特許第6763695号(P6763695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILの特許一覧

<>
  • 特許6763695-建具 図000002
  • 特許6763695-建具 図000003
  • 特許6763695-建具 図000004
  • 特許6763695-建具 図000005
  • 特許6763695-建具 図000006
  • 特許6763695-建具 図000007
  • 特許6763695-建具 図000008
  • 特許6763695-建具 図000009
  • 特許6763695-建具 図000010
  • 特許6763695-建具 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763695
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/44 20060101AFI20200917BHJP
   E05D 15/20 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   E06B3/44
   E05D15/20
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-108729(P2016-108729)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-214757(P2017-214757A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−246888(JP,A)
【文献】 特開2014−221986(JP,A)
【文献】 特開2010−242492(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/44
E05D 15/10
E05D 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠と上下の横枠とにより枠組みされた枠体と、
前記枠体内に配置され、第1框体を有する第1障子と、
前記枠体内において、見込方向且つ上下方向に移動可能、又は、上下方向に移動可能に設けられ、閉鎖状態で前記第1障子の下方に配置され、第2框体を有する第2障子と、を備える建具であって、
前記第2障子は、前記第2框体に固定されたガイドと、一端寄りの部分が前記ガイドに対して回動可能に前記ガイドに接続されたアーム部と、を有し、
前記枠体は、前記第2障子の上下方向への移動時に、前記ガイドの移動を案内するガイド溝と、前記アーム部の他端寄りの部分を案内するアーム部ガイド溝と、を有し、
少なくとも前記第2障子は、3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備え、
前記第2障子の見込方向且つ上下方向への移動時に前記ガイドが案内される前記ガイド溝の部分の形状は、一の半径を有する円弧の一部の形状により構成され
前記ガイド溝は、前記一の半径を有する円弧の一部の形状を有する円弧状部と直線状部を有し、前記円弧状部は、前記ガイド溝の下端部を構成し、前記直線状部は、前記円弧状部の上端部よりも上側の前記ガイド溝の部分を構成している建具。
【請求項2】
滑車を備え、
前記第1障子は、上下方向へ移動可能に前記枠体に支持され、
前記第1障子と前記第2障子とは、連動可能に、前記滑車に掛けられた線状部材に接続されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記アーム部の他端部には被アーム部ガイドが接続され、前記被アーム部ガイドは、前記アーム部ガイド溝に案内され、
水平線と、前記ガイドと前記アーム部の他端寄りの部分とを結ぶ直線と、のなす角であって、前記被アーム部ガイドから屋内側に延びる水平線と、前記被アーム部ガイドから前記アーム部の一端部へ延びる前記アーム部と、の間のなす角は、45°以上である請求項1又は請求項2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内の上部に配置される上障子と、枠体内の下部に配置される下障子と、を備え、閉鎖状態で、上障子及び下障子が同一平面内に配置される、いわゆるフラットスライド構造を備える上げ下げ窓(建具)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。上障子は、上框、下框及び左右の縦框を有する。下障子は、上框、下框及び左右の縦框を有する。また、ドアにおいても、上述のように、上障子と下障子とを備え、いわゆるフラットスライド構造を備える採風窓を有するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−216172号公報
