特許第6763672号(P6763672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763672シールバー、シールバーシステム、及び袋状物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763672
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】シールバー、シールバーシステム、及び袋状物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20200917BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20200917BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20200917BHJP
   H01M 2/02 20060101ALN20200917BHJP
【FI】
   B65B51/10 A
   H01G11/78
   H01G11/84
   !H01M2/02 K
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-38300(P2016-38300)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-154760(P2017-154760A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−159602(JP,U)
【文献】 特開2002−190283(JP,A)
【文献】 特開昭57−008633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
H01G 11/78
H01G 11/84
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体の一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材に積層されているシーラント層を互いに溶着させるシールバーにおいて、
自身の前記シート材の主面に沿う方向の長さが、前記外装体の縁部の前記主面に沿う方向の長さよりも短く、かつ自身が前記外装体の縁部に接触したときに、自身から前記外装体における前記主面に沿う方向の両端部が前記主面に沿う方向にそれぞれ突出するととも、前記主面に沿う方向の全長にわたって平坦に形成され、前記外装体の縁部を加圧する1つの第一の加圧面と、
前記第一の加圧面に連なるように形成され前記第一の加圧面よりも凹んだ凹部と、
を備えることを特徴とするシールバー。
【請求項2】
請求項1に記載のシールバーと、補助シールバーと、を備えるシールバーシステムであって、
前記シールバーは、前記第一の加圧面よりも突出した第一の凸部を備え、
前記補助シールバーは、
前記一対のシート材の縁部を、前記第一の加圧面とともに挟むように加圧する第二の加圧面と、
前記第二の加圧面よりも突出した第二の凸部と、
を備え、
前記第一の凸部と前記第二の凸部とが接触したときに、前記第一の加圧面と前記第二の加圧面との間に隙間が形成されることを特徴とするシールバーシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシールバーを用いて前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで前記外装体内に被収容物が収容された袋状物を製造する袋状物の製造方法であって、
前記一対のシート材の縁部に前記シールバーの前記第一の加圧面を、前記縁部から前記主面に沿う方向に前記第一の加圧面が突出しないように接触させ、
前記第一の加圧面で前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材のシーラント層を互いに溶着させることを特徴とする袋状物の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載のシールバーシステムを用いて前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで前記外装体内に被収容物が収容された袋状物を製造する袋状物の製造方法であって、
前記一対のシート材の縁部に前記シールバーの前記第一の加圧面及び前記補助シールバーの前記第二の加圧面を、前記一対のシート材の縁部を挟むとともに前記縁部から前記主面に沿う方向に前記第一の加圧面及び前記第二の加圧面が突出しないように接触させ、
前記第一の凸部と前記第二の凸部とを接触させ、
前記第一の加圧面及び前記第二の加圧面で前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材のシーラント層を互いに溶着させることを特徴とする袋状物の製造方法。
【請求項5】
