特許第6763609号(P6763609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュプロ精工株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000002
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000003
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000004
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000005
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000006
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000007
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000008
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000009
  • 特許6763609-抄紙装置および製紙機 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763609
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】抄紙装置および製紙機
(51)【国際特許分類】
   D21F 1/32 20060101AFI20200917BHJP
   D21F 7/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   D21F1/32
   D21F7/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-14675(P2017-14675)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-123441(P2018-123441A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東本 佳久
(72)【発明者】
【氏名】越 康真
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−140730(JP,A)
【文献】 特開平11−293580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21F 1/32
D21F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙ワイヤーでパルプ懸濁液を濾過脱水して湿紙を抄紙する抄紙部と、抄紙部で濾過または脱水により生じた濾水が流入する白水貯溜部と、濾水が抄紙ワイヤーから白水貯溜部へ落下する経路の途中に設けた湿紙分散部を備え、
抄紙ワイヤーは、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路と復帰経路とにわたって走行し、湿紙形成移送経路において抄紙ワイヤー上に形成した湿紙を湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移させ、
湿紙分散部は、湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移することなく復帰経路に至る湿紙であって、復帰経路で抄紙ワイヤーの湿紙形成面から落下する湿紙を受け止め、抄紙ワイヤーから落下する濾水で湿紙を打ち解して分散させることを特徴とする抄紙装置。
【請求項2】
復帰経路を走行する抄紙ワイヤーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出する洗浄手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の抄紙装置。
【請求項3】
抄紙ワイヤーでパルプ懸濁液を濾過脱水して湿紙を抄紙する抄紙部と、抄紙部で濾過または脱水により生じた濾水が流入する白水貯溜部と、抄紙ワイヤーの下方位置に設けた湿紙分散部と、洗浄液を放出する洗浄手段を備え、
抄紙ワイヤーは、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路と復帰経路とにわたって走行し、湿紙形成移送経路において抄紙ワイヤー上に形成した湿紙を湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移させ、
洗浄手段は、復帰経路を走行する抄紙ワイヤーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出し、
