【文献】
植山 英弘,食の安全に挑む画像技術,映像情報インダストリアル 第48巻 第3号 Industrial,日本,産業開発機構(株),第48巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、前記処理画像に基づいて前記物品の検査を行う光検査装置であって、
複数の前記画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、前記検査時の前記画像処理に用いる前記画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、
前記設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを集計する集計部と、を備え、
前記設定部は、
前記集計部の集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から、設定する前記画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を有し、
前記集計部は、前記物品の属性毎に、前記設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを集計し、
前記選出部は、前記設定部において特定物品の検査に用いる前記画像処理アルゴリズムを設定する場合、前記特定物品の属性に対応する属性の前記集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から複数の前記画像処理アルゴリズム候補を選出する、光検査装置。
物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、前記処理画像に基づいて前記物品の検査を行う光検査装置であって、
複数の前記画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、前記検査時の前記画像処理に用いる前記画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、
前記光検査装置とは別の1又は複数の光検査装置における設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを、ネットワークを介して集計する集計部と、を備え、
前記設定部は、
前記集計部の集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から、設定する前記画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を有し、
前記集計部は、前記物品の属性毎に、前記設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを集計し、
前記選出部は、前記設定部において特定物品の検査に用いる前記画像処理アルゴリズムを設定する場合、前記特定物品の属性に対応する属性の前記集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から複数の前記画像処理アルゴリズム候補を選出する、光検査装置。
物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、前記処理画像に基づいて前記物品の検査を行う1又は複数の光検査装置と、
前記光検査装置との間で、ネットワークを介して通信可能な集計装置と、を備え、
前記光検査装置は、
複数の前記画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、前記検査時の前記画像処理に用いる前記画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、を有し、
前記集計装置は、
前記光検査装置の前記設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを、ネットワークを介して集計する集計部と、
前記集計部の集計結果を、ネットワークを介して前記光検査装置へ送信する送信部と、を有し、
前記設定部は、
送信された前記集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から、設定する前記画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を含み、
前記集計部は、前記物品の属性毎に、前記設定部で設定された前記画像処理アルゴリズムを集計し、
前記選出部は、前記設定部において特定物品の検査に用いる前記画像処理アルゴリズムを設定する場合、前記特定物品の属性に対応する属性の前記集計結果に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の前記画像処理アルゴリズムの中から複数の前記画像処理アルゴリズム候補を選出する、光検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような光検査装置では、画像処理アルゴリズムの設定に時間又は手間がかかってしまう可能性が未だあり、画像処理アルゴリズムを容易に設定する上で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる光検査装置及び光検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