特許第6763552号(P6763552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECソリューションイノベータ株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人群馬大学の特許一覧

特許6763552ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法
<>
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000024
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000025
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000026
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000027
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000028
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000029
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000030
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000031
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000032
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000033
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000034
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000035
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000036
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000037
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000038
  • 特許6763552-ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法 図000039
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763552
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/14 20060101AFI20200917BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20200917BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20200917BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20200917BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALI20200917BHJP
【FI】
   C07H19/14CSP
   C07H21/04 B
   C12N15/10 ZZNA
   C12N15/11 Z
   C12Q1/6811 Z
【請求項の数】6
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2018-539775(P2018-539775)
(86)(22)【出願日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2017033211
(87)【国際公開番号】WO2018052064
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/020065
(32)【優先日】2017年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-180894(P2016-180894)
(32)【優先日】2016年9月15日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業研究成果最適プログラム シーズ育成タイプ「人工核酸によるバイオマーカー簡易検出センサの技術開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】皆川 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】堀井 克紀
(72)【発明者】
【氏名】秋冨 穣
(72)【発明者】
【氏名】金子 直人
(72)【発明者】
【氏名】和賀 巌
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 正靖
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−056136(JP,A)
【文献】 特開2013−040118(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/064223(WO,A1)
【文献】 IMAIZUMI,Y. et al,Efficacy of Base-Modification on Target Binding of Small Molecule DNA Aptamers,Journal of the American Chemical Society,2013年,Vol.135, No.25,pp.9412-9419
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 1/00− 99/00
C12N 15/00− 15/90
C12Q 1/00− 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(4)で表されることを特徴とする、ヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化4】
【請求項2】
請求項1記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの合成試薬。
【請求項3】
請求項1記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用い、ポリヌクレオチドを合成する合成工程を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項5】
候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる接触工程、および
前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する選抜工程を含み、
前記候補ポリヌクレオチドが、請求項記載のポリヌクレオチドであることを特徴とする、結合核酸分子の製造方法。
【請求項6】
前記ターゲットが、β−ディフェンシン4Aを含む、請求項5記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中のターゲットを分析するために、ターゲットと結合する結合分子が用いられている。また、前記ターゲットに結合する結合分子としては、抗体に加え、アプタマー等のターゲットに結合する結合核酸分子も用いられている(特許文献1)。
【0003】
前記結合核酸分子の取得方法としては、多数の候補ポリヌクレオチドと、ターゲットを接触させ、前記候補ポリヌクレオチドにおいて前記ターゲットと結合するポリヌクレオチドを前記結合核酸分子として選抜するSELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法等が知られている。また、前記SELEX法により、結合核酸分子を取得する場合、前記結合核酸分子を構成する天然のヌクレオシド分子に加え、前記天然のヌクレオシド分子を修飾した、修飾ヌクレオシド分子も使用されている。
【0004】
しかしながら、公知の天然ヌクレオシドおよびその誘導体では、十分な結合能を有する結合核酸分子が得られないターゲットが存在する。このため、例えば、アプタマーの作製に使用可能な修飾ヌクレオシド誘導体が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−200204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、新たなヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、ポリヌクレオチド、および結合核酸分子の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩は、下記化学式(1)で表されることを特徴とする。
【化1】
前記化学式(1)中、
Suは、ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団またはヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団であり、保護基を有しても有しなくてもよく、
およびLは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分枝状の飽和または不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基であり、
およびXは、それぞれ独立して、イミノ基(−NR−)、エーテル基(−O−)、またはチオエーテル基(−S−)であり、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基である。
【0008】
本発明のポリヌクレオチドの合成試薬は、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用い、ポリヌクレオチドを合成する合成工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のポリヌクレオチドは、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の結合核酸分子の製造方法は、候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる接触工程、および
前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する選抜工程を含み、
前記候補ポリヌクレオチドが、前記本発明のポリヌクレオチドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新たなヌクレオシド誘導体またはその塩を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例2におけるα−アミラーゼ結合核酸分子のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。
図2図2は、実施例2における分泌型免疫グロブリンA(sIgA)結合核酸分子のsIgAに対する結合能を示すグラフである。
図3図3は、実施例2におけるキャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。
図4図4は、実施例2におけるプルダウンの結果を示す写真である。
図5図5は、実施例3におけるβ−ディフェンシン(BDN)4A結合核酸分子のBDN4Aに対する結合能を示すグラフである。
図6図6は、実施例3におけるリゾチーム結合核酸分子のリゾチームに対する結合能を示すグラフである。
図7図7は、実施例3におけるプルダウンの結果を示す写真である。
図8図8は、実施例3におけるプルダウンの結果を示す写真である。
図9図9は、実施例4におけるα−アミラーゼ結合核酸分子のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。
図10図10は、実施例4におけるキャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。
図11図11は、実施例4におけるプルダウンの結果を示す写真である。
図12図12は、実施例5における乳酸脱水素酵素(LDH)5結合核酸分子のLDH5に対する結合能を示すグラフである。
図13図13は、実施例5におけるインターロイキン(IL)−6結合核酸分子のIL−6に対する結合能を示すグラフである。
図14図14は、実施例5における各LDH5結合核酸分子のLDH5への結合量の相対値を示すグラフである。
図15図15は、実施例5における各IL−6結合核酸分子のIL−6への結合量の相対値を示すグラフである。
図16図16は、実施例5におけるプルダウンの結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ヌクレオシド誘導体またはその塩>
本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩は、前述のように、下記化学式(1)で表されることを特徴とする。
【化1】
前記化学式(1)中、
Suは、ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団またはヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団であり、保護基を有しても有しなくてもよく、
およびLは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分枝状の飽和または不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基であり、
およびXは、それぞれ独立して、イミノ基(−NR−)、エーテル基(−O−)、またはチオエーテル基(−S−)であり、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基である。
【0015】
本発明のヌクレオシド誘導体は、プリン環様の構造を2つ含む。このため、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、分子内または分子間で相互作用可能な原子の数が、プリン環様の構造を1つ含むヌクレオシド誘導体より相対的に多い。このため、本発明のヌクレオシド誘導体を含む結合核酸分子は、例えば、プリン環様の構造を1つ含むヌクレオシド誘導体と比較して、ターゲットに対する結合能が向上する。このため、本発明のヌクレオシド誘導体によれば、例えば、ターゲットに対し優れた結合能を示す結合核酸分子を製造できる。
【0016】
前記化学式(1)において、LおよびLは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分枝状の飽和または不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基である。Lの炭素数は、その下限が、2であり、その上限が、10であり、好ましくは、8、6であり、その範囲が、例えば、2〜8、2〜6である。Lの炭素数は、2が好ましい。Lの炭素数は、その下限が、2であり、その上限が、10であり、好ましくは、8、6であり、その範囲が、例えば、2〜8、2〜6である。Lの炭素数は、2が好ましい。LおよびLの具体例としては、例えば、エチレン基(−CH−CH−)、ビニレン基(−CH=CH−)、プロピレン基(−CH−CH−CH−)、イソプロピレン基(−CH−CH(CH)−)、ブチレン基(−CH−CH−CH−CH−)、メチルブチレン基(−CH−CH(CH)−CH−CH−)、ジメチルブチレン基(−CH−CH(CH)−CH(CH)−CH−)、エチルブチレン基(−CH−CH(C5)−CH−CH−)、ペンチレン基(−CH−CH−CH−CH−CH−)、へキシレン基(−CH−CH−CH−CH−CH−CH−)、ヘプチレン基(−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−)、オクチレン基(−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−)等があげられる。Lは、ビニレン基(−CH=CH−)が好ましい。また、Lは、エチレン基(−CH−CH−)が好ましい。LおよびLは、同じ炭化水素基でもよいし、異なる炭化水素基でもよく、後者の具体例として、Lは、ビニレン基(−CH=CH−)であり、Lは、エチレン基(−CH−CH−)であることが好ましい。
【0017】
前記化学式(1)において、XおよびXは、それぞれ独立して、イミノ基(−NR−)、エーテル基(−O−)、またはチオエーテル基(−S−)である。前記イミノ基において、Rは、水素原子または直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基であり、水素原子が好ましい。前記直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基は、LおよびLにおける説明を援用できる。Xは、イミノ基(−NR−)が好ましい。また、Xは、イミノ基(−NR−)が好ましい。XおよびXは、同じ置換基でもよいし、異なる置換基でもよく、前者の具体例として、XおよびXは、イミノ基(−NR−)が好ましく、NH基がより好ましい。
【0018】
前記化学式(1)において、前記ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団は、特に制限されず、公知の天然または人工ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団があげられる。前記天然ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団は、例えば、リボヌクレオシド残基におけるリボース骨格を有する原子団、デオキシリボヌクレオシドにおけるデオキシリボース骨格を有する原子団等があげられる。前記人工ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団は、例えば、人工ヌクレオシド残基における二環式の糖骨格を有する原子団があげられ、具体例として、ENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)、LNA(Locked Nucleic Acid)等における2’位の酸素原子と4’位の炭素原子とが、架橋されたリボース骨格を有する原子団等があげられる。前記ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団は、特に制限されず、公知の天然または人工ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団があげられる。前記天然ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団は、例えば、リボヌクレオチド残基におけるリボース−リン酸骨格を有する原子団、デオキシリボヌクレオチドにおけるデオキシリボース−リン酸骨格を有する原子団等があげられる。前記人工ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団は、例えば、人工ヌクレオチド残基における二環式の糖リン酸骨格を有する原子団があげられ、具体例として、ENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)、LNA(Locked Nucleic Acid)等における2’位の酸素原子と4’位の炭素原子とが、架橋されたリボース−リン酸骨格を有する原子団等があげられる。
【0019】
前記化学式(1)において、前記ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団またはヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団は、下記化学式(2)で表されることが好ましい。
【化2】
前記化学式(2)中、
は、水素原子、保護基、または下記化学式(3)で表される基であり、
は、水素原子、保護基、またはホスホロアミダイト基であり、
は、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはメルカプト基であり、
【化3】
前記化学式(3)中、
Yは、酸素原子または硫黄原子であり、
Zは、ヒドロキシル基またはイミダゾール基であり、
mは、1〜10の整数である。
【0020】
