【実施例】
【0157】
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0158】
[実施例1]
以下に示す合成例により、MK1〜4を調製した。
【0159】
エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)は、質量分析装置(API2000、販売元:Applied Biosystems社製)を用い、ポジティブイオンモードまたはネガティイオンモードで実施した。
1H NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(JNM-ECS400、JEOL社製)を用い、取得した。化学シフトは、内部標準であるテトラメチルシラン(Me
4Si)に対する相対値δ(ppm)として表される。イオン交換クロマトグラフは、クロマトグラフシステム(ECONO system、Bio-Rad社製)を用いて実施した。前記イオン交換クロマトグラフでは、diethylaminoethyl(DEAE)A-25-Sephadex(Amershambiosciences社製)を充填したガラスカラム(φ25×500mm)を使用した。
【0160】
(合成例1)MK1の合成
【化11】
【0161】
AZ6(290mg、9.06×10
−4mol)を真空乾燥させ、dry−DMF(N,N−ジメチルホルムアミド、3mL)に溶かした。これにHOBt・H
2O(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・一水和物、176mg、1.15×10
−5mol、1.2eq.)、PyBOP(登録商標)(ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム、579mg、1.15×10
−5mol、1.2eq.)、およびDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4.6mL、2.72×10
−2mol、30eq.)を加え、さらにdry−DMF(1mL)に溶かしたNK1(493mg、9.48×10
−4mol、1.1eq.)を加え、撹拌した。前記攪拌開始40分後において、減圧留去し、残渣を水に溶かし、吸引ろ過で沈殿物を回収した。ろ液を逆相カラムクロマトグラフで粗精製した後、ろ物と共にカラムクロマトグラフで精製し、MK1を得た。MK1の物性値を以下に示す。
収量:261mg 収率:60%
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 481.2, calculated for [(M+H)+] = 481.2
found = 503.1, calculated for [(M+Na)+] = 503.2
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.22 (1H, m), 8.11 (1H, s), 8.10 (1H, s), 7.87 (1H, s), 7.63 (1H, d), 6.52 (1H, q), 6.35 (1H, d), 5.27 (1H, s), 3.82 (1H, m), 2.18 (1H, m)
【0162】
(合成例2)MK2の合成
【化12】
【0163】
MK1(108mg、2.25×10
−4mol)を真空乾燥させ、Ar(アルゴン)で置換した。つぎに、dry−DMFで2回(1回目:40mL、2回目:4mL)、およびdry−MeCN(アセトニトリル)で3回(1回目:9mL、2回目:5mL、3回目:5mL)共沸した。dry−Trimethyl phosphate(6mL)で懸濁させた後、dry−Tributhyl amine(130μL、5.44×10
−4mol、2.5eq.)を加えた。そして、氷冷下でPhosphoryl chloride(42μL、4.50×10
−4mol、2eq.)を加え、撹拌した。前記攪拌開始40分後において、再びdry−Tributhyl amine(250μL、1.05×10
−3mol、5eq.)およびPhosphoryl chloride(84μL、4.50×10
−4mol、4eq.)を加え、氷冷下で1時間撹拌した。前記撹拌後、冷1mol/L TEAB(Triethylammonium bicarbonate) buffer(5mL)を加え、5分間撹拌し、クエンチした。そして、減圧留去し、Etherで結晶化させ、吸引ろ過し、黄色固体を得た。前記固体を水に溶かし、陰イオン交換カラムクロマトグラフで精製し、凍結乾燥させ、MK2を得た。MK2の物性値を以下に示す。
収量:30.0μmol 収率:13.4%
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found = 559.1, calculated for [(M-H)-] = 559.2
【0164】
(合成例3)MK3の合成
【化13】
【0165】
MK2(30.03μmol)を真空乾燥させ、dry−Pyridine(10mL)で3回共沸し、一晩真空乾燥させた。前記乾燥後、Arで置換し、dry−DMF(2mL)およびdry−TEA(トリエチルアミン、28μL、1.98×10
−4mol、6.6eq.)で溶かした。さらに、Imidazole(16mg、14.02×10
−4mol、4eq.)、2,2’−Dithiodipyridine(17mg、7.72×10
−4mol、1.6eq.)、およびTriphenylphosphine(20mg、7.63×10
−4mol、1.6eq.)を加え、室温で撹拌した。前記攪拌開始6.5時間後、得られた反応液を、Sodium perchlorate(39mg、3.19×10
−4mol、10eq.)をdry−Acetone(18mL)、dry−Ether(27mL)、およびdry−TEA(2mL)で溶かした溶液に加え、前記添加後4℃で30分静置した。そして、沈殿物をdry−Ether(12mL)で5回デカンテーションした。これを真空乾燥させ、MK3をクルードとして得た。
理論収量:30.03μmol
【0166】
(合成例4)MK4の合成
【化14】
【0167】
MK3(30.03μmol)を真空乾燥させ、Arで置換し、dry−Pyridine(5mL)で2回共沸した後、dry−DMF(1mL)で懸濁させた。これにdry−n−Tributylamine(30μL、1.25×10
−4mol、4eq.)および0.5mol/L n−Tributylamine pyrophosphate in DMF(310μL、1.53×10
−4mol、5eq.)を加え、室温で撹拌した。前記攪拌開始6.5時間後、1mol/L TEAB buffer(5mL)を加え、30分間撹拌し、減圧留去した。これに水を加え、Etherで2回分液し、水層を陰イオン交換カラムクロマトグラフで精製し、凍結乾燥することでMK4を得た。MK4の物性値を以下に示す。
収量:3.33μmol 収率:11.1%
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found = 719.0, calculated for [(M-H)-] = 719.1
【0168】
[実施例2]
MK4を用いて、sIgAに結合する結合核酸分子およびα−アミラーゼに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0169】
(1)結合核酸分子
チミン、グアニンまたはシトシンを含むデオキシリボヌクレオチド(それぞれ、dTTP、dGTP、およびdCTP)に加え、デオキシリボヌクレオチドとしてMK4を用いて作製した候補ポリヌクレオチドを用いた以外は、SELEX法によりターゲットに対する結合核酸分子を取得した。具体的には、ビーズ(Dynabeads MyOne Carboxylic Acid、Invitrogen社)にターゲットであるsIgA(MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製)またはヒト唾液アミラーゼ(Lee BioSolutions, Inc社製)を、添付のプロトコルに基づいて結合させた。前記結合後、セレクションバッファー(SBバッファー:40mmol/L HEPES、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
