特許第6763612号(P6763612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763612活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、その硬化物からなるシール材及び緩衝材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763612
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、その硬化物からなるシール材及び緩衝材
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20200917BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20200917BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   C08F290/06
   C08F2/50
   C09K3/10 E
【請求項の数】5
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-521935(P2017-521935)
(86)(22)【出願日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2016065898
(87)【国際公開番号】WO2016194870
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-115032(P2015-115032)
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306026980
【氏名又は名称】株式会社タイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】樋口 泰
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 翔太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 繁憲
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−163931(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099864(WO,A1)
【文献】 特開2004−083845(JP,A)
【文献】 特開2003−105320(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/075712(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/077900(WO,A1)
【文献】 特開2014−080498(JP,A)
【文献】 特開2006−274194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/00−290/14
C09K 3/10−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)及びチクソトロピー付与剤(D)を含有し、
前記光重合性オリゴマー(A)は、質量平均分子量が10000以上のエーテル結合を有するウレタン(メタ)アクリレートであり、
前記光重合性モノマー(B)には、下記式(1)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Wはエチレン基又はプロピレン基、nは〜4の整数をそれぞれ示す。)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)が、前記光重合性モノマー(B)の質量全体のうちの80質量%以上含まれており、
【化1】
前記光重合性モノマー(B)には、さらに下記式(2)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Yはエチレン基又はプロピレン基、mは1〜20の整数をそれぞれ示す。)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)が含まれており、
【化2】
前記式(2)で示される(メタ)アクリロイル化合物(b2)の含有量は、前記式(1)で示される(メタ)アクリロイル化合物(b1)と前記式(2)で示される(メタ)アクリロイル化合物(b2)の合計質量(b1+b2)に対して、0.1〜5質量%であり、
前記チクソトロピー付与剤(D)は、シリカ微粒子であり、
前記光重合性オリゴマー(A)及び前記光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)は、前記光重合性オリゴマー(A)、前記光重合性モノマー(B)及び前記光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して、94〜99.99質量%であり、
前記光重合性モノマー(B)の含有量は、前記光重合性オリゴマー(A)及び前記光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対して、80〜99質量%であり、
前記チクソトロピー付与剤(D)は、前記光重合性オリゴマー(A)、前記光重合性モノマー(B)及び前記光重合開始剤(C)の合計(A+B+C)100質量部に対して、3〜15質量部含まれ、
未硬化の状態において、せん断速度0.1〜2s−1における粘度が10〜5000Pa・sかつ、せん断速度0.1〜2s−1の範囲におけるチクソトロピー係数が1.1〜10であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記チクソトロピー付与剤(D)である前記シリカ微粒子の炭素含有量が0.5質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤(C)が少なくとも2種類以上の化合物からなり、少なくとも1種類はホスフィン系化合物またはアミノアルキルフェノン系化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるシール材。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関し、詳しくは吐出塗布における形状精度と生産性に優れるとともに、硬化物が低硬度かつ高緩衝性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物並びにその硬化物からなるシール材及び緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の携帯情報端末機器やデジタルカメラ等の電子機器の小型化に伴い、構成部品の小型化及び集積化が進んでいる。例えば、これらの機器の筺体に使用されるシール材(パッキン、ガスケットなど)も線幅が細い設計に移行しており、現状では約1mm幅程度のシール材が使用されている。また、これらの機器に内蔵される小型のカメラユニットやアクチュエーターユニットに使用される緩衝材(衝撃吸収材)や防振材も小型化が進んでいる。これらのシール材や緩衝材、防振材といった構成部品は、軟質素材からなることが多く、その軟質性ゆえにシール材の線幅が細くなったり、緩衝材や防振材のサイズが極端に小さくなると、筺体等に構成部品として組込む作業が困難になり、生産性が低下してコストアップの原因となっている。
【0003】
この対策として、特許文献1及び特許文献2では、シール材を筺体等に装着させる部分に、紫外線硬化性樹脂等の液状シール材料をビード状(線状)にニードルから吐出させて塗布(以下、「ニードル塗布」という。)し、紫外線でビード状吐出体を硬化させて、シール材を直接形成すると同時に筺体等に装着させる方法(所謂cured−in−place工法:以下CIP工法という。)が提案されている。また、このような液状シール材料の吐出性(塗工性)及び塗布された硬化前のビード状吐出体の形状保持性を向上させることを目的として、特許文献1には、紫外線硬化性樹脂にシリカ粒子を添加する技術が記載され、特許文献2には、紫外線硬化性樹脂等の塗布材料の粘度を塗工温度下で約1〜1000Pa・sとする技術が記載されている。
【0004】
他方、小型化のため肉薄化した筐体等の部材にシール材や緩衝材を組込んだ際に、これらの反発性が大きいと筐体等が変形し易くなるため、シール材や緩衝材には低反発性、すなわち、十分に柔軟で低硬度であることが求められている。また、携帯情報端末機器やデジタルカメラ、ウェアラブル電子機器等は小型化により電子部品が密集して集積され、近年では各種センサーの実装も進んでおり、その使用形態や環境による電子部品の破損や誤作動を防止する目的から、シール材や緩衝材にはより優れた緩衝性や防振性が要求されている。
【0005】
そこで、柔軟性を備えたシール材を得るための紫外線硬化性樹脂の構成として、特許文献3及び特許文献4では、アクリル系化合物と多官能チオール化合物を混合したエネルギー線硬化型樹脂組成物が提案され、特許文献5〜7では、アクリルモノマーを用いた光硬化性樹脂組成物が提案され、特許文献8ではウレタンアクリレートオリゴマーとアクリルモノマーを混合した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−88430号公報
【特許文献2】特開2004−289943号公報
【特許文献3】特開2010−254853号公報
【特許文献4】特開2010−260918号公報
【特許文献5】特開2004−26919号公報
【特許文献6】国際公開第2002/044299
【特許文献7】特開2014−80498号公報
【特許文献8】特開2003−105320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、シール材の線幅を細く又は狭くするために、ニードル吐出口の口径を小さくするほど液状シール材料を吐出し難くなり、高圧で吐出するとビード状吐出体が径膨張(swell)したり、吐出性を優先しようとして液状シール材料の粘度を低くすると、塗布後にビード状吐出体にダレが生じてシール材の線幅が広がり、所望の細い線幅のシール材を得ることが困難となるという問題点や課題があった。
【0008】
