(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のサーバは、前記入金要求又は出金要求に対する指示として、前記口座を示す口座情報と、前記端末から受信した前記取引の種類および/または金額を示す取引情報とを前記ATMに通知し、
前記ATMは、前記口座情報と前記取引情報に基づいて前記取引を実行する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の取引システム。
前記第1のサーバは、前記取引に対する認証番号を前記端末に送信し、送信した認証番号と、前記ATMから受信した前記ATMに入力された認証番号とを照合して、前記取引の許否を判定する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の取引システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献の全開示内容は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0007】
銀行等の金融機関の口座に対してATMを介して入出金を行う場合、ユーザは銀行から発行されたキャッシュカードをATMに挿入することで入出金を行う。しかし、金融機関または口座ごとに発行された複数のキャッシュカードを携行することはユーザにとって不便であると同時に、カードを紛失するリスクもある。また、近年増加しつつある資金移動業者等の事業会社の中には、カードの発行そのものを省略して、ユーザに迅速にサービスを提供したいというニーズもある。このように、ATMを介した取引サービスにおいて、ユーザによるカードの携行や、金融機関によるカードの発行を不要とすることが要望されている。
【0008】
かかる要望に応える技術として、例えば特許文献1、2には、ATMを介して入出金を行う際、金融機関が発行したカードの代わりに、ユーザが所有する携帯端末(携帯電話、スマートフォンなど、以下「端末」という)を使用することで、端末を所有するユーザがATMの前に実在することを確認する技術が提案されている。
【0009】
特許文献1に記載されたカードレス決済システムでは、金融機関の管理サーバが識別番号を発行し、発行した識別番号をQR(Quick Response)コードとして生成し、生成したQRコード(登録商標)をユーザの端末に送信する。また、ATMはユーザの端末に表示されたQRコードを読み取る。かかるシステムによると、QRコードの読み取り機能をATMに対して別途設ける必要がある。また、かかるシステムによると、管理サーバが発行した識別番号を含むQRコードを管理サーバとユーザの端末の間でやり取りするために時間を要し、ユーザの体感品質が低下するという問題もある。
【0010】
一方、特許文献2に記載された現金自動取引システムでは、金融機関側のサーバがユーザの端末に取引番号を送信し、ユーザが手作業でATMに取引番号を入力する。かかるシステムによると、サーバが発行した取引番号をサーバとユーザの端末の間でやり取りするために時間を要するため、特許文献1に記載のシステムと同様にユーザの体感品質の低下を招くおそれがある。また、かかるシステムによると、ユーザは手作業で取引番号を入力する必要があり、ユーザには煩雑な入力作業が要求される。
【0011】
そこで、ATMを大幅に改造することなく、ATMを介した高速なカードレス取引を実現することが課題となる。本発明の目的は、かかる課題解決に寄与する取引システム、ATM、サーバ、取引方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係る取引システムは、ATMと、前記ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する第1のサーバと、を備えている。前記ATMは、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を連携情報として生成し、生成した連携情報を前記第1のサーバに送信する。前記第1のサーバは、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報を前記端末から受信し、前記ATMから受信した連携情報と前記端末から受信した連携情報とを照合して、前記取引の許否を判定する。
【0013】
本発明の第2の態様に係るATMは、ATMを識別する第1の識別子を含む情報を連携情報として生成する生成部と、前記ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する第1のサーバに、前記連携情報を送信する通信部と、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報と、前記ATMから受信した連携情報とを前記第1のサーバが照合して判定した前記取引の許否の結果に応じて、前記取引を実行または停止する取引部と、を備えている。