2、0.01%Tween(登録商標)20、pH7.5)で洗浄し、ターゲットビーズを調製した。5’末端をビオチン修飾した相補鎖(フォワード(Fw)プライマー領域−N30(30塩基)−リバース(Rv)プライマー領域)と、フォワードプライマーおよびDNAポリメラーゼ(KOD Dash、東洋紡社製)と、dTTP、dGTP、dCTPおよびMK4とを用いて、MK4が挿入されたdsDNAを調製した。つぎに、前記ビーズ(Dynabeads MyOne Carboxylic Acid)に前記dsDNAを結合させた後、0.02mol/L NaOH水溶液によりss(single strand)DNAを溶出した。さらに、0.08mol/L 塩酸水溶液で中和することで、ssDNAのライブラリを調製した。20pmolのライブラリを250μgの前記ターゲットビーズと25℃、15分の条件で混合後、前記SBバッファーでビーズを洗浄した。そして、7mol/Lの尿素水溶液によりビーズ結合ssDNAを溶出した。溶出したssDNAを前記フォワードプライマーとビオチン修飾したリバースプライマーとを用いてPCRにより増幅した。なお、前記PCRでは、デオキシリボヌクレオチドとして、dTTP、アデニンを含むデオキシリボヌクレオチド(dATP)、dGTP、およびdCTPを用いた。得られたdsDNAを磁気ビーズ(Dynabeads MyOne SA C1 magnetic beads、Invitrogen社製)に結合させた後、0.02mol/L NaOH水溶液によりフォワード鎖を溶出し、除去した。前記除去後、前記磁気ビーズを前記SBバッファーで洗浄した。前記相補鎖が固相化された磁気ビーズと、フォワードプライマーおよびDNAポリメラーゼ(KOD Dash、東洋紡社製)と、dTTP、dGTP、dCTP、およびMK4とを用いて、前述の方法でMK4が挿入されたdsDNAを調製した。つぎに、0.02mol/L NaOH水溶液によりフォワード鎖を溶出することによりssDNAのライブラリを調製し、このライブラリを次のラウンドに使用した。同様の工程を8ラウンド実施することで、sIgAまたはα−アミラーゼに結合する核酸分子をセレクション後、フォワードプライマーと、ビオチン修飾していないリバースプライマーを用いてPCRを行なった。そして、シーケンサー(GS junior sequencer、Roche社製)により、得られた核酸分子のシーケンスを行った。
【0170】
この結果、α−アミラーゼに対する結合核酸分子として、下記配列番号1の塩基配列からなる結合核酸分子が、sIgAに対する結合核酸分子として、下記配列番号2の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号1および2の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
α−アミラーゼ結合核酸分子1(配列番号1)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCT
AGTG
ACG
AAAATGT
ACG
AGGGGGTC
ATTTG
AAACT
AC
AATGGGCGGGCTT
ATC-3’
sIgA結合核酸分子(配列番号2)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATC
AAGCC
ACGG
AG
AGTCCG
AGGTG
ACC
ATT
AAGC
AGG
AAACT
AC
AATGGGCGGGCTT
A-3’
【0171】
(2)表面プラズモン共鳴(SPR)による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合および前記sIgA結合核酸分子とsIgAとの結合を下記SPR条件により測定した。なお、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および前記sIgA結合核酸分子は、下記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したものを使用した。さらに、コントロール1は、下記アナライトとして、牛血清アルブミン(BSA)を用いた以外は同様にして、コントロール2は、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1の結合を確認する系では、下記アナライトとして、クロモグラニンA(CgA、Creative BioMart社製)を用い、前記sIgA結合核酸分子の結合を確認する系では、下記アナライトとして、前記α−アミラーゼを用いた以外は、同様にして結合を確認した。
【0172】
(SPR測定条件)
測定装置:ProteOn(商標)XPR36(BioRad社製)
測定チップ:ProteOn(商標)NLC Sensor Chip(BioRad社製)
リガンド1:5’末端をビオチン修飾したpolydA(20塩基長):5μmol/L
バッファー:40mmol/L HEPES、125mmol/L NaCl、1mmol/L MgCl
2、5mmol/L KCl、0.01% Tween(登録商標)20、pH7.4
リガンド2:200nmol/Lの3’末端にpolyT(20塩基長)を付加した結合核酸分子を含むバッファー
Ligand Flow Rate:25μL/min、80sec
アナライト(Analyte):400nmol/Lのターゲットを含むバッファー
Analyte Flow Rate:50μL/min
Contact Time:120sec
Dissociation:300sec
・sIgA: IgA (Secretory) ,Human(MP Biomedicals, LLC-Cappel Products社製、カタログ番号: #55905)
・アミラーゼ:α−アミラーゼ(Lee Biosolutions社製、カタログ番号:#120-10)
・CgA:Recombinant full length Human Chromogranin A(Creative BioMart社製、カタログ番号: #CHGA-26904TH)
・BSA:Bovine Serum Albumin(SIGMA社製、カタログ番号:#A7906)
【0173】
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合の結果を
図1に、前記sIgA結合核酸分子とsIgAとの結合の結果を
図2に示す。
図1は、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。
図1において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図1に示すように、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1は、CgAおよびBSAに結合しないのに対し、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1は、α−アミラーゼに結合した。
【0174】
つぎに、
図2は、前記sIgA結合核酸分子のsIgAに対する結合能を示すグラフである。
図2において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図2に示すように、前記sIgA結合核酸分子は、α−アミラーゼおよびBSAに結合しないのに対し、前記sIgA結合核酸分子は、sIgAに結合した。
【0175】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、α−アミラーゼに結合する結合核酸分子およびsIgAに結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0176】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した前記α−アミラーゼ結合核酸分子1を用い、アナライトであるα−アミラーゼの濃度を、5、10、20、40、または80nmol/Lとした以外は、前記(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。また、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した前記sIgA結合核酸分子を用い、アナライトであるsIgAの濃度を、12.5、25、50、100、または200nmol/Lとした以外は、前記(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と前記α−アミラーゼとの解離定数、および前記sIgA結合核酸分子と前記sIgAとの解離定数を算出した。この結果、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と前記α−アミラーゼとの解離定数は、8.14nMであり、前記sIgA結合核酸分子と前記sIgAとの解離定数は、7.63nMであった。これらの結果から、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0177】
