(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記斜壁には、前記底壁側の縁における前記係止片と前記第1連結壁との境界部から前記底壁と交差する方向に沿って、前記スリットに対する前記係止片の挿抜方向に当該斜壁を中途で折曲げるための挿抜用折り目が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる包装容器、及び、包装容器の展開体について説明する。まず、包装容器について
図1〜
図3を参照して説明する。
【0020】
(包装容器)
図1は、本発明の一実施形態にかかる包装容器を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示されている包装容器を、内部空間が見える状態で示す斜視図である。
【0021】
本実施形態の包装容器1は、ピザの包装に用いられる段ボール紙製の紙箱容器である。この包装容器1は、上方から見たときの平面視形状が八角形となった扁平な容器であり、底壁110と、蓋壁120と、を備えている。蓋壁120は矢印D1方向に開閉自在となっているが、
図1には、蓋壁120が閉じられた包装容器1が示されており、
図2には、蓋壁120が開かれて底壁110が見える状態で包装容器1が示されている。また、
図1及び
図2には、蓋壁120の回動軸と平行な幅方向に相当するX軸方向と、蓋壁120の回動軸側を後側でその反対側を前側と見たときの前後方向に相当するY軸方向と、包装容器1の高さ方向に相当するZ軸方向と、が示されている。また、
図1及び
図2では、図中左下側が包装容器1の前側に相当し、図中右上側が包装容器1の後側に相当する。
【0022】
底壁110は、幅方向(X軸方向)に延びて互いに対向する一対の端辺111、及び、この端辺111と交差する前後方向(Y軸方向)に延びて互いに対向する一対の側辺112、を有した板壁である。一対の端辺111それぞれの長さは、一対の側辺112の相互間隔よりも短い。一対の端辺111のうち前側の端辺111aの両端111a−1それぞれと、一対の側辺112それぞれにおける前側の端部112aと、の間が一対の前側斜辺113で結ばれている。また、後側の端辺111b(対向端辺)の両端111b−1それぞれと、一対の側辺112それぞれにおける後側の端部112bと、の間が一対の後側斜辺114で結ばれている。底壁110は、一対の端辺111、一対の側辺112、一対の前側斜辺113、及び一対の後側斜辺114で囲まれた八角形を有している。
【0023】
蓋壁120は、底壁110と略同様の八角形の板壁となっている。この蓋壁120については後でもう一度説明する。
【0024】
また、包装容器1は、一対の端壁130と、一対の側壁140と、一対の前側斜壁150と、一対の後側斜壁160と、を備えている。
【0025】
一対の端壁130は、一対の端辺111それぞれを折り目として底壁110から折起こされて互いに対向する長方形状の帯板壁である。
【0026】
一対の側壁140は、一対の側辺112それぞれを折り目として底壁110から折起こされて互いに対向する長方形状の帯板壁である。また、各側壁140は、前後それぞれの側の端壁130側の縁141,142が、側辺112に沿った前後方向(Y軸方向)について各端壁130から離れている。
【0027】
一対の前側斜壁150は、一対の側壁140それぞれの前側の端壁131側の縁141に連続して形成されるとともに、当該縁141を折り目として折れ曲がり、底壁110上を斜行して前側の端壁131へと向かう長方形状の帯板壁である。
【0028】
図3は、
図2に示されている前側の端壁や一対の前側斜壁を上方から見下ろした図である。
図3には、
図1及び
図2と同様のX軸方向とY軸方向とが示されている。また、この
図3では、図中右側が包装容器1の前側に相当し、図中左側が包装容器1の後側に相当する。
【0029】
まず、前側の端壁131における、底壁110との境界線をなす前側の端辺111a近傍であって、一対の前側斜壁150それぞれの底壁110側の縁151の延長線との交点近傍に一対のスリット170が設けられている。各スリット170は、上記の交点から、各側壁140側へと延びるように形成されている。
【0030】
そして、一対の前側斜壁150それぞれにおける前側の端壁131側の端部には各スリット170へと挿入係止されている係止片180が設けられている。各係止片180は、各前側斜壁150の底壁110側の縁151における前側の端部近傍151aを折り目として、底壁110と重なるように包装容器1の外側へと折れ曲がって端壁131に向かって突出するように設けられている。そして、各係止片180の先端181が各スリット170へと挿入係止されている。
【0031】
また、本実施形態では、前側斜壁150が、第1連結壁191を介して底壁110に連結され、その第1連結壁191が第2連結壁192を介して前側の端壁131に連結されている。第1連結壁191は、各前側斜壁150について1つずつ一対が設けられている。また、第2連結壁192は、各第1連結壁191について1つずつ一対が設けられている。
