二酸化チタンまたは酸化亜鉛のような顔料を含有してもよい。
【0028】
レンズアレイ3の中心線に平行な方向から見て、レンズアレイ3の外形は円形である。図示の例のレンズアレイ3は、8個のレンズ3aと、8個のレンズ3bと、4個のレンズ3cとを有する。レンズ3aは、レンズアレイ3の中心線から最も遠い最外周部に位置する。レンズ3aは、周方向に沿って均等に配置されている。すなわち、レンズ3aは、レンズアレイ3の中心線の周りに、45度間隔で配置されている。レンズ3bは、レンズ3aに対して内側にある。レンズ3bは、周方向に沿って均等に配置されている。すなわち、レンズ3bは、レンズアレイ3の中心線の周りに、45度間隔で配置されている。レンズ3cは、レンズ3bに対して内側にある。レンズ3cは、レンズアレイ3の中心線に最も近い最内周部に位置する。レンズ3cは、周方向に沿って均等に配置されている。すなわち、レンズ3cは、レンズアレイ3の中心線の周りに、90度間隔で配置されている。このレンズアレイ3では、中心から外側に向かって、レンズ3cと、レンズ3bと、レンズaとが3重の輪状に配置されている。
【0029】
図6は、人体検出器2の検出ゾーン及び不感ゾーンについて説明するための図である。図6は、水平方向から見た図である。図6は、模式的な図である。図6中の寸法比は、実際の寸法比を反映している訳ではない。図6において、人体検出器2のサイズは、極端に大きく誇張して描かれている。
【0030】
図6では、説明の便宜上、以下のようにする。人体検出器2のレンズアレイ3は、複数のレンズ31を備える。レンズアレイ3は、断面図として表されている。平面100は、人体検出器2により検出される可能性のある人が立っている地面または床面である。平面100から人体検出器2までの距離は、例えば、数mから20m程度でもよい。
【0031】
人体検出器2は、複数の検出ゾーン70を有する。人体検出器2が有する複数の検出ゾーン70が分布している空間は、人体検出器2の視野に相当する。個々の検出ゾーン70は、平面100から、レンズアレイ3の複数のレンズ31のそれぞれを通って、赤外線センサ6の受光面6aに至る、個々の赤外線の光路に対応する。不感ゾーン80は、隣り合う検出ゾーン70の間の空間に相当する。人体検出器2の視野の中には、複数の検出ゾーン70と、不感ゾーン80とが存在する。検出ゾーン70及び不感ゾーン80は、人体検出器2からの距離が長くなるにつれて拡大する。人体検出器2は、検出ゾーン70内に存在する人体200を検出可能である。人体検出器2は、不感ゾーン80内に存在する人体300を検出することはできない。不感ゾーン80内に存在する人体300からの赤外線は、赤外線センサ6の受光面6aに到達できないからである。
【0032】
なお、赤外線センサ6が、例えば、四つの矩形の受光電極を受光面6aに有するクワッド型の焦電素子を有する場合には、個々の検出ゾーン70は、実際には、当該受光電極の形状に対応した矩形断面を有する四つのセクションの集合として構成される。このような点に関して、図6、及び後述する図においては、図面を簡単にするための都合上、個々の検出ゾーン70の形状を簡略化して示す。また、赤外線センサ6が備える焦電素子は、クワッド型に限定されるものではなく、シングル型、デュアル型、デュアルツイン型など、いかなるものでもよいことは言うまでもない。
【0033】
図7は、実施の形態1による人体検出装置1の視野について説明するための図である。図7は、模式的な図である。図7中の寸法比は、実際の寸法比を反映している訳ではない。図7中のL1は、第一人体検出器2Aと第二人体検出器2Bとの間の距離である。例えば、第一人体検出器2Aの中心と、第二人体検出器2Bの中心との距離が距離L1に相当する。距離L1は、例えば1cmから10cm程度である。
【0034】
第一人体検出器2Aは、第一の視野9Aを有する。第二人体検出器2Bは、第一の視野9Aと少なくとも部分的に重なる第二の視野9Bを有する。第二の視野9Bは、第一の視野9Aよりも小さい。すなわち、第二の視野9Bの視野角βは、第一の視野9Aの視野角αよりも小さい。本実施の形態において、第一の視野9A及び第二の視野9Bのそれぞれは、三次元空間において円錐状の形状を有する。変形例として、第一の視野9A及び第二の視野9Bのそれぞれは、三次元空間において四角錐状の形状を有してもよい。
【0035】