湿紙分散部は、湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移することなく復帰経路に至る湿紙であって、復帰経路で抄紙ワイヤーの湿紙形成面から落下する湿紙を受け止め、洗浄手段から放出する洗浄液で湿紙を打ち解して分散させることを特徴とする抄紙装置。
【請求項4】
湿紙分散部に向けて補助液を散水する補助液供給部を備えることを特徴とする請求項2また3に記載の抄紙装置。
【請求項5】
湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は分散した湿紙が白水貯溜部に向けて通過する複数の開孔を有する有孔部材からなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の抄紙装置。
【請求項6】
湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は白水貯溜部に向けて下り勾配で傾斜する傾斜部材からなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の抄紙装置。
【請求項7】
湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は上部が開放された箱状部材の底壁をなし、箱状部材の一方の側壁が白水貯溜部への溢流堰をなすことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の抄紙装置。
【請求項8】
湿紙分散部は、白水貯溜部内に配置する上部が開放された箱状部材からなり、箱状部材の底壁が抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板をなし、分散板が分散した湿紙が通過する複数の開孔を有する有孔部材からなり、白水貯溜部内の液面の上昇時に分散板の開孔から白水貯溜部の白水が湿紙分散部内に侵入することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の抄紙装置。
【請求項9】
湿紙分散部は、装置本体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の抄紙装置。
【請求項10】
紙原料から紙を製造する複数の工程を有する製紙機において、紙料のパルプ懸濁液から繊維を抄く抄紙工程が請求項1から9の何れか1項に記載の抄紙装置からなることを特徴とする製紙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抄紙部および製紙機に関し、例えば古紙を再生する古紙再生処理装置の抄紙装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術には、例えば、特許文献1に記載するものがある。これは、無端状の抄紙ワイヤーが回動し、パルプ懸濁液を抄紙ワイヤーで濾過脱水して抄紙する抄紙部である。また、抄紙ワイヤーを洗浄する洗浄手段を備えており、洗浄手段は、脱水経路において抄紙ワイヤーを通過した濾液を、戻り経路の抄紙ワイヤー上に放出して、抄紙ワイヤーを洗浄するものである。
【0003】
そして、抄紙ワイヤーの表面に残留した繊維を除去ローラに転移させて除去し、除去ローラの外周面に転移された繊維はスクレーパーによって除去ローラから掻き取り、剥離させた繊維を繊維受け部で受け止めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−140730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載するものは、湿紙が抄紙ワイヤーから後段のプレス部に正常に転移される場合を想定しており、抄紙ワイヤー上には少量の湿紙が残留することを前提とし、この少量の湿紙を繊維受け部で受け止めるものである。
【0006】
この特許文献1に記載するものでは、抄紙ワイヤーから後段のプレス部へ湿紙を転移する際に転移ミスが発生する場合を想定していない。このため、湿紙の転移ミスが発生すると、抄紙ワイヤーから剥離した大量の湿紙を繊維受け部で受け止めることになる。
【0007】
この場合には、繊維受け部が直ちに満杯となり、繊維受け部から溢れた湿紙が大きな断片のままで白水タンクに落下する。白水タンクに設けた撹拌手段は、白水タンク内の繊維を撹拌することはできても、湿紙が白水タンクに滞留する時間内に湿紙を速やかに繊維にまで分散させることはできず、繊維が大きな塊状で白水タンクから流れ出る。このため、白水系統のポンプが詰まる原因や、白水タンクが汚れる原因となる。そして、湿紙の転移ミスが発生した場合には繊維受け部の湿紙を取出すメンテナンスが必須となる。
【0008】
