特許第6763600号(P6763600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763600
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】ボトム衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/00 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   A41C1/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-144799(P2016-144799)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2018-12903(P2018-12903A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】594159010
【氏名又は名称】株式会社チャイルド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 宏
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−247103(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0169004(US,A1)
【文献】 特開2002−212814(JP,A)
【文献】 特開2000−328305(JP,A)
【文献】 特開2007−182671(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0122611(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0059741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹部を覆う腹覆い部、及び臀部を覆う臀覆い部を有するボトム本体と、
該ボトム本体の下方側に連続して設けられて、着用者の両脚部それぞれを覆う脚覆い部と、を備えるボトム衣類であって、
基準領域と、該基準領域よりも締付け力が大きい締付け領域と、該基準領域よりも締付け力が小さいメッシュ領域と、を有し、
前記メッシュ領域は、前記締付け領域に囲まれ
前記脚覆い部が、脚前側構成部と、脚後側構成部と、を有して環状に設けられ、これらの境界位置に、脇線部及び脚中心側部を有し、
前記脚覆い部において、前記締付け領域は、前記メッシュ領域を囲みつつ、前記脚後側構成部の上縁から下縁まで延在する後側基部と、該後側基部から延出される第1幹部、第2幹部及び第3幹部と、を有し、
前記後側基部は、前記メッシュ領域から上方及び下方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在し、
前記第1幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より上方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し、前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚前側構成部の上縁まで延在し、
前記第2幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より下方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在しつつ当該脚中心側部の手前で前記脇線部に向かうようにカーブして、前記脚前側構成部の上縁まで延在し、
前記第3幹部は、前記後側基部を挟んで、該後側基部と前記第2幹部との接続位置に対向する位置から、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚中心側部まで延在していることを特徴とするボトム衣類。
【請求項2】
前記メッシュ領域は、着用者の膝裏よりも上方かつ脇線側に位置するように、前記脚覆い部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボトム衣類。
【請求項3】
前記メッシュ領域は、着用者の臍を挟んで左右の両側に位置するように、前記腹覆い部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のボトム衣類。