図7中のL2は、人体検出装置1により検出される可能性のある人が立っている平面100における第一の視野9Aの幅である。L3は、平面100における第二の視野9Bの幅である。平面100から、人体検出装置1までの距離は、例えば、数mから20m程度でもよい。その場合、幅L2,L3は、10mから数十m程度になりうる。このように、実際の寸法比では、距離L1に対して、幅L2,L3が圧倒的に大きい。したがって、図6の状態では、実際には、第二の視野9Bの実質的に全体が第一の視野9Aに重なっているとみなせる。
【0036】
変形例として、第二の視野9Bは、第一の視野9Aに重ならない部分を有してもよい。すなわち、第二の視野9Bの一部が第一の視野9Aの外に食み出してもよい。第二の視野9Bの大部分が第一の視野9Aに重なることが好ましい。ただし、第二の視野9Bの半分以上が第一の視野9Aに重なっていればよい。
【0037】
図8及び図9は、実施の形態1による照明装置10の使用例を示す図である。図8は斜視図であり、図9は側面図である。図8及び図9は、照明器具11が斜め上の方向から平面100に対して光を照射するように照明装置10が設置された例を示している。図8及び図9は、模式的な図である。図8及び図9中の寸法比は、実際の寸法比を反映している訳ではない。
【0038】
照射領域101は、照明器具11の点灯時に照明器具11からの光が平面100に照射される領域を示す。斜め上の方向から平面100に対して光が照射されることで、照射領域101は楕円形になる。図9中で平面100の下に描かれている照射領域101は、平面100を真上から見たときの照射領域101の形状を示す。平面100と第一の視野9Aとが交わる領域の形状も楕円形になる。平面100と第二の視野9Bとが交わる領域の形状も楕円形になる。図8及び図9のように第一の視野9A及び第二の視野9Bを配置することで、照射領域101にいる人を検出することが可能となる。
【0039】
図10は、実施の形態1による人体検出装置1の側面図である。図10は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの光軸に対して垂直な方向から見た図である。図10では、図面を見やすくするための都合上、遮光カバー5については断面図としている。
【0040】
図10に示すように、人体検出装置1は、位置調整装置7を備える。位置調整装置7は、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を調整する位置調整手段の例である。位置調整装置7は、アーム部7a及び支持軸7bを有する。アーム部7aは、第一人体検出器2Aの筐体4Aに対して回転不能に固定された第一端部と、第二人体検出器2Bの筐体4Bに連結された第二端部とを有する。アーム部7aの第二端部は、支持軸7bを介して第二人体検出器2Bの筐体4Bに連結されている。第二人体検出器2Bの筐体4Bは、アーム部7aに対して、支持軸7bを中心に回転可能である。第二人体検出器2Bの筐体4Bが支持軸7bを中心に回転すると、第一人体検出器2Aの光軸AX1と第二人体検出器2Bの光軸AX2との間の角度θが変化する。以下の説明では、この角度θを「光軸間角度θ」と称する。
【0041】
光軸間角度θを調整することで、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を調整可能である。図示しないネジを緩めることで第二人体検出器2Bの筐体4Bが支持軸7bを中心に回転可能となり、当該ネジを締め付けることで第二人体検出器2Bの筐体4Bがアーム部7aに対して回転不能に固定されるように構成してもよい。第二人体検出器2Bの回転軸となる支持軸7bは、照明器具11における本体支持器17に対する器具本体12の回転軸に対して平行である。
【0042】
図10は、第二人体検出器2Bの光軸AX2が第一人体検出器2Aの光軸AX1に対して平行でない状態を示している。位置調整装置7は、このような状態に代えて、第二人体検出器2Bの光軸AX2が第一人体検出器2Aの光軸AX1に対して平行になる状態にすることもできる。すなわち、位置調整装置7は、光軸間角度θが0度になるようにすることもできる。
【0043】
角度ゲージ22は、光軸間角度θを表示する。角度ゲージ22は、第二人体検出器2Bの筐体4Bに設けられた目盛りと、アーム部7aに設けられた矢印とを有する。この矢印が指す目盛りを読み取ることで、光軸間角度θを知ることができる。
【0044】