本発明は上記した課題を解決するものであり、抄紙ワイヤーから次工程経路への転移ミスにより復帰経路上で抄紙ワイヤーから落下する湿紙を解して白水タンクに導く抄紙部および製紙機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の抄紙装置は、抄紙ワイヤーでパルプ懸濁液を濾過脱水して湿紙を抄紙する抄紙部と、抄紙部で濾過または脱水により生じた濾水が流入する白水貯溜部と、濾水が抄紙ワイヤーから白水貯溜部へ落下する経路の途中に設けた湿紙分散部を備え、抄紙ワイヤーは、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路と復帰経路とにわたって走行し、湿紙形成移送経路において抄紙ワイヤー上に形成した湿紙を湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移させ、湿紙分散部は、湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移することなく復帰経路に至る湿紙であって、復帰経路で抄紙ワイヤーの湿紙形成面から落下する湿紙を受け止め、抄紙ワイヤーから落下する濾水で湿紙を打ち解して分散させることを特徴とする。
【0010】
本発明の抄紙装置において、復帰経路を走行する抄紙ワイヤーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出する洗浄手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の抄紙装置は、抄紙ワイヤーでパルプ懸濁液を濾過脱水して湿紙を抄紙する抄紙部と、抄紙部で濾過または脱水により生じた濾水が流入する白水貯溜部と、抄紙ワイヤーの下方位置に設けた湿紙分散部と、洗浄液を放出する洗浄手段を備え、抄紙ワイヤーは、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路と復帰経路とにわたって走行し、湿紙形成移送経路において抄紙ワイヤー上に形成した湿紙を湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移させ、洗浄手段は、復帰経路を走行する抄紙ワイヤーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出し、湿紙分散部は、湿紙形成移送経路の終端側で次工程経路に転移することなく復帰経路に至る湿紙であって、復帰経路で抄紙ワイヤーの湿紙形成面から落下する湿紙を受け止め、洗浄手段から放出する洗浄液で湿紙を打ち解して分散させることを特徴とする。
【0012】
本発明の抄紙装置において、湿紙分散部に向けて補助液を散水する補助液供給部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の抄紙装置において、湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は分散した湿紙が白水貯溜部に向けて通過する複数の開孔を有する有孔部材からなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の抄紙部。
【0014】
本発明の抄紙部において、湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は白水貯溜部に向けて下り勾配で傾斜する傾斜部材からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の抄紙装置において、湿紙分散部は、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板を有し、分散板は上部が開放された箱状部材の底壁をなし、箱状部材の一方の側壁が白水貯溜部への溢流堰をなすことを特徴とする。
【0016】
本発明の抄紙装置において、湿紙分散部は、白水貯溜部内に配置する上部が開放された箱状部材からなり、箱状部材の底壁が抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板をなし、分散板が分散した湿紙が通過する複数の開孔を有する有孔部材からなり、白水貯溜部内の液面の上昇時に分散板の開孔から白水貯溜部の白水が湿紙分散部内に侵入することを特徴とする。
【0017】
本発明の抄紙装置において、湿紙分散部は、装置本体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明の製紙機は、紙原料から紙を製造する複数の工程を有する製紙機において、紙料のパルプ懸濁液から繊維を抄く抄紙工程が上記何れかの抄紙装置からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、濾水が抄紙ワイヤーから白水貯溜部へ落下する経路の途中に設けた湿紙分散部が、抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止めるとともに、抄紙ワイヤーから落下する濾水で湿紙の繊維層を打ち解して分散させるので、湿紙が小片もしくは繊維状となって白水貯溜部へ落下する。よって、湿紙が大きな断片で白水貯溜部へ落ちることに起因する白水系統の詰まりを防止できる。また、湿紙分散部に溜まる湿紙を排出するメンテナンスが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における古紙処理装置の構成を示す模式図
