特許第6763586号(P6763586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763586
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】動釣合い試験機
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/06 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   G01M1/06
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-158960(P2019-158960)
(22)【出願日】2019年8月30日
(62)【分割の表示】特願2018-533349(P2018-533349)の分割
【原出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-200219(P2019-200219A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】391046414
【氏名又は名称】国際計測器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】石戸谷 聡
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−120639(JP,U)
【文献】 特開2012−145504(JP,A)
【文献】 特開2009−244187(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/029795(WO,A1)
【文献】 実開昭62−155346(JP,U)
【文献】 特開平11−295178(JP,A)
【文献】 米国特許第04976147(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持された回転体に空気を吹き付けて該回転体を回転駆動可能な駆動ユニットと、
前記回転体を回転駆動可能な所定の駆動位置と、該回転体の着脱が容易な所定の待機位置との間で、前記駆動ユニットを該回転体の回転軸方向に移動可能な移動ユニットと、
前記駆動位置を前記回転軸方向に変更可能な変更ユニットと、
を備える、動釣合い試験機。
【請求項2】
前記変更ユニットが、
前記駆動ユニットに固定され、該駆動ユニットと一体に移動可能な連結部材と、
前記移動ユニットによって前記回転軸方向に移動可能に支持された支持部材と、
前記支持部材と前記連結部材との間に介在し、前記回転軸方向における前記支持部材に対する前記連結部材の位置を調整可能な機構と、を備え、
前記移動ユニットが、前記支持部材を前記回転軸方向に移動させることにより、前記変更ユニットを介して前記駆動ユニットを移動可能であり、
前記変更ユニットが、前記回転軸方向における前記支持部材に対する前記連結部材の位置を調整することにより、前記駆動位置を前記回転軸方向に変更可能である、
請求項に記載の動釣合い試験機。
【請求項3】
前記変更ユニットが、
前記回転軸方向に進退可能な第1の螺子機構を備え、
前記第1の螺子機構によって前記回転軸方向における前記支持部材に対する前記連結部材の位置を調整することにより、前記駆動位置を前記回転軸方向に変更可能である、
請求項に記載の動釣合い試験機。
【請求項4】
前記第1の螺子機構が、
前記連結部材の前記支持部材と対向する位置に形成された、前記回転軸方向に延びる第1の雌螺子と、
前記第1の雌螺子に嵌められると共に、一端部において前記支持部材に支持される第1の雄螺子と、を有し、
前記第1の雄螺子を回して前記回転軸方向に移動させることにより、該回転軸方向における前記支持部材に対する前記連結部材の位置を調整可能である、
請求項に記載の動釣合い試験機。
【請求項5】
前記変更ユニットが、
所定位置に固定されたストッパと、
前記連結部材の前記ストッパと対向する位置に形成された、前記回転軸方向に延びる第2の雌螺子と、
前記第2の雌螺子に嵌められ、一端が前記連結部材から前記ストッパに向かって突出した第2の雄螺子と、を有し、
前記待機位置において、前記第2の雄螺子の一端が前記ストッパに突き当たることにより、前記連結部材が固定された前記駆動ユニットの前記回転軸方向への移動を停止させ、
前記第2の雄螺子を回して前記回転軸方向に移動させることにより、前記待機位置を前記回転軸方向に調整可能である、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の動釣合い試験機。
【請求項6】
前記駆動ユニットの移動を前記回転軸方向に規制するガイドユニットを備え、
前記ガイドユニットが、
前記駆動ユニットに固定された支持ロッドと、
前記支持ロッドを前記回転軸方向に移動可能に支持するガイドと、を備えた、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の動釣合い試験機。
【請求項7】
前記ガイドユニットが、複数の前記支持ロッドを備え、
前記連結部材により、前記複数の支持ロッドが連結された、
請求項2を直接又は間接的に引用する請求項6に記載の動釣合い試験機。
【請求項8】
前記移動ユニットは流体圧により駆動される、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の動釣合い試験機。
【請求項9】
前記駆動ユニットは、前記回転体に向けて空気を吹き付けるノズルを有する、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の動釣合い試験機。
【請求項10】
前記ノズルは、
前記回転体を順方向に回転駆動する少なくとも一つの順方向噴射ノズルと、
前記回転体を前記順方向と逆方向に回転駆動する少なくとも一つの逆方向噴射ノズルと、
を含む、
請求項に記載の動釣合い試験機。
【請求項11】
前記駆動ユニットは、前記回転体の外周を囲う、前記回転軸方向に貫通する中空部を有し、
前記中空部の内周に前記ノズルが形成されている、
請求項又は請求項10に記載の動釣合い試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動釣合い試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
架台に振動可能に支持された振動台に被試験体である回転体を回転可能に保持し、回転体を回転させ、その際に回転体の動的不釣合いによって振動台に発生する振動を計測することにより、被試験体の動的釣合い状態を測定する動釣合い試験機が知られている。
【0003】
特許第5426991号公報(以下、「特許文献1」と記す。)に記載された動釣合い試験機は、振動台の略矩形の平板状のベースを、その上端の幅方向略中央において縦ばねに取り付けて吊下げ、略矩形の四つの角の近傍を横ばねに取り付けて支持することにより、架台に対して振動可能に連結した構成となっている。
【0004】
特許第5622171号公報(以下、「特許文献2」と記す。)に記載された動釣合い試験機は、被試験体を空気軸受により保持する構成となっている。
【0005】
実公平5−17636号公報(以下、「特許文献3」と記す。)に記載された動釣合い試験機は、回転体を回転駆動するための圧縮空気を吹き付けるノズルを備え、当該ノズルの回転体に対する吹付け高さや向きを調整可能にした構成となっている。
【発明の概要】
【0006】