【0014】
本発明の第3の態様に係るサーバは、ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する管理部と、前記ATMによって生成された、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を前記ATMから連携情報として受信するとともに、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報を前記端末から受信する通信部と、前記ATMから受信した連携情報と前記端末から受信した連携情報とを照合して、前記取引の許否を判定する判定部と、を備えている。
【0015】
本発明の第4の態様に係る取引方法は、ATMと、前記ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する第1のサーバとを備えた取引システムにおける取引方法である。かかる取引方法は、前記ATMが、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を連携情報として生成し、生成した連携情報を前記第1のサーバに送信するステップと、前記第1のサーバが、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報を受信するステップと、前記第1のサーバが、前記ATMから受信した連携情報と前記端末から受信した連携情報とを照合して、前記取引の許否を判定するステップと、を含む。
【0016】
本発明の第5の態様に係る取引方法は、ATMが、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を連携情報として生成するステップと、前記ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する第1のサーバに、前記連携情報を送信するステップと、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報と、前記ATMから受信した連携情報とを前記第1のサーバが照合して判定した前記取引の許否の結果に応じて、前記取引を実行または停止するステップと、を含む。
【0017】
本発明の第6の態様に係る取引方法は、ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理するサーバによる取引方法であって、前記サーバが、前記ATMによって生成された、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を前記ATMから連携情報として受信するステップと、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報を前記端末から受信するステップと、前記ATMから受信した連携情報と前記端末から受信した連携情報とを照合して、前記取引の許否を判定するステップと、を含む。
【0018】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、ATMを識別する第1の識別子を含む情報を連携情報として生成する処理と、前記ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理する第1のサーバに、前記連携情報を送信する処理と、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報と、前記ATMから受信した連携情報とを前記第1のサーバが照合して判定した前記取引の許否の結果に応じて、前記取引を実行または停止する処理と、を前記ATMに設けられたコンピュータに実行させる。
【0019】
本発明の第8の態様に係るプログラムは、ATMを介してユーザが行う取引に関する口座を管理するサーバに設けられたコンピュータに対して、前記ATMによって生成された、前記ATMを識別する第1の識別子を含む情報を前記ATMから連携情報として受信する処理と、前記ユーザが所有する端末によって前記ATMから読み取られた連携情報を前記端末から受信する処理と、前記ATMから受信した連携情報と前記端末から受信した連携情報とを照合して、前記取引の許否を判定する処理と、を実行させる。
【0020】