前記第一の凸部と前記第二の凸部とが接触したときの、前記第一の加圧面と前記第二の加圧面との距離は、前記一対のシート材の厚さよりも短い請求項4に記載の袋状物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールバー、シールバーシステム、及び袋状物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セパレータを介して正極層及び負極層を積層して外装体内に封止し、正極層及び負極層の各タブ端子を外装体のヒートシール部から突出させた二次電池が知られている。この二次電池のような袋状の外装体により形成される袋状物として、例えば特許文献1に開示されたキャパシタモジュールが知られている。
【0003】
このキャパシタモジュールは、第1フィルム(シート材)と第2フィルム(シート材)とを周囲でヒートシールした外装体に蓄電体(被収容物)が封入されており、タブ端子が上方のヒートシール部から突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−175084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、各フィルムは、加熱することで溶融する変性PP(ポリプロピレン)層等のシーラント層を内側となる層に有している。例えば、矩形状に形成された各フィルムのシーラント層同士を接触させた状態で重ねる。重ねた両フィルムの3つの縁部を第一のシールバー及び第二のシールバーで挟んで加熱しつつ加圧する(ヒートシールする)。これにより、シーラント層が溶融してシーラント層同士が溶着し、ヒートシール部となる。外装体が、3つの縁部がヒートシールされるとともに1つの縁部が開口した袋状に形成される。
外装体の開口した縁部から外装体内に電解質等を充填する。外装体のこの1つの縁部をヒートシールすることで、製造される。
【0006】
しかしながら、外装体の縁部をヒートシールすると、溶融したシーラント層が外装体の側面からはみ出してくる。このはみ出したものがシールバーに付着すると、シールバー上で炭化する。このためシーラント層を形成する材料が炭化したものでシールバーが汚れ、このシールバーで続けて袋状物を製造するときに袋状物に炭化した異物が付着したり混入したりするという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、外装体からはみ出した溶融したシーラント層が付着するのを抑えたシールバー、シールバーシステム、及び袋状物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のシールバーは、外装体の一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材に積層されているシーラント層を互いに溶着させるシールバーにおいて、自身の前記シート材の主面に沿う方向の長さが、前記外装体の縁部の前記主面に沿う方向の長さよりも短く、かつ自身が前記外装体の縁部に接触したときに、自身から前記外装体における前記主面に沿う方向の両端部が前記主面に沿う方向にそれぞれ突出するととも、前記主面に沿う方向の全長にわたって平坦に形成され、前記外装体の縁部を加圧する1つの第一の加圧面と、前記第一の加圧面に連なるように形成され前記第一の加圧面よりも凹んだ凹部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の袋状物の製造方法は、上記に記載のシールバーを用いて前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで前記外装体内に被収容物が収容された袋状物を製造する袋状物の製造方法であって、前記一対のシート材の縁部に前記シールバーの前記第一の加圧面を、前記縁部から前記主面に沿う方向に前記第一の加圧面が突出しないように接触させ、前記第一の加圧面で前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材のシーラント層を互いに溶着させることを特徴としている。
【0010】
これらの発明によれば、一対のシート材の縁部にシールバーの第一の加圧面を、シート材の縁部から主面に沿う方向に第一の加圧面が突出しないように接触させる。溶融したシーラント層は外装体の側面からはみ出すが、はみ出したシーラント層の周囲には凹部が形成されている。
【0011】
また、本発明のシールバーシステムは、上記に記載のシールバーと、補助シールバーと、を備えるシールバーシステムであって、前記シールバーは、前記第一の加圧面よりも突出した第一の凸部を備え、前記補助シールバーは、前記一対のシート材の縁部を、前記第一の加圧面とともに挟むように加圧する第二の加圧面と、前記第二の加圧面よりも突出した第二の凸部と、を備え、前記第一の凸部と前記第二の凸部とが接触したときに、前記第一の加圧面と前記第二の加圧面との間に隙間が形成されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の袋状物の製造方法は、上記に記載のシールバーシステムを用いて前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで前記外装体内に被収容物が収容された袋状物を製造する袋状物の製造方法であって、前記一対のシート材の縁部に前記シールバーの前記第一の加圧面及び前記補助シールバーの前記第二の加圧面を、前記一対のシート材の縁部を挟むとともに前記縁部から前記主面に沿う方向に前記第一の加圧面及び前記第二の加圧面が突出しないように接触させ、前記第一の凸部と前記第二の凸部とを接触させ、前記第一の加圧面及び前記第二の加圧面で前記一対のシート材の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれの前記シート材のシーラント層を互いに溶着させることを特徴としている。