動釣合い試験機は、回転体の上面側(下面側)の所定の不釣合い量によるベースの上面側(下面側)の変位から回転体の下面側(上面側)の所定の不釣合い量によるベースの上面側(下面側)の変位を引いた差分値が大きいほど測定感度が高くなる。しかし、特許文献1に記載の構成では、縦ばねがベースに取り付けられる位置が、回転体の重心をベースに投影した点から大きくずれているため、ベースの上面側(下面側)の変位は、回転体の上面側(下面側)の不釣合いに対してだけでなく、回転体の下面側(上面側)の不釣合いに対しても大きくなってしまう。その結果、回転体の上面側(下面側)の所定の不釣合い量によるベースの上面側(下面側)の変位から回転体の下面側(上面側)の所定の不釣合い量によるベースの上面側(下面側)の変位を引いた差分値が小さくなってしまうため、動釣合い試験機の測定感度を低下させる一因となっていた。
【0007】
以下に説明するように、本発明の一実施形態によれば、測定感度が高い動釣合い試験機が提供される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、被試験体である回転体を回転可能に保持する振動ユニットと、振動ユニットを弾性的に支持し、且つ回転体の回転軸と平行な方向における振動ユニットの変位を規制する、第一ばねと、振動ユニットを弾性的に支持し、且つ回転軸と直交する所定の方向における振動ユニットの変位を規制する、少なくとも三本の第二ばねと、を備え、少なくとも三本の第二ばねは、同一の所定平面上で振動ユニットに取り付けられており、振動ユニットは、回転体の重心の所定平面への投影が、第一ばねが振動ユニットに取り付けられる位置と略同じ位置になるよう、回転体を保持する。
【0009】
この構成によれば、回転体の重心の、少なくとも三本の第二ばねが振動ユニットに取り付けられる所定平面への投影が、第一ばねが振動ユニットに取り付けられる位置と略同じ位置になるよう回転体を保持することにより、回転体の上面側(下面側)の不釣合いによる振動ユニットの下側(上側)の変位を小さくすることができ、それによって回転体の上面側(下面側)の所定の不釣合い量による振動ユニットの上面側(下面側)の変位から回転体の下面側の所定の不釣合い量による振動ユニットの上面側(下面側)の変位を引いた差分値を大きくすることができるため、測定感度が上がり、測定精度の向上が可能になる。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、少なくとも三本の第二ばねが振動ユニットに取り付けられる各位置からほぼ等距離となる位置において、第一ばねが振動ユニットに取り付けられる構成としても良い。
【0011】
また、本発明の一実施形態において、少なくとも三本の第二ばねが振動ユニットに取り付けられる位置は、回転軸及び第一ばねが振動ユニットに取り付けられる位置を通る平面に関して対称に配置されている構成としても良い。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、第二ばねを四本備え、第二ばねが振動ユニットに取り付けられる位置を頂点とした略矩形が所定平面上に形成されるよう四本の第二ばねが配置されている構成としても良い。
【0013】
また、本発明の一実施形態において、振動ユニットに、第一ばねを通すための逃げ構造が形成されている構成としても良い。
【0014】
また、本発明の一実施形態において、逃げ構造は、穴、溝、又は切り欠きである構成としても良い。
【0015】
また、本発明の一実施形態において、振動ユニットは、第一ばね及び少なくとも三本の第二ばねを取り付ける取付部が形成されるベースと、ベースに固定され、回転体を回転可能に保持する軸受ユニットと、を有する構成としても良い。
【0016】
また、本発明の一実施形態において、振動ユニットは、第一ばねが取り付けられる位置及び回転軸を含む平面に関して略対称な形状を有する構成としても良い。
【0017】
また、本発明の一実施形態において、ベースは、回転軸に平行な辺を有する略矩形の板であり、ベースの四つの頂点のそれぞれの近傍に第二ばねが取り付けられている構成としても良い。
【0018】
また、本発明の一実施形態において、軸受ユニットは、回転軸方向におけるベースの一方の端部の近傍に固定される構成としても良い。
【0019】
また、本発明の一実施形態において、振動ユニットは、所定平面に垂直な方向に貫通する開口を有する構成としても良い。
【0020】
被試験体を空気軸受により保持する特許文献2に記載の構成の動釣合い試験機では、被試験体との間で擦れが生じる軸受部が容易に交換可能な構造となっていないため、軸受部の交換が必要になった場合に多大な工数やコストがかかるだけでなく、交換に時間を要する場合は測定作業自体が停止してしまうため、ランニングコストの増加や生産性の低下の一因となっていた。
【0021】
以下に説明するように、本発明の一実施形態によれば、ランニングコストの削減及び生産性の向上が可能な動釣合い試験機が提供される。
【0022】
本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、被試験体である回転体を回転可能に保持する空気軸受を形成する軸受ユニットを備え、軸受ユニットは、軸受ハウジングと、軸受ハウジングに着脱可能に固定されるスラスト軸受部材と、を有し、スラスト軸受部材は、軸体が通される開口を有する板状部材であり、回転体との間にスラスト空気軸受を形成する。
【0023】
この構成によれば、摩耗しやすいスラスト軸受部材を交換可能な部品とし、且つ部品の両面をスラスト軸受として利用可能とすることにより、部品交換の工数、部品代、及び部品交換による測定作業の停止時間を削減することができ、ランニングコストの削減及び生産性の向上が可能になる。
【0024】
また、本発明の一実施形態において、スラスト軸受部材は、平板状に形成されている構成としても良い。
【0025】
また、本発明の一実施形態において、軸受ユニットは、スラスト軸受部材を位置決めして軸受ハウジングに着脱可能に固定する位置決め固定部材を有する構成としても良い。
【0026】
また、本発明の一実施形態において、位置決め固定部材は、スラスト軸受部材を位置決めする位置決め部材と、位置決め部材を軸受ハウジングに対して着脱可能に固定する固定部材と、を含む構成としても良い。
【0027】
また、本発明の一実施形態において、軸受ユニットは、軸受ハウジングに着脱可能に保持され、回転体との間にラジアル空気軸受を形成するラジアル軸受部材を有する構成としても良い。
【0028】
また、本発明の一実施形態において、位置決め固定部材は、ラジアル軸受部材をスラスト軸受部材と共に軸受ハウジングに対して固定する構成としても良い。
【0029】
また、本発明の一実施形態において、スラスト軸受部材は、開口が円形である構成としても良い。
【0030】
また、本発明の一実施形態において、スラスト軸受部材は、略円板状の部材である構成としても良い。
【0031】
また、本発明の一実施形態において、位置決め固定部材は、スラスト軸受部材の円形状の開口の中心がラジアル軸受部材の軸上に位置するよう位置決めする構成としても良い。
【0032】
また、本発明の一実施形態において、ラジアル軸受部材は、スラスト軸受部材が配置される端面に、スラスト軸受部材の外径と略同径の、ラジアル軸受部材の軸と同軸の円柱状の突出部を有し、位置決め固定部材は、スラスト軸受部材の外径及び突出部と略同径であり且つスラスト軸受部材の厚みと突出部の高さを足し合わせた寸法と略同寸法の深さに形成された、円柱状の中空部を有する構成としても良い。
【0033】