さらに、特許文献1及び特許文献2には、紫外線硬化性樹脂を硬化させてシール材を得ることについては記載されているが、十分な柔軟性及び高い緩衝性・防振性を備えるシール材を得るための紫外線硬化性樹脂の構成については検討されていない。また、特許文献3及び特許文献4に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、アクリル化合物に多官能チオールからなる架橋剤を多量に添加しているため、架橋点が多くなり、十分な柔らかさを有するシール材等の硬化物を得ることは困難であった。そして、特許文献5〜8に記載された樹脂組成物についても、十分な柔軟性を備えたシール材や緩衝材等の硬化物を得ることはできなかった。このように、十分な柔軟性及び高い緩衝性・防振性を備えるシール材や緩衝材を得るための活性エネルギー線硬化性樹脂の構成の検討は十分になされていない。
【0009】
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は、CIP工法に好適な流動性とチクソロトピー性を有し、細い線幅のシール材を得るためにニードル吐出口の口径を小さくした場合においても、塗工性と形状精度に優れると共に、硬化後には十分な柔軟性(硬度が低い)及び高い緩衝性・防振性(損失係数:tanδが大きい)を備える硬化物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することにある。なお、本発明における損失係数tanδは、動的粘弾性特性における損失弾性率G’’を貯蔵弾性率G'で除した値として定義されるものである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、十分な柔軟性(硬度が低い)及び高い緩衝性・防振性(損失係数:tanδが大きい)を備えるシール材及び緩衝材、防振材等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)及びチクソトロピー付与剤(D)を含有し、光重合性オリゴマー(A)は、質量平均分子量が10000以上のエーテル結合を有するウレタン(メタ)アクリレートであり、光重合性モノマー(B)には、下記式(1)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Wはエチレン基又はプロピレン基、nは0〜4の整数をそれぞれ示す。)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)が、光重合性モノマー(B)の質量全体のうちの80質量%以上含まれており、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して、94〜99.99質量%であり、光重合性モノマー(B)の含有量は、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対して、80〜99質量%であり、チクソトロピー付与剤(D)は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計(A+B+C)100質量部に対して、1〜40質量部含まれ、未硬化の状態において、せん断速度0.1〜2s−1における粘度が10〜5000Pa・sかつ、せん断速度0.1〜2s−1の範囲におけるチクソトロピー係数が1.1〜10である。
【0012】
【化1】
【0013】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する光重合性オリゴマー(A)として、質量平均分子量が10000以上のエーテル結合を有するウレタン(メタ)アクリレートを採用することにより、優れた緩衝性・防振性(高損失係数)及び柔軟性(低硬度)を有する硬化物を得ることができる。また、式(1)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)が光重合性モノマー(B)の質量全体の80質量%以上含まれることにより、優れた緩衝性・防振性(高損失係数)を有する硬化物を得ることができる。また、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)を、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して、94〜99.99質量%とすることにより、硬化反応が好適になされる。さらに、光重合性モノマー(B)の含有量を光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対して、80〜99質量%とすることにより、硬化物の優れた緩衝性・防振性(高損失係数)及び柔軟性(低硬度)を両立させることができる。そして、チクソトロピー付与剤(D)を、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計(A+B+C)100質量部に対して、1〜40質量部含有することにより、優れた緩衝性・防振性(高損失係数)及び柔軟性(低硬度)を両立させつつ、好適なチクソトロピー性が得られる。また、未硬化の状態において、せん断速度0.1〜2s−1における粘度が10〜5000Pa・sかつ、せん断速度0.1〜2s−1の範囲におけるチクソトロピー係数を1.1〜10とすることにより、CIP工法に好適な流動性とチクソロトピー性を有し、ニードル吐出口の口径を小さくした場合においても、塗工性と形状精度に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られる。そして、本発明の各構成を備えた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、E硬度(JIS K6253準拠)が40以下であり、かつ動的粘弾性測定(JIS K7244−10準拠)における10Hzでの損失係数が0.3以上の物性を有し、十分な柔軟性(低硬度)及び優れた緩衝性・防振性(損失係数が大きい)を備えた硬化物を形成することができる。
【0014】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における重合性モノマー(B)には、さらに下記式(2)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Yはエチレン基又はプロピレン基、mは0〜20の整数をそれぞれ示す。)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)が含まれることも好ましい。これにより、上述の作用効果に加えて硬化物の圧縮永久歪みを低減することができる。また、式(2)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)の含有量が、式(1)で示される(メタ)アクリロイル化合物(b1)と式(2)で示される(メタ)アクリロイル化合物(b2)の合計質量(b1+b2)に対して、0.1〜5質量%であることも好ましい。これにより、硬化物の優れた緩衝性・防振性(高損失係数)及び柔軟性(低硬度)を両立させつつ、圧縮永久歪みを低減することができる。
【0015】
【化2】
【0016】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物におけるチクソトロピー付与剤(D)がシリカ微粒子であり、シリカ微粒子の炭素含有量が0.5質量%未満であることも好ましい。これにより、チクソトロピー付与剤として好適な物質が選択される。
【0017】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における光重合開始剤(C)が少なくとも2種類以上の化合物からなり、少なくとも1種類はホスフィン系化合物またはアミノアルキルフェノン系化合物であることも好ましい。これにより、光エネルギー線照射により硬化した硬化物の表面のべたつきを低減又は圧縮永久歪みが改善される。
【0018】
また、本発明のシール材又は緩衝材は上述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることも好ましい。これにより、柔軟性と緩衝性・防振性に優れたシール材及び緩衝材が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物からなるシール材及び緩衝材を提供することができる。
(1)本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ニードル塗布の際に吐出性に優れるとともに、ビード状吐出体の径膨張(Swell)が起こり難く、ビード状吐出体の吐出形状精度が高く、しかも、塗布後の形状保持性が優れているため、形状精度が高いシール材や緩衝材などを生産性よく製造することができる。
(2)本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、低硬度であると共に損失係数も大きいため、柔軟性と緩衝性・防振性に優れたシール材や緩衝材、防振材等を得ることができる。
(3)また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する光重合性モノマー(B)に含有させる成分を調整することにより、硬化物の損失係数をさらに向上させたり、硬化物の圧縮永久歪みを小さくすることができる。
(4)本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、内径1mmφ以下の細径のニードルを用いてニードル塗布されるビード状のシール材などを形成するのに好適であり、特に、内径0.75mmφ以下の極細径のニードルが用いられる際に、顕著にビード状吐出体の径膨張(Swell)が起こり難く、ビード状吐出体の径精度に優れ、しかも、塗布後の形状保持性が高いという効果を有する。また、硬化物は低硬度であると共に損失係数も大きいため、柔軟性と緩衝性・防振性に優れる。それゆえ、極細の線径を実現させつつ、柔軟かつ緩衝性にも優れたシール材や衝撃吸収性に優れた緩衝材、防振材が得られ、これらが組込まれる電子機器などの小型化やコストダウンに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をビード状に吐出してビード状吐出体を形成し、活性エネルギー線を照射する塗工装置及び塗工の様子を示す説明図である。