前記化学式(2)において、Rは、水素原子、保護基、または前記化学式(3)で表される基である。前記保護基は、特に制限されず、例えば、核酸の合成方法において使用されている公知のヒドロキシル基の保護基があげられ、具体例として、DMTr基(4,4’−ジメトキシ(トリフェニルメチル)基)等があげられる。Rが前記化学式(3)で表される基である場合、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、ヌクレオチド誘導体ということもできる。
【0021】
前記化学式(2)において、Rは、水素原子、保護基、またはホスホロアミダイト基である。前記保護基は、特に制限されず、例えば、Rにおける説明を援用できる。前記ホスホロアミダイト基は、下記化学式(5)で表される。Rがホスホロアミダイト基である場合、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、ヌクレオシド誘導体のホスホロアミダイト化物ということもできる。また、Rが前記化学式(3)で表される基であり、Rがホスホロアミダイト基である場合、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、ヌクレオチド誘導体のホスホロアミダイト化物ということもできる。
【化5】
【0022】
前記化学式(2)において、Rは、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはメルカプト基であり、水素原子またはヒドロキシル基が好ましい。Rが水素原子の場合、本発明のヌクレオシド誘導体は、糖骨格として、デオキシリボース骨格を有し、例えば、DNAの合成に使用できる。また、Rがヒドロキシル基の場合、本発明のヌクレオシド誘導体は、糖骨格として、リボース骨格を有し、例えば、RNAの合成に使用できる。
【0023】
前記化学式(3)において、Yは、酸素原子または硫黄原子である。Yが酸素原子の場合、本発明のヌクレオシド誘導体を構成単位として含むポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を有するポリヌクレオチドということもできる。また、Yが硫黄原子の場合、本発明のヌクレオシド誘導体を構成単位として含むポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を有するポリヌクレオチドということもできる。
【0024】
前記化学式(3)において、Zは、ヒドロキシル基またはイミダゾール基である。前記イミダゾール基において、イミダゾールは、例えば、1位の窒素原子を介して、リン酸原子に結合している。
【0025】
前記化学式(3)において、mは、1〜10の整数であり、好ましくは、1〜3、1〜2、1である。
【0026】
本発明のヌクレオシド誘導体は、下記化学式(4)、(6)、(7)または(8)で表されることが好ましい。以下、下記化学式(4)、(6)、(7)および(8)で表されるヌクレオシド誘導体を、それぞれ、MK4、MK1、MK2、およびMK3ともいう。
【化4】
【化6】
【化7】
【化8】
【0027】
本発明のヌクレオシド誘導体およびその塩は、その鏡像異性体、互変異性体、または幾何異性体、配座異性体および光学異性体等の立体異性体ならびにそれらの塩であってもよい。具体的に、前記化学式(2)等および後述する化学式において、糖骨格は、D体としているが、本発明のヌクレオシド誘導体は、これに限定されず、糖骨格をL体としてもよい。
【0028】
前記本発明のヌクレオシド誘導体の塩は、酸付加塩でもよいが、塩基付加塩でもよい。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でもよく、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でもよい。前記無機酸としては、特に制限されず、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、および過ヨウ素酸等があげられる。前記有機酸は、特に制限されず、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸等があげられる。前記無機塩基は、特に制限されず、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等があげられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウム等があげられる。前記有機塩基は、特に制限されず、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等があげられる。
【0029】
本発明のヌクレオシド誘導体の製造方法は、特に制限されず、公知の合成方法を組合せて製造することができる。具体例として、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、後述する実施例の合成方法のように、アクリル酸構造が導入されたヌクレオシド誘導体と、末端にアミノ基を有する置換基を、アミノ基の水素原子と置換したアデニンとのアミド化反応により合成することができる。
【0030】
<ポリヌクレオチドの合成試薬>
本発明のポリヌクレオチドの合成試薬(以下、「合成試薬」ともいう)は、前述のように、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を含むことを特徴とする。本発明の合成試薬は、前記本発明のヌクレオシド誘導体を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の合成試薬は、例えば、前記本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩の説明を援用できる。本発明の合成試薬によれば、例えば、後述する本発明のポリヌクレオチドを合成できる。
【0031】
本発明の合成試薬において、前記ヌクレオシド誘導体は、例えば、前記ホスホロアミダイト化物および前記ヌクレオチド誘導体の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0032】
本発明の合成試薬は、例えば、さらに、ポリヌクレオチドの合成に使用する他の試薬を含んでもよい。
【0033】
<ポリヌクレオチドの製造方法>
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、前述のように、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用い、ポリヌクレオチドを合成する合成工程を含むことを特徴とする。本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、前記合成工程において、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、例えば、前記本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩および合成試薬の説明を援用できる。本発明のポリヌクレオチドの製造方法によれば、例えば、後述する本発明のポリヌクレオチドを製造できる。
【0034】
本発明のポリヌクレオチドの製造方法において、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩として、前記本発明の合成試薬を用いてもよい。
【0035】
前記合成工程において、前記ポリヌクレオチドの合成方法は、特に制限されず、公知のポリヌクレオチドの合成方法により実施できる。前記ヌクレオチド誘導体またはその塩として、前記ホスホロアミダイト化物を用いる場合、前記合成工程は、ホスホロアミダイト法によりポリヌクレオチドを合成できる。
【0036】
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、例えば、前記合成工程で得られたポリヌクレオチドを精製する精製工程を含んでもよい。前記精製工程における精製方法は、特に制限されず、カラムクロマトグラフ等の公知の精製方法により実施できる。
【0037】
<ポリヌクレオチド>
本発明のポリヌクレオチドは、前述のように、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことを特徴とする。本発明のポリヌクレオチドは、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、前記本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩、ポリヌクレオチドの合成試薬、およびポリヌクレオチドの製造方法の説明を援用できる。本発明のポリヌクレオチドによれば、例えば、後述するように、ターゲットに結合する結合核酸分子を製造できる。本発明のポリヌクレオチドにおいて、前記構成単位は、例えば、ポリヌクレオチドの一部であることを意味する。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、下記化学式(9)で表される構造を含む。下記化学式(9)における各置換基の説明は、例えば、前述の各置換基の説明を援用できる。
【化9】
【0039】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、ターゲットに結合する結合核酸分子であってもよい。前記ターゲットは、特に制限されず、任意のターゲットとでき、具体例として、生体分子があげられる。前記生体分子は、例えば、分泌型免疫グロブリンA(sIgA)、アミラーゼ(例えば、α−アミラーゼ)、クロモグラニンA、β−ディフェンシン(Defensin)2、β−ディフェンシン4A、カリクレイン、C反応タンパク質(C-Reactive Protein、CRP)、カルプロテクチン、Statherins、コルチゾル、メラトニン、リゾチーム、乳酸脱水素酵素(LDH)5、インターロイキン(IL)−6等があげられる。前記結合核酸分子は、例えば、後述する本発明の結合核酸分子の製造方法により製造できる。
【0040】
本発明のポリヌクレオチドは、前記ヌクレオチド誘導体に加え、例えば、他のヌクレオチドを含んでもよい。前記ヌクレオチドは、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドがあげられる。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、デオキシリボヌクレオチドのみから構成されるDNA、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含むDNA/RNA、リボヌクレオチドのみから構成されるRNA等があげられる。前記他のヌクレオチドは、例えば、修飾ヌクレオチドでもよい。
【0041】
前記修飾ヌクレオチドは、例えば、修飾デオキシリボヌクレオチドおよび修飾リボヌクレオチドがあげられる。前記修飾ヌクレオチドは、例えば、前記ヌクレオチドにおける糖が修飾されたものがあげられる。前記糖は、例えば、デオキシリボースまたはリボースがあげられる。前記ヌクレオチドにおける修飾部位は、特に制限されず、例えば、前記糖の2’位および/または4’位があげられる。前記修飾は、例えば、メチル化、フルオロ化、アミノ化、チオ化等があげられる。前記修飾ヌクレオチドは、例えば、塩基としてピリミジン塩基(ピリミジン核)を有するヌクレオチドが修飾されたもの、または、塩基としてプリン塩基(プリン核)を有するヌクレオチドが修飾されたものがあげられ、好ましくは前者である。以下、ピリミジン塩基を有するヌクレオチドをピリミジンヌクレオチドといい、修飾されたピリミジンヌクレオチドを修飾ピリミジンヌクレオチドといい、プリン塩基を有するヌクレオチドをプリンヌクレオチドといい、修飾されたプリンヌクレオチドを修飾プリンヌクレオチドという。前記ピリミジンヌクレオチドは、例えば、ウラシルを有するウラシルヌクレオチド、シトシンを有するシトシンヌクレオチド、チミンを有するチミンヌクレオチド等があげられる。前記修飾ヌクレオチドにおいて、塩基がピリミジン塩基の場合、例えば、前記糖の2’位および/または4’位が修飾されていることが好ましい。前記修飾ヌクレオチドの具体例は、例えば、リボースの2’位が修飾された、2’−メチル化−ウラシルヌクレオチド、2’−メチル化−シトシンヌクレオチド、2’−フルオロ化−ウラシルヌクレオチド、2’−フルオロ化−シトシンヌクレオチド、2’−アミノ化−ウラシルヌクレオチド、2’−アミノ化−シトシンヌクレオチド、2’−チオ化−ウラシルヌクレオチド、2’−チオ化−シトシンヌクレオチド等があげられる。
【0042】
前記他のヌクレオチドにおける塩基は、例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)およびウラシル(U)の天然塩基(非人工塩基)でもよいし、非天然塩基(人工塩基)でもよい。前記人工塩基は、例えば、修飾塩基および改変塩基等があげられ、前記天然塩基(A、C、G、TまたはU)と同様の機能を有することが好ましい。前記同様の機能を有する人工塩基は、例えば、グアニン(G)に代えて、シトシン(C)に結合可能な人工塩基、シトシン(C)に代えて、グアニン(G)に結合可能な人工塩基、アデニン(A)に代えて、チミン(T)またはウラシル(U)に結合可能な人工塩基、チミン(T)に代えて、アデニン(A)に結合可能な人工塩基、ウラシル(U)に代えて、アデニン(A)に結合可能な人工塩基等があげられる。前記修飾塩基は、例えば、メチル化塩基、フルオロ化塩基、アミノ化塩基、チオ化塩基等があげられる。前記修飾塩基の具体例としては、例えば、2’−メチルウラシル、2’−メチルシトシン、2’−フルオロウラシル、2’−フルオロシトシン、2’−アミノウラシル、2’−アミノシトシン、2’−チオウラシル、2’−チオシトシン等があげられる。本発明において、例えば、A、G、C、TおよびUで表わされる塩基は、前記天然塩基の他に、前記天然塩基のそれぞれと同様の機能を有する前記人工塩基の意味も含む。
【0043】
本発明のポリヌクレオチドは、前記ヌクレオチド誘導体に加え、例えば、人工核酸モノマーを含んでもよい。前記人工核酸モノマーは、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA、ENA等があげられる。前記モノマー残基における塩基は、例えば、前述と同様である。
【0044】
本発明のポリヌクレオチドの長さは、特に制限されず、例えば、その下限は、10塩基、20塩基、25塩基であり、その上限は、例えば、150塩基、100塩基、70塩基であり、その範囲は、例えば、10〜150塩基、20〜100塩基、25〜70塩基である。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列は、例えば、前記ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端の少なくとも一方に結合していることが好ましく、より好ましくは3’末端である。前記付加配列は、特に制限されず、また、その長さも特に制限されない。
【0046】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、さらに標識物質を有してもよい。前記標識物質は、例えば、前記ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端の少なくとも一方に結合していることが好ましく、より好ましくは5’末端である。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光物質、色素、同位体、酵素等があげられる。前記蛍光物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy(登録商標)3色素、Cy(登録商標)5色素、FAM色素、ローダミン色素、テキサスレッド色素、JOE、MAX、HEX、TYE等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa(登録商標)488、Alexa(登録商標)647等のAlexa色素等があげられる。
【0047】
前記標識物質は、例えば、前記核酸分子に直接的に連結してもよいし、前記付加配列を介して、間接的に連結してもよい。
【0048】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、担体に固定化して使用できる。前記本発明のポリヌクレオチドは、例えば、5’末端および3’末端のいずれかを固定化することが好ましく、より好ましくは3’末端である。本発明のポリヌクレオチドを固定化する場合、例えば、前記ポリヌクレオチドは、前記担体に、直接的に固定化してもよいし、間接的に固定化してもよい。後者の場合、例えば、前記付加配列を介して固定化することが好ましい。
【0049】
<結合核酸分子の製造方法>
本発明の結合核酸分子の製造方法は、前述のように、候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる接触工程、および前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する選抜工程を含み、前記候補ポリヌクレオチドが、前記本発明のポリヌクレオチドであることを特徴とする。本発明の結合核酸分子の製造方法は、例えば、前記候補ポリヌクレオチドが、前記本発明のポリヌクレオチドであることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の結合核酸の製造方法は、例えば、前記本発明のヌクレオシド誘導体またはその塩、合成試薬、ポリヌクレオチドの製造方法、およびポリヌクレオチドの説明を援用できる。本発明の結合核酸分子の製造方法において、前記候補ポリヌクレオチドは、前記本発明のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含む。このため、本発明の結合核酸分子の製造方法によれば、例えば、ターゲットに対し優れた結合能を示す結合核酸分子を製造できる。
【0050】
本発明の結合核酸分子において、前記接触工程および前記選抜工程は、例えば、SELEX法に基づき実施できる。
【0051】
前記接触工程における候補ポリヌクレオチドの数は、特に制限されず、例えば、420〜4120種類(約1012〜1072)種類、430〜460(約1018〜1036)種類である。
【0052】
前記接触工程では、候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる。そして、この接触により、前記候補ポリヌクレオチドと前記ターゲットとを反応させ、前記候補ポリヌクレオチドと前記ターゲットとの複合体を形成する。前記接触工程において使用する前記ターゲットは、例えば、前記ターゲットそのものであってもよいし、前記ターゲットの分解物であってもよい。前記候補ポリヌクレオチドと前記ターゲットとの結合条件は、特に制限されず、例えば、前記両者を溶媒中で一定時間インキュベートすることで実施できる。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、前記両者の結合等が保持されるものが好ましく、具体例として、各種緩衝液があげられる。
【0053】
つぎに、前記選抜工程では、前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する。具体的には、前記ターゲットと複合体を形成した候補ポリヌクレオチドを、前記結合核酸分子として回収する。なお、前記接触工程後の前記候補ポリヌクレオチドと前記ターゲットとの混合物には、前記複合体の他に、例えば、前記複合体形成に関与しない候補ポリヌクレオチドが含まれる。このため、例えば、前記混合物から、前記複合体と、前記未反応の候補ポリヌクレオチドとを、分離することが好ましい。前記分離方法は、特に制限されず、例えば、前記ターゲットと前記候補ポリヌクレオチドとの吸着性の違いや、前記複合体と前記候補ポリヌクレオチドとの分子量の違いを利用する方法等があげられる。
【0054】
この他にも、例えば、前記複合体の形成時において、担体に固定化したターゲットを使用する方法もあげられる。すなわち、前記ターゲットを予め担体に固定化し、前記担体と前記候補ポリヌクレオチドとを接触させ、前記固定化ターゲットと候補ポリヌクレオチドとの複合体を形成させる。そして、前記固定化ターゲットに結合していない未反応の候補ポリヌクレオチドを除去した後、前記担体から、前記ターゲットと前記候補ポリヌクレオチドとの複合体を解離させればよい。前記ターゲットの担体への固定化方法は、特に制限されず、公知の方法により実施できる。前記担体は、特に制限されず、公知の担体が使用できる。
【0055】
このようにして、前記ターゲットに結合する結合核酸分子を製造できる。
【0056】
本発明の製造方法は、例えば、前記選抜された結合核酸分子の塩基配列を決定する塩基配列決定工程を含んでもよい。前記塩基配列の決定方法は、特に制限されず、公知の塩基配列の決定方法により実施できる。
【0057】
本発明の結合核酸分子の製造方法は、例えば、前記接触工程および前記選抜工程の1セットを1サイクルとして、合計2サイクル以上実施してもよく、具体例として、3〜15サイクルがあげられる。
【0058】
<α−アミラーゼ結合核酸分子>