回転体を回転駆動するための圧縮空気を吹き付けるノズルを備える特許文献3に記載の構成の動釣合い試験機では、様々な寸法や形状の被試験体を回転駆動させることができ、ノズルが被試験体の着脱の邪魔になる場合にはノズルを邪魔にならない位置に移動させることができるが、被試験体の着脱の度にノズルを移動させるのは手間であり、毎回同じ位置にノズルを戻すのも困難であることから、作業効率や測定精度を低下させる一因となっていた。
【0034】
以下に説明するように、本発明の一実施形態によれば、作業性及び測定精度の向上が可能な動釣合い試験機が提供される。
【0035】
本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、回転自在に支持された回転体に風を吹き付けて回転体を回転駆動させる駆動ユニットと、回転体を駆動可能な駆動位置と、回転体の着脱が容易な待機位置との間で、駆動ユニットを回転体の回転軸方向に移動させる移動ユニットと、駆動位置を回転軸方向に変更する変更ユニットと、を備える。
【0036】
この構成によれば、被試験体の着脱の邪魔にならない位置に駆動ユニットを移動させる機構と、被試験体の形状や寸法に合わせて駆動ユニットの位置を変更する機構とを別々の機構として設けることにより、被試験体の着脱を容易にし、且つ被試験体の着脱の度に駆動ユニットの位置を調整する手間を省いて駆動ユニットの位置のずれを防止することができ、作業性及び測定精度の向上が可能になる。
【0037】
また、本発明の一実施形態において、移動ユニットは駆動ユニットを支持し、変更ユニットは、移動ユニットを回転軸方向に移動させることにより、回転軸方向における駆動ユニットの位置を変更する構成としても良い。
【0038】
また、本発明の一実施形態において、変更ユニットは駆動ユニットを支持し、移動ユニットは、変更ユニットを回転軸方向に移動させることにより、回転軸方向における駆動ユニットの位置を変更する構成としても良い。
【0039】
また、本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、駆動ユニットの移動を回転軸方向に規制するガイドを備える構成としても良い。
【0040】
また、本発明の一実施形態に係る動釣合い試験機は、駆動ユニットを支持する支持部材を備え、ガイドは、支持部材の回転軸方向の移動をガイドする構成としても良い。
【0041】
また、本発明の一実施形態において、変更ユニットは支持部材を支持し、移動ユニットは、変更ユニットを回転軸方向に移動させることにより、支持部材を介して駆動ユニットの位置を変更する構成としても良い。
【0042】
また、本発明の一実施形態において、移動ユニットは支持部材を支持し、変更ユニットは、移動ユニットを回転軸方向に移動させることにより、支持部材を介して駆動ユニットの位置を変更する構成としても良い。
【0043】
また、本発明の一実施形態において、移動ユニットは流体圧により駆動される構成としても良い。
【0044】
また、本発明の一実施形態において、駆動ユニットは、回転体に向けて空気を吹き付けるノズルを有する構成としても良い。
【0045】
また、本発明の一実施形態において、ノズルは、回転体を順方向に回転駆動する少なくとも一つの順方向噴射ノズルと、回転体を順方向と逆方向に回転駆動する少なくとも一つの逆方向噴射ノズルと、を含む構成としても良い。
【0046】
また、本発明の一実施形態において、駆動ユニットは、回転体の外周を囲う、回転軸方向に貫通する中空部を有し、中空部の内周にノズルが形成されている構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の主要部の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の主要部の右側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の主要部の平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の振動ユニットの分解図である。
図5】比較例の振動ユニットにおいて動釣合い試験時に発生する振動変位を説明する図である。
図6】本発明の実施形態の振動ユニットにおいて動釣合い試験時に発生する振動変位を説明する図である。
図7】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の軸受ハウジングの平面図である。
図8】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の軸受ユニットの横断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の駆動ユニット、ガイドユニット、変更ユニット及び移動ユニットの正面図である。
図10】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の駆動ユニット、ガイドユニット、変更ユニット及び移動ユニットの右側面図である。
図11】本発明の実施形態に係る動釣合い試験機の駆動ユニット、ガイドユニット、変更ユニット及び移動ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0049】
図1図2及び図3は、それぞれ動釣合い試験機1の主要部の正面図、右側面図及び平面図である。以下の説明において、図1における左右方向をX軸方向、紙面に垂直な方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。なお、Z軸方向は鉛直方向であり、X,Y軸方向は水平方向である。また、図1における手前側(紙面表側)を前、奥側(紙面裏側)を後ろとする。
【0050】
本実施形態の動釣合い試験機1は、過給機のタービンロータ等の羽根を有する回転体(被試験体W)の動釣合い試験に適したものである。動釣合い試験機1は、被試験体Wの羽根に風を吹き付けることにより被試験体Wを回転駆動し、そのときに発生する振動を測定して、この振動の測定結果に基づいて被試験体Wの動的釣合いを計測することができるように構成されている。
【0051】
動釣合い試験機1は、被試験体Wをその回転軸をZ軸方向に向けた姿勢で回転可能に保持する振動ユニット200と、振動ユニット200に保持された被試験体Wの羽根に風を吹き付けることによって被試験体Wを回転駆動する駆動ユニット300と、振動ユニット200及び駆動ユニット300を支持する架台100を備えている。また、動釣合い試験機1は、更に、後述するガイドユニット400、変更ユニット500及び移動ユニット600を備えている。なお、図1−3においては、駆動ユニット300、ガイドユニット400、変更ユニット500及び移動ユニット600が図示省略されている。
【0052】
図1−3に示されるように、振動ユニット200は、Z軸方向に伸びる一本の縦ばね(第一ばね)110とY軸方向に延びる四本の横ばね(第二ばね)120によって架台100に支持されている。縦ばね110及び横ばね120は、長手方向において実質剛体であり、実質曲げ変形のみを許容する、丸棒状の部材である。縦ばね110は、振動ユニット200を上方から吊下げて支持し、横ばね120は、振動ユニット200を後側から支持している。振動ユニット200は、縦ばね110によってZ軸方向の変位が規制され、横ばね120によってY軸方向の変位が規制されるため、実質的にX方向の並進運動(振動)及びY軸周りの回転運動(振動)のみが許容されている。
【0053】