なお、プログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されたプログラム製品として提供することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る取引システム、ATM、サーバ、取引方法およびプログラムによると、ATMを大幅に改造することなく、ATMを介した高速なカードレス取引を実現すること可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0024】
図1は、一実施形態に係る取引システムの構成を示す図である。
図1を参照すると、取引システムは、ATM1と、第1のサーバ2(例えば金融機関に設けられたサーバ、後述の取引センタサーバなど)を備えている。
図1には、ATM1を介して取引(例えば入出金)を行うユーザが保有する端末3(例えば携帯電話、スマートフォン)も併せて示す。
【0025】
第1のサーバ2は、ATM1を介してユーザが行う取引に関する口座を管理する。ATM1は、ATM1を識別する第1の識別子(例えばATMの端末番号)を含む情報を連携情報として生成し、生成した連携情報を第1のサーバ2に送信する。第1のサーバ2は、ユーザが所有する端末3によってATM1から(一例としてQRコードとして)読み取られた連携情報を端末3から受信する。第1のサーバ2は、ATM1から受信した連携情報と端末3から受信した連携情報とを照合して、ATM1を介してユーザが行う取引の許否を判定する。
【0026】
一実施形態の取引システムでは、ATMが生成した連携情報と、ATMから連携情報を読み取ったユーザの端末から受信した連携情報とを第1のサーバによって照合する。これにより、ATMを介して取引を行うユーザがATMの前に実在することを確認することができ、ユーザはカードを携行することなく、自身の端末を用いてATMを介した取引を実行することができる。
【0027】
また、一実施形態の取引システムでは、ATMが生成した識別情報をユーザの端末が読み取る。このとき、QRコードの読み取り機能をATM側に別途設けるためにATMを改良する必要はない。
【0028】
さらに、一実施形態の取引システムでは、第1のサーバ側ではなく、ATM自身がATMを識別する第1の識別子(例えばATMの端末番号)を含む情報を連携情報として生成する。かかる構成によると、ユーザの端末(またはATM)が識別情報(連携情報)をサーバに要求し、サーバ側で識別情報を生成してユーザの端末(またはATM)に送信する構成を採用した場合と比較して、識別情報の発行を迅速化し、利用者の体感品質を向上させることができる。
【0029】
以上より、一実施形態の取引システムによると、ATMを大幅に改造することなく、ATMを介した高速なカードレス取引を実現することが可能となる。
【0030】
<実施形態1>
次に、第1の実施形態に係る取引システムについて図面を参照して説明する。本実施形態では、ユーザは銀行等の金融機関に口座を保有し、当該口座に対する暗証番号(例えば、キャッシュカードの発行に伴う暗証番号)が金融機関に登録されているものとする。
【0031】
[構成]
図2は、本実施形態に係る取引システムの構成を例示するブロック図である。
図2を参照すると、取引システムはATM10、取引センタサーバ20および仲介センタサーバ40を備えている。
図2には、ATM20を介して取引(例えば入出金)を行うユーザが所有する端末30(例えば携帯電話、スマートフォン)を併せて図示している。
【0032】
ATM10は、例えば金融機関、スーパー、コンビニ等の店舗に設置され、ユーザに対してさまざまな金融取引サービスを提供する。取引センタサーバ20は、例えば金融機関(例えば、銀行、信用金庫、信用組合、農協、漁協、証券・生保、消費者金融など)が保持するサーバであり、ユーザの口座を管理する。一方、仲介センタサーバ40は、例えばATM10を運用する金融機関が保持するサーバであり、ATM10と取引センタサーバ20を中継する。
【0033】
図2には、一例として、1つの金融機関に対する1つの取引センタサーバ20のみを図示した。ただし、複数の金融機関のそれぞれに対する複数の取引センタサーバ20が存在していてもよい。このとき、仲介センタサーバ40は、複数の取引センタサーバ20の中から、取引に関係する金融機関の取引センタサーバ20を選択して、取引を振り分ける。
【0034】
以下、
図2を参照して各装置の詳細な構成について説明する。
【0035】
端末30は、読取部31、通信部32および表示部33を備えている。
【0036】
読取部31は、ATM10のディスプレイ等に表示された(またはATM10から出力された紙に印字された)QRコードを読み取る。
【0037】