【特許文献2】特開2012−001898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載されている上障子及び下障子は、例えば、2枚のガラスを有する複層ガラスを備える。しかし、上障子及び下障子ついては、例えば、3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備える構成も考えられる。このような構成を有する場合には、採風窓を開放するために下障子を引き上げる際に、ガラスの枚数が多いため非常に重く感じられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備える下障子を引き上げる際に、下障子が重く感じられることを軽減可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、左右の縦枠(例えば、後述の縦枠13、縦枠14)と上下の横枠(例えば、後述の横枠11、横枠12)とにより枠組みされた枠体(例えば、後述の枠体10)と、前記枠体内に配置され、第1框体(例えば、後述の框体50)を有する第1障子(例えば、後述の上障子5)と、前記枠体内において、見込方向且つ上下方向に移動可能、又は、上下方向に移動可能に設けられ、閉鎖状態で前記第1障子の下方に配置され、第2框体(例えば、後述の框体60)を有する第2障子(例えば、後述の下障子6)と、を備える建具(例えば、後述の建具1)であって、前記第2障子は、前記第2框体に固定されたガイド(例えば、後述のガイド643)と、一端寄りの部分が前記ガイドに対して回動可能に前記ガイドに接続されたアーム部(例えば、後述のアーム部646)と、を有し、前記枠体は、前記第2障子の上下方向への移動時に、前記ガイドの移動を案内するガイド溝(例えば、後述のガイド溝44a)と、前記アーム部の他端寄りの部分を案内するアーム部ガイド溝(例えば、後述のアーム部ガイド溝44d)と、を有し、少なくとも前記第2障子は、3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備え、前記第2障子の見込方向且つ上下方向への移動時に前記ガイドが案内される前記ガイド溝の部分の形状は、一の半径を有する円弧の一部(例えば、後述の円弧状部44a−1)の形状により構成されている建具を提供する。
【0007】
また、滑車を備え、前記第1障子は、上下方向へ移動可能に前記枠体に支持され、前記第1障子と前記第2障子とは、連動可能に、前記滑車に掛けられた線状部材に接続されていることが好ましい。
【0008】
また、水平線(例えば、後述の水平線H)と、前記ガイドと前記アーム部の他端寄りの部分とを結ぶ直線と、のなす角(例えば、後述のなす角d)は、45°以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備える下障子を引き上げる際に、下障子が重く感じられることを軽減可能な建具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を屋外側から見た姿図である。
図2】上記実施形態に係る建具を屋内側から見た姿図である。
図3】上記実施形態に係る建具が開いた状態を示す斜視図である。
図4】上記実施形態に係る建具の縦断面図である。
図5】上記実施形態に係る建具の上下方向における中央部の横断面図である。
図6】上記実施形態に係る建具の上下方向における上部の横断面図である。
図7A】上記実施形態に係る建具の採風窓が閉鎖されているときの、ガイド及びアーム部と、ガイド溝及びアーム部ガイド溝との位置関係を示す図である。
図7B】上記実施形態に係る建具の下障子が上方向且つ見込方向へ移動しているときの、ガイド及びアーム部と、ガイド溝及びアーム部ガイド溝との位置関係を示す図である。
図7C】上記実施形態に係る建具の下障子が上方向へのみ移動し始めるときの、ガイド及びアーム部と、ガイド溝及びアーム部ガイド溝との位置関係を示す図である。
図7D】上記実施形態に係る建具の採風窓が全開の状態で開放されているときの、ガイド及びアーム部と、ガイド溝及びアーム部ガイド溝との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具における障子の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記障子の厚さ方向を意味する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る建具1を屋外側から見た姿図である。図2は、上記実施形態に係る建具1を屋内側から見た姿図である。図3は、上記実施形態に係る建具1が開いた状態を示す斜視図である。図4は、上記実施形態に係る建具1の縦断面図である。図5は、上記実施形態に係る建具1の上下方向における中央部の横断面図である。図6は、上記実施形態に係る建具1の上下方向における上部の横断面図である。
建具1は、勝手口ドア等のドアである。建具1は、建物に形成された開口に納められる。建具1は、建物の開口に取り付けられる固定枠体20と、固定枠体20に開閉可能に嵌め込まれる戸体4と、を備える。
【0013】
固定枠体20は、上下の横枠としての固定上枠21及び固定下枠22と、左右の縦枠としての吊元側の固定縦枠23及び戸先側の固定縦枠24により矩形に枠組みされる。
戸体4は、スイング框体40と、スイング框体40に嵌め込まれる第1障子としての上障子5、及び、第2障子としての下障子6と、上障子5及び下障子6の屋外側に配置される格子7と、を備える。
【0014】
スイング框体40は、上下の横枠としてのスイング上框41及びスイング下框42と、左右の縦框としての吊元側のスイング縦框43及び戸先側のスイング縦框44により矩形に枠組みされる。
スイング上框41は、戸体4の幅方向(左右方向)の中心よりも吊元側に寄って配置されるドアクローザ41dを有する。ドアクローザ41dは、固定上枠21とスイング上框41とを連結し且つ戸体4を自動的に閉じる。
戸先側のスイング縦框44は、高さ方向の略中央部にドアノブ8aを備える(図1及び図2)。また、戸先側のスイング縦框44は、図2に示すように、屋内側のドアノブ8aの上下に配置される錠の開閉を行うためのサムターン8b,8cを備える。サムターン8b,8cを回転させることで、デットボルト8e、8f(図3参照)を操作して建具1を施錠できる。
【0015】
上障子5は、第1框体としての框体50と、框体50に嵌め込まれて固定されたガラス55と、を備える。框体50は、上框51と、下框52と、吊元側の縦框53及び戸先側の縦框54と、により矩形に框組みされる。