架台100は、振動ユニット200のX軸方向の振動を測定する二つの振動センサユニット130と、被試験体Wの回転位相を検出する位相センサユニット140を備えている。一方の振動センサユニット130は、測定子132の先端が振動ユニット200の背面の上端付近に接続され、振動ユニット200の上面側の振動変位を測定する。また、他方の振動センサユニット130は、測定子132の先端が振動ユニット200の背面の下端付近に接続され、振動ユニット200の下面側の振動変位を測定する。また、位相センサユニット140は、被試験体Wの回転位相を光学的に非接触で検出する装置である。位相センサユニット140は、架台100の上部に取り付けられ、被試験体Wの回転位相を真上から検出する。
【0054】
図4は、振動ユニット200の分解図である。振動ユニット200は、ベース210と、ボルトによってベース210の前面に着脱可能に固定された軸受ユニット220を備えている。軸受ユニット220は、空気軸受を形成して、被試験体Wを回転可能に保持する。
【0055】
ベース210は、X軸及びZ軸のそれぞれと平行な辺を有する略矩形の金属板である。ベース210の上部には、Y方向に貫通する円形の開口214が形成されている。開口214を設けることにより、振動ユニット200が軽量化するため、測定感度が向上する。
【0056】
ベース210の略中央には、Y方向に貫通する略矩形の縦ばね取付用開口211が形成されている。また、ベース210は、縦ばね110をベース210に取り付けるための縦ばね取付部材219を備えている。縦ばね取付部材219は、縦ばね取付用開口211に差し込まれて、ボルトによってベース210の本体に着脱可能に固定される。
【0057】
また、ベース210には、Z軸方向に延びる二つの逃がし穴212a、212bが、開口214の中心を通る直線上に形成されている。上側の逃がし穴212aは、ベース210の上面から開口214まで貫通し、下側の逃がし穴212bは開口214の下端から縦ばね取付用開口211まで貫通している。縦ばね110は、逃がし穴212a、開口214及び逃がし穴212bに通される。縦ばね110の先端部は、縦ばね取付用開口211に差し込まれた縦ばね取付部材219の縦ばね取付部219aに差し込まれて取り付けられる。逃がし穴212a、212bは、縦ばね110と接触しないように、縦ばね110の外径よりも十分に大きな内径で形成されている。
【0058】
また、略矩形のベース210の四隅には、横ばね120の先端部を取り付ける横ばね取付部213が設けられている。縦ばね取付用開口211は、四つの横ばね取付部213の配列の中心位置C(すなわち、各横ばね取付部213との距離が等しくなる位置)が縦ばね取付用開口211の略中心に位置するように形成されている。そのため、本実施形態では、縦ばね取付部材219によって縦ばね110がベース210に取り付けられる位置(縦ばね取付位置P)は、中心位置Cと一致する。
【0059】
軸受ユニット220が取り付けられるベース210の下部の前面には、軸受ユニット220を位置決めするためのZ軸方向に延びるキー217が設けられている。また、ベース210の下部には、軸受ユニット220に供給される圧縮空気が流れる空気供給穴215、216が、Y軸方向に貫通している。
【0060】
本実施形態の振動ユニット200は、軸受ユニット220に保持された被試験体Wの重心のベース210上への投影が縦ばね取付位置Pと重なるように構成されている。言い換えれば、縦ばね取付位置PからY軸方向に延びる直線上又はその近傍に被試験体Wの重心が配置されるように構成されている。
【0061】
動釣合い試験機は、被試験体の上面側(下面側)の所定の不釣合い量による振動ユニットの上面側(下面側)の変位から被試験体の下面側(上面側)の所定の不釣合い量による振動ユニットの上面側(下面側)の変位を引いた差分値が大きいほど測定感度が高くなる。図5及び図6を参照して以下に説明するように、本実施形態の振動ユニット200は、特許文献1に記載されているような従来構成と比較して上記の差分値が大きくなり、従って従来構成よりも測定感度が高くなっている。
【0062】
図5は、比較例である振動ユニット200´において動釣合い試験時に発生する振動変位を説明する図である。また、図6は、本実施形態の振動ユニット200において動釣合い試験時に発生する振動変位を説明する図である。図5においては、本実施形態の振動ユニット200と対応する構成には、本実施形態と同じ符号を付してある。比較例の振動ユニット200´は、本実施形態の振動ユニット200と異なり、縦ばね取付位置P´がベースの上端部中央に位置する。
【0063】
図5及び図6において、Oは縦ばね110が架台100に固定される縦ばね固定位置、Gは被試験体Wの重心位置、Moは不釣合いを与えるために被試験体Wに取り付けられる錘、Fは被試験体Wに取り付けられた錘Moの回転によって生じる遠心力、Uu(U´u)は錘Moを被試験体Wの上面側に取り付けた状態で測定される振動ユニット200(200´)の上面側のX方向変位、Ul(U´l)は錘Moを被試験体Wの下面側に取り付けた状態で測定される振動ユニット200(200´)の上面側のX方向変位、Lu(L´u)は錘Moを被試験体Wの上面側(下面側)に取り付けた状態で測定される振動ユニット200(200´)の下面側のX方向変位、Ll(L´l)は錘Moを被試験体Wの下面側に取り付けた状態で測定される振動ユニット200(200´)の下面側のX方向変位を示している。変位Uu(U´u)及びUl(U´l)は上側の振動センサユニット130によって測定され、変位Lu(L´u)及びLl(L´l)は下側の振動センサユニット130によって測定される。
【0064】
なお、振動ユニット200(200´)の変位は、縦ばね固定位置Oを支点とした縦ばね110のY軸周りの曲げ振動による変位と、縦ばね取付位置P(P´)を支点とした縦ばね110のY軸周りの曲げ振動による変位の和となるが、縦ばね取付位置P(P´)の違いに起因する振動ユニット200(200´)のX方向変位の違いを説明するため、以下では、変位Uu、Ul、Lu、Ll(U´u、U´l、L´u、L´l)を、縦ばね取付位置P(P´)を支点とした縦ばね110のY軸周りの曲げ振動による変位として説明する。また、遠心力Fは被試験体Wの回転位相によって方向が変化するが、以下の説明においては、X軸正方向(図中右方向)に遠心力が働いている状態について説明する。
【0065】
図5(a)及び図6(a)は、被試験体Wの上面側に錘Moを付加した場合を説明する図であり、図5(b)及び図6(b)は、被試験体Wの下面側に錘Moを付加した場合を説明する図である。図5(a)に示されるように、比較例の振動ユニット200´において上面側に錘Moを付加した場合、遠心力Fによって、縦ばね取付位置P´を軸に図中反時計回りに振動ユニット200´を回転させるモーメントが発生する。このため、変位U´u及び変位L´uは、双方ともX軸正方向(図中右方向)の変位となる(但し、変位U´uの大きさは非常に小さい)。また、図5(b)に示されるように、比較例の振動ユニット200´において被試験体Wの下面側に錘Moを付加した場合も、遠心力Fによって、縦ばね取付位置P´を軸に図中反時計回りに振動ユニット200´を回転させるモーメントが発生する。このため、変位U´l及び変位L´lは、双方ともX軸正方向の変位となる。すなわち、錘Moを被試験体Wの上面側に付加するか下面側に付加するかに拘わらず、振動ユニット200´の上面側と下面側は同じ方向に変位する。
【0066】
従って、比較例の振動ユニット200´においては、錘Moを被試験体Wの上面側に付加するか下面側に付加するかに拘わらず、縦ばね固定位置Oを支点とした遠心力FによるX軸正方向(図中右方向)の変位に、同じくX軸正方向の変位U´u、U´l、L´u、L´lが加算されて、振動ユニット200´のX軸正方向(図中右方向)の変位が大きくなる。
【0067】
