特許第6763690号(P6763690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763690
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】コイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/12 20060101AFI20200917BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20200917BHJP
   H01F 5/06 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H01F41/12 E
   H01F41/12 A
   H01F27/32 170
   H01F5/06 H
   H01F5/06 L
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-103315(P2016-103315)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-212285(P2017-212285A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年2月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 広
(72)【発明者】
【氏名】前田 照彦
(72)【発明者】
【氏名】霜村 英二
(72)【発明者】
【氏名】▲陦▼ 裕介
【審査官】 井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−206943(JP,A)
【文献】 実開昭56−126807(JP,U)
【文献】 特開2012−089838(JP,A)
【文献】 特許第6688107(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/12
H01F 5/06
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の導体で構成される巻線用導体を準備する工程と、
前記巻線用導体の周囲を、レジン硬化促進剤を含む不織布により巻回する工程と、
前記不織布により巻回された前記巻線用導体を螺旋状に巻回しコイル状にする工程と、
コイル状にされた前記巻線用導体を液体レジンに浸漬して前記液体レジンを含浸させる工程と、
前記液体レジンを含浸させた前記巻線用導体を熱乾燥炉で処理することによりレジンを硬化させる工程と、
前記巻線用導体の周囲を、レジン硬化促進剤を含む不織布により巻回する工程の前に、液体レジンを透過しない性質を備えるテープにより、間隔を設けつつ巻回する工程と、を備えるコイルの製造方法。
【請求項2】
前記レジンに高熱伝導性を発現させる添加剤を添加する工程を備える請求項1に記載のコイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コイル及びコイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルは、例えば断面が矩形を下半角線や断面が円形をした丸線等の導体を巻回することによって形成されている。そして、導体の周囲およびコイルの外周は、レジンによって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−90747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、導体やコイルの絶縁性が低下すると、コイルの性能の低下を招くことになる。
そこで、絶縁性に優れたコイル及びコイルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のコイルは、導体をレジンでモールドした巻線用導体を巻回してなるものであって、巻線用導体は、導体の表面まで前記レジンが隙間なく充填されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態によるコイルの概略構成例を示す図
図2】コイルの断面構造を示す図
図3】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図4】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図5】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図6】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図7】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図8】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す断面図
図9】コイルの製造過程の途中工程の状態を示す図
