(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る上げ下げ窓1を屋内側から見た正面図である。
図2は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の縦断面図である。
図3Aは、本実施形態に係る上げ下げ窓1の縦断面図において主に上障子2が配置される部分の拡大図である。
図3Bは、本実施形態に係る上げ下げ窓1の縦断面図において主に下障子3が配置される部分の拡大図である。
図4は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の上障子2が配置される部分の横断面図である。
図5は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の上障子2が配置される部分の拡大横断面図である。
図6は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の下障子3が見込方向へ移動した様子を示す斜視図である。
図7は、本実施形態に係る上げ下げ窓1のロック機構70を示す平面視の説明図である。
なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた上げ下げ窓1におけるガラスの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
【0013】
本実施形態の建具としての上げ下げ窓1は、図示しない建物の壁に形成された開口部に納められる。
図1に示すように、上げ下げ窓1は、建物の開口部に取り付けられる枠体10と、枠体10内の上部に配置された上障子2(第1障子)と、枠体10内の下部に配置され上下方向に移動可能に納められた下障子3(第2障子)と、を備える。
【0014】
本実施形態の上げ下げ窓1は、上障子2が枠体10内の上部に固定されており、下障子3が枠体10内を上下方向に移動可能に構成され、閉鎖時に下障子3が上障子2の下方に配置される。なお、下障子3は、枠体10内を上方側に移動する場合には、枠体10内において、上障子2よりも見込方向の屋内側にわずかに移動しながら上方側に移動するように構成される。
【0015】
枠体10は、
図1に示すように、上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13,14と、中枠15により矩形に枠組みされて形成される。上枠11、下枠12、及び左右の縦枠13,14、中枠15は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料で形成され、押出し成形品により構成される。
【0016】
本実施形態においては、上枠11、下枠12、及び左右の縦枠13,14、中枠15は、略同一の構成を有する。そのため、対応する構成については同様の規則性を持って符号を付し、その説明を省略する。従って、以下では、上枠11の構成のみについて説明し、下枠12及び左右の縦枠13,14、中枠15の構成は、上枠11と相違する構成についてのみ説明する。
【0017】
上枠11は、長尺状に形成される。上枠11は、
図2に示すように、上枠11が延びる方向に直交する断面において、複数の空気室を有する格子状に形成され、全体として、上障子2及び下障子3が配置される下方側が開放する断面略U字形状に形成される。
【0018】
上枠11は、
図3に示すように、上部に配置され見込方向に延びる上部外枠113と、上部外枠113の屋内外側の端部から下方に延びる外側縦枠111と、上部外枠113の屋内側の端部から下方に延びる内側縦枠112と、を有する。外側縦枠111は、上下方向において、内側縦枠112よりも、下方側の長さが長く形成される。
【0019】
上部外枠113の下面(内面)には、上部外枠113の下面(内面)から下方に突出する2つの突出部113a,113bが形成される。突出部113a,113bは、上部外枠113の下面から下方に立設される。
【0020】
内側縦枠112は、下方側において、下方に延出する延出部112aを有する。外側縦枠111の下端部には、屋内側に向けて開放する係止溝111aが形成されている。
【0021】
枠体10の左右の縦枠13,14の互いに対向する面の側には、図示しないガイド溝、ガイド溝145a(
図6等参照)と、図示しないアーム部ガイド溝、アーム部ガイド溝146aとが上下方向に延びて形成されている。図示しないガイド溝、ガイド溝145aは、下障子3のガイド331、341を案内する。図示しないアーム部ガイド溝、アーム部ガイド溝146aには、図示しない被アーム部ガイド、被アーム部ガイド146bが、図示しないアーム部ガイド溝、アーム部ガイド溝146a内を摺動可能に設けられており、図示しないアーム部ガイド溝、アーム部ガイド溝146aは、図示しない被アーム部ガイド、被アーム部ガイド146bを案内する。
