(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763571
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/16 20060101AFI20200917BHJP
F24H 1/10 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
F24H9/16 A
F24H1/10 303E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-198321(P2016-198321)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-59683(P2018-59683A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】森山 正隆
【審査官】
河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−95048(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/096707(WO,A2)
【文献】
特開2006−46866(JP,A)
【文献】
特開2015−183916(JP,A)
【文献】
特開平3−5686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/16
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の底板に、前記筐体内部に配設される内部配管を前記筐体外部の外部配管に接続するための筒状の配管接続具が、前記底板を貫通した状態で設けられ、前記配管接続具における前記底板の下側に、凍結予防ヒータを上方から差し込み収容する収容孔を有するヒータ収容部が設けられてなる給湯器であって、
前記凍結予防ヒータは、前記底板に設けた貫通孔を介して前記筐体内部側から前記収容孔に差し込み収容されると共に、当該差し込み収容状態では、上端部が前記貫通孔を介して前記底板の上面よりも上方となる位置で支持されていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記収容孔は、下方から上方へ行くに従って前記配管接続具の軸線から離れる方向へ傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記収容孔は、その軸線が前記配管接続具の内筒面の水平断面に対して平面視で交差しない位置で、且つ前記内筒面よりも外側に位置するように配されていることを特徴とする請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の底板に、筐体内部に配設されるドレン排出管等の内部配管を筐体外部の外部配管に接続するための配管接続具を備えた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器においては、例えば特許文献1に開示されるように、筐体内の潜熱回収用熱交換器で発生するドレン排出管等の内部配管と筐体外部の外部配管とを接続するための筒状の配管接続具が、筐体の底板に貫通状態で設けられている。当該文献1では、配管接続具を構成して筐体外に設けられる接続筒部に、凍結予防ヒータを傾斜姿勢で収容するヒータ収納部を設けて、凍結予防ヒータによる加熱で配管接続具の凍結を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−95048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の配管接続具では、凍結予防ヒータを収納したヒータ収納部の入口が筐体の底面に開口しているので、筐体内部に浸入した雨水や内部で発生した結露水等が当該入口から浸入しやすい。このため、凍結予防ヒータが水没したり凍結予防ヒータに水滴が付着したりすることで配線がショートするおそれが生じている。
【0005】
そこで、本発明は、配管接続具に設けた凍結予防ヒータの配線のショートを効果的に防止できる給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、筐体の底板に、筐体内部に配設される内部配管を筐体外部の外部配管に接続するための筒状の配管接続具が、底板を貫通した状態で設けられ、配管接続具における底板の下側に、凍結予防ヒータを上方から差し込み収容する収容孔を有するヒータ収容部が設けられてなる給湯器であって、