図2】同実施の形態における湿紙分散部の有孔部材を示す平面図
図3】他の同実施の形態における湿紙分散部の有孔部材を示す平面図
図4】他の同実施の形態における湿紙分散部の傾斜部材を示す平面図
図5】他の同実施の形態における湿紙分散部の箱状部材を示す平面図
図6】本発明の他の実施の形態における古紙処理装置の構成を示す模式図
図7】本発明の他の実施の形態における古紙処理装置の構成を示す模式図
図8】本発明の他の実施の形態における古紙処理装置の構成を示す模式図
図9】本発明の他の実施の形態における古紙処理装置の構成を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、製紙機の1種である古紙処理装置1は、帯状の湿紙100を抄紙する抄紙工程をなす抄紙装置2と、湿紙100を脱水する脱水工程をなす脱水装置3と、湿紙100を乾燥させる乾燥工程をなす乾燥装置4と、抄紙工程、脱水工程から出る濾水を貯溜する上部開放の白水貯溜部5を備えている。
【0022】
抄紙装置2は、抄紙部20と湿紙分散部6を備えている。抄紙部20は、第1群のローラ21の間に掛け渡された抄紙ワイヤー22と、パルプ懸濁液を抄紙ワイヤー22に供給するヘッドボックス23を有している。抄紙ワイヤー22は、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路22aと復帰経路22bとにわたって走行し、湿紙形成移送経路22aにおいて抄紙ワイヤー22の湿紙形成面をなす湿紙形成面上に湿紙100を抄紙し、形成した湿紙100を湿紙形成移送経路22aの終端側で次工程の脱水装置3の経路に転移させる。抄紙ワイヤー22は金属製又は、合成樹脂製であり、網目状をなして通水性、通気性を有している。
【0023】
抄紙装置2の湿紙分散部6は、濾水が抄紙ワイヤー22から白水貯溜部5へ落下する経路の途中に、装置本体に対して着脱自在に設けられている。湿紙分散部6は、復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下する湿紙100を受け止めるものであり、この湿紙100は湿紙形成移送経路22aの終端側で脱水装置3の経路に転移することなく復帰経路22bに至った湿紙100である。本実施の形態では、湿紙分散部6は、抄紙ワイヤー22から落下する湿紙100を受け止める分散板61を有している。図2に示すように、分散板61は所定孔径の開孔61aを配列した有孔部材からなる。
【0024】
また、抄紙ワイヤー22の無端軌道の内側には、洗浄手段としての洗浄ノズル23を設けており、洗浄ノズル23は復帰経路22bを走行する抄紙ワイヤ22ーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出する。さらに、抄紙ワイヤー22の無端軌道の外側で、湿紙分散部6の上方には、補助液供給部24を設けており、補助液供給部24は湿紙分散部6に向けて分散促進用の補助液を散水する。
【0025】
本実施の形態では、洗浄ノズル23と別途に補助液供給部24を設けたが、洗浄ノズル23が補助液供給部24を兼ねて必要な水量を放出することも可能である。
【0026】
脱水装置3は、第2群のローラ31の間に掛け渡された吸水性の素材からなる吸水ベルト32を有し、ここでは吸水ベルト32がフェルトからなり通気性を有している。
【0027】
吸水ベルト32および抄紙ワイヤー22は双方の無端軌道の途中において相互に当接して抄紙転移部201を形成する。
【0028】
抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に抄紙した湿紙100は、抄紙転移部201において吸水ベルト32に押圧されるとともに、抄紙ワイヤー22が第1群のローラ21の外周に沿って反転して湿紙100から離間することで、抄紙ワイヤー22から吸水ベルト32に転移し、転移した湿紙100から吸水ベルト32が吸水して湿紙100を脱水する。
【0029】
乾燥装置4は、ヒータ等の加熱装置を内蔵して加熱部をなす乾燥ローラ41と、乾燥ローラ41と第3群のローラ42の間に掛け渡した非吸水性の素材からなる搬送ベルトをなす平滑面ベルト43と、第4群のローラ44の間に掛け渡した非吸水性の素材からなる搬送保持ベルト45を有する。
【0030】
脱水装置3の吸水ベルト32と平滑面ベルト43は双方の搬送軌道の途中において相互に当接し、脱水装置3の吸水ベルト32から乾燥装置4の平滑面ベルト43に湿紙100が転移する脱水転移部202を形成する。
【0031】