本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子(以下、「α−アミラーゼ核酸分子」ともいう)は、下記(a)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(a)下記(a1)のポリヌクレオチド
(a1)配列番号1および11〜16のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0059】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、前述のようにα−アミラーゼに結合可能である。前記α−アミラーゼは、特に制限されず、その由来は、例えば、ヒト、非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等があげられる。ヒトα−アミラーゼのアミノ酸配列の情報は、例えば、UniProt(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号P04745に登録されている。
【0060】
本発明において、「α−アミラーゼに結合する」とは、例えば、α−アミラーゼに対する結合能を有している、または、α−アミラーゼに対する結合活性を有しているともいう。本発明のα−アミラーゼ核酸分子と前記α−アミラーゼとの結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社)が使用できる。本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、α−アミラーゼに結合することから、例えば、α−アミラーゼの検出に使用できる。
【0061】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、前述のように、下記(a)のポリヌクレオチドを含む。
(a)下記(a1)のポリヌクレオチド
(a1)配列番号1および11〜16のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0062】
α−アミラーゼ結合核酸分子1(配列番号1)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子2(配列番号11)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTA-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子3(配列番号12)
5’-GCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTA-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子4(配列番号13)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCAGACTATTATTTCAAGTACGTGGGGGTCTTGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子5(配列番号14)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子6(配列番号15)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACT-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子7(配列番号16)
5’-GCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACT-3’
【0063】
前記(a)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(a2)、(a3)、または(a4)のポリヌクレオチドの意味も含む。
(a2)前記(a1)のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、α−アミラーゼに結合するポリヌクレオチド
(a3)前記(a1)のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、α−アミラーゼに結合するポリヌクレオチド
(a4)前記(a1)のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、α−アミラーゼに結合するポリヌクレオチド
【0064】
前記(a2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(a2)のポリヌクレオチドが、α−アミラーゼに結合する範囲であればよい。前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜15個、1〜10個、1〜7個、1〜5個、1〜3個、1または2個、1個である。本発明において、塩基数および配列数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1〜5塩基」との記載は、「1、2、3、4、5塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
【0065】
前記(a3)において、「同一性」は、例えば、前記(a3)のポリヌクレオチドが、α−アミラーゼに結合する範囲であればよい。前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
【0066】
前記(a4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(a1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドであり、α−アミラーゼに結合する範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。
【0067】
前記(a4)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。
【0068】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子において、前記ポリヌクレオチドの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。前記ポリヌクレオチドは、後述するように、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基を含むDNAであり、さらに、非ヌクレオチド残基を含んでもよい。本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子は、例えば、以下、α−アミラーゼアプタマーともいう。
【0069】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、前記いずれかのポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記ポリヌクレオチドを含む分子でもよい。後者の場合、本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、後述するように、前記いずれかのポリヌクレオチドを2つ以上含んでもよい。前記2つ以上のポリヌクレオチドは、同じ配列でもよいし、異なる配列でもよい。また、後者の場合、本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、さらに、リンカーおよび/または後述する付加配列等を有してもよい。ここで、前記リンカーとは、例えば、ポリヌクレオチド間の配列であり、前記付加配列とは、例えば、末端に付加された配列である。
【0070】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子が、例えば、複数の前記ポリヌクレオチドを含む場合、前記複数のポリヌクレオチドの配列が連結して、一本鎖のポリヌクレオチドを形成していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドの配列は、例えば、それぞれが直接的に連結してもよいし、リンカーを介して、それぞれが間接的に連結してもよい。前記ポリヌクレオチドの配列は、それぞれの末端において、直接的または間接的に連結していることが好ましい。前記ポリヌクレオチドの配列を複数含む場合、前記配列の数は、特に制限されず、例えば、2以上、2〜20、2〜10、2または3である。
【0071】
前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、1〜200塩基長、1〜20塩基長、3〜12塩基長、5〜9塩基長である。前記リンカーの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記リンカーは、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記リンカーの具体例として、例えば、ポリデオキシチミン(ポリdT)、ポリデオキシアデニン(ポリdA)、AとTの繰り返し配列であるポリdAdT等があげられ、好ましくはポリdT、ポリdAdTである。
【0072】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子において、前記ポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドであることが好ましい。前記一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、自己アニーリングによりステム構造およびループ構造を形成可能であることが好ましい。前記ポリヌクレオチドは、例えば、ステムループ構造、インターナルループ構造および/またはバルジ構造等を形成可能であることが好ましい。
【0073】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、二本鎖でもよい。二本鎖の場合、例えば、一方の一本鎖ポリヌクレオチドは、前記(a)のポリヌクレオチドを含み、他方の一本鎖ポリヌクレオチドは、制限されない。前記他方の一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、前記(a)のポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドがあげられる。本発明のα−アミラーゼ核酸分子が二本鎖の場合、例えば、使用に先立って、変性等により、一本鎖ポリヌクレオチドに解離させることが好ましい。また、解離した前記(a)の一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、前述のように、ステム構造およびループ構造を形成していることが好ましい。
【0074】
本発明において、「ステム構造およびループ構造を形成可能」とは、例えば、実際にステム構造およびループ構造を形成すること、ならびに、ステム構造およびループ構造が形成されていなくても、条件によってステム構造およびループ構造を形成可能なことも含む。「ステム構造およびループ構造を形成可能」とは、例えば、実験的に確認した場合、および、コンピュータ等のシミュレーションで予測した場合の双方を含む。
【0075】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基である。前記ヌクレオチド残基は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基のみから構成されるDNA、1もしくは数個のリボヌクレオチド残基を含むDNA等があげられる。後者の場合、「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1〜91個、1〜30個、1〜15個、1〜7個、1〜3個、1または2個である。
【0076】
前記ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド残基における塩基として、天然塩基を含んでもよいし、修飾塩基を含んでもよい。前記天然塩基(非人工塩基)は、特に制限されず、例えば、プリン骨格を有するプリン塩基、ピリミジン骨格を有するピリミジン塩基等があげられる。前記プリン塩基は、特に制限されず、例えば、アデニン(A)、グアニン(G)があげられる。前記ピリミジン塩基は、特に制限されず、例えば、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)等があげられ、好ましくは、シトシン(C)、およびチミン(T)である。
【0077】
前記ポリヌクレオチドが前記修飾塩基を有する場合、その部位および個数は、特に制限されない。前記(a)のポリヌクレオチドが前記修飾塩基を有する場合、前記配列番号1および11〜16のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいては、例えば、下線部のアデニンの一部または全部が、修飾塩基である。前記下線部のアデニンが修飾塩基の場合、前記修飾塩基は、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基であることが好ましい
【0078】
前記修飾塩基は、例えば、塩基が修飾基で修飾されたものである。前記修飾基により修飾される塩基(被修飾塩基)は、例えば、前記天然塩基である。前記天然塩基は、例えば、プリン塩基、ピリミジン塩基等があげられる。前記修飾塩基は、特に制限されず、例えば、修飾アデニン、修飾グアニン、修飾シトシン、修飾チミン、修飾ウラシルがあげられる。
【0079】
前記修飾塩基は、例えば、前記被修飾塩基が、直接、前記修飾基で修飾されてもよいし、前記被修飾塩基が、間接的に、前記修飾基で修飾されてもよい。後者の場合、例えば、前記被修飾塩基が、リンカーを介して、前記修飾基で修飾される形態があげられる。前記リンカーは、特に制限されない。
【0080】
前記被修飾塩基の前記修飾基による修飾部位は、特に制限されない。前記塩基がプリン塩基の場合、前記プリン塩基の修飾部位は、例えば、前記プリン骨格の7位および8位があげられ、7位が好ましい。前記プリン塩基の修飾部位が7位の場合、7位の窒素原子は、炭素原子に置換されていることが好ましい。前記塩基がピリミジン塩基の場合、前記ピリミジン塩基の修飾部位は、例えば、前記ピリミジン骨格の5位および6位があげられ、5位が好ましい。前記ピリミジン塩基の5位が修飾される場合、チミンは、5位の炭素にメチル基を有することから、例えば、5位の炭素に、直接的または間接的に前記修飾基が結合してもよいし、5位の炭素に結合したメチル基の炭素に、直接的または間接的に前記修飾基が結合してもよい。前記ピリミジン骨格において、4位の炭素に「=O」が結合し、5位の炭素に「−CH」または「−H」以外の基が結合している場合、修飾ウラシルまたは修飾チミンということができる。
【0081】
前記修飾塩基が修飾プリン塩基である場合、前記修飾基は、アデニン残基が好ましい。すなわち、前記修飾プリン塩基は、例えば、塩基が前記アデニン残基で修飾されている。前記アデニン残基が前記被修飾塩基を修飾する部位(前記アデニン残基における被修飾塩基との結合部位)は、特に制限されず、前記アデニン残基における6位の炭素に結合するアミノ基があげられる。前記アデニン残基で修飾される前記被修飾塩基は、特に制限されないが、例えば、プリン塩基が好ましく、プリン塩基の7位の原子が、前記アデニン残基で修飾されていることが好ましい。前記修飾塩基が修飾チミンである場合、前記修飾基は、アデニン残基またはグアニン残基が好ましい。すなわち、前記修飾塩基は、例えば、塩基が前記アデニン残基またはグアニン残基で修飾されている。前記アデニン残基が前記被修飾塩基を修飾する部位は、特に制限されず、例えば、前記アデニン残基における6位の炭素に結合するアミノ基があげられる。前記グアニン残基が前記被修飾塩基を修飾する部位は、特に制限されず、例えば、前記グアニン残基における2位の炭素に結合するアミノ基があげられる。前記アデニン残基または前記グアニン残基で修飾される前記被修飾塩基は、特に制限されないが、例えば、チミンが好ましく、チミンの5位の炭素に結合したメチル基の炭素が、前記アデニン残基または前記グアニン残基で修飾されていることが好ましい。
【0082】
前記修飾基が前記アデニン残基または前記グアニン残基の場合、例えば、以下に示すように、前記リンカーを介して、前記修飾基により前記被修飾塩基が修飾されていることが好ましい。
[ヌクレオチド残基]−[リンカー]−[アデニン残基]
[ヌクレオチド残基]−[リンカー]−[グアニン残基]
【0083】
前記リンカーは、特に制限されず、例えば、以下のように、前記ヌクレオチド残基と前記アデニン残基または前記グアニン残基との間の式で表されるが、これには限定されない。下記式において、(CH2)nにおけるnの数値は、例えば、1〜10、2〜10、2である。
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-(CH2)n- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-(CH2)n- [グアニン残基]
[ヌクレオチド残基] -C=C-C(=O)-NH-(CH2)n- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [グアニン残基]
[ヌクレオチド残基] -C=C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [アデニン残基]
【0084】
前記式において、前記リンカーの一端[=C]および[−C]は、例えば、ヌクレオチド残基における被修飾塩基の炭素と、それぞれ、二重結合または単結合を形成し、前記リンカーの他端[CH−]は、例えば、グアニン残基またはアデニン残基のアミン(−NH)と結合している。
【0085】
前記ポリヌクレオチドにおける前記アデニン残基で修飾されたアデノシンヌクレオチド残基の具体例として、例えば、下記化学式(10)に示す残基(以下、「MK4のヌクレオチド残基」ともいう)があげられる。なお、本発明は、これには限定されない。
【0086】
【化10】
【0087】
前記配列番号1および11〜16の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて、下線部のアデニンが、前記MK4のヌクレオチド残基であることがより好ましい。
【0088】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子が、例えば、前記MK4のヌクレオチド残基を有する場合、前記ポリヌクレオチドの合成には、例えば、前記化学式(4)に示すヌクレオチド三リン酸(以下、「MK4モノマー」ともいう)を、モノマー分子として使用することができる。前記ポリヌクレオチドの合成において、例えば、前記モノマー分子は、ホスホジエステル結合により、他のヌクレオチド三リン酸と結合する。前記MK4モノマーの製造方法については、後述する。
【0089】
前記修飾基としては、この他に、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基、ベンジルアミノカルボニル基(benzylaminocarbonyl)、トリプタミノカルボニル基(tryptaminocarbonyl)およびイソブチルアミノカルボニル基(isobutylaminocarbonyl)等があげられる。
【0090】
前記修飾アデニンの具体例としては、例えば、7’−デアザアデニン等があげられ、前記修飾グアニンの具体例としては、例えば、7’−デアザグアニン等があげられ、前記修飾シトシンの具体例としては、例えば、5’−メチルシトシン(5−Me−dC)等があげられ、前記修飾チミンの具体例としては、例えば、5’−ベンジルアミノカルボニルチミン、5’−トリプタミノカルボニルチミン、5’−イソブチルアミノカルボニルチミン等があげられ、前記修飾ウラシルの具体例としては、例えば、5’−ベンジルアミノカルボニルウラシル(BndU)、5’−トリプタミノカルボニルウラシル(TrpdU)および5’−イソブチルアミノカルボニルウラシル等があげられる。例示した前記修飾ウラシルは、チミンの修飾塩基ということもできる。
【0091】
前記ポリヌクレオチドは、例えば、いずれか1種類の前記修飾塩基のみを含んでもよいし、2種類以上の前記修飾塩基を含んでもよい。
【0092】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、修飾ヌクレオチドを含んでもよい。前記修飾ヌクレオチドは、前述の前記修飾塩基を有するヌクレオチドでもよいし、糖残基が修飾された修飾糖を有するヌクレオチドでもよいし、前記修飾塩基および前記修飾糖を有するヌクレオチドでもよい。
【0093】
前記糖残基は、特に制限されず、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基があげられる。前記糖残基における修飾部位は、特に制限されず、例えば、前記糖残基の2’位または4’位があげられ、いずれか一方でも両方が修飾されてもよい。前記修飾糖の修飾基は、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基等があげられる。