これに対し、図6(a)に示されるように、本実施形態の振動ユニット200において被試験体Wの上面側に錘Moを付加した場合、遠心力Fによって、縦ばね取付位置Pを軸に図中時計回りに振動ユニット200を回転させるモーメントが発生する。このため、変位Uuは比較例と同様にX軸正方向(図中右方向)の変位となるが、変位Luは比較例と異なりX軸負方向(図中左方向)の変位となる。また、図6(b)に示されるように、被試験体Wの下面側に錘Moを付加した場合は、縦ばね取付位置Pを軸に図中反時計回りに振動ユニット200を回転させるモーメントが発生する。このため、変位Llは比較例と同様にX軸正方向(図中右方向)の変位となるが、変位Ulは比較例と異なりX軸負方向(図中左方向)の変位となる。
【0068】
従って、本実施形態の振動ユニット200においては、錘Moを被試験体Wの上面側に付加した場合は、振動ユニット200の上面側の変位は、縦ばね固定位置Oを支点とした遠心力FによるX軸正方向(図中右方向)の変位に同じくX軸正方向の変位Uuが加算されて変位が大きくなり、振動ユニット200の下面側の変位は、縦ばね固定位置Oを支点とした遠心力FによるX軸正方向(図中右方向)の変位からX軸負方向(図中左方向)の変位Luが減算されて変位が小さくなる。同様に、錘Moを被試験体Wの下面側に付加した場合は、振動ユニット200の下面側の変位は、縦ばね固定位置Oを支点とした遠心力FによるX軸正方向(図中右方向)の変位に同じくX軸正方向の変位Llが加算されて変位が大きくなり、振動ユニット200の上面側の変位は縦ばね固定位置Oを支点とした遠心力FによるX軸正方向(図中右方向)の変位からX軸負方向(図中左方向)の変位Ulが減算されて変位が小さくなる。
【0069】
以上から、本実施形態の振動ユニット200は、比較例の振動ユニット200´と比較して、被試験体Wの上面側(下面側)の所定の不釣合い量に対する振動ユニット200の上面側(下面側)の変位から被試験体Wの下面側(上面側)の所定の不釣合い量に対する振動ユニット200の上面側(下面側)の変位を引いた差分値が大きくなる。上述したように、上記の差分値が大きいほど動釣合い試験機の感度が高くなるため、本実施形態の振動ユニット200は、比較例の振動ユニット200´と比較して感度が高いということができる。
【0070】
また、本実施形態の振動ユニット200は、四つの横ばね取付部213の中心位置Cと縦ばね取付位置Pが一致しているため、錘Moを被試験体Wの上面側に付加した場合の振動ユニット200の図5−6における時計回りの回転角と、錘Moを被試験体Wの下面側に付加した場合の振動ユニット200の図中反時計回りの回転角とが実質等しくなる。そのため、被試験体Wの上面側の不釣合いに対する測定感度と、被試験体Wの下面側の不釣合いに対する測定感度を等しくすることができ、不釣り合いが上面側にあるか下面側にあるかに拘わらず高精度で不釣り合いを測定することができる。
【0071】
なお、ベース210の形状や縦ばね110と横ばね120の配置は、本実施形態のものに限定されない。四つの横ばね取付部213が配列される平面が被試験体Wの回転軸に平行であり、また、四つの横ばね取付部213の配列の中心位置C、縦ばね取付位置P及び被試験体Wの重心の位置関係が上述のような関係(すなわち、中心位置C、縦ばね取付位置P及び被試験体Wの重心がY軸方向に並び、且つ、中心位置Cと縦ばね取付位置Pとが一致するという位置関係)となっていればよい。また、ベース210と軸受ユニット220は、一つの部材として一体に形成されていても良い。また、横ばね120の本数も、ベース210を安定して支持できる三本以上であれば良い。
【0072】
図7及び図8は、それぞれ軸受ハウジング221の平面図及び軸受ユニット220の横断面図である。図4及び図8に示されるように、軸受ユニット220は、軸受ハウジング221、ラジアル軸受部材222、スラスト軸受部材223、位置決め部材224、固定部材225及び封止部材226を備えている。ラジアル軸受部材222、スラスト軸受部材223及び封止部材226は、それぞれ交換可能であり、被試験体Wのジャーナルの外径に適合したものが使用される。
【0073】
ラジアル軸受部材222は軸受ハウジング221内に収容され、スラスト軸受部材223はラジアル軸受部材222の上面に載置される。位置決め部材224は、スラスト軸受部材223をラジアル軸受部材222に対して位置決めする部材である。固定部材225は、ラジアル軸受部材222、スラスト軸受部材223及び位置決め部材224を軸受ハウジング221に対して位置決め固定する部材である。封止部材226は、後述する空間Srの下端を封止するOリング227Aを下側から押圧して固定する部材である。
【0074】
軸受ハウジング221には、Z軸方向に貫通する略円柱状の中空部221Aが形成されている。中空部221Aは、主要部分である大径部221Aaと、下端部に形成された、大径部221Aaより小さい径の小径部221Abを有する段付き形状となっている。また、図7に示されるように、軸受ハウジング221には、ベース210に設けられたキー217と嵌合し、ベース210に対して軸受ハウジング221を位置決めする溝221Fが形成されている。
【0075】
軸受ハウジング221には、空気軸受を形成するための圧縮空気が流れる流路221B、221Cが形成されている。流路221Bを流れる圧縮空気はラジアル軸受部材222に供給され、流路221Cを流れる圧縮空気はスラスト軸受部材223に供給される。流路221B、221Cの一端(入口)は、それぞれ、Oリング218A、218Bを介して、ベース210の空気供給穴215、216に接続されている。
【0076】
中空部221Aの大径部221Aaには、流路221Bの他端(出口221Be)が開口している。また、図7に示されるように、軸受ハウジング221の上面には、中空部221Aと同心に、二つの環状の溝221D及び221Eが形成されている。流路221Cの出口221Ceは、外側の溝221Dの底面に開口している。また、内側の溝221Eには、Oリング227Bが収容される。
【0077】
ラジアル軸受部材222は、略筒状の部材であり、Z軸方向に貫通する略円柱状の中空部222Eが形成されている。中空部222Eには、被試験体Wのジャーナルが差し込まれる。ラジアル軸受部材222は、その外径により、下側から順に、筒状部222A、フランジ部222B及び突出部222Cに区分される。
【0078】
筒状部222Aは、軸受ハウジング221の中空部221A内に収容される最も外径が細い略円筒状の部分であり、中空部221Aの小径部221Abの内径と略同じ外径を有する。
【0079】
フランジ部222Bは、軸受ハウジング221の外側の溝221Dよりも大きい外径を有する、円板状の部分である。フランジ部222Bは、ラジアル軸受部材222が軸受ハウジング221に装着された状態において、軸受ハウジング221の上面に載置される。
【0080】
突出部222Cは、フランジ部222Bの上面の中央部から上方に突出する、フランジ部222Bより小さい外径を有する略円筒状の部分である。
【0081】
ラジアル軸受部材222のフランジ部222Bの下面には、Oリング227Cが収容される環状の溝222Dが同心に形成されている。溝222Dの内周は軸受ハウジング221の溝221Dの内周と略同径であり、溝222Dの幅は溝221Dより大きく形成されている。
【0082】
ラジアル軸受部材222の中空部222Eは、Z軸方向中央部に位置する大径部222Eaと、上部に位置する小径部222Ebと、下部に位置する小径部222Ecを有する。小径部222Ebは突出部222Cに形成され、大径部222Eaは筒状部222Aの上部に形成され、小径部222Ecは筒状部222Aの下部に形成される。また、小径部222Eb、222Ecの周面と被試験体Wのジャーナルとの間には、ラジアル空気軸受が形成される。