照明器具11の器具本体12に固定されたブラケット20に対して、第一人体検出器2Aの筐体4Aが第一ネジ23及び第二ネジ24を用いて固定されている。筐体4Aには、第一ネジ23を中心とする円弧形状を有する長孔25が形成されている。第二ネジ24は、長孔25に挿入している。第一ネジ23及び第二ネジ24を緩めると、第一人体検出器2Aの筐体4Aが第一ネジ23を中心に回転可能になる。筐体4Aが第一ネジ23を中心に回転すると、長孔25に対する第二ネジ24の相対位置は、長孔25の長手方向に沿って移動する。筐体4Aが回転すると、人体検出装置1が全体的に回転する。第一ネジ23及び第二ネジ24を再び締め付けると、その位置で筐体4Aがブラケット20に対して固定される。本実施の形態では、このようにして、照明器具11の器具本体12に対する人体検出装置1の取り付け角度を調整することができる。
【0045】
第一人体検出器2Aの光軸AX1が照明器具11の光軸に平行であれば、照明器具11の照射領域と、人体検出装置1の視野とが一致する。この使用態様においては、例えば、外から照明器具11の照射領域に入ってくる人の体を人体検出装置1により検出して、照明器具11を点灯させるようなことが可能になる。対照的に、第一人体検出器2Aの光軸AX1が照明器具11の光軸に対して非平行としてもよい。この使用態様では、例えば、人の通り道において、照明器具11の照射領域の手前に、人体検出装置1の視野が配置されてもよい。そのようにすることで、人が照明器具11の照射領域に入る手前の位置において、人体検出装置1が人を検出し、照明器具11を点灯させるようなことが可能になる。本実施の形態であれば、照明器具11の器具本体12に対する人体検出装置1の取り付け角度を調整可能な上記の機構を備えたことで、いずれの使用態様にも対応できる。
【0046】
変形例として、照明器具11の器具本体12に対する人体検出装置1の取り付け角度を調整する機構は、無くてもよい。例えば、第一人体検出器2Aの光軸AX1が照明器具11の光軸に平行になるように、人体検出装置1が器具本体12に固定されていてもよい。以下では、原則として、第一人体検出器2Aの光軸AX1が照明器具11の光軸に平行であるものとして説明する。
【0047】
遮光カバー5は、支持軸5aを介して、第一人体検出器2Aの筐体4Aに連結されている。支持軸5aは、支持軸7bに対して平行である。遮光カバー5は、支持軸5aを中心に筐体4Aに対して回転可能である。支持軸5aを中心に遮光カバー5を回転させることで、第一人体検出器2Aに対する遮光カバー5の固定角度を調整可能である。遮光カバー5の固定角度を調整することで、光軸間角度θなどに応じて、遮光カバー5の位置がより適切な位置になるように調整できる。変形例として、遮光カバー5が第一人体検出器2Aに対して回転不能に固定されていてもよい。
【0048】
図2に示すように、第一人体検出器2Aのレンズアレイ3Aは、外周側において周方向に沿って等間隔で輪状に並ぶ複数のレンズ3dと、内周側において周方向に沿って等間隔で輪状に並ぶ複数のレンズ3eとを有する。レンズアレイ3Aでは、中心から外側に向かって、レンズ3eとレンズ3dとが2重の輪状に配置されている。変形例として、レンズアレイ3Aは、前述したレンズアレイ3のように、3重の輪状に配置されたレンズ群を備えるものでもよい。
【0049】
図2に示すように、第二人体検出器2Bのレンズアレイ3Bは、外周側において周方向に沿って等間隔で輪状に並ぶ複数のレンズ3fと、内周側において周方向に沿って等間隔で輪状に並ぶ複数のレンズ3gとを有する。レンズアレイ3Bでは、中心から外側に向かって、レンズ3gとレンズ3fとが2重の輪状に配置されている。変形例として、レンズアレイ3Bは、レンズアレイ3のように、3重の輪状に配置されたレンズ群を備えるものでもよい。
【0050】
図11及び図12は、実施の形態1による人体検出装置1の視野を説明するための斜視図である。図11及び図12は、図8及び図9のような使用例の場合における人体検出装置1の視野を示す。図11及び図12においては、図9と同じように、右斜め上の方向から照明装置10が光を平面100に照射している。第一人体検出器2Aの光軸AX1及び第二人体検出器2Bの光軸AX2も平面100に対して斜めになっている。
【0051】
図11及び図12において、破線の楕円で示される第一の視野9Aは、三次元空間における第一の視野9Aが平面100と交わる領域を示す。図11及び図12において、破線の楕円で示される第二の視野9Bは、三次元空間における第二の視野9Bが平面100と交わる領域を示す。
【0052】