【0022】
また、縦枠13、14には、バランサー137、バランサー147が設けられている。バランサー137、バランサー147は、縦枠13、14の上端部であって、ガイド溝135a、145a内に配置されている。バランサー137、バランサー147は、線状部材としてのワイヤー137a、147aを巻き上げる図示しない巻き上げばねを有しており、巻き上げばねには、ワイヤー137a、147aの上端部が連結されている。ワイヤー137a、147aの下端部は、環状とされ、ガイド331、341に係止されて接続されている。ワイヤー137a、147aの中間部分には、板状の金属片がワイヤー137a、147aの周囲に環装されて固定された図示しない被係止部、被係止部147b(
図9参照)が設けられている。
【0023】
上障子2は、
図1に示すように、上げ下げ窓1の閉鎖状態で枠体10内の上部に配置される。上障子2は、
図3A及び
図5に示すように、上側上框21(上框)と、上側下框22(下框)と、左右の上側縦框23,24(縦框)と、により矩形に框組みされて形成された上側框体20(第1框体)と、該上側框体20内に嵌め込まれた上側ガラス200(第1面材)と、を備える。
【0024】
上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24には、それぞれ、内側(障子側)に開口して形成される溝21a,22a,23a,24aが形成される。溝21a,22a,23a,24aには、上側ガラス200の側端部が配置される。
【0025】
上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24が延びる方向に直交する断面形状は、
図3A及び
図5に示すように、同一である。上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料で形成され、押出し成形品により構成される。
【0026】
上側ガラス200は、
図3A及び
図5に示すように、屋内側の板ガラス201と、屋外側の板ガラス202と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ203と、を備える複層ガラスである。上側ガラス200は、ガスケット20aを介して上側框体20により挟持されている。この複層ガラスで構成された上側ガラス200は、優れた断熱性を有する。
【0027】
下障子3は、
図1、
図2に示すように、上げ下げ窓1の閉鎖状態で、枠体10内の下方であって屋内側に配置される。下障子3は、枠体10内に上下方向(見付方向)に移動可能に設けられる。下障子3は、
図3B及び
図6に示すように、下側上框31(上框)と、下側下框32(下框)と、左右の下側縦框33,34(縦框)と、により矩形に框組みされて形成された下側框体30(第2框体)と、該下側框体30内に嵌め込まれた下側ガラス300(第2面材)と、を備える。
【0028】
下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34には、それぞれ、内側(障子側)に開口して形成される溝31a,32a,図示しない溝、が形成される。溝31a,32a,図示しない溝には、上側ガラス200の側端部が配置される。
【0029】
下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34が延びる方向に直交する断面形状は、
図3B及び
図5等に示すように、同一である。下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料で形成され、押出し成形品により構成される。
【0030】
下側ガラス300は、
図3B及び
図4に示すように、屋内側の板ガラス301と、屋外側の板ガラス302と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ303と、を備える複層ガラスである。下側ガラス300は、ガスケット30aを介して下側框体30により挟持されている。この複層ガラスで構成された下側ガラス300は、優れた断熱性を有する。
【0031】