通信部32は、取引センタサーバ20にログインする際にユーザが端末30に入力したパスワードを取引センタサーバ20に送信する。また、通信部32は取引センタサーバ20によってログインが認証された場合、認証OKの通知を受け取る。さらに、通信部32はユーザから受け付けた取引の種類(例えば出金、入金など)と取引の金額(例えば、出金額)を取引センタサーバ20に通知する。また、通信部32は読取部31が読み取ったQRコードに含まれる連携情報(後述)を取引センタサーバ20に送信する。さらに、通信部32は取引センタサーバ20から企業番号(金融機関の識別子、例えば銀行の識別番号)の通知を受け取る。
【0038】
表示部33は、通信部32が受け取った企業番号を端末30のディスプレイに表示する。
【0039】
ATM10は、入力部11、生成部12、表示部13、通信部14および取引部15を備えている。
【0040】
入力部11は、ユーザからのさまざまなATM操作を受け付ける。入力部11は、例えば、取引ボタンの押下、暗証番号または認証番号、企業番号の入力、入金額または出金額の確認ボタンの押下などの操作を受け付ける。
【0041】
生成部12は、入力部11が取引ボタンの押下を受け付けると、ATM10を識別する識別子(例えばATMの端末番号)と、取引を識別する識別子(例えば通番、乱数など)、および/または、取引を受け付けた日時(例えば、日付(年、月、日)と時刻(時、分、秒)など)とを含む情報を連携情報として生成する。なお、セキュリティを強化するため、生成部12はATM端末番号、取引通番および受付日時を含む情報をスクランブル化(または暗号化)して連携情報を生成してもよい。
【0042】
表示部13は、生成部12が生成した連携情報をQRコードとしてATM10のディスプレイに表示する。なお、ATM10は、QRコードを紙に印字して出力してもよい。また、表示部13は取引センタサーバ20から受信した取引の種類、取引の金額(入金額、出金額)、入金指示などをATM10のディスプレイに表示する。
【0043】
通信部14は入力部11が受け付けた企業番号および生成部12が生成した連携情報を、仲介センタサーバ40に送信する。また、通信部14は入力部11が受け付けた暗証番号を取引センタサーバ20に送信する。さらに、通信部14はユーザが取引を行う口座を示す口座情報と、取引の種類(出金、入金など)および金額(出金額など)を示す取引情報とを取引センタサーバ20から受信する。また、通信部14は取引センタサーバ20が判定した取引の許否(許可または拒否)の結果を受信する。さらに、表示部13が表示した入金額をユーザが確認する操作を入力部11が受け付けると、通信部14は入金額に相当する現金を入金処理した旨を、仲介センタサーバ40を経由して取引センタサーバ20に送信する。
【0044】
取引部15は、通信部14が受信した取引の許否の結果に応じて、取引を実行または停止する。取引部15は、通信部14が受信した口座情報および取引情報(取引種類、取引金額)に基づいて取引を実行する。取引種類が出金の場合、表示部13が表示した出金額をユーザが確認する操作を入力部11が受け付けると、取引部15は出金額に相当する現金を出金する。一方、取引種類が入金の場合、取引部15はユーザから現金の挿入を受け付ける。
【0045】
取引センタサーバ20は、管理部21、通信部22および判定部23を備えている。
【0046】
管理部21は、ATM10を介してユーザが行う取引に関する口座を管理する。また、管理部21はユーザの端末30から通知された取引の種類と金額をテーブル(ないしDB:Database)に保持する。さらに、管理部21はユーザの端末30から受信した連携情報をテーブルに記憶する。
【0047】
図3は、管理部21が保持するテーブルの構成を例示する図である。
図3を参照すると、テーブルは、「ユーザID」、「店番号」、「口座(預金)種別」、「口座番号」、「取引の種類(出金/入金)」、「取引の金額(出金額)」、「連携情報」を関連付けて保持する。なお、
図3に図示するテーブルの構成は例示にすぎず、管理部21はこれらのテーブルの属性を複数のテーブルに分割して保持していてもよい。
【0048】
通信部22は、ユーザがログインの際に入力したパスワードを受信する。また、通信部32はログインが認証されると、認証OKの通知をユーザの端末30に送信する。さらに、通信部22はユーザの端末30から取引の種類と金額を受信すると、これらを管理部21のテーブル(
図3)に蓄積する。また、通信部22は取引センタサーバ20を管理する企業(金融機関)を識別する企業番号(金融機関の識別子、銀行の識別番号)を端末30に送信する。さらに、通信部22はユーザの端末30がATM10から読み取った連携情報を端末30から受信すると、受信した連携情報を管理部21のテーブル(
図3)に蓄積する。また、通信部22はATM10が生成した連携情報をATM10から仲介センタサーバ40を経由して受信する。さらに、通信部22は、管理部21が保持するテーブル(
