特許第6763693号(P6763693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763693吊り下げ孔付き包装袋、該包装袋の製造機及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763693
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】吊り下げ孔付き包装袋、該包装袋の製造機及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/14 20060101AFI20200917BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20200917BHJP
   B65B 9/20 20120101ALI20200917BHJP
   B65B 51/22 20060101ALI20200917BHJP
   B65D 75/42 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B65D33/14 Z
   B65D30/10 L
   B65B9/20
   B65B51/22 100
   B65D75/42
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-108674(P2016-108674)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-214101(P2017-214101A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】栗林 慎
(72)【発明者】
【氏名】清水 晴樹
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4282318(JP,B2)
【文献】 特開2007−253961(JP,A)
【文献】 特開2009−083894(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3023284(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0153445(US,A1)
【文献】 特開2005−001759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10−33/14
B65B 9/20
B65B 51/22
B65D 75/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦シール及び開口した両端部を有する袋本体と、
前記袋本体の両端部に前記袋本体の内面同士を超音波溶着した状態で形成され、前記両端部をそれぞれ閉鎖するトップシール及びボトムシールと、
前記トップシールの直下に袋本体の内面同士を超音波溶着した状態で形成された吊り下げ孔用シール域であって、該吊り下げ孔用シール域がその内部に吊り下げ孔を形成すべく前記袋本体の幅方向でみて中央に位置付けられている、吊り下げ孔用シール域と
を具備し
前記吊り下げ孔用シール域はその内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している、吊り下げ孔付き包装袋。
【請求項2】
前記吊り下げ孔用シール域は、前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状をなしている、請求項1に記載の吊り下げ孔付き包装袋。
【請求項3】
請求項1〜の何れかに記載の吊り下げ孔付き包装袋が縦列にして並び、隣接する包装袋同士が前記ボトムシール及び前記トップシールを切り離し可能に接続する切り離し線を介して接続されている連袋型包装袋。
【請求項4】
ウエブ状の包装フィルムを円筒状に成形しながら前記包装フィルムの両側縁を縦シールラインとして閉じたフィルム筒に形成し、この後、前記フィルム筒に該フィルム筒を横断する横シールを前記フィルム筒の長手方向に間隔を存して形成する包装袋の製造機において、
前記横シールを形成するメイン超音波シーラと、
前記袋フィルム筒を前記横シールにて上下に切断する切断線又は切り離し可能とする切り離し線を前記横シールに形成する線形成装置であって、前記横シールの切断又は切り離しにて、前記横シールが別個の包装袋のトップシール及びボトムシールに分離される、線形成装置と、
前記横シールの直下に吊り下げ孔用シール域を形成するサブ超音波シーラであって、前記吊り下げ孔用シール域がその内部に吊り下げ孔を形成すべく前記フィルム筒の幅方向でみて中央に位置付けられている、サブ超音波シーラと
を具備し
