特許第6763710号(P6763710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763710
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】タイヤ加硫装置及びタイヤ加硫方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/04 20060101AFI20200917BHJP
   B29C 35/04 20060101ALI20200917BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20200917BHJP
【FI】
   B29C33/04
   B29C35/04
   B29L30:00
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-133498(P2016-133498)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-1652(P2018-1652A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 数郎
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−166405(JP,A)
【文献】 特開2006−027208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
B29C 35/00−35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫タイヤの内腔内で膨張することにより、該未加硫タイヤを加硫金型に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫用ブラダーと、前記タイヤ加硫用ブラダーに流体を供給する供給手段と、前記タイヤ加硫用ブラダーの前記流体を排出する排出手段とを含むタイヤ加硫装置であって、
前記加硫金型は、前記未加硫タイヤの上方に位置する上型と、前記未加硫タイヤの下方に位置する下型とを含み、
前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記未加硫タイヤの内周面に当接する第1ブラダーと、前記第1ブラダーの内側に配される第2ブラダーとを有し、
前記流体は、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間に供給される第1流体と、前記第2ブラダー内に供給される第2流体とを含み、
前記供給手段は、前記第1流体を供給する第1供給手段と、前記第2流体を供給する第2供給手段とを含み、
前記第1供給手段は、前記上型側に配され、
前記排出手段は、前記下型側に配されていることを特徴とするタイヤ加硫装置。
【請求項2】
前記第1ブラダー及び前記第2ブラダーの膨張時、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間には、前記第1流体が循環する流路が形成される請求項1に記載のタイヤ加硫装置。
【請求項3】
前記第1流体は、蒸気である請求項1又は2に記載のタイヤ加硫装置。
【請求項4】
前記第2流体は、蒸気、窒素又は温水である請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
【請求項5】
記第1ブラダーは、一方側の第1ビード部と他方側の第2ビード部とを有し、
かつ、前記第2ブラダーは、一方側の第3ビード部と他方側の第4ビード部とを有し、
前記第1ビード部及び前記第3ビード部は、前記上型側に固定されており、
前記第2ビード部及び前記第4ビード部は、前記下型側に固定されている請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
【請求項6】
記第1供給手段は、前記第1ビード部と前記第3ビード部との間に配され、
前記第2供給手段は、前記第4ビード部の内側に配される請求項5に記載のタイヤ加硫装置。
【請求項7】
前記排出手段は、前記第2ビード部と前記第4ビード部との間に配される請求項5又は6に記載のタイヤ加硫装置。
【請求項8】
前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記第1ブラダーの内側に1つの前記第2ブラダーを配する請求項1乃至7のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
【請求項9】
前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記第1ブラダーの内側に複数の前記第2ブラダーを配する請求項1乃至7のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