図2】実施例における試験用ビード状吐出体の塗布パターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、単に、樹脂組成物または硬化性樹脂組成物と称することもある。)は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)及びチクソトロピー付与剤(D)を含有している。本発明の活性エネルギー線樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されることによって、光重合性オリゴマー(A)と光重合性モノマー(B)との混合組成物が重合して硬化する。以下、各構成成分について詳述する。
【0022】
1.光重合性オリゴマー(A)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられる光重合性オリゴマー(A)は、活性エネルギー線による硬化が可能な重合性官能基を有し、硬化後の損失係数に寄与する成分であって、分子中に複数のエーテル結合を有し、質量平均分子量が10000以上であるウレタン(メタ)アクリレートである。光重合性オリゴマー(A)の質量平均分子量は、硬化物の損失係数を向上させる観点から、15000以上がより好ましく、20000以上であることがさらに好ましい。また、光重合性オリゴマー(A)の重合性官能基の数は、2個未満の場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の表面に未重合の光重合性オリゴマーがブリードして、硬化物のシール性や外観の不具合が発生する場合があり、5個以上の場合には、架橋密度が高くなりすぎてその硬度が高くなる場合があるため、2〜4個が好ましい。光重合性オリゴマー(A)の分子中のエーテル結合の存在は、ウレタン(メタ)アクリレートにおいて分子構造の柔軟性、ひいては硬化物の低硬度化(低反発化)に大きく寄与するため、不可欠である。光重合性オリゴマー(A)の配合割合は、光重合性オリゴマー(A)及び後述する光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対し、硬化物の緩衝性能を高める(損失係数を高める)観点から、1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。光重合性オリゴマー(A)の具体例としては、日本合成化学工業株式会社製の紫光(登録商標)シリーズ(例えば、UV−6640B、UV−3300B、UV−3700B等)や日立化成株式会社製のヒタロイド(登録商標)シリーズ(例えば、4861、7981等)、根上工業株式会社製のアートレジン(登録商標)シリーズ(例えば、UN−6202、UN−6301、UN−5590、KHP−22等)、亜細亜工業株式会社製のSUAシリーズ(例えば、SUA−008、SUA−015等)、ケーエスエム株式会社製KUAシリーズ(例えば、KUA−PEA2I、KUA−PEC2I等)、日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標)シリーズ UX(例えば、UXF−4002、UXF−4001等)があげられるが、これらに限定するものではない。
【0023】
2.光重合性モノマー(B)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられる光重合性モノマー(B)は、活性エネルギー線による硬化が可能な重合性官能基を有し、前述した光重合性オリゴマー(A)と重合可能な成分である。光重合性モノマー(B)には、少なくとも上述の式(1)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)からなるモノマー成分が含まれる。
【0024】
2−1.(メタ)アクリロイル化合物(b1)
この(メタ)アクリロイル化合物(b1)(以下、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と称することもある。)は、上述した式(1)の通り、分子末端に(メタ)アクリロイル基とフェニル基を有し、さらにその分子中にエチルエーテル又はプロピルエーテルを有した分子構造からなる。この式(1)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Wはエチレン基又はプロピレン基であり、nは0〜4の整数である。式(1)中のnの値は、nが5以上の場合には、硬化物の損失係数が小さくなり良好な緩衝性能が得られなくなるため、0〜4の整数であることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル化合物(b1)の分子量は、192〜325であることがより好ましい。(メタ)アクリロイル化合物(b2)の分子量が192未満、即ちグリコール基で示される部分を有さない化合物の場合、アクリル当量が小さくなることによる硬化物の硬度の増加(反発弾性の増加)や、硬化時の硬化収縮量が増加して形状精度の低下が生じる場合があり、分子量が326以上になると、硬化物の損失係数が小さくなり、緩衝性の低下が生じる場合があるためである。式(1)で表される化合物としては、具体的には、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシトリプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルメタアクリレート、フェノキシプロピルメタアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタアクリレート、フェノキシジプロピレングリコールメタアクリレート、フェノキシトリエチレングリコールメタアクリレート等が挙げられ、このうち、硬さと損失係数とのバランスの観点から、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタアクリレートが好適に用いられる。
【0025】
光重合性モノマー(B)の質量全体に占める(メタ)アクリロイル化合物(b1)の割合は、動的粘弾性測定における10Hzでの硬化物の損失係数を向上させ、良好な緩衝性能を得る観点から、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。本発明の樹脂組成物を構成する光重合性モノマー(B)に、式(1)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b1)を採用することにより、損失係数が大きく、緩衝性・防振性に優れる硬化物が得られる。
【0026】
また、光重合性モノマー(B)の配合割合は、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対し、80〜99質量%が好ましく、85〜99質量%がより好ましく、90〜97質量%がさらに好ましい。光重合性モノマー(B)の上記配合割合が80重量%未満であると、硬化物の動的粘弾性測定における10Hzでの損失係数が小さくなるため、良好な緩衝性能が得られなくなり、光重合性モノマー(B)の上記配合割合が99重量%を超えると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化性が著しく低下するので好ましくない。光重合性モノマー(B)を構成する化合物としては、上述した(メタ)アクリロイル化合物(b1)のみで構成してもよいが、光重合性オリゴマー(A)と重合可能なあらゆるモノマー化合物を第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と組み合わせた構成としてもよい。このうち、光重合性モノマー(B)を構成する他のモノマー化合物の好ましい例として、上述の式(2)で表されるモノマー化合物を以下詳述する。
【0027】
2−2.(メタ)アクリロイル化合物(b2)
光重合性モノマー(B)として、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と、式(2)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)を組み合わせて用いることにより、硬化物の圧縮永久歪みが低減される。この(メタ)アクリロイル化合物(b2)(以下、第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)と称することもある。)は、式(2)の通り、分子の両末端にそれぞれ(メタ)アクリロイル基を有し、さらにその分子中にエチルエーテル又はプロピルエーテルを有した分子構造からなる。この式(2)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Yはエチレン基又はプロピレン基であり、mは0〜20の整数である。式(2)中のmの値については、m=0、すなわちエチルエーテル又はプロピルグリコール単位がない場合には、硬化物が硬くなりすぎる場合があり、また、mが20を超えると、硬化物の圧縮永久歪みの値が大きくなる場合があるので、1〜20の整数であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。ここで、圧縮永久歪みは、JIS K6262で示される70℃温度環境下25%圧縮条件で23時間保持した後の圧縮永久歪の値である。式(2)で表される(メタ)アクリロイル化合物(b2)の具体例としては、共栄社化学株式会社製ライトエステル(EG、2EG、3EG、4EG、9EG、14EG)、共栄社化学株式会社製ライトアクリレート(登録商標)シリーズ(3EG−A、4EG−A、9EG−A、14EG−A)、日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標)シリーズ(PEG400DA)、東亞合成工業株式会社製アロニックス(登録商標)シリーズ(M−220、M−225、M−240、M−270)、新中村化学工業株式会社製NKエステル(A−200、A−400、A−600、APG−100、APG−200、APG−400、APG−700)等が挙げられる。
【0028】
