(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
〈実施形態〉
(構成例)
図1は、本実施形態に係るフラックス塗布装置100の構成例を示す図である。
図1のように、フラックス塗布装置100は、ノズル10、メインタンク20、比重計21、送り配管31、戻り配管32、開閉弁33、配管35、加減圧配管36、チェック弁37、圧力センサ38、フィルタ39、サブタンク40、加減圧装置50、加減圧装置51、制御装置60、基台70、流量計80、流量計81、発泡管110、ガス配管111を備えている。ここでは、
図1の右方向を+X方向、
図1の紙面の表側から裏側への方向を+Y方向、
図1の上方向を+Z方向とする。XY平面は、水平面であり、−Z方向は、鉛直方向である。
【0012】
ノズル10は、筒状の部材であり、フラックスを吐出する開口(不図示)を有した先端部を上方へ向けて基台70上に立設されている。また、ノズル10の後端部には送り配管31が接続されている。また、ノズル10の中間部分には、発泡管110が接続されている。発泡管110には、気体を発泡管110に導入するガス配管111が接続されている。発泡管110からノズルの内部に発泡した気体が送り込まれ得る。
【0013】
サブタンク40は、フラックスを回収する開口を上方へ向けて設けられ、平面(
図1のX−Y面)視において、外径が円形状であり、その中央にノズル10が設けられている。また、サブタンク40の上部には、外周部から中央部に向かって下方へ傾斜したすり鉢状の蓋部121が設けられ、この蓋部121の中央部にフラックスを捕集する開口122が設けられている。
【0014】
基台70は、不図示の移動手段に、垂直方向(
図1のZ軸方向)の移動や、水平方向(X方向、Y方向)の移動が可能に保持されてもよい。
【0015】
メインタンク20は、フラックスを収容するタンクであり、このフラックスを収容する内空が垂直方向に長手の円筒形状であり、上部に加減圧配管36が接続され、下部に配管35が接続されている。この他、メインタンク20は、フラックスの充填口(不図示)などを有するが、フラックスを塗布する際、前記配管35及び加減圧配管36以外は密閉される。
【0016】
比重計21は、メインタンク21内に設けられ、フラックス液の比重を測定する。フラックス液の比重は、具体的には時間経過とともに溶剤が揮発することによって、フラックスの濃度が濃くなると、フラックス液の品質に依存する。例えば、フラックス液の品質が劣化すると、比重が高くなる。比重計21によって測定されたフラックス液の比重の情報は、制御装置60で取得される。フラックス液の品質は、温度変化や経時変化などにより、変化する。
【0017】
配管35は、一端がメインタンク20と接続され、他端が送り配管31及び戻り配管32と接続されている。換言すると、配管35はメインタンク20と反対側の端部で送り配管31と戻り配管32とに分岐している。
【0018】
配管35の途中部には、圧力センサ38が備えられる。圧力センサ38は、配管35内のフラックスにかかる圧力(液圧)を測定している。メインタンク20内が密閉されずに、大気圧となっている場合、配管35内の液圧は、メインタンク20内に収容されているフラックスの液面(上面)の高さLに比例する。即ち、配管35内の液圧が高ければ、液面の高さLが高く、メインタンク20内の空き容量が少ないと推定でき、配管35内の液圧が低ければ、液面の高さLが低く、メインタンク20内の空き容量が多いと推定できる。
【0019】
送り配管31の途中部には、チェック弁37が設けられており、当該チェック弁37は、フラックスがメインタンク20から圧送されノズル10へ供給される際に開かれ、フラックスがノズル10側へ圧送されていない場合には閉じて、フラックスがノズル10側からメインタンク20側へ逆流するのを防止する。
【0020】
戻り配管32の途中部には、開閉弁33が設けられており、当該開閉弁33は、フラックスをサブタンク40から、戻り配管32及び配管35を介してメインタンク20へ戻す際に開かれ、フラックスをメインタンク20から、配管35及び送り配管31を介してノズル10へ送る際に閉じられる。開閉弁33は、例えば、制御装置60の制御によって開閉を行う駆動部を備えた電磁弁である。なお、開閉弁33は、電磁弁ではなく、フラックスがメインタンク20から圧送されノズル10へ供給される際にフラックスの圧力によって閉じられ、フラックスがノズル10側からメインタンク20側へ回収される際に開かれる逆止弁であってもよい。