これらの発明によれば、第一の凸部と第二の凸部とを接触させたときに第一の加圧面と第二の加圧面との間に一定の隙間が形成される。このため、外装体の縁部におけるヒートシールされたヒートシール部の厚さを一定にすることができる。
【0013】
また、前記袋状物の製造方法において、前記第一の凸部と前記第二の凸部とが接触したときの、前記第一の加圧面と前記第二の加圧面との距離は、前記一対のシート材の厚さよりも短くてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシールバー、シールバーシステム、及び袋状物の製造方法によれば、外装体からはみ出した溶融したシーラント層が付着するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の二次電池の要部を模式的に示す平面図である。
図2】同二次電池のヒートシール部を模式的に示す側面の断面図である。
図3】本発明の一実施形態の二次電池の製造方法を説明する断面図である。
図4】同二次電池の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシールバー(ヒートバー)の一実施形態を、袋状物が二次電池である場合について図1から図4を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本実施形態のシールバーで製造される二次電池10の一例を示す図である。この二次電池10は、例えばリチウムイオン二次電池であり、一対のシート材16を有する外装体15の一対のシート材16間に被収容物18を配置して構成されている。
【0017】
シート材16の構成は、加熱されると溶融するシーラント層16aが最も内側の層であれば特に限定されない。この例では、シート材16は、最も内側の層からシーラント層16a、アルミニウム層16b、ナイロン層16c、及びPET(ポリエチレンテレフタレート)層16dの順で積層されて構成されている。
シーラント層16aは、例えば変性PPの傾斜材料で形成されている。シーラント層16aの内側の部分は、後述するシーラントフィルム21と強固に溶着(熱溶着)可能である。シーラント層16aの外側の部分は、アルミニウム層16bと強固に溶着可能である。
【0018】
シーラント層16aは、アルミニウム層16b、ナイロン層16c、及びPET層16dに比べて融点が低い。シート材16の縁部に形成される後述するヒートシール部16eのシーラント層16aの厚さt1は、例えば約55μm(マイクロメートル)であり、ヒートシール部16eを構成するシート材16の厚さt2は、例えば約125μmである。
なお、シーラント層16aとアルミニウム層16bとの間に、金属被膜層を設けてもよい。アルミニウム層16bとナイロン層16cとの間に、金属被膜層や接着層を設けてもよい。
シート材16は、全体として平面視で矩形状のシート状に形成されている。一対のシート材16は、厚さ方向に重ねられている。
一対のシート材16は、一対のシート材16のうちの1つのシート材16のシーラント層16aの縁部と他の1つのシート材16のシーラント層16aの縁部とが溶着することで、互いに接合されている。シート材16の縁部が熱溶着された部分には、ヒートシール部16eが形成され、ヒートシールされる前よりも厚さが薄くなっている。一対のシート材16の縁部と外装体15の縁部とは、同じ意味である。
シート材16の主面16fは、シーラント層16aの外面となる主面、及び、PET層16dの外面となる主面のことを意味する。シート材16の主面16fに沿う方向Xは、例えばシート材16の縁部に沿う2種類の方向のいずれかである。
【0019】
被収容物18は、詳細には図示はしないが、正極層及び負極層がセパレータを介して交互に積層された蓄電体19と、外装体15内に充填された電解質と、を有している。正極層には、例えばアルミニウム箔等の主面に正極活物質層を設けたものを用いることができる。負極層には、例えば銅箔等の主面に負極活物質層を設けたものを用いることができる。セパレータを構成する材料は、特に限定されない。例えば、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等を挙げることができる。
【0020】
電解質は特に限定されず、例えば、公知のリチウムイオン二次電池で使用される公知の電解液等が適用可能である。電解液としては、有機溶媒に電解質塩を溶解した混合溶液が例示できる。
有機溶媒としては、高電圧に対する耐性を有するものが好ましく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトロヒドラフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテートなどの極性溶媒、又はこれら溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。