【0094】
前記修飾ヌクレオチド残基において、塩基がピリミジン塩基の場合、例えば、前記糖残基の2’位および/または4’位が修飾されていることが好ましい。前記修飾ヌクレオチド残基の具体例は、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基の2’位が修飾された、2’−メチル化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−メチル化−シトシンヌクレオチド残基、2’−フルオロ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−フルオロ化−シトシンヌクレオチド残基、2’−アミノ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−アミノ化−シトシンヌクレオチド残基、2’−チオ化−ウラシルヌクレオチド残基、2’−チオ化−シトシンヌクレオチド残基等があげられる。
【0095】
前記修飾ヌクレオチドの個数は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1〜100個、1〜90個、1〜80個、1〜70個である。また、前記ポリヌクレオチドを含む前記核酸分子の全長における前記修飾ヌクレオチドも、特に制限されず、例えば、1〜91個または1〜78個、前述の範囲と同様である。
【0096】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、1もしくは数個の人工核酸モノマー残基を含んでもよい。前記「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1〜100個、1〜50個、1〜30個、1〜10個である。前記人工核酸モノマー残基は、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acids)等があげられる。前記モノマー残基における核酸は、例えば、前述と同様である。
【0097】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、ヌクレアーゼ耐性であることが好ましい。本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性のため、例えば、前記修飾化ヌクレオチド残基および/または前記人工核酸モノマー残基を有することが好ましい。本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性のため、例えば、5’末端または3’末端に、数10kDaのPEG(ポリエチレングリコール)またはデオキシチミジン等が結合してもよい。
【0098】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列は、例えば、前記核酸分子の5’末端および3’末端の少なくとも一方に結合していることが好ましく、より好ましくは3’末端である。前記付加配列は、特に制限されない。前記付加配列の長さは、特に制限されず、例えば、1〜200塩基長、1〜50塩基長、1〜25塩基長、18〜24塩基長である。前記付加配列の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記付加配列は、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記付加配列の具体例として、例えば、ポリdT、ポリdA等があげられる。
【0099】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、担体に固定化して使用できる。前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、5’末端および3’末端のいずれかを固定化することが好ましく、より好ましくは3’末端である。本発明のα−アミラーゼ核酸分子を固定化する場合、例えば、前記核酸分子は、前記担体に、直接的に固定化してもよいし、間接的に固定化してもよい。後者の場合、例えば、前記付加配列を介して固定化することが好ましい。
【0100】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子の製造方法は、特に制限されず、例えば、化学合成を利用した核酸合成方法等、遺伝子工学的手法、公知の方法により合成できる。
【0101】
本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、前述のように、前記α−アミラーゼに結合性を示す。このため、本発明のα−アミラーゼ核酸分子の用途は、前記α−アミラーゼへの結合性を利用する用途であれば、特に制限されない。本発明のα−アミラーゼ核酸分子は、例えば、前記α−アミラーゼに対する抗体に代えて、種々の方法に使用できる。
【0102】
<α−アミラーゼ分析用センサ>
本発明のα−アミラーゼ分析用センサは、α−アミラーゼの分析用センサであって、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のα−アミラーゼ分析用センサは、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明のα−アミラーゼ分析用センサを使用すれば、例えば、前記α−アミラーゼ核酸分子と前記α−アミラーゼとを結合させることで、前記α−アミラーゼを検出できる。本発明のα−アミラーゼ分析用センサは、例えば、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子の説明を援用できる。
【0103】
本発明のα−アミラーゼ分析用センサは、例えば、さらに担体を有し、前記担体に前記核酸分子が配置されている。前記核酸分子は、前記担体に固定化されていることが好ましい。前記担体への前記核酸分子の固定化は、例えば、前述の通りである。本発明のα−アミラーゼ分析用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子および後述の本発明のα−アミラーゼの分析方法の説明を援用できる。
【0104】
<α−アミラーゼの分析方法>
本発明のα−アミラーゼの分析方法は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のα−アミラーゼを検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のα−アミラーゼと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のα−アミラーゼを検出することを特徴とする。本発明の分析方法は、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明のα−アミラーゼの分析方法は、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子として、前記本発明のα−アミラーゼ分析用センサを使用してもよい。本発明のα−アミラーゼの分析方法の説明は、例えば、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼの分析用センサの説明を援用できる。
【0105】
本発明によれば、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子が、α−アミラーゼに特異的に結合することから、例えば、α−アミラーゼと前記核酸分子との結合を検出することによって、試料中のα−アミラーゼを特異的に検出可能である。具体的には、例えば、試料中のα−アミラーゼの有無またはα−アミラーゼの量を分析可能であることから、定性または定量も可能といえる。
【0106】
本発明において、前記試料は、特に制限されない。前記試料は、例えば、唾液、尿、血漿および血清等があげられる。
【0107】
前記試料は、例えば、液体試料でもよいし、固体試料でもよい。前記試料は、例えば、前記核酸分子と接触させ易く、取扱いが簡便であることから、液体試料が好ましい。前記固体試料の場合、例えば、溶媒を用いて、混合液、抽出液、溶解液等を調製し、これを使用してもよい。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。
【0108】
前記検出工程は、例えば、前記試料と前記核酸分子とを接触させて、前記試料中のα−アミラーゼと前記核酸分子とを結合させる接触工程と、前記α−アミラーゼと前記核酸分子との結合を検出する結合検出工程とを含む。また、前記検出工程は、例えば、さらに、前記結合検出工程の結果に基づいて、前記試料中のα−アミラーゼの有無または量を分析する工程を含む。
【0109】
前記接触工程において、前記試料と前記核酸分子との接触方法は、特に制限されない。前記試料と前記核酸分子との接触は、例えば、液体中で行われることが好ましい。前記液体は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。
【0110】
前記接触工程において、前記試料と前記核酸分子との接触条件は、特に制限されない。接触温度は、例えば、4〜37℃、18〜25℃であり、接触時間は、例えば、10〜120分、30〜60分である。
【0111】
前記接触工程において、前記核酸分子は、例えば、担体に固定化された固定化核酸分子でもよいし、未固定の遊離した核酸分子でもよい。後者の場合、例えば、容器内で、前記試料と接触させる。前記核酸分子は、例えば、取扱性に優れることから、前記固定化核酸分子が好ましい。前記担体は、特に制限されず、例えば、基板、ビーズ、容器等があげられ、前記容器は、例えば、マイクロプレート、チューブ等があげられる。前記核酸分子の固定化は、例えば、前述の通りである。
【0112】
前記結合検出工程は、前述のように、前記試料中のα−アミラーゼと前記核酸分子との結合を検出する工程である。前記両者の結合の有無を検出することによって、例えば、前記試料中のα−アミラーゼの有無を分析(定性)でき、また、前記両者の結合の程度(結合量)を検出することによって、例えば、前記試料中のα−アミラーゼの量を分析(定量)できる。
【0113】
そして、前記α−アミラーゼと前記核酸分子との結合が検出できなかった場合は、前記試料中にα−アミラーゼは存在しないと判断でき、前記結合が検出された場合は、前記試料中にα−アミラーゼが存在すると判断できる。
【0114】
前記α−アミラーゼと前記核酸分子との結合の分析方法は、特に制限されない。前記方法は、例えば、物質間の結合を検出する従来公知の方法が採用でき、具体例として、前述のSPR等があげられる。また、前記結合の検出は、例えば、前記α−アミラーゼと前記核酸分子との複合体の検出でもよい。
【0115】
<α−アミラーゼ検出キット>
本発明のα−アミラーゼ検出キットは、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記α−アミラーゼの検出等を行うことができる。本発明のα−アミラーゼ検出キットは、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼ分析用センサ、α−アミラーゼの分析方法の説明を援用できる。
【0116】
本発明のα−アミラーゼ検出キットは、例えば、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子として、前記本発明のα−アミラーゼ分析用センサを含んでもよい。また、前記本発明のα−アミラーゼ検出キットは、例えば、前記本発明のα−アミラーゼ核酸分子の他に、その他の構成要素を含んでもよい。前記構成要素は、例えば、前記担体、緩衝液、使用説明書等があげられる。
【0117】
<BDN4A結合核酸分子>
本発明のβ−ディフェンシン(BDN)4A結合核酸分子(以下、「BDN4A核酸分子」ともいう)は、下記(b)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(b)下記(b1)のポリヌクレオチド
(b1)配列番号4〜6のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0118】
本発明のBDN4A核酸分子は、例えば、特に言及しない限り、「α−アミラーゼ」を「BDN4A」に、「(a)」を「(b)」に、「(a1)」を「(b1)」に、「(a2)」を「(b2)」に、「(a3)」を「(b3)」に、「(a4)」を「(b4)」に、「配列番号1および11〜16」を「配列番号4〜6」に読み替えて、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼ分析用センサ、α−アミラーゼの分析方法およびα−アミラーゼ検出キットの説明を援用できる。また、この点は、後述するBDN4A分析用センサ、BDN4Aの分析方法およびBDN4A検出キットの説明においても同様である。
【0119】
本発明のBDN4A核酸分子は、前述のようにBDN4Aに結合可能である。前記BDN4Aは、特に制限されず、その由来は、例えば、ヒト、非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等があげられる。ヒトBDN4Aのアミノ酸配列の情報は、例えば、UniProt(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号O15263に登録されている。
【0120】
本発明において、「BDN4Aに結合する」とは、例えば、BDN4Aに対する結合能を有している、または、BDN4Aに対する結合活性を有しているともいう。本発明のBDN4A核酸分子と前記BDN4Aとの結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社)が使用できる。本発明のBDN4A核酸分子は、BDN4Aに結合することから、例えば、BDN4Aの検出に使用できる。
【0121】
本発明のBDN4A核酸分子は、前述のように、下記(b)のポリヌクレオチドを含む。
(b)下記(b1)のポリヌクレオチド
(b1)配列番号4〜6のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0122】
BDN4A結合核酸分子1(配列番号4)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTATTTTTACGGGGTATAGTTCTCTGAGGAGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
BDN4A結合核酸分子2(配列番号5)
5’-CGAGCCGCACATTTCTATTTTTACGGGGTATAGTTCTCTGAGGAGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
BDN4A結合核酸分子3(配列番号6)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCACCGTGATAGTTCTCTGAGGAGGACTTCTAGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
【0123】
前記(b)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(b2)、(b3)、または(b4)のポリヌクレオチドの意味も含む。
(b2)前記(b1)のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、BDN4Aに結合するポリヌクレオチド
(b3)前記(b1)のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、BDN4Aに結合するポリヌクレオチド
(b4)前記(b1)のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、BDN4Aに結合するポリヌクレオチド
【0124】
<BDN4A分析用センサ>
本発明のβ−ディフェンシン(BDN)4A分析用センサは、β−ディフェンシン(BDN)4Aの分析用センサであって、前記本発明のBDN4A結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のBDN4A分析用センサは、前記本発明のBDN4A結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、制限されない。本発明のBDN4A分析用センサを使用すれば、例えば、前記BDN4A核酸分子と前記BDN4Aとを結合させることで、前記BDN4Aを検出できる。本発明のBDN4A分析用センサは、例えば、前記本発明のBDN4A結合核酸分子の説明を援用できる。本発明のBDN4A分析用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明のBDN4A核酸分子および後述の本発明のBDN4Aの分析方法の説明を援用できる。
【0125】
<BDN4Aの分析方法>
本発明のβ−ディフェンシン(BDN)4Aの分析方法は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のβ−ディフェンシン(BDN)4Aを検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のBDN4A結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のBDN4Aと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のBDN4Aを検出することを特徴とする。本発明の分析方法は、前記本発明のBDN4A核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明のBDN4Aの分析方法は、前記本発明のBDN4A核酸分子として、前記本発明のBDN4A分析用センサを使用してもよい。本発明のBDN4Aの分析方法の説明は、例えば、前記本発明のBDN4A結合核酸分子、BDN4Aの分析用センサの説明を援用できる。
【0126】
<BDN4A検出キット>
本発明のβ−ディフェンシン(BDN)4A検出キットは、前記本発明のBDN4A結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明のBDN4A結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記BDN4Aの検出等を行うことができる。本発明のBDN4A検出キットは、前記本発明のBDN4A結合核酸分子、BDN4A分析用センサ、BDN4Aの分析方法の説明を援用できる。
【0127】
<リゾチーム結合核酸分子>
本発明のリゾチーム結合核酸分子(以下、「リゾチーム核酸分子」ともいう)は、下記(l)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(l)下記(l1)のポリヌクレオチド
(l1)配列番号7〜9のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0128】
本発明のリゾチーム核酸分子は、例えば、特に言及しない限り、「α−アミラーゼ」を「リゾチーム」に、「(a)」を「(l)」に、「(a1)」を「(l1)」に、「(a2)」を「(l2)」に、「(a3)」を「(l3)」に、「(a4)」を「(l4)」に、「配列番号1および11〜16」を「配列番号7〜9」に読み替えて、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼ分析用センサ、α−アミラーゼの分析方法およびα−アミラーゼ検出キットの説明を援用できる。また、この点は、後述するリゾチーム分析用センサ、リゾチームの分析方法およびリゾチーム検出キットの説明においても同様である。
【0129】
本発明のリゾチーム核酸分子は、前述のようにリゾチームに結合可能である。前記リゾチームは、特に制限されず、その由来は、例えば、ヒト、非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等があげられる。ヒトリゾチームのアミノ酸配列の情報は、例えば、UniProt(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号P61626に登録されている。
【0130】
本発明において、「リゾチームに結合する」とは、例えば、リゾチームに対する結合能を有している、または、リゾチームに対する結合活性を有しているともいう。本発明のリゾチーム核酸分子と前記リゾチームとの結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社)が使用できる。本発明のリゾチーム核酸分子は、リゾチームに結合することから、例えば、リゾチームの検出に使用できる。
【0131】
本発明のリゾチーム核酸分子は、前述のように、下記(l)のポリヌクレオチドを含む。
(l)下記(l1)のポリヌクレオチド
(l1)配列番号7〜9のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0132】