(4)キャピラリー電気泳動による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合を下記キャピラリー電気泳動条件により測定した。なお、前記α−アミラーゼ結合核酸分子は、下記クローンとして、その5’末端を20塩基長のTYE(商標)665で標識化したものを使用した。コントロールは、前記ターゲットにおいて、α−アミラーゼを添加しなかった以外は同様にして、測定した。
【0178】
(キャピラリー電気泳動条件)
測定装置:SV1210形コスモアイ(日立ハイテクノロジー社)
測定チップ:i-チップ12(HitachiChemical社)
泳動ゲル:0.6%(Hydroxypropyl)methyl cellulose, viscosity 2.600-5,600(SIGMA社製、カタログ番号: #H7509)
ゲル溶解バッファー:40mmol/L HEPES(pH7.5)、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
2
クローン:200nmol/Lの5’末端をTYE(商標)665で標識化したアミラーゼ結合核酸分子、40mmol/L HEPES(pH7.5)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
2を含む溶液
ターゲット:4μmol/Lのアミラーゼ(α-Amylase - High Purity ,Human 、Lee BioSolutions, Inc.社製、カタログ番号:#120-10)、40mmol/L HEPES(pH7.5)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
2を含む溶液
Folding:95℃、5min後、On ice 5min
Mixing:ターゲットを添加後、室温(25℃前後)、30分間、1000rpm
Injection Voltage:600V
Injection Time:120sec
Separation Voltage:350V
Separation Time:260sec
【0179】
この結果を
図3に示す。
図3は、キャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。
図3において、写真の左側は、泳動時間を示し、各レーンは、左から、コントロール(α−アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼありの結果を示す。
図3に示すように、α−アミラーゼ無しのコントロールと比較して、α−アミラーゼありの場合、泳動時間が長くなった。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0180】
(5)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼ結合核酸分子1と、ストレプトアビジンで修飾されたビーズ(Dynabeads MyOne SA C1 magnetic beads、Invitrogen社製)とを接触させることにより、α−アミラーゼ結合核酸分子結合ビーズ1(以下、「結合ビーズA1」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズA1を、唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)と混合し、室温(25℃前後)で60分間、1000rpmで振盪した。
【0181】
つぎに、振盪後の結合ビーズA1を、前記SBバッファーで3回洗浄処理した。そして、SDSバッファーの存在下、95℃で10分間処理することで、前記結合ビーズA1に結合したα−アミラーゼを溶出した。前記SDSバッファーの組成は、62.5mmol/L Tris、2%SDS、5%スクロース、0.002%ブロモフェノールブルー、1%2−メルカプトエタノールとした。
【0182】
得られた溶出液をゲル(PAGEL C50L、ATTO社製)にロードし、泳動バッファーの存在下、電気泳動を行なった。前記泳動バッファーの組成は、25mmol/L Tris、192mmol/L グリシン、0.1%SDSとした。つぎに、泳動後のゲルを染色剤(Gel Code、Thermo SCIENTIFIC社製、カタログ番号:#24594)で染色し、ChemiDoc(BioRad社製)で撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼに結合しない核酸分子(コントロールの核酸分子1)を使用した以外は同様にして、コントロール2は、α−アミラーゼのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子1(配列番号3)
5’-GGATACCTTAACGCCGCCTATTG-3’
【0183】
この結果を
図4に示す。
図4は、プルダウンの結果を示す写真である。
図4において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、前記唾液サンプル(1)、コントロール1(C1)、およびコントロール2(AMY)を示す。
図4に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約50kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記唾液サンプルでは、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合が確認された。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0184】
[実施例3]
MK4を用いて、ヒトβ−ディフェンシン4Aおよびヒトリゾチームに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0185】
(1)結合核酸分子
ヒトβ−ディフェンシン4Aおよびヒトリゾチームに結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、ヒトβ−ディフェンシン4A(Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#C127)またはヒトリゾチーム(Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#P61626)を用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0186】
この結果、β−ディフェンシン(BDN)4Aに結合する結合核酸分子として、下記配列番号4〜6の塩基配列からなる結合核酸分子が、リゾチームに対する結合核酸分子として、下記配列番号7〜9の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号4〜9の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
BDN4A結合核酸分子1(配列番号4)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCT
ATTTTT
ACGGGGT
AT
AGTTCTCTG
AGG
AGG
AGTTCCC
AGGCG
AAGTTGTT
ATC-3’
BDN4A結合核酸分子2(配列番号5)
5’-CGAGCCGCACATTTCT
ATTTTT
ACGGGGT
AT
AGTTCTCTG
AGG
AGG
AGTTCCC
AGGCG
AAGTTGTT
ATC-3’
BDN4A結合核酸分子3(配列番号6)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTC
ACCGTG
AT
AGTTCTCTG
AGG
AGG
ACTTCT
AG
AGTTCCC
AGGCG
AAGTTGTT
ATC-3’
リゾチーム結合核酸分子1(配列番号7)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCT
AACGGG
AACTTC
AACCC
AT
AC
AGTCTTTTG
AGTTCCC
AGGCG
AAGTTGTT
ATC-3’
リゾチーム結合核酸分子2(配列番号8)
5’-CGAGCCGCACATTTCT
AACGGG
AACTTC
AACCC
AT
AC
AGTCTTTTG
AGTTCCC-3’
リゾチーム結合核酸分子3(配列番号9)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTTT
ACTCCGG
AACCC
AT
AC
AGTCTTTTCCGG
AGTTCCC
AGGCG
AAGTTGTT
ATC-3’
【0187】
(2)SPRによる結合の確認