下障子6は、第2框体としての框体60と、框体60に嵌め込まれて固定されたガラス65と、を備える。框体60は、上框61と、下框62と、吊元側の縦框63及び戸先側の縦框64と、により矩形に框組みされる。
上障子5及び下障子6は、採風窓を構成する。具体的には、下障子6は、スイング框体40内において見込方向且つ上下方向に移動可能、又は、見付方向に移動可能に設けられている。即ち、下障子6を屋内側に引きながら引き上げているときには、下障子6は、見込方向(屋内の方向)且つ見付方向(上方向)に移動しており、その後に、下障子6を上方へ引き上げているときには、下障子6は、上下方向にのみ移動する。上障子及び下障子は、いわゆるフラットスライド構造を備える。即ち、上障子5と下障子6とにより構成される採風窓が閉鎖された状態では、下障子6は、上障子5の下方の同一平面内に配置される。
【0016】
建具1は、スイング縦框43及びスイング縦框44に沿って、上障子5を下方向に、下障子6を上方向にそれぞれ移動させて屋外と屋内とを連通させて採風することができる。框体60の上框61は、戸先側と吊元側の両端に配置され、下障子6を閉鎖状態に固定するためのスライドロック8dを有する。
【0017】
戸体4は、屋内側からドアノブ8aを把持して反時計回り回動し、デットボルト8e、8fを操作しつつ、戸先側のスイング縦框44を屋外側に押し出して、戸体4をピポットヒンジ(図示しない)の軸芯の回りに回動させることで開放することができる。
【0018】
建物は、図示しない外壁材と、内壁材と、開口部の四周に渡って設けられた内装材と、を有する。また、建物は、外壁材と内壁材との間の開口部に沿って配置された図示しないフレーム材を有する。
【0019】
図4に示すように、ガラス55は、屋内側の板ガラス551と、屋外側の板ガラス552と、これら2枚の板ガラスの間に配置された中間ガラス553と、これら3枚の板ガラスで挟持されたスペーサ554と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。ガラス65も、屋内側の板ガラス651と、屋外側の板ガラス652と、これら2枚の板ガラスの間に配置された中間ガラス653と、これら3枚の板ガラスで挟持されたスペーサ654と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。
【0020】
固定上枠21は、固定上枠本体211を有する。固定上枠本体211は、屋外側に配置される固定金属上枠213と、固定金属上枠213の屋内側に配置される固定樹脂上枠214と、を含んで構成される。
【0021】
固定金属上枠213は、中空部を有するホロー構造である。固定金属上枠213は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成された固定金属上枠垂設部213aを有する。固定樹脂上枠214は、固定金属上枠垂設部213aの屋内側に取り付けられる。固定金属上枠垂設部213aの下端の屋外側には、気密材213bが取り付けられる。
【0022】
固定金属上枠213は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属上枠213は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂上枠214は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂上枠214は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0023】
スイング上框41は、スイング金属上框411と、スイング金属上框411の屋内側に配置されるスイング樹脂上框412と、スイング金属上框411の屋外側に配置される格子上縁413と、を含んで構成される。
【0024】
スイング金属上框411は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属上框411は、屋外側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング金属上框垂設部411aを有する。スイング金属上框垂設部411aの下端の屋内側には、気密材411bが取り付けられる。スイング樹脂上框412は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング樹脂上框垂設部412aを有する。スイング樹脂上框垂設部412aの下端の屋内側には、モヘア部材412bが取り付けられる。スイング樹脂上框412は、屋内側において気密材213bと当接する。格子上縁413は、スイング金属上框垂設部411aの屋外側に取り付けられる。スイング上框41は、スイング金属上框垂設部411a及びスイング樹脂上框垂設部412aによって形成される下方に開放した溝41aを有する。
【0025】
スイング金属上框411及び格子上縁413は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属上框411及び格子上縁413は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂上框412は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂上框412は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0026】