【請求項4】
前記腹覆い部と前記臀覆い部との境界位置に、一対の脇線部を有し、
前記ボトム本体において、前記締付け領域は、左右一対の前記メッシュ領域それぞれを囲む前側囲み部と、該前側囲み部から延出される左右一対の、第1延在部、第2延在部、第3延在部及び第4延在部と、を有し、
前記第1延在部は、上方に向かうにしたがって前記腹覆い部の前中心部に近づくように当該腹覆い部の上縁まで延在し、
前記第2延在部は、下方に向かうにしたがって前記前中心部に近づくように前記腹覆い部の下縁まで延在し、
前記第3延在部は、上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し、前記臀覆い部に連続されて、当該臀覆い部において、着用者の臀部の上縁に沿いつつ前記臀覆い部の後中心部で左右が連続されるように設けられ、
前記第4延在部は、下方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し前記臀覆い部に連続されて、当該臀覆い部において、着用者の臀部の下縁に沿うように、下方に向かうにしたがって前記臀覆い部の後中心部に近づくように延在して設けられていることを特徴とする請求項に記載のボトム衣類。
【請求項5】
前記第3延在部に延出される一対の第5延在部を有し、
前記第5延在部は、前記後中心部と前記脇線部との中間位置よりも当該脇線部寄りの位置から、上方に向かうにしたがって前記後中心部に近づくように前記臀覆い部の上縁まで延在していることを特徴とする請求項に記載のボトム衣類。
【請求項6】
前記基準領域、前記締付け領域、及び前記メッシュ領域は、それぞれを構成する編地のデニール数が異なるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載のボトム衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトム衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サポートライン部で覆われた部分に、他の部分よりも大きな着圧を作用させるように構成されたガードルが開示されている。サポートライン部が形成されていることにより、窮屈感を軽減しつつ、太ももを細く見せるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−189923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のガードルにあっては、サポートライン部及びサポートライン部以外の部分は、全体的に体型を補正する程度のサポート力を有しているから、着用者は依然として窮屈であり、疲労を感じさせてしまう。
【0005】
本発明は、着用者の疲労の低減を図ったボトム衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボトム衣類は、着用者の腹部を覆う腹覆い部、及び臀部を覆う臀覆い部を有するボトム本体と、該ボトム本体の下方側に連続して設けられて、着用者の両脚部それぞれを覆う脚覆い部と、を備えるボトム衣類であって、基準領域と、該基準領域よりも締付け力が大きい締付け領域と、該基準領域よりも締付け力が小さいメッシュ領域と、を有し、前記メッシュ領域は、前記締付け領域に囲まれ、前記脚覆い部が、脚前側構成部と、脚後側構成部と、を有して環状に設けられ、これらの境界位置に、脇線部及び脚中心側部を有し、前記脚覆い部において、前記締付け領域は、前記メッシュ領域を囲みつつ、前記脚後側構成部の上縁から下縁まで延在する後側基部と、該後側基部から延出される第1幹部、第2幹部及び第3幹部と、を有し、前記後側基部は、前記メッシュ領域から上方及び下方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在し、 前記第1幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より上方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し、前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚前側構成部の上縁まで延在し、前記第2幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より下方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在しつつ当該脚中心側部の手前で前記脇線部に向かうようにカーブして、前記脚前側構成部の上縁まで延在し、前記第3幹部は、前記後側基部を挟んで、該後側基部と前記第2幹部との接続位置に対向する位置から、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚中心側部まで延在していることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、メッシュ領域が、締付け領域に囲まれた位置にある。