各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの結合、および各リゾチーム結合核酸分子とリゾチームとの結合は、前記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したBDN4A結合核酸分子またはリゾチーム結合核酸分子を用い、アナライトとして、下記のタンパク質を用いた以外は、前記実施例2(2)と同様にして実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合を確認した。
・β-Defensin 4A:β-Defensin 4A ,Human (Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#C127)
・human Lysozyme:Recombinant Human Lysozyme C (Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#P61626)
【0188】
各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの結合の結果を
図5に、各リゾチーム結合核酸分子とリゾチームとの結合の結果を
図6に示す。
【0189】
図5は、各BDN4A結合核酸分子のBDN4Aに対する結合能を示すグラフである。
図5において、(A)〜(C)は、それぞれ、前記BDN4A結合核酸分子1〜3の結果を示す。
図5において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図5に示すように、前記BDN4A結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、BDN4Aに結合した。
【0190】
つぎに、
図6は、各リゾチーム結合核酸分子のリゾチームに対する結合能を示すグラフである。
図6において、(A)〜(C)は、それぞれ、前記リゾチーム結合核酸分子1〜3の結果を示す。
図6において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図6に示すように、前記リゾチーム結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、リゾチームに結合した。
【0191】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、BDN4Aに結合する結合核酸分子およびリゾチームに結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0192】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各BDN4A結合核酸分子を用い、アナライトであるBDN4Aの濃度を、25、50、100、200、または400nmol/Lとした以外は、前記実施例3(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。さらに、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各リゾチーム結合核酸分子を用い、アナライトであるリゾチームの濃度を、12.5、25、50、100、または200nmol/Lとした以外は、前記実施例3(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの解離定数および各リゾチーム結合核酸分子と前記リゾチームとの解離定数を算出した。これらの結果を下記表1に示す。
【0193】
【表1】
【0194】
前記表1に示すように、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0195】
(4)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したBDN4A結合核酸分子1およびリゾチーム結合核酸分子1を、それぞれ、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、BDN4A結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズC」ともいう)およびリゾチーム結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズD」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズCおよびDを、それぞれ、90(v/v)%の唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)またはBDN4Aもしくはリゾチームを含むSBバッファー(ターゲットサンプル)と混合した以外は、前記実施例2(5)と同様にして、SDS−PAGEを実施し、ゲルを撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾した下記のコントロールの核酸分子2を使用した以外は同様にして、コントロール2は、BDN4A、またはリゾチームのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子2(配列番号10)
5’-GGTAACCGCCCTGTCTTGATAAC-3’
【0196】
つぎに、前記結合ビーズCを用いた結果を
図7に示す。
図7は、前記結合ビーズCを用いたプルダウンの結果を示す写真である。
図7において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン4(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhBDN(コントロール2)、レーンM(マーカー)、レーン8(唾液サンプル)、レーンC2(コントロール1)、およびレーンhBDN(コントロール2)を示す。
図7に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約10kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記BDN4A結合核酸分子1とBDN4Aとの結合が確認された。これらの結果から、前記BDN4A結合核酸分子が、BDN4Aと結合することが分かった。
【0197】
つぎに、前記結合ビーズDを用いた結果を
図8に示す。
図8は、前記結合ビーズDを用いたプルダウンの結果を示す写真であり、(A)は、前記ターゲットサンプルの結果を示し、(B)は、前記唾液サンプルの結果を示す。
図8(A)において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン2(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhLys(コントロール2)、およびレーンM(マーカー)を示し、(B)において、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン6(唾液サンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhLys(コントロール2)、およびレーンM(マーカー)を示す。
図8に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約15kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記リゾチーム結合核酸分子1とリゾチームとの結合が確認された。これらの結果から、前記リゾチーム結合核酸分子が、リゾチームと結合することが分かった。
【0198】
[実施例4]
MK4を用いて、ヒトα−アミラーゼに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0199】
(1)結合核酸分子
ヒトα−アミラーゼに結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、前述のヒトα−アミラーゼを用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0200】
この結果、α−アミラーゼに結合する結合核酸分子として、下記配列番号11〜16の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号11〜16の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
α−アミラーゼ結合核酸分子2(配列番号11)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCT
AGTG
ACG
AAAATGT
ACG
AGGGGGTC
ATTTG
AAACT