【0021】
また、戻り配管32の途中部の、開閉弁33とサブタンク40との間には、フィルタ39が設けられる。フィルタ39は、サブタンク40側からメインタンク20側に回収されるフラックスに含まれる異物、不純物を除去する。
【0022】
配管35及び送り配管31は、フラックスをメインタンク20からノズル10へ供給するための送り管30Aの一形態である。また、戻り配管32及び配管35は、フラックスをサブタンク40からメインタンク20へ戻すための戻り管30Bの一形態である。
【0023】
加減圧配管36は、一端がメインタンク20に接続され、他端が加減圧装置50に接続されている。加減圧装置50は、加減圧配管36を介して、メインタンク20へ気体を送ることで、メインタンク20内を加圧する。また、加減圧装置50は、加減圧配管36を介して、メインタンク20から気体を吸い出すことで、メインタンク20内を減圧する。また、加減圧装置50は、メインタンク20内を加圧も減圧もしない状態、即ち、周囲環境と同じ圧力とすることもできる。例えば、メインタンク20内と外部とを連通させることで、メインタンク20内の圧力を大気圧とする。本実施形態では、この加減圧に用いる気体として空気を用いた例を説明するが、空気に限定されるものではなく、窒素等、他の気体を用いてもよい。
【0024】
加減圧装置50は、例えば、圧縮機や送風機、シリンジポンプ等の気体を送り出す装置(送風装置)を備え、この送風装置を動作させてメインタンク20へ気体を送ることで加圧を行う。このとき加減圧装置50は、送風装置の動作を調整することや、送り出す気体の流路に設けた圧力調整弁(不図示)を調整することでメインタンク20内に所定の気体圧をかけることができる。この加圧により、加減圧装置50は、例えば、メインタンク20内の圧力を50kPa〜100kPaとする。ここで、圧力の値は絶対値ではなく、大気圧との差を表す相対値である。よって、圧力が大気圧と一致する場合、圧力の値は0となる。
【0025】
また、加減圧装置50は、例えば、真空エジェクタや、真空ポンプ、真空ブロア、シリンジポンプ等の気体を吸い出す装置(真空発生器)を備え、この真空発生器を動作させてメインタンク20から気体を吸いだすことで減圧を行う。このとき加減圧装置50は、真空発生器の動作を調整することでメインタンク20内を所定の負圧とすることができる。例えば、加減圧装置50は、メインタンク20内の圧力を−200kPa〜−300kPaとする。メインタンク20に供給される気体(ガス)は、例えば、空気である。また、気体を窒素とすることで、フラックス液の酸化を抑制することができる。
【0026】
加減圧配管36の途中部には、流量計80が備えられる。流量計80は、加減圧配管36を流れる気体の量を測定する。
【0027】
なお、本実施形態では、加減圧装置50とメインタンク20とを加減圧配管36で接続し、加圧を行う経路と減圧を行う経路を一つとして、装置の簡素化を図った。但し、必ずしもこれに限定されるものではなく、加減圧装置50とメインタンク20との間に、加圧を行う配管と減圧を行う配管をそれぞれ接続してもよい。
【0028】
ガス配管111は、一端がノズル10の内部の発泡管110に接続され、他端が加減圧装置51に接続されている。発泡管110は、多孔質フィルタを備える。多孔質フィルタは、気体が通り抜ける複数の微小な孔(例えば、径1μm〜10μm程度)を含む。発泡管110は、多孔質フィルタを介して、ノズル10の内部とガス配管111とを連通させている。発泡管110は、例えば、円筒形であり、円筒形の一端が多孔質フィルタによって塞がれ、他端が開放でありガス管111に接続される。発泡管110の円筒部分は、多孔質フィルタによって形成される。加減圧装置51は、ガス管111を介して発泡管110に送られた気体が多孔質フィルタを通り抜けることによって、ノズル10内のフラックスの内部に気泡を発生させる。
【0029】
加減圧装置51は、例えば、圧縮機や送風機、シリンジポンプ等の気体を送り出す装置(送風装置)を備え、この送風装置を動作させて発泡管110へ気体を送る。このとき加減圧装置51は、送風装置の動作を調整することや、送り出す気体の流路に設けた圧力調整弁(不図示)を調整することで、発泡管110による気泡の発生(発泡)を制御することができる。発泡管110に供給される気体(ガス)は、例えば、空気である。また、気
体を窒素とすることで、フラックス液の酸化を抑制することができる。
【0030】
ガス配管111の途中部には、流量計81が備えられる。流量計81は、ガス配管111を流れる気体の量を測定する。