凍結予防ヒータは、底板に設けた貫通孔を介して筐体内部側から収容孔に差し込み収容されると共に、当該差し込み収容状態では、上端部が貫通孔を介して底板の上面よりも上方となる位置で支持されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、収容孔は、下方から上方へ行くに従って配管接続具の軸線から離れる方向へ傾斜状に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、収容孔は、その軸線が配管接続具の内筒面の水平断面に対して平面視で交差しない位置で、且つ当該内筒面よりも外側に位置するように配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、凍結予防ヒータを、差し込み収容状態で上端部が底板の上面よりも上方となる位置で収容孔内で支持するので、凍結予防ヒータの配線のショートを効果的に防止可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、収容孔を、下方から上方へ行くに従って配管接続具の軸線から離れる方向へ傾斜状に形成しているので、収容孔に差し込み収容した凍結予防ヒータにより、配管接続具を広範囲で効率よく加熱することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、収容孔を、その軸線が配管接続具の内筒面の水平断面に対して平面視で交差しない位置で、且つ当該内筒面よりも外側に位置するように配したことで、筐体内において、配管接続具と凍結予防ヒータとの距離を確保することができる。よって、内部配管と配管接続具とをジョイント部品を介して接続する場合でも、ジョイント部品と凍結予防ヒータ及びその配線との干渉を回避することができ、接続に支障を来さない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】給湯器の斜視図である(フロントカバー及び筐体内部は省略)。
【
図4】上側継手の説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は底面、(D)はA−A線断面をそれぞれ示す。
【
図5】下側継手の説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は底面、(D)はB−C−D−E断面をそれぞれ示す。
【
図6】配管接続具の組み付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す斜視図である。但し、フロントカバーと筐体内部の構成は一部を除いて省略している。この給湯器1は、前面(
図1手前側)を除く五面が、天板3と底板4、左右の側板5,5、背板6とによって囲まれる筐体2と、その筐体2の前面の開口を閉塞する着脱可能なフロントカバー(図示略)とを備える。
筐体2の内部には、下側にバーナユニットが設けられる燃焼室が配置され、その上側に、主熱交換器と副熱交換器とが配置されて、燃焼排気から回収した顕熱と潜熱とによって入水管から供給される水を加熱して、出湯管から出湯可能となっている(何れも図示略)。
【0010】
7は、副熱交換器で発生するドレンを回収して中和する中和器で、ドレン受け管8が副熱交換器に接続され、ドレン排出管9が、
図2に示すように、底板4に設けた配管接続具10を介して外部配管Pに接続される。
この配管接続具10は、
図3にも示すように、底板4の上側に位置する上側継手11と、下側に位置する下側継手12とに分割されており、上側継手11と下側継手12とを底板4を挟んで上下から組み付けることで、底板4を上下方向に貫通する筒状体となる。
【0011】
まず、上側継手11は、合成樹脂製の成形品で、
図4にも示すように、上面が閉塞されて下方に開口する上下方向の上筒13を有し、上筒13の側面には、異なる位相で放射方向に突出する一対のジョイント筒14,14が連設されている。上筒13の中間部位には、上フランジ15が一体形成され、上フランジ15に、下方にネジ孔が開口する一対のネジボス16,16と、下方へ突出して上フランジ15の外側へ折曲する係止突起17とが形成されている。
【0012】
次に、下側継手12は、真鍮製の鋳物で、
図5にも示すように、上下に開口する上下方向の下筒18を有し、下筒18の上端には、下フランジ19が一体に形成され、下フランジ19に、一対のネジ貫通孔20,20が形成されている。下筒18の上部内径は、上側継手11の上筒13の下端を受ける大径部21となって、この底部にシール用のOリング22(
図3)が収容される。
また、下筒18には、下端が下筒18内と連通し、上方へ行くに従って下筒18の軸線から離れる方向へ傾斜して、上端が下フランジ19よりも下方で開口するオーバーフロー筒23が形成されると共に、オーバーフロー筒23に隣接して、凍結予防ヒータ(以下単に「ヒータ」という。)25を収容する収容孔24aを有するヒータ収容部24が形成されている。
【0013】
この収容孔24aは、オーバーフロー筒23と同様に、上方へ行くに従って下筒18の軸線から離れる方向へ傾斜しているが、傾斜角度は、オーバーフロー筒23よりも鉛直方向に対して小さい角度で傾斜している。また、収容孔24aは、
図5(C)に示すように、軸線Lが、下筒18の内筒面18aの水平断面に対して平面視で交差しない位置で、且つ内筒面18aよりも外側に位置するように形成されている。収容孔24aの上端は、下フランジ19を貫通して下フランジ19の上面に入口26を開口させ、下端は、先細りのテーパ状となって底部に小孔27を開口させている。
【0014】
ヒータ25は、外形が収容孔24aに嵌合する円形となる軸状体であるが、軸方向の寸法は、収容孔24aのテーパ部分を除く長さの方がヒータ25よりも短くなるように設定されている。入口26の近傍で下フランジ19の上面には、抜け止め金具29をネジ30によって固定するための受け座28が凹設されている。この抜け止め金具29は、受け座28への取付状態で、収容孔24aに差し込まれたヒータ25の上端面より上側に被さってヒータ25の抜け止めを図るものである。