第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)及び第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の配合割合は、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の合計質量に対する第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の割合が0.1〜5質量%であることが好ましい。第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の割合が0.1質量%未満の場合、硬化物の圧縮永久歪みの低減等の効果が得られ難く、5質量%を超えると硬化物のE硬度が上昇して硬くなるとともに、損失係数の値が小さくなり、衝撃吸収性能が低下する場合があるためである。
【0029】
3.光重合開始剤(C)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、光重合性オリゴマー(A)と光重合性モノマー(B)との重合を開始させるための光重合開始剤(C)が配合されている。光重合開始剤(C)は、少なくとも2種類以上の化合物を組み合わせて用いることが好ましく、そのうち1種類はホスフィン系化合物又はアミノアルキルフェノン系化合物であることが好ましく、ホスフィン系化合物とアミノアルキルフェノン系化合物とを併用することがさらに好ましい。
【0030】
光重合開始剤(C)として、ホスフィン系化合物を用いると、近紫外線の長波長側のエネルギーを有効に重合開始反応に活用できるため、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の内部硬化性を高めることができ、硬化物の圧縮永久歪みを低減するのにも効果的である。なお、上述したホスフィン系化合物とは、分子中にP=Oで表されるホスフィンオキシド基を含む化合物であり、より具体的には分子中にホスフィン基とアシル基とが結合している化合物である。ホスフィン系化合物としては、具体的には、特に限定されないが、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸フェニルエステル及びこれらの類縁体などがよく知られており、市販品では、BASF社製のLUCIRIN(登録商標)TPOやTPO−L、IRGACURE(登録商標)819などが挙げられる。
【0031】
光重合開始剤(C)として、アミノアルキルフェノン系化合物を用いると、近紫外線の短波長から中波長領域のエネルギーを有効に硬化開始反応に活用できるので、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の表面の硬化性を良好にする効果が得られ、硬化物の表面のべたつきを低減することができる。アミノアルキルフェノン系化合物としては、具体的には、特に限定されないが、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン及びこれらの類縁体などがよく知られており、市販品ではBASF社製のIRGACURE(登録商標)シリーズの907、369、379EGなどが挙げられる。
【0032】
光重合開始剤(C)の配合割合は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して、0.01〜6質量%とすることが好ましく、0.1〜5質量%とすることがより好ましく、0.5〜3質量%とすることがさらに好ましい。光重合開始剤の配合割合が0.01質量%未満であると、活性エネルギー線照射による硬化が十分に進まず、6質量%を超えると、硬化後のポリマー構造中に残存した未反応の光重合開始剤が揮発してアウトガスとなるため、電子機器に組み込まれた際に問題となる場合があるためである。したがって、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)が、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して、94〜99.99質量%の範囲とすることが好ましく、95〜99.9質量%とすることがより好ましく、97〜99.5質量%とすることがさらに好ましい。
【0033】
4.チクソトロピー付与剤(D)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、上述した光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)からなる樹脂材料成分にチクソトロピー付与剤(D)が配合され、分散されている。チクソトロピー付与剤(D)は、樹脂材料に分散されることによって、チクソトロピー性、即ち、低せん断速度領域では粘度が高く、高せん断速度領域では粘度が低下するような性質を付与することができる添加剤全般を指しており、例えば、樹脂材料に添加されることによって、膨潤し、かつ水素結合力やファンデルワールス力等の比較的弱い結合力によって、緩やかな編み目構造を形成するような化合物が挙げられる。これらは、タレ止め剤、沈降防止剤、チクソトロピー剤等の名称で塗料添加物として市販されている。このチクソトロピー付与剤が均一に分散された樹脂組成物は、低せん断速度領域では、緩やかな編み目構造が保持されているので見かけの粘度が高く、高せん断速度領域では編み目構造がせん断力によって破壊されるので粘度が低くなるという性質を示す。
【0034】
このようなチクソトロピー付与剤(D)としては、具体的には、長鎖脂肪酸エステル重合体、アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、硫酸エステル系アニオン活性剤、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリエーテル等の有機化合物や、微粉シリカ、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ベントナイト、セピオライトなどの無機微粒子、テフロン(登録商標)、シリコーンなどの樹脂微粒子などを好ましく用いることができ、微粒子の形状は球形、棒状、鱗片状など適宜用いることができる。このうち、本発明におけるチクソトロピー付与剤(D)としては、流動性とチクソトロピー性とのバランスの観点から、シリカ微粒子がより好ましく、フュームドシリカ微粒子がさらに好ましい。また、フュームドシリカ微粒子のうち、疎水性処理がなされていない親水性のシリカ微粒子が特に好適に用いられる。チクソトロピー付与剤(D)として、親水性のシリカ微粒子を用いることによって、少ない添加量で硬化前の所望の粘性が得られるとともに、硬化後の硬化物についてもE硬度(JIS K6253準拠)の上昇を軽微に抑えられ、さらに、大きな損失係数を維持することが可能となる。ここでフュームドシリカ微粒子とは、シラン化合物を高温雰囲気で処理する事で得られる凝集体の総称であり、得られた凝集体はガラスと同様に、ケイ素、酸素及び水素からなる化合物であり、一般的に親水性シリカと呼ばれている。また、フュームドシリカ微粒子は、工業的に多方面で使用されており、その用途や製法に応じて疎水化と呼ばれる処理が行われる場合がある。この疎水性処理とは、親水性シリカを、炭素を含む有機官能基を有する化合物で処理することにより行われ、それゆえ疎水性シリカ微粒子は炭素成分を含有する。よって、親水性を有する観点から、シリカ微粒子の炭素含有量は低いことが好ましく、具体的にはシリカ微粒子の炭素含有量は、シリカ微粒子全体に対して0.5質量%未満であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、炭素成分を実質的に含まないことが特に好ましい。シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル社のAEROSIL(登録商標)やトクヤマ社のREOLOSIL(登録商標)、CABOT社のCAB−O−SIL(登録商標)、旭化成ワッカー社製WACKER HDK(登録商標)に代表されるヒュームドシリカ、日本シリカ工業社のNIPSIL(登録商標)、富士シリシア社のSylisia(登録商標)、トクヤマ社のTOKUSIL(登録商標)などが挙げられる。
【0035】
上記シリカ微粒子などの微粒子は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中で分散されると、一次粒子が凝集しながらネットワーク構造を形成し、このネットワーク構造に起因してチクソトロピー性が付与される。微粒子の一次粒径は、樹脂材料への分散性やチクソトロピー性付与効果、粘度が本発明の好ましい状態となるように選択され、具体的には、0.002〜10μmが好ましく、より好ましくは0.005〜1μmであり、さらに好ましくは、0.007〜0.1μmである。微粒子の一次粒径の数値は、SEM又はTEM(透過型電子顕微鏡)で一次粒子が視認できる倍率の画像において、ランダムに選択した1000個の微粒子の一次粒子画像のそれぞれ輪郭の最長径を測定し、相加平均して得られた数値である。なお、該一次粒径に対応する比表面積(DIN66131準拠BET法)は、微粒子がシリカの場合、0.3〜600m/gであり、さらに好ましくは3〜430m/gであり、一層好ましくは30〜600m/gである。
【0036】
チクソトロピー付与剤(D)の配合量は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計(A+B+C)100質量部に対して、1〜40質量部であることが好ましく、シリカ微粒子をチクソトロピー付与剤(D)として用いた場合には2〜30質量がより好ましく、3〜20質量がさらに好ましく、3〜15質量が特に好ましい。チクソトロピー付与剤(D)の添加量が1質量未満であった場合、良好なチクソトロピー性が得られず、40質量を超えると硬化物のE硬度が大きくなりすぎるとともに損失係数が小さくなるためである。
【0037】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の添加剤を配合してもよい。その他の添加剤としては、例えば、充填剤が挙げられ、粉末充填剤のみならず、導電剤、除電剤、難燃剤、緩衝性改良剤及び着色剤なども含まれる。これらの一例を挙げると、粉末充填剤としては、結晶性シリカ、熔融シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム又はホワイトカーボンなどが挙げられる。また、導電性や除電性の付与にはカーボンブラック、膨張黒鉛粉末、粉末状グラファイト又は金属微粒子などを用いることができる。難燃剤としては、粉末状有機ハロゲン化合物、赤リン、三酸化アンチモン、膨張黒鉛、マグネタイト又は水酸化アルミニウムなどを用いることができる。緩衝性改良剤としては、有機殻を有する中空フィラー(例えば、日本フィライト社製エクスパンセル(登録商標)など)を用いることができる。着色剤としては、各種の顔料や染料を挙げることができ、これら添加剤は、用途により適宜選択して使用すればよい。