電解質塩としては、例えばLiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCF、LiCFCO、LiPFSO、LiN(SOCF、Li(SOCFCF、LiN(COCF、及びLiN(COCFCF等のリチウムを含む塩、又はこれら塩の2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
正極層及び負極層には、それぞれタブ端子20の第一の端部が接続されている。図1に示すタブ端子20は、例えば正極層用のタブ端子である。タブ端子20は、金属等の導電性材料により、例えば厚さが0.5mm程度の板状に形成されている。
タブ端子20の長手方向の中間部の外面には、シーラントフィルム21が取付けられている。シーラントフィルム21は、シーラント層16aと同一の材料で形成されている。シーラントフィルム21は、シーラント層16aに溶着している。
タブ端子20の第二の端部は、シート材16のヒートシール部16eから外部に突出している。
【0022】
次に、以上のように構成された二次電池10を製造する本実施形態の二次電池10の製造方法(以下、単に製造方法と称する)について説明する。
まず、本製造方法で用いられるシールバーシステムについて説明する。
図3に示すように、シールバーシステム1は、第一のシールバー(シールバー)30と、第二のシールバー(補助シールバー)40と、を備えている。
【0023】
第一のシールバー30は、直方体状に形成された第一の本体31と、第一の本体31の外面である第一の加圧面31aに連なるように形成され第一の加圧面31aよりも第一の本体31の厚さ方向Zの第一の側Z1に凹んだ第一の溝部(凹部)32と、第一の加圧面31aよりも厚さ方向Zの第二の側Z2に突出した第一の凸部33と、を有している。
第一の加圧面31aは、例えば矩形状かつ平坦に形成されている。第一の加圧面31aの主面16fに沿う方向Xの長さL1は、外装体15の縁部の主面16fに沿う方向Xの長さL2以下になるように形成されている。第一の加圧面31aは、外装体15の縁部を加圧するためのものである。
【0024】
第一の溝部32は、第一の加圧面31aを挟むように一対形成されている。この例では、第一の溝部32の断面形状は矩形状であるが、この断面形状は特に限定されない。この断面形状は、例えば半円形状や三角形状等でもよい。
第一の凸部33は、一対の第一の溝部32を挟むように一対形成されている。
第一の本体31、一対の第一の溝部32、及び一対の第一の凸部33は、アルミニウム等の熱伝導率の大きい材料で一体に形成されている。
【0025】
第二のシールバー40は、第一のシールバー30と同様の構成である。すなわち、第二のシールバー40は、直方体状に形成された第二の本体41と、第二の本体41の外面である第二の加圧面41aに連なるように形成され第二の加圧面41aよりも厚さ方向Zの第二の側Z2に凹んだ第二の溝部42と、第二の加圧面41aよりも厚さ方向Zの第一の側Z1に突出した第二の凸部43と、を有している。
第二の加圧面41aは、例えば矩形状かつ平坦に形成されている。第二の加圧面41aの主面16fに沿う方向Xの長さL3は、外装体15の縁部の主面16fに沿う方向Xの長さL2以下になるように形成されている。第二の加圧面41aは、第一の加圧面31aとともに一対のシート材16の縁部を挟むように加圧するためのものである。
【0026】
第二の溝部42は、第二の加圧面41aを挟むように一対形成されている。この例では、第二の溝部42の断面形状は矩形状であるが、この断面形状は特に限定されない。この断面形状は、例えば半円形状や三角形状等でもよい。
第二の凸部43は、一対の第二の溝部42を挟むように一対形成されている。
第二の本体41、一対の第二の溝部42、及び一対の第二の凸部43は、第一のシールバー30と同一の材料で一体に形成されている。
【0027】
次に、本製造方法について具体的に説明する。以下では、一対のシート材16の溶着に重点をおいて説明する。最初に一対のシート材16の3つの縁部を一度にヒートシールする場合を説明し、次に、一対のシート材16の残りの1つの縁部をヒートシールする場合を説明する。
最初に、一対のシート材16の3つの縁部を一度にヒートシールする場合を説明する。この場合、例えば一対のシート材16は水平面に略平行に配置される。シールバー30、40は、加圧面31a、41aが対向するとともに、厚さ方向Zの第一の側Z1が下方になり、厚さ方向Zの第二の側Z2が上方になるように配置される。
【0028】
まず、一対のシート材16の縁部に第一のシールバー30の第一の加圧面31a及び第二のシールバー40の第二の加圧面41aを接触させる(シート材配置工程)。このとき、第一の加圧面31a及び第二の加圧面41aが一対のシート材16の縁部を挟むように配置する。さらに、シート材16の縁部から主面16fに沿う方向Xに第一の加圧面31a及び第二の加圧面41aが突出しないように配置する。
ヒートシールする前のシーラント層16aの厚さt3は、例えば約80μmであり、シート材16の厚さt4は、例えば約150μmである。
一対のシート材16の間に、蓄電体19等を配置しておく。各タブ端子20がヒートシールされるシート材16の縁部から外方に突出するようにしておく。