A-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子3(配列番号12)
5’-GCAATCTCCCTAATCT
AGTG
ACG
AAAATGT
ACG
AGGGGGTC
ATTTG
AAACT
A-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子4(配列番号13)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATC
AG
ACT
ATT
ATTTC
AAGT
ACGTGGGGGTCTTG
AAACT
AC
AATGGGCGGGCTT
ATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子5(配列番号14)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCT
AAAGTTTCT
AAACG
ATGTGGCGGC
ATTC
AG
AAACT
AC
AATGGGCGGGCTT
ATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子6(配列番号15)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCT
AAAGTTTCT
AAACG
ATGTGGCGGC
ATTC
AG
AAACT-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子7(配列番号16)
5’-GCAATCTCCCTAATCT
AAAGTTTCT
AAACG
ATGTGGCGGC
ATTC
AG
AAACT-3’
【0201】
(2)SPRによる結合の確認
各α−アミラーゼ結合核酸分子とα−アミラーゼとの結合は、前記実施例2(2)における前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と同様にして、実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、CgAおよびBSAを用いた以外は同様にして結合を確認した。これらの結果を
図9に示す。
【0202】
図9は、各α−アミラーゼ結合核酸分子のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。
図9において、(A)〜(F)は、それぞれ、前記α−アミラーゼ結合核酸分子2〜7の結果を示す。
図9において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図9に示すように、各α−アミラーゼ結合核酸分子は、CgAおよびBSAには結合せず、α−アミラーゼに結合した。
【0203】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各α−アミラーゼ結合核酸分子を用い、アナライトであるα−アミラーゼの濃度を、5、10、20、40、または80nmol/Lとした以外は、前記実施例4(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、前記各α−アミラーゼ結合核酸分子と前記α−アミラーゼとの解離定数を算出した。この結果、前記α−アミラーゼ結合核酸分子2〜7と前記α−アミラーゼとの解離定数は、それぞれ、6.91、7.75、5.18、13.2、11.5、および11.1nMであった。これらの結果から、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0204】
(4)キャピラリー電気泳動による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1に加え、前記α−アミラーゼ結合核酸分子5を用いた以外は、前記実施例2(4)と同様にして、測定した。また、コントロールは、前記ターゲットにおいて、α−アミラーゼを添加しなかった以外は同様にして、測定した。
【0205】
この結果を
図10に示す。
図10は、キャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。
図10において、写真の左側は、泳動時間を示し、各レーンは、左から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1のコントロール(α−アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼあり、ならびに前記α−アミラーゼ結合核酸分子5のコントロール(アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼありの結果を示す。
図10に示すように、各α−アミラーゼ結合核酸分子において、α−アミラーゼ無しのコントロールと比較して、α−アミラーゼありの場合、泳動時間が長くなった。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および5が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0206】
(5)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼ結合核酸分子5を、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、α−アミラーゼ結合核酸分子結合ビーズ5(以下、「結合ビーズA5」ともいう)を調製した。そして、前記結合ビーズA1に加え、前記結合ビーズA5を用い、前記サンプルとして、α−アミラーゼを含むターゲットサンプルを用いた以外は、前記実施例2(5)と同様にして、撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼに結合しない核酸分子(前記コントロールの核酸分子1)を使用した以外は同様にして、コントロール2は、α−アミラーゼのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
【0207】
これらの結果を
図11に示す。
図11は、前記結合ビーズA1およびA5を用いたプルダウンの結果を示す写真である。
図11において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、前記結合ビーズA1(1)、前記結合ビーズA5(2)、コントロール1(C1)、およびコントロール2(AMY)を示す。
図11に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約50kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記結合ビーズA1およびA5では、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、α−アミラーゼ結合核酸分子1および5とα−アミラーゼとの結合が確認された。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および5が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0208】
[実施例5]
MK4を用いて、ヒトLDH5およびヒトIL−6に結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0209】
(1)結合核酸分子
ヒトLDH5およびヒトIL−6に結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、ヒトLDH5(Meridian Life Science, Inc.社製、カタログ番号:#A38558H-100)またはヒトIL−6(MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製、カタログ番号:#55905)を用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0210】
この結果、LDH5に結合する結合核酸分子として、下記配列番号17〜20の塩基配列からなる結合核酸分子が、IL−6に対する結合核酸分子として、下記配列番号21〜22の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号17〜22の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
LDH5結合核酸分子1(配列番号17)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTG
AG
ACGG
AT
ATC