本実施形態においては、上障子2の上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24の断面形状と、下障子3の下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34の断面形状とは、配置される向きが異なるが、同一の形状である。即ち、上障子2の上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24、下障子3の下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34は、断面形状は全て同一である。
なお、本実施形態においては、框を特に区別する必要がない場合には、上障子2の上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24、下障子3の下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34の説明において、上障子2の上側上框21、上側下框22、及び左右の上側縦框23,24、下障子3の下側上框31、下側下框32、及び左右の下側縦框33,34を、単に框40という。
【0032】
本実施形態においては、上障子2の上側上框21、上側下框22、下障子3の下側上框31、下側下框32は、上下方向において厚さを有する。また、上障子2の左右の上側縦框23,24、下障子3の左右の下側縦框33,34は、左右方向に厚さを有する。そのため、本実施形態においては、「框40の厚さ方向」とは、框40が延びる方向及び見込方向に直交する方向を意味する。
【0033】
框40は、
図3A〜
図5に示すように、屋外側に配置される屋外側框41と、屋外側框41における框40の厚さ方向の外側の端部から屋内側に延びる屋内側框42と、を有する。
【0034】
屋外側框41は、第1枠部412と、第1枠部412よりも厚さ方向の内側に形成される第2枠部413と、を有する。第2枠部413は、屋内側に向けて開口する。
【0035】
屋内側框42は、屋外側框41における厚さ方向の外側の端部から屋内側に延びる。屋内側框42は、見込方向に延びる空気室421を形成する第3枠部422を有する。
【0036】
また、下障子3の下部には、ガイド331、341が設けられている。ガイド331、341は、下障子3の下部から左右方向における端面から左右方向の外側へ突出する延出基部331a、341aと、延出基部331a、341aの突出端部に設けられた円柱状部331b、341bと、を有している。バランサー137、バランサー147から延びるワイヤー137a、147aの端部の環状の部分を係止可能なワイヤー係止溝331c、図示しないワイヤー係止溝、が形成されている。また、ガイド331、341よりも上方に位置している下障子3の下側縦框33,34の上端部の左右端部には、下障子に対して回動可能にアーム部332、図示しないアーム部、の一端部が支持されている。アーム部332の他端部、図示しないアーム部の他端部には、先端がフランジ状に拡径した円形状の係止凸部332a、図示しない係止凸部が設けられている。係止凸部332a、図示しない係止凸部が、図示しない被アーム部ガイド、被アーム部ガイド146bに形成された溝部に挿入されることにより、アーム部332、図示しないアーム部の他端部は、図示しない被アーム部ガイド、被アーム部ガイド146bに対して回動可能に、図示しない被アーム部ガイド、被アーム部ガイド146bに接続されている。
【0037】
次に、ロック機構70、70について説明する。
図8Aは、本実施形態に係る上げ下げ窓1のロック機構70が施錠状態且つ作業位置移動不能状態である様子を見込方向から見た説明図である。
図8Bは、本実施形態に係る上げ下げ窓1のロック機構70が解錠状態且つ作業位置移動不能状態である様子を見込方向から見た説明図である。
図8Cは、本実施形態に係る上げ下げ窓1のロック機構70が解錠状態且つ作業位置移動可能状態である様子を見込方向から見た説明図である。
図8Dは、本実施形態に係る上げ下げ窓1のロック機構70が施錠状態且つ作業位置移動可能状態である様子を見込方向から見た説明図である。
【0038】
ロック機構70,70は、下障子3が屋内側に倒れないようにロックすることにより、下障子3が閉鎖した施錠状態を維持するための機構である。ロック機構70,70は、
図1に示すように、上げ下げ窓1の左右に一対設けられ、下障子3の上框21の左右方向の両端の端部側に配置される。
ロック機構70は、施錠機構と切換機構とを有しており、
図7に示すように、基体71、ラッチ部材72、図示しない弾性部材、摺動棒74、第1操作部材75、第2操作部材76、図示しない連結部材、及び係止部60を備えている。
【0039】
基体71には、第1操作部材75、第2操作部材76、及び摺動棒74が摺動可能に取り付けられている。摺動棒74は、棒状の部材である。摺動棒74は、基体71に係止されつつ、基体71に対して揺動可能に、基体71に取り付けられている。
【0040】