【0038】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる活性エネルギー線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、アルファ線、ベータ線又はガンマ線等をいい、特に紫外線が好適に用いられる。本発明における紫外線には、近紫外線(near UV、波長200〜380nm)、遠紫外線(波長10〜200nm)及び極端紫外線(extreme UV、波長1〜10nm)が含まれる。また、これら活性エネルギー線は、1種単独で使用することも、2種以上を同時に使用することも可能である。これらの活性エネルギー線の線源としては、樹脂組成物を被塗布基体にコーティング又は塗布後、短時間で硬化させることができればよく、特に限定されないが、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマ紫外線(エキシマUV)ランプ、ハライドランプ、LEDライト又はレーザー等の公知の発生手段のものを利用することができる。また、赤外線の線源としては、例えば、ランプ、抵抗加熱板又はレーザー等が挙げられ、可視光線の線源としては、例えば、直射日光、ランプ、蛍光灯、LEDライト又はレーザー等が挙げられ、電子線の線源としては、例えば、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式の装置、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式およびイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式の装置等が挙げられる。さらに、アルファ線、ベータ線およびガンマ線の線源としては、例えば、Co60等の核分裂物質が挙げられ、ガンマ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら活性エネルギー線は、単独もしくは2種以上を同時に照射してもよい。
【0039】
5.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ビード状吐出物の径膨張(Swell)が起こり難く、塗布後の形状保持性が高いという本発明の作用効果を奏するため、せん断速度0.1〜2s−1において、未硬化時の粘度が10〜5000Pa・s(JIS Z8803準拠 円錐−平板形回転粘度計 25℃)、かつ、せん断速度0.1〜2s−1の範囲におけるチクソトロピー係数が1.1〜10であることが重要である。
【0040】
まず粘度について、詳細に説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、チクソトロピー付与剤が配合されてチクソトロピー性を呈し、非ニュートン流体の特性を示すため、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度とは見かけ粘度のことをいい、以下見かけ粘度として説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の未硬化状態での見かけ粘度(以下、単に見かけ粘度と称することもある。)は、JIS Z8803(1991)における「円錐−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、25℃条件下で、せん断速度0.1〜2s−1の範囲で測定された値であり、具体的には、せん断速度1.0s−1で測定された値であることが好ましい。なお、未硬化状態とは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対し、硬化させるための活性エネルギー線が照射されていない状態である。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の見かけ粘度は、10〜5000Pa・sが好ましく、20〜5000Pa・sがより好ましく、30〜1000Pa・sがさらに好ましく、50〜800Pa・sが特に好ましい。見かけ粘度が10Pa・s未満であると、ニードル等から吐出した後に流動しすぎて形状保持性に劣り、5000Pa・s超であると、ニードル等からの吐出が困難になり、塗布時の引張応力に対して切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりするので、好ましくない。なお、見かけ粘度は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)に、チクソトロピー付与剤(D)を分散したのち放置し、粘度変化が5%以下/日となったときに、前記粘度及びチクソトロピー係数の範囲となることが好ましい。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のチクソトロピー係数(以下、単にチクソトロピー係数と称することもある。)は、1.1未満であると、ニードルから吐出した後に流動しすぎて形状保持性に劣り、10超であると、ニードルからの吐出が困難になったり、塗布時の引張応力によってビード状吐出体が切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりするため、1.1〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、2.5〜8がさらに好ましい。ここで、上記チクソトロピー係数(T.I.)は、JIS Z8803準拠 円錐−平板形回転粘度計(25℃)で測定されたせん断速度Dにおける見かけ粘度η(D)と、せん断速度Dにおける見かけ粘度η(D)とから、下記数式1によって求められる値である(ただし、0.1s−1≦D<D≦2s−1)。ここで、チクソトロピー係数は、せん断速度Dとせん断速度Dとの組合せによって変化するが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、せん断速度0.1〜2s−1の範囲内の任意のせん断速度DとDにおける各粘度から下記数式1で求められるチクソトロピー係数が、1.1〜10の範囲内となるものである。なお、せん断速度の選択は、D=D×10とすることが一般的である。
【0042】
【数1】
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、見かけ粘度とチクソトロピー係数との組合せ範囲内において、見かけ粘度とチクソトロピー係数を調整することによって、吐出性、ビード状吐出体の形状保持性、低径膨張性(形状精度)、塗布時の引張応力に対するコシの強さのバランスを様々に調整することができる。見かけ粘度とチクソトロピー係数との調整は、例えば、低圧で吐出して塗工する場合には、見かけ粘度を下限側に調整しつつ塗工したビード状吐出体の形状保持されるようにチクソトロピー係数を調整した組成とし、一方、高圧で吐出して塗工する場合には、見かけ粘度を上限側に調整すると共に、高いせん断速度域で見かけ粘度が小さくなるチクソトロピー係数に調整して、径膨張を抑制すればよい。本発明の見かけ粘度とチクソトロピー係数の範囲から外れた組合せでは、本発明の効果が得られ難くなる。具体的には、見かけ粘度が10Pa・s未満かつチクソトロピー係数が1.1未満では、吐出し易くなるが、吐出後に流動しすぎて形状保持性に劣り好ましくない。また、見かけ粘度が5000Pa・s超かつチクソトロピー係数が10超の場合には、吐出圧が高くなり吐出が困難になり、加えて塗布時の引張応力に対して切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりするので好ましくない。
【0044】
6.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の物性
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物は、E硬度(JIS K6253準拠)が40以下であり、かつ動的粘弾性測定(JIS K7244−10準拠)における10Hzでの損失係数が0.3以上である。硬化物がこの物性の範囲となることで、低硬度で低反発性であり、優れた緩衝性や防振性が発揮される。また、重合性モノマー(B)の配合成分を適宜調整することにより、圧縮永久歪みも小さくすることができるため、シール材としても好適である。特にシール材に適用する場合には、圧縮永久歪みの値が50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下となるように活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の配合成分を調整すればよい。
【0045】
7.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、容器に充填された態様でシール材等の形成に用いられる。本発明における容器とは、未硬化状態の本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が容器内に充填・封入されて、「活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填・封入した容器」として販売されるものであって、例えば、シリンジやチューブ等が挙げられる。そのため、本発明における容器には、流体収納部と、流体注入口、流体注出口、流体を注入・注出させるピストンや羽車、キャップ又はシール等が備えられており、流体を貯蔵でき、任意量を注入及び/又は注出できる機能を有する容器が含まれる。この容器には、さらに、ビード状に吐出可能なニードル状塗工部が装着されて使用されるが、予め、容器にニードル状塗工部が取り付けられていてもよく、あるいは一体化形成されていてもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線硬化型の場合には、自然光の紫外線による硬化を防止するために、遮光性容器とすることが好ましい。