【0032】
各第1連結壁191は、底壁110の前側の斜辺113を折り目として、
図3中に矢印D2で示されているように底壁110における収容側の面と重なるように折返されている。そして、各第1連結壁191は、前側斜壁150の底壁110側の縁151における上記の係止片180よりも側壁140側の部分151bに繋がっている。
【0033】
各第2連結壁192は、前側の端壁131における側壁140側の縁131aを折り目として、
図3中に矢印D3で示されているように前側の端壁131側へと折返されている。そして、各第2連結壁192は、各第1連結壁191の前側の端壁131側の縁113aに繋がっている。
【0034】
また、本実施形態では、各前側斜壁150に、スリット170に対する係止片180の、
図3中に示されている挿抜方向D4に前側斜壁150を中途で折曲げるための挿抜用折り目152が設けられている。
【0035】
このとき、本実施形態では、一対の後側斜壁160が、一対の側壁140それぞれの後側の端壁132(対向端壁)側の縁142に連続して形成されている。そして、各後側斜壁160は、当該縁142を折り目として折れ曲がり、底壁110上を斜行して後側の端壁132へと向かう長方形状の帯板壁となっている。また、各後側斜壁160の、側壁140側とは反対側の縁161には、この縁161を折り目として折れ曲がって、後側の端壁132の内面に当接する当接壁162が設けられている。
【0036】
また、各後側斜壁160は、後側連結壁193を介して底壁110に連結されている。後側連結壁193は、各後側斜壁160について1つずつ一対が設けられている。各後側連結壁193は、底壁110の後側の斜辺114を折り目として底壁110側へと折返されている。そして、各後側連結壁193は、後側斜壁160の底壁110側の縁163における上記の当接壁162よりも側壁140側の部分に繋がっている。
【0037】
また、
図2に示されているように、蓋壁120は、後側の端壁132における底壁110とは反対側の上縁132aに連続して形成されている。蓋壁120は、後側の端壁132とともに、底壁110の後側の端辺111bと、後側の端壁132の上縁132aと、を回動軸として、底壁110、端壁130、側壁140、及び前側斜壁150で区画された内部空間を開閉可能に塞ぐ。
【0038】
また、蓋壁120には、前側の端壁131側の縁121を折り目として蓋壁120から折起こされた差入れ壁122が設けられている。この差入れ壁122は、蓋壁120が
図1に示されているように閉じられると、前側の端壁131と、一対の第2連結壁192と、の間に差入れられる。蓋壁120と差入れ壁122との境界線をなす縁121の略中央には、差入れ壁122が折起こされるときに蓋壁120と面一になって残って、蓋壁120が閉じられたときに前方側に突出する蓋止め爪123が設けられている。本実施形態では、差入れ壁122の幅が、この包装容器1の深さよりも短くなっている。蓋止め爪123は、蓋壁120が閉じられたときに
図1に示されているように前側の端壁131に当接して蓋壁120を前側の端壁131上に止める。また、この蓋止め爪123は、蓋壁120を開くときの手掛かり等にも用いられる。
【0039】
蓋壁120には、側壁140側の縁124を折り目として蓋壁120から折起こされた側壁側差入れ壁125が一対設けられている。各側壁側差入れ壁125は、蓋壁120が閉じられると、側壁140の内側に差入れられる。
【0040】
次に、本発明の一実施形態にかかる包装容器の展開体について
図4を参照して説明する。
【0041】
(包装容器の展開体)
図4は、
図1〜
図3に示されている包装容器を作製するための展開体を示す図である。
図4には、
図1〜
図4と同様のX軸方向とY軸方向とが示されている。
【0042】
図4に示されている包装容器の展開体2は、段ボール紙で形成された一枚のシート状のものである。
図4では、図中下側が包装容器1の前側に相当し、図中上側が包装容器1の後側に相当する。また、この
図4では、包装容器の展開体2の材料である段ボール紙の段目が、図中の円中に引かれた縦線によって示されている。
【0043】
この包装容器の展開体2は、底壁シート部分210と、蓋壁シート部分220と、一対の端壁シート部分230と、一対の側壁シート部分240と、を備えている。
【0044】
底壁シート部分210は、上述した底壁110を構成する八角形のシート部分であり、蓋壁シート部分220は、上述した蓋壁120を構成する同様の八角形のシート部分である。一対の端壁シート部分230は、底壁シート部分210と幅方向(X軸方向)に延びる折り目211を介して面一に連結形成されて一対の端壁130を構成するシート部分である。また、一対の側壁シート部分240は、底壁シート部分210と前後方向(Y軸方向)に延びる折り目212を介して面一に連結形成されて一対の側壁140を構成するシート部分である。また、蓋壁シート部分220は、後側の端壁シート部分232と幅方向(X軸方向)に延びる折り目232aを介して面一に連結形成されている。各折り目211,212,232aは、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0045】