上框51は、金属上框511を含んで構成される。金属上框511は、屋外側において気密材411bと当接する。また、金属上框511は、屋内側において、モヘア部材412bに当接する。上框51は、下方に開口して形成される溝を有し、ガスケット51bを介してガラス55の上端縁を挟持する。
【0027】
下框52は、金属下框521を含んで構成される。下框52は、上方に開口して形成される溝を有し、ガスケット52bを介してガラス55の下端縁を挟持する。
【0028】
金属上框511及び金属下框521は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属上框511及び金属下框521は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
【0029】
上框61は、金属上框611と、金属上框611の屋内側に配置される樹脂上框612と、を含んで構成される。金属上框611は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出した金属上框立設部611aを有する。樹脂上框612は、金属上框立設部611aの屋内側に係合される。樹脂上框612は、下障子6を屋内側に引いてから引き上げるための取手としての役割を有する。上框61は、下方に開口して形成される溝61aを有し、ガスケット61bを介してガラス65の上端縁を挟持する。
【0030】
下框62は、金属下框621と、金属下框621の屋内側に配置される樹脂下框622と、を含んで構成される。樹脂下框622は、金属下框621の屋内側に係合される。下框62は、上方に開口して形成される溝62aを有し、ガスケット62bを介してガラス65の下端縁を挟持する。
【0031】
金属上框611及び金属下框621は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属上框611及び金属下框621は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
樹脂上框612及び樹脂下框622は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、樹脂上框612及び樹脂下框622は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0032】
スイング下框42は、スイング金属下框421と、スイング金属下框421の屋内側に配置されるスイング樹脂下框422と、スイング金属下框421の屋外側に配置される格子下縁423と、を含んで構成される。
【0033】
スイング金属下框421は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属下框421は、屋外側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング金属下框立設部421aを有する。スイング金属下框立設部421aの上端の屋内側には、気密材421bが取り付けられる。気密材421bは、金属下框621の屋外側と当接する。気密材421bの内部には、空気層が形成されている。スイング樹脂下框422は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成されたスイング樹脂下框立設部422aを有する。スイング下框42は、スイング金属下框立設部421a及びスイング樹脂下框立設部422aによって形成される上方に開放した溝42aを有する。
また、スイング下框42の溝42aの底部には、気密材42bが取り付けられる。気密材42bは、金属下框621の下端に当接する。気密材42bは中空の構成を有している。気密材42b、及び、気密材421bにより、下障子6の屋外側と屋内側とが気密とされ、空気層x、y、zが形成され、建具1は、優れた断熱性を有する。
格子下縁423は、スイング金属下框立設部421aの屋外側に取り付けられる。
【0034】
スイング金属下框421及び格子下縁423は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属下框421及び格子下縁423は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂下框422は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂下框422は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0035】
固定下枠22は、固定下枠本体221を有する。固定下枠本体221は、屋外側に配置される固定金属下枠223と、固定金属下枠223の屋内側に配置される固定樹脂下枠224と、を含んで構成される。
【0036】
固定金属下枠223は、中空部を有するホロー構造である。固定金属下枠223は、屋内側の端部から略鉛直方向に延出して形成された固定金属下枠立設部223aを有する。固定樹脂下枠224は、固定金属下枠立設部223aの上側に取り付けられる。固定樹脂下枠224の屋外側には、気密材224aが取り付けられる。気密材224aは、スイング樹脂下框422に当接する。
【0037】
固定金属下枠223は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属下枠223は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂下枠224は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂下枠224は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0038】