脱水転移部202には、平滑面ベルト43と吸水ベルト32を挟持する一対の脱水ローラ51、52を配置している。脱水ローラ51、52は、平滑面ベルト43と吸水ベルト32を介して両ベルト間の湿紙100を圧搾して脱水するとともに、湿紙100を平滑面ベルト43に押圧し、吸水ベルト32が下側の脱水ローラ52の外周に沿って反転して湿紙100から離間することで、湿紙100が吸水ベルト32から平滑面ベルト43に円滑に転移する。
【0032】
本実施の形態において吸水ベルト32の開口率は抄紙ワイヤー22の開口率より小さく、平滑面ベルト43は薄板状をなして無通気性である。
【0033】
搬送保持ベルト45は網目状の通気性を有するもので合成樹脂からなり、平滑面ベルト43の湿紙形成面に対向して配置し、平滑面ベルト43との間に湿紙100を挟持する。
【0034】
湿紙100の搬送方向で乾燥ローラ41より下流側において平滑面ベルト43の軌道上にはスクレーパー部400を配置しており、スクレーパー部400が平滑面ベルト43から乾紙101を剥離させる。
【0035】
上記した構成における作用を説明する。抄紙部20では、ヘッドボックス23からパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー22に供給して抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に湿紙100を抄紙する。脱水装置3では、抄紙装置2で抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に抄紙した湿紙100を吸水ベルト32に転移させ、吸水ベルト32により湿紙100から吸水して湿紙100を脱水する。
【0036】
抄紙ワイヤー22は、その開口率が吸水ベルト32の開口率より大きくて通気性が吸水ベルト32の通気性に優るので、剥離性が吸水ベルト32の剥離性より大きくなり、換言すれば吸水ベルト32の密着性が抄紙ワイヤー22の密着性に優る。よって、湿紙100は剥離性が高い抄紙ワイヤー22から容易に剥離し、密着性が高い吸水ベルト32に容易に密着し、抄紙ワイヤー22から吸水ベルト32へ湿紙100が容易に転移し、高い転移性能を奏する。
【0037】
しかしながら、条件によっては、時として湿紙100が湿紙形成移送経路22aの終端側で抄紙ワイヤー22から吸水ベルト32へ転移せず、復帰経路22bに至る湿紙100がある。
【0038】
この場合には、センサー等により湿紙100が復帰経路22bに至ったことを検知すると、抄紙動作を一旦中断する。復帰経路22bに至った湿紙100は、自重によって復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下し、湿紙分散部6の分散板61が湿紙100を受け止める。
【0039】
また、ワイヤー洗浄動作を行って洗浄ノズル23から洗浄液を放出する。洗浄液は、抄紙ワイヤー22の裏面から表面に向けて透過することで、抄紙ワイヤー22に付着した繊維を洗い流すとともに、湿紙100が抄紙ワイヤー22から剥離することを促進する。洗浄液には上水を使用する。洗浄液は連続的に放出しても良いが、上水の使用量を節約するために、間欠的に放出することも可能である。
【0040】
このワイヤー洗浄動作中は、白水貯溜部5において廃水処理動作を行う。この廃水処理動作で白水貯溜部5の濾水を排出することで、ワイヤー洗浄動作によって新たに流入する水で白水貯溜部5がオーバーフローすることを防止できる。また、白水貯溜部5にパルプ繊維が溜まり過ぎることを防止できる。
【0041】
湿紙分散部6では、分散板61の上に落ちて嵩高く積み上がった湿紙100に向けて、抄紙ワイヤー22から落下する濾水、洗浄ノズル23から放出した洗浄液、さらには補助液供給部24から散水する分散促進用の補助液が落下する。
【0042】
この落下する濾水等が湿紙100の分散を促す手段となって積層した湿紙100の繊維層を打ち解して分散させる。分散した湿紙100は小片もしくは繊維状となって開孔61aから白水貯溜部5に落下する。開孔61aを通過できない大きさの断片の湿紙は分散板61の上に留まり、適度な小片に分散した後に開孔61aから白水貯溜部5に落下する。よって、開孔61aの大きさを適切に設定することで、白水貯溜部5に落下する湿紙100の断片の大きさを規定することができる。また、開孔61aは分散板61の複数個所に等間隔もしくはランダムに設けることで、積層した湿紙の均等な分散、減量を促進するのに有効となる。
【0043】
この結果、湿紙100が大きな断片で白水貯溜部5へ落ちることに起因する白水系統の詰まりを防止できる。また、湿紙分散部6に溜まる湿紙100を排出するメンテナンスが不要となる。さらに、湿紙分散部6は、装置本体に対して着脱自在に設けられているので、必要に応じて湿紙分散部6を取り外し、分散板61に残留した少量の湿紙100を取り除くことができる。通常は、分散した湿紙100が白水貯溜部5に落下するのでメンテナンスは不要である。しかし、古紙処理装置(製紙機)1を長期間使用しない場合には、カビや悪臭の発生を防止するために、清掃が必要である。このような、古紙処理装置(製紙機)1の清掃が必要な場合に、湿紙分散部6を取り外して容易に清掃することができる。
