特許第6763619号(P6763619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6763619
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】高度生分解性材料の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20200917BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20200917BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20200917BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20200917BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20200917BHJP
   C08L 3/00 20060101ALI20200917BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20200917BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20200917BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20200917BHJP
【FI】
   C08L67/04ZBP
   C08L67/02
   C08K3/34
   C08K5/09
   C08K3/22
   C08L3/00
   C08G63/91
   C08J3/20 ZCFD
   !C08L101/16
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-88936(P2019-88936)
(22)【出願日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年6月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519165478
【氏名又は名称】ヴァス ネットワークス (エイチケー) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VASU NETWORKS (HK) LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン メイ リン
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/102919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/02
C08L 67/04
C08L 3/00−3/20
C08K 3/00−3/40
C08K 5/00−5/59
C08J 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性ポリ乳酸30〜80重量部、
ポリブチレンアジペートテレフタレート30〜80重量部、
変性超微細タルク粉末5〜25重量部、
モノステアリン1〜5重量部、
エチレンビスステアリン酸アミド0〜2重量部、
N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド0〜2重量部、
クエン酸トリブチル0〜3重量部、
ポリエチレンワックス0〜3重量部、
可塑化澱粉0〜25重量部、
炭酸カルシウム0〜10重量部、
二酸化チタン0.1〜2重量部、
ステアリン酸1〜5重量部、
グリセロール0〜15重量部、
エポキシ化大豆油0〜3重量部、および
チタネートカップリング剤0〜2重量部
の原料から調製され、
前記変性超微細タルク粉末は、3000〜6000メッシュの超微細タルク粉末100重量部を高速混合機に入れて100℃の温度で20分間脱水した後に、水分を測定して0.01%以下に抑え、脱水した材料にアセチルクエン酸トリブチル0.3〜1重量部およびKH560 1〜5重量部を加え、20分間低速撹拌してから、さらに10分間高速混合して得ることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項2】
変性ポリ乳酸30〜80重量部、
ポリブチレンアジペートテレフタレート30〜80重量部、
変性超微細タルク粉末5〜25重量部、
モノステアリン1〜5重量部、
エチレンビスステアリン酸アミド0〜2重量部、
N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド0〜2重量部、
クエン酸トリブチル0〜3重量部、
ポリエチレンワックス0〜3重量部、
可塑化澱粉0〜25重量部、
炭酸カルシウム0〜10重量部、
二酸化チタン0.1〜2重量部、
ステアリン酸1〜5重量部、
グリセロール0〜15重量部、
エポキシ化大豆油0〜3重量部、および
チタネートカップリング剤0〜2重量部
の原料から調製され、