【0083】
筒状部222Aの下部には、筒状部222Aを径方向に貫通して小径部222Ecに開口する複数のラジアル軸受空気供給孔222Fが、周方向において等間隔に形成されている。また、ラジアル軸受部材222の上部(軸受ハウジング221の外部に配置されたフランジ部222B及び突出部222Cからなる部分)にも、ラジアル軸受部材222の外周と内周とを連絡する複数のラジアル軸受空気供給孔222Gが、周方向において等間隔に形成されている。ラジアル軸受空気供給孔222Gの一端(入口)はフランジ部222Bの付け根の下面(中空部221Aの周縁部に面する位置)に開口し、他端(出口)は小径部222Ebの内周面に開口する。また、ラジアル軸受部材222の上部には、溝222Dの内周の下端部と小径部222Ebの内周の上端部とを連絡する複数のスラスト軸受空気供給孔222Hが、周方向において等間隔に形成されている。
【0084】
ラジアル軸受部材222が軸受ハウジング221に装着された状態において、ラジアル軸受部材222の筒状部222Aと軸受ハウジング221の中空部221A(大径部221Aa)の周面との間には、円筒状の空間Srが形成される。この空間Srは、流路221Bの出口221Beから供給される圧縮空気によって満たされる。
【0085】
また、軸受ハウジング221の溝221Dと、ラジアル軸受部材222の溝222D内周の下端部と、Oリング227Cとで囲まれた空間Ssが形成される。この空間Ssは、流路221Cの出口221Ceから供給される圧縮空気によって満たされる。空間SrはOリング227A及び227Bによって封止され、空間SsはOリング227B及び227Cによって封止される。ラジアル軸受空気供給孔222F、222Gは、その一端(入口)において空間Srに連絡しており、空間Sr内の圧縮空気を小径部222Eb、222Ecに供給する。また、スラスト軸受空気供給孔222Hは、空間Ssに連絡しており、空間Ss内の圧縮空気をスラスト軸受部材223の内周に供給する。
【0086】
スラスト軸受部材223は、ラジアル軸受部材222の突出部222Cと略同じ内径及び外径を有する穴空き円板状(平座金状)の精密部材である。スラスト軸受部材223の開口223Aには、被試験体Wのジャーナルが通される。スラスト軸受空気供給孔222Hから圧縮空気が供給されていない状態において、被試験体Wのフランジ部Waが、スラスト軸受部材223の上面の内周部に載置される。
【0087】
スラスト軸受空気供給孔222Hから圧縮空気が供給されると、スラスト軸受部材223の上面の内周部と被試験体Wのフランジ部Waとの間にスラスト空気軸受が形成され、被試験体Wがスラスト軸受部材223から浮上する。また、圧縮空気の供給を停止すると、被試験体Wが降下して、フランジ部Waがスラスト軸受部材223の上に載置される。被試験体Wの回転が完全に止まる前に圧縮空気の供給が停止されると、フランジ部Waとスラスト軸受部材223とが擦れるため、スラスト軸受部材223の上面が徐々に摩耗する。スラスト軸受部材223の摩耗量が大きくなると、良好なスラスト空気軸受が得られなくなり、被試験体Wの浮上が不安定になる。そのため、スラスト軸受部材223は定期的に交換する必要がある。本実施形態のスラスト軸受部材223は、平板状に形成されているため、スラスト軸受部材223を裏返して、その両面をスラスト空気軸受の形成に使用することができる。これにより、スラスト軸受部材223の寿命が実質的に2倍に延びるため、スラスト軸受部材223の交換に要するコストの削減が可能になる。
【0088】
位置決め部材224は、Z軸方向に貫通する略円柱状の中空部224Cが形成された環状の部材であり、フランジ部224Aと円筒部224Bを有する。円筒部224Bは、鉛直に延びる略円筒状の部分である。円筒部224Bの内径は、ラジアル軸受部材222の突出部222C及びスラスト軸受部材223の外径と略同径であり、円筒部224Bの中空部224Cにはラジアル軸受部材222の突出部222C及びスラスト軸受部材223が隙間なく収容される。
【0089】
フランジ部224Aは、円筒部224Bの下端部から外周に突出した略円板状の部分であり、ラジアル軸受部材222のフランジ部222Bと略同じ外径を有する。
【0090】
また、円筒部224Bの上端部には、内周に突出する爪224hが全周に亘って形成されている。爪224hの内径は、突出部222Cやスラスト軸受部材223の外径より小さく、スラスト軸受部材223の開口223Aより大きい。
【0091】
また、位置決め部材224の中空部224Cの深さ(フランジ部224Aの下面から爪224hの下面までの距離)は、ラジアル軸受部材222の突出部222Cの高さとスラスト軸受部材223の高さを足し合わせた大きさになっている。そのため、位置決め部材224の中空部224Cには、ラジアル軸受部材222の突出部222C及びスラスト軸受部材223が上下方向においても隙間なく収容されるようになっている。すなわち、位置決め部材224によって、スラスト軸受部材223がラジアル軸受部材222に対して位置決めされる構造となっている。
【0092】
固定部材225は、環状の部材である。固定部材225は、底面から上面の手前まで形成された円柱状の中空部225Aと、中空部225Aの上端から固定部材225の上面まで貫通する円形の開口225Bを有する。中空部225Aは、ラジアル軸受部材222のフランジ部222Bや位置決め部材224の円筒部224Bと略同径である。開口225Bは、中空部225Aと同心に形成され、中空部225Aより小さく、位置決め部材224の円筒部224Bより大きい径を有する。また、固定部材225には、中空部225Aより外側に、固定用の螺子を通す穴が四か所形成されている。
【0093】
中空部225Aは、ラジアル軸受部材222のフランジ部222Bの高さと位置決め部材224のフランジ部224Aの高さを足し合わせた深さに形成されている。従って、固定部材225の下面が軸受ハウジング221の上面に接している状態において、フランジ部224Aの上面が中空部225Aの上端面に接し、フランジ部224Aの下面がフランジ部222Bの上面に接し、フランジ部222Bの下面が軸受ハウジング221の上面に接した状態となる。すなわち、固定部材225を軸受ハウジング221に対して固定することによって、位置決め部材224、スラスト軸受部材223及びラジアル軸受部材222が軸受ハウジング221に固定される構造となっている。
【0094】
固定部材225の軸受ハウジング221に対する固定によって位置決め部材224、スラスト軸受部材223及びラジアル軸受部材222を軸受ハウジング221に固定する構成とすることにより、固定部材225を固定する螺子の脱着のみによるラジアル軸受部材222、スラスト軸受部材223及び位置決め部材224の交換が可能になる。そのため、被試験体Wの寸法に合わせた軸受用の部品の交換が容易になるだけでなく、摩耗し易いスラスト軸受部材223等の部品の保守交換も容易になる。また、スラスト軸受部材223は、その両面を、スラスト空気軸受を形成する面に使用することができるよう形成されているため、片面が摩耗した場合でも、もう一方の面を軸受面にして再利用でき、部品の交換頻度を少なくすることができる。更に、本実施形態のようにスラスト軸受部材223を成形し易い形状とすることにより、部品の単価も抑えることが可能になる。
【0095】