【請求項10】
未加硫タイヤの内周面に当接する第1ブラダーと、前記第1ブラダーの内側に配される第2ブラダーとを用いて、前記未加硫タイヤを加硫金型に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫方法であって、
前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間に、前記未加硫タイヤの上方側から第1流体を供給する第1供給工程と、
前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間の前記第1流体を前記未加硫タイヤの下方側から排出する排出工程と、
前記第2ブラダー内に、第2流体を供給する第2供給工程とを含み、
前記第1供給工程と前記排出工程とにより、前記未加硫タイヤを加硫成形する間、持続して前記第1流体を循環させることを特徴とするタイヤ加硫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫タイヤを加硫金型に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫用ブラダーを用いたタイヤ加硫装置及びタイヤ加硫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ加硫用ブラダーを用いて、未加硫タイヤを加硫成形するタイヤ加硫装置が知られている。この種のタイヤ加硫装置は、例えば、タイヤ加硫用ブラダー内に、加熱された流体が供給され、このタイヤ加硫用ブラダーを膨張させている。
【0003】
このような流体には、コスト及び熱伝達性能の観点から、例えば、蒸気が用いられている。しかしながら、蒸気は、タイヤ加硫用ブラダーを介して未加硫タイヤに熱を与えると、凝縮してドレーンとなり、タイヤ加硫用ブラダー内に滞留するという問題がある。
【0004】
このドレーンは、ブラダーのドレーンと接触している部位の未加硫タイヤの温度を、他の部分の温度に比して低下させるため、加硫ムラによるタイヤの物性や性能の不均衡を生じさせるおそれがあった。また、このような温度低下は、タイヤの加硫時間を長くするため、生産性が悪化する要因にもなっていた。
【0005】
例えば、下記特許文献1は、蒸気を拡散させてタイヤ加硫用ブラダー内の全体に順次供給するタイヤ加硫装置を提案している。特許文献1のタイヤ加硫装置は、タイヤ加硫用ブラダー内にドレーンが滞留しても、順次供給される蒸気により、ドレーンの温度を上昇させ、未加硫タイヤの温度差を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−110970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のタイヤ加硫装置は、タイヤ加硫用ブラダー内の全体に順次供給しているので、多くのエネルギーを必要としていた。また、このタイヤ加硫装置は、ドレーンがタイヤ加硫用ブラダーの下方に滞留するという問題を解決するものではなかった。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤ加硫用ブラダーを二重構造とすることを基本として、ブラダー内のドレーンを効率よく排出し得るタイヤ加硫用ブラダーを用いたタイヤ加硫装置及びタイヤ加硫方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、未加硫タイヤの内腔内で膨張することにより、該未加硫タイヤを加硫金型に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫用ブラダーと、前記タイヤ加硫用ブラダーに流体を供給する供給手段と、前記タイヤ加硫用ブラダーの前記流体を排出する排出手段とを含むタイヤ加硫装置であって、前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記未加硫タイヤの内周面に当接する第1ブラダーと、前記第1ブラダーの内側に配される第2ブラダーとを有し、前記流体は、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間に供給される第1流体と、前記第2ブラダー内に供給される第2流体とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記第1ブラダー及び前記第2ブラダーの膨張時、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間には、前記第1流体が循環する流路が形成されるのが望ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記第1流体は、蒸気