25重量部までの前記可塑化澱粉を含み、前記可塑化澱粉は、澱粉100重量部を高速混合機に入れて80〜100℃の温度で20〜30分間高速攪拌してから、グリセロール20〜30重量部と無水マレイン酸2〜3重量部を加え、さらに20〜30分間高速混合して得ることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高度生分解性材料の調製方法において、前記変性ポリ乳酸は、ポリ乳酸樹脂を100重量部とした場合、ジグリシジルエーテルが0.2〜2重量部、オキサゾリン系多官能モノマーが0.1〜4重量部、トリフェニルホスフィンが0.05〜0.2重量部、酸化防止剤が0.1〜1重量部、造核剤が0.1〜1重量部であり、これらを高速混合機で十分に混合した後に、140〜160℃の造粒温度で、二軸スクリュー押出機で造粒して得ることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項4】
請求項3に記載の高度生分解性材料の調製方法において、前記オキサゾリン系多官能モノマーは、2,2’−(1,4−フェニレン)オキサゾリン、2,2’−(1,3−フェニレン)ジオキサゾリン、2,2’−(1,2−フェニレン)ジオキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5−メチルオキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス(5−メチルオキサゾリン)、2,2’−イソプロピレン−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピレン−ビス(3−フェニル−2−オキサゾリン)、および2,2’−イソプロピレン−ビス(2−フェニル−2−オキサゾリン)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項5】
請求項3に記載の高度生分解性材料の調製方法において、前記酸化防止剤は、酸化防止剤IRGANOX(登録商標)1330(BASF社製)であることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項6】
請求項3に記載の高度生分解性材料の調製方法において、前記造核剤は、セバシン酸ジ安息香酸ヒドラジドであることを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【請求項7】
請求項1に記載の高度生分解性材料の調製方法において、25重量部までの前記可塑化澱粉を含み、
(1)前記変性ポリ乳酸を調製するステップと、
(2)前記変性超微細タルク粉末を調製するステップと、
(3)可塑化澱粉を調製するステップと、
(4)前記変性ポリ乳酸30〜80重量部、ポリブチレンアジペートテレフタレート30〜80重量部、変性超微細タルク粉末5〜25重量部、モノステアリン1〜5重量部、エチレンビスステアリン酸アミド0〜2重量部、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド0〜2重量部、クエン酸トリブチル0〜3重量部、ポリエチレンワックス0〜3重量部、可塑化澱粉0〜25重量部、炭酸カルシウム0〜10重量部、二酸化チタン0.1〜2重量部、ステアリン酸1〜5重量部、グリセロール0〜15重量部、エポキシ化大豆油0〜3重量部、およびチタネートカップリング剤0〜2重量部を高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得るステップと、
(5)プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御して、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、ブロー成形、射出成形、ホットプレス成形、真空成形、および押出成形から選択したいずれかを含む成形工程に使用できる高度生分解性材料を得るステップと、
を含み、
前記変性超微細タルク粉末は、3000〜6000メッシュの超微細タルク粉末100重量部を高速混合機に入れて100℃の温度で20分間脱水した後に、水分を測定して0.01%以下に抑え、脱水した材料にアセチルクエン酸トリブチル0.3〜1重量部およびKH560 1〜5重量部を加え、20分間低速撹拌してから、さらに10分間高速混合して調製し、
前記可塑化澱粉は、澱粉100重量部を高速混合機に入れて80〜100℃の温度で20〜30分間高速攪拌してから、グリセロール20〜30重量部と無水マレイン酸2〜3重量部を加え、さらに20〜30分間高速混合して得る
ことを特徴とする高度生分解性材料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高度生分解性材料の調製方法に関し、生物化学工学の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ここ20年間、生分解性プラスチックは急速な発展を遂げており、そのなかでもポリ乳酸(Polylactic acid、以下PLAと称する)やポリブチレンアジペートテレフタレート(Polybutyleneadipate−co−terephthalate、以下PBATと称する)のような生分解性と加工性に優れた環境に優しい材料が注目を集めている。
【0003】