【0044】
次に、ワイヤー洗浄動作において抄紙ワイヤー22が回動し、抄紙動作の中断によって抄紙ワイヤー22に残った湿紙100を洗い終えた時点で抄紙動作を再開する。
【0045】
脱水装置3では、吸水ベルト32による吸水で湿紙100を吸収脱水した後に、脱水転移部202で脱水ローラ51、52によって圧搾脱水し、湿紙100を乾燥装置4の平滑面ベルト43に転移させる。
【0046】
この平滑面ベルト43は無通気性であり、通気性の吸水ベルト32より密着性が高く、換言すれば吸水ベルト32の剥離性が平滑面ベルト43の剥離性に優る。よって、湿紙100は剥離性が高い吸水ベルト32から容易に剥離し、密着性が高い平滑面ベルト43に容易に密着し、吸水ベルト32から平滑面ベルト43へ湿紙100が容易に転移する。
【0047】
乾燥装置4では、湿紙100が転移した平滑面ベルト43が乾燥ローラ41へ向けて進行し、平滑面ベルト43の軌道の途中から平滑面ベルト43の搬送面に対向して搬送保持ベルト45が並走し、搬送保持ベルト45と平滑面ベルト43との間に湿紙100を挟持する。搬送保持ベルト45と平滑面ベルト43との間に湿紙100を挟持する状態で搬送保持ベルト45と平滑面ベルト43と湿紙100が乾燥ローラ41の転動に伴って進行し、乾燥ローラ41から受ける熱によって湿紙100が乾燥して帯状紙をなす乾紙101となる。そして、スクレーパー部400が平滑面ベルト43から乾紙101を剥離させる。
【0048】
上記の実施の形態では、湿紙分散部6の分散板61として円形の開孔61を有する有孔部材を使用したが、開孔61は円形に限らず三角形、四角形、その他の多角形でも良い。また、図3に示すように、分散板62の有孔部材として所定メッシュで開孔する網材62aを使用することも可能である。
【0049】
また、図1に示すように、湿紙分散部6は、抄紙ワイヤー22から落下する湿紙100を受け止める分散板63として、白水貯溜部5に向けて下り勾配で傾斜する傾斜部材とすることも可能である。
【0050】
この傾斜部材からなる分散板63には傾斜面に複数の凹凸を設けて分散を促進しても良い。すなわち凹凸が湿紙100を分散板63の上に留めるための手段となり、分散に必要な時間を確保するのに有効に作用し、湿紙100が不十分に分散を施されずに白水貯溜部5へ流下することを防止できる。
【0051】
また、傾斜部材からなる分散板63の下端縁63aを、図4に示すように、櫛歯状に形成しても良く、櫛歯を通過する際に湿紙100の分散を促進するとともに、一気に湿紙100が崩れ落ちることを抑制できる。
【0052】
さらに、図5に示すように、湿紙分散部6として上部が開放された箱状部材を使用することも可能である。ここでは、箱状部材の底壁が抄紙ワイヤー22から落下する湿紙100を受け止める分散板64をなし、箱状部材の一方の側壁64aが白水貯溜部5への溢流堰をなす。
【0053】
この場合には、箱状部材の湿紙分散部6に所定量の濾水が溜まり、湿紙100が濾水中を十分な時間にわたって漂い、湿紙100の分散が十分に進行し、湿紙100が小片や繊維状となって溢流堰から白水貯溜部5へ流れ出る。
【0054】
また、本発明は図6に示すような製紙機にも適用できる。以下の説明においては、図1の構成と同様の部材には同符号を付してその説明を省略する。
【0055】
ここでは、脱水装置3を無くして抄紙装置2の中に圧搾脱水部25を設けている。圧搾脱水部25は、抄紙ワイヤー22と湿紙100を挟持する一対の圧搾脱水ローラ25、25有している。圧搾脱水ローラ25、25は、湿紙100を抄紙ワイヤー22に押圧し、湿紙100を圧搾して脱水する。
【0056】
そして、抄紙装置2の次工程として乾燥装置4を配置している。乾燥装置4は、ヒータ等の加熱装置を内蔵して加熱部をなす乾燥ローラ41と、乾燥ローラ41と複数のローラ412の間に掛け渡したカンバスベルト415を有する。スクレーパ部400が乾燥ローラ41に摺接して配置されている。抄紙部20と乾燥装置4の間には、湿紙転移部301が形成されている。湿紙転移部301は抄紙部20の第1群のローラ21のうちで特定のローラ21と乾燥装置4の複数のローラ412のうちで特定のローラ412との間に形成される。
【0057】
なお、図6においては補助液供給部24を図示していないが、補助液供給部24を設けることも可能である。
【0058】
この構成では、抄紙部20において抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に抄紙した湿紙100は、湿紙転移部301において抄紙ワイヤー22が特定のローラ21の外周に沿って反転して湿紙100から離間することで、空間を移動して乾燥装置4の特定のローラ412上を反転するカンバスベルト415に転移する。
【0059】