前記サブ超音波シーラは、前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状形態の吊り下げ孔用シール域を形成し、
前記吊り下げ孔用シール域は内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している、吊り下げ孔付き包装袋の製造機。
【請求項5】
鉛直軸線に沿いウエブ状の包装フィルムを円筒状に成形しながら前記包装フィルムの両側縁を縦シールとして閉じたフィルム筒に形成し、この後、前記フィルム筒に該フィルム筒を横断する横シールを前記フィルム筒の長手方向に間隔を存して形成する包装袋の製造方法において、
メイン超音波シーラを用いて、前記横シールを形成するメインシール工程と、
前記フィルム筒を前記横シールにて上下に切断する切断線又は切り離し可能とする切り離し線を前記横シールに形成する線形成工程であって、前記横シールの切断又は切り離しにて、前記横シールが別個の包装袋のトップシール及びボトムシールに分離される、線形成工程と、
前記メインシール工程と同時に、サブ超音波シーラを用いて前記横シールの直下に吊り下げ孔用シール域を形成するサブシール工程であって、前記吊り下げ孔用シール域がその内部に吊り下げ孔を形成すべく前記フィルム筒の幅方向でみて中央に位置付けられている、サブシール工程とを具備し
前記サブシール工程は、前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状をなした前記吊り下げ孔用シール域を形成し、
前記吊り下げ孔用シール域は内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している、吊り下げ孔付き包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げ孔を備えた包装袋、該包装袋を製造する製造機及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吊り下げ孔付き包装袋は、例えば以下の特許文献1に開示され、特許文献1の包装袋はその上下にアッパシール及びボトムシールを備えている。包装袋の長手方向に沿うアッパシールの幅はボトムシールよりも広く確保され(図6(b)参照)、アッパシールに吊り下げ孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4282318号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアッパシール及びボトムシールは横シールを切断することで得られ、該横シールはヒータブロック型のヒートシーラによって形成される。特許文献1の包装袋の場合、アッパシールが吊り下げ孔の下方まで延在しているため、横シールの幅が必要以上に広くなる不具合を有する。このため、1個当たりの包装袋の製造に要求される包装フィルムの使用量が多くなっている。
【0005】
本発明の1つの目的は、1個当たりの包装袋の製造に要求される包装フィルムの使用量を削減可能にした吊り下げ孔付きの包装袋を提供することにあり、また、本発明の他の目的はそのような包装袋の製造機及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した1つの目的は本発明の吊り下げ孔付き包装袋によって達成され、該包装袋は、
縦シール及び開口した両端部を有する袋本体と、
前記袋本体の両端部に前記袋本体の内面同士を超音波溶着した状態で形成され、前記両端部をそれぞれ閉鎖するトップシール及びボトムシールと、
前記トップシールの直下に前記袋本体の内面同士を超音波溶着した状態で形成された吊り下げ孔用シール域であって、該吊り下げ孔用シール域がその内部に前記吊り下げ孔を形成すべく前記袋本体の中央に位置付けられている、吊り下げ孔用シール域とを具備し、
前記吊り下げ孔用シール域はその内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している(請求項1)。
【0007】
上述の包装袋によれば、トップシール及びボトムシールが超音波溶着で形成されているので、これらトップシール及びボトムシールの幅は、ヒータブロックを使用してトップシール及びボトムシールを形成する場合に比べて狭くできる。また、吊り下げ孔用シール域がトップシールの直下に形成されているので、トップシールを吊り下げ孔の下方まで延出させる必要はない。更に、吊り下げ孔用シール域は袋本体の幅方向でみて中央に位置付けられているので、袋本体内に物品を充填するにあたり、吊り下げ孔用シール域の両側まで物品の充填を可能にする。
【0008】
本発明の他の目的は、上述した吊り下げ孔付き包装袋の製造機及び製造方法によって達成され、該製造機は、