であるのが望ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記第2流体は、蒸気、窒素又は温水であるのが望ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記加硫金型は、前記未加硫タイヤの上方に位置する上型と、前記未加硫タイヤの下方に位置する下型とを含み、前記第1ブラダーは、一方側の第1ビード部と他方側の第2ビード部とを有し、かつ、前記第2ブラダーは、一方側の第3ビード部と他方側の第4ビード部とを有し、前記第1ビード部及び前記第3ビード部は、前記上型側に固定されており、前記第2ビード部及び前記第4ビード部は、前記下型側に固定されているのが望ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記供給手段は、前記第1流体を供給する第1供給手段と、前記第2流体を供給する第2供給手段とを含み、前記第1供給手段は、前記第1ビード部と前記第3ビード部との間に配され、前記第2供給手段は、前記第4ビード部の内側に配されるのが望ましい。
【0015】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記排出手段は、前記第2ビード部と前記第4ビード部との間に配されるのが望ましい。
【0016】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記第1ブラダーの内側に1つの前記第2ブラダーを配するのが望ましい。
【0017】
本発明に係るタイヤ加硫装置において、前記タイヤ加硫用ブラダーは、前記第1ブラダーの内側に複数の前記第2ブラダーを配するのが望ましい。
【0018】
本発明は、未加硫タイヤの内周面に当接する第1ブラダーと、前記第1ブラダーの内側に配される第2ブラダーとを用いて、前記未加硫タイヤを加硫金型に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫方法であって、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間に、第1流体を供給する第1供給工程と、前記第1ブラダーと前記第2ブラダーとの間の前記第1流体を排出する排出工程と、前記第2ブラダー内に、第2流体を供給する第2供給工程とを含み、前記第1供給工程と前記排出工程とにより、前記未加硫タイヤを加硫成形する間、持続して前記第1流体を循環させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のタイヤ加硫装置において、タイヤ加硫用ブラダーは、未加硫タイヤの内周面に当接する第1ブラダーと、第1ブラダーの内側に配される第2ブラダーとを有している。このようなタイヤ加硫装置は、第1ブラダーを膨張させることにより、未加硫タイヤを加硫金型に押し付けることができ、タイヤの形状を整えることができる。
【0020】
また、第1ブラダーと第2ブラダーとの間に形成される空間を、小さくすることが可能であるので、ドレーンが発生しにくい。さらに、上記空間にドレーンが発生した場合でも、ドレーンの発生量が少量であるので、その排出が容易である。このため、ドレーンに伴う未加硫タイヤの温度低下が抑制され、タイヤの物性や性能を均一にすることができる。
【0021】
本発明のタイヤ加硫装置において、流体は、第1ブラダーと第2ブラダーとの間に供給される第1流体と、第2ブラダー内に供給される第2流体とを含んでいる。本発明では、第1ブラダーと第2ブラダーとの間の空間を小さく構成することが可能であるので、第1流体は、少量でよく、その供給に必要なエネルギーも、少なくすることができる。
【0022】
本発明のタイヤ加硫方法は、第1ブラダーと第2ブラダーとの間に、第1流体を供給する第1供給工程と、第1ブラダーと第2ブラダーとの間の第1流体を排出する排出工程と、第2ブラダー内に、第2流体を供給する第2供給工程とを含んでいる。
【0023】
このようなタイヤ加硫方法は、第1供給工程により、第1ブラダーで未加硫タイヤを加硫金型に押し付けることができ、タイヤの形状を整えることができる。また、排出工程により、第1ブラダーと第2ブラダーとの間にドレーンが発生した場合でも、このドレーンを速やかに排出することができる。さらに、第2供給工程により、第1ブラダーと第2ブラダーとの間の空間を小さくすることができる。このため、ドレーンに伴う未加硫タイヤの温度低下が抑制され、タイヤの物性や性能を均一にすることができる。
【0024】
本発明のタイヤ加硫方法は、第1供給工程と排出工程とにより、未加硫タイヤを加硫成形する間、持続して第1流体を循環させている。このため、第1ブラダーと第2ブラダーとの間に発生したドレーンは、持続して排出され得る。また、第1ブラダーと第2ブラダーとの間の空間を小さく構成することが可能であるため、第1流体は、少量でよく、第1流体を持続して循環させるのに必要なエネルギーも、少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のタイヤ加硫装置の一実施形態を示す断面図である。