吊元側の固定縦枠23は、固定縦枠本体231を有する。固定縦枠本体231は、屋外側に配置される固定金属縦枠233と、固定金属縦枠233の屋内側に配置される固定樹脂縦枠234と、を含んで構成される。
【0039】
固定金属縦枠233は、中空部を有するホロー構造である。固定金属縦枠233は、屋内側の端部から戸先側に延出して形成された固定金属縦枠横設部233aを有する。固定樹脂縦枠234は、固定金属縦枠横設部233aに取り付けられる。固定樹脂縦枠234の先端の屋外側には、気密材234aが取り付けられる。
【0040】
固定金属縦枠233は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、固定金属縦枠233は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
固定樹脂縦枠234は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、固定樹脂縦枠234は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0041】
吊元側のスイング縦框43は、スイング金属縦框431と、スイング金属縦框431の屋内側に配置されるスイング樹脂縦框432と、スイング金属縦框431の屋外側に配置される格子縦縁433と、を含んで構成される。
【0042】
スイング金属縦框431は、中空部を有するホロー構造である。スイング金属縦框431は、屋外側の端部から戸先側に延出して形成されたスイング金属縦框横設部431aを有する。スイング金属縦框横設部431aの先端の屋内側には、気密材431bが取り付けられる。格子縦縁433は、スイング金属縦框横設部431aの屋外側に取り付けられる。
【0043】
スイング縦框43は、スイング金属縦框横設部431a及びスイング樹脂縦框432の戸先側の部分によって形成され戸先側に開放した溝43b、ガイド溝43a及びアーム部ガイド溝44d(図7A等参照)を有する。溝43bは、上障子5を見付方向に移動させる際、即ち、上障子5を下方向に移動させる際、また下方向に移動させた上障子5を元の状態に戻す際に、上障子5の吊元側の縦框53から突出したガイド(図示しない)を案内する。
【0044】
スイング縦框43は、スイング樹脂縦框432によって溝43bよりも屋外側に形成され且つ戸先側に開放した溝43aを有する。溝43aは、下障子6を見付方向に移動させる際、即ち、図4においては図示しない下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、下障子6の吊元側の縦框63から突出した図示しないガイド(戸先側ではガイド643(図7A等参照))を案内する。また、溝43aに沿って、アーム部ガイド溝44d(図7A等参照)が形成されている。アーム部ガイド溝44d(図7A等参照)は、下障子6を見付方向に移動させる際、即ち、図4においては図示しない下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、後述の被アーム部ガイド647を案内する。
【0045】
更に、吊元側のスイング縦框43の上部は、溝43aの内部に配置される図示しない滑車を有する。滑車は、上障子5及び下障子6に一端部及び他端部が接続されて、上障子5及び下障子6を繋ぐ線状部材としての図示しないワイヤが引っ掛けられる。これにより、上障子5及び下障子6が連動することが可能になる。
【0046】
スイング金属縦框431及び格子縦縁433は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、スイング金属縦框431及び格子縦縁433は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
スイング樹脂縦框432は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、スイング樹脂縦框432は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0047】
縦框53は、金属縦框531と、金属縦框531の屋内側に配置される樹脂縦框532と、を含んで構成される。金属縦框531は、屋外側において気密材431bと当接する。樹脂縦框532は、吊元側に配置され且つ先端がスイング樹脂縦框432に当接するモヘア部材532aを有する。縦框53は、戸先側に開口して形成される溝53aを有し、ガスケット53bを介してガラス55の側端縁を挟持する。
【0048】
更に、縦框53は、吊元側に突出したガイド533を有する。ガイド533は、上障子5を下方向に移動させる際、また下方向に移動させた上障子5を元の状態に戻す際に、スイング縦框43に形成された図示しない溝によって案内される。
【0049】
金属縦框531は、例えばアルミニウムで構成される。より具体的には、金属縦框531は、アルミニウムを押出成形することで得られる。
樹脂縦框532は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。より具体的には、樹脂縦框532は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を押出成形することで得られる。
【0050】
また、下障子6の縦框64は、吊元側に突出したガイド643(図7A参照)を有する。ガイド643は、下障子6を上方向に移動させる際、また上方向に移動させた下障子6を元の状態に戻す際に、溝44aによって案内される。ガイド643には長円形状を有するアーム部646の一端部が接続されている。アーム部646は、ガイド643の軸心を中心として回転可能に支持されている。アーム部646の他端部には、被アーム部ガイド647が接続されている。