なお、スラスト軸受部材223の交換が容易且つその両面がスラスト軸受面として利用できるよう構成されていれば部品の交換頻度を少なくすることができるため、位置決め部材224と固定部材225は、一つの部品として形成されていても良い。また、スラスト軸受部材223の形状も、円板状ではなく、裏返しても使用可能な異なる形状を有していても良い。更に、軸受ハウジング221とラジアル軸受部材222が一つの部品として形成されていても良い。
【0096】
図9図10及び図11は、それぞれ動釣合い試験機1の付加機構部(駆動ユニット300、ガイドユニット400、変更ユニット500及び移動ユニット600)の正面図、右側面図及び平面図である。
【0097】
図9−11に示されるように、駆動ユニット300は、噴射ノズル部材310と、中継部材320を備えている。噴射ノズル部材310は略矩形の金属部材であり、Z軸方向に貫通する円柱状の中空部311が形成されている。中空部311は、試験時に被試験体Wの羽根の周囲を囲う部分である。従って、中空部311の内周面が被試験体Wと接触しないように、被試験体Wの外径よりも十分に大きな径で形成されている。
【0098】
中空部311の内周面には、被試験体Wに向けて空気を噴射する三つのノズル312が形成されている。三つのノズル312のうち二つは、被試験体Wを順方向(上方から見て反時計回り)に回転駆動するよう配向された順方向噴射ノズル312Aであり、一つは被試験体Wを順方向と逆方向(上方から見て時計回り)に回転駆動するよう配向された逆方向噴射ノズル312Bである。
【0099】
噴射ノズル部材310には、流路313A、313Bが形成されている。流路313Aは、一端が噴射ノズル部材310の下面右側に開口し、他端が分岐して二つの順方向噴射ノズル312Aと連絡している。流路313Bは、一端が噴射ノズル部材310の下面左側に開口し、他端が逆方向噴射ノズル312Bと連絡している。
【0100】
噴射ノズル部材310は、動釣合い試験時には、順方向噴射ノズル312Aによって被試験体Wを反時計回りに回転駆動し、測定終了後は逆方向噴射ノズル312Bによって時計回りの駆動力を発生させることにより被試験体Wの回転にブレーキをかける。逆方向噴射ノズル312Bによって回転にブレーキをかけるよう構成することによって、測定終了から被試験体Wの取り外しまでにかかる試験時間を短縮することができる。
【0101】
中継部材320は、噴射ノズル部材310の下面右端に固定される中継部材320Aと、噴射ノズル部材310の下面左端に固定される中継部材320Bに分かれている。中継部材320A、320Bには、それぞれ流路322A、322Bが形成されている。流路322A、322Bの一端は、それぞれ噴射ノズル部材310の流路313A、313Bに接続される。また、流路322A、322Bの他端は、連結部321A、321Bを介して、対応する圧縮空気供給源(不図示)にそれぞれ連結されている。
【0102】
なお、駆動ユニット300は、被試験体Wに空気を吹付けて回転駆動するためのノズルを備えていれば、本実施形態の構成に限定されない。例えば、順方向噴射ノズル312Aが一つ以上あれば被試験体Wを回転駆動することが可能であるため、噴射ノズル部材310には一つ以上の順方向噴射ノズル312Aが設けられていれば良い。なお、逆方向噴射ノズル312Bの代わりに、被試験体Wのジャーナル等に接触して摩擦力によりブレーキをかける機構等の異なるブレーキ手段を設けても良い。
【0103】
駆動ユニット300は、ガイドユニット400、変更ユニット500及び移動ユニット600を介して架台100に支持されている。ガイドユニット400は、四本の支持ロッド410と、四つのガイド420と、二つのガイド支持台430A、430Bを備えている。
【0104】
支持ロッド410は円柱状の部材であり、二本はその上端が中継部材320Aに、残りの二本はその上端が中継部材320Bに固定されている。
【0105】
ガイド420は、支持ロッド410をその軸方向に摺動可能に支持する中空部421が形成された円筒部材である。ガイド420の上端部には、ガイド420の下部より大きい径を有する大径部422が形成されている。
【0106】
ガイド支持台430A、430Bは、Y軸方向から見てクランク状に形成された、Y軸方向に延びる金属部材であり、X軸方向において対向して配置されている。ガイド支持台430A、430Bは、それぞれ、固定部431A、431B、鉛直部432A、432B及びガイド支持部433A、433Bを有している。鉛直部432A、432Bは、X軸と垂直に配置された矩形平板状の部分である。鉛直部432A、432Bの下端からは、それぞれ、ガイド支持台430A、430Bを架台100にボルト固定するための固定部431A、431Bが、X軸方向外側に突出している。また、鉛直部432A、432Bの上端からは、それぞれ、ガイド420を支持するガイド支持部433A、433Bが、X軸方向内側に突出している。
【0107】
固定部431A、431Bには、ガイド支持台430A、430Bを架台100に固定する固定用ボルトを通す複数の穴が形成されている。
【0108】
ガイド支持台430Aの鉛直部432Aの上部中央には、X軸方向に貫通する略矩形の開口432Aaが形成されている。
【0109】
ガイド支持部433A、433Bには、二つの円柱状の貫通穴430Aa、430BaがそれぞれZ軸方向に貫通している。貫通穴430Aa、430Baはガイド420の下部の外径と略同径であり、ガイド420の下部が収容される。ガイド420は、大径部422がガイド支持部433A、433Bの上面に載置された状態で、ガイド支持部433A、433Bに支持される。
【0110】
ガイド支持台430Aの貫通穴430Aaに収容されるガイド420の中空部421には、駆動ユニット300の中継部材320Aに固定された支持ロッド410が摺動可能に挿入される。また、ガイド支持台430Bの貫通穴430Baに収容されるガイド420には、中継部材320Bに固定された支持ロッド410が挿入される。ガイド支持台430A、430Bは、ガイド支持部433Aを左側、ガイド支持部433Bを右側に向けて、X軸方向に間隔を空けて架台100上に固定される。駆動ユニット300は、ガイドユニット400によって、架台100に対してZ軸方向にのみ移動可能にガイドされる。
【0111】
駆動ユニット300は、上下方向に自由に移動しないよう、ガイドユニット400の支持ロッド410、変更ユニット500及び移動ユニット600を介して架台100上に支持されている。
【0112】
変更ユニット500は、支持部材510と、螺子520と、連結部530と、ロック部材540を備えている。
【0113】
支持部材510は、小径部511及び大径部512を有する、Z軸方向に延びる段付きの円柱状部材である。支持部材510は、小径部511を下側にした状態で移動ユニット600に支持されている。また、支持部材510の上面には、螺子520を回転可能に支持する、Z軸方向に延びる円柱状の穴513が形成されている。
【0114】
螺子520は、雄螺子である螺子部521と、操作部522を備えている。また、螺子部521は、支持部材510に形成された穴513と略同径であり、その先端部を穴513に挿入することにより、支持部材510上に回転可能に支持される。操作部522は、螺子部521を軸周りで回転させる際に操作するためのノブである。
【0115】
連結部530は、昇降部材531と、支持ロッド連結部材532を備えている。昇降部材531は、Y軸方向から見てクランク状に形成された金属部材である。昇降部材531は、X軸方向に延びる螺子嵌合部531Aと、螺子嵌合部531AのX軸負方向端から下方に延びる鉛直部531Bと、鉛直部531Bの下端からX軸負方向に延びる固定部531Cを備えている。固定部531Cは、その横断面がガイド支持台430Aの鉛直部432Aに形成された開口432Aaより小さく形成されていて、開口432Aaを貫通している。