光検査装置は、物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、処理画像に基づいて物品の検査を行う光検査装置であって、複数の画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、検査時の画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、設定部で設定された画像処理アルゴリズムを集計する集計部と、を備え、設定部は、集計部の集計結果に基づいて、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、設定する画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を有する。
【0008】
この光検査装置では、集計部の集計結果を利用して、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、有効である可能性が高い画像処理アルゴリズムを画像処理アルゴリズム候補として選出できる。その結果、画像処理アルゴリズムの設定の際、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。
【0009】
本発明に係る光検査装置では、集計部は、設定部で設定された頻度が多い順で上位所定数の画像処理アルゴリズムを求め、選出部は、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、集計部で求められた上位所定数の画像処理アルゴリズムを、複数の画像処理アルゴリズム候補として選出してもよい。この場合、有効である可能性が一層高い画像処理アルゴリズムを、画像処理アルゴリズム候補として選出できる。
【0010】
本発明に係る光検査装置では、集計部は、物品の属性毎に、設定部で設定された画像処理アルゴリズムを集計し、選出部は、設定部において特定物品の検査に用いる画像処理アルゴリズムを設定する場合、特定物品の属性に対応する属性の集計結果に基づいて、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から複数の画像処理アルゴリズム候補を選出してもよい。この場合、有効である可能性が一層高い画像処理アルゴリズムを、画像処理アルゴリズム候補として選出できる。
【0011】
本発明に係る光検査装置では、集計部は、光検査装置とは別の1又は複数の光検査装置における設定部で設定された画像処理アルゴリズムを、ネットワークを介して集計してもよい。これにより、集計部は、ネットワークを利用して、別の1又は複数の光検査装置における設定部で設定された画像処理アルゴリズムを更に集計できる。
【0012】
本発明に係る光検査装置では、選出部は、複数の画像処理アルゴリズム候補の優先順位を集計結果に基づいて設定してもよい。複数の画像処理アルゴリズム候補を順序付けすることで、画像処理アルゴリズムの設定の際、複数の画像処理アルゴリズム候補の中から画像処理アルゴリズムを容易に選択することが可能となる。
【0013】
本発明に係る光検査装置は、物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、処理画像に基づいて物品の検査を行う光検査装置であって、複数の画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、検査時の画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、光検査装置とは別の1又は複数の光検査装置における設定部で設定された画像処理アルゴリズムを、ネットワークを介して集計する集計部と、を備え、設定部は、集計部の集計結果に基づいて、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、設定する画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を有する。
【0014】
この光検査装置においても、画像処理アルゴリズムの設定に際し、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。したがって、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。また、集計部は、ネットワークを利用して、別の1又は複数の光検査装置における設定部で設定された画像処理アルゴリズムを集計することができる。
【0015】
本発明に係る光検査システムは、物品に光を透過させることで得られた透過画像に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成し、処理画像に基づいて物品の検査を行う1又は複数の光検査装置と、光検査装置との間で、ネットワークを介して通信可能な集計装置と、を備え、光検査装置は、複数の画像処理アルゴリズムを予め記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、検査時の画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定する設定部と、を有し、集計装置は、光検査装置の設定部で設定された画像処理アルゴリズムを、ネットワークを介して集計する集計部と、集計部の集計結果を、ネットワークを介して光検査装置へ送信する送信部と、を有し、設定部は、送信された集計結果に基づいて、記憶部に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、設定する画像処理アルゴリズムの候補である複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部を含む。