【0031】
制御装置60は、開閉弁33、圧力センサ38、加減圧装置50、加減圧装置51、流量計80、流量計81と電気的に接続され、開閉弁33の開閉、加減圧装置50、加減圧装置51による加圧及び減圧を制御する。
【0032】
図2は、制御装置60の機能ブロックを示す図である。制御装置60は、
図2に示すように、フラックス制御部61、発泡制御部62、流量検出部63、液圧検出部64、捕集制御部65を有している。
【0033】
フラックス制御部61は、加減圧装置50に対して制御信号を送信することで、メインタンク20内を所定の気体圧(正圧)とするように加圧を開始させることや、加圧を停止させること等の制御を行う。また、フラックス制御部61は、加減圧装置50に対して制御信号を送信することで、メインタンク20内を所定の負圧とするように減圧を開始させることや、減圧を停止させること等の制御を行う。さらに、フラックス制御部61は、加減圧装置50に対して制御信号を送信することで、メインタンク20内を大気圧とすること等の制御を行う。
【0034】
発泡制御部62は、加減圧装置51に対して制御信号を送信することで、発泡管110内を所定の気体圧(正圧)とするように加圧を開始させることや、加圧を停止させること等の制御を行う。
【0035】
流量検出部63は、加減圧配管36に設けられる流量計80から、加減圧配管36に流れるガスの流量を取得する。流量検出部63は、ガス配管111に設けられる流量計81から、ガス配管36に流れるガスの流量を取得する。
【0036】
液圧検出部64は、配管35に設けられる圧力センサ38から、配管35に流れるフラックスの液圧を取得する。
【0037】
捕集制御部65は、フラックスの噴出時間、加減圧配管36に流れるガスの流量、ガス管111に流れるガスの流量等に基づいて、サブタンク内に捕集されたフラックス量を推定し、この推定したフラックス量に基づいてメインタンク内を負圧とする時間(以下、負圧発生時間と称する)を設定する。減圧制御部62は、メインタンク20内を所定の負圧とするように減圧を開始させ、この減圧を開始してからの経過時間が負圧発生時間に達した時に減圧を停止させる。捕集制御部65は、例えば負圧発生時間を次の式1から求める。
負圧発生時間T=k×噴出時間t+α ・・・(式1)
【0038】
式1において、係数kは、ノズル10の噴射口の径や、メインタンク20にかけられる圧力(正圧)、フラックスの粘度などに基づいて設定されるフラックスの流量に関する値である。また、定数αは、フラックスの流路の長さや径、メインタンク20の内容量などに基づいて設定される一度の回収で定常的に必要となる回収時間に関する値である。本実施形態では、係数kを0.13、定数αを1.79とした。
【0039】
図3は、制御装置60のハードウェア構成を示す図である。制御装置60は、
図3に示すように、例えば、CPU601にバスを介して接続されたメモリ602,入力装置603,及び出力装置604を含む。
【0040】
メモリ602は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、CPU601の作業領域,プログラムやデータの記憶領域,通信データのバッファ領域として使用される。主記憶装置は、例えば、Random Access Memory(RAM),或いはRAMとRead Only Memory(ROM)との組み合わせで形成される。
【0041】
補助記憶装置は、CPU601によって実行されるプログラム,及びプログラムの実行に際して使用されるデータを記憶する。補助記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory(EEPROM)などである。また、補助記憶装置は、制御装置60に対して着脱自在な可搬性記憶媒体を含む。
【0042】
入力装置603は、制御装置60に設定情報やデータを入力するために使用される。入力装置603は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル、ジャンパ、可変抵抗器などを含み得る。
【0043】
出力装置604は、情報やデータを出力する。出力装置604は、例えばディスプレイ装置、記憶メディアへの書き込み装置、スピーカ、インジケータ、警告灯等である。
【0044】