一対のシート材16の複数の縁部を一度にヒートシールする場合には、図1に示すように第一のシールバー30の第一の溝部32及び第一の凸部33をシート材16の複数の縁部に対応した形状に形成しておくことが好ましい。第二のシールバー40についても同様である。
【0029】
次に、図4に示すように、第一の凸部33と第二の凸部43とを厚さ方向Zに接触させ、第一の加圧面31a及び第二の加圧面41aで一対のシート材16の縁部を加熱しつつ加圧することで、それぞれのシート材16のシーラント層16aを互いに溶着させる(シート材溶着工程)。
このとき、第一の加圧面31aと第二の加圧面41aとの間に一定の隙間Sが形成される。第一の加圧面31aと第二の加圧面41aとの距離L4は、前述の厚さt2の2倍の例えば約250μmである。シールバー30、40による加熱にはヒータ等の公知の加熱手段を用い、シールバー30、40による加圧には油圧シリンダー、エアーシリンダー等の公知の加圧手段を用いる。一対のシート材16の縁部をヒートシールすることで、一対のシート材16の全体としての厚さは約300μmから約250μmへと、約50μm薄くなる。
【0030】
一対のシート材16の縁部のシーラント層16aを互いに接触させた状態で溶融させ、これらのシーラント層16a同士を溶着させる。溶融したシーラント層16aである溶融樹脂16a1が外装体15の側面からはみ出してくる。溶融樹脂16a1は重力の影響を受けて、主に下方である厚さ方向Zの第一の側Z1に向かってはみ出す。はみ出した溶融樹脂16a1の周囲に、第一のシールバー30の第一の溝部32及び第二のシールバー40の第二の溝部42が形成されていることで、シールバー30、40に溶融樹脂16a1が付着しにくい。
以上の工程で、一対のシート材16の3つの縁部が一度にヒートシールされる。
【0031】
なお、溶融樹脂16a1は主に厚さ方向Zの第一の側Z1に向かってはみ出すため、第二のシールバー40に代えて第二の溝部42が形成されていない従来のシールバーを用いてもよい。
この場合、本実施形態の第一のシールバー30と従来のシールバーとを用いて、二次電池10が製造される。
【0032】
次に、外装体15のまだヒートシールしていない縁部が上方になるように外装体15を配置して、外装体15内に電解質等を充填する。次に、一対のシート材16の残りの1つの縁部をヒートシールする。
ここで前述のシート材配置工程及びシート材溶着工程を行うが、この場合には外装体15を配置する向きが変わるので、厚さ方向Zが水平面に沿う方向となる。このため、シート材溶着工程において、図4に形状Pとして示すように、溶融樹脂16a1は厚さ方向Zの第一の側Z1及び第二の側Z2にほぼ均等にはみ出す。
この場合においても、シールバー30、40に溝部32、42が形成されていることで、シールバー30、40に溶融樹脂16a1が付着しにくい。
以上の工程で、シールバーシステム1を用いて外装体15内に被収容物18が収容された二次電池10が製造される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のシールバーシステム1及び製造方法によれば、一対のシート材16の縁部にシールバー30、40の加圧面31a、41aを、シート材16の縁部から主面16fに沿う方向Xに加圧面31a、41aが突出しないように接触させる。溶融したシーラント層16aである溶融樹脂16a1は外装体15の側面からはみ出すが、はみ出した溶融樹脂16a1の周囲には溝部32、42が形成されている。
したがって、外装体か15らはみ出した溶融樹脂16a1がシールバー30、40に付着するのを抑えることができる。
【0034】
第一のシールバー30が第一の凸部33を備え、第二のシールバー40が第二の凸部43を備えることで、第一の凸部33と第二の凸部43とを接触させたときに第一の加圧面31aと第二の加圧面41aとの間に一定の隙間Sが形成される。このため、外装体15の縁部におけるヒートシールされたヒートシール部の厚さを一定にすることができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、第一のシールバー30が第一の凸部33を備えないように構成してもよい。このように構成しても第一のシールバー30が第一の溝部32を備えていれば、外装体15からはみ出した溶融樹脂16a1が第一のシールバー30に付着するのを抑えることができるからである。
同様に、第二のシールバー40が第二の溝部42や第二の凸部43を備えないように構成してもよい。
【0036】
第一のシールバー30において、第一の溝部32は第一の加圧面31aの一方側のみに形成されていてもよい。
実施形態では、袋状物が二次電池であるとしたが、袋状物はこれに限定されずリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、キャパシタモジュール等でもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 シールバーシステム
10 二次電池(袋状物)
15 外装体
16 シート材
16a シーラント層
16f 主面
18 被収容物
30 第一のシールバー(シールバー)
31a 第一の加圧面
32 第一の溝部(凹部)
33 第一の凸部
40 第二のシールバー(補助シールバー)
41a 第二の加圧面
43 第二の凸部
L1、L2、L3 長さ
S 隙間
X 主面に沿う方向
図1
図2
図3
図4