図3)を参照して、ユーザの口座の情報を示す口座情報(例えばキャッシュカードの磁気ストライプ情報に相当する情報)と、端末30から受信した取引の種類および/または金額を示す取引情報とをATM10に通知する。また、通信部22は、出金を許可する場合、その旨をATM10に通知する。
【0049】
判定部23は、ATM10から受信した連携情報と端末30から受信した連携情報とを照合して、取引を許可するかどうかを判定する。これらの連携情報が一致しない場合、判定部23はユーザの端末30から登録された取引を拒否する。一方、これらの連携情報が一致する場合、判定部23は口座情報および取引情報を、仲介センタサーバ40を経由してATM10に通知する。取引の種類が出金の場合、判定部23は取引に関する口座の暗証番号と、ATM10から仲介センタサーバ40を経由して受信した、ATM10に入力された暗証番号とを照合して、両者が一致する場合、取引(すなわち出金)を許可する。
【0050】
仲介センタサーバ40は、振分部41を備えている。
【0051】
振分部41はATM10から連携情報および企業番号を受信すると、企業番号が示す金融機関(例えば、識別番号に相当する銀行)に対応する取引センタサーバ20に連携情報を送信する。
【0052】
[動作]
次に、本実施形態に係る取引システムの動作について図面を参照して説明する。
図4は、出金動作を例示するシーケンス図である。
【0053】
図4を参照すると、取引センタサーバ20にログインする際、端末30の通信部32は取引センタサーバ20にパスワードを送信する(ステップS1)。取引センタサーバ20はユーザのログインを認証すると、通信部22は認証OKの通知を端末30に送信する。これにより、取引センタサーバ20へのログインが完了する。
【0054】
次に、端末30の通信部32はユーザから受け付けた取引の種類(出金)と金額(出金額)を取引センタサーバ20に送信する(ステップS4)。取引センタサーバ20の管理部21は、通信部22が受信した取引の種類(出金)と金額(出金額)をテーブル(
図3)に記憶する(ステップS5)。
【0055】
ユーザがATM10を操作し取引ボタンを押下すると(ステップS6)、ATM10の生成部12は連携情報(例えば、ATMの端末番号、取引を識別する通番、受付年月日・時刻を含む情報)を生成する。すると、表示部13は、生成された連携情報を用いて(または連携情報をスクランブル化して)QRコードを表示する(ステップS7)。
【0056】
端末30の読取部31は、ATM10に表示されたQRコードを読み取る。また、通信部32は読み取ったQRコードに含まれる連携情報を取引センタサーバ20に送信する(ステップS8)。取引センタサーバ20の管理部21は、通信部22が受信した連携情報をテーブル(
図3)に記憶する(ステップS9)。
【0057】
次に、取引センタサーバ20の通信部22は、取引センタサーバ20に対応する金融機関の企業番号(銀行の識別番号等の企業を識別する識別子)を端末30に送信する(ステップS10)。端末30の表示部33は、受信した企業番号をディスプレイに表示する。
【0058】
ユーザが端末30のディスプレイに表示された企業番号をATM10に入力すると(ステップS11)、ATM10の通信部14はステップS7で生成した連携情報(または連携情報をスクランブル化した情報)と入力された企業番号を仲介センタサーバ40に送信する。
【0059】
仲介センタサーバ40の振分部41は、受信した企業番号に対応する金融機関の取引センタサーバ20に向けて、受信した連携情報を振り分ける(ステップS13)。
【0060】
取引センタサーバ20の判定部23は、ステップS9でテーブル(
図3)に記憶した連携情報(すなわち、端末30がATM10から読み取った連携情報)と、ステップS12、S13で受信した連携情報(すなわち、ATM10から受信した連携情報)とを照合する(ステップS14)。
【0061】
両連携情報が一致する場合、取引センタサーバ20の通信部22は口座情報およびステップS5で記憶した出金額をATM10に通知する(ステップS15)。一方、両連携情報が一致しない場合、取引センタサーバ20の判定部23は取引(ここでは出金)を
拒否する。
【0062】
取引センタサーバ20の通信部22がテーブル(
図3)を参照して口座情報および出金額をATM10に通知し(ステップS15)、ユーザが暗証番号をATM10に入力すると(ステップS16)、ATM10の表示部13は取引センタサーバ20から通知された出金額を表示する(ステップS17)。
【0063】
ユーザから出金額を確認する入力を受け付けると(ステップS18)、ATM10の通信部14は入力された暗証番号を取引センタサーバ20に送信する(ステップS19)。取引センタサーバ20の判定部23は、受信した暗証番号と取引に関する口座の暗証番号とが一致するかどうかを確認する(ステップS20)。暗証番号が一致する場合、取引センタサーバ20の通信部22は出金許可をATM10に通知する(ステップS21)。暗証番号が一致しない場合、取引センタサーバ20は出金を