ウエブ状の包装フィルムを円筒状に成形しながら前記包装フィルムの両側縁を縦シールとして閉じたフィルム筒に形成し、この後、前記フィルム筒に該フィルム筒を横断する横シールを前記フィルム筒の長手方向に間隔を存して形成する包装袋の縦形製造機において、
前記横シールを形成するメイン超音波シーラと、
前記フィルム筒を前記横シールにて上下に切断する切断線又は切り離し可能とする切り離し線を前記横シールに形成する線形成装置であって、前記横シールの切断又は切り離しにて、前記横シールが別個の包装袋のトップシール及びボトムシールに分離される、線形成装置と、
前記横シールの直下に吊り下げ孔用シール域を形成するサブ超音波シーラであって、前記吊り下げ孔用シール域がその内部に吊り下げ孔を形成すべくフィルム筒の幅方向でみて中央に位置付けられている、サブ超音波シーラとを具備し
前記サブ超音波シーラは、前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状形態の吊り下げ孔用シール域を形成し、
前記吊り下げ孔用シール域は内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している(請求項)。
【0009】
また、上記製造方法は、
鉛直軸線に沿いウエブ状の包装フィルムを円筒状に成形しながら前記包装フィルムの両側縁を縦シールとして閉じたフィルム筒に形成し、この後、前記フィルム筒に該フィルム筒を横断する横シールを前記フィルム筒の長手方向に間隔を存して形成する包装袋の製造方法において、
メイン超音波シーラを用いて、前記横シールを形成するメインシール工程と、
前記フィルム筒を前記横シールにて上下に切断する切断線又は切り離し可能とする切り離し線を前記横シールに形成する線形成工程であって、前記横シールの切断又は切り離しにて、前記横シールが別個の包装袋のトップシール及びボトムシールに分離される、線形成工程と、
前記メインシール工程と同時に、サブ超音波シーラを用いて前記横シールの直下に吊り下げ孔用シール域を形成するサブシール工程であって、前記吊り下げ孔用シール域がその内部に吊り下げ孔を形成すべく前記フィルム筒の幅方向でみて中央に位置付けられている、サブシール工程とを具備し
前記サブシール工程は、前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状をなした前記吊り下げ孔用シール域を形成し、
前記吊り下げ孔用シール域は内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している(請求項)。
【0010】
このような本発明の製造機及び製造方法の何れも、上述の吊り下げ孔付き包装袋を製造し、包装袋と同様な作用を発揮する。
【0011】
特に、前記吊り下げ孔用シール域は前記トップシールと協働して前記吊り下げ孔を囲む環状をなしている場合(請求項2,吊り下げ孔用シール域を形成する領域が少なくて済む。また、前記吊り下げ孔用シール域は内部にシール無効域を残し、該シール無効域が前記縦シールを横断している場合(請求項縦シールに対する吊り下げ孔用シール域のオーバラップ部分が最少となる。
【0012】
更に、包装袋は上述の吊り下げ孔付き包装袋が縦列にして並び、隣接する包装袋同士が前記ボトムシール及び前記トップシールを切り離し可能に接続する切り離し線を介して接続されている連袋型包装袋であってもよく(請求項)、このような連袋型包装袋は、製造機及び製造方法の線形成装置及び線形成工程にて、切り離し線の形成が選択されることで製造される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吊り下げ孔付き包装袋、その製造機及び製造方法は、ヒータブロック型のヒートシーラを使用して横シール(トップシール及びボトムシール)を形成する場合に比べ、横シールの幅を狭くでき、包装袋の製造に使用される包装フィルムの削減を可能にし、また、物品の充填に関しては、吊り下げ孔用シール域の両側まで物品を充填することが可能となり、更に包装フィルムの使用量を削減できる。更に、横シールの幅が狭ければ、横シールへの物品の噛み込みが減少する付加的な効果をも得られる。なお、本発明に係る実施形態の効果については後述の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る縦形製袋充填包装機の概略斜視図である。
図2図1の横シーラユニットの溶着ホーンを示す斜視図である。
図3図1の横シーラユニットのアンビルを示す斜視図である。
図4図1の包装機にて製造された吊り下げ孔付き包装袋の背面図である。
図5図4の包装袋が連なった連袋型包装袋を示す図である。
図6】第2実施形態の溶着ホーンを示す斜視図である。
図7】第2実施形態のアンビルを示す斜視図である。
図8】第2実施形態に包装機にて製造された吊り下げ孔付き包装袋の背面図である。
