特許第6763573号(P6763573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763573
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】認識用ベルト
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20200917BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20200917BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G09F3/10 B
   G09F3/02 E
   G09F3/03 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-23963(P2017-23963)
(22)【出願日】2017年2月13日
(65)【公開番号】特開2018-132543(P2018-132543A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】500488915
【氏名又は名称】ホクユーメディックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】北尾 哲勇
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−108444(JP,A)
【文献】 特開2003−066849(JP,A)
【文献】 特開2015−230503(JP,A)
【文献】 特開2015−022312(JP,A)
【文献】 特開2012−055547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0042139(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0317919(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/053207(WO,A1)
【文献】 特開2010−217622(JP,A)
【文献】 特開2003−164499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
G09F 3/03
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手首や足首などの装着部位に装着されるポリウレタン製のベルト本体と、前記ベルト本体に設けられ前記使用者を識別するための識別情報が表示される情報表示部とを備えた認識用ベルトにおいて、
前記ベルト本体は、1枚のポリウレタン基材により形成され、
前記ベルト本体の一方端部に形成され離型紙を剥離することにより前記ベルト本体の他方端部に接着して前記ベルト本体を使用者の手首や足首に巻回可能な接着部と、
前記ベルト本体の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側に、肌とのべたつきを軽減するために形成されたべたつき軽減加工部と
前記ベルト本体の長尺方向に沿って前記ベルト本体の幅方向の中央を示す直線状に前記ベルト本体に形成され、前記ベルト本体を使用者の手首や足首に巻き付けて前記接着部の前記離型紙を剥離して前記接着部を前記他方端部に接着する際の、前記ベルト本体の幅方向における位置合わせを可能にする直線状のマークと
を備え、
前記ベルト本体の前記接着部には、前記ベルト本体の他方端部との接着を剥離したときに再接着不能に破断する破断部が形成されていることを特徴とする認識用ベルト。
【請求項2】
前記ベルト本体の前記べたつき軽減加工部は、肌との接触面積を低減する凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の認識用ベルト。
【請求項3】
前記ベルト本体の前記べたつき軽減加工部は、肌とのすべりが良好なコーティング層から成ることを特徴とする請求項1に記載の認識用ベルト。
【請求項4】
前記ベルト本体の前記コーティング層には、肌との接触面積を低減する凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の認識用ベルト。
【請求項5】
前記情報表示部は、前記認識用ベルトの両端部を除く領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の認識用ベルト。
【請求項6】
前記ベルト本体の前記情報表示部の情報はプリンタにより印字されるものであり、
前記ベルト本体の前記情報表示部に、前記印字の際の印字位置の基準マークが形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の認識用ベルト。
【請求項7】