これらの構成は、必要に応じて、一部の構成の省略や、構成の追加を行うことができる。例えば、情報の出力が不要な場合、出力装置604を省略しても良い。また、他の装置と通信し、他の装置から設定情報等の入力を行う場合や、動作状況等の情報を他の装置へ送信する場合には、通信インターフェイスを追加しても良い。
【0045】
CPU601は、本実施形態において処理装置に相当する。CPU601は、Micro Processor Unit(MPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサとも呼ばれる。CPU601は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPUがマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、CPU以外のプロセッサ、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブルロジ
ックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含む。上記各部は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。
組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip
),システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。
【0046】
CPU601は、メモリ602に記憶されたプログラムを主記憶装置にロードして実行する。メモリ602には、オペレーティングシステムやファームウェアといったプログラムがインストールされている。
【0047】
CPU601は、プログラムを実行することによって、フラックス制御部61、発泡制御部62、流量検出部63、液圧検出部64、捕集制御部65として機能する。
【0048】
〈ノズルの構成例〉
図4は、ノズル10の構成例を示す図である。ノズル10は、フラックス導入部131、発泡部132、発泡フラックス運搬部133、先端部134を含む。フラックス導入部131は、円筒形であり、一端はメインタンク20側(配管31)に接続され、他端は発
泡部132に接続される。発泡部132は、発泡管110を包含している。発泡管110は、ガス管111に接続されている。発泡管110は、発泡部132に固定されている。発泡管110と発泡部132とは、例えば、発泡管110の外部と発泡部132の側面とに切られたネジにより固定され、発泡管110と発泡部132との間から、フラックス液が漏れないようにされる。
【0049】
発泡フラックス運搬部133は、円筒形であり、一端は発泡部132に接続され、他端は先端部134に接続される。発泡フラックス運搬部133は、途中部の側壁にリリース孔135を含む。リリース孔135は、1つであっても複数であってもよい。発泡フラックス運搬部133からあふれた発泡フラックスが、リリース孔135から、排出される。発泡フラックス運搬部133は、円筒形の内部に絞り孔136を含む。絞り孔136は、円筒形内部で円筒を塞ぐようにされた、円筒の長手方向に直交する円筒の内径と同じ径の円盤の中央に、円筒の内部の径よりも小さい径の孔が空けられた形状である。絞り孔136は、先端部134とリリース孔135との間に設けられる。絞り孔136によって、先端部134に排出される発泡フラックスの量が制限される。また、絞り孔136によって、発泡フラックスの形状や高さを安定させることができる。フラックス導入部131と発泡フラックス運搬部133とは、同心であることが好ましい。
【0050】
先端部134は、上方に向けてテーパ状に広がっており、一端は発泡フラックス運搬部133に接続され、他端は開放されている。先端部134に発泡フラックスが貯留される。先端部134は、存在しなくてもよい。
【0051】
(フラックスの塗布)
ラックス塗布装置100によるフラックスの塗布について説明する。
【0052】
フラックス塗布装置100のノズル10は、フラックスを塗布する対象物であるプリント基板200の下方に配置される。そして、加減圧装置50によりメインタンク20内が加圧され、フラックスがノズル10へ圧送されると、フラックスがノズル10内で上方に向けて押し出される。また、加減圧装置51によりガス管111を介してノズル10内に設けられる発泡管110にガスが送られる。発泡管111の微小な孔から、ノズル10内のフラックスに気泡が送られ、ノズル10内で発泡フラックスとなる。発泡フラックスは、ノズル10の先端から、上方に向けて噴出される。また、ノズル10において、基板側の先端と発泡管110との間にリリース孔が設けられ、余分な発泡フラックスが排出される。