図9図8の包装袋が連なった連袋型包装袋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すれば、吊り下げ孔付き包装袋を製造する方法を実行する製造機、具体的には、第1実施形態に係る縦形製袋充填包装機が示されている。該包装機は鉛直方向に延びる製袋筒10を備え、該製袋筒10にはフォーマ12が製袋筒10を囲むようにして取り付けられている。該フォーマ12にはウエブ状の包装フィルムFが導かれており、該包装フィルムFはフィルムロールFRから繰り出し経路に沿って引き出されている。繰り出し経路は多数のガイドローラ14によって規定され、これらガイドローラ14の1つはダンサーローラ14dとして構成されている。
【0016】
フォーマ12を通過する際、包装フィルムFは製袋筒10を囲む円筒状に成形されながら、その両側縁eが例えば、フィン(合掌)形態で重ね合わされる。このようにして成形された包装フィルムF、即ち、フィルム筒FTはフォーマ12から製袋筒10に沿って下方に更に引き出されている。
【0017】
また、製袋筒10の近傍には縦シーラ20が配置され、該縦シーラ20は一対のヒータブロック22を含む。これらヒータブロック22は製袋筒10の軸線方向に沿って延び、開閉可能である。それ故、図1に示す状態にて、縦シーラ20は一対のヒータブロック22間にてフィン形態の両側縁eを挟み込んでいる。
【0018】
更に、製袋筒10の近傍には一対のフィルムフィーダ28が製袋筒10を挟み付けるようにして配置されている。ここで、一対のフィルムフィーダ28は製袋筒10の直径方向に互いに離間している。一対のフィルムフィーダ28は無端状のサクションベルトを含み、該サクションベルトにて吸着したフィルム筒FTを下方に向けて間欠的に繰り出す。ここでのフィルム筒FTの繰り出し長さは、製造すべき包装袋の袋長に相当する。
【0019】
このようなフィルム筒FTの繰り出しの際、縦シーラ20が作動され、縦シーラ20はフィン形態の両側縁eにおける内面同士を溶着し、両側縁eをフィン形態の縦シールに形成する。この時点で、フィルム筒FTは縦シールを介して完全に閉じられた円筒形状に成形される。
なお、図1には示されていないが、製袋筒10の下端近傍には倒し込みガイドが配置され、該倒し込みガイドは縦シールが通過する際、縦シールを図1でみて包装機本体側に倒し込む。
【0020】
製袋筒10の下方には超音波型の横シーラユニット30が配置され、該横シーラユニット30は、先端に溶着ホーン32を有したシーラ本体34と、アンビル36とを含む。図1から明らかなように溶着ホーン32及びアンビル36もまた互いに接離可能に離間されているが、横シーラユニット30での接離方向と前記縦シーラ20での接離方向とは互い直交する。
【0021】
図2は溶着ホーン32の詳細を示す。図2から明らかなように溶着ホーン32は矩形の板状をなし、アンビル36に向けて先細に形成されている。ここで、先細とは製袋筒10の軸線方向(鉛直方向)でみて、溶着ホーン32の先端部の高さH1が溶着ホーン32の後端の高さH2よりも低いことを意味し、溶着ホーン32の幅W1は横シーラユニット30の接離方向に沿って一定である。
【0022】
溶着ホーン32の先端面の上部は主シール面38として形成され、該主シール面38は前記幅W1と同一の幅を有する。溶着ホーン32の先端面の下部は主シール面38の全幅に亘り突出域を除いて主シール面38から僅かに凹んでいる。突出域は主シール面38の幅方向でみて中央に位置付けられ、副シール面40として形成されている。詳しくは、副シール面40は主シール面38の直下に位置付けられ、主シール面38と面一にして主シール面38に連なっている。本実施形態の場合、副シール面40は略U字形の外周縁を有する一方、その中央に円形の内周縁、即ち、孔42を有する。
【0023】
更に、図2から明らかなように、主シール面38の高さ方向でみて、主シール面38の中央にはスリット44が形成され、該スリット44は主シール面38の全幅に亘って主シール面38を上下に分割し、後述の線形成装置の一部をなす。
【0024】
一方、アンビル36もまた板状をなし、溶着ホーン32の幅W1と同一の幅を有する。図3から明らかなように、アンビル36は溶着ホーン32に向けて突出する略T字形の横断面を有し、その先端面は溶着ホーン32の先端面と同様な形状をなしている。即ち、アンビル36の先端面は、主シール面38に対応した主受け面46、副シール面40に対応した副受け面48、孔42に対応した孔50、スリット44に対応したスロット52を有する。なお、孔42及びスロット52は孔42及びスリット44とは異なり、アンビル36を横シーラユニット30の接離方向に沿って貫通している。
【0025】
上述した主シール面38及び主受け面46はメイン超音波シーラの一部を形成し、副シール面40及び副受け面48はサブ超音波シーラの一部を形成する。
【0026】