図10】他のコイルの概略構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について図面に基づいて説明する。実施形態の説明において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図1は、実施形態の一例として示すコイル10の概略構成例を示す斜視図である。図2は、図1のコイル10の部分Aにおける構成を示す断面図である。コイル10は、例えば銅からなる複導体線12により構成されている。コイル10は、複導体線12が、中心に空洞を有して同心円状に例えば楕円を呈し、渦巻き状に密着して巻回するようにして構成され、全体がレジンにより固められている。図1における部分Aは複導体線12の基本単位に相当する部分であり、図2はコイル10を構成する複導体線12の基本構成を示している。コイル10に用いられる複導体線12は、互いに絶縁された複数例えば2本の導電性の素線14、例えば絶縁被膜を備える複数のエナメル線からなる巻線用導体である。
【0008】
図2に示すように、複導体線12は、複数の素線14からなる。複導体線12は、周囲を、固縛帯22及び包囲帯24により覆われてなるものである。
【0009】
固縛帯22としては、例えば、強靭なアラミド繊維テープが用いられる。固縛帯22は紙テープ形状を備えており、素線14が解けてしまわないように固縛するために用いられる。固縛帯22は後述する図4(a)に示すように、巻回する固縛帯22の間に間隙G(間隔に相当する)が形成されるように複導体線12の周囲を巻回している。
【0010】
包囲帯24は、固縛帯22により固縛された複導体線12の周囲を巻回して覆っている。包囲帯24は、後述する不織布テープ32に後述するレジン液38(液体レジンに相当する)を含浸させて硬化させたものである。この場合、不織布テープ32は、後述するコイル10の製造工程において、後述するレジン液38を浸透、透過させることが可能で、複導体線12の周囲を巻回可能な素材の一例として挙げたものである。このような特性を有していれば包囲帯24を構成する素材は不織布テープ32に限定されなくてもよい。
【0011】
複数の素線14の間には絶縁性の硬化レジン20(レジン)が隙間なく存在している。また、素線14と固縛帯22及び包囲帯24の間も、隙間なく硬化レジン20が存在している。すなわち、コイル10全体が、内部から外部にわたって硬化レジン20により立体的に一体化されて固定されたものである。また、固縛帯22、及び包囲帯24も、硬化レジン20により隙間なく固められている。すなわち、コイル10及びこれを構成する複導体線12は、素線14の間及びその周囲が硬化レジン20で隙間なく充填されてモールドされた構成を備える。
【0012】
硬化レジン20すなわち後述するレジン液38としては、熱伝導率すなわち放熱性の高いレジンを採用してもよい。熱伝導率の高いレジンとしては、例えばエポキシ樹脂に、高熱伝導性を発現させる添加剤を添加する工程を設け、アルミナや窒化ホウ素などのマイクロサイズの高熱伝導性フィラーを添加したものが用いられる。熱伝導率の高いレジンを採用した場合は、コイル10及びこれを構成する複導体線12は、複数の素線14の間、素線14と固縛帯22及び包囲帯24の間、更には、コイル10の外周面まで熱伝導率すなわち放熱性が高い硬化レジン20が充填された構成となっている。従って、形成されるコイル10及びこれを構成する複導体線12は、その内部が熱伝導率すなわち放熱性が高い硬化レジン20によって隙間なく満たされており、その外周も放熱性が高い硬化レジン20により硬化された包囲帯24により覆われているため、コイル10全体が熱伝導率すなわち放熱性が高いものとなる。
また、絶縁する際の欠陥となり易いボイドの残留が極小で、導体部とレジンとの間の密着性が良好であるため、絶縁性能が高いものとなる。
【0013】
次に、コイル10の製造方法について説明する。図3から図9はコイル10の製造方法を説明するための図であり、製造工程の各途中工程における状態を示す図である。図3はコイル10を構成する複導体線12の製造過程の途中工程の状態を示す図である。図4はコイル10を構成する複導体線12の製造過程の途中工程の状態を示す図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は断面図を示す。図5はコイル10を構成する複導体線12の製造過程の途中工程の状態を示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)及び図5(c)は断面図を示す。
【0014】
まず、図3に示すように、素線14を複数本準備する。図3には、2本の素線14を、それぞれ素線14a、素線14bとして示している。
【0015】
次に、図4(a)及び(b)に示すように、素線14の周囲を固縛帯22により巻回することにより固縛し、複導体線12を形成する。固縛帯22は、間隙すなわち隙間を形成するようにして巻回される。この状態では、巻回される固縛帯22の間の間隙から素線14が露出している。ここで、固縛帯22は例えばアラミド紙テープであるため、後述するレジン液を透過させることができない。つまり、固縛帯22は、硬化させる前のレジン液を透過しない性質を備えている。
【0016】