一対の側壁シート部分240の前側には折り目241を介して一対の前側斜壁シート部分250が面一に連結形成されている。一対の前側斜壁シート部分250は、一対の前側斜壁150を構成するシート部分である。また、一対の側壁シート部分240の後側には折り目242を介して一対の後側斜壁シート部分260が面一に連結形成されている。ここでの折り目241,242は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線のみで形成されている。
【0046】
前側の端壁シート部分231と底壁シート部分210との境界線をなす折り目211上には、一対のスリット用切れ目270が形成されている。スリット用切れ目270は、包装容器1の前側へと凸となったC字形状の切れ目である。前側の端壁シート部分231が折り目211で折られて前側の端壁131が構成されると、スリット用切れ目270で囲まれた部分が、底壁シート部分210と面一のまま残ることで、前側の端壁131の下端にスリット170が形作られる。
【0047】
そして、一対の前側斜壁シート部分250それぞれの前側端部には、前側の端壁シート部分231へと向かって幅方向(X軸方向)に突出する一対の係止片シート部分280が、折り目251aを介して連結形成されている。一対の係止片シート部分280は、一対の斜壁シート部分250それぞれと折り目251aを介して面一に連結形成されて一対の係止片180を構成するシート部分である。ここでの折り目251aは、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に両端を残して切れ目を入れることで形成されている。
【0048】
また、各前側斜壁シート部分250における、各係止片シート部分280の各側壁シート部分240側の根本からは、幅方向(X軸方向)に各前側斜壁シート部分250を横断するように上述した挿抜用折り目152が設けられている。挿抜用折り目152は罫線のみで形成されている。
【0049】
また、一対の前側斜壁シート部分250それぞれの、係止片シート部分280と繋がった部分以外の部分と、底壁シート部分210と、の間を繋ぐように三角形状の第1連結壁シート部分291が形成されている。第1連結壁シート部分291は、折り目213を介して底壁シート部分210と面一に連結形成されるとともに、折り目251bを介して前側斜壁シート部分250と面一に連結形成されている。一対の第1連結壁シート部分291は、一対の第1連結壁191を構成するシート部分である。ここでの折り目213,251aは、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0050】
また、三角形状の第1連結壁シート部分291における他の一辺と、前側の端壁シート部分231の幅方向(X軸方向)の各端部と、の間を繋ぐように第2連結壁シート部分231aが、各第1連結壁シート部分291について1つずつ一対が形成されている。第2連結壁シート部分292は、折り目213aを介して第1連結壁シート部分291と面一に連結形成されるとともに、折り目231aを介して前側の端壁シート部分231と面一に連結形成されている。一対の第2連結壁シート部分291は、一対の第1連結壁191を構成するシート部分である。ここでの折り目213a,231aは、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に両端を残して切れ目を入れることで形成されている。また、各第2連結壁シート部分231aは、各係止片シート部分280と繋がってはいないが略接するように設けられている。
【0051】
一対の後側斜壁シート部分260それぞれの後側には、当接壁シート部分262が設けられている。各当接壁シート部分262は、折り目261を介して各後側斜壁シート部分260と面一に連結形成され、当接壁162を構成するシート部分である。この折り目261は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に両端を残して切れ目を入れることで形成されている。
【0052】
また、一対の後側斜壁シート部分260それぞれと、底壁シート部分210と、の間を繋ぐように三角形状の後側連結壁シート部分293が形成されている。後連結壁シート部分293は、折り目214を介して底壁シート部分210と面一に連結形成されるとともに、折り目263を介して後側斜壁シート部分260と面一に連結形成されている。一対の後側連結壁シート部分293は、一対の後側連結壁193を構成するシート部分である。ここでの折り目214,263は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0053】