PLAは脂肪族ポリエステルであり、その合成原料である乳酸は従来の石油原料を使わず、実質的に生物学的発酵によって調製することができ、優れた生体適合性と高い強度を有し、日用品および生物医学分野において幅広く使われている。脂肪族ポリエステルを用いた易分解性樹脂組成物が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5440998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、PLAは、強度が高いが、靭性が低く、耐衝撃性および耐引裂性が劣り、そのうえ50℃以上の温度に耐えられないため、PLAの使用範囲がある程度制限されている。一方、PBATは2価アルコールと二塩基酸が重合してなる脂肪族−芳香族コポリエステルであり、柔軟性および成膜性に優れているが、強度が低く、ヤング率が低いため、PBATの普及および使用もある程度制限されている。したがって、多くの研究者はPLAとPBATをブレンド材料に調製したが、ブレンドの過程における両者の相溶性が悪く、様々なプラスチックの調製工程の要求を満たすことができず、そのうえ耐熱性が低く、コストが高い問題点があった。
本発明は、上記の問題点を改善するためになされたものであり、高度生分解性材料の調製方法を提供することを目的とし、本発明によって調製される高度生分解性材料は、性能が優れて、耐熱性がよく、コストが低く、ブロー成形、射出成形、ホットプレス成形、真空成形、押出成形などの様々な成形工程に使用でき、且つ180日以内に実質的に生分解して堆肥として使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明は、高度生分解性材料の調製方法であって、変性PLA30〜80重量部、PBAT30〜80重量部、変性超微細タルク粉末(modified Ultrafine Talc Powder)5〜25重量部、モノステアリン(Monostearin)1〜5重量部、エチレンビスステアリン酸アミド(Ethylene Bis Stearamide、以下EBSと称する)0〜2重量部、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド(N,N−ethylenebisoleamide、以下EBOと称する)0〜2重量部、クエン酸トリブチル(Tributyl Citrate)0〜3重量部、ポリエチレンワックス(Polyethylene wax)0〜3重量部、可塑化澱粉(Plasticized starch)0〜25重量部、炭酸カルシウム(Calcium carbonate)0〜10重量部、二酸化チタン(Titanium dioxide)0.1〜2重量部、ステアリン酸(Stearic acid)1〜5重量部、グリセロール(Glycerol)0〜15重量部、エポキシ化大豆油(Epoxidized soybean oil)0〜3重量部、およびチタネートカップリング剤(Isopropyl dioleic(dioctylphosphate)titanate)0〜2重量部の原料から調製され、
前記変性超微細タルク粉末は、3000〜6000メッシュの超微細タルク粉末100重量部を高速混合機に入れて100℃の温度で20分間脱水した後に、水分を測定して0.01%以下に抑え、脱水した材料にアセチルクエン酸トリブチル0.3〜1重量部およびKH560 1〜5重量部を加え、20分間低速撹拌してから、さらに10分間高速混合して得ることを特徴とする。
また、本発明に係る他の高度生分解性材料の調製方法は、変性ポリ乳酸30〜80重量部、ポリブチレンアジペートテレフタレート30〜80重量部、変性超微細タルク粉末5〜25重量部、モノステアリン1〜5重量部、エチレンビスステアリン酸アミド0〜2重量部、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド0〜2重量部、クエン酸トリブチル0〜3重量部、ポリエチレンワックス0〜3重量部、可塑化澱粉0〜25重量部、炭酸カルシウム0〜10重量部、二酸化チタン0.1〜2重量部、ステアリン酸1〜5重量部、グリセロール0〜15重量部、エポキシ化大豆油0〜3重量部、およびチタネートカップリング剤0〜2重量部の原料から調製され、25重量部までの前記可塑化澱粉を含み、前記可塑化澱粉は、澱粉100重量部を高速混合機に入れて80〜100℃の温度で20〜30分間高速攪拌してから、グリセロール20〜30重量部と無水マレイン酸2〜3重量部を加え、さらに20〜30分間高速混合して得ることを特徴とする
【0007】
また、上記の高度生分解性材料の調製方法において、変性PLAは、PLA樹脂を100重量部とした場合、ジグリシジルエーテル(Diglycidyl ether)が0.2〜2重量部、オキサゾリン系多官能モノマー(Polyfunctional monomer of oxazoline)が0.1〜4重量部、トリフェニルホスフィン(Triphenylphosphine)が0.05〜0.2重量部、酸化防止剤(Antioxidant)が0.1〜1重量部、造核剤(Nucleating agent)が0.1〜1重量部であり、これらを高速混合機で十分に混合した後、140〜160℃の造粒温度で、二軸スクリュー押出機で造粒して得ることを特徴とする。
【0008】