前記接着部の幅は、前記接着部を除く前記ベルト本体の幅よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の認識用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院等の医療機関における患者等の認識、或いは、レジャーランドやイベント会場等における個人の認識に使用される認識用ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療機関において、手術、投薬、採血、輸血などの際の患者の取り違えの防止や、産院や産科等における新生児の取り違え防止を目的として、患者の氏名、性別や血液型などの患者情報、新生児の氏名、血液型、出生日時、主治医氏名などの新生児情報がバーコードやQRコード(登録商標)等により表示された認識用ベルトを患者や新生児の手首や足首に装着することが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−285036号公報(段落0037〜0040および図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の認識用ベルトは、合成樹脂の射出成形により形成されたバンド本体の一端に情報表示部が設けられ、この情報表示部にバーコード等が表示される。ここで、ベルト本体には、使用者の手首や足首に損傷を与えないように、柔軟性の高いポリウレタンが使用される。
【0005】
そして、バンド本体を手首等に巻き付けて、バンド本体とは別に準備された固定具が、バンド本体の両端部に設けられた係止部に係止され、バンド本体が環状に保持されて手首等に装着される。
【0006】
しかし、この種の認識用ベルトの場合、バンド本体の装着のために固定具を別途準備する必要があり、部品点数が多くなってコストの上昇を招くという問題がある。また、バンド本体はポリウレタン製で柔軟性を有するものの、手首や足首が水に濡れたときに、手首、足首に巻き付けられたバンド本体が肌にくっつき易いため、バンド本体が装着された患者等が不快感を覚えるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安価な構成により、使用者の不快感を軽減できる認識用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の認識用ベルトは、使用者の手首や足首などの装着部位に装着されるポリウレタン製のベルト本体と、前記ベルト本体に設けられ前記使用者を識別するための識別情報が表示される情報表示部とを備えた認識用ベルトにおいて、前記ベルト本体は、1枚のポリウレタン基材により形成され、前記ベルト本体の一方端部に形成され離型紙を剥離することにより前記ベルト本体の他方端部に接着して前記ベルト本体を使用者の手首や足首に巻回可能な接着部と、前記ベルト本体の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側に、肌とのべたつきを軽減するために形成されたべたつき軽減加工部と、前記ベルト本体の長尺方向に沿って前記ベルト本体の幅方向の中央を示す直線状に前記ベルト本体に形成され、前記ベルト本体を使用者の手首や足首に巻き付けて前記接着部の前記離型紙を剥離して前記接着部を前記他方端部に接着する際の、前記ベルト本体の幅方向における位置合わせを可能にする直線状のマークとを備え、前記ベルト本体の前記接着部には、前記ベルト本体の他方端部との接着を剥離したときに再接着不能に破断する破断部が形成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、1枚のポリウレタン基材から成るベルト本体の一方端部に、離型紙を剥離して他方端部に接着することによりベルト本体を使用者の手首や足首に巻回状態に保持する接着部を形成したため、ベルト本体とは別の固定具を用いずに、ベルト本体を使用者の他首等に巻回して装着することができ、部品点数を減らして安価な構成の認識用ベルトを提供することができる。
【0010】
さらに、ベルト本体の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側に、肌とのべたつきを軽減するためにべたつき軽減加工部を形成することにより、使用者の手首や足首が水に濡れてもベルト本体が肌にくっつき難く、ベルト本体が肌にくっつくことにより使用者が不快感を覚えるのを防止することができる。
【0011】
また、ベルト本体の接着部に破断部を形成したため、接着状態の接着部を無理に剥離すると破断部が破断して接着部の再接着が不能になり、ある使用者に使用すべき認識用ベルトが他の使用者に間違って再使用されるおそれを防止できる。さらに、ベルト本体の幅方向の中央を示す直線状のマークを形成したため、ベルト本体を使用者の手首や足首に巻き付け、ベルト本体の一方端部の接着部の離型紙を剥離して接着部を他方端部に接着する際に、ベルト本体の両端部のマークを一致させることで、接着部をずれなく接着することができ、接着作業を容易に行うことができる。ここで、マークはベルト本体の表面、裏面のいずれに形成してもよい。