リゾチーム結合核酸分子1(配列番号7)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTAACGGGAACTTCAACCCATACAGTCTTTTGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
リゾチーム結合核酸分子2(配列番号8)
5’-CGAGCCGCACATTTCTAACGGGAACTTCAACCCATACAGTCTTTTGAGTTCCC-3’
リゾチーム結合核酸分子3(配列番号9)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTTTACTCCGGAACCCATACAGTCTTTTCCGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
【0133】
前記(l)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(l2)、(l3)、または(l4)のポリヌクレオチドの意味も含む。
(l2)前記(l1)のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、リゾチームに結合するポリヌクレオチド
(l3)前記(l1)のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、リゾチームに結合するポリヌクレオチド
(l4)前記(l1)のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、リゾチームに結合するポリヌクレオチド
【0134】
<リゾチーム分析用センサ>
本発明のリゾチーム分析用センサは、リゾチームの分析用センサであって、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のリゾチーム分析用センサは、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明のリゾチーム分析用センサを使用すれば、例えば、前記リゾチーム核酸分子と前記リゾチームとを結合させることで、前記リゾチームを検出できる。本発明のリゾチーム分析用センサは、例えば、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子の説明を援用できる。本発明のリゾチーム分析用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明のリゾチーム核酸分子および後述の本発明のリゾチームの分析方法の説明を援用できる。
【0135】
<リゾチームの分析方法>
本発明のリゾチームの分析方法は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のリゾチームを検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のリゾチームと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のリゾチームを検出することを特徴とする。本発明の分析方法は、前記本発明のリゾチーム核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明のリゾチームの分析方法は、前記本発明のリゾチーム核酸分子として、前記本発明のリゾチーム分析用センサを使用してもよい。本発明のリゾチームの分析方法の説明は、例えば、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子、リゾチームの分析用センサの説明を援用できる。
【0136】
<リゾチーム検出キット>
本発明のリゾチーム検出キットは、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記リゾチームの検出等を行うことができる。本発明のリゾチーム検出キットは、前記本発明のリゾチーム結合核酸分子、リゾチーム分析用センサ、リゾチームの分析方法の説明を援用できる。
【0137】
<LDH5結合核酸分子>
本発明の乳酸脱水素酵素(LDH)5結合核酸分子(以下、「LDH5核酸分子」ともいう)は、下記(d)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(d)下記(d1)のポリヌクレオチド
(d1)配列番号17〜20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0138】
本発明のLDH5核酸分子は、例えば、特に言及しない限り、「α−アミラーゼ」を「LDH5」に、「(a)」を「(d)」に、「(a1)」を「(d1)」に、「(a2)」を「(d2)」に、「(a3)」を「(d3)」に、「(a4)」を「(d4)」に、「配列番号1および11〜16」を「配列番号17〜20」に読み替えて、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼ分析用センサ、α−アミラーゼの分析方法およびα−アミラーゼ検出キットの説明を援用できる。また、この点は、後述するLDH5分析用センサ、LDH5の分析方法およびLDH5検出キットの説明においても同様である。
【0139】
本発明のLDH5核酸分子は、前述のようにLDH5に結合可能である。前記LDH5は、特に制限されず、その由来は、例えば、ヒト、非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等があげられる。ヒトLDH5のアミノ酸配列の情報は、例えば、UniProt(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号P00338に登録されている。
【0140】
本発明において、「LDH5に結合する」とは、例えば、LDH5に対する結合能を有している、または、LDH5に対する結合活性を有しているともいう。本発明のLDH5核酸分子と前記LDH5との結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社)が使用できる。本発明のLDH5核酸分子は、LDH5に結合することから、例えば、LDH5の検出に使用できる。
【0141】
本発明のLDH5核酸分子は、前述のように、下記(d)のポリヌクレオチドを含む。
(d)下記(d1)のポリヌクレオチド
(d1)配列番号17〜20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0142】
LDH5結合核酸分子1(配列番号17)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
LDH5結合核酸分子2(配列番号18)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGAGAGGGAGATCATCTCTCTGGCGGACACAACCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
LDH5結合核酸分子3(配列番号19)
5’-ACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGC-3’
LDH5結合核酸分子4(配列番号20)
5’-TGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGC-3’
【0143】
前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(d2)、(d3)、または(d4)のポリヌクレオチドの意味も含む。
(d2)前記(d1)のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、LDH5に結合するポリヌクレオチド
(d3)前記(d1)のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、LDH5に結合するポリヌクレオチド
(d4)前記(d1)のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、LDH5に結合するポリヌクレオチド
【0144】
<LDH5分析用センサ>
本発明のLDH5分析用センサは、LDH5の分析用センサであって、前記本発明のLDH5結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のLDH5分析用センサは、前記本発明のLDH5結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明のLDH5分析用センサを使用すれば、例えば、前記LDH5核酸分子と前記LDH5とを結合させることで、前記LDH5を検出できる。本発明のLDH5分析用センサは、例えば、前記本発明のLDH5結合核酸分子の説明を援用できる。本発明のLDH5分析用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明のLDH5核酸分子および後述の本発明のLDH5の分析方法の説明を援用できる。
【0145】
<LDH5の分析方法>
本発明のLDH5の分析方法は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のLDH5を検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のLDH5結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のLDH5と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のLDH5を検出することを特徴とする。本発明の分析方法は、前記本発明のLDH5核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明のLDH5の分析方法は、前記本発明のLDH5核酸分子として、前記本発明のLDH5分析用センサを使用してもよい。本発明のLDH5の分析方法の説明は、例えば、前記本発明のLDH5結合核酸分子、LDH5の分析用センサの説明を援用できる。
【0146】
<LDH5検出キット>
本発明のLDH5検出キットは、前記本発明のLDH5結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明のLDH5結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記LDH5の検出等を行うことができる。本発明のLDH5検出キットは、前記本発明のLDH5結合核酸分子、LDH5分析用センサ、LDH5の分析方法の説明を援用できる。
【0147】
<IL−6結合核酸分子>
本発明のインターロイキン(IL)−6結合核酸分子(以下、「IL−6核酸分子」ともいう)は、下記(i)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(i)下記(i1)のポリヌクレオチド
(i1)配列番号21〜22のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0148】
本発明のIL−6核酸分子は、例えば、特に言及しない限り、「α−アミラーゼ」を「IL−6」に、「(a)」を「(i)」に、「(a1)」を「(i1)」に、「(a2)」を「(i2)」に、「(a3)」を「(i3)」に、「(a4)」を「(i4)」に、「配列番号1および11〜16」を「配列番号21〜22」に読み替えて、前記本発明のα−アミラーゼ結合核酸分子、α−アミラーゼ分析用センサ、α−アミラーゼの分析方法およびα−アミラーゼ検出キットの説明を援用できる。また、この点は、後述するIL−6分析用センサ、IL−6の分析方法およびIL−6検出キットの説明においても同様である。
【0149】
本発明のIL−6核酸分子は、前述のようにIL−6に結合可能である。前記IL−6は、特に制限されず、その由来は、例えば、ヒト、非ヒト動物等があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ等があげられる。ヒトIL−6のアミノ酸配列の情報は、例えば、UniProt(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号P05231に登録されている。
【0150】
本発明において、「IL−6に結合する」とは、例えば、IL−6に対する結合能を有している、または、IL−6に対する結合活性を有しているともいう。本発明のIL−6核酸分子と前記IL−6との結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。前記解析は、例えば、ProteON(商品名、BioRad社)が使用できる。本発明のIL−6核酸分子は、IL−6に結合することから、例えば、IL−6の検出に使用できる。
【0151】
本発明のIL−6核酸分子は、前述のように、下記(i)のポリヌクレオチドを含む。
(i)下記(i1)のポリヌクレオチド
(i1)配列番号21〜22のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
【0152】
IL−6結合核酸分子1(配列番号21)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGAGTTCAATGGTATTGTATCGACTCTTCTCGCCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
IL−6結合核酸分子2(配列番号22)
5’-ACCTCGCCGTTTATGAGTTCAATGGTATTGTATCGACTCTTCTC-3’
【0153】
前記(i)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(i2)、(i3)、または(i4)のポリヌクレオチドの意味も含む。
(i2)前記(i1)のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、IL−6に結合するポリヌクレオチド
(i3)前記(i1)のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、IL−6に結合するポリヌクレオチド
(i4)前記(i1)のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、IL−6に結合するポリヌクレオチド
【0154】
<IL−6分析用センサ>
本発明のIL−6分析用センサは、IL−6の分析用センサであって、前記本発明のIL−6結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のIL−6分析用センサは、前記本発明のIL−6結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明のIL−6分析用センサを使用すれば、例えば、前記IL−6核酸分子と前記IL−6とを結合させることで、前記IL−6を検出できる。本発明のIL−6分析用センサは、例えば、前記本発明のIL−6結合核酸分子の説明を援用できる。本発明のIL−6分析用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明のIL−6核酸分子および後述の本発明のIL−6の分析方法の説明を援用できる。
【0155】
<IL−6の分析方法>
本発明のIL−6の分析方法は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のIL−6を検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のIL−6結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のIL−6と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のIL−6を検出することを特徴とする。本発明の分析方法は、前記本発明のIL−6核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明のIL−6の分析方法は、前記本発明のIL−6核酸分子として、前記本発明のIL−6分析用センサを使用してもよい。本発明のIL−6の分析方法の説明は、例えば、前記本発明のIL−6結合核酸分子、IL−6の分析用センサの説明を援用できる。
【0156】
<IL−6検出キット>
本発明のIL−6検出キットは、前記本発明のIL−6結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明のIL−6結合核酸分子を含んでいればよく、その他の構成および条件等は、特に制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記IL−6の検出等を行うことができる。本発明のIL−6検出キットは、前記本発明のIL−6結合核酸分子、IL−6分析用センサ、IL−6の分析方法の説明を援用できる。
【実施例】
【0157】
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0158】
[実施例1]
以下に示す合成例により、MK1〜4を調製した。
【0159】
エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)は、質量分析装置(API2000、販売元:Applied Biosystems社製)を用い、ポジティブイオンモードまたはネガティイオンモードで実施した。1H NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(JNM-ECS400、JEOL社製)を用い、取得した。化学シフトは、内部標準であるテトラメチルシラン(MeSi)に対する相対値δ(ppm)として表される。イオン交換クロマトグラフは、クロマトグラフシステム(ECONO system、Bio-Rad社製)を用いて実施した。前記イオン交換クロマトグラフでは、diethylaminoethyl(DEAE)A-25-Sephadex(Amershambiosciences社製)を充填したガラスカラム(φ25×500mm)を使用した。
【0160】
(合成例1)MK1の合成
【化11】
【0161】
AZ6(290mg、9.06×10−4mol)を真空乾燥させ、dry−DMF(N,N−ジメチルホルムアミド、3mL)に溶かした。これにHOBt・HO(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・一水和物、176mg、1.15×10−5mol、1.2eq.)、PyBOP(登録商標)(ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム、579mg、1.15×10−5mol、1.2eq.)、およびDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4.6mL、2.72×10−2mol、30eq.)を加え、さらにdry−DMF(1mL)に溶かしたNK1(493mg、9.48×10−4mol、1.1eq.)を加え、撹拌した。前記攪拌開始40分後において、減圧留去し、残渣を水に溶かし、吸引ろ過で沈殿物を回収した。ろ液を逆相カラムクロマトグラフで粗精製した後、ろ物と共にカラムクロマトグラフで精製し、MK1を得た。MK1の物性値を以下に示す。
収量:261mg 収率:60%
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 481.2, calculated for [(M+H)+] = 481.2
found = 503.1, calculated for [(M+Na)+] = 503.2
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.22 (1H, m), 8.11 (1H, s), 8.10 (1H, s), 7.87 (1H, s), 7.63 (1H, d), 6.52 (1H, q), 6.35 (1H, d), 5.27 (1H, s), 3.82 (1H, m), 2.18 (1H, m)
【0162】
(合成例2)MK2の合成
【化12】
【0163】
MK1(108mg、2.25×10−4mol)を真空乾燥させ、Ar(アルゴン)で置換した。つぎに、dry−DMFで2回(1回目:40mL、2回目:4mL)、およびdry−MeCN(アセトニトリル)で3回(1回目:9mL、2回目:5mL、3回目:5mL)共沸した。dry−Trimethyl phosphate(6mL)で懸濁させた後、dry−Tributhyl amine(130μL、5.44×10−4mol、2.5eq.)を加えた。そして、氷冷下でPhosphoryl chloride(42μL、4.50×10−4mol、2eq.)を加え、撹拌した。前記攪拌開始40分後において、再びdry−Tributhyl amine(250μL、1.05×10−3mol、5eq.)およびPhosphoryl chloride(84μL、4.50×10−4mol、4eq.)を加え、氷冷下で1時間撹拌した。前記撹拌後、冷1mol/L TEAB(Triethylammonium bicarbonate) buffer(5mL)を加え、5分間撹拌し、クエンチした。そして、減圧留去し、Etherで結晶化させ、吸引ろ過し、黄色固体を得た。前記固体を水に溶かし、陰イオン交換カラムクロマトグラフで精製し、凍結乾燥させ、MK2を得た。MK2の物性値を以下に示す。