【0016】
この光検査システムにおいても、光検査装置における画像処理アルゴリズムの設定に際し、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。したがって、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。また、集計装置は、ネットワークを利用して、光検査装置における設定部で設定された画像処理アルゴリズムを集計すると共に、当該集計結果を光検査装置へ送信することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる光検査装置及び光検査システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示されるX線検査装置(光検査装置)1は、食品等の物品Gの生産ラインに設置されている。X線検査装置1は、物品GにX線(光)を透過させることで得られたX線透過画像(透過画像)に対して、画像処理アルゴリズムを用いた画像処理を施して処理画像を生成する。X線検査装置1は、生成した処理画像に基づいて、物品Gに含まれる異物の有無を検査する。
【0021】
物品G及び異物としては、特に限定されず、様々な物品及び異物を検査対象とすることができる。例えば物品Gは、フィルム包装材等のパッケージ内に食品等の内容物が収容された製品であってもよい。例えば物品Gはブロック肉であってもよく、検出すべき異物はSUS(ステンレス鋼)線であってもよい。X線検査装置1は、シールドボックス3と、コンベア5と、X線照射器7と、X線ラインセンサ9と、モニタ11と、を備えている。
【0022】
シールドボックス3は、コンベア5、X線照射器7及びX線ラインセンサ9を収容している。シールドボックス3の両側面には、一対の開口部3aが設けられている。各開口部3aは、例えば鉛を含むゴムからなる遮蔽カーテン(図示省略)によって塞がれている。これにより、各開口部3aを介してシールドボックス3外にX線が漏洩することが抑制されている。
【0023】
コンベア5は、一対の開口部3a間に掛け渡されるように、シールドボックス3内に配置されている。コンベア5は、コンベアモータ(図示省略)によって無端状のベルト5aを回転させることで、ベルト5a上に載置された物品Gを搬送する。これにより、物品Gは、一方の開口部3aを介してシールドボックス3内に搬入され、他方の開口部3aを介してシールドボックス3外に搬出される。
【0024】
X線照射器7は、ベルト5aの上方に位置するように、シールドボックス3内に配置されている。X線照射器7は、ベルト5aの幅方向に沿ってベルト5aを横切るようにX線を照射する。これにより、X線照射器7は、コンベア5によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射器7は、物品Gに光を照射する光照射部を構成する。
【0025】
X線ラインセンサ9は、ベルト5aの下方に位置するように、シールドボックス3内に配置されている。X線ラインセンサ9は、ベルト5aの幅方向に沿って一列に配置された複数の画素センサ9aを有している。これにより、X線ラインセンサ9は、コンベア5によって搬送される物品Gを透過したX線を検出する。X線ラインセンサ9は、物品Gを透過した光を検出する光検出部を構成する。
【0026】
モニタ11は、処理画像等の各種情報を表示する表示部である。モニタ11は、例えば液晶ディスプレイである。モニタ11は、タッチパネル機能を有している。モニタ11は、オペレータによる各種条件の入力等を受け付けるマンマシンインタフェースとして機能する。
【0027】
図3に示されるように、X線検査装置1は、制御部20を更に備えている。制御部20は、例えばコンピュータである。制御部20は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、記録媒体であるRAM(RandomAccess Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。制御部20は、CPU及びRAM等のハードウェア上にプログラム等を読み込ませることにより動作する。制御部20は、記憶部21、設定部23、画像処理部25及び集計部27を有している。記憶部21、設定部23、画像処理部25及び集計部27は、制御部20において機能ブロックとして構成される。
【0028】
記憶部21は、複数の画像処理アルゴリズムを予め記憶する。例えば記憶部21は、200以上の画像処理アルゴリズムを予め記憶する。画像処理アルゴリズムとは、X線透過画像に施す画像処理の処理手順を示す型である。画像処理アルゴリズムは、例えば、1つの画像処理フィルタ、又は、複数の画像処理フィルタの組み合わせによって構成される。
【0029】