図2】ドレーンが発生した状態を示すタイヤ加硫装置の段面図である。
図3】本発明のタイヤ加硫方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図4】タイヤの温度変化を示すグラフである。
図5】等価加硫量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ加硫装置1の断面図である。図1に示されるように、本実施形態のタイヤ加硫装置1は、加硫金型2と、未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けて加硫成形するタイヤ加硫用ブラダー3と、タイヤ加硫用ブラダー3に流体Gを供給する供給手段4と、タイヤ加硫用ブラダー3の流体Gを排出する排出手段5とを含んでいる。
【0027】
加硫金型2は、例えば、未加硫タイヤTの上方に位置する上型6と、下方に位置する下型7とを含んでいる。加硫金型2は、上型6と下型7とが、上下方向に離間した開放状態(図示省略)と、図1に示されるような上下方向に近接した閉鎖状態とに作動可能である。加硫金型2は、開放状態において、未加硫タイヤTが搬入され、かつ、加硫後のタイヤが搬出される。また、加硫金型2は、閉鎖状態において、未加硫タイヤTが加硫成形される。
【0028】
タイヤ加硫用ブラダー3は、未加硫タイヤTが加硫成形される時に、未加硫タイヤTの内腔内で膨張することにより、未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けている。本実施形態のタイヤ加硫用ブラダー3は、未加硫タイヤTの内周面に当接する第1ブラダー8と、第1ブラダー8の内側に配される少なくとも1つの第2ブラダー9とを有している。本実施形態では、タイヤ加硫用ブラダー3は、第1ブラダー8の内側に1つの第2ブラダー9を配する態様が例示されている。
【0029】
第1ブラダー8は、一方側の第1ビード部8aと他方側の第2ビード部8bとを有している。本実施形態では、第1ビード部8a部は、上型6側に固定されており、第2ビード部8bは、下型7側に固定されている。第1ブラダー8は、加熱された流体Gである第1流体G1により膨張するのが望ましい。すなわち、第1流体G1は、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間に形成される空間Pに供給されるのが望ましい。
【0030】
第2ブラダー9は、一方側の第3ビード部9aと他方側の第4ビード部9bとを有している。本実施形態では、第3ビード部9a部は、上型6側に固定されており、第4ビード部9bは、下型7側に固定されている。第2ブラダー9は、第1流体G1とは異なる第2流体G2により膨張するのが望ましい。すなわち、流体Gは、第1流体G1と第2流体G2とを含み、第2流体G2は、第2ブラダー9内に供給されるのが望ましい。なお、第2流体G2は、加熱された流体Gであってもよいし、加熱されていない流体Gであってもよい。
【0031】
このようなタイヤ加硫用ブラダー3は、第1ブラダー8を膨張させることにより、未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けることができ、タイヤの形状を整えることができる。また、第2ブラダー9を膨張させることにより、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間に形成される空間Pを、小さくすることが可能である。このため、この空間Pには、ドレーンD(図2に示す)が発生しにくい。
【0032】
図2は、ドレーンDが発生した状態を示すタイヤ加硫装置1の段面図である。図2に示されるように、本実施形態のタイヤ加硫装置1は、空間PにドレーンDが発生した場合でも、ドレーンDの発生量が少量であるので、その排出が容易である。このため、本実施形態のタイヤ加硫装置1は、ドレーンDに伴う未加硫タイヤTの温度低下が抑制され、タイヤの物性や性能を均一にすることができる。
【0033】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の供給手段4は、第1流体G1を供給する第1供給手段10と、第2流体G2を供給する第2供給手段11とを含んでいる。
【0034】
第1供給手段10は、第1流体G1を供給するための複数の第1供給口10aを含んでいるのが望ましい。第1供給口10aは、例えば、第1ビード部8aと第3ビード部9aとの間に配されている。
【0035】