これによれば、締付け領域及びメッシュ領域は、締付け力の大小の差が大きいから、ボトム衣類において、メッシュ領域により、筋肉を締付け過ぎることが抑制される。即ち、締付け力が弱い部分を、締付け力が強い部分が囲むように形成されることで、マッサージ効果により、着用者の筋肉疲労の低減を図ることができる。また、運動後に着用することで、筋肉疲労の回復を早めることができる。
【0008】
本発明のボトム衣類を着用することで、筋膜のねじれ・ゆがみがリリースされる、即ち、筋膜が解きほぐされる。これにより、筋膜制限を元に戻し、筋と筋の間、もしくは筋と他の構成物の間の可動性や伸張性が改善され、正常に機能できるように案内される。これにより、着用者の筋肉疲労の低減を図ることができる。
【0009】
また、締付け力が小さい部位が、メッシュ領域により構成されていることで、例えば、メッシュ領域がなく、メッシュ領域に相当する部分として孔部が構成されていた場合に比して、筋肉の孔部の縁による圧迫が低減される。
【0010】
この際、本発明のボトム衣類では、前記メッシュ領域は、着用者の膝裏よりも上方かつ脇線側に位置するように、前記脚覆い部に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のボトム衣類では、前記脚覆い部が、脚前側構成部と、脚後側構成部と、を有して環状に設けられ、これらの境界位置に、脇線部及び脚中心側部を有し、前記脚覆い部において、前記締付け領域は、前記メッシュ領域を囲みつつ、前記脚後側構成部の上縁から下縁まで延在する後側基部と、該後側基部から延出される第1幹部、第2幹部及び第3幹部と、を有し、前記後側基部は、前記メッシュ領域から上方及び下方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在し、前記第1幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より上方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し、前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚前側構成部の上縁まで延在し、前記第2幹部は、前記脚後側構成部において、前記メッシュ領域より下方の位置から上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し前記脚前側構成部に連続され、当該脚前側構成部において、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように延在しつつ当該脚中心側部の手前で前記脇線部に向かうようにカーブして、前記脚前側構成部の上縁まで延在し、前記第3幹部は、前記後側基部を挟んで、該後側基部と前記第2幹部との接続位置に対向する位置から、上方に向かうにしたがって前記脚中心側部に近づくように当該脚中心側部まで延在していることが好ましい。
【0012】
また、本発明のボトム衣類では、前記メッシュ領域は、着用者の臍を挟んで左右の両側に位置するように、前記腹覆い部に設けられていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のボトム衣類では、前記腹覆い部と前記臀覆い部との境界位置に、一対の脇線部を有し、前記ボトム本体において、前記締付け領域は、左右一対の前記メッシュ領域それぞれを囲む前側囲み部と、該前側囲み部から延出される左右一対の、第1延在部、第2延在部、第3延在部及び第4延在部と、を有し、前記第1延在部は、上方に向かうにしたがって前記腹覆い部の前中心部に近づくように当該腹覆い部の上縁まで延在し、前記第2延在部は、下方に向かうにしたがって前記前中心部に近づくように前記腹覆い部の下縁まで延在し、前記第3延在部は、上方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