更に、図1に概略的に示されているように、本実施形態の場合、アンビル36には、前述のスリット44と共に線形成装置を構成する薄板状の切断ブレード54と、ロッド形状の打ち抜きポンチ56とが備えられている。通常、打ち抜きポンチ56の先端部及び切断ブレード54の刃部はアンビル36の孔50内及びスロット52内にそれぞれ配置されているが、孔50及びスロット52から溶着ホーン32の孔42及びスリット44に突入すべく作動可能である。
【0027】
上述した横シーラユニット30は通常、溶着ホーン32及びアンビル36が互いに離間した開位置に位置付けられ、開位置にて、溶着ホーン32とアンビル36との間には前述したフィルム筒FTの通過を許容する間隔が確保されている。それ故、フィルム筒FTの間欠的な繰り出しが繰り返されれば、フィルム筒FTは開位置の横シーラユニット30を包装袋の袋長に相当した長さずつ、間欠的に通過する。
【0028】
このとき、横シーラユニット30は、溶着ホーン32及びアンビル36が互いに接近する方向に移動して閉位置に位置付けられ、この閉位置にて、フィルム筒FTを主シール面38と主受け面46との間、また、副シール面40と副受け面48との間にてそれぞれ挟み込む(図1に示された状態を参照)。この際、前述した縦シールはフィルム筒FTの挟み込み領域に折り重ねられる。
【0029】
この時点で、横シーラユニット30の閉位置にて、溶着ホーン32が所定時間だけ作動され、主シール面38及び主受け面46はフィルム筒FTの内面同士を超音波融着した横シールを形成し(メインシール工程)、そして、副シール面40及び副受け面48はフィルム筒FTの内面同士を超音波融着した吊り下げ孔用シール域を形成する(サブシール工程)。
【0030】
このようにして横シール及び吊り下げ孔用シール域が形成された後、フィルム筒FT内には、製袋筒10の上端から製袋筒10内に投入された物品が充填され、該物品はフィルム筒FT内にて横シールの上側に堆積する。この後、前述した切断ブレード54及び打ち抜きポンチ56がアンビル36の先端面から溶着ホーン32のスリット44及び孔42内にそれぞれ突入され、切断ブレード54は横シールに切断線を形成して(線形成工程)、横シールを上下のボトムシール及びトップシールに分離(切断)し、打ち抜きポンチ56は吊り下げ孔用シール域内に吊り下げ孔を形成する。この後、切断ブレード54及び打ち抜きポンチ56はアンビル36内の待機位置まで復帰する。
【0031】
この後、横シーラユニット30が開作動されると、前述した横シール、即ち、フィルム筒FTは既に切断されているので、横シーラユニット30を通過したフィルム筒FTの部位は落下する。横シーラユニット30が開位置に復帰した後、上述のフィルム筒FTの繰り出し、横シーラユニット30の閉作動、溶着ホーン32の作動、横シール及び吊り下げ孔用シール域の形成、物品の充填、横シールの切断及び吊り下げ孔の形成、そして、横シーラユニット30の開作動が繰り返されると、物品が充填された包装袋Pが横シーラユニット30から落下する。該包装袋Pの詳細は図4に示されている。
【0032】
図4の包装袋Pはその上下にトップシールTS及びボトムシールBSを有するが、該ボトムシールBSは前回の横シールの切断によって得られ、トップシールTSは今回の横シールの切断によって得られる。また、図4中、包装袋Pの袋本体、縦シール、吊り下げ孔用シール域及び吊り下げ孔は参照符号Pb,LS,SA,Hsでそれぞれ示されている。
【0033】
図4から明らかなように、吊り下げ孔用シール域SAはトップシールTSの直下に位置付けられ、トップシールTSと協働して吊り下げ孔Hsを囲む環状をなす。また、吊り下げ孔Hsは包装袋Pの幅方向でみて中央に位置付けられ、折り畳まれた縦シールLSの根元上に位置した中心を有する一方、本実施形態では縦シールLSの幅W2よりも小さい半径を有する。更に、吊り下げ孔用シール域SAを縦シールLSの根元にて左右の分けてみたとき、図4でみて吊り下げ孔用シール域SAの右半分は縦シールLSの幅W2内に位置付けられている。
【0034】
上述した包装袋Pによれば、トップシールTS及びボトムシールBSがメイン超音波シーラによって形成されているので、ヒータブロック型のヒートシーラによって形成する場合に比べ、トップシールTS及びボトムシールBSの幅、即ち、横シールの幅を狭くできるばかりでなく、横シール内への物品の噛み込みが低減される。
【0035】
吊り下げ孔用シール域SAは包装袋Pの幅方向でみて、その中央に形成されているだけであるので、包装袋P内にはトップシールTSの直下の吊り下げ孔用シール域SAの両側まで物品の充填が可能となり、1つ当たりの包装袋Pの製造に必要な包装フィルムFの使用量は、横シール及び吊り下げ孔用シール域SAの形成にヒータブロック型のヒートシーラを使用する場合に比べて大幅に削減可能となる。
【0036】