収量:30.0μmol 収率:13.4%
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found = 559.1, calculated for [(M-H)-] = 559.2
【0164】
(合成例3)MK3の合成
【化13】
【0165】
MK2(30.03μmol)を真空乾燥させ、dry−Pyridine(10mL)で3回共沸し、一晩真空乾燥させた。前記乾燥後、Arで置換し、dry−DMF(2mL)およびdry−TEA(トリエチルアミン、28μL、1.98×10−4mol、6.6eq.)で溶かした。さらに、Imidazole(16mg、14.02×10−4mol、4eq.)、2,2’−Dithiodipyridine(17mg、7.72×10−4mol、1.6eq.)、およびTriphenylphosphine(20mg、7.63×10−4mol、1.6eq.)を加え、室温で撹拌した。前記攪拌開始6.5時間後、得られた反応液を、Sodium perchlorate(39mg、3.19×10−4mol、10eq.)をdry−Acetone(18mL)、dry−Ether(27mL)、およびdry−TEA(2mL)で溶かした溶液に加え、前記添加後4℃で30分静置した。そして、沈殿物をdry−Ether(12mL)で5回デカンテーションした。これを真空乾燥させ、MK3をクルードとして得た。
理論収量:30.03μmol
【0166】
(合成例4)MK4の合成
【化14】
【0167】
MK3(30.03μmol)を真空乾燥させ、Arで置換し、dry−Pyridine(5mL)で2回共沸した後、dry−DMF(1mL)で懸濁させた。これにdry−n−Tributylamine(30μL、1.25×10−4mol、4eq.)および0.5mol/L n−Tributylamine pyrophosphate in DMF(310μL、1.53×10−4mol、5eq.)を加え、室温で撹拌した。前記攪拌開始6.5時間後、1mol/L TEAB buffer(5mL)を加え、30分間撹拌し、減圧留去した。これに水を加え、Etherで2回分液し、水層を陰イオン交換カラムクロマトグラフで精製し、凍結乾燥することでMK4を得た。MK4の物性値を以下に示す。
収量:3.33μmol 収率:11.1%
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found = 719.0, calculated for [(M-H)-] = 719.1
【0168】
[実施例2]
MK4を用いて、sIgAに結合する結合核酸分子およびα−アミラーゼに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0169】
(1)結合核酸分子
チミン、グアニンまたはシトシンを含むデオキシリボヌクレオチド(それぞれ、dTTP、dGTP、およびdCTP)に加え、デオキシリボヌクレオチドとしてMK4を用いて作製した候補ポリヌクレオチドを用いた以外は、SELEX法によりターゲットに対する結合核酸分子を取得した。具体的には、ビーズ(Dynabeads MyOne Carboxylic Acid、Invitrogen社)にターゲットであるsIgA(MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製)またはヒト唾液アミラーゼ(Lee BioSolutions, Inc社製)を、添付のプロトコルに基づいて結合させた。前記結合後、セレクションバッファー(SBバッファー:40mmol/L HEPES、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl、0.01%Tween(登録商標)20、pH7.5)で洗浄し、ターゲットビーズを調製した。5’末端をビオチン修飾した相補鎖(フォワード(Fw)プライマー領域−N30(30塩基)−リバース(Rv)プライマー領域)と、フォワードプライマーおよびDNAポリメラーゼ(KOD Dash、東洋紡社製)と、dTTP、dGTP、dCTPおよびMK4とを用いて、MK4が挿入されたdsDNAを調製した。つぎに、前記ビーズ(Dynabeads MyOne Carboxylic Acid)に前記dsDNAを結合させた後、0.02mol/L NaOH水溶液によりss(single strand)DNAを溶出した。さらに、0.08mol/L 塩酸水溶液で中和することで、ssDNAのライブラリを調製した。20pmolのライブラリを250μgの前記ターゲットビーズと25℃、15分の条件で混合後、前記SBバッファーでビーズを洗浄した。そして、7mol/Lの尿素水溶液によりビーズ結合ssDNAを溶出した。溶出したssDNAを前記フォワードプライマーとビオチン修飾したリバースプライマーとを用いてPCRにより増幅した。なお、前記PCRでは、デオキシリボヌクレオチドとして、dTTP、アデニンを含むデオキシリボヌクレオチド(dATP)、dGTP、およびdCTPを用いた。得られたdsDNAを磁気ビーズ(Dynabeads MyOne SA C1 magnetic beads、Invitrogen社製)に結合させた後、0.02mol/L NaOH水溶液によりフォワード鎖を溶出し、除去した。前記除去後、前記磁気ビーズを前記SBバッファーで洗浄した。前記相補鎖が固相化された磁気ビーズと、フォワードプライマーおよびDNAポリメラーゼ(KOD Dash、東洋紡社製)と、dTTP、dGTP、dCTP、およびMK4とを用いて、前述の方法でMK4が挿入されたdsDNAを調製した。つぎに、0.02mol/L NaOH水溶液によりフォワード鎖を溶出することによりssDNAのライブラリを調製し、このライブラリを次のラウンドに使用した。同様の工程を8ラウンド実施することで、sIgAまたはα−アミラーゼに結合する核酸分子をセレクション後、フォワードプライマーと、ビオチン修飾していないリバースプライマーを用いてPCRを行なった。そして、シーケンサー(GS junior sequencer、Roche社製)により、得られた核酸分子のシーケンスを行った。
【0170】
この結果、α−アミラーゼに対する結合核酸分子として、下記配列番号1の塩基配列からなる結合核酸分子が、sIgAに対する結合核酸分子として、下記配列番号2の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号1および2の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
α−アミラーゼ結合核酸分子1(配列番号1)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
sIgA結合核酸分子(配列番号2)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCAAGCCACGGAGAGTCCGAGGTGACCATTAAGCAGGAAACTACAATGGGCGGGCTTA-3’
【0171】
(2)表面プラズモン共鳴(SPR)による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合および前記sIgA結合核酸分子とsIgAとの結合を下記SPR条件により測定した。なお、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および前記sIgA結合核酸分子は、下記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したものを使用した。さらに、コントロール1は、下記アナライトとして、牛血清アルブミン(BSA)を用いた以外は同様にして、コントロール2は、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1の結合を確認する系では、下記アナライトとして、クロモグラニンA(CgA、Creative BioMart社製)を用い、前記sIgA結合核酸分子の結合を確認する系では、下記アナライトとして、前記α−アミラーゼを用いた以外は、同様にして結合を確認した。
【0172】
(SPR測定条件)
測定装置:ProteOn(商標)XPR36(BioRad社製)
測定チップ:ProteOn(商標)NLC Sensor Chip(BioRad社製)
リガンド1:5’末端をビオチン修飾したpolydA(20塩基長):5μmol/L
バッファー:40mmol/L HEPES、125mmol/L NaCl、1mmol/L MgCl、5mmol/L KCl、0.01% Tween(登録商標)20、pH7.4
リガンド2:200nmol/Lの3’末端にpolyT(20塩基長)を付加した結合核酸分子を含むバッファー
Ligand Flow Rate:25μL/min、80sec
アナライト(Analyte):400nmol/Lのターゲットを含むバッファー
Analyte Flow Rate:50μL/min
Contact Time:120sec
Dissociation:300sec
・sIgA: IgA (Secretory) ,Human(MP Biomedicals, LLC-Cappel Products社製、カタログ番号: #55905)
・アミラーゼ:α−アミラーゼ(Lee Biosolutions社製、カタログ番号:#120-10)
・CgA:Recombinant full length Human Chromogranin A(Creative BioMart社製、カタログ番号: #CHGA-26904TH)
・BSA:Bovine Serum Albumin(SIGMA社製、カタログ番号:#A7906)
【0173】
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合の結果を図1に、前記sIgA結合核酸分子とsIgAとの結合の結果を図2に示す。図1は、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。図1において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図1に示すように、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1は、CgAおよびBSAに結合しないのに対し、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1は、α−アミラーゼに結合した。
【0174】
つぎに、図2は、前記sIgA結合核酸分子のsIgAに対する結合能を示すグラフである。図2において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図2に示すように、前記sIgA結合核酸分子は、α−アミラーゼおよびBSAに結合しないのに対し、前記sIgA結合核酸分子は、sIgAに結合した。
【0175】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、α−アミラーゼに結合する結合核酸分子およびsIgAに結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0176】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した前記α−アミラーゼ結合核酸分子1を用い、アナライトであるα−アミラーゼの濃度を、5、10、20、40、または80nmol/Lとした以外は、前記(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。また、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した前記sIgA結合核酸分子を用い、アナライトであるsIgAの濃度を、12.5、25、50、100、または200nmol/Lとした以外は、前記(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と前記α−アミラーゼとの解離定数、および前記sIgA結合核酸分子と前記sIgAとの解離定数を算出した。この結果、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と前記α−アミラーゼとの解離定数は、8.14nMであり、前記sIgA結合核酸分子と前記sIgAとの解離定数は、7.63nMであった。これらの結果から、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0177】
(4)キャピラリー電気泳動による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合を下記キャピラリー電気泳動条件により測定した。なお、前記α−アミラーゼ結合核酸分子は、下記クローンとして、その5’末端を20塩基長のTYE(商標)665で標識化したものを使用した。コントロールは、前記ターゲットにおいて、α−アミラーゼを添加しなかった以外は同様にして、測定した。
【0178】
(キャピラリー電気泳動条件)
測定装置:SV1210形コスモアイ(日立ハイテクノロジー社)
測定チップ:i-チップ12(HitachiChemical社)
泳動ゲル:0.6%(Hydroxypropyl)methyl cellulose, viscosity 2.600-5,600(SIGMA社製、カタログ番号: #H7509)
ゲル溶解バッファー:40mmol/L HEPES(pH7.5)、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
クローン:200nmol/Lの5’末端をTYE(商標)665で標識化したアミラーゼ結合核酸分子、40mmol/L HEPES(pH7.5)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgClを含む溶液
ターゲット:4μmol/Lのアミラーゼ(α-Amylase - High Purity ,Human 、Lee BioSolutions, Inc.社製、カタログ番号:#120-10)、40mmol/L HEPES(pH7.5)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgClを含む溶液
Folding:95℃、5min後、On ice 5min
Mixing:ターゲットを添加後、室温(25℃前後)、30分間、1000rpm
Injection Voltage:600V
Injection Time:120sec
Separation Voltage:350V
Separation Time:260sec
【0179】
この結果を図3に示す。図3は、キャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。図3において、写真の左側は、泳動時間を示し、各レーンは、左から、コントロール(α−アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼありの結果を示す。図3に示すように、α−アミラーゼ無しのコントロールと比較して、α−アミラーゼありの場合、泳動時間が長くなった。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0180】
(5)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼ結合核酸分子1と、ストレプトアビジンで修飾されたビーズ(Dynabeads MyOne SA C1 magnetic beads、Invitrogen社製)とを接触させることにより、α−アミラーゼ結合核酸分子結合ビーズ1(以下、「結合ビーズA1」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズA1を、唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)と混合し、室温(25℃前後)で60分間、1000rpmで振盪した。
【0181】
つぎに、振盪後の結合ビーズA1を、前記SBバッファーで3回洗浄処理した。そして、SDSバッファーの存在下、95℃で10分間処理することで、前記結合ビーズA1に結合したα−アミラーゼを溶出した。前記SDSバッファーの組成は、62.5mmol/L Tris、2%SDS、5%スクロース、0.002%ブロモフェノールブルー、1%2−メルカプトエタノールとした。
【0182】
得られた溶出液をゲル(PAGEL C50L、ATTO社製)にロードし、泳動バッファーの存在下、電気泳動を行なった。前記泳動バッファーの組成は、25mmol/L Tris、192mmol/L グリシン、0.1%SDSとした。つぎに、泳動後のゲルを染色剤(Gel Code、Thermo SCIENTIFIC社製、カタログ番号:#24594)で染色し、ChemiDoc(BioRad社製)で撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼに結合しない核酸分子(コントロールの核酸分子1)を使用した以外は同様にして、コントロール2は、α−アミラーゼのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子1(配列番号3)
5’-GGATACCTTAACGCCGCCTATTG-3’
【0183】
この結果を図4に示す。図4は、プルダウンの結果を示す写真である。図4において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、前記唾液サンプル(1)、コントロール1(C1)、およびコントロール2(AMY)を示す。図4に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約50kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記唾液サンプルでは、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1とα−アミラーゼとの結合が確認された。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0184】
[実施例3]
MK4を用いて、ヒトβ−ディフェンシン4Aおよびヒトリゾチームに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0185】
(1)結合核酸分子
ヒトβ−ディフェンシン4Aおよびヒトリゾチームに結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、ヒトβ−ディフェンシン4A(Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#C127)またはヒトリゾチーム(Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#P61626)を用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0186】
この結果、β−ディフェンシン(BDN)4Aに結合する結合核酸分子として、下記配列番号4〜6の塩基配列からなる結合核酸分子が、リゾチームに対する結合核酸分子として、下記配列番号7〜9の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号4〜9の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
BDN4A結合核酸分子1(配列番号4)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTATTTTTACGGGGTATAGTTCTCTGAGGAGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
BDN4A結合核酸分子2(配列番号5)
5’-CGAGCCGCACATTTCTATTTTTACGGGGTATAGTTCTCTGAGGAGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
BDN4A結合核酸分子3(配列番号6)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCACCGTGATAGTTCTCTGAGGAGGACTTCTAGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
リゾチーム結合核酸分子1(配列番号7)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTAACGGGAACTTCAACCCATACAGTCTTTTGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