第1操作部材75は施錠機構を構成し、操作者により、下障子3解錠されるときに操作される直方体形状の部材である。即ち、第1操作部材75は、下障子3の施錠/解錠の切換えを行うための部材である。第1操作部材75は、屋内側に面している第2框体としての上框31の見付面(上框31の屋内側の面)に配置されており、図示しない連結部材を介して摺動棒74に連結されている。第1操作部材75は、見付方向に沿った方向へ、より具体的には、上框31の屋内側の見付面に沿った方向であって左右方向へ、基体71に摺動可能に取り付けられる。第1操作部材75の摺動方向は、摺動棒74の摺動方向と同じ方向である。第1操作部材75によって下障子3が解錠状態とされたときに、枠体10内において下障子3は見込方向の屋内側に傾斜可能となる。
【0041】
ラッチ部材72は、左右方向に延びる板状の部材である。ラッチ部材72の長手方向の一端側が他に比べて大きく形成され、その先端の端面は多面に形成されている。ラッチ部材72の先端側の屋内側には、端面72aが形成されている。
【0042】
図示しない弾性部材は、ラッチ部材72を左右方向の外側に付勢する。図示しない弾性部材は、弾性部材の一端が基体71に固定され、他端がラッチ部材72に固定される。図示しない弾性部材がラッチ部材72を左右方向の外側に付勢することで、
図7等に示すように、ラッチ部材72は、縦枠13、14の一部(
図7における縦枠14の一部141)に当接可能となり移動が規制される。
【0043】
第2操作部材76は切換機構を構成し、操作者により、下障子3が解錠状態とされたときの下障子3の見込方向への傾斜位置よりも、更に見込方向へ傾斜した状態となる第2障子の作業位置への移動を可能/不能とする切換えを行う、直方体形状の部材である。第2操作部材76の、左右方向における長さは第1操作部材75の同方向における長さと同一であり、上下方向における長さは第1操作部材75の同方向における長さよりも短い。第2操作部材76は、第1操作部材75の上端面に対向して隣接して、見込方向の屋内側に面している第2框体としての上框31の面(上框31の屋内側の面)に配置されている。
【0044】
第2操作部材76は、図示しないピボットアームを介してラッチ部材72に連結されている。第2操作部材76は、見付方向に沿った方向へ、より具体的には、上框31の屋内側の面に沿った方向であって左右方向へ、基体71に摺動可能に取り付けられる。第2操作部材76の摺動方向は、ラッチ部材72の摺動方向と反対の方向である。即ち、下障子3が施錠状態から解錠状態とされるときの第1操作部材75の操作方向と、下障子の作業位置への移動を不能とする状態から移動を可能とする状態へと切換えるときの第2操作部材76の操作方向とは、それぞれ見付面に沿った方向であり、且つ、互いに反対の方向である。下障子3が施錠状態とされ、下障子3の作業位置への移動が不能とされているときには、
図8Aに示すように、左右方向における第1操作部材75の位置と第2操作部材76の位置とは、一致している。
【0045】
係止部60は、下障子3の上方への移動を規制すると共に、下障子3が屋内側へ倒れないように規制するストッパ(規制部材)として機能する。係止部60は、金属製の基部材61と、樹脂製のカバー部材62と、を有している。基部材61は、金属製の長方形状の板状を有するとともに、長方形状の中央部が立設されて、その先端が当該板状の部分に対して平行な板状を有する部材であり、ガイド溝135a、145a内に配置されて縦枠13、14に固定されている。カバー部材62は、基部材61の当該立設された部分の先端の板状の部分を覆う樹脂製の部材である。左右の係止部60の基部材61の平行な板状の部材の間には、空間が形成されており、当該空間には、線状部材としてのワイヤー137a、147aが、それぞれ1本ずつ、係止部60の上端部から下端部に至るまで通されている。
【0046】
上下方向における係止部60の基部材61の中央位置においては、下障子3の方向へ突出する障子規制用突出部63が立ち上がるように設けられている。カバー部材62は、見込方向における屋内側へ開口する屋内側開口切り欠き64が形成された形状を有している。屋内側開口切り欠き64は、障子規制用突出部63を覆っているカバー部材62の部分よりも見込方向における屋内側の位置から、カバー部材62の屋内側の端部に至るまで形成されている。屋内側開口切り欠き64には、被係合部としての摺動棒74が挿入され係合する。このように係合することにより、下障子3が施錠状態となる。
【0047】