AGGTCTCCT
AAGGCTGGCTGGCT
ACT
AT
AC-3’
LDH5結合核酸分子2(配列番号18)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATG
AG
AGGG
AG
ATC
ATCTCTCTGGCGG
AC
AC
AACCT
AAGGCTGGCTGGCT
ACT
AT
AC-3’
LDH5結合核酸分子3(配列番号19)
5’-ACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTG
AG
ACGG
AT
ATC
AGGTCTCCT
AAGGCTGGC-3’
LDH5結合核酸分子4(配列番号20)
5’-TGCTGCTGGCTCGTG
AG
ACGG
AT
ATC
AGGTCTCCT
AAGGCTGGC-3’
IL−6結合核酸分子1(配列番号21)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATG
AGTTC
AATGGT
ATTGT
ATCG
ACTCTTCTCGCCT
AAGGCTGGCTGGCT
ACT
AT
AC-3’
IL−6結合核酸分子2(配列番号22)
5’-ACCTCGCCGTTTATG
AGTTC
AATGGT
ATTGT
ATCG
ACTCTTCTC-3’
【0211】
(2)SPRによる結合の確認
各LDH5結合核酸分子とLDH5との結合、および各IL−6結合核酸分子とIL−6との結合は、前記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したLDH5結合核酸分子またはIL−6結合核酸分子を用い、アナライトとして、下記のタンパク質を用いた以外は、前記実施例2(2)と同様にして実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合を確認した。
・LDH5:Lactate Dehydrogenase 5 ,Human (Meridian Life Science, Inc.社製、カタログ番号:#A38558H-100)
・CgA: Recombinant full length Human Chromogranin A (Creative BioMart社製、カタログ番号:#CHGA-26904TH)
・IL-6: IL-6, Human, Recombinant (PeproTech社製、カタログ番号:#200-06)
・アミラーゼ:α−アミラーゼ(Lee Biosolutions社製、カタログ番号:#120-10)
・sIgA: IgA (Secretory) ,Human (MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製、カタログ番号:#55905)
【0212】
各LDH5結合核酸分子とLDH5との結合の結果を
図12に、各IL−6結合核酸分子とIL−6との結合の結果を
図13に示す。
【0213】
図12は、各LDH5結合核酸分子のLDH5に対する結合能を示すグラフである。
図12において、(A)〜(D)は、それぞれ、前記LDH5結合核酸分子1〜4の結果を示す。
図12において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図12に示すように、各LDH5結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、LDH5に結合した。
【0214】
つぎに、
図13は、各IL−6結合核酸分子のIL−6に対する結合能を示すグラフである。
図13において、(A)〜(B)は、それぞれ、前記IL−6結合核酸分子1〜2の結果を示す。
図13において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。
図13に示すように、各IL−6結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、IL−6に結合した。
【0215】
つぎに、各結合核酸分子の測定チップへの固定化量と、各核酸分子とターゲットとの結合量に基づき、各結合核酸分子の結合能を検討した。具体的には、リガンド2のインジェクション後のシグナル強度(RU)を測定し、これを各核酸分子の測定チップへの固層化量を示すシグナルとして、核酸分子固層化測定値(A)とした。また、アナライトのインジェクションおよびバッファーによる洗浄に並行して、シグナル強度の測定を行った。そして、インジェクション開始を0秒として、115〜125秒の間におけるシグナル強度の平均値を求め、これを、各結合核酸分子とターゲットとの結合量を示すシグナルとして、ターゲット結合測定値(B)とした。そして、ターゲット結合測定値(B)を核酸分子固層化測定値(A)で割った値(B/A)を、相対値(Relative Unit)として求め、これを結合能とした。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合能を確認した。
【0216】
各LDH5結合核酸分子の結果を
図14に、各IL−6結合核酸分子の結果を
図15に示す。
【0217】
図14は、各LDH5結合核酸分子のLDH5への結合量の相対値(Relative Unit)を示すグラフである。
図14において、横軸は、LDH5結合核酸分子の種類を示し、縦軸は、相対値を示す。
図14に示すように、α−アミラーゼまたはsIgAを用いたコントロールでは結合が確認できなかった。これに対し、いずれのLDH5結合核酸分子も、LDH5に結合した。
【0218】
図15は、各IL−6結合核酸分子のIL−6への結合量の相対値を示すグラフである。
図15において、横軸は、IL−6結合核酸分子の種類を示し、縦軸は、相対値を示す。
図15に示すように、α−アミラーゼまたはsIgAを用いたコントロールでは結合が確認できなかった。これに対し、いずれのIL−6結合核酸分子も、IL−6に結合した。
【0219】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、LDH5に結合する結合核酸分子およびIL−6に結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0220】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各LDH5結合核酸分子を用い、アナライトであるLDH5の濃度を、1.25、2.5、5、10、もしくは20nmol/L、または6.25、12.5、25、50、もしくは100nmol/Lとした以外は、前記実施例5(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。さらに、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各IL−6結合核酸分子を用い、アナライトであるIL−6の濃度を、6.25、12.5、25、50、もしくは100nmol/L、または12.5、25、50、100、もしくは200nmol/Lとした以外は、前記実施例5(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、各LDH5結合核酸分子とLDH5との解離定数および各IL−6結合核酸分子と前記IL−6との解離定数を算出した。これらの結果を下記表2に示す。
【0221】
【表2】
【0222】
前記表2に示すように、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。特に、LDH5結合核酸分子2〜4は、ターゲットと極めて優れた結合能を示した。
【0223】
(4)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したLDH5結合核酸分子1を、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、LDH5結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズL」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズLを、それぞれ、90(v/v)%の唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)またはLDH5を含むSBバッファー(ターゲットサンプル)と混合した以外は、前記実施例2(5)と同様にして、SDS−PAGEを実施し、ゲルを撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾した下記のコントロールの核酸分子3を使用した以外は同様にして、コントロール2は、LDH5のみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子3(配列番号23)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATG-3’