【0046】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器は、流体注入口、流体注出口、流体を注入・又は注出させるピストンや羽車、キャップ及びシール等から選択されたものを備えていればよく、最も多用されるものとしては、注射器のような形態の容器や、チューブ型の容器がある。たとえば、チューブ型容器の場合には、流体注入口と流体注出口を持っているタイプ、流体注入と流体注出を兼備して1つの口しか持たないタイプ、当初流体注入口と流体注出口を持っておりながら流体を注入した後は流体注入口を封鎖し流体注出口のみ残すタイプ、当初流体注入口と流体注出口を持っておりながら流体を注入した後は両方を封鎖するタイプ、流体注入口や流体注出口を封鎖する手段が栓、回転溝つきキャップ、ヒートシール又はシール張り付け等から選択されるタイプ等、様々なタイプがある。なお、容器には、加熱手段、冷却手段、減圧手段、加圧手段、吸引手段、蒸発手段、モータ、油圧手段、空気圧手段、計量手段、防塵手段、取り扱い補助手段、表示手段、発生ガス放出手段、逆流防止手段又は温度検知手段等が併設されていてもよい。
【0047】
8.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明のシール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、公知の樹脂組成物の製造方法により製造される。具体的には、一例として、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー又はロールミル等の混練機を用いて、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)を混練した樹脂材料に、チクソトロピー付与剤(D)を添加し、さらに混練して均一に分散することにより製造される。
【0048】
9.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いたシール材とその製造方法
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ニードル状塗工部から加圧手段によってビード状に吐出してビード状吐出体とし、同時もしくは続いて、前記ビード状吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、ビード状のシール材となる。本発明のシール材は、良好なシール性を有するとともに、低硬度で低反発性であるため、シール材の反発力により筐体を歪めることもなく、安定的に用いることができる。また、圧縮永久歪みが小さいためシール性の経時的信頼性に優れているので、小型で薄厚の筐体のシール材として好適である。
【0049】
シール材の製造方法を、図1を例として参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は、ビード状のシール材1を製造する塗工装置9の正面図を示し、図1(b)は、その右側面図を示している。これらの図1(a)及び図1(b)に示す様に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が充填された容器5を、X−Y−Z軸方向に移動制御できる三次元塗布装置9に装着する。本実施形態においては、容器5には、圧力空気供給管90を介して加圧手段として高圧空気が供給されている。図1(a)〜図1(c)に示すように、ニードル状塗工部4を備える容器5は、予め三次元塗布装置9にプログラムされたシール形状の描画パターンにしたがって移動しながら、容器5の下端に設けたニードル状塗工部4から試料台(ステージ)B上に載置された被塗布基体20の表面に、シール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をビード状に吐出してビード状吐出体10を形成する。次いで活性エネルギー線照射ユニット8からビード状吐出体10に活性エネルギー線を照射することによって、ビード状吐出体10を構成するシール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が架橋されてビード状吐出体10が硬化し、シール材1が得られる。容器5のニードル状塗工部4からシール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を吐出させるための加圧手段は、図1では高圧空気による加圧空気式を例示したが、油圧又はギヤポンプ式など公知のものを適用できる。また、活性エネルギー線照射によるビード状吐出体10の硬化は、吐出後の任意の時点で可能であるが、ビード状吐出体10の形状保持の観点から、ビード状吐出体を形成するニードル状塗工部4からの吐出とほぼ同時であることが好ましい。また、さらに高いシール材を製造する場合には、形成したビード状吐出体の上にビード状吐出体を重ねるように二回塗工してビード状吐出体10を二段重ねにしてもよい。ビード状のシール材の形状や径寸法は、ニードル状塗工部の吐出孔径や塗工条件で調整できる。ニードル状塗工部の吐出孔の内径(円形の場合)は、用途により適宜選択できるが、1mm以下で従来技術に比較して、本発明の作用効果が優位的に発揮され、0.75mm以下、より好ましくは0.5mm以下で顕著に発揮される。塗工条件としては、ニードル状塗工部からの吐出速度とニードルの移動速度(正確にはニードル吐出口の移動速度)とがある。ニードルからの吐出速度は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度とチクソトロピー係数によって適宜調整されるが、吐出速度は、吐出圧に依存するので、吐出速度が大き過ぎると(吐出圧が大き過ぎると)、吐出時にビード状吐出体が捩じれたり振れたりして、吐出状態が不安定になったり、径膨張(swell)が大きくなるなどの不具合が生じ易くなるので好ましくない。また、ニードル状塗工部の移動速度は、吐出速度とのバランスで適宜調整されるが、吐出速度よりも移動速度が大きくなるほど、被塗布基体上に吐出されたビード状吐出体とニードル状塗工部の吐出口との間において、ビード状吐出体に掛かる引張応力が増加するが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コシが強いので、従来品に比べて移動速度を大きくすることができる。また、このコシの強さの利点を利用して、ニードル状塗工部の移動速度を速めて、意図的に引張応力を付加することで、ビード状吐出体の径を細径化してもよい。ただし、移動速度が大きすぎると、ビード状吐出体が切れたり、ビード状吐出体の径が極端に細くなり、ビード状のシール材として機能しなくなるので、好ましくない。
【0050】
10.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた緩衝材とその製造方法
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ニードル状塗工部から加圧手段によってビード状またはドット状に吐出して吐出体とし、同時もしくは続いて、吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、所望の箇所に緩衝材を形成することができる。本発明の緩衝材は、損失係数が大きいので、緩衝性能に優れている。加圧手段や緩衝材の形状や径寸法の調整方法等については、前述したシール材と共通するため省略する。
【0051】
11.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の他の用途
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、少なくとも2つの作用部材間に、ニードル状塗工部から加圧手段によってビード状またはドット状に吐出して吐出体を配置し、同時もしくは続いて、前記吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、各種用途、例えば、防水用、防塵用、防振用、制振用、応力緩和用、隙間補完用、がたつき防止用、ずれ防止用、衝突音低減用などの用途にも好適に適用できる。また、2つの作用部材間に配置される用途に限らず、例えば、筐体の表面にCIP法でビード状またはドット状の塗工硬化物を複数配置した構造として、外部からの衝撃物が衝突した際の緩衝作用を発揮させる用途や、対向する部材が近接した時にのみシール性や緩衝性を発揮させる構造への適用した場合のように、片面開放の形態で使用する用途にも有効である。また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の優れた塗工性は、ニードル状塗工部の吐出孔の内径が1mm以下の場合に顕著に発揮されるが、ニードル状塗工部の吐出孔の内径が1mmを超える場合でも、塗工性や形状保持性、硬化後の低反発性や緩衝性などに優れているので、上述したようなさまざまな用途に好適に適用できる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
【0053】
以下に記載の実施例及び比較例で使用した光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)及びチクソトロピー付与剤(D)の諸元について、それぞれ表1〜表4に示す。表1に示す光重合性オリゴマー(A)の各材料A−1〜A−5の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による測定値であり、具体的には、測定装置としてSHODEX社製GPC−104(分離カラムLF−404(3本連結)、ガードカラムLF−G、RI検出器RI−74S(いずれもSHODEX社製))を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、サンプル濃度10mg/4mL、溶離液流量0.3mL/min、及びカラム温度40℃の条件で測定した値である。
【0054】