また、上記の高度生分解性材料の調製方法において、オキサゾリン系多官能モノマーは、2,2’−(1,4−フェニレン)オキサゾリン(2,2’−(1,4−phenylene)oxazoline)、2,2’−(1,3−フェニレン)ジオキサゾリン(2,2’−(1,3−phenylene)dioxazoline)、2,2’−(1,2−フェニレン)ジオキサゾリン(2,2’−(1,2−phenylene)dioxazoline)、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)(2,2’−bis(2−oxazoline))、2,2’−ビス(5−メチルオキサゾリン)(2,2’−bis(5−methyl oxazoline))、2,2’ −メチレン−ビス(5−メチルオキサゾリン)(2,2’−methylene−bis(5methyl oxazoline))、2,2’ −イソプロピレン−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(2,2’−isopropylene−bis(4−phenyl−2−oxazoline))、2,2’ −イソプロピレン−ビス(3−フェニル−2−オキサゾリン)( 2,2’−isopropylene−bis(3−phenyl−2−oxazoline))、および2,2’−イソプロピレン−ビス(2−フェニル−2−オキサゾリン)( 2,2’−isopropylene−bis(2−phenyl−2−oxazoline))から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0009】
また、上記の高度生分解性材料の調製方法において、酸化防止剤は、酸化防止剤IRGANOX(登録商標)1330(BASF社製)であることを特徴とする。
【0010】
また、上記の高度生分解性材料の調製方法において、造核剤は、セバシン酸ジ安息香酸ヒドラジド(Dibenzoylhydrazide sebacate)であることを特徴とする。
【0013】
また、上記の高度生分解性材料の調製方法において、(1)変性PLAを調製するステップと、(2)変性超微細タルク粉末を調製するステップと、(3)可塑化澱粉を調製するステップと、(4)変性PLA30〜80重量部、PBAT30〜80重量部、変性超微細タルク粉末5〜25重量部、モノステアリン1〜5重量部、EBS0〜2重量部、EBO0〜2重量部、クエン酸トリブチル0〜3重量部、ポリエチレンワックス0〜3重量部、可塑化澱粉0〜25重量部、炭酸カルシウム0〜10重量部、二酸化チタン0.1〜2重量部、ステアリン酸1〜5重量部、グリセロール0〜15重量部、エポキシ化大豆油0〜3重量部、およびチタネートカップリング剤0〜2重量部を高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得るステップと、(5)プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御して、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、ブロー成形、射出成形、ホットプレス成形、真空成形、および押出成形から選択したいずれかを含む成形工程に使用できる高度生分解性材料を得るステップと、
を含み、
前記変性超微細タルク粉末は、3000〜6000メッシュの超微細タルク粉末100重量部を高速混合機に入れて100℃の温度で20分間脱水した後に、水分を測定して0.01%以下に抑え、脱水した材料にアセチルクエン酸トリブチル0.3〜1重量部およびKH560 1〜5重量部を加え、20分間低速撹拌してから、さらに10分間高速混合して調製し、
25重量部までの前記可塑化澱粉を含み、前記可塑化澱粉は、澱粉100重量部を高速混合機に入れて80〜100℃の温度で20〜30分間高速攪拌してから、グリセロール20〜30重量部と無水マレイン酸2〜3重量部を加え、さらに20〜30分間高速混合して得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の調製方法によれば、性能が優れて、耐熱性がよく、コストが低く、ブロー成形、射出成形、ホットプレス成形、真空成形、押出成形などの様々な成形工程に使用でき、且つ180日以内に実質的に生分解して堆肥として使用することができる高度生分解性材料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明についてさらに詳しく説明する。
【0016】
(実施例1)変性PLAの調製
PLA1000g、ジグリシジルエーテル2g、2,2’−(1,3−フェニレン)ジオキサゾリン1g、トリフェニルホスフィン0.5g、酸化防止剤IRGANOX(登録商標)1330(BASF社製)1g、セバシン酸ジ安息香酸ヒドラジド1gを高速混合機(一例として約1400rpm、本明細書中で同様)で十分に混合した後、140〜160℃の造粒温度で、二軸スクリュー押出機で造粒して変性PLAを得る。得られた変性PLAは以下の実施例に使用可能である。
【0017】
(実施例2)変性超微細タルク粉末の調製
5000メッシュの超微細タルク粉末1000gを高速混合機に入れて100℃の温度で20分間脱水した後に、水分を測定して0.01%以下に抑え、脱水した材料にアセチルクエン酸トリブチル5gおよびKH560 10gを加え、20分間低速(一例として約700rpm、本明細書中で同様)で撹拌してから、さらに10分間高速混合(一例として約1400rpm、本明細書中で同様)して変性超微細タルク粉末を得る。得られた変性超微細タルク粉末は以下の実施例に使用可能である。