【0053】
発泡フラックスは、噴き出す圧力によって、ノズル10の先端よりも高い位置に達し、その後、下方へ落下する。即ち、ノズル10から噴出した発泡フラックスが、ノズル10の先端から上方へ盛り上がるように噴流を形成するので、この発泡フラックスの噴流を対象物に接触させることで、対象物にフラックスを塗布する。噴出する発泡フラックスの高さ(ノズル10の先端から外部に最も離れた発泡フラックスの位置までの距離(Z方向))は、フラックス液の圧力、発泡管110内の圧力によって制御され得る。発泡フラックスの高さは、フラックス液の比重、フラックス液の圧力、発泡管110内の圧力に依存する。なお、ノズル10の先端から噴出し、対象物に塗布されなかった発泡フラックス、及び、リリース孔から排出される発泡フラックス(以下、余剰フラックスとも称す)は、下方へ落下してサブタンク40に捕集される。例えば、余剰フラックスは、ノズル10の外壁に沿って下降し、開口122からサブタンク40内へ収容される。
【0054】
そして、プリント基板200が不図示の搬送装置により所定の搬送方向Fへ搬送されると共に、ノズル10が不図示の移動手段によってX軸、Y軸、Z軸方向に移動されて、所定の塗布位置に位置決めされ、上記塗布が繰り返される。なお、ノズル10の移動手段に
ついては、公知の技術のため、詳細な説明は省略する。
【0055】
一つのプリント基板200における塗布が完了した場合、次のプリント基板が搬送されて、当該プリント基板の塗布を開始する位置へノズル10が移動されるまでの間に、サブタンク40に捕集されたフラックスをメインタンク20へ回収する。
【0056】
図5は、制御装置60が、フラックスの塗布の処理の動作フローを示す図である。
図6は、フラックスの回収を終了させる処理の動作フローを説明する図である。
【0057】
図5の動作フローは、移動手段からノズル10が所定の塗布位置に達したことを通知された場合に、実行される。
【0058】
S101では、制御装置60のフラックス制御部61は、流量検出部63から、加減圧配管36に流れるガスの流量及びガス管111に流れるガスの流量を取得する。フラックス制御部61は、比重計21からフラックス液の比重を取得する。フラックス制御部61は、フラックス液の比重、加減圧配管36に流れるガスの流量、ガス管111に流れるガスの流量に基づいて、発泡フラックスの高さを所望の高さにするためのメインタンク20に加圧する圧力を、決定する。また、制御装置60の発泡制御部62は、流量検出部63から、加減圧配管36に流れるガスの流量及びガス管111に流れるガスの流量を取得する。発泡制御部61は、比重計21からフラックス液の比重を取得する。発泡制御部62は、フラックス液の比重、加減圧配管36に流れるガスの流量、ガス管111に流れるガスの流量に基づいて、発泡フラックスの高さを所望の高さにするためのガス管111内を加圧する圧力を、決定する。発泡フラックスの高さは、フラックス液の比重が高いほど、低くなる。また、発泡フラックスの高さは、メインタンク20の圧力(フラックス液の液圧)、発泡管110内の圧力が高いほど、高くなる。よって、制御装置60は、フラックス液の比重を見ながら、メインタンク20の圧力、発泡管110内の圧力を制御することで、発泡フラックスの高さを制御することができる。即ち、フラックス液の品質(物性値)によらず、発泡フラックスの高さを一定に制御することができる。また、制御装置60は、フラックス液の比重が一定であるとすると、メインタンク20の圧力、発泡管110内の圧力を制御することで、発泡フラックスの高さを制御することができる。発泡フラックスの高さが安定することで、発泡フラックスの泡の形状が安定する。泡の形状が安定することで、基板に均一にフラックスを塗布することができる。また、ここで、加減圧装置36またはガス管111に流れるガスの流量が0である場合、制御装置60は、異常が発生した(例えば、配管や発泡管などが詰まった等)と判断して、動作フローの処理を中止する。また、フラックス制御部61は、液圧検出部64から配管35の液圧を検出し、液圧が所定値になるように、加減圧装置50で加圧する圧力を決定してもよい。
【0059】
S102では、制御装置60のフラックス制御部61は、S101で決定した圧力で加圧をするように加減圧装置50に制御信号を送信して加圧を開始させる。また、制御装置60の発泡制御部62は、S101で決定した圧力で加圧するように加減圧装置51に制御信号を送信して加圧を開始させる。