し、前記臀覆い部に連続されて、当該臀覆い部において、着用者の臀部の上縁に沿いつつ前記臀覆い部の後中心部で左右が連続されるように設けられ、前記第4延在部は、下方に向かうにしたがって前記脇線部に近づくように当該脇線部まで延在し前記臀覆い部に連続されて、当該臀覆い部において、着用者の臀部の下縁に沿うように、下方に向かうにしたがって前記臀覆い部の後中心部に近づくように延在して設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明のボトム衣類では、前記第3延在部に延出される一対の第5延在部を有し、前記第5延在部は、前記後中心部と前記脇線部との中間位置よりも当該脇線部寄りの位置から、上方に向かうにしたがって前記後中心部に近づくように前記臀覆い部の上縁まで延在していることが好ましい。
【0015】
また、本発明のボトム衣類では、前記基準領域、前記締付け領域、及び前記メッシュ領域は、それぞれを構成する編地のデニール数が異なるように形成されていることが好ましい。ボトム衣類は、基準領域、締付け領域、及びメッシュ領域が、デニール数が異なる編地から構成されていることで、例えば、締付け力が大きい部位に伸縮力が異なる生地を二重にすることで構成することなく製造することができるから、製造コストの低減を図りつつ、マッサージ効果により、より一層、着用者の筋肉疲労の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のボトム衣類によれば、着用者の疲労の低減を図ることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態にかかるボトム衣類を示す平面図であり、(A)は、正面側から見た図であり、(B)は、背面側から見た図である。
図2図1に示されたボトム衣類が縫製される前の展開状態の各パーツを示す平面図である。
図3図1に示されたボトム衣類を着用した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的一態様である実施形態に係るスパッツ(ボトム衣類)を図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかるスパッツ1(ボトム衣類)を示す平面図であり、(A)は、正面側から見た図であり、(B)は、背面側から見た図である。なお、本実施形態では、スパッツ1を着用した状態(以下、着用状態と記す)で、正面側を「前側」と記し、背面側を「後ろ側」と記し、着用者の起立方向を「上下方向」と記し、上下方向と前後方向に直交する方向を「左右方向」と記す場合がある。また、図1に示すように、スパッツ1において、前側の左右の中心を「前中心部5a」と記し、この前中心と前後に対向する位置にあるとともに、後ろ側の左右の中心を「後中心部6a」と記し、着用状態において、着用者の脇線に重なる部分を「脇線部1a1、1a2」(図1(A)、図2に示す)と記す場合がある。また、スパッツ1は、その前中心部5aが、着用者の臍と対向する位置にあるように着用されている。
【0019】
なお、本実施形態におけるスパッツ1とは、下着またはボトムスの一種である。また、本明細書で用いられる「スパッツ」との語は、伸縮性のある素材でできた、腰から脚までフィットするズボンまたは、タイツ状の衣類を総称する語である。また、本実施形態におけるスパッツ1は、足首まで覆う10分丈の構成である。
【0020】
スパッツ1は、図1図2に示すように、ボトム本体2と、該ボトム本体2の下方に連続されるとともに、着用者の両脚部それぞれを覆う一対の脚覆い部3、3と、を有して構成されている。このスパッツ1は、所定形状を有する(後述する)各パーツが、縫い合わされることで構成されている。各パーツとは、図2に示すように、ボトム本体2を構成する環状部本体7及び二股形成部4、並びに一対の脚覆い部3、3のことである。各パーツは、伸縮性を有する編地が、所定の形状に切断されて構成される。これらの各パーツは、それぞれ、デニール数が異なるように編まれた基準領域11、基準領域11よりも締付け力が大きい締付け領域9、及び基準領域11よりも締付け力が小さいメッシュ領域8を備えて、一重仕立てに構成されている。なお、図1において、二股形成部4を示す符号は、図1(A)のみに記載するものとする。図2は、図1に示されたボトム衣類が縫製される前の展開状態の各パーツを示す平面図である。
【0021】