係止部60の下部には、下方開口切り欠き65が形成されている。下方開口切り欠き65は下方に向って開口しており、ワイヤー137a、147aを挿入可能であるが、ワイヤー137a、147aの図示しない被係止部、被係止部147bは通り抜け不能である程度の開口幅を有している。下方開口切り欠き65にワイヤー137a、147aを通し、ワイヤー137a、147aの図示しない被係止部、被係止部147bを引っ掛けることにより、ワイヤー137a、147aの図示しない被係止部、被係止部147bが係止され、ワイヤー137a、147aがバランサー137、バランサー147に巻き上げられることを一時的に停止させる。
【0048】
次に、ロック機構70を解錠して、下障子3を開放させる動作について説明する。
上げ下げ窓1の閉鎖状態では、下障子3は、
図1に示すように、枠体10内において上障子2の下方に配置されている。このときには、ロック機構70、70は、
図8Aに示すように、ラッチ部材72は、作業位置移動不能状態にある。このとき、ラッチ部材72は、図示しない弾性部材により、下障子3の外方へ付勢されている。一方、摺動棒74は縦枠13、14に向けて大きく突出しており、摺動棒74の先端が、係止部60の屋外側に配置され、係止部60の屋内側開口切り欠き64に係合し、係止部60の障子規制用突出部63に当接して、下障子3の見込方向における屋内側への移動が規制されている。これにより、下障子3は移動させることができず、閉鎖状態で、ロックされている。
【0049】
このような閉鎖状態から、操作者は、
図8Bに示すように、第1操作部材75を、下障子3の左右方向の内側に移動させる。これにより、摺動棒74が係止部60よりも左右方向の内側に移動して、解錠される。そして、操作者は、下障子3を、屋内側に引き倒す。その後、操作者は、下障子3を引き上げることで、下障子3のガイド331、341がガイド溝135a、145a(図示せず)内を移動し、下障子3を開放させることができる。下障子3を閉める際には、上記の手順を遡るように操作する。このとき、ラッチ部材72は、作業位置移動不能状態に維持されており、下障子3は、開放されるために引き上げ可能な程度に見込方向の屋内側に引き倒すことが可能であり、それ以上に引き倒すことができないように、規制されている。
【0050】
次に、下障子3を作業位置へ移動させる動作について説明する。
前述のように、
図8Aに示すように下障子3が閉鎖状態でロックされている状態から、
図8Bに示すように、第1操作部材75を、下障子3の左右方向の内側に移動させて、下障子3を解錠し、屋内側に引き倒す。次に、操作者は、
図8Cに示すように、第2操作部材76を、下障子3の左右方向の外側に移動させる。すると、ラッチ部材72が下障子3の左右方向の内側に移動させられ、作業位置移動可能状態となる。これにより、ラッチ部材72が、縦枠13、14の一部141に当接しない状態となり、下障子3が解錠状態とされたときの下障子3の見込方向の屋内側へ引き倒された傾斜位置よりも、更に見込方向の屋内側へ傾斜した状態の位置である作業位置とすることが可能となる。操作者は、このように下障子3を作業位置として、下障子3のガラス300の屋外側の面を清掃等する。下障子3を閉める際には、上記の手順を遡るように操作する。なお、
図8Dに示すように、ラッチ部材72が下障子3の左右方向の内側に移動させられた状態(作業位置移動可能状態)であっても、摺動棒74が下障子3の左右方向の外側に移動させられていれば、下障子3は閉鎖状態でロックされている。
【0051】
次に、下障子3を枠体10に配置させる施工の作業について説明する。
図9は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の係止部60に被係止部147bを係止させた様子を示す拡大斜視図である。
図10は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の下障子3のガイド331、にワイヤー137aの下端部の環状とされた部分を係止させた様子を示す拡大斜視図である。
図11は、本実施形態に係る上げ下げ窓1の下障子3を枠体10に配置させる様子を示す斜視図である。
【0052】
先ず、下障子3が枠体10に配置されていない状態のときに、バランサー137、バランサー147の巻き上げばねの付勢力に抗してワイヤー137a、147aを引き下げて、
図9に示すように、ワイヤー137a、147aの中間部の図示しない被係止部、被係止部147bを、係止部60の下方開口切り欠き65に係止させる。次に、
図10、
図11に示すように、ワイヤー137a、147aの下端部の環状の部分を下障子3のガイド331、341に係止して接続し、ガイド331、341をガイド溝135a、145aに挿入する。そして、ワイヤー137a、147aと共に下障子3を下方へ引き下げることにより、図示しない被係止部、被係止部147bが下方開口切り欠き65から外れる。そして、アーム部332、図示しないアーム部の端部を被アーム部ガイド146bに接続する。以上の工程を経て、下障子3は、枠体10に配置され、下障子3の開放/閉鎖が可能な状態となる。