表2に示す光重合性モノマー(B)は、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)として材料B−1〜B−5を用い、第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)として材料B−6〜B−10を用い、さらにその他のアクリロイル化合物として材料B−11〜B−13を用いた。このうち、材料B−4であるフェノキシテトラエチレングリコールアクリレートについては、以下実施例及び比較例で必要な量を製造して使用した。具体的な製造方法としては、24.8gのテトラエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAP−200、日油株式会社製)を、160mLのテトラヒドロフラン中で10.5gの炭酸ナトリウムと共に1時間撹拌しながら還流させた後、ブロモベンゼン17.3gを滴下し、更に4時間還流を継続した後に室温まで冷却した。この反応液を濾過し、テトラヒドロフランを留去した後、シリカゲルクロマトグラフィーを通過させて材料B−4のフェノキシテトラエチレングリコールアクリレートを得た。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
実施例及び比較例における樹脂組成物(未硬化物)及びその硬化物の物性の測定方法及び効果の評価方法は、下記のとおりである。
(1)見かけ粘度
JIS Z8803(円錐−平板形回転粘度計)に準じて、ブルックフィールド社製 コーンプレート型粘度計 DT−3Tを使用して、25℃におけるせん断速度1.0s−1にて見かけ粘度を測定した。
【0060】
(2)チクソトロピー係数
上記(1)見かけ粘度と同じ測定方法で測定した、せん断速度0.1s−1及び1.0s−1の見かけ粘度から、上記数式1を用いてチクソトロピー係数を算出した。
【0061】
(3)損失係数(緩衝性)
透明PPフィルム上に、硬化後に厚み2mmとなるように活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をシート状に成形し、天面及び底面から365nmの紫外線をそれぞれ2J/cmずつ照射して硬化させた。シート状の硬化物をφ29mmに抜き成型し測定サンプルとした。測定はレオメーター(ARES−G2、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製品)を用いて25℃、10Hzでの損失係数を測定した(JIS K7244−10準拠)。測定した損失係数から緩衝性を評価し、損失係数が0.3以上の場合を緩衝性が「○」(良好)、損失係数が0.3未満の場合を緩衝性が「×」(不適合)と判断した。
【0062】
(4)硬度(柔軟性・低反発性)
透明PETフィルム上に、硬化後に厚み2mmとなるように活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をシート状に成形し、天面及び底面から365nmの紫外線をそれぞれ2J/cmずつ照射して硬化させた。このようにして得られたシート状の硬化物を5枚重ねて測定サンプルとした。測定は、JIS K6253に準じたタイプEデュロメータを用いてE硬度を測定した。測定したE硬度から柔軟性を評価し、E硬度が40以下の場合を柔軟性が「○」(良好)、E硬度が40超の場合を柔軟性が「×」(不適合)と判断した。
【0063】
(5)圧縮永久歪
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をφ13mm、高さ6.3mmとなる透明な樹脂型に注型し、天面及び底面から365nmの紫外線をそれぞれ2J/cmずつ照射して硬化させたものを測定サンプルとした。JIS K−6262に準じて70℃温度環境下25%圧縮条件で23時間保持した後の歪率を測定した。
【0064】
(6)径精度:ビード状吐出体の径膨張(Swell)の低減
吐出口の断面形状が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を、紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着した。400kPaの空気圧を印加して、内径φ0.5mmのニードルから活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を吐出してビード状吐出体を形成させると同時にUV照射し、ビード状硬化物とした。ビード状硬化物の断面外径(塗布幅)を、顕微鏡(ニコン社製MM−800/LFA 倍率20倍)で測定し、吐出ニードル内径IDnとビード状硬化物の外径ODbとの比率ODb/IDnで評価し、比率が1.5以下の場合を径精度が「○」(良好)、1.5を超えた場合を径精度が「×」(不適合)とした。
【0065】
(7)塗工性(吐出性)
吐出口の断面形状が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を、紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着した。400kPaの空気圧を印加して、内径φ0.5mmのニードルから活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を16mm/sでビード状に吐出するとともに、ニードルを15mm/sの速度で移動させながら、図2に示すパターンのビード状吐出体を形成した。このとき、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニードルから16mm/sで吐出可能な場合を塗工性が「○」(良好)、吐出可能であるがニードル移動速度(15mm/s)よりも吐出速度が遅く、ビード状吐出体が伸び易い組成物を塗工性が「△」(準良好)、著しく吐出速度が小さいか、吐出困難な組成物を塗工性が「×」(不適合)とした。
【0066】
(8)ビード状吐出体の未硬化状態での形状保持性
吐出口の断面形状が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を、紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着した。内径φ0.5mmのニードルからの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の吐出速度とニードルの移動速度とを同じにして、ガラス板(平岡ガラス社製、ソーダガラス)上にビード状吐出体を形成した。ビード状吐出体を30秒間自然放置して、ビード状吐出体の形状変化(ダレの程度)を観察した。評価基準は、ビード状吐出体の幅と高さを、顕微鏡(ニコン製 MM−800−LFA)を用いて測定し、線高さと線幅との比(高さ/幅)が0.9〜1の場合に形状保持性が「◎」(優秀)、0.8〜0.9未満の場合に形状保持性が「○」(良好)、0.5〜0.8未満の場合に形状保持性が「△」(準良好)、0.5未満の場合に形状保持性が「×」(不適合)とした。
【0067】
[実施例1]
蓋つきプラスチック容器に、表5に示すように、光重合性オリゴマー(A)として材料A−1を10質量部、光重合性モノマー(B)として第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)である材料B−1を90質量部とり、光重合性オリゴマー(A)と光重合性モノマー(B)との合計を100質量部とした。これに、光重合性開始剤(C)として材料C−1を0.5質量部と材料C−2を0.5質量部加え、チクソトロピー付与剤(D)として材料D−1を6.4質量部加えた。次に、この混合物を自転・公転ミキサー(製品名:あわとり錬太郎(登録商標)ARE−250、株式会社シンキー社製品)を用いて、2000rpmにて3分間混練して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の一部を内容量50mLの遮光シリンジに充填し、シリンジ用遠心脱泡機(製品名:アワトロン(登録商標)AW−50、武蔵エンジニアリング株式会社製品)を用いて脱泡処理を行い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が充填された容器を作製し、径精度、塗工性及びビード状吐出体の形状保持性の評価用サンプルとした。一方、遮光シリンジに充填しなかった残りの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、見かけ粘度、チクソトロピー係数、損失係数、硬度及び圧縮永久歪の測定用サンプルとした。これらサンプルを用いて、実施例1で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性の測定及び評価を行った。
【0068】
[実施例2〜24]
各構成成分を表5〜表9に示す材料及び配合とした以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜24の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。各実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の測定及び評価を行った。結果を表5〜表9に示す。
【0069】
[実施例25]
蓋つきプラスチック容器に、表9に示すように、光重合性オリゴマー(A)として材料A−1を20質量部、光重合性モノマー(B)として第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)である材料B−1を80質量部とり、光重合性オリゴマー(A)と光重合性モノマー(B)との合計を100質量部とした。これに、チクソトロピー付与剤(D)として材料D−5を5質量部加え、100℃にて15分間静置し、チクソトロピー付与剤(D)を溶融させた状態で内容物を撹拌した。室温まで冷却した後、光重合性開始剤(C)として材料C−3を0.5質量部と材料C−4を0.5質量部加え、この混合物を自転・公転ミキサー(製品名:あわとり錬太郎(登録商標)ARE−250、株式会社シンキー社製品)を用いて、2000rpmにて3分間混練して実施例25の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。その後、実施例1と同様にして、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の測定及び評価を行った。結果を表9に示す。
【0070】
[実施例26〜31]
各構成成分を表10に示す材料及び配合とした以外は、実施例1と同様の方法で実施例26〜31の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。各実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の測定及び評価を行った。結果を表10に示す。
【0071】
[比較例1〜15]