【0060】
S103では、制御装置60のフラックス制御部61は、塗布が終了したか否かを判定する。この塗布完了の判定は、例えば、塗布を開始してからの経過時間が所定時間に達した場合や、移動手段からノズル10が最後の塗布位置に達したことを通知された場合など、塗布を行ったことにより所定の動作状態に達したことを検出した場合に塗布を終了したと判定する。塗布が終了したと判定した場合に(ステップS103;YES)、処理がS104に進む。塗布が終了していないと判定した場合(ステップS103;NO)、処理がS101に戻る。
【0061】
S104では、フラックス制御部61は、加減圧装置50に加圧を停止させる。このとき、発泡制御部62は、加減圧装置51に加圧を停止させずに、加圧を続行させる。発泡管への加圧を継続することで、発泡管110にフラックスが侵入することによる発泡管110の目詰りを防止する。
【0062】
S105では、制御装置60の捕集制御部65は、加減圧装置50からメインタンク20に加圧を行っていた時間(期間)、即ち噴出時間を取得する。この噴出時間は、例えば、加減圧装置50に加圧を開始させた時刻と加圧を停止させた時刻から算出される。
【0063】
S106では、捕集制御部65は、この噴出時間に基づいて、サブタンク40内に捕集されたフラックス量を推定し、推定したフラックス量に基づいてメインタンク20内を負圧とする負圧発生時間Tを設定する。
【0064】
S107では、捕集制御部65は、開閉弁33を開く制御信号を開閉弁33に送り、開閉弁33を開く。さらに、捕集制御部65は、加減圧装置50に減圧を開始させる。即ち、メインタンク20内を負圧とし、サブタンク40内のフラックスを戻り配管32及び配管35を介してメインタンク20へ回収する。
【0065】
図6の動作フローは、
図5の動作フローの後に実行される。
S201では、制御装置60の捕集制御部65は、減圧を開始してからの経過時間TxがSで設定した負圧発生時間Tに達したか否か、即ち回収が終了したか否かを判定する。この経過時間Txが、負圧発生時間Tに達していない(回収が終了していない)と判定した場合(S201;NO)、
図6の処理を終了し、
図6の処理を周期的に実行して回収の終了を監視する。経過時間Txが負圧発生時間Tに達した(回収が終了した)と判定した場合(S201、YES)、処理がS202に進む。
【0066】
S202では、捕集制御部65は、加減圧装置50に減圧を停止させる旨の制御信号を送信して減圧を停止させ、メインタンク20内を大気圧としてフラックスの回収を終了させる。なお、減圧を停止させただけではメインタンク20内が、負圧に維持される場合、バキュームブレーカ等を用い、メインタンク20内とメインタンク外とを連通させて、大気圧に戻すようにしてもよい。また、捕集制御部65は、開閉弁33を閉じる制御信号を開閉弁33に送り、開閉弁33を閉じる。開閉弁33が閉じられることにより、フラックス塗布時に、メインタンク20から直接サブタンク40にフラックスが供給されない。
【0067】
(実施形態の作用、効果)
フラックス塗布装置100によれば、メインタンク20を加圧又は減圧することで、フラックスの圧送又は回収を行うので、フラックスの流路にポンプを設けなくてもよいため、フラックスの脈動やインペラの固着といった問題が防止される。
【0068】
また、フラックス塗布装置100によれば、サブタンク40で捕集した余剰フラックスが自然落下によってメインタンク20に戻るのを待つのではなく、メインタンク20内を負圧にして余剰フラックスを吸い出すことで、サブタンク40から余剰フラックスを速やかに回収することができる。これにより素早く次の塗布に備えることができるため、製造工程のスピードアップに貢献できる。また、余剰フラックスのサブタンク内での滞留時間を短くすることができ、溶剤の揮発等によるフラックスの劣化を最小限に抑え、製造工程における信頼性を向上させることができる。
【0069】
さらに、フラックス塗布装置100は、余剰フラックスを回収するに当たり、ノズル10からフラックスを噴出させていた時間(噴出時間)に基づいて、サブタンク40内に捕集されたフラックス量を推定し、該推定したフラックス量に基づいて負圧の作用時間を制