【0012】
ところで、前記ベルト本体の前記べたつき軽減加工部は、肌との接触面積を低減する凹凸部を有するとよい。この場合、ベルト本体に凹凸部によるべたつき軽減加工部を直接形成するので、べたつき軽減加工部の形成を容易に行うことができる。
【0013】
また、前記ベルト本体の前記べたつき軽減加工部は、肌とのすべりが良好なコーティング層から成るとよい。こうすると、ベルト本体にコーティング層を形成することによりべたつき軽減加工部を容易に形成することができる。ここで、べたつき軽減加工部を構成するコーティング層の素材として、撥水効果の高い樹脂等を使用するのが望ましい。
【0014】
また、前記ベルト本体の前記コーティング層には、肌との接触面積を低減する凹凸部が形成されているとよい。この場合、凹凸部を有するコーティング層をベルト本体に形成することで、べたつき軽減加工部に簡単に形成することができて、しかも凹凸によって肌との接触面積を一層低減して不快感を軽減することができる。
【0016】
また、前記情報表示部は、前記ベルト本体の両端部を除く領域に形成されているのが望ましい。こうすると、ベルト本体のほとんどの領域を情報表示部として使用することができ、広い情報表示部の各所に使用者に関する情報を表示しておくことにより、様々な方向から情報表示部の情報を読取ることができて実用性が高い。
【0017】
また、前記ベルト本体の前記情報表示部の情報はプリンタにより印字されるものであり、前記ベルト本体の前記情報表示部に、前記印字の際の印字位置の基準マークが形成されているとよい。この場合、プリンタにより情報表示部に情報を印字する際に、情報表示部のプリンタの機種に応じて選択可能な位置に基準マークを形成しておくことにより、この基準マークを目印として印字の位置決めを容易に行うことができる。
【0018】
また、前記接着部の幅は、前記接着部を除く前記ベルト本体の幅よりも小さく形成されているとよい。こうすると、接着部を接着する際に、接着部がベルト本体の幅方向にはみ出し難くなり、接着部を美麗に接着することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1枚のポリウレタン基材から成るベルト本体の一方端部に、他方端部に接着する接着部を形成したため、従来のようなベルト本体とは別の固定具が不要になり、部品点数を減らして安価な構成の認識用ベルト提供することができる。また、ベルト本体の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側にべたつき軽減加工部を設けたため、ベルト本体が使用者の肌にくっつくことにより使用者が不快感を覚えるのを防止することができる。さらに、接着状態の接着部を無理に剥離すると破断部が破断して接着部の再接着が不能になるため、特定の使用者に使用すべき認識用ベルトが間違って他人に再使用されるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る認識用ベルトの一実施形態の平面図である。
図2】一実施形態の使用状態における斜視図である。
図3】一実施形態の底面図である。
図4】一実施形態の図1と異なる状態における平面図である。
図5図1の一部の平面図である。
図6図1の断面図である。
図7】本発明に係る認識用ベルトの他の実施形態の一部の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。
【0022】
図1図2に示すように、本実施形態における認識用ベルト1は、例えば病院で入院患者や新生児の手首、足首に装着されるもので、1枚のポリウレタン基材から成る帯状のベルト本体2と、ベルト本体の一方端部に形成された接着部3と、該接着部3に形成された破断部4と、ベルト本体2の両端部を除く領域に形成された情報表示部5とを備える。
【0023】
ベルト本体2は、例えば厚さ0.2mm〜0.3mmのポリウレタン樹脂フィルムシートDUS433(日本ミラクトン(株)製)を用いるのが好ましく、ベルト本体2を抜き取るためにベルト本体2の輪郭に沿って予め形成された切込みミシン線Lに沿って、ポリウレタン樹脂フィルムシートを打抜き切断することによりベルト本体2が形成される。
【0024】
接着部3は、ベルト本体2の一方端部に形成され、図6に示すように、離型紙3aの上に接着像3bが積層され、この接着層3bの上にベルト本体2と同じポリウレタン基材3cが積層された構造となっている。そして、離型紙3aが剥離されて接着層3bが露出され、図2に示すように、ベルト本体2の接着部3と反対側の他方端部の表面側に接着層3bが接着されることにより、ベルト本体2が使用者の手首や足首に巻回状態に装着される。このとき、接着部3の幅は、接着部3を除くベルト本体2の幅よりも小さく形成されており、その結果、接着部3を接着する際に、接着部3がベルト本体2の幅方向にはみ出し難くなる。
【0025】