記憶部21に予め記憶する複数の画像処理アルゴリズムは、インターネット等のネットワークを介して外部から取得することができる。記憶部21に予め記憶する複数の画像処理アルゴリズムは、USBメモリ又はリムーバブルハードディスク等の外部記憶媒体から取得することができる。記憶部21に予め記憶する複数の画像処理アルゴリズムは、生物界における遺伝及び進化のメカニズムを応用した手法である遺伝的アルゴリズム(GA=Genetic Algorithms)を採用して、X線検査装置1の仕様又は検査条件等に基づき複数の画像処理フィルタから自動生成することができる。なお、記憶部21に予め記憶する複数の画像処理アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムを採用して生成されたアルゴリズム以外に、複数の画像処理フィルタを人手で適宜組み合わせたアルゴリズム等でもよい。
【0030】
設定部23は、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの少なくとも1つを、物品検査時における画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定(予約)する。設定部23は、複数種(例えば200〜300種)の物品Gそれぞれについて、複数の画像処理アルゴリズムを複数の感度レベルに分けて設定する。例えば設定部23は、物品Gが「ハム」の場合の検査時における画像処理に用いる画像処理アルゴリズムを、感度レベル1〜7毎に設定することができる。
【0031】
本実施形態の設定部23は、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する選出部23aを有する。画像処理アルゴリズム候補とは、設定部23で設定する画像処理アルゴリズムの候補であって、物品検査に有効である可能性が高いと判断された画像処理アルゴリズムである。画像処理アルゴリズム候補の数は、記憶部21に記憶された画像処理アルゴリズムの数が絞り込まれて、例えば5〜10程度とされる。選出部23aの詳細な処理については、後述する。
【0032】
設定部23は、選出部23aで選出された複数の画像処理アルゴリズム候補のうち、オペレータによって選択された画像処理アルゴリズム候補を、物品検査時における画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定する。オペレータによる画像処理アルゴリズム候補の選択は、インタフェースとして機能するモニタ11を介して行うことができる。
【0033】
画像処理部25は、X線ラインセンサ9から出力された信号に基づいて、物品GのX線透過画像を生成する。画像処理部25は、物品Gの検査時において、設定部23で設定した画像処理アルゴリズムを用いた画像処理をX線透過画像に施して、多階調で表現された濃淡画像である処理画像を生成する。画像処理部25は、生成した当該処理画像をモニタ11に表示させる。
【0034】
また、画像処理部25は、設定部23による画像処理アルゴリズムの設定時において、複数の画像処理アルゴリズム候補のうちの一つを用いた画像処理をX線透過画像に施して処理画像を生成する処理を、複数の画像処理アルゴリズム候補全てについて行う。画像処理部25は、生成した複数の当該処理画像の少なくとも何れかを、オペレータによる選択操作に応じてモニタ11に表示させる。
【0035】
集計部27は、設定部23で設定された画像処理アルゴリズムを集計する。集計部27は、設定部23において現在設定されている複数の画像処理アルゴリズムを集計し、集計した複数の画像処理アルゴリズムの中で、設定された頻度が多い順で上位所定数の画像処理アルゴリズムを求める。例えば集計部27は、装置起動時又は設定部23による画像処理アルゴリズムの設定変更時において、複数種の物品Gそれぞれの感度レベル毎に設定部23で設定(予約)されている画像処理アルゴリズムの全てを集計する。そして、集計部27は、集計した画像処理アルゴリズムを設定頻度が多い順にソートし、上位所定数の画像処理アルゴリズムを求める。
【0036】
なお、所定数は、予め又はオペレータの操作により定められた数であり、5〜10程度である。集計部27は、設定部23に現在設定されている複数の画像処理アルゴリズムに代えてもしくは加えて、設定部23に過去に設定されていた複数の画像処理アルゴリズムを集計してもよい。
【0037】
集計部27は、物品Gの属性毎に、設定部23で設定された画像処理アルゴリズムを集計する。物品Gの属性は、物品Gの種類、特性、形状、大きさ及びカテゴリー等の少なくとも何れかを含む。例えば集計部27は、物品Gが肉類の場合にて設定されている画像処理アルゴリズムと、物品Gが魚類の場合にて設定されている画像処理アルゴリズムと、を分けて集計する。
【0038】
ここで、設定部23は、前述したように、選出部23aを有している。選出部23aは、集計部27の集計結果に基づいて、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する。選出部23aは、集計部27で求められた画像処理アルゴリズム(つまり、設定部23における設定頻度が上位所定数の画像処理アルゴリズム)を、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、複数の画像処理アルゴリズム候補として選出する。
【0039】