乾燥装置4では、湿紙100の転移したカンバスベルト415が乾燥ローラ41へ向けて進行し、カンバスベルト415と乾燥ローラ41の間に湿紙100を挟み、乾燥ローラ41から受ける熱によって湿紙100を乾燥させて乾紙101とする。そして、スクレーパー部400が乾燥ローラ41から乾紙101を剥離させる。
【0060】
湿紙転移部301でカンバスベルト415に転移することなく復帰経路22bに至った湿紙100は、自重により、さらには洗浄ノズル23から放出する洗浄液を受けて湿紙分散部6に落下する。
【0061】
湿紙分散部6は、復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下する湿紙100を分散板61で受け止める。分散板61の上に落ちて嵩高く積み上がった湿紙100に向けて、抄紙ワイヤー22から濾過により生じる濾水が落下し、圧搾脱水部25から脱水により生じる濾水が抄紙ワイヤー22から落下する。さらに、洗浄ノズル23から放出した洗浄液、補助液供給部24から散水する分散促進用の補助液が落下する。
【0062】
この落下する濾水等が湿紙100の分散を促す手段となって積層した湿紙100の繊維層を打ち解して分散させる。
【0063】
図7に示すように、抄紙装置2の抄紙ワイヤー22の無端軌道内に誘導板26を設けることも可能である。
【0064】
この構成では、湿紙形成移送経路22aから落下する濾水が誘導板26で集め、誘導板26の下端から復帰経路22bの抄紙ワイヤー22の特定部位に集中して落下し、この特定部位に対する単位時間当たりの濾水の供給量が増加し、洗浄性が向上する。
【0065】
図8に示すように、誘導板26は、湿紙形成移送経路22aおよび圧搾脱水部25に対応するように配置し、誘導板26に集めた濾水は抄紙ワイヤー22に落下させることなく、白水貯溜部5に導くことも可能である。そして、洗浄ノズル23から放出する上水の洗浄液のみで抄紙ワイヤー22を洗浄する。
【0066】
この構成によれば、抄紙ワイヤー22の洗浄を上水のみで行うことで抄紙ワイヤー22の洗浄性に優れる。
【0067】
上述した実施の形態では、洗浄ノズル23を使用したが、洗浄ノズル23を使用せずに、補助液供給部24から供給する補助液のみで分散させることも可能である。
【0068】
図9に示すように、湿紙分散部6は、白水貯溜部5の内部に配置することも可能である。この場合に、湿紙分散部6は上部が開放された箱状部材からなり、箱状部材の底壁が抄紙ワイヤーから落下する湿紙を受け止める分散板65をなす。分散板65は、分散した湿紙が通過する複数の開孔65aを有する有孔部材からなる。そして、白水貯溜部5の液面の上昇時には、分散板65の開孔65aから白水貯溜部5の白水が湿紙分散部6の内部に侵入する。
【0069】
この構成によれば、湿紙分散部6は、復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下する湿紙100を分散板65で受け止める。分散板65の上に落ちて嵩高く積み上がった湿紙100に向けて、抄紙ワイヤー22から濾過により生じる濾水が落下し、圧搾脱水部25から脱水により生じる濾水が落下する。さらに、洗浄ノズル23から放出した洗浄液、補助液供給部24から散水する分散促進用の補助液が落下する。
【0070】
この落下する濾水等が湿紙100の分散を促す手段となって積層した湿紙100の繊維層を打ち解して分散させる。
【0071】
さらに、白水貯溜部5の液面の上昇時には、分散板65の開孔65aから白水貯溜部5の白水が湿紙分散部6の内部に侵入することで、分散板65の上に積層した湿紙100を解す。ほぐれた小片の湿紙100および繊維が開孔65aから白水貯溜部5に流れ出し、白水貯溜部5の液面の降下時には、白水が開孔65aから流れ出すことで、湿紙100の小片および繊維の流出が促進される。
上述した実施の形態では、分散板61、62、63、64、65が平板状であるが、曲面状に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 古紙処理装置
2 抄紙装置
3 脱水装置
4 乾燥装置
5 白水貯溜部
6 湿紙分散部
20 抄紙部
21、21a、21b 第1群のローラ
22 抄紙ワイヤー
22a 湿紙形成移送経路
22b 復帰経路
23 ヘッドボックス
24 補助液供給部
25 圧搾脱水部
25a 圧搾脱水ローラ
26 誘導板
31 第2群のローラ
32 吸水ベルト
41 乾燥ローラ
42 第3群のローラ
43 平滑面ベルト
44 第4群のローラ
45 搬送保持ベルト
51、52 脱水ローラ
61、62、63、64、65 分散板
61a、65a 開孔
62a 網材
63a 下端縁
64a 側壁
100 湿紙
101 乾紙
201 抄紙転移部
202 脱水転移部
301 湿紙転移部
400 スクレーパー部
412 ローラ
415 カンバスベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9