リゾチーム結合核酸分子2(配列番号8)
5’-CGAGCCGCACATTTCTAACGGGAACTTCAACCCATACAGTCTTTTGAGTTCCC-3’
リゾチーム結合核酸分子3(配列番号9)
5’-GGTTACACGAGCCGCACATTTCTTTACTCCGGAACCCATACAGTCTTTTCCGGAGTTCCCAGGCGAAGTTGTTATC-3’
【0187】
(2)SPRによる結合の確認
各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの結合、および各リゾチーム結合核酸分子とリゾチームとの結合は、前記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したBDN4A結合核酸分子またはリゾチーム結合核酸分子を用い、アナライトとして、下記のタンパク質を用いた以外は、前記実施例2(2)と同様にして実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合を確認した。
・β-Defensin 4A:β-Defensin 4A ,Human (Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#C127)
・human Lysozyme:Recombinant Human Lysozyme C (Novoprotein Scientific Inc. 社製、カタログ番号:#P61626)
【0188】
各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの結合の結果を図5に、各リゾチーム結合核酸分子とリゾチームとの結合の結果を図6に示す。
【0189】
図5は、各BDN4A結合核酸分子のBDN4Aに対する結合能を示すグラフである。図5において、(A)〜(C)は、それぞれ、前記BDN4A結合核酸分子1〜3の結果を示す。図5において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図5に示すように、前記BDN4A結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、BDN4Aに結合した。
【0190】
つぎに、図6は、各リゾチーム結合核酸分子のリゾチームに対する結合能を示すグラフである。図6において、(A)〜(C)は、それぞれ、前記リゾチーム結合核酸分子1〜3の結果を示す。図6において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図6に示すように、前記リゾチーム結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、リゾチームに結合した。
【0191】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、BDN4Aに結合する結合核酸分子およびリゾチームに結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0192】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各BDN4A結合核酸分子を用い、アナライトであるBDN4Aの濃度を、25、50、100、200、または400nmol/Lとした以外は、前記実施例3(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。さらに、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各リゾチーム結合核酸分子を用い、アナライトであるリゾチームの濃度を、12.5、25、50、100、または200nmol/Lとした以外は、前記実施例3(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、各BDN4A結合核酸分子とBDN4Aとの解離定数および各リゾチーム結合核酸分子と前記リゾチームとの解離定数を算出した。これらの結果を下記表1に示す。
【0193】
【表1】
【0194】
前記表1に示すように、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0195】
(4)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したBDN4A結合核酸分子1およびリゾチーム結合核酸分子1を、それぞれ、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、BDN4A結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズC」ともいう)およびリゾチーム結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズD」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズCおよびDを、それぞれ、90(v/v)%の唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)またはBDN4Aもしくはリゾチームを含むSBバッファー(ターゲットサンプル)と混合した以外は、前記実施例2(5)と同様にして、SDS−PAGEを実施し、ゲルを撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾した下記のコントロールの核酸分子2を使用した以外は同様にして、コントロール2は、BDN4A、またはリゾチームのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子2(配列番号10)
5’-GGTAACCGCCCTGTCTTGATAAC-3’
【0196】
つぎに、前記結合ビーズCを用いた結果を図7に示す。図7は、前記結合ビーズCを用いたプルダウンの結果を示す写真である。図7において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン4(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhBDN(コントロール2)、レーンM(マーカー)、レーン8(唾液サンプル)、レーンC2(コントロール1)、およびレーンhBDN(コントロール2)を示す。図7に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約10kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記BDN4A結合核酸分子1とBDN4Aとの結合が確認された。これらの結果から、前記BDN4A結合核酸分子が、BDN4Aと結合することが分かった。
【0197】
つぎに、前記結合ビーズDを用いた結果を図8に示す。図8は、前記結合ビーズDを用いたプルダウンの結果を示す写真であり、(A)は、前記ターゲットサンプルの結果を示し、(B)は、前記唾液サンプルの結果を示す。図8(A)において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン2(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhLys(コントロール2)、およびレーンM(マーカー)を示し、(B)において、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン6(唾液サンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンhLys(コントロール2)、およびレーンM(マーカー)を示す。図8に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約15kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記リゾチーム結合核酸分子1とリゾチームとの結合が確認された。これらの結果から、前記リゾチーム結合核酸分子が、リゾチームと結合することが分かった。
【0198】
[実施例4]
MK4を用いて、ヒトα−アミラーゼに結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0199】
(1)結合核酸分子
ヒトα−アミラーゼに結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、前述のヒトα−アミラーゼを用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0200】
この結果、α−アミラーゼに結合する結合核酸分子として、下記配列番号11〜16の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号11〜16の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
α−アミラーゼ結合核酸分子2(配列番号11)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTA-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子3(配列番号12)
5’-GCAATCTCCCTAATCTAGTGACGAAAATGTACGAGGGGGTCATTTGAAACTA-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子4(配列番号13)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCAGACTATTATTTCAAGTACGTGGGGGTCTTGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子5(配列番号14)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACTACAATGGGCGGGCTTATC-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子6(配列番号15)
5’-GGTTTGGACGCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACT-3’
α−アミラーゼ結合核酸分子7(配列番号16)
5’-GCAATCTCCCTAATCTAAAGTTTCTAAACGATGTGGCGGCATTCAGAAACT-3’
【0201】
(2)SPRによる結合の確認
各α−アミラーゼ結合核酸分子とα−アミラーゼとの結合は、前記実施例2(2)における前記α−アミラーゼ結合核酸分子1と同様にして、実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、CgAおよびBSAを用いた以外は同様にして結合を確認した。これらの結果を図9に示す。
【0202】
図9は、各α−アミラーゼ結合核酸分子のα−アミラーゼに対する結合能を示すグラフである。図9において、(A)〜(F)は、それぞれ、前記α−アミラーゼ結合核酸分子2〜7の結果を示す。図9において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図9に示すように、各α−アミラーゼ結合核酸分子は、CgAおよびBSAには結合せず、α−アミラーゼに結合した。
【0203】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各α−アミラーゼ結合核酸分子を用い、アナライトであるα−アミラーゼの濃度を、5、10、20、40、または80nmol/Lとした以外は、前記実施例4(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、前記各α−アミラーゼ結合核酸分子と前記α−アミラーゼとの解離定数を算出した。この結果、前記α−アミラーゼ結合核酸分子2〜7と前記α−アミラーゼとの解離定数は、それぞれ、6.91、7.75、5.18、13.2、11.5、および11.1nMであった。これらの結果から、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。
【0204】
(4)キャピラリー電気泳動による結合の確認
前記α−アミラーゼ結合核酸分子1に加え、前記α−アミラーゼ結合核酸分子5を用いた以外は、前記実施例2(4)と同様にして、測定した。また、コントロールは、前記ターゲットにおいて、α−アミラーゼを添加しなかった以外は同様にして、測定した。
【0205】
この結果を図10に示す。図10は、キャピラリー電気泳動の結果を示す写真である。図10において、写真の左側は、泳動時間を示し、各レーンは、左から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1のコントロール(α−アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼあり、ならびに前記α−アミラーゼ結合核酸分子5のコントロール(アミラーゼ無し)およびα−アミラーゼありの結果を示す。図10に示すように、各α−アミラーゼ結合核酸分子において、α−アミラーゼ無しのコントロールと比較して、α−アミラーゼありの場合、泳動時間が長くなった。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および5が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0206】
(5)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼ結合核酸分子5を、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、α−アミラーゼ結合核酸分子結合ビーズ5(以下、「結合ビーズA5」ともいう)を調製した。そして、前記結合ビーズA1に加え、前記結合ビーズA5を用い、前記サンプルとして、α−アミラーゼを含むターゲットサンプルを用いた以外は、前記実施例2(5)と同様にして、撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾したα−アミラーゼに結合しない核酸分子(前記コントロールの核酸分子1)を使用した以外は同様にして、コントロール2は、α−アミラーゼのみを使用した以外は同様にして、撮影した。
【0207】
これらの結果を図11に示す。図11は、前記結合ビーズA1およびA5を用いたプルダウンの結果を示す写真である。図11において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、前記結合ビーズA1(1)、前記結合ビーズA5(2)、コントロール1(C1)、およびコントロール2(AMY)を示す。図11に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約50kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記結合ビーズA1およびA5では、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、α−アミラーゼ結合核酸分子1および5とα−アミラーゼとの結合が確認された。これらの結果から、前記α−アミラーゼ結合核酸分子1および5が、α−アミラーゼと結合することが分かった。
【0208】
[実施例5]
MK4を用いて、ヒトLDH5およびヒトIL−6に結合する結合核酸分子を取得できることを確認した。
【0209】
(1)結合核酸分子
ヒトLDH5およびヒトIL−6に結合する結合核酸分子は、ターゲットであるsIgAに代えて、ヒトLDH5(Meridian Life Science, Inc.社製、カタログ番号:#A38558H-100)またはヒトIL−6(MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製、カタログ番号:#55905)を用いた以外は、前記実施例2(1)と同様にして、取得した。
【0210】
この結果、LDH5に結合する結合核酸分子として、下記配列番号17〜20の塩基配列からなる結合核酸分子が、IL−6に対する結合核酸分子として、下記配列番号21〜22の塩基配列からなる結合核酸分子が得られた。下記配列番号17〜22の塩基配列において、下線で示すAが、MK4である。
LDH5結合核酸分子1(配列番号17)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
LDH5結合核酸分子2(配列番号18)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGAGAGGGAGATCATCTCTCTGGCGGACACAACCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
LDH5結合核酸分子3(配列番号19)
5’-ACCTCGCCGTTTATGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGC-3’
LDH5結合核酸分子4(配列番号20)
5’-TGCTGCTGGCTCGTGAGACGGATATCAGGTCTCCTAAGGCTGGC-3’
IL−6結合核酸分子1(配列番号21)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATGAGTTCAATGGTATTGTATCGACTCTTCTCGCCTAAGGCTGGCTGGCTACTATAC-3’
IL−6結合核酸分子2(配列番号22)
5’-ACCTCGCCGTTTATGAGTTCAATGGTATTGTATCGACTCTTCTC-3’
【0211】
(2)SPRによる結合の確認
各LDH5結合核酸分子とLDH5との結合、および各IL−6結合核酸分子とIL−6との結合は、前記リガンド2として、その3’末端に20塩基長のポリdTを付加したLDH5結合核酸分子またはIL−6結合核酸分子を用い、アナライトとして、下記のタンパク質を用いた以外は、前記実施例2(2)と同様にして実施した。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合を確認した。
・LDH5:Lactate Dehydrogenase 5 ,Human (Meridian Life Science, Inc.社製、カタログ番号:#A38558H-100)
・CgA: Recombinant full length Human Chromogranin A (Creative BioMart社製、カタログ番号:#CHGA-26904TH)
・IL-6: IL-6, Human, Recombinant (PeproTech社製、カタログ番号:#200-06)
・アミラーゼ:α−アミラーゼ(Lee Biosolutions社製、カタログ番号:#120-10)
・sIgA: IgA (Secretory) ,Human (MP Biomedicals,LLC-Cappel Products社製、カタログ番号:#55905)
【0212】
各LDH5結合核酸分子とLDH5との結合の結果を図12に、各IL−6結合核酸分子とIL−6との結合の結果を図13に示す。
【0213】
図12は、各LDH5結合核酸分子のLDH5に対する結合能を示すグラフである。図12において、(A)〜(D)は、それぞれ、前記LDH5結合核酸分子1〜4の結果を示す。図12において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図12に示すように、各LDH5結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、LDH5に結合した。
【0214】
つぎに、図13は、各IL−6結合核酸分子のIL−6に対する結合能を示すグラフである。図13において、(A)〜(B)は、それぞれ、前記IL−6結合核酸分子1〜2の結果を示す。図13において、横軸は、リガンドをインジェクション後の経過時間を示し、縦軸は、結合力の相対値(RU)を示す。図13に示すように、各IL−6結合核酸分子は、アミラーゼおよびsIgAには結合せず、IL−6に結合した。
【0215】
つぎに、各結合核酸分子の測定チップへの固定化量と、各核酸分子とターゲットとの結合量に基づき、各結合核酸分子の結合能を検討した。具体的には、リガンド2のインジェクション後のシグナル強度(RU)を測定し、これを各核酸分子の測定チップへの固層化量を示すシグナルとして、核酸分子固層化測定値(A)とした。また、アナライトのインジェクションおよびバッファーによる洗浄に並行して、シグナル強度の測定を行った。そして、インジェクション開始を0秒として、115〜125秒の間におけるシグナル強度の平均値を求め、これを、各結合核酸分子とターゲットとの結合量を示すシグナルとして、ターゲット結合測定値(B)とした。そして、ターゲット結合測定値(B)を核酸分子固層化測定値(A)で割った値(B/A)を、相対値(Relative Unit)として求め、これを結合能とした。また、コントロールは、前記アナライトとして、α−アミラーゼおよびsIgAを用いた以外は同様にして結合能を確認した。