選出部23aは、設定部23において特定物品の検査に用いる画像処理アルゴリズムを設定する場合、この特定物品の属性に対応する属性の集計結果に基づいて、複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する。例えば選出部23aは、特定物品が「ハム」である場合、物品Gの属性毎に集計された集計結果の中から、「ハム」又は「ソーセージ」等の肉類として分類された集計結果を抽出する。選出部23aは、抽出した集計結果において設定頻度が上記所定数の画像処理アルゴリズムを、画像処理アルゴリズム候補として選出する。特定物品とは、設定部23で画像処理アルゴリズムを設定する際に対象となる物品Gである。特定物品の属性は、インタフェースとして機能するモニタ11を介して、オペレータにより入力あるいは選択できる。
【0040】
選出部23aは、複数の画像処理アルゴリズム候補の優先順位を、集計部27の集計結果に基づいて設定する。選出部23aは、設定部23における設定頻度が上位所定数の画像処理アルゴリズムを画像処理アルゴリズム候補に設定する場合、設定頻度が多いほど優先度が高くなるような優先順位を当該画像処理アルゴリズム候補に設定する。例えば選出部23aは、最も設定頻度が多い画像処理アルゴリズムを、優先順位が最上位の画像処理アルゴリズム候補として選出する。
【0041】
以上に説明したX線検査装置1を用いて物品Gを検査する場合、まず、X線照射器7から物品Gに対してX線を照射し、物品Gを透過したX線をX線ラインセンサ9で検出する。X線ラインセンサ9から出力された信号に基づいて、画像処理部25によりX線透過画像を生成する。画像処理部25により、設定部23で設定した画像処理アルゴリズムを用いた画像処理をX線透過画像に施して処理画像を生成し、当該処理画像をモニタ11に表示させる。これにより、オペレータは、モニタ11に表示させた処理画像をチェックすることで、物品Gに含まれる異物の有無を検査する。
【0042】
次に、X線検査装置1において、検査時の画像処理に用いる画像処理アルゴリズムを設定する方法を説明する。ここでは、例えば200〜300種類の物品G毎に画像処理アルゴリズムが設定部23に既に設定されているX線検査装置1において、新たな物品G(特定物品)の検査時の画像処理に用いる画像処理アルゴリズムを追加設定する例を説明する。
【0043】
まず、集計部27により、物品Gの属性毎に、設定部23に設定されている画像処理アルゴリズムが集計される。集計部27により、設定頻度が多い順で上位所定数の画像処理アルゴリズムが取得される。オペレータは、設定対象となる新たな物品Gの属性を、インタフェースとして機能するモニタ11を介して入力あるいは選択する。
【0044】
これにより、選出部23aにより、集計部27の集計結果に基づいて、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、複数の画像処理アルゴリズム候補が選出される。具体的には、新たな物品Gの属性に対応し且つ設定頻度が多い上位所定数の画像処理アルゴリズムが、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から複数の画像処理アルゴリズム候補として選出される。このとき、複数の画像処理アルゴリズム候補には、当該設定頻度が多いほど上位となる優先順位が設定される。
【0045】
選出された複数の画像処理アルゴリズム候補は、その識別子(番号又は名称等)が優先順位の順序で並べられてモニタ11に表示される。オペレータは、表示された複数の識別子のうちの何れかを、モニタ11を介して適宜選択する。その結果、オペレータによって選択された識別子に対応する画像処理アルゴリズム候補が、新たな物品Gの検査に用いる画像処理アルゴリズムに設定されることとなる。
【0046】
以上、X線検査装置1では、集計部27の集計結果を利用して、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、有効である可能性が高い画像処理アルゴリズムを画像処理アルゴリズム候補として選出できる。その結果、画像処理アルゴリズムの設定の際、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。したがって、X線検査装置1によれば、画像処理アルゴリズムの設定にかかる手間及び時間を低減でき、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。
【0047】
X線検査装置1では、集計部27は、設定部23で設定された設定頻度が多い順で上位所定数の画像処理アルゴリズムを求める。選出部23aは、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から、集計部27で求められた上位所定数の画像処理アルゴリズムを、複数の画像処理アルゴリズム候補として選出する。この場合、有効である可能性が一層高い画像処理アルゴリズムを、画像処理アルゴリズム候補として選出できる。
【0048】
X線検査装置1では、集計部27は、設定部23で設定された画像処理アルゴリズムを物品Gの属性毎に集計する。選出部23aは、設定部23において特定物品の検査に用いる画像処理アルゴリズムを設定する場合、特定物品の属性に対応する属性の集計結果に基づいて、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する。これにより、有効である可能性が一層高い画像処理アルゴリズムを、画像処理アルゴリズム候補として選出できる。
【0049】