スパッツ1において、図2に示すように、締付け領域9及びメッシュ領域8以外の部分は、基準領域11から構成されている。締付け領域9は、ボトム本体2に設けられた上方側締付け領域9Aと、脚覆い部3に設けられた下方側締付け領域9Bと、を有して構成され、メッシュ領域8は、ボトム本体2に設けられた上方側メッシュ領域8Aと、脚覆い部3に設けられた下方側メッシュ領域8Bと、を有して構成され、基準領域11は、ボトム本体2に設けられた上方側基準領域11Aと、脚覆い部3に設けられた下方側基準領域11Bと、を有して構成されている。なお、図1において、上方側基準領域11A、下方側基準領域11Bを示す符号は、図1(A)のみに記載するものとする。
【0022】
また、本実施形態のスパッツ1は、メッシュ領域8が、略500デニールの編地から構成され、締付け領域9が、略580デニールの編地から構成され、基準領域11が、 540デニールの編地から構成されている。
【0023】
また、本実施形態では、メッシュ領域8が、略500デニールの編地から構成されているが、本発明はこれに限定されない。メッシュ領域が、略525デニールであることが好ましく、略512デニールであることがさらに好ましく、略500デニールであることが好ましい。また、メッシュ領域が、略475デニールであることが好ましく、略488デニールであることがさらに好ましい。
【0024】
また、本実施形態では、締付け領域9が、略580デニールの編地から構成されているが、本発明はこれに限定されない。締付け領域が、略609デニールであることが好ましく、略594デニールであることがさらに好ましく、略580デニールであることが好ましい。また、締付け領域が、略551デニールであることが好ましく、略565デニールであることがさらに好ましい。
【0025】
また、本実施形態では、基準領域11が、略540デニールの編地から構成されているが、本発明はこれに限定されない。基準領域が、略567デニールであることが好ましく、略553デニールであることがさらに好ましく、略540デニールであることが好ましい。また、基順領域が、略513デニールであることが好ましく、略527デニールであることがさらに好ましい。
【0026】
ボトム本体2は、図2に示す展開状態において、着用者の腹部を覆う腹覆い部5、及び臀部を覆う臀覆い部6を有する環状部本体7と、環状部本体7の下縁において、腹覆い部5の前中心部5a(図1(A)、図2(A)において、一点鎖線で示す)から、臀覆い部6の後中心部6aまで架け渡される二股形成部4と、を備えている。二股形成部4は、着用者の左右の脚部を挿通させるように二股となるように形成されている。
【0027】
環状部本体7は、図2に示すように、前中心部5aを軸とする線対称となるように形成されている。また、環状部本体7は、腹覆い部5と、腹覆い部5の左右の両側に本体脇線部1a1(脇線部)を介して連続される臀覆い部形成部61、62(臀覆い部6)とを備えて構成されている。
【0028】
腹覆い部5は、図2に示すように、直線状の前中心部5aと、着用者のウエスト部分に位置する直線状の上縁5bと、上縁5bの左右の両端に連続される一対の本体脇線部1a1、1a1と、本体脇線部1a1の各下端から、前中心部5aまで、滑らかに連続する曲線から形成された腹覆い部5の下縁51d、52dと、を有して構成されている。
【0029】
臀覆い部形成部61、62は、図2に示すように、環状部本体7の両端に位置する一対の後中心形成部6a´、6a´(後中心部6a)と、腹覆い部5の上縁5bに連続される上縁61b、62bと、一対の後中心形成部6a´、6a´それぞれの下側の角の一部を略三角形状に切り欠いた一対の斜辺部6c、6cと、各斜辺部6c、6cの各下端から、腹覆い部5の下縁51d、52dまで滑らかに連続する曲線から形成された下縁61d、62dと、を有して構成されている。
【0030】
また、環状部本体7において、下縁51d(52d)、61d(62d)は、後中心部6a側の端部より、前中心部5a側の端部が上方に位置するように設けられている。このような環状部本体7は、一対の後中心形成部6a´、6a´を互いに近付け、本体脇線部1a1、1a1で折り返し、これら後中心形成部6a´、6a´同士を互いに縫い合わされることで構成されている。
【0031】
さらに、環状部本体7には、上方側メッシュ領域8A、上方側締付け領域9A及び上方側基準領域11Aが、前中心部5aを軸とする線対称となるように形成されている。
【0032】