拒否する旨をATM10に通知する。ATM10の取引部15は、出金許可の通知を受けると、取引センタサーバ20から通知された出金額に応じて出金処理を行う(ステップS22)。ユーザは、ATM10から出金された現金を受け取る(ステップS23)。
【0064】
以上のステップにより出金処理が完了する。
【0065】
図5は、本実施形態に係る取引システムの入金動作を例示するシーケンス図である。以下、入金動作と
図4に示した出金動作の差分を中心に説明する。
【0066】
図5に示す入金動作におけるステップS1〜S15は、
図4に示す出金動作におけるステップS1〜S15と同様である。ただし、
図5に示す入金動作においては、ステップS4で端末30の通信部32はユーザから受け付けた取引種類(出金)を取引センタサーバ20に送信する点と、ステップS5で取引センタサーバ20の管理部21は受信した取引種類(出金)をテーブル(
図3)に記憶する点と、連携情報が一致する場合、ステップS15で取引センタサーバ20の通信部22は口座情報のみをATM10に通知する点で、
図4に示す出金動作と相違する。
【0067】
図5を参照すると、取引センタサーバ20から口座情報の通知を受けると(ステップS15)、ATM10の表示部13は入金指示を表示する(ステップS16)。
【0068】
図5を参照すると、ユーザから現金が投入されると(ステップS17)、ATM10の表示部13は入金額を表示する(ステップS18)。ユーザから入金額を確認する入力を受け付けると(ステップS19)、ATM10の取引部15は入金処理を行い(ステップS20)、通信部14は入金が行われた旨を取引センタサーバ20に通知する(ステップS21)。取引センタサーバ20は、ユーザの口座に対して入金処理を行う(ステップS22)。
【0069】
以上のステップにより、入金処理が完了する。
【0070】
[効果]
本実施形態の取引システムでは、ATMが生成した連携情報と、ATMから連携情報を読み取ったユーザの端末から受信した連携情報とを取引センタサーバによって照合することで、ATMを利用して取引を行うユーザがATMの前に実在することを確認することができる。これにより、ユーザはカードを携行することなく、自身が保有する端末を用いてATMを介した入出金を実行することができる。
【0071】
また、本実施形態の取引システムでは、ATMは生成した連携情報をQRコードとして表示して端末に読み取らせる。したがって、QRコードの読み取り機能をATM側に設けるなどのATMの改良は不要となる。
【0072】
さらに、本実施形態の取引システムでは、取引センタサーバ側ではなく、ATM自身がATMの端末番号を含む情報を連携情報として生成する。かかる構成によると、ユーザの端末(またはATM)が識別情報(連携情報)をサーバに要求し、識別情報をサーバ側で生成してユーザの端末(またはATM)に送信する構成を採用した場合と比較して、ATMは迅速に連携情報とこれに基づくQRコードを生成することができ、利用者の体感品質を向上させることが可能となる。
【0073】
以上より、本実施形態の取引システムによると、ATMを大幅に改造することなく、ATMを介した高速なカードレス取引を実現することが可能となる。
【0074】
さらに、本実施形態では、連携情報として、ATMの端末番号、取引を識別する通番、および/または、受付年月日・時刻を含む情報を生成し、取引センタサーバでは、かかる連携情報を用いて照合を行う。したがって、本実施形態によると、連携情報としてこれらの一部(例えば、ATMの端末番号のみ)を用いて照合を行う場合と比較して、ATMで取引を行うユーザがATMの前に存在することを、より確実に検証することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、企業番号を取引センタサーバからユーザの端末に通知し、ユーザがATMに企業番号を入力し、ATMが企業番号と連携情報を仲介センタサーバに送出する。また、仲介センタサーバは企業番号を参照して、取引に関係する金融機関の取引センタサーバに連携情報を振り分ける。これにより、ユーザは、口座を保有する複数の金融機関のそれぞれに対して、ATMを用いたカードレス取引を実行することができ、ユーザの利便性を大幅に向上させることができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、ユーザが行う取引の種類(入金または出金)と金額(出金額)がユーザの端末から取引センタサーバに事前に登録される。かかる構成によると、口座を管理する金融機関側は、ATMを介した出金処理が実際に行われる前に、取引金額(例えば出金額)を把握し、必要な処理(例えば残高不足の確認等)や準備を行うことが可能となる。