【0116】
螺子嵌合部531Aには、そのX軸方向およびY軸方向における中央付近に、Z軸方向に貫通する雌螺子531Aaが形成されている。雌螺子531Aaには、螺子部521が嵌合する。また、螺子嵌合部531Aには、そのX軸正方向端付近に、Z軸方向に貫通する雌螺子531Abが形成されている。固定部531Cは、そのX軸負方向における端部が、固定部材(不図示)によって、支持ロッド連結部材532のX軸正方向における端部に固定されている。
【0117】
支持ロッド連結部材532は、水平に配置された、略矩形の金属板である。支持ロッド連結部材532は、そのX軸方向寸法及びY軸方向寸法が、それぞれ噴射ノズル部材310のX方向寸法及びY軸方向寸法と略同寸法に形成されている。
【0118】
支持ロッド連結部材532の略矩形の四隅の近傍には、ガイドユニット400の支持ロッド410の下端部を通す開口532Aが形成されている。開口532Aに通された支持ロッド410は、固定部材532Bによって支持ロッド連結部材532に固定される。また、支持ロッド連結部材532には、振動ユニット200に支持されている被試験体Wのジャーナルと接触しないよう、被試験体Wの回転軸と略同軸にジャーナル逃げ開口(不図示)が形成されている。
【0119】
連結部530は、ガイドユニット400によって、移動可能な方向がZ軸方向に限定される。そのため、操作部522を操作して螺子520を回転させると、螺子部521と嵌合する雌螺子531Aaが形成された連結部530がZ軸方向に上下動する。連結部530の上下動に伴って、四本の支持ロッド410が同期して上下動し、支持ロッド410の上端に固定されている駆動ユニット300も上下動する。すなわち、変更ユニット500の操作部522を操作することにより、駆動ユニット300の高さ方向の位置が調整可能となっている。
【0120】
また、螺子嵌合部531Aには、雌螺子531AaからY軸方向に外部まで延びる雌螺子531Acが形成されている。雌螺子531Acには、ロック部材540の螺子部541(雄螺子)が嵌合する。螺子部541は、その先端を雌螺子531Aaに到達させることが可能な長さを有している。螺子部541の先端が雌螺子531Aaに到達するまで、ロック部材540の操作部542を回転させて螺子部541を捩じ込むことにより、螺子520の回転を防止することができる。
【0121】
すなわち、変更ユニット500を設けることにより、螺子520の操作部522やロック部材540の操作部542を回転させるという簡単な操作により、形状や寸法が異なる被試験体Wに合わせて駆動ユニット300のZ軸方向の位置を変更し固定することを可能にしている。
【0122】
移動ユニット600は、アクチュエータ610とストッパ部620を備えている。アクチュエータ610は、変更ユニット500を昇降可能に支持する直動アクチュエータである。本実施形態では、アクチュエータ610としてエアシリンダが使用されている。アクチュエータ610の上面には、変更ユニット500の支持部材510の小径部511と略同径の、Z方向に延びる円柱状の中空部611が形成されている。中空部611は、アクチュエータ610に流体圧を供給する流体圧装置に接続されている。中空部611に挿入された小径部511を流体圧によって上下させることにより、変更ユニット500を介して駆動ユニット300を昇降させることが可能となっている。
【0123】
ストッパ部620は、ストッパ621及び螺子部622(雄螺子)を備えている。螺子部622は、変更ユニット500の螺子嵌合部531Aに形成された雌螺子531Abと嵌合している。ストッパ部620は、アクチュエータ610の作動によって駆動ユニット300が降下した位置にあるときに、螺子部622の下端がストッパ621に突き当たるように構成されている。
【0124】
移動ユニット600は、駆動ユニット300のZ軸方向位置を、被試験体Wに空気を吹き付けて被試験体Wを回転駆動する駆動位置と、駆動位置より低い待機位置との間で昇降させるよう構成されている。駆動ユニット300を駆動位置より低い待機位置に下げられるように構成することにより、被試験体Wの交換作業を容易にすることが可能となる。また、変更ユニット500も駆動ユニット300と共に昇降される構成となっているため、被試験体Wの交換の度に駆動ユニット300のZ方向位置を調整する手間を省くことができ、作業性も駆動ユニット300の位置精度も向上させることが可能となる。
【0125】
待機位置の高さは、変更ユニット500の螺子嵌合部531Aの下面から突出している螺子部622の長さによって変更することができる。従って、雌螺子531Abに対する螺子部622の捩じ込み深さを調整することにより、例えば駆動位置を高い位置に変更しても、待機位置の高さを低い位置に維持することが可能である。このように構成することにより、駆動位置の変更による作業性の悪化を防止することが可能となる。また、図1及び図2に示されるように、動釣合い試験機1は、被試験体Wの着脱をより容易にするために、被試験体Wのジャーナルを下部から突上げて被試験体WのZ軸方向位置を上昇させる突上ユニット150も備えている。
【0126】
なお、ガイドユニット400、変更ユニット500及び移動ユニット600の位置関係は、上述の実施形態のような位置関係でなくとも、移動ユニット600による駆動ユニット300の昇降動作が、駆動位置と待機位置との間で行われる構成であれば、本実施形態のものに限定されない。例えば、変更ユニット500と移動ユニット600の位置を入れ替えた構成としても良い。また、変更ユニット500(移動ユニット600)が駆動ユニット300のZ軸方向位置を変更(移動)可能に直接支持し、移動ユニット600(変更ユニット500)がガイドユニット400を介して変更ユニット500(移動ユニット600)及び駆動ユニット300のZ軸方向位置を移動(変更)する構成としても良い。更に、ガイドユニット400を設けずに、駆動ユニット300を最上段にして駆動ユニット300、変更ユニット500及び移動ユニット600を重ねた構成としても良い。
【0127】
以上が本発明の実施形態の一例の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示された実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0128】
上記の実施形態では、軸受ユニット220がベース210の下端に固定され、被試験体Wが軸受ユニット220の上面側で支持されているが、被試験体Wの重心の、横ばね120を振動ユニット200に取り付ける位置により規定される平面への投影が、縦ばね110を振動ユニット200に取り付ける位置の近傍に位置するよう構成されていれば、軸受ユニット220をベース210の上側に固定し、被試験体Wを軸受ユニット220の下面側に吊下げる構成としても良い。
【0129】
上記の実施形態では、被試験体である被試験体Wの回転軸が鉛直になるよう振動ユニット200に支持されているが、上記の実施形態における座標軸を、X軸を中心に回転させた、被試験体Wの回転軸を傾けた構成としても良い。
【0130】
上記の実施形態では、被試験体としてジャーナルを有する回転体を想定しているが、ラジアル軸受部材222を、中空部222Eではなく、スラスト軸受部材223の開口223Aを通って上方に突出する略円柱状の突出部を有する形状とし、当該突出部の外周面をラジアル空気軸受を形成する面とすることにより、回転軸が略円柱状の空洞となっている回転体に対応した動釣合い試験機とすることも可能である。
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