上方側メッシュ領域8Aは、図3に示すように、着用状態において、着用者の臍を挟んで左右の両側に位置するように設けられている。また、図2に示すように、上方側メッシュ領域8Aは、平面視が円形状に設けられているとともに、腹覆い部5の上下の略中心部において、前中心部5aと本体脇線部1a1、1a1との中間位置よりも前中心部5a側に設けられている。即ち、上方側メッシュ領域8Aは、前中心部5aと本体脇線部1a1、1a1との間において、本体脇線部1a1、1a1から前中心部5a側に略3分の2程度ずれた位置に設けられている。
【0033】
上方側締付け領域9Aは、図2に示すように、上方側メッシュ領域8Aの周囲を囲む前側囲み部91Aと、前側囲み部91Aから延出される第1延在部92A、第2延在部93A、第3延在部94A、第4延在部95A、及び第5延在部96Aと、を有している。
【0034】
第1延在部92Aは、前側囲み部91Aから上方に向かうにしたがって前中心部5aに近づくように延在して、腹覆い部5の上縁5bまで連続されている。第1延在部92Aは、前側囲み部91Aを囲む程度の幅寸法を有し、上方に向かうにしたがってその幅寸法が徐々に小さくなるように形成されている。
【0035】
第2延在部93Aは、前側囲み部91Aから下方に向かうにしたがって前中心部5aに近づくように延在して、腹覆い部5の下縁51d、52dまで連続されている。第2延在部93Aは、前側囲み部91Aを囲む程度の幅寸法を有し、腹覆い部5の下縁51d、52dに到るまで、幅寸法は略一定に形成されている。
【0036】
第3延在部94Aは、前側囲み部91Aから上方に向かうにしたがって本体脇線部1a1、1a1に近づくように延在して、当該本体脇線部1a1、1a1まで連続されている。さらに、第3延在部94Aは、本体脇線部1a1、1a1の上端と下端との間において上端から3分の1程度下方の位置を越えて、臀覆い部6において、着用者の臀部の上縁に沿うように、臀覆い部6の上縁61b、62bと平行になるように設けられている。即ち、第3延在部94Aは、腹覆い部5に位置する前側第3延在部94A1と、臀覆い部6に位置する後側第3延在部94A2と、を有して構成されている。第3延在部94Aは、前側囲み部91Aから、臀覆い部6の後述する第5延在部96Aに到るまで、幅寸法が略一定に形成され、第5延在部96Aよりも後中心部6a側の部分は、第3延在部94Aの他の部分に比して、幅寸法が大きくなるように形成されている。
【0037】
第4延在部95Aは、前側囲み部91Aから下方に向かうにしたがって本体脇線部1a1、1a1に近づくように延在して、当該本体脇線部1a1、1a1まで連続されている。さらに、第4延在部95Aは、本体脇線部1a1、1a1の上端と下端との間において上端から3分の2程度下方の位置を越えて、臀覆い部6において、着用者の臀部の下縁に沿うように、下方に向かうに従って後中心部6aに近づくように延在して設けられている。即ち、第4延在部95Aは、腹覆い部5に位置する前側第4延在部95A1と、臀覆い部6に位置する後側第4延在部95A2と、を有して構成されている。第4延在部95Aは、一端から他端まで、幅寸法が略一定となるように設けられている。
【0038】
第5延在部96Aは、第3延在部94Aから上方に向かうにしたがって、後中心部6a´に近づくように延在(延出)して、臀覆い部6の上縁61b、62bまで連続して設けられている。また、第5延在部96Aは、第3延在部94A側の一端が、第3延在部94Aの本体脇線部1a1、1a1と後中心部6aとの間において、本体脇線部1a1、1a1から3分の1程度後中心部6a側の位置に接続され、臀覆い部6の上縁61b、62b側の他端が、当該臀覆い部6の上縁61b、62bにおいて、本体脇線部1a1、1a1と後中心部6aとの略中間位置に接続されている。また、第5延在部96Aは、一端から他端まで、幅寸法が略一定となるように設けられている。
【0039】
二股形成部4は、図2に示すように、左右方向の中心線Pを軸とする線対称となるような略四角形状に形成されている。この二股形成部4は、所定の幅を有して、前後方向に延在するとともに、前方に向かうにしたがって徐々に幅広と成るように形成されている。また、二股形成部4は、前辺部4aと、後辺部4bと、これら前辺部4a及び後辺部4bに連続される一対の側辺部4c、4cと、を有して形成されている。前辺部4aは、山型形状となるように形成され、その頂部4dが、前辺部4aの左右の中心線P上に位置するように設けられている。このような二股形成部4は、前辺部4aの頂部4dが、腹覆い部5の前中心部5aに近付けられ、頂部4dを挟んで左右の両側に位置する斜辺部4e、4eが、腹覆い部5の下縁51d、52dの前中心部5a側の一部に近付けられて縫い合わされている。後辺部4bは、左右の中心線P上の位置が、臀覆い部6の後中心部6aに近付けられ、後辺部4bの左右の中心線Pを挟む両側部分が、臀覆い部6の下縁61d、62dの後中心部6a側の一部に近付けられて縫い合わされている。また、各側辺部4c、4cは、脚覆い部3における脚前側構成部31の上縁31aにおける中心側部分31a2に縫い合わされている。