【0224】
つぎに、前記結合ビーズLを用いた結果を
図16に示す。
図16は、前記結合ビーズLを用いたプルダウンの結果を示す写真である。
図16において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン1(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンLDH5(コントロール2)、レーンM(マーカー)、レーン2(唾液サンプル)、およびレーンC2(コントロール1)を示す。
図16に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約35kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記LDH5結合核酸分子1とLDH5との結合が確認された。これらの結果から、前記LDH5結合核酸分子が、LDH5と結合することが分かった。
【0225】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0226】
この出願は、2016年9月15日に出願された日本出願特願2016−180894および2017年5月30日に出願された国際特許出願PCT/JP2017/020065を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【0227】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない
(付記1)
下記化学式(1)で表されることを特徴とする、ヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化1】
前記化学式(1)中、
Suは、ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団またはヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団であり、保護基を有しても有しなくてもよく、
L
1およびL
2は、それぞれ独立して、直鎖もしくは分枝状の飽和または不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基であり、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、イミノ基(−NR
1−)、エーテル基(−O−)、またはチオエーテル基(−S−)であり、
R
1は、水素原子または直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基である。
(付記2)
X
1が、イミノ基(−NR
1−)である、付記1記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記3)
X
2が、イミノ基(−NR
1−)である、付記1または2記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記4)
R
1が、水素原子である、付記2または3記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記5)
L
1が、ビニレン基(−CH=CH−)である、付記1から4のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記6)
L
2が、エチレン基(−CH
2−CH
2−)である、付記1から5のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記7)
前記ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団または前記ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団が、下記化学式(2)で表される、付記1から6のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化2】
前記化学式(2)中、
R
2は、水素原子、保護基、または下記化学式(3)で表される基であり、
R
3は、水素原子、保護基、またはホスホロアミダイト基であり、
R
4は、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはメルカプト基であり、
【化3】
前記化学式(3)中、
Yは、酸素原子または硫黄原子であり、
Zは、ヒドロキシル基またはイミダゾール基であり、
mは、1〜10の整数である。
(付記8)
前記化学式(1)で表されるヌクレオシド誘導体が、下記化学式(4)で表されるヌクレオシド誘導体である、付記1から7のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化4】
(付記9)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの合成試薬。
(付記10)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用い、ポリヌクレオチドを合成する合成工程を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの製造方法。
(付記11)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
(付記12)
前記ポリヌクレオチドが、ターゲットに結合する結合核酸分子である、付記11記載のポリヌクレオチド。
(付記13)
前記ターゲットが、分泌型免疫グロブリンA、アミラーゼ、β−ディフェンシン4A、リゾチーム、乳酸脱水素酵素(LDH)5、およびインターロイキン(IL)−6からなる群から選択された少なくとも一つである、付記12記載のポリヌクレオチド。
(付記14)
候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる接触工程、および
前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する選抜工程を含み、
前記候補ポリヌクレオチドが、付記11から13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであることを特徴とする、結合核酸分子の製造方法。
(付記15)
前記ターゲットが、分泌型免疫グロブリンA、アミラーゼ、β−ディフェンシン4A、リゾチーム、乳酸脱水素酵素(LDH)5、およびインターロイキン(IL)−6からなる群から選択された少なくとも一つである、付記14記載の製造方法。
(付記16)
下記(a)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、α−アミラーゼ結合核酸分子。
(a)下記(a1)のポリヌクレオチド
(a1)配列番号1および11〜16のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記17)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記16記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記18)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記17記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記19)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記18記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記20)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記16から19のいずれか一項に記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記21)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のα−アミラーゼを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記16から20のいずれか一項に記載のα−アミラーゼ結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のα−アミラーゼと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のα−アミラーゼを検出することを特徴とする、α−アミラーゼの分析方法。