【0053】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、建具としての上げ下げ窓1は、左右の縦枠13、14と上下の横枠11、12とにより枠組みされた枠体10と、枠体10内に配置され、第1框体としての上側框体20を有する第1障子としての上障子2と、枠体10内の下方に配置され、第2框体としての下側框体30を有する第2障子としての下障子3と、を備える。
屋内側に面している下側框体30の見付面には、下障子3の施錠/解錠の切換えを行う施錠機構の第1操作部材75と、下障子3が解錠状態とされたときの解錠位置よりも、見込方向へ傾斜した状態となる下障子3の作業位置への移動を可能/不能とする切換えを行う切換機構の第2操作部材76と、が配置されている。
【0054】
これにより、下障子3の作業位置への移動を可能/不能とする切換えを行う切換機構の第2操作部材76の視認性を良くすることが可能となる。このため、当該切換えの操作を容易とすることが可能となる。この結果、視認しながら当該切換えの操作を行うことが可能であるため、当該切換えの誤動作の発生を抑えることができる。上げ下げ窓1が高所に配置されている場合には、特に、第1操作部材75、第2操作部材76の操作が容易である。
また、屋内側に面している下側框体30の見付面に、第1操作部材75と、第2操作部材76と、が配置されているため、屋外側から第1操作部材75、第2操作部材76を視認することができず、防犯効果を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1操作部材75と第2操作部材76とは、隣接して配置され、下障子3が施錠された状態から解錠されるときの第1操作部材75の操作方向と、下障子3の作業位置への移動を不能とする状態から移動を可能とする状態へと切換えるときの第2操作部材76の操作方向とは、それぞれ見付面に沿った方向であり、且つ、互いに反対の方向である。
そのため、第1操作部材75を操作して解錠させる際に、誤って第2操作部材76まで第1操作部材75と同一の方向へ操作してしまった場合であっても、下障子3が屋内側へ倒れて作業位置へ移動することを防止することができる。また、第1操作部材75と第2操作部材76とが隣接して配置されているため、解錠状態と作業位置移動可能状態とに手際よく状態を切換えることができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0057】
例えば、本実施形態では、下障子3が枠体10内を上下方向に移動可能に構成され、閉鎖時に下障子3が上障子2の下方の屋内側に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、第1操作部により解錠状態とされた第2障子は、見込方向へ全く傾斜しなくてもよい。また、第2障子は、第1操作部材により第2障子が解錠状態とされたときに見込方向に傾斜可能であり、第1操作部材によって第2障子が解錠状態とされ、且つ、第2操作部材によって、第2障子の作業位置への移動を可能とする作業位置移動可能状態とされたときに、第2障子は、第2障子が見込方向に傾斜した解錠状態位置よりも、更に見込方向へ傾斜した作業位置へ傾斜可能であってもよい。
即ち、閉鎖時に下障子が上障子と同一平面となる、いわゆる、フラットスライド構造を備えていてもよい。ここで、下障子と上障子とが同一平面とは、上障子の上側ガラスと下障子の下側ガラスとについて、上側ガラスの表面と下側ガラスの表面との見込方向の位置が同じことを意味する。下障子は、枠体内を上方側に移動する場合には、枠体内において、上障子よりも見込方向の屋内側に移動しながら上方側に移動するように構成される。
【0058】
また、上記実施形態では、建具1は、上げ下げ窓1により構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、建具は、上障子及び下障子を有する採風窓であって、少なくとも下障子が上下方向へ移動可能な採風窓を有するドアにより構成されてもよい。
【0059】
また、建具の各部の構成は、上記実施形態による上げ下げ窓1の各部の構成に限定されない。例えば、上記実施形態では線状部材は、ワイヤーにより構成されたが、ワイヤーに限定されない。また、第1操作部材、第2操作部材等の構成や位置は、上記実施形態による第1操作部材75、第2操作部材76等の構成や位置に限定されない。また、作業位置において行われる作業は、下障子3の清掃に限定されない。