【0040】
各脚覆い部3は、図2に示すように、脚前側構成部31と、脚後側構成部32と、を有している。脚前側構成部31及び脚後側構成部32は、脚側脇線部1a2(脇線部)で折り返されて、脚前側構成部31及び脚後側構成部32における脚側脇線部1a2から離れた端部(脚中心側部3a´、3a´)同士が縫い合わされて環状に設けられている。
【0041】
脚前側構成部31の上縁31aは、脇線側部分31a1と、脇線側部分31a1より前中心部5a側に連続される中心側部分31a2と、を有して構成されている。脇線側部分31a1と中心側部分31a2とは、山型形状となるように形成され、脇線部側部分31a1と中心側部分31a2との境界に頂部31bが位置するように設けられている。
【0042】
このような脚前側構成部31は、脇線側部分31a1が、腹覆い部5の下縁51d、52dの一部に縫い合わされ、中心側部分31a2が、二股形成部4の側辺部4c、4cに縫い合わされている。各脚後側構成部32の上縁32aは、臀覆い部6の下縁61d、62dに縫い合わされている。
【0043】
さらに、脚覆い部3には、下方側メッシュ領域8B、下方側締付け領域9B及び下方側基準領域11Bが形成されている。
【0044】
下方側メッシュ領域8Bは、図3に示すように、着用状態において、膝裏よりも上方かつ、膝裏よりも脚側脇線部1a2側に位置するように設けられている。下方側メッシュ領域8Bは、図2に示すように、脚覆い部3の脚側脇線部1a2における上下の中間位置より僅かに上方側かつ、脚後側構成部32の脚側脇線部1a2と脚中心側部3aとの中間よりも脚側脇線部1a2側にずれた位置に設けられている。
【0045】
下方側締付け領域9Bは、図2に示すように、下方側メッシュ領域8Bを囲みつつ、脚後側構成部32の上縁32aから下縁32bまで延在する後側基部91Bと、後側基部91Bから延出される第1幹部92B、第2幹部93B、及び第3幹部94Bを有している。
【0046】
後側基部91Bは、脚後側構成部32の下縁32bから下方側メッシュ領域8Bを超える位置まで直線状に延在する下方側延在部91B1と、下方側延在部91B1の上方に連続されて、脚後側構成部32の上縁32aまで直線状に延在する上方側延在部91B2と、を有して構成されている。下方側延在部91B1は、脚後側構成部32の脚中心側部3a側の下側の角部から脇側脇線部1a2側に向かうように延在して設けられ、上方側延在部91B2は、下方側延在部91B1の上端から、各臀覆い部6、6の下縁61d、62dの左右の中間部に到るように延在している。即ち、後側基部91Bは、下方側メッシュ領域8Bを囲む部分から上方に向かうにしたがって脚中心側部3aに近づくように延在されるとともに、下方側メッシュ領域8Bを囲む部分から下方に向かうにしたがって脚中心側部3aに近づくように延在している。
【0047】
第1幹部92Bは、後側基部91Bにおいて、下方側メッシュ領域8Bより上方の位置から、上方に向かうにしたがって脇側脇線部1a2に近づくように延在して脇側脇線部1a2まで連続され、脚前側構成部31において、上方に向かうにしたがって脚中心側部3aに近づくように延在して脚前側構成部31における上縁31aの中心側部分31a2まで連続されている。この第1幹部92Bは、一端から他端まで、幅寸法が略一定となるように形成されているとともに、中心側部分31a2の頂部31b側の端部に位置するように延在して設けられている。即ち、第1幹部92Bは、脚前側構成部31に位置する前側第1幹部92B1と、脚後側構成部32に位置する後側第1幹部92B2と、を有して構成されている。
【0048】
第2幹部93Bは、脚後側構成部32において、後側基部91Bの下方側延在部91B1の上下方向の中間位置から、上方に向かうにしたがって脇側脇線部1a2に近づくように延在して、脇側脇線部1a2まで連続され、脚前側構成部31において、上方に向かうにしたがって脚中心側部3aに近づくように延在し、脚中心側部3aの手前側で脇側脇線部1a2に向かうようにカーブして、脚前側構成部31における上縁31aの脇線側部分31a1に位置するように設けられている。即ち、第2幹部93Bは、脚前側構成部31に位置する前側第2幹部93B1と、脚後側構成部32に位置する後側第2幹部93B2と、を有して構成されている。