(付記22)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記21記載のα−アミラーゼの分析方法。
(付記23)
下記(b)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、β−ディフェンシン(BDN)4A結合核酸分子。
(b)下記(b1)のポリヌクレオチド
(b1)配列番号4〜6のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記24)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記23記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記25)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記24記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記26)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記25記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記27)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記23から26のいずれか一項に記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記28)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のβ−ディフェンシン(BDN)4Aを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記23から27のいずれか一項に記載のBDN4A結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のBDN4Aと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のBDN4Aを検出することを特徴とする、BDN4Aの分析方法。
(付記29)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記28記載のBDN4Aの分析方法。
(付記30)
下記(l)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、リゾチーム結合核酸分子。
(l)下記(l1)のポリヌクレオチド
(l1)配列番号7〜9のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記31)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記30記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記32)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記31記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記33)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記32記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記34)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記30から33のいずれか一項に記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記35)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のリゾチームを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記30から34のいずれか一項に記載のリゾチーム結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のリゾチームと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のリゾチームを検出することを特徴とする、リゾチームの分析方法。
(付記36)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記35記載のリゾチームの分析方法。
(付記37)
下記(d)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、乳酸脱水素酵素(LDH)5結合核酸分子。
(d)下記(d1)のポリヌクレオチド
(d1)配列番号17〜20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記38)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記37記載のLDH5結合核酸分子。
(付記39)
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミンである、付記38記載のLDH5結合核酸分子。
(付記40)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記39記載のLDH5結合核酸分子。
(付記41)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記37から40のいずれか一項に記載のLDH5結合核酸分子。
(付記42)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中の乳酸脱水素酵素(LDH)5を検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記37から41のいずれか一項に記載のLDH5結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のLDH5と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のLDH5を検出することを特徴とする、LDH5の分析方法。
(付記43)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記42記載のLDH5の分析方法。
(付記44)
下記(i)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、インターロイキン(IL)−6結合核酸分子。
(i)下記(i1)のポリヌクレオチド
(i1)配列番号21〜22のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記45)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記44記載のIL−6結合核酸分子。
(付記46)
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミンである、付記45記載のIL−6結合核酸分子。
(付記47)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記46記載のIL−6結合核酸分子。
(付記48)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記44から47のいずれか一項に記載のIL−6結合核酸分子。
(付記49)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のインターロイキン(IL)−6を検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記44から48のいずれか一項に記載のIL−6結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のIL−6と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のIL−6を検出することを特徴とする、IL−6の分析方法。
(付記50)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記49記載のIL−6の分析方法。