【0051】
ドアノブ8aは、戸先側のスイング縦框44を貫通して配置される。
サムターン8bは、デットボルト8eを見付方向に進退させる。
【0052】
戸先側の固定縦枠24、スイング縦框44、縦框54については、それぞれ吊元側の固定縦枠23、スイング縦框43、縦框53と同様の構成については対応する符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0053】
戸先側の固定縦枠24は、デットボルト8eの挿入される図示しない受け部を有する。また、戸先側の固定縦枠24は、ドアノブ8aによって操作される図示しないラッチボルトの受け部と、サムターン8cによって操作されるデットボルト8fの図示しない受け部も有する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る建具1における固定枠体20、スイング框体40、框体50及び框体60は、屋外側が主に金属製の部材によって構成され、屋内側が主に樹脂製の部材によって構成される。従って、建具1は断熱性が高い。
【0055】
続いて、本実施形態に係る溝43aについて詳細に説明する。上記のように、吊元側のスイング縦框43と、戸先側のスイング縦框44とは同様の構成であるので、戸先側のスイング縦框44についてのみ詳細に説明する。
図7Aは、上記実施形態に係る建具1の採風窓が閉鎖されているときの、ガイド643及びアーム部646と、ガイド溝44a及びアーム部ガイド溝44dとの位置関係を示す図である。図7Bは、上記実施形態に係る建具1の下障子6が上方向且つ見込方向へ移動しているときの、ガイド643及びアーム部646と、ガイド溝44a及びアーム部ガイド溝44dとの位置関係を示す図である。図7Cは、上記実施形態に係る建具1の下障子6が上方向へのみ移動し始めるときの、ガイド643及びアーム部646と、ガイド溝44a及びアーム部ガイド溝44dとの位置関係を示す図である。図7Dは、上記実施形態に係る建具1の採風窓が全開の状態で開放されているときの、ガイド643及びアーム部646と、ガイド溝44a及びアーム部ガイド溝44dとの位置関係を示す図である。
【0056】
ガイド溝44aは、円弧状部44a−1と直線状部44a−2とを有している。円弧状部44a−1は、ガイド溝44aの下端部を構成し、直線状部44a−2は、円弧状部44a−1の上端部よりも上側のガイド溝44aの部分を構成している。直線状部44a−2の下端部と円弧状部44a−1の上端部との接続部分は、段差や折れ曲がる角部が生じておらず、滑らかに接続されている。円弧状部44a−1は、所定の値を有する一の半径を有しており、複数種類の半径を有してはいない。円弧状部44a−1は、単体の部品として構成された樹脂製の溝形成部品441に形成された円弧状の溝により構成されている。被アーム部ガイド647を案内するアーム部ガイド溝44dは、直線状部44d−2のみを有している。
【0057】
以下、下障子6を引き上げて、採風窓を開くときの、ガイド643、アーム部646、及び、被アーム部ガイド647と、ガイド溝44a及びアーム部ガイド溝44dと、の位置関係について、説明する。
【0058】
先ず、採風窓が閉鎖されているときには、ガイド643は、図7Aに示すように、ガイド溝44aの円弧状部44a−1の下端部に位置している。この状態から、下障子6が引き上げられることにより、図7Bに示すようにガイド643は、ガイド溝44aの円弧状部44a−1によって案内されてゆく。そして、更に下障子6が引き上げられることにより、図7Cに示すように、円弧状部44a−1の上端部に至るまで案内される。このように、図7Aに示す状態から図7Bに示す状態を経て図7Cに示す状態へ移行することにより、下障子6は、見付方向(上方向)且つ見込方向(屋内側方向)へ移動する。
そして図7Cに示すように、ガイド643が、ガイド溝44aの直線状部44a−2の下端部に位置している状態から、図7Dに示すように、直線状部44a−2の上端部に至るまで案内されることにより、下障子6は、見付方向(上方向)へ移動する。
【0059】
これに対して図7Aに示す状態から図7Bに示す状態を経て図7Dに示す状態へ、ガイド643がガイド溝44aによって案内されているときに、被アーム部ガイド647は、アーム部ガイド溝44dを一直線状に移動する。
【0060】
以上のようなガイド643及び被アーム部ガイド647の移動に伴い、アーム部646の長手方向に平行な直線、即ち、ガイド643とアーム部646の他端寄りの部分に設けられている被アーム部ガイド647とを結ぶ直線は、図7Aに示すように、下障子6が採風窓を閉鎖している状態のときには、上下方向へ指向しており、水平線Hに対して直交している。
下障子6が引き上げられ始められて図7Bに示す状態では、アーム部646の長手方向に平行な直線と、水平線Hと、のなす角dは、徐々に小さくなり鋭角となり、図7Cに示すように、ガイド643がガイド溝の直線部に案内され始めた状態のときに、当該なす角dは、45°となる。これ以後、ガイド643がガイド溝44aの直線部44a−1に案内されているときには、当該なす角dは変化せずに45°の値が維持される。なす角dは45°以上であることが好ましい。なす角dが45°未満の場合には、アーム部を含めた下障子6を見込方向へ大きく移動しなければならなくなり、下障子6を引き上げる際に、下障子6が重く感じられるためである。
【0061】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、建具1は、左右の縦枠13、14と上下の横枠11、12とにより枠組みされた枠体10と、枠体10内に配置され、第1框体としての框体50を有する第1障子としての上障子5と、枠体10内において、見込方向且つ上下方向に移動可能、又は、上下方向に移動可能に設けられ、閉鎖状態で上障子5の下方に配置され、第2框体としての框体60を有する第2障子としての下障子6と、を備える。