次に、図5(a)及び(b)に示すように、素線14a、素線14bの周囲を不織布テープ32により巻回する。この場合、不織布テープ32は、巻解された不織布テープ32の間に間隙が発生しないように素線14a、素線14bの周囲を巻回されている。不織布テープ32は後述するレジン液38を浸透、透過させることができる。
【0017】
ここで、不織布テープ32には、後述するレジン液38の硬化促進剤(レジン硬化促進剤に相当する)が含まれている。硬化促進剤としては、例えば、アミン類、イミダゾール類、ホスフィン、DBU(1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7)及びその有機酸塩、若しくはアンモニウムあるいはホスホニウム化合物などが用いられる。
【0018】
なお、不織布テープ32が、素線14を固縛するのに十分な強度、すなわち、素線14が解けてしまわないようにするのに十分な強度を有している場合は、固縛帯22による素線14の固縛を省略することができる。すなわち、図5(a)及び(b)に示すように、素線14の周囲を、不織布テープ32により隙間なく巻回することにより、図5(c)に示す複導体線12を形成することができる。この場合は固縛帯22による固縛を省略できるため、工程が簡略化でき、製造コストの削減に貢献する。また、この場合のコイル10及びこれを構成する複導体線12においては、素線14の周囲が包囲帯24により覆われる。その他の構成は同じである。
【0019】
次に、図6に示すように、複導体線12を巻回心材34の周囲に螺旋状に巻回することにより、複導体線12をコイル状にする。巻回心材34は例えば木材により構成される。複導体線12を巻回心材34に巻回しコイル状に形成されたものは、図7に示すようにコイル10bとなる。
【0020】
次に、コイル10bを巻回心材34から抜いた後、図7に示すように、レジン液38を満たしたレジン容器36内に浸漬する。レジン容器36を大気圧より低い圧力の空間に置くことにより、レジン液38のコイル10b内部への充填が促進される。ここで、上述したように不織布テープ32は、レジン液38を透過させることができる。また、固縛帯22は図4に示すようにその間に間隙Gが形成されるようにして素線14の周囲に巻回されている。従って、レジン液38は不織布テープ32を透過して素線14の外周面(表面)にまで浸入し、更に、巻回された固縛帯22の間隙Gを通って素線14の間に浸入する。これにより、素線14の間、更には固縛帯22、不織布テープ32とこれら素線14との間は、隙間なくレジン液38で満たされる。
【0021】
ここで、上述したように、不織布テープ32にはレジン液38の硬化促進剤が含まれている。この硬化促進剤により、コイル10bをレジン液38に浸漬させ、レジン液38が不織布テープ32及び複導体線12内部に十分浸透した後に、不織布テープ32におけるレジン液38が硬化促進剤と反応して硬化する。これにより、後述する図8に示すようにレジンによって硬化された包囲帯24が形成される。ここで、硬化促進剤は不織布テープ32にのみ含まれているため、不織布テープ32部のレジン液38だけが硬化し、不織布テープ32に覆われた内部のレジン液38は硬化しない未硬化のままで残存する。すなわち、素線14、及び固縛帯22との間であって、不織布テープ32に覆われた内部領域は、硬化前のレジン液38すなわち未硬化レジン40により満たされている。この状態のコイルを、コイル10dとすると、コイル10dを構成する複導体線12は、図8に示すように、未硬化レジン40が、その内部の素線14の間に満たされ、その外周が、レジン液38により硬化された不織布テープ32すなわち包囲帯24により覆われている状態となっている。
【0022】
次に、この状態のコイル10dをレジン容器36から取り出したものを図9に示す。コイル10dを構成する複導体線12の構造は、上述するように図8に示されている。図8は、図9のB部分の断面構造を示したものである。この時、コイル10dを構成する複導体線12は上述のように、周囲がレジン液38で硬化された包囲帯24により覆われている。このため、コイル10dをレジン容器36から取り出しても、コイル10d内部のレジン液38すなわち未硬化レジン40が外部に漏れ出ないようにすることができ、包囲帯24により覆われた内部に隙間なく保持された状態が確保されている。
【0023】
次いで、図9に示すように、コイル10dを熱乾燥炉42に投入する。熱乾燥炉42によりコイル10dの全体が熱乾燥され、これによって、コイル10dの未硬化レジン40が硬化する。同時に包囲帯24の硬化も促進される。以上の工程を経て、図1に示すコイル10を製造することができる。
【0024】
なお、図7に示す工程において、不織布テープ32部のみ硬化促進剤を含ませて、この部分のみのレジン液38を硬化させるのは以下の理由による。仮に、不織布テープ32部分に、レジン液38の硬化促進剤を含ませることがない場合を想定する。この場合、レジン容器36内のレジン液38にコイル10bを浸漬しても、不織布テープ32部分のレジン液38は硬化しない。この状態で、レジン容器36からコイル10を出すと、不織布テープ32はレジン液38を透過させるため、コイル10内の未硬化レジン40が不織布テープ32を通過して外に漏れ出てしまう。従って、この状態で、熱乾燥炉42でレジン液38を硬化させると、コイル10を構成する複導体線12の内部は硬化レジン20が欠落し、素線14、固縛帯22、及び包囲帯24等の間に隙間が形成される。このような隙間が存在すると、コイル10は絶縁性が低下してしまう。