【0015】
一方、底板4における配管接続具10の設置位置には、上側継手11の上筒13の下端が貫通する円形孔31と、係止突起17が係止する係止孔32とが形成されると共に、その周囲に、上下フランジ15,19のネジ止め用の一対のネジ止め孔33,33と、下フランジ19の収容孔24aの上側延長上に開口する角形状の貫通孔34とが形成されている。
【0016】
以上の如く構成された給湯器1において、配管接続具10の組み付けは、下側継手12のヒータ収容部24の収容孔24aにヒータ25を、筐体2の内部から貫通孔34を介して入口26から差し込むことで収容する。次に、受け座28に抜け止め金具29をネジ30で固定してヒータ25を抜け止めする。そして、下フランジ19を、
図6に示すように、ネジ貫通孔20,20がネジ止め孔33,33に合致する位置で底板4の下面にあてがう。
【0017】
次に、上側継手11の上筒13の下端を底板4の上方から円形孔31に貫通させて下側継手12の下筒18の大径部21に差し込み、係止突起17を係止孔32に係止させてネジボス16,16をネジ止め孔33,33に位置決めして、上側継手11を底板4の上面にセットする。この状態で、下フランジ19の下方から、ネジ貫通孔20,20、ネジ止め孔33,33を貫通させたネジ35,35を、上側継手11のネジボス16,16にねじ込む。すると、上側継手11と下側継手12とが底板4を挟んで結合され、上筒13と下筒18とが同軸上で連通する。
【0018】
この状態で、上側継手11の一方のジョイント筒14にドレン排出管9を接続し、下側継手12の下筒18の下端に外部配管Pを接続すれば、ドレン排出管9が配管接続具10を介して外部配管Pと接続される。
そして、収容孔24aに差し込み収容されたヒータ25は、貫通孔34を介して底板4の上方へ上端を突出させており、
図2,6に示すように、リード線36が接続される上端面が底板4の上面よりも上方に位置している。よって、筐体2内部に浸入した雨水や内部で発生した結露水等が貫通孔34から滴下して、入口26から収容孔24aに浸入することがあっても、リード線36の配線部分が水没したり水滴が付着したりすることがなく、ショートの発生は防止される。なお、収容孔24a内に水が入り込むことがあっても、下端の小孔27から外部に排出されるため、収容孔24aに水は貯まりにくい。
【0019】
このように、上記形態の給湯器1によれば、ヒータ25を、底板4に設けた貫通孔34を介して筐体2の内部側から収容孔24aに差し込み収容すると共に、当該差し込み収容状態では、上端部が貫通孔34を介して底板4の上面よりも上方となる位置で支持することで、配管接続具10に設けたヒータ25の配線のショートを効果的に防止可能となる。
【0020】
特にここでは、収容孔24aを、下方から上方へ行くに従って下筒18の軸線から離れる方向へ傾斜状に形成しているので、収容孔24aに差し込み収容したヒータ25により、下側継手12を広範囲で効率よく加熱することができる。
また、収容孔24aを、その軸線が下筒18の内筒面18aの水平断面に対して平面視で交差しない位置で当該内筒面18aよりも外側に位置するように配置しているので、筐体2内の上側継手11において、上筒13とヒータ25との距離を確保することができる。よって、ドレン排出管9と上側継手11とをジョイント部品を介して接続する場合でも、ジョイント部品とヒータ25及びリード線36との干渉を回避することができ、接続に支障を来さない。
【0021】
なお、収容孔の傾斜角度は変更可能で、配置位置も上記形態に限らず適宜変更可能である。邪魔にならなければ収容孔の軸線が配管接続具の内筒面の水平断面に対して平面視で交差するように収容孔を配置してもよい。
また、収容孔を傾斜させずに配管接続具の軸線と平行に鉛直方向に形成して、真上から差し込んだヒータを、その上端部が底板の上面より上方位置となるように支持しても差し支えない。
さらに、収容孔内でのヒータの支持位置は、上記形態のようにヒータに対する収容孔の軸方向長さの設定によるものに限らず、例えば収容孔内にヒータの差し込み位置を規制するストッパを設けたり、下フランジの上面にヒータと当接してその差し込み位置を規制する突起を設けたりする等、他の規制手段も採用できる。
【0022】
一方、配管接続具は、上記形態のように上下2つの継手に分割したものに限らず、3つ以上の継手に分割して形成してもよいし、逆に一体の配管接続具を底板に貫通させて設けてもよい。
そして、配管接続具に接続する内部配管はドレン排出管に限らず、入水管や出湯管等の他の配管であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・天板、4・・底板、7・・中和器、9・・ドレン排出管、10・・配管接続具、11・・上側継手、12・・下側継手、13・・上筒、15・・上フランジ、18・・下筒、18a・・内筒面、19・・下フランジ、24・・ヒータ収容部、24a・・収容孔、25・・凍結予防ヒータ、26・・入口、31・・円形孔、34・・貫通孔、35・・ネジ、36・・リード線、P・・外部配管。