【0216】
各LDH5結合核酸分子の結果を図14に、各IL−6結合核酸分子の結果を図15に示す。
【0217】
図14は、各LDH5結合核酸分子のLDH5への結合量の相対値(Relative Unit)を示すグラフである。図14において、横軸は、LDH5結合核酸分子の種類を示し、縦軸は、相対値を示す。図14に示すように、α−アミラーゼまたはsIgAを用いたコントロールでは結合が確認できなかった。これに対し、いずれのLDH5結合核酸分子も、LDH5に結合した。
【0218】
図15は、各IL−6結合核酸分子のIL−6への結合量の相対値を示すグラフである。図15において、横軸は、IL−6結合核酸分子の種類を示し、縦軸は、相対値を示す。図15に示すように、α−アミラーゼまたはsIgAを用いたコントロールでは結合が確認できなかった。これに対し、いずれのIL−6結合核酸分子も、IL−6に結合した。
【0219】
これらのことから、本発明のヌクレオシド誘導体であるMK4を用いて、LDH5に結合する結合核酸分子およびIL−6に結合する結合核酸分子を取得できることがわかった。
【0220】
(3)結合力の確認
前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各LDH5結合核酸分子を用い、アナライトであるLDH5の濃度を、1.25、2.5、5、10、もしくは20nmol/L、または6.25、12.5、25、50、もしくは100nmol/Lとした以外は、前記実施例5(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。さらに、前記リガンド2として、3’末端に20塩基長polyTを付加した各IL−6結合核酸分子を用い、アナライトであるIL−6の濃度を、6.25、12.5、25、50、もしくは100nmol/L、または12.5、25、50、100、もしくは200nmol/Lとした以外は、前記実施例5(2)と同様にして、結合力の相対値(RU)を測定した。そして、前記結合力の相対値(RU)に基づき、各LDH5結合核酸分子とLDH5との解離定数および各IL−6結合核酸分子と前記IL−6との解離定数を算出した。これらの結果を下記表2に示す。
【0221】
【表2】
【0222】
前記表2に示すように、いずれの結合核酸分子も極めて優れたターゲットとの結合能を有することがわかった。特に、LDH5結合核酸分子2〜4は、ターゲットと極めて優れた結合能を示した。
【0223】
(4)プルダウンによる結合の確認
5’末端をビオチン修飾したLDH5結合核酸分子1を、前記ストレプトアビジンで修飾されたビーズと接触させることにより、LDH5結合核酸分子結合ビーズ(以下、「結合ビーズL」ともいう)を調製した。つぎに、前記結合ビーズLを、それぞれ、90(v/v)%の唾液を含むSBバッファー(唾液サンプル)またはLDH5を含むSBバッファー(ターゲットサンプル)と混合した以外は、前記実施例2(5)と同様にして、SDS−PAGEを実施し、ゲルを撮影した。また、コントロール1は、5’末端をビオチン修飾した下記のコントロールの核酸分子3を使用した以外は同様にして、コントロール2は、LDH5のみを使用した以外は同様にして、撮影した。
コントロールの核酸分子3(配列番号23)
5’-GGAATTGACACCTCGCCGTTTATG-3’
【0224】
つぎに、前記結合ビーズLを用いた結果を図16に示す。図16は、前記結合ビーズLを用いたプルダウンの結果を示す写真である。図16において、写真の左側の数字が、分子量を示し、各レーンは、左から、レーンM(マーカー)、レーン1(ターゲットサンプル)、レーンC1(コントロール1)、レーンLDH5(コントロール2)、レーンM(マーカー)、レーン2(唾液サンプル)、およびレーンC2(コントロール1)を示す。図16に示すように、コントロール1では、コントロール2と同様の位置(約35kDa)にバンドが観察されなかったのに対し、前記ターゲットサンプルおよび前記唾液サンプルでは、図中の矢印で示すように、コントロール2と同様の泳動度の位置にバンドが観察された。すなわち、前記LDH5結合核酸分子1とLDH5との結合が確認された。これらの結果から、前記LDH5結合核酸分子が、LDH5と結合することが分かった。
【0225】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0226】
この出願は、2016年9月15日に出願された日本出願特願2016−180894および2017年5月30日に出願された国際特許出願PCT/JP2017/020065を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【0227】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない
(付記1)
下記化学式(1)で表されることを特徴とする、ヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化1】
前記化学式(1)中、
Suは、ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団またはヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団であり、保護基を有しても有しなくてもよく、
およびLは、それぞれ独立して、直鎖もしくは分枝状の飽和または不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基であり、
およびXは、それぞれ独立して、イミノ基(−NR−)、エーテル基(−O−)、またはチオエーテル基(−S−)であり、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和の炭素数2〜10の炭化水素基である。
(付記2)
が、イミノ基(−NR−)である、付記1記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記3)
が、イミノ基(−NR−)である、付記1または2記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記4)
が、水素原子である、付記2または3記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記5)
が、ビニレン基(−CH=CH−)である、付記1から4のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記6)
が、エチレン基(−CH−CH−)である、付記1から5のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
(付記7)
前記ヌクレオシド残基における糖骨格を有する原子団または前記ヌクレオチド残基における糖リン酸骨格を有する原子団が、下記化学式(2)で表される、付記1から6のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化2】
前記化学式(2)中、
は、水素原子、保護基、または下記化学式(3)で表される基であり、
は、水素原子、保護基、またはホスホロアミダイト基であり、
は、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはメルカプト基であり、
【化3】
前記化学式(3)中、
Yは、酸素原子または硫黄原子であり、
Zは、ヒドロキシル基またはイミダゾール基であり、
mは、1〜10の整数である。
(付記8)
前記化学式(1)で表されるヌクレオシド誘導体が、下記化学式(4)で表されるヌクレオシド誘導体である、付記1から7のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその塩。
【化4】
(付記9)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの合成試薬。
(付記10)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を用い、ポリヌクレオチドを合成する合成工程を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチドの製造方法。
(付記11)
付記1から8のいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体もしくはその塩を含むヌクレオチド誘導体またはその塩を構成単位として含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
(付記12)
前記ポリヌクレオチドが、ターゲットに結合する結合核酸分子である、付記11記載のポリヌクレオチド。
(付記13)
前記ターゲットが、分泌型免疫グロブリンA、アミラーゼ、β−ディフェンシン4A、リゾチーム、乳酸脱水素酵素(LDH)5、およびインターロイキン(IL)−6からなる群から選択された少なくとも一つである、付記12記載のポリヌクレオチド。
(付記14)
候補ポリヌクレオチドとターゲットとを接触させる接触工程、および
前記ターゲットと結合した前記候補ポリヌクレオチドを、前記ターゲットに結合する結合核酸分子として選抜する選抜工程を含み、
前記候補ポリヌクレオチドが、付記11から13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであることを特徴とする、結合核酸分子の製造方法。
(付記15)
前記ターゲットが、分泌型免疫グロブリンA、アミラーゼ、β−ディフェンシン4A、リゾチーム、乳酸脱水素酵素(LDH)5、およびインターロイキン(IL)−6からなる群から選択された少なくとも一つである、付記14記載の製造方法。
(付記16)
下記(a)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、α−アミラーゼ結合核酸分子。
(a)下記(a1)のポリヌクレオチド
(a1)配列番号1および11〜16のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記17)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記16記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記18)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記17記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記19)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記18記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記20)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記16から19のいずれか一項に記載のα−アミラーゼ結合核酸分子。
(付記21)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のα−アミラーゼを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記16から20のいずれか一項に記載のα−アミラーゼ結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のα−アミラーゼと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のα−アミラーゼを検出することを特徴とする、α−アミラーゼの分析方法。
(付記22)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記21記載のα−アミラーゼの分析方法。
(付記23)
下記(b)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、β−ディフェンシン(BDN)4A結合核酸分子。
(b)下記(b1)のポリヌクレオチド
(b1)配列番号4〜6のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記24)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記23記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記25)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記24記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記26)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記25記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記27)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記23から26のいずれか一項に記載のBDN4A結合核酸分子。
(付記28)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のβ−ディフェンシン(BDN)4Aを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記23から27のいずれか一項に記載のBDN4A結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のBDN4Aと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のBDN4Aを検出することを特徴とする、BDN4Aの分析方法。
(付記29)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記28記載のBDN4Aの分析方法。
(付記30)
下記(l)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、リゾチーム結合核酸分子。
(l)下記(l1)のポリヌクレオチド
(l1)配列番号7〜9のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記31)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記30記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記32)
前記修飾塩基が、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基である、付記31記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記33)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記32記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記34)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記30から33のいずれか一項に記載のリゾチーム結合核酸分子。
(付記35)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のリゾチームを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記30から34のいずれか一項に記載のリゾチーム結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のリゾチームと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のリゾチームを検出することを特徴とする、リゾチームの分析方法。
(付記36)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記35記載のリゾチームの分析方法。
(付記37)
下記(d)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、乳酸脱水素酵素(LDH)5結合核酸分子。
(d)下記(d1)のポリヌクレオチド
(d1)配列番号17〜20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記38)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記37記載のLDH5結合核酸分子。
(付記39)
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミンである、付記38記載のLDH5結合核酸分子。
(付記40)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記39記載のLDH5結合核酸分子。
(付記41)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記37から40のいずれか一項に記載のLDH5結合核酸分子。
(付記42)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中の乳酸脱水素酵素(LDH)5を検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記37から41のいずれか一項に記載のLDH5結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のLDH5と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のLDH5を検出することを特徴とする、LDH5の分析方法。
(付記43)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記42記載のLDH5の分析方法。
(付記44)
下記(i)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、インターロイキン(IL)−6結合核酸分子。
(i)下記(i1)のポリヌクレオチド
(i1)配列番号21〜22のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(付記45)
前記核酸分子は、塩基が修飾された修飾塩基を含む、付記44記載のIL−6結合核酸分子。
(付記46)
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミンである、付記45記載のIL−6結合核酸分子。
(付記47)
前記修飾基が、アデニン残基である、付記46記載のIL−6結合核酸分子。
(付記48)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記44から47のいずれか一項に記載のIL−6結合核酸分子。
(付記49)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のインターロイキン(IL)−6を検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記44から48のいずれか一項に記載のIL−6結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のIL−6と前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のIL−6を検出することを特徴とする、IL−6の分析方法。
(付記50)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも一つである、付記49記載のIL−6の分析方法。
【産業上の利用可能性】
【0228】
本発明によれば、新たなヌクレオシド誘導体またはその塩を提供できる。また、本発明のヌクレオシド誘導体は、プリン環様の構造を2つ含む。このため、本発明のヌクレオシド誘導体は、例えば、分子内または分子間で相互作用可能な原子の数が、プリン環様の構造を1つ含むヌクレオシド誘導体より相対的に多い。このため、本発明のヌクレオシド誘導体を含む結合核酸分子は、例えば、プリン環様の構造を1つ含むヌクレオシド誘導体と比較して、ターゲットに対する結合能が向上する。このため、本発明のヌクレオシド誘導体によれば、例えば、ターゲットに対し優れた結合能を示す結合核酸分子を製造できる。したがって、本発明は、例えば、分析分野、医療分野、ライフサイエンス分野等の分野において、極めて有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]