ここで、第1ブラダー8を膨張させる第1流体G1は、例えば、蒸気Sである。このような蒸気Sは、熱伝達性能に優れ、第1ブラダー8の温度を上昇させるのに必要な熱量を、低コストで加えることができる。第1流体G1は、例えば、蒸気供給源(図示省略)から第1供給手段10に供給される。
【0036】
第2供給手段11は、第2流体G2を供給するための複数の第2供給口11aを含んでいるのが望ましい。第2供給口11aは、例えば、第4ビード部9bの内側に配されている。
【0037】
ここで、第2ブラダー9を膨張させる第2流体G2は、例えば、蒸気S、窒素N又は温水Wである。本実施形態では、第2流体G2として窒素Nが、ガス供給源(図示省略)から第2供給手段11に供給されている。この窒素Nは、例えば、第2供給手段11内でヒーター(図示省略)又は第1流体G1により加熱されていてもよい。なお、第2流体G2が蒸気Sである場合、第1流体G1と蒸気供給源(図示省略)を共有してもよい。
【0038】
第1ブラダー8及び第2ブラダー9の膨張時、第1ブラダー8の内部圧力と第2ブラダー9の内部圧力とは、略等しいのが望ましい。このようなタイヤ加硫用ブラダー3は、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pを、安定的に形成することができる。
【0039】
本実施形態では、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pを小さく構成することが可能であるため、第1流体G1は、少量でよく、その供給に必要なエネルギーも、少なくすることができる。また、第2流体G2が加熱されている場合、第1流体G1は、第2流体G2から熱供給されるので、熱容量が小さくても温度ムラが発生するおそれがない。このため、タイヤ加硫装置1は、加硫時のタイヤの温度が維持され、加硫時間が短縮されるので、生産性を向上させることができる。
【0040】
本実施形態の排出手段5は、第1流体G1を排出するための複数の排出口5aを含んでいる。排出口5aは、例えば、第2ビード部8bと第4ビード部9bとの間に配されている。排出口5aは、例えば、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pに連通し、この空間Pに供給された第1流体G1を排出し得る。なお、第2ブラダー9内の第2流体G2は、未加硫タイヤTの加硫成形終了後、第2供給手段11を介して排出されるのが望ましい。
【0041】
上述のように、第1供給手段10の第1供給口10aと排出手段5の排出口5aとは、タイヤ加硫用ブラダー3の一方側と他方側とに分けて配されている。本実施形態では、第1供給口10aが上型6側に配され、排出口5aが下型7側に配されている。このため、第1ブラダー8及び第2ブラダー9の膨張時、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pには、第1流体G1が循環する流路P1が形成される。このような流路P1は、空間PにドレーンDが発生した場合でも、このドレーンDを速やかに排出することができる。
【0042】
次に、図1及び図2を参酌しつつ、上述のタイヤ加硫装置1により、未加硫タイヤTを加硫成形するタイヤ加硫方法が説明される。このタイヤ加硫方法は、未加硫タイヤTの内周面に当接する第1ブラダー8と、第1ブラダー8の内側に配される第2ブラダー9とを用いて、未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けて加硫成形している。
【0043】
図3には、本実施形態のタイヤ加硫方法のフローチャートが示されている。図3に示されるように、本実施形態のタイヤ加硫方法は、まず、加硫成形するために、未加硫タイヤTを加硫金型2に配置する準備工程S1が行われる。準備工程S1では、加硫金型2が開放状態において、未加硫タイヤTが搬入される。このとき、タイヤ加硫用ブラダー3は、例えば、未加硫タイヤTの内腔内に、第1ブラダー8及び第2ブラダー9が膨張していない状態で配置されている。その後、準備工程S1は、加硫金型2を閉鎖状態にする。
【0044】
本実施形態のタイヤ加硫方法は、次に、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間に、加熱された第1流体G1を供給する第1供給工程S2が行われる。第1供給工程S2は、第1ブラダー8により未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けて加硫成形している。本実施形態の第1供給工程S2では、第1ブラダー8を膨張させる第1流体G1として、蒸気Sが用いられる。
【0045】
このようなタイヤ加硫方法は、第1供給工程S2により、第1ブラダー8で未加硫タイヤTを加硫金型2に押し付けることができ、タイヤの形状を整えることができる。
【0046】