各構成成分を表11〜表13に示す材料及び配合とした以外は、実施例1と同様の方法で比較例1〜11及び比較例13〜15の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。また、各構成成分を表13の比較例12に示す材料及び配合とした以外は、実施例25と同様の方法で比較例12の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、比較例1〜15で得られた各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性の測定及び評価を行った。結果を表11〜表13に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】
【表12】
【0080】
【表13】
【0081】
表5〜表10に示した実施例1〜31の評価結果から、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物はニードル塗工性、形状保持性及び径精度に優れるとともに、その硬化物はE硬度が40以下かつ損失係数が0.3以上の物性を有しており、柔軟性と緩衝性にも優れていることがわかった。なお、表5〜表10の評価の欄には記載していないが、実施例1〜31の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、径精度、塗工性及び形状保持性の評価について、ニードル内径がφ1mmのニードルを用いて塗工を行った場合においても、ニードル内径がφ0.5mmのニードルを用いた場合と同様の結果であった。さらに、本発明の構成の範囲において、構成成分として用いる材料及びその配合割合を調整することによって、圧縮永久歪みも小さくできることがわかった。
【0082】
具体的には、以下の構成(i)〜(vi)が、本発明の作用効果を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得るために重要であることがわかった。
(i) 実施例11〜12と比較例1の評価結果の比較及び実施例1〜10及び実施例13〜31の評価結果から、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対する光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)の割合が、94〜99.99重量%の範囲であること。
(ii) 実施例1〜31と比較例8〜11の評価結果の比較及び実施例10と比較例7との評価結果の比較から、光重合性モノマー(B)が、上記式1の構造からなる(メタ)アクリロイル化合物(b1)を含み、かつ光重合性モノマー(B)に占める(メタ)アクリロイル化合物(b1)の割合が80重量%以上であること。
(iii) 実施例1〜31と比較例4〜6の評価結果の比較から、光重合性オリゴマー(A)が、エーテル結合を有し、かつ重量平均分子量が10000以上のウレタン(メタ)アクリレートであること。
(iv) 実施例8〜9と比較例2〜3の評価結果の比較及び実施例1〜25の評価結果から、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計質量(A+B)に対する光重合性モノマー(B)の含有量が80〜99重量%であること。
(v) 実施例20〜21と比較例13〜14の評価結果の比較及び実施例1〜25の結果から、チクソトロピー付与剤(D)の添加割合は、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計(A+B+C)100質量部に対して、1〜40重量%であること。
(vi) 実施例1〜実施例31と比較例15の評価結果の比較から、光重合性モノマー(B)は式(1)で示される第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)を含み、かつ式(1)中のnの値が0〜4の整数であること。
【0083】
また、実施例20〜21と比較例13〜14の結果の比較及び実施例1〜31の結果、並びに実施例20及び実施例25と比較例12〜13の結果の比較から、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の見かけ粘度が10〜5000Pa・sであるとともに、チクソトロピー係数が1.1〜10の範囲であることが、優れた塗工性とビード状吐出体の形状保持や径精度を実現するために重要であることがわかった。
【0084】
また実施例2〜4、実施例11〜16及び実施例22〜23の評価結果で示されるように、光重合性モノマー(B)として、上述した式(1)の第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と上述した式(2)の第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)とを組み合わせて用いることで、硬化物の圧縮永久歪みを小さくできることがわかった。また、実施例2及び実施例13〜16の結果から、光重合性モノマー(B)の配合割合において、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)と第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の合計質量に対する第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)の含有量が0.1〜5重量%の範囲であると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のE硬度、損失係数及び圧縮永久歪みの物性がバランスよく向上することがわかった。
【0085】
また、実施例2と実施例28〜31の結果から、式(2)で示される第2の(メタ)アクリロイル化合物(b2)において、式(2)中のmの値を大きくするほど、硬化物の圧縮永久歪みの測定値が大きくなるため、mは1〜20の範囲とすることが好ましいことがわかった。
【0086】
また、実施例2と実施例22〜23の結果の比較から、チクソトロピー付与剤(D)がシリカ微粒子の場合には、シリカ微粒子の炭素含有量が小さいほど硬化物のE硬度が小さく、損失係数が大きい、低硬度で緩衝性に優れた硬化物が得られ、特にシリカ微粒子の炭素含有量が0.5重量%未満の場合が好ましいことがわかった。
【0087】
また、実施例2及び実施例17〜18と、実施例19との比較から、光重合性開始剤(C)がヒドロキシアルキルフェノン系の実施例19の場合には、表8の評価欄には記載していないが、硬化物の表面粘着性が強かったり、硬化が不十分な部分が表面に発生する場合が見られたことから、光重合性開始剤(C)が、少なくともホスフィン系化合物またはアミノアルキルフェノン系化合物であることが、より好ましいことがわかった。また、実施例2のように、ホスフィン系化合物とアミノアルキルフェノン系化合物を併用することで、硬化物の圧縮永久歪みがさらに優れることがわかった。
【0088】
さらに、実施例25の結果から、チクソトロピー付与剤(D)として有機化合物のアマイドワックスを適用した場合でも、シリカ微粒子を適用した場合と同様に本発明の効果が得られることがわかった。
【0089】
これらに対して、比較例1のように、光重合性オリゴマー(A)及び光重合性モノマー(B)の合計含有量(A+B)が、光重合性オリゴマー(A)、光重合性モノマー(B)及び光重合開始剤(C)の合計質量(A+B+C)に対して99.99重量%を超えた場合や、比較例2〜3のように、光重合性オリゴマー(A)と光重合性モノマー(B)の配合割合が本発明の構成の範囲から外れた構成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物や、比較例13〜14のようにチクソトロピー付与剤(D)の配合割合が本発明の構成の範囲から外れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ニードル塗布性、形状保持性、径精度に優れたものであっても、硬化物のE硬度は41以上および/または損失係数が0.3未満であり、硬度が大きく、柔軟性と緩衝性にも乏しく、本発明の効果が得られないことがわかった。また、比較例4〜6のように、光重合性オリゴマー(A)がエーテル結合を有さないか、または重量平均分子量が10000未満の場合も、硬化物のE硬度が41以上となり、硬度が大きく、柔軟性が低下して、本発明の効果が得られないことがわかった。また、比較例8〜11のように、光重合性モノマー(B)が、第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)を含まない場合や、比較例7のように、光重合性モノマー(B)に占める第1の(メタ)アクリロイル化合物(b1)の割合が80重量%未満である場合にも、硬化物の損失係数が0.3未満となって緩衝性に乏しい等、本発明の効果が得られないことがわかった。さらに、比較例12〜14のように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度とチクソトロピー係数が本発明の範囲から外れると、ビード状吐出体を形成する塗工性などにおいて本発明の効果が得られないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ニードル塗布によりビード状またはドット状のシール材や緩衝材などを形成するために好適に用いられ、狭スペース部分のシール材や緩衝材などとして最適であり、それを組込む電子機器などの小型化やコストダウンに貢献する。また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、損失係数が大きく緩衝性や防振性に優れると共に、低硬度で柔軟性に富み低反発性であるため、それを組込む電子機器などの耐衝撃性を向上でき、品質の向上に貢献する。
【符号の説明】
【0091】
1 ビード状のシール材
10 ビード状吐出体
11 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
4 ニードル状塗工部
5 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器
8 活性エネルギー線照射ユニット
9 三次元制御式塗付装置
90 圧力空気供給管
B 試料台(ステージ)
図1
図2