破断部4は、図1図5に示すように、接着部3のポリウレタン基材3cにうろこ状の切り込みが多数形成して成り、ベルト本体2の他方端部に接着された接着部3を無理やり剥離したときに、接着部3を再接着できないように破断部4のほぼ全ての切り込みが破断するか、或いは、いくつかの切り込みが破断して剥離の痕跡が残り、特定の使用者に使用すべき認識用ベルト1が間違って他の使用者に再使用されることが防止される。
【0026】
情報表示部5には、使用者である入院患者や新生児の属性、および、患者や新生児の性別、氏名、血液型、識別(ID)番号、病棟名などの患者情報や新生児情報が、図4に示すようにバーコードBやQRコード(登録商標)Kのほか文字により表示される。その際、例えばダイレクトサーマル方式プリンタ、熱転写リボンを用いる熱転写方式プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザープリンタにより、含有率が1〜5重量%の顔料、75〜80重量%のモノマー、5〜15重量%の紫外線硬化樹脂を含むインク剤を用いて患者情報や新生児情報が印字される。
【0027】
ここで、上記したインク剤を用いてポリウレタン製のベルト本体2に印字すると、ベルト本体2のポリウレタン表面に積層される紫外線硬化樹脂の層が比較的柔らかく、当該インク剤に含まれるモノマー(ウレタン系モノマーなど)がベルト本体2のポリウレタン表面と重合し易く親和性に優れているため、モノマーおよび顔料を含んだ紫外線硬化樹脂の層をポリウレタンのベルト本体2に形成して硬化させることによって、ベルト本体2の情報表示部5に形成されたコードや文字表示による患者情報や新生児情報が擦れやアルコールの付着によっても消え難くなる。
【0028】
ところで、ベルト本体2の裏面側には、図3に示すように、ベルト本体2の幅方向の中央を示す直線状のマークMcがベルト本体2の長尺方向に沿って形成され、ベルト本体2の両端部においてマークを一致させることで、接着部をずれなく接着することができるようになっている。さらに、ベルト本体2の情報表示部5のほぼ中間の位置に、プリンタによる印字の際の位置合わせ基準となる幅方向の印字位置基準マークMpが形成されている。これにより、基準マークMpを目印としてプリンタにより情報表示部5に情報を印字することにより、印字の位置決めを容易に行うことができる。なお、印字位置基準マークMpの形成位置は、ベルト本体2の情報表示部5のほぼ中間の位置に限るものではなく、印字に使用するプリンタの機種に応じて選択可能な位置に基準マークMpを形成するのが好ましい。さらに、これらのマークMc,Mpは、人体に無害なインク等を用いて印刷するのが好ましい。
【0029】
また、ベルト本体2の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側には、肌とのべたつきを軽減するために形成されたべたつき軽減加工部7が形成されている。このべたつき軽減加工部7は、ポリウレタン製のベルト本体2の裏面に、撥水効果を発揮する加工を施すのが望ましく、このような撥水効果を有するべたつき軽減加工部7を使用者の肌に触れるベルト本体2の裏面側に形成することにより、ベルト本体2が水に濡れても肌にくっつき難くなる。
【0030】
上記したべたつき軽減加工部7の具体例として、図3中に例えば斜線に示すような多数の凸条がエンボス加工されて凹凸部8がべたつき軽減加工部7に形成される。なお、図3では、例えば斜線部分が凹で斜線と斜線との間が凸となり、凹凸部8の凸の部分が使用者の肌に直接接触することになるが、凹凸のない場合に比べて肌との接触面積が小さくなる上、凹条の線部分に沿ってベルト本体2の外部に水が流れるようになり、肌およびベルト本体2が濡れても肌に接触するベルト本体2の裏面側には撥水効果が発揮されてべたつき感が緩和される。
【0031】
したがって、上記した実施形態によれば、1枚のポリウレタン基材から成るベルト本体2の一方端部に、離型紙3cを剥離して他方端部に接着することによりベルト本体2を使用者の手首や足首に巻回状態に保持する接着部3を形成したため、従来のようにベルト本体2とは別の固定具を用いることなく、ベルト本体2を使用者の手首等に巻回して装着することができ、部品点数を減らして安価な構成の認識用ベルト1を提供することが可能になる。
【0032】
さらに、ベルト本体2の使用者の手首や足首の肌に接触する裏面側に、肌とのべたつきを軽減するためにべたつき軽減加工部7を形成したことにより、使用者の手首や足首が水に濡れてもベルト本体2が肌にくっつき難くなり、ベルト本体2が肌にくっつくことにより使用者がべたつき感などの不快感を覚えるのを未然に防止することが可能になる。
【0033】
また、ベルト本体2の接着部3に破断部4を形成したため、接着状態の接着部3を無理に剥離すると破断部4が破断して接着部3の再接着が不能になり、ある使用者に使用すべき認識用ベルトが他の使用者に間違って再使用されるおそれを未然に防止することが可能になる。
【0034】
さらに、べたつき軽減加工部7として、ベルト本体2の肌との接触面積を低減する斜線状の凹凸部8をエンボス加工により形成したため、凹凸部8をベルト本体2に簡単に形成することができて、しかも凹凸によって肌との接触面積を一層低減することができる上、斜線状の凹凸部8により肌に付着した水をベルト本体2の外部に円滑に流すことができて、使用者の不快感をより軽減することが可能になる。