蓋壁シート部分220には、折り目221を介して、差入れ壁シート部分222が蓋壁シート部分220と面一に連結形成されている。差入れ壁シート部分222は、差入れ壁122を構成するシート部分である。折り目221は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線のみで形成されている。また、この折り目221上には、蓋止め爪用切れ目223が形成されている。蓋止め爪用切れ目223は、展開体2の状態で、包装容器1の後側へと凸となったC字形状の切れ目である。差入れ壁シート部分222が折り目221で折られて差入れ壁122が構成されると、蓋止め爪用切れ目223で囲まれた部分が、蓋壁シート部分220と面一のまま残ることで、蓋止め爪123が形作られる。
【0054】
また、蓋壁シート部分220には、折り目224を介して、一対の側壁側差入れ壁シート部分225が、蓋壁シート部分220と面一に連結形成されている。側壁側差入れ壁シート部分225は、側壁側差入れ壁125を構成するシート部分である。折り目221は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線のみで形成されている。
【0055】
次に、
図4に示されている包装容器の展開体2から、
図1〜3に示されている包装容器1を作製する作成手順について説明する。
【0056】
(包装容器の作製手順)
図5は、
図4に示されている包装容器の展開体2から、
図1〜3に示されている包装容器1を作製する作成手順を示す図である。
【0057】
本実施形態では、前側斜壁シート部分250を掴んで折曲げることで、包装容器1を作製することができる。
図5には、前側斜壁シート部分250に注目した包装容器1の作成手順が示されている。
【0058】
まず、前側斜壁シート部分250を掴んで底壁シート部分210側へと折起こす(ステップS1)。このときには、前側斜壁シート部分250と繋がった第1連結壁シート部分291が
図3にも示されている矢印D2方向に折返されるように前側斜壁シート部分250が折起こされる(ステップS2)。
【0059】
ステップS1,S2の折起こしの際には、前側斜壁シート部分250と一緒に側壁シート部分240も折起こされる。更に、第1連結壁シート部分291と繋がった第2連結壁シート部分293が、前側の端壁シート部分231へと折り返されつつ前側の端壁シート部分231が折起こされる。
【0060】
また、上記のように側壁シート部分240が折起こされることで、後側斜壁シート部分260も一緒に折起こされる。この折起こしの際に、後側連結壁シート部分293も底壁シート部分210の収容側の面と重なるように折返される。
【0061】
ステップS2の折起こしに続き、前側斜壁シート部分250を係止片シート部分280ごと底壁シート部分210へと、矢印D5方向に押し付ける(ステップS3)。この押付けにより、係止片シート部分280が、前側の端壁シート部分231に向かって突出するように折り目251aで外側に折曲げられる。また、このときには、係止片シート部分280が前側の端壁シート部分231から離れるように、前側斜壁シート部分250が挿抜用折り目152で内側に折曲げられる。
【0062】
この後、前側の端壁シート部分231の折起こしによって形作られたスリット170へと、係止片シート部分280の先端が矢印D6で示されている挿入方向に挿入係止される(ステップS4)。この係止片シート部分280の挿入係止によって
図2及び
図3に示されている蓋壁120が開いた状態の包装容器1が完成する。
【0063】
そして、この包装容器1に例えばピザ等が収容され、蓋壁120が閉じられて、
図1に示されている閉じ箱状の包装容器1となる。
【0064】
以上に説明した本実施形態の包装容器1、及び包装容器の展開体2では、係止片180(係止片シート部分280)は前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)に設けられている。そして、前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)は側壁140(側壁シート部分240)に連続して形成されている。このため、完成した包装容器1における底壁110や端壁130に対する前側斜壁150や側壁140の相対位置が、スリット170へと挿入係止された係止片180(係止片シート部分280)により維持される。従って、本実施形態の包装容器1は、包装容器の展開体2からの作製時には、スリット170への係止片180(係止片シート部分280)の挿入係止という簡単な作業により、効率良く箱状に保形することができる。このように、本実施形態の包装容器1は、本実施形態の包装容器の展開体2から効率良く作製することができるものとなっている。
【0065】
また、本実施形態の包装容器の展開体2は、