第一人体検出器2Aは、複数の第一検出ゾーン71を有する。図11及び図12に示すように、複数の第一検出ゾーン71は、第一の視野9Aの外周に分布する。第一検出ゾーン71の各々は、レンズアレイ3Aの最外周にあるレンズ3eの各々による検出ゾーンである。図11及び図12において、楕円で示される各々の第一検出ゾーン71は、三次元空間における各々の第一検出ゾーン71が平面100と交わる領域を示す。複数の第一検出ゾーン71で囲まれる内側の領域には、レンズアレイ3Aの複数のレンズ3dによる検出ゾーンが分布しているが、図11及び図12では図示を省略している。第一検出ゾーン71の数は、レンズ3eの数に等しい。ただし、図11及び図12は模式的な図であるため、これらの図に示された第一検出ゾーン71の数は、図2に示されたレンズ3eの数に一致していない可能性がある。
【0053】
第二人体検出器2Bは、複数の第二検出ゾーン72を有する。図11及び図12に示すように、複数の第二検出ゾーン72は、第二の視野9Bの外周に分布する。第二検出ゾーン72の各々は、レンズアレイ3Bの最外周にあるレンズ3fの各々による検出ゾーンである。図11及び図12において、楕円で示される各々の第二検出ゾーン72は、三次元空間における各々の第二検出ゾーン72が平面100と交わる領域を示す。複数の第二検出ゾーン72で囲まれる内側の領域には、レンズアレイ3Bの複数のレンズ3gによる検出ゾーンが分布しているが、図11及び図12では図示を省略している。第二検出ゾーン72の数は、レンズ3fの数に等しい。ただし、図11及び図12は模式的な図であるため、これらの図に示された第二検出ゾーン72の数は、図2に示されたレンズ3fの数に一致していない可能性がある。
【0054】
図11は、第二人体検出器2Bの光軸AX2が第一人体検出器2Aの光軸AX1に対して平行であるときの状態、すなわち光軸間角度θが0度であるときの状態を示す。図11に示すように、第一人体検出器2Aは、不感ゾーン81,82を有する。不感ゾーン81,82は、隣り合う第一検出ゾーン71同士の間の空間である。第一人体検出器2Aの光軸AX1が平面100に対して斜めになっているので、人体検出装置1から遠い位置の不感ゾーン81は、人体検出装置1に近い位置の不感ゾーン82よりも大きくなる。
【0055】
不感ゾーン81は、人体のサイズよりも大きくなりうる。図11に示すように、例えば、第一の視野9Aの外から歩いて来た人400が、第一検出ゾーン71を通らずに、不感ゾーン81を通って第一の視野9Aに入ると、第一人体検出器2Aは、人400の体を検出できない可能性がある。このため、外から第一の視野9Aに入ってきた人400を人体検出装置1がすぐに検出できない可能性がある。
【0056】
光軸間角度θが0度の状態から、図10のように光軸間角度θを調整すると、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置は、図11中の左方向へ移動する。その結果、図12に示す状態になる。図12に示す状態では、少なくとも一つの第二検出ゾーン72が、少なくとも一つの不感ゾーン81と重なる。これにより、以下の効果が得られる。第一の視野9Aの外から歩いて来た人400が、第一検出ゾーン71を通らずに、不感ゾーン81を通って第一の視野9Aに入ったとする。当該不感ゾーン81に重なっている第二検出ゾーン72により、第二人体検出器2Bがその人400の体を検出できる。このようにして、外から第一の視野9Aに入ってきた人400を人体検出装置1がすぐに検出できない事象が生じる可能性を低減できる。
【0057】
本実施の形態であれば、人がいる可能性のある平面100から遠い位置に人体検出装置1が配置されるような場合、特に平面100に対して人体検出装置1が斜めになるように配置されるような場合においても、レンズアレイ3A,3Bが有するレンズの数を多くすることなく、人体検出装置1が人体を検出できない不感ゾーンを減らすことができる。このため、大型のレンズアレイ3A,3Bあるいは特殊なレンズアレイ3A,3Bを必要としないので、汎用性が高く低コストのレンズアレイ3A,3Bを用いて、上記の効果を達成できる。
【0058】
本実施の形態の位置調整装置7は、第一人体検出器2Aの位置を移動せずに第二人体検出器2Bの位置を移動可能である。このため、位置調整装置7は、第一の視野9Aの位置を移動せずに第二の視野9Bの位置を移動可能である。広い方の第一の視野9Aは、人体を検出したい領域、例えば照明器具11の照射領域、に合わせて配置されているので、移動させる必要性は低い。狭い方の第二の視野9Bの位置を適切な位置に移動させることで、前述したような効果が得られる。
【0059】