下障子6は、框体60に固定されたガイド643と、一端部がガイド643に対して回動可能にガイド643に接続されたアーム部646と、を有し、枠体10は、下障子6の上下方向への移動時に、ガイド643の移動を案内するガイド溝44aと、アーム部646の他端部を案内するアーム部ガイド溝44dと、を有する。下障子6は、3枚以上のガラス651、652、653を有する複層ガラスを備える。下障子6の見込方向且つ上下方向への移動時にガイド643が案内されるガイド溝43aの部分の形状は、一の半径を有する円弧の一部の形状を有する円弧状部44a−1により構成されている。
【0062】
複数の円弧形状の溝を接続したような形状を有するガイド溝や、複数の直線形状の溝を接続したような形状を有するガイド溝によってガイド643が案内される場合には、これら複数の円弧形状の溝のつなぎ目や、複数の直線形状の溝のつなぎ目において、ガイド643が引っ掛かるように案内されるため、この部分を乗り越えるために強い力で下障子6を持上げなければならない。
しかし、本実施形態では、ガイド溝44aの円弧状部44a−1は、一の半径を有する1つの円弧の一部の形状を有する円弧形状により構成されているため、前述のようなつなぎ目はなく、ガイド643がガイド溝44aの円弧状部44a−1において、滑らかに案内されることが可能となる。この結果、下障子6が3枚以上のガラスを有する複層ガラスを備えていて、重量が大きい場合であっても、下障子6を引き上げ始めて上下方向且つ見込方向へ移動させているときに、移動(採風窓を開くため)に必要な力を低減することが可能となり、下障子6を引き上げる際に、下障子6が重く感じられることを軽減することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、建具1は、滑車を備えている。第1障子としての上障子5は、上下方向へ移動可能に枠体10に支持されている。上障子5と下障子6とは、連動可能に、滑車に掛けられた線状部材としてのワイヤに接続されている。
【0064】
これにより、下障子6を引き上げ始めて上障子5と下障子6とを有する採風窓を開き始めたときに、上障子5と下障子6とが連動して下障子6のみならず上障子5も移動させ始めることになるが、このような構成であっても、下障子6を引き上げ始めて上下方向且つ見込方向へ移動させているときに、下障子6及び上障子5の移動に必要な力を低減することが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、水平線Hと、ガイド643とアーム部646の他端部とを結ぶ直線と、のなす角dは、45°である。これにより、下障子6を引き上げ始めて上下方向且つ見込方向へ移動させているときに、見込方向へ大きく移動させることを抑えることが可能となり、これにより、この移動に必要な力を低減することが可能となる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0067】
例えば、上記実施形態では、建具1は、採風窓を有するドアにより構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、建具は、上げ下げ窓により構成されてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、アーム部646の一端部にガイド643が接続され、アーム部636の他端部に被アーム部ガイド647が接続されていたが、この構成に限定されない。アーム部の一端寄りの部分にガイドが接続され、アーム部の他端寄りの部分に被アーム部ガイドが接続されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、上障子5、下障子6は、それぞれ3枚の板ガラスを備える複層ガラスであったが、この構成に限定されない。少なくとも下障子は、3枚以上の枚数を有する複層ガラスを備えていればよい。
【0070】
また、上記実施形態では線状部材は、ワイヤにより構成されたが、ワイヤに限定されない。また、水平線Hと、ガイド643とアーム部646の他端寄りの部分とを結ぶ直線と、のなす角dは、45°であったが、この構成に限定されない。水平線と、ガイドとアーム部の他端寄りの部分とを結ぶ直線と、のなす角は、45°以上であればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ガイド溝44aを形成する円弧状部44a−1は、単体の部品である樹脂製の溝形成部品441に形成されていたが、この構成に限定されない。溝形成部品441のような部品により構成されなくてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、シリンダーを有したドアを用いたが、シリンダーレス仕様のドアを用いてもよい。更に、本実施形態における戸体4は、吊り元側を左右反対側にして時計回り回動するドアとしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
5…上障子
6…下障子
40…スイング框体
41…スイング上框
42…スイング下框
43…スイング縦框
44…スイング縦框
44a…ガイド溝
44d…アーム部ガイド溝
44a−1…円弧状部
50…框体
60…框体
643…ガイド
646…アーム部
H…水平線
d…なす角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D