更にまた、吊り下げ孔用シール域SAはトップシールTCと協働して吊り下げ孔Hsを囲む環状をなしているので、吊り下げ孔用シール域SAに要求される面積は少なくて済み、横シーラユニット30の負荷を軽減できるばかりでなく、吊り下げ孔用シール域SA内への物品の噛み込みをも低減可能となる。
【0037】
本発明は上述の第1実施形態に制約されるものでなく、種々の変更が可能である。
例えば、本発明の包装袋は、図5に示されるように上述の包装袋Pが縦列にして2個以上並んだ連袋型包装CPであってもよい。該連袋型包装袋CPは、隣接する包装袋P同士が切り離し可能な横シールCSによって接続され、横シールCSは該横シールCSをボトムシールBSとトップシールTSとに切り離し可能に接続する切り離し線を有している。このような連袋型包装袋CPによれば、該連袋型包装袋CPに含まれる包装袋Pの個数を任意に選択することができる。
【0038】
このような連袋型包装袋CPは上述の包装機(製造方法)において、切断ブレード54を穿孔ブレード55(図1参照)に置換するだけで製造可能であり、穿孔ブレード55は前述の切断線と、切り離し線としての穿孔列とを横シールに形成する(線形成工程)。ここで、切断線は連袋型包装袋CPを形成し、該穿孔列は連袋型包装袋CPに含まれる横シールCSをボトムシールBとトップシールTSとに切り離し可能に区画する。
【0039】
また、図5から明らかなように連袋型包装袋CPに含まれる包装袋Pは全て吊り下げ孔Hsを備えているので、連袋型包装袋CPの製造に際して、打ち抜きポンチ56の作動制御が複雑になることはない。
【0040】
更に、図6及び図7は、第2実施形態に係る横シーラユニット30の溶着ホーン32及びアンビル36がそれぞれ示されている。説明の重複を避けるため、図6及び図7中、第1実施形態の溶着ホーン32及びアンビル36の構成要素及び部位と同一の機能を発揮する構成要素及び部位には同一の参照符号を付し、第1実施形態と相違する点のみを以下に説明する。
【0041】
第2実施形態の場合、溶着ホーン32の副シール面58は逆台形をなす外周縁と、同じく逆台形をなす内周縁、即ち、孔60とを有する。一方、アンビル36の副受け面62もまた副シール面58と同様な外周縁を有し、副受け面62に形成される孔64もまた孔60と同様な形状をなす。ここで、孔64は横シーラユニット30の接離方向にアンビル36を貫通する必要はなく、前述した孔50が孔64の底にて開口している。
【0042】
上述した第2実施形態の溶着ホーン32及びアンビル36が横シール及び吊り下げ孔用シール域SAの形成に使用されれば、図8に示されるような包装袋Pが製造される。この場合、該包装袋Pの吊り下げ孔用シール域SAはトップシールTSと協働して逆台形の環状をなし、吊り下げ孔用シール域SAの内部にシール無効域が残される。このようなシール無効域が図8から明らかなように縦シールLSを横断していれば、逆台形の吊り下げ孔用シール域SAはその下辺のみにて縦シールLSと部分的にオーバラップするだけとなり、吊り下げ孔用シール域SAの形成による縦シールLSの過溶着を防止又は低減することができる。即ち、吊り下げ孔用シール域SAがオーバラップした縦シールLSの部位では、包装フィルムFが4枚で重なり合っているので、過溶着になり易い。
【0043】
なお、図8の包装袋Pからも図9に示すような連袋型包装袋CPの製造が可能であることは言うまでもない。
更に、上述の第1及び第2実施形態の包装機では、横シールのためのメイン超音波シーラと、吊り下げ孔用シール域SAのためのサブ超音波シーラが横シーラユニット30として一体化されているが、メイン超音波シーラ及びサブ超音波シーラは製袋筒10の下方に別個に配置することも可能である。
また、第1及び第2実施形態では、吊り下げ孔Hsを上向きにして包装袋P又は連袋型包装袋CPを製造しているが、吊り下げ孔Hsを下向きにして製造することもでき、この場合には、溶着ホーン32及びアンビル36がその上下を逆にして配置される。
最後に、第1及び第2実施形態の包装機は、包装袋Pを間欠的に製造する間欠型であるが、本発明は包装袋Pを連続的に製造する連続型の縦形製袋充填包装機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 製袋筒
20 縦シーラ
30 超音波型の横シーラユニット
32 溶着ホーン
36 アンビル
38 主シール面(メイン超音波シーラ)
46 主受け面(メイン超音波シーラ)
40,58 副シール面(サブ超音波シーラ)
44 スリット(線形成装置)
48,62 副受け面(サブ超音波シーラ)
54 切断ブレード(線形成装置)
55 穿孔ブレード(線形成装置)
BS ボトムシール
CP 連袋型包装袋
CS 横シール
F 包装フィルム
FT フィルム筒
Hs 吊り下げ孔
LS 縦シール
P 包装袋
Pb 袋本体
SA 吊り下げ孔用シール域
TS トップシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9