図11及び図12に示すように、本実施の形態の位置調整装置7は、第二の視野9Bの全体が第一の視野9Aと重なった状態を維持しながら、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を調整可能である。これにより、第一の視野9Aのうちで、不感ゾーンを第二人体検出器2Bによって補償する必要性がある位置に、第二の視野9Bを容易に移動させることが可能となる。
【0060】
本実施の形態の位置調整装置7によれば、光軸間角度θを調整することで、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を、図11及び図12中の「第一の方向」に移動させることができる。第一の視野9Aは、第一縁部91と、第一の視野9Aの中心を介して第一縁部91と反対側にある第二縁部92とを有する。図11に示された位置関係は、第二の視野9Bが第二縁部92よりも第一縁部91に近くなる第一位置関係に相当する。図12に示された位置関係は、第二の視野9Bが第一縁部91よりも第二縁部92に近くなる第二位置関係に相当する。第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を上記のように調整可能であることで、第一の視野9Aのうちで、不感ゾーンを第二人体検出器2Bによって補償する必要性がある位置に、第二の視野9Bを容易に移動させることが可能となる。
【0061】
変形例として、上記相対位置を図11及び図12中の「第一の方向」と直交する「第二の方向」にも移動させることができるように位置調整装置7を構成してもよい。例えば、支持軸7bに対して垂直な支持軸を位置調整装置7がさらに備え、当該支持軸を中心に第二人体検出器2Bの筐体4Bが回転可能に支持されてもよい。
【0062】
第一人体検出器2Aのレンズアレイ3Aの最外周にあるレンズ3eの数、すなわち第一検出ゾーン71の数を「第一の数」とする。第二人体検出器2Bのレンズアレイ3Bの最外周にあるレンズ3fの数、すなわち第二検出ゾーン72の数を「第二の数」とする。本実施の形態では、「第二の数」は、「第一の数」よりも大きい。これにより、以下の効果が得られる。隣り合う第二検出ゾーン72同士の間の不感ゾーンの大きさが十分に小さくなる。このため、隣り合う第一検出ゾーン71同士の間の不感ゾーン81を、第二検出ゾーン72によって補償したときに、不感ゾーン81を通る人体を第二人体検出器2Bがより確実に検出することが可能となる。
【0063】
本実施の形態では、第一人体検出器2Aの光軸AX1が照明器具11の光軸に対して平行となるように固定される一方で、第二人体検出器2Bの光軸AX2が照明器具11の光軸に対して非平行となるように位置調整装置7により調整可能である。これにより、以下の効果が得られる。広い方の第一の視野9Aを、人体を検出したい領域、例えば照明器具11の照射領域、に合わせて、固定しておくことができる。その固定された第一の視野9Aのうちで、不感ゾーンを第二人体検出器2Bによって補償する必要性がある位置に、第二の視野9Bを容易に移動させることが可能となる。上記の構成に代えて、第二人体検出器2Bの光軸AX2が照明器具11の光軸に対して平行となるように固定されてもよい。
【0064】
照明器具11が備える角度ゲージ19によれば、照明器具11の光軸の、平面100に対する傾斜角度(以下、「投光角度」と称する)を知ることができる。投光角度は、第一人体検出器2Aの光軸AX1の、平面100に対する傾斜角度に等しい。よって、角度ゲージ19は、第一人体検出器2Aの光軸AX1または第二人体検出器2Bの光軸AX2の、平面100(地面または床面)に対する傾斜角度に関する情報を表示する手段に相当する。光軸間角度θを表示する角度ゲージ22は、第一人体検出器2Aの光軸AX1と第二人体検出器2Bの光軸AX2との間の角度に関する情報を表示する手段に相当する。
【0065】
照明器具11の投光方向を変えるために、本体支持器17に対して器具本体12を回転させると、第一人体検出器2Aの光軸AX1の、平面100に対する傾斜角度も変化する。すると、平面100における第一の視野9Aと第二の視野9Bとの位置関係も変化するので、光軸間角度θの適切な値も変化する。例えば、角度ゲージ22または角度ゲージ19の近傍に、投光角度に応じた、光軸間角度θの適切な値を示す表を設けてもよい。そのようにすることで、投光角度に応じて光軸間角度θを調整する作業を容易に行うことができる。また、人体検出装置1は、光軸間角度θを自動的に調整する機構を備えてもよい。例えば、投光角度を検出するセンサを設け、検出された投光角度に応じて、光軸間角度θをアクチュエータにより自動的に調整するように構成してもよい。