【0049】
第3幹部94Bは、後側基部91Bを挟んで、第2幹部93Bの接続位置と対向する位置から、上方に向かうにしたがって脚中心側部3aに近づくように延在して当該脚中心側部3aまで連続して設けられている。第3幹部94Bは、その全長の幅寸法が略一定となるように形成されている。
【0050】
このようなスパッツ1において、前側囲み部91A及び、第1延在部92A〜第5延在部96A、並びに、後側基部91B及び、第1幹部92B〜第3幹部94Bが形成されていることにより、筋膜ラインに沿って、筋膜のよじれ、ねじれが解消され、筋出力と筋肉の柔軟性が改善される。
【0051】
また、スパッツ1(ボトム衣類)は、メッシュ領域8が、締付け領域9に囲まれた位置にある。これによれば、メッシュ領域8及び締付け領域9は、締付け力の大小の差が大きいから、スパッツ1において、メッシュ領域8が形成されていることにより、過度な締付けが抑制されるとともに、締付け力が弱いメッシュ領域8を、締付け力が強い締付け領域9が囲むように形成されることで、筋肉がほぐされ、マッサージ効果により、着用者の疲労の低減を図ることができる。
【0052】
ここでいう「マッサージ効果」とは、筋膜(骨や内臓、血管、神経など、体の中のすべてのパーツを包み、支え、1つにまとめて、からだを形作っているのが筋膜組織)のねじれ・ゆがみがリリースされることである。即ち、筋膜が解きほぐされることである。これにより、筋膜制限を元に戻し、筋と筋の間、もしくは筋と他の構成物の間の可動性や伸張性が改善され、筋膜が正常に機能できるように案内される。
【0053】
また、締付け力が小さい部位が、メッシュ領域8により構成されていることで、例えば、メッシュ領域8がなく、メッシュ領域8に相当する部分として孔部が構成されていた場合に比して、当該孔部の縁による過度な圧迫が低減される。従って、適宜な場所に、適宜な締付け力を作用させることができる。
【0054】
また、スパッツ1(ボトム衣類)は、基準領域11、締付け領域9、及びメッシュ領域8は、それぞれを構成する編地のデニール数が異なるように形成されている。ボトム衣類は、基準領域11、締付け領域9、及びメッシュ領域8が、デニール数が異なる編地から構成されていることで、例えば、締付け力が大きい部位に伸縮力が異なる生地を二重にすることで構成することなく製造することができるから、製造コストの低減を図りつつ、マッサージ効果により、より一層、着用者の筋肉疲労の低減を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、ボトム衣類は、ボトム本体2と一対の脚覆い部3、3と、を有して構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。ボトム衣類は、一対の脚覆い部3、3のみから構成されていてもよく、ボトム本体2のみから構成されていてもよい。また、本実施形態において、ボトム衣類としてのスパッツ1は、足首まで覆う10分丈の構成であるが、1分丈、2分丈であってもよく、それ以上であってもよい。即ち、スパッツ1は、適宜な長さとなるように形成されていればよく、その場合には、下方側メッシュ領域8B、及び締付け領域9もスパッツ1の丈に合わせて形成されて省略してもよい。
【0056】
前述した各実施形態は本発明の好ましい形態を示したに過ぎず、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々改変して実施することができる。かかる改変によってもなお本発明のボトム衣類の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 スパッツ(ボトム衣類)
1a1、1a2 脇線部
2 ボトム本体
3 脚覆い部
3a 脚中心側部
5 腹覆い部
5a 前中心部
6 臀覆い部
6a 後中心部
61b、62b 臀覆い部の上縁
8 メッシュ領域
8A 上方側メッシュ領域
8B 下方側メッシュ領域
9 締付け領域
9A 上方側締付け領域
9B 下方側締付け領域
11 基準領域
11A 上方側基準領域
11B 下方側基準領域
31 脚前側構成部
31a 脚前側構成部の上縁
32 脚後側構成部
91A 前側囲み部
92A 第1延在部
93A 第2延在部
94A 第3延在部
95A 第4延在部
96A 第5延在部
91B 後側基部
92B 第1幹部
93B 第2幹部
94B 第3幹部
図1
図2
図3