本実施形態のタイヤ加硫方法は、次に、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の第1流体G1を排出する排出工程S3が行われる。排出工程S3は、第1供給工程S2と同時に行なわれるのが望ましい。なお、このタイヤ加硫方法では、例えば、第1供給工程S2による第1流体G1の供給量と、排出工程S3による第1流体G1の排出量とを調整することで、第1ブラダー8の内部圧力を略一定に膨張させることができる。
【0047】
このようなタイヤ加硫方法は、排出工程S3により、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pに発生したドレーンDを速やかに排出することができる。
【0048】
本実施形態では、第1供給工程S2と排出工程S3とにより、未加硫タイヤTを加硫成形する間、持続して第1流体G1を循環させている。このため、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間に発生したドレーンDは、持続して排出され得る。
【0049】
本実施形態のタイヤ加硫方法は、次に、第2ブラダー9内に、第2流体G2を供給する第2供給工程S4が行われる。第2供給工程S4は、第1供給工程S2及び排出工程S3と同時に行なわれるのが望ましい。
【0050】
このようなタイヤ加硫方法は、第2供給工程S4により、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pを小さく構成することが可能である。このため、第1流体G1は、少量でよく、その供給に必要なエネルギーも、少なくすることができる。
【0051】
また、このタイヤ加硫方法は、第2供給工程S4において、加熱された第2流体G2を供給してもよい。この場合、第2供給工程S4において、第1流体G1は、加熱された第2流体G2から熱供給され得る。このようなタイヤ加硫方法は、ドレーンDに伴う未加硫タイヤTの温度低下が抑制され、タイヤの物性や性能を均一にすることができる。さらに、このタイヤ加硫方法は、加硫時のタイヤの温度が維持されるため、加硫時間が短縮され、生産性が向上する。
【0052】
本実施形態のタイヤ加硫方法は、次に、加硫されたタイヤを加硫金型2から取り出す取出工程S5が行われる。取出工程S5では、まず、第1ブラダー8と第2ブラダー9との間の空間Pの第1流体G1及び第2ブラダー9内の第2流体G2が排出される。第1流体G1は、例えば、排出手段5から排出される。また、第2流体G2は、例えば、第2供給手段11から排出される。取出工程S5は、次に、加硫金型2を開放状態にして、加硫されたタイヤを搬出する。
【0053】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、第1ブラダー8の内側に1つの第2ブラダー9を配する態様が例示されているが、タイヤ加硫用ブラダー3は、第1ブラダー8の内側に複数の第2ブラダー9を配していてもよい。この場合、複数の第2ブラダー9は、上下方向に分割された態様であってもよいし、周方向に分割された態様であってもよい。
【実施例】
【0055】
図1及び図2に示される第1ブラダー及び第2ブラダーからなるタイヤ加硫用ブラダーを用いた実施例のタイヤ加硫方法で、サイズ205/60R16の未加硫タイヤが加硫成形された。また、第2ブラダーを有さないタイヤ加硫用ブラダーを用いた比較例のタイヤ加硫方法で、同じサイズの未加硫タイヤが加硫成形された。
【0056】
これらの未加硫タイヤを加硫成形したときの、タイヤの温度変化が計測された。タイヤの温度は、図1の上型ショルダー内部T1と下型ショルダー内部T2の2点で計測された。計測された結果が、図4に示される。ここで、図4では、横軸が加硫時間であり、縦軸がタイヤの温度である。図4(a)は、比較例の結果であり、図4(b)は、実施例の結果である。
【0057】
図4から明らかなように、比較例では、上型ショルダー内部T1と下型ショルダー内部T2とで温度差が生じているが、実施例では、ほぼ同じ温度変化を示している。
【0058】
次に、この温度変化に基づいて、比較例及び実施例の等価加硫量(ECU)が計算された。計算された結果が、図5に示される。ここで、図5では、横軸が加硫時間(指数)であり、縦軸が等価加硫量(ECU)である。図5(a)は、比較例の結果であり、図5(b)は、実施例の結果である。
【0059】
図5から明らかなように、等価加硫量(ECU)が加硫時間の基準である基準量E1となるまでの加硫時間は、比較例を100とした指数で示すと、実施例では87であった。この結果、実施例のタイヤ加硫方法は、比較例のタイヤ加硫方法比べて、加硫に必要な時間が大幅に短縮していることが確認された。
【符号の説明】
【0060】
1 タイヤ加硫装置
2 加硫金型
3 タイヤ加硫用ブラダー
4 供給手段
5 排出手段
8 第1ブラダー
9 第2ブラダー
T 未加硫タイヤ
G 流体
G1 第1流体
G2 第2流体
図1
図2
図3
図4
図5