【0066】
人体検出装置1は、第一人体検出器2Aの光軸AX1及び第二人体検出器2Bの光軸AX2の少なくとも一方が平面100に対して垂直になる姿勢で使用されてもよい。例えば、第一の視野9Aの外周のうち、人が通る可能性の高い位置(例えば人の入口)に第二の視野9Bを近づけるように、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を位置調整装置7によって調整してもよい。
【0067】
図13は、実施の形態1による照明装置10のブロック図である。図13に示すように、照明装置10は、スイッチング素子27を備える。スイッチング素子27は、電源部16から光源13へ給電する経路を開閉する。第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bのそれぞれは、人体の存在を検出すると、人体検出信号を出力する。人体検出装置1は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bからの人体検出信号を受ける制御回路28を備える。制御回路28は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bからの人体検出信号に応じて、スイッチング素子27のオン及びオフを切り替えることで、光源13の点灯、消灯、調光などを制御する。例えば、制御回路28は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bの少なくとも一方から人体検出信号を受信した場合に、光源13を点灯させてもよい。制御回路28は、第一人体検出器2A及び第二人体検出器2Bのいずれも人体検出信号を出力しない状態が続いた場合に、光源13を消灯させてもよい。
【0068】
本実施の形態の位置調整装置7は、第一人体検出器2Aに対する第二人体検出器2B自体の位置を調整することで、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を調整する。このような構成に代えて、第一人体検出器2Aまたは第二人体検出器2Bに入射する赤外線の光路を例えばミラーのような光学素子を用いて調整することで、第一の視野9Aに対する第二の視野9Bの相対位置を調整可能な位置調整手段を用いることもできる。そのような位置調整手段においては、第一人体検出器2Aに対する第二人体検出器2B自体の位置を調整する必要はない。
【0069】
本実施の形態では、二個の人体検出器2を備える人体検出装置1を例に説明した。この例に代えて、三個またはそれ以上の人体検出器2を備える人体検出装置を構成することも可能である。
【0070】
本実施の形態では、人体検出装置1を照明器具11の制御に適用した例について説明したが、人体検出装置1を利用して制御される対象は、照明器具11に限定されるものではない。例えば、空気調和装置、空気清浄装置、換気装置、デジタルサイネージ、テレビ、防犯装置のうちの少なくとも一つに対して、人体検出装置1を利用した制御を適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 人体検出装置、 2 人体検出器、 2A 第一人体検出器、 2B 第二人体検出器、 3,3A,3B レンズアレイ、 3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g レンズ、 4A,4B 筐体、 5 遮光カバー、 6 赤外線センサ、 7 位置調整装置、 7a アーム部、 7b 支持軸、 9A 第一の視野、 9B 第二の視野、 10 照明装置、 11 照明器具、 12 器具本体、 13 光源、 14 ヒートシンク、 15 透光性カバー、 16 電源部、 17 本体支持器、 19,22 角度ゲージ、 27 スイッチング素子、 28 制御回路、 31 レンズ、 70 検出ゾーン、 71 第一検出ゾーン、 72 第二検出ゾーン、 80,81,82 不感ゾーン、 100 平面
図1
図2
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図4
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図10
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図13