【0035】
また、ベルト本体2の幅方向の中央を示す直線状のマークMcをベルト本体2の長尺方向に形成したため、ベルト本体2を使用者の手首や足首に巻き付け、ベルト本体2の一方端部の接着部3の離型紙3aを剥離して接着部3を他方端部に接着する際に、ベルト本体2の両端部のマークMcを一致させることによって、接着部3をずれなく接着することができ、接着作業を容易に行うことが可能になる。
【0036】
さらに、ベルト本体2の情報表示部5の長尺方向のほぼ中間位置に、プリンタによる印字時の印字位置基準マークMpを形成したため、基準マークMpを目印としてプリンタにより情報表示部5に患者情報や新生児情報を印字することにより、印字の位置決めを容易に行って適切な位置に位置ずれなく情報の印字を行うことが可能になる。なお、基準マークMpの形成位置は、情報表示部5の長尺方向のほぼ中間位置に限らない。
【0037】
また、接着部3の幅を、接着部3を除くベルト本体2の幅よりも小さく形成したため、接着部3を接着する際に、接着部3がベルト本体2の幅方向にはみ出し難くなり、接着部3を美麗に接着することが可能になる。
【0038】
さらに、情報表示部5をベルト本体2の両端部を除くほとんどの領域に形成したため、ベルト本体2の大半の領域を情報表示部5として使用することができ、広い情報表示部5の各所に使用者に関する情報(例えば図4に示すQRコードK)を表示しておくことによって、様々な方向から情報表示部5の情報を読取り手段により読取ることが可能になって使い勝手が非常によい。
【0039】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0040】
また、他の実施形態として、図7に示すように、プリンタによる印字の際の位置合わせ基準となる幅方向の印字位置基準マークMp’を、接着部3に設けられた離型紙3a端部の幅方向に形成しておき、情報表示部5に所定の情報をプリンタにより印字し、使用者である入院患者や新生児の手首や足首に巻き付ける際に、離型紙3aを剥離することより基準マークMp’も除去することにより、基準マークMp’用のインクが使用者の肌に付着するなどのおそれもなく、安全面でも優れる。
【0041】
さらに、異なる他の実施形態として、ベルト本体2の情報表示部5のほぼ中間の位置に小さく形成した孔や凹部を、プリンタによる印字の際の位置合わせ基準となる幅方向の印字位置基準マークとしてもよい。
【0042】
また、ベルト本体2の表面側であって、情報表示部5の患者情報や新生児情報を印字する領域以外の位置に、プリンタによる印字の際の位置合わせ基準となる幅方向の印字位置基準マークを形成してもよい。
【0043】
また、上記した図1図6に示す実施形態では、ポリウレタン製のベルト本体2の肌に接触する裏面側に、エンボス加工による凹凸部8を形成することでべたつき軽減加工部7を形成した例について説明したが、撥水効果の高いフッ素系やシリコン系の樹脂をベルト本体2の裏面に塗布してコーティング層を形成し、このコーティング層に凹凸部を形成しておくことにより、ベルト本体2の肌に接触する裏面側に、べたつき軽減加工部7を形成することができる。このような撥水効果を有するコーティング層から成るべたつき軽減加工部7を、使用者の肌に触れるベルト本体2の裏面側に形成することにより、ベルト本体2が水に濡れても肌にくっつき難くなる。
【0044】
また、上記した実施形態では、病院等の医療機関における患者等の認識に使用する認識用ベルト1について説明したが、本発明に係る認識用ベルトは、レジャーランドやイベント会場等における個人の認識にも使用することができるのは勿論である。
【0045】
また、上記した実施形態では、べたつき軽減加工部7にエンボス加工により斜線状の凹凸部8を形成した例について説明したが、凹凸部は斜線状のものに限らず、多数の突起をエンボス加工することで凹凸部を形成してもよく、要するに凹凸部は肌との接触面積を低減できる構造であればよく、その加工方法もエンボス加工に限定されるものではない。
【0046】
また、上記した実施形態では、破断部4を多数のうろこ状の切り込みにより構成して例を示したが、破断部はこれに限定されるものではなく、要するに接着状態の接着部3を無理やり引き剥がしたときに破断し易い構成であればよい。
【0047】
また、上記した実施形態では、ベルト本体2の幅方向の中央を示すマークMcをベルト本体2の裏面側にインクを用いて形成した場合について説明したが、エンボス加工によりマークMcを形成してもよく、さらにはベルト本体2の表面側に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 …認識用ベルト
2 …ベルト本体
3 …接着部
3a …離型紙
4 …破断部
5 …情報表示部
7 …べたつき軽減加工部
8 …凹凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7