図4に示されているように、略長方形状の範囲内に収まる形状となっており、例えば、そのような範囲から突出した部分を有する場合等と比較して材料としての段ボール紙が有効利用されている。
【0066】
また、本実施形態の包装容器1、及び包装容器の展開体2では、第1連結壁191(第1連結壁シート部分291)が底壁110(底壁シート部分210)と前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)とを繋いでいる。また、第2連結壁192(第2連結壁シート部分292)が前側の端壁131(前側の端壁シート部分231)と第1連結壁191(第1連結壁シート部分291)とを繋いでいる。これにより、この包装容器1の作成時には、
図5に示されているように、前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)の折起こしと一緒に第1連結壁191(第1連結壁シート部分291)と第2連結壁192(第2連結壁シート部分292)とが折返される。また、このときには、第2連結壁192(第2連結壁シート部分292)に引かれて前側の端壁131(前側の端壁シート部分231)が折起こされる。このように、本実施形態の包装容器1は、その作製時には、前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)の折起こしという一動作で、底壁110(底壁シート部分210)を囲む壁が略折起こされて箱状に形成することができる。つまり、本実施形態の包装容器1は、この点においても包装容器の展開体2から効率良く作製することができるものとなっている。
【0067】
また、本実施形態の包装容器1、及び包装容器の展開体2では、前側斜壁150(前側斜壁シート部分250)に挿抜用折り目152が設けられている。これにより、その作製時におけるスリット170への係止片180(係止片シート部分280)の挿入係止が一層容易なものとなっている。つまり、本実施形態の包装容器1は、この点においても包装容器の展開体2から効率良く作製することができるものとなっている。
【0068】
また、本実施形態の包装容器1、及び包装容器の展開体2は、底壁110(底壁シート部分210)が一対の後側斜辺114を有する八角形状に形成されている。そして、一対の後側斜壁160(後側斜壁シート部分260)と、一対の後側連結壁193(後側斜壁シート部分260)と、を備えている。これにより、完成した包装容器1について、一対の端壁130の両方の形状が略同一形状となるので外観上の統一感が得られることから好適なものとなっている。
【0069】
また、本実施形態の包装容器1、及び包装容器の展開体2では、後側の端壁132に連続して開閉可能な蓋壁120(蓋壁シート部分220)が連結形成されている。そして、その蓋壁120(蓋壁シート部分220)に差入れ壁122(差入れ壁シート部分222)が連結形成されている。これにより、作製時には、次のように包装容器1を簡単に閉じ箱状に形成することができる。即ち、後側の端壁132が折起こされ、蓋壁120(蓋壁シート部分220)が閉じられる。更に、前側の端壁131(前側の端壁シート部分231)と第2連結壁192(第2連結壁シート部分292)との間に差入れ壁122(差入れ壁シート部分222)が差入れられる。本実施形態の包装容器1は、このような閉じ箱状への形成が簡単である点においても包装容器の展開体2から効率良く作製することができるものとなっている。
【0070】
次に、本発明の一実施形態にかかる包装容器の別例について、その展開体に注目して2つ説明する。これら2つの別例は、完成した包装容器における蓋壁の回動軸側の構造が、上述した実施形態とは異なっている。以下では、2つの別例について、主として上述した実施形態との相違点を説明する。
【0071】
(第1の別例における包装容器の展開体)
図6は、第1の別例における包装容器の展開体を示す図である。
図6には、
図4と同様に、完成した包装容器における幅方向に相当するX軸方向と、前後方向に相当するY軸方向とが示されている。この
図6でも、
図4と同様に、図中下側が包装容器の前側に相当し、図中上側が包装容器の後側に相当する。また、この
図6でも、
図4と同様に、段ボール紙の段目が示されている。尚、
図6では、
図4に示されている実施形態と同等な構成要素については、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0072】
第1の別例における包装容器の展開体3では、一対の後側斜壁シート部分310それぞれの後端部に、折り目351を介して、前側の係止片シート部分280と同様の後側係止片シート部分320が連結形成されている。ここでの折り目351は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に両端を残して切れ目を入れることで形成されている。また、後側の端壁シート部分232と底壁シート部分210との折り目211上には後側スリット用切れ目330が一対設けられている。