御する。例えば、余剰フラックを回収する場合に、メインタンク20内をいつまでも負圧にしていると回収タンク内からガスを吸い込み、最終的には負圧発生器へフラックスが逆流する。そこで、本実施形態では、サブタンク40のフラックス残量に基づき最適な負圧の作用時間を設定でき、サブタンク40のフラックス量を最小限としつつ、メインタンク20への空気の巻き込みを防止することができる。なお、メインタンク20への空気の巻き込みを防止する場合、センサ等を設けて空気を巻き込む前に負圧を停止させる方法も考えられるが、この場合、フラックスの泡等で誤動作する懸念がある。これに対し、本実施形態のフラックス塗布装置100では、メインタンク20を負圧にする時間を噴出時間に基づいて設定するので、センサを設ける必要がなく、簡易な構成で、精度良く必要量だけフラックスを回収することができる。
【0070】
フラックス塗布装置100は、流量計80、流量計81により、加減圧配管36、ガス管111に流れるガスの流量を測ることで、加減圧配管36、ガス管111内の圧力を監視して、加減圧装置50、加減圧装置51をフィードバック制御することで、常に、発泡フラックスの高さを一定に制御することができる。
【0071】
フラックス塗布装置100は、流量計80、流量計81により、加減圧配管36、ガス管111に流れるガスの流量を測ることで、塗布中の配管の詰まり等を検出することで、基板への未塗布などの不良品の流出を防ぐことができる。
【0072】
フラックス塗布装置100では、塗布後のフラックスを回収する際に、フィルタ39により異物、不純物を除去するため、常に、クリーンなフラックスを提供することができる。
【0073】
フラックス塗布装置100では、フラックスの循環を、ポンプの使用をすることなく、気体の圧力を用いて行っているため、ポンプの故障などが発生せず、メンテナンスの手間を低減することができる。
【0074】
図7は、ノズルにおける発泡フラックスの生成の例を示す図である。メインタンク20からのフラックスは、フラックス導入部131から導入され、ガス管111からの気体は、発泡部132の内部に固定される発泡管110から導入される。発泡部132において、フラックス導入部131から送り込まれたフラックス内に発泡管110の多孔質フィルタを通った微小な気体が導入され発泡フラックスが生成される。生成された発泡フラックスは、発泡フラックス運搬部133を通り、先端部134に貯留される。発泡フラックスの高さは、フラックス液の圧力、発泡管110の内部のガスの圧力、フラックス液の比重などに依存する。よって、先端部134に貯留される発泡フラックスが基板等に付着する量よりも、多くの発泡フラックスが生成されても、発泡フラックスの高さはほぼ変わらない。余剰の発泡フラックスは、リリース孔135により排出される。発泡フラックスの高さが維持されることで、基板に付着するフラックスの量を安定させることができる。また、リリース孔135が存在することで、基板にフラックスを塗布する際、先端部134が基板に接近し、先端部134に貯留される発泡フラックスに基板が押し付けられ、発泡フラックスに背圧がかかった場合でも、リリース孔135より圧力を逃がすため、基板上で発泡フラックスが広がることを抑制できる。フラックス塗布装置100は、フラックスを塗布する箇所を狭くできるため、所望の位置にフラックスを塗布することができる。
【0075】
発泡フラックスは、基板のスルーホールなどに付着すると、毛細管現象によりスルーホール全体を満たす。スルーホールに満たされた発泡フラックスの泡が抜けると発泡フラックスの体積が減り、適度な量のフラックスがスルーホールの表面に残る。これにより、塗布したフラックスが基板下へ雫として垂れることを抑制することができる。また、余剰の発泡フラックスがリリース孔135から排出されることによって、先端部134には、常
時、クリーンな発泡フラックスが供給される。
【0076】
〈変形例〉
本実施形態では、フラックス塗布装置100では、フラックスの循環を、ポンプの使用をすることなく、気体の圧力を用いて行っているため、ポンプの故障などが発生せず、メンテナンスの手間を低減することができる。ただし、本発明の他の実施形態では、必ずしもフラックスの循環にポンプを使用することを禁じるものではない。従来からあるフラックス塗布装置ではフラックスの循環にポンプを使用したものも多くある。そのような装置でも、ノズル部分を本発明のノズル10および発泡管110と置換し、加減圧装置51を付加することによって、設備をすべて更新することなく、最小限のコストで、本発明の発泡フラックス塗布装置と同等の作用と効果を有するものとすることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。