【0025】
一方、不織布テープ32に硬化促進剤を含ませない場合にレジン液38を硬化させるには、レジン容器36にコイル10を入れた状態で加熱するなどの方法でレジン液38を硬化させることになる。しかし、このようにすると、中にコイル10を入れたレジン容器36ごとレジン液38が硬化してしまい、レジン容器36ごとこれらが一体化してしまうためコイル10を取り出すことができない。またコイル10中央の空洞にも硬化したレジンが満たされてしまい、当該空洞が硬化されたレジンで塞がれてしまう。以上の理由から、不織布テープ32に硬化促進剤を含ませて、この部分のみレジン液38を硬化させるのである。すなわち、不織布テープ32は、これに硬化促進剤を含ませることによりレジンにより硬化された包囲帯24となり、コイル10bを、レジン液38を満たしたレジン容器36に浸漬し、内部にレジン液38を含浸させた際に、コイル10b内部にレジン液38が隙間なく充填された状態を保持する機能を有する。これにより、コイル10内部の素線14、固縛帯22及び包囲帯24間に隙間がなく、絶縁性が向上したコイル10を得ることができる。
【0026】
上述した実施形態に係るコイル10によれば以下の効果を奏する。
実施形態のコイル10及びこれを構成する複導体線12は、素線14の間及びその周囲が硬化レジン20で隙間なく充填されてモールドされた構成を備える。これにより、コイル10の絶縁性が向上され、例えばこれを高周波電気機器に用いた場合にあっても、優れた絶縁性を奏する。
【0027】
さらに、コイル10及びこれを構成する複導体線12において、素線14、固縛帯22、及び包囲帯24が硬化レジン20により一体的かつ隙間なく固められ、立体的に固定された構成を備える。すなわち、コイル10及びこれを構成する複導体線12は、素線14の間及びその周囲が硬化レジン20で隙間なく充填されて固められモールドされた構成を備える。これにより、コイル10において、隙間や剥離ボイドの発生が抑制され、優れた絶縁性を奏する。
【0028】
実施形態のコイル10及びこれを構成する複導体線12は、その周囲がレジンで硬化された不織布テープ32からなる包囲帯24により覆われている。これにより、複導体線12間の絶縁性が向上するとともに、コイル10の機械的強度が向上する。
【0029】
実施形態のコイル10及びこれを構成する複導体線12において、これに用いられる硬化レジン20すなわちレジン液38として、熱伝導率すなわち放熱性の高いレジンを採用してもよい。この場合、コイル10は優れた放熱性を備えるため、例えばコイル10において異常発熱が発生した場合にもコイル10の破損等を抑制することができる。
【0030】
実施形態のコイル10の製造方法によれば、不織布テープ32にはレジン液38の硬化促進剤が含まれている。この硬化促進剤により、製造途中のコイル10bをレジン液38に浸漬させ、レジン液38が複導体線12内部に十分浸透した後に、不織布テープ32におけるレジン液38が硬化促進剤と反応して硬化する。これにより、コイル10の内部領域が硬化されていないレジン液38すなわち未硬化レジン40により満たされ、その外周が、レジン液38により硬化された不織布テープ32すなわち包囲帯24により覆われている状態となる。すなわち、コイル10の内部領域の未硬化レジン40の外周が、レジンにより固められた包囲帯24により覆われ、内部に未硬化レジン40が閉じ込められた状態を作り出すことができる。これにより、製造途中のコイル10をレジン容器36から取り出しても、コイル10の内部領域の未硬化レジン40が漏れ出ないようにすることができる。これにより、素線14の間及びその周囲が硬化レジン20で隙間なく充填されてモールドされた構成を備えるコイル10及びこれを構成する複導体線12を得ることができる。以上より、優れた絶縁性を備えるコイル10を製造することができる。
【0031】
上記した実施形態では2つの素線14a、14bを束ねることにより断面視が概ね長方形となる平角線を用いる例を示したが、図10(a)に示すように、断面視にて概ね長方形となる1つの素線14を用いてもよい。このような素線14の場合であっても、不織布テープ32を巻回し、実施形態と同様にレジン容器36に浸漬することにより、図10(b)に示すようにレジン液38が素線14の表面まで浸透する。そして、熱処理することにより、図10(c)に示すように、優れた絶縁性を備える複導体線12とすることができる。したがって、優れた絶縁性を備えるコイル10を製造することができる。
また、上記説明において、実施形態では複導体線12として断面が矩形の平角線を用いた例を例示して説明したが、これに限る意図はない。例えば断面が円形の丸型線を用いてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
図面中、10、10b、10c、10dはコイル、12は複導体線(巻線用導体)、14は素線、20は硬化レジン(レジン)、22は固縛帯、24は包囲帯、32は不織布テープ、36はレジン容器、38はレジン液(レジン)、40は未硬化レジン(レジン)、42は熱乾燥炉を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10