X線検査装置1では、選出部23aは、複数の画像処理アルゴリズム候補の優先順位を集計結果に基づいて設定する。複数の画像処理アルゴリズム候補を順序付けすることで、画像処理アルゴリズムの設定の際、複数の画像処理アルゴリズム候補の中から画像処理アルゴリズムを容易に選択することが可能となる。
【0050】
[第2実施形態]
図4に示されるX線検査装置1Aは、集計部27(
図3参照)に代えて集計部27Aを備えた点で上記第1実施形態と異なる。集計部27Aは、X線検査装置1Aとは別の複数のX線検査装置1Bにおける設定部23Bで設定された画像処理アルゴリズムを、インターネット等のネットワークNを介して集計する。集計部27Aは、複数のX線検査装置1Bとの間で、ネットワークNを介して通信可能に構成されている。X線検査装置1Bは、X線検査装置1Aと同様に構成されている。X線検査装置1Bの設定部23Bは、設定された画像処理アルゴリズムに関する情報を、ネットワークNへ送信する。
【0051】
このようなX線検査装置1Aにおいても、画像処理アルゴリズムの設定に際し、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。したがって、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。また、集計部27Aは、ネットワークNを利用して、別の複数のX線検査装置1Bにおける設定部23Bで設定された画像処理アルゴリズムを集計できる。
【0052】
なお、集計部27Aは、1つのX線検査装置1Bにおける設定部23Bで設定された画像処理アルゴリズムのみを、ネットワークNを介して集計してもよい。集計部27Aは、X線検査装置1Aの設定部23で設定された画像処理アルゴリズムを更に集計してもよい。
【0053】
[第3実施形態]
図5に示されるX線検査システム(光検査システム)100は、複数のX線検査装置1Cと、集計装置27Cと、を含んで構成されている。X線検査装置1Cは、集計部27(
図3参照)を備えていない点以外は上記X線検査装置1(
図3参照)と同様に構成されている。X線検査装置1Cの設定部23Cは、設定された画像処理アルゴリズムに関する情報を、ネットワークNへ送信する。
【0054】
集計装置27Cは、例えばコンピュータである。集計装置27Cは、CPU、RAM及びROM等を含んで構成され、CPU及びRAM等のハードウェア上にプログラム等を読み込ませることにより動作する。集計装置27Cは、複数のX線検査装置1Cとの間で、ネットワークNを介して通信可能に構成されている。集計装置27Cは、X線検査装置1Cの設定部23Cで設定された画像処理アルゴリズムをネットワークNを介して集計する集計部31と、集計部31の集計結果をネットワークNを介して複数のX線検査装置1Cへ送信する送信部32と、を有する。送信部32により集計結果がX線検査装置1Cへ送信された結果、当該X線検査装置1Cの選出部23aは、送信された集計結果に基づいて、記憶部21に記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から複数の画像処理アルゴリズム候補を選出する。
【0055】
このようなX線検査システム100においても、X線検査装置1Cにおける画像処理アルゴリズムの設定に際し、記憶された複数の画像処理アルゴリズムの中から選択するのではなく、数が絞り込まれた画像処理アルゴリズム候補の中から選択することが可能となる。したがって、画像処理アルゴリズムを容易に設定することが可能となる。また、集計装置27Cは、ネットワークNを利用して、X線検査装置1Cにおける設定部23Cで設定された画像処理アルゴリズムを集計すると共に、当該集計結果をX線検査装置1Cへ送信することができる。なお、X線検査システム100は、複数のX線検査装置1Cを含んでいるが、1つのX線検査装置1Cのみを含んでいてもよい。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0057】
上記実施形態において、記憶部21、設定部23,23B,23C、選出部23a、画像処理部25、集計部27,27A,31及び送信部32は、機能ブロックとして構成されるものに限定されず、ハード構成として構成されていてもよい。記憶部21、設定部23,23B,23C、選出部23a、画像処理部25、集計部27,27A,31及び送信部32の少なくとも何れかは、外部の情報処理センター等の施設のコンピュータが有していてもよい。
【0058】
上記実施形態では、選出部23aで選出された複数の画像処理アルゴリズム候補の少なくとも1つが、オペレータによってモニタ11を介して選択されて、物品検査時における画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定されたが、これに限定されない。複数の画像処理アルゴリズム候補の少なくとも1つが、公知の演算処理によって自動的に選択されて、物品検査時における画像処理に用いる画像処理アルゴリズムに設定されてもよい。この場合には、画像処理アルゴリズムの設定にかかる演算処理時間を低減できる。
【0059】
上記実施形態では、本発明をX線検査装置1,1A,1B,1C及びX線検査システム100に適用したが、本発明は、光を利用して物品の検査を行う光検査装置又は光検査システムであればよい。本発明において、光とは、X線、近赤外線、その他の電磁波であってもよい。ただし、光としてX線を利用する場合には、物品Gが包装されている場合であっても、包材や、包材に施された印刷に影響されることなく、物品Gを検査することができる。