【0018】
(実施例3)可塑化澱粉の調製
澱粉1000gを高速混合機に入れて80〜100℃の温度で20〜30分間高速撹拌(一例として約1400rpm、本明細書中で同様)してから、グリセロール250gと無水マレイン酸20gを加え、さらに20〜30分間高速撹拌して可塑化澱粉を得る。得られた可塑化澱粉は以下の実施例に使用可能である。
【0019】
(実施例4)高度生分解性薄膜の調製
変性PLA800g、PBAT800g、変性超微細タルク粉末250g、モノステアリン50g、EBS10g、EBO5g、クエン酸トリブチル15g、ポリエチレンワックス10g、可塑化澱粉200g、二酸化チタン1g、ステアリン酸10g、エポキシ化大豆油15g、およびチタネートカップリング剤10gを高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得る。プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、インフレーションフィルム用のペレットを得る。押出ペレット化の条件としては、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御する。インフレーションフィルム用のペレットはさらにインフレーションフィルム成形機でインフレーションフィルム成形して、高度生分解性薄膜を得る。インフレーションフィルム成形温度は135〜155℃である。
【0020】
(実施例5)高度生分解性シートの調製
変性PLA600g、PBAT300g、変性超微細タルク粉末50g、モノステアリン20g、クエン酸トリブチル15g、ポリエチレンワックス25g、可塑化澱粉200g、炭酸カルシウム100g、二酸化チタン20g、ステアリン酸30g、エポキシ化大豆油20g、およびチタネートカップリング剤10gを高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得る。プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、シート材用のペレットを得る。押出ペレット化の条件としては、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御する。シート材用のペレットはさらに二軸スクリューシートマシンでシート成形して、高度生分解性シートを得る。得られた高度生分解性シートは真空成型製品に使用可能である。
【0021】
(実施例6)高度生分解性射出成形材料の調製
変性PLA1600g、PBAT1200g、変性超微細タルク粉末300g、モノステアリン50g、クエン酸トリブチル20g、ポリエチレンワックス60g、炭酸カルシウム200g、二酸化チタン20g、ステアリン酸40g、およびエポキシ化大豆油20gを高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得る。プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、射出成形用のペレットを得る。押出ペレット化の条件としては、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御する。得られたペレットは様々な高度生分解性製品の射出成形に使用可能である。
【0022】
(実施例7)高度生分解性飲料ストローの調製
変性PLA800g、PBAT1600g、変性超微細タルク粉末400g、モノステアリン50g、クエン酸トリブチル15g、ポリエチレンワックス10g、二酸化チタン1g、ステアリン酸10g、およびエポキシ化大豆油15gを高速混合機に投入し、80〜100℃の温度で強く均一に攪拌して、プレミックスを得る。プレミックスをさらに二軸スクリュー押出機の供給口から投入し、溶融押出し、空気冷却およびペレット化して、飲料ストロー調製用のペレットを得る。押出ペレット化の条件としては、二軸スクリュー押出機の各段の温度を140〜175℃に制御する。飲料ストロー調製用のペレットはさらにストロー押出機でストロー成形して、高度生分解性飲料ストローを得る。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の調製方法によって得られる高度生分解性材料は、ブロー成形、射出成形、ホットプレス成形、真空成形、押出成形などの様々な成形工程に使用可能である。
【要約】      (修正有)
【課題】性能が優れて、耐熱性がよく、コストが低く、様々な成形工程に使用できる高度生分解性材料の調製方法を提供する。
【解決手段】変性ポリ乳酸30〜80重量部、ポリブチレンアジペートテレフタレート30〜80重量部、変性超微細タルク粉末5〜25重量部、モノステアリン1〜5重量部、エチレンビスステアリン酸アミド0〜2重量部、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド0〜2重量部、クエン酸トリブチル0〜3重量部、ポリエチレンワックス0〜3重量部、可塑化澱粉0〜25重量部、炭酸カルシウム0〜10重量部、二酸化チタン0.1〜2重量部、ステアリン酸1〜5重量部、グリセロール0〜15重量部、エポキシ化大豆油0〜3重量部、およびチタネートカップリング剤0〜2重量部の原料から調製される。
【選択図】なし