【0077】
<実施形態2>
次に、第2の実施形態に係る取引システムについて図面を参照して説明する。第1の実施形態では、ユーザが暗証番号を金融機関に登録済の場合を想定した。一方、本実施形態では、ユーザは資金移動業者等の事業会社に口座を保有し、暗証番号が設定されていない当該口座からの入出金を行う場合を想定する。以下では、本実施形態に係る取引システムと第1の実施形態の取引システムとの差分を中心に説明する。
【0078】
[構成]
図6は、本実施形態に係る取引システムの構成を例示するブロック図である。本実施形態では、取引センタサーバ20がさらに発行部24を有する点で第1の実施形態の取引システム(
図2)の構成と相違する。また、本実施形態では 取引センタサーバ20は、暗証番号の代わりに、取引に対する認証番号(例えばワンタイムパスワード)を端末30に送信し、送信した認証番号と、ATM10に入力された認証番号とを照合して、取引の許否を判定する。
【0079】
本実施形態のATM10の通信部14は、入力部11が受け付けた認証番号を取引センタサーバ20に送信する点において、第1の実施形態のATM10と相違する。
【0080】
また、本実施形態の取引センタサーバ20は、以下の点で第1の実施形態の取引センタサーバ20と相違する。発行部24は、取引(例えば、出金、入金など)に対する認証番号を発行する。また、通信部22は、企業番号(銀行の識別番号など)を端末30に送信する際に、発行部24が発行した認証番号を併せて送信する。さらに、判定部23は、発行部24が発行した認証番号と、ATM10から受信したATM10に入力された認証番号とを照合して、取引の許否を判定する。
【0081】
[動作]
図7は、本実施形態に係る取引システムの出金動作を例示するシーケンス図である。以下、本実施形態の出金動作と、
図4に示した第1の実施形態における出金動作との差分を中心に説明する。
【0082】
図7に示す本実施形態の出金動作におけるステップS1〜S15は、
図4に示す第1の実施形態の出金動作におけるステップS1〜S15と同様である。ただし、本実施形態の出金動作のステップS10では、取引センタサーバ20の通信部22は発行した認証番号を企業番号とともに端末10に送信する点で、
図4に示す第1の実施形態の出金動作と相違する。
【0083】
また、
図7に示す本実施形態の出金動作におけるステップS16〜S23は、
図4に示す第1の実施形態の出金動作におけるステップS16〜S23と同様である。ただし、本実施形態の出金動作においては、ステップ16、S19およびS20において暗証番号の代わりに認証番号が用いられる点で
図4に示す第1の実施形態の出金動作と相違する。
【0084】
なお、本実施形態に係る取引システムの入金動作は、
図5に示した第1の実施形態における入金動作と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
[効果]
本実施形態の取引システムによると、第1の実施形態の取引システムによってもたらされる上述の効果と同様の効果を奏する。本実施形態によると、さらに、暗証番号が設定されていない資金移動業者等の事業会社の口座についても、ユーザはATMを介したカードレス取引を実行することが可能となる。
【0086】
上記第1、第2の実施形態に係る取引システムに対して、さまざまな変形ないし改良が可能である。以下、かかる変形例について説明する。
【0087】
<変形例1>
上記実施形態において、取引センタサーバ20はユーザの端末30から受け付けた取引(例えば入出金)について有効期限を設けるようにしてもよい。
【0088】
一例として、取引センタサーバ20の判定部23は、端末30から出金額の登録(
図4のステップS4)または入金取引の登録(
図5のステップS4)を受け付けてから、ATM10から連携情報を受信する(
図4、
図5のステップS12、S13)までの期間が所定の期間を超えた場合、照合結果(
図4、
図5のステップS14)に依らずに取引を
拒否するようにしてもよい。ここで、所定の期間として、例えば、ユーザがQRコードを読み取るのに要する時間、連携情報および企業番号の送受信に要する時間、取引センタサーバ20から通知された企業番号をユーザがATM10に入力するのに要する時間などを考慮して決定された期間(例えば15分程度)を用いることが好ましい。
【0089】
かかる変形例によると、ATMを介したキャッシュレス取引の安全性をさらに向上させることができる。
【0090】
<変形例2>
第1または第2の実施形態における暗証番号または認証番号の確認(
図4または
図5のステップS16、S19、S20)の代わりに、生体認証技術を適用することも可能である。
【0091】
ユーザは、所定の情報(指紋、指静脈、顔、虹彩、声、筆跡など)を事前に取引センタサーバ20に登録し、取引センタサーバ20は登録された情報を保持する。ATM10のセンサは、取引センタサーバ20から口座情報などの通知を受けると(
図4、
図5のステップS15)、上記の事前に登録した情報に対応する情報をユーザから読み取り(または受け付け)、読み取った情報を取引センタサーバ20に送信する。取引センタサーバ20の判定部23は、受信した情報と事前に登録された情報とを照合してユーザを認証し、認証結果に応じて取引の許否を判定する。
【0092】
かかる変形例によると、暗証番号を忘れた場合であっても、ATMを介したカードレス取引を安全に実現することができる。また、かかる変形例によると、暗証番号や認証番号が漏えいした場合のように、他人が誤って認証されることを防ぐことも可能となる。さらに、かかる変形例によると、取引センタサーバから端末への認証番号の通知、および、ユーザによる暗証番号や認証番号のATMへの入力作業を省略することができ、ATMを介したカードレス取引をさらに高速化、簡便化することが可能となる。
【0093】
<変形例3>
第1、第2の実施形態における出金動作では、ユーザが事前に登録した(
図4、
図7のステップS4)出金額をユーザが再度確認し(
図4、
図7のステップS18)、事前に登録された金額に相当する現金を出金(
図4、
図7のステップS22)するものとした。
【0094】
しかし、ユーザは出金のタイミングで、出金額を変更したい場合も起こり得る。また、事前に登録した出金額に対して、ユーザが口座に保有する現金の残高が不足する(またはユーザに許容された出金(もしくはローン)の限度額を超える)場合もある。さらに、ATMが保持する紙幣や硬貨の残数の状況によっては、ユーザが事前に登録した出金額を出金できないケースも生じ得る。
【0095】
そこで、ユーザが事前に登録した出金額が出金可能な場合であっても、ATM10の表示部13はユーザが事前に登録した出金額を表示する際(
図4、
図7のステップS17)、出金額の訂正を受け付ける表示を併せて行ってもよい。また、ユーザが事前に登録した出金額が出金不能の場合、ATM10の表示部13は出金額の訂正または出金のキャンセルを促す表示を行ってもよい。これらの場合に、ATM10の入力部11は、ユーザから訂正された出金額を受け付けると、取引部15は訂正後の出金額に応じた出金処理する。また、これらの場合に、ATM10の入力部11は、ユーザから出金のキャンセルを受け付けると、取引部15は出金を停止する。
【0096】
かかる変形例によると、出金額を柔軟に変更したいユーザの要望に応えることができる。また、口座の残高不足、または、出金もしくはローン限度額超過や、ATMの紙幣、硬貨不足などの例外的な状況にも対処することが可能となる。
【0097】
<変形例4>
第1または第2の実施形態におけるQRコードの代わりに、1次元バーコードやその他の符号化技術を使用してもよい。また、ATMが連携情報を含むQRコードなどを表示し、端末が表示されたQRコードから連携情報を読み取る代わりに、ATMから端末に無線通信(例えば、近距離無線通信、近接型非接触通信など)を用いて連携情報(または連携情報をスクランブル化もしくは暗号化した情報)を送信してもよい。
【0098】
<変形例5>
第1、第2の実施形態における入出金動作では、仲介センタサーバ40の振分部41が、受信した企業番号に対応する金融機関の取引センタサーバ20に向けて、連携情報を振り分けるものとした(
図4、
図5および
図7のステップS13)。ただし、取引センタサーバ20の代わりにATM10の側で入力された企業番号に応じて連携情報の振り分け先を判定してもよい。この場合、ATM10は判定した振り分け先を仲介センタサーバ40に通知し、仲介センタサーバ40の振分部41はATM10から通知された振り分け先に連携情報を送付する。
【0099】
<変形例6>
第2の実施形態では、ユーザが資金移動業者等の事業会社に口座を保有し、暗証番号が設定されていない当該口座からの入出金を行う場合について説明した。ただし、資金移動業者等の事業会社に対する取引であっても、暗証番号が設定されることもあり得る(例えば、ユーザのスマートフォンで暗証番号を事前に設定し、ATMで当該暗証番号を利用する場合等)。かかる場合には、資金移動業者等の事業会社に対する取引であっても、第1の実施形態と同様の動作(
図4、
図5)を採用することで、認証番号の発行を省略することができる。
【0100】
なお、上記特許文献の全開示内容は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。