【0073】
また、一対の後側斜壁シート部分310それぞれの、後側係止片シート部分320と繋がった部分以外の部分と、底壁シート部分210と、の間を繋ぐように三角形状の後側第1連結壁シート部分341が形成されている。後側第1連結壁シート部分341は、折り目352を介して底壁シート部分210と面一に連結形成されるとともに、折り目353を介して後側斜壁シート部分310と面一に連結形成されている。ここでの折り目352,353は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0074】
また、一対の後側第1連結壁シート部分341それぞれの他の1辺と、後側の端壁シート部分232と、の間を繋ぐように後側第2連結壁シート部分342が形成されている。後側第2連結壁シート部分342は、折り目354を介して後側第1連結壁シート部分341と面一に連結形成されるとともに、折り目355を介して後側の端壁シート部分232と面一に連結形成されている。ここでの折り目354,355は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に両端を残して切れ目を入れることで形成されている。
【0075】
また、各後側斜壁シート部分310における、各係止片シート部分320の各側壁シート部分240側の根本からは、幅方向(X軸方向)に各後側斜壁シート部分310を横断するように、前側と同様の挿抜用折り目356が設けられている。この挿抜用折り目356は罫線のみで形成されている。
【0076】
このような第1の別例によっても、包装容器を効率良く箱状に保形することができることは言うまでもない。また、この第1の別例では、前側斜壁シート部分250と同様に後側斜壁シート部分310も底壁シート部分210側へと折起こされ、後側係止片シート部分320が、後側スリット用切れ目330によって構成されるスリットに挿入係止される。これにより、後側についても、前側と同様の安定性を保持しつつ、効率良く箱状に保形することができる。
【0077】
(第2の別例における包装容器の展開体)
図7は、第2の別例における包装容器の展開体を示す図である。
図7にも、
図4と同様に、完成した包装容器における幅方向に相当するX軸方向と、前後方向に相当するY軸方向とが示されている。この
図7でも、
図4と同様に、図中下側が包装容器の前側に相当し、図中上側が包装容器の後側に相当する。また、この
図7でも、
図4と同様に、段ボール紙の段目が示されている。尚、
図7でも、
図4に示されている実施形態と同等な構成要素については、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0078】
第2の別例における包装容器の展開体4は、底壁シート部分410及び蓋壁シート部分420が、次のように五角形状に形成されている。即ち、各シート部分410,420の前側は、上述の実施形態や第1の別例と同様の3辺を有した形状となっているが、後側は、斜辺が設けられておらず一対の側辺間が1本の端辺で結ばれた形状となっている。
【0079】
そして、底壁シート部分410の後側には、上記の1本の端辺に相当する折り目461を介して後側の端壁シート部分430が、底壁シート部分410と面一に連結形成されている。ここでの折り目461は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線のみで形成されている。そして、後側の端壁シート部分430における底壁シート部分410とは反対側には、蓋壁シート部分420が折り目462を介して後側の端壁シート部分430と面一に連結形成されている。ここでの折り目462は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0080】
底壁シート部分410の左右両側には、上記の一対の側辺に相当する一対の折り目463を介して一対の側壁シート部分440が、底壁シート部分410と面一に連結形成されている。ここでの折り目463は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線に、後側の所定範囲を残して破線状の切れ目を入れることで形成されている。
【0081】
また、一対の側壁シート部分440それぞれの後側には、折り目464を介して当接壁シート部分450が面一に連結形成されている。ここでの折り目464は、シート部分相互間の境界線に成形された罫線のみで形成されている。
【0082】
この第2の別例では、上述の実施形態と同様に、前側斜壁シート部分250が底壁シート部分410側へと折起こされ、係止片シート部分280が、スリット用切れ目270によって構成されるスリットに挿入係止される。他方、後側については、前側斜壁シート部分250について折起こされる側壁シート部分440から、当接壁シート部分450が内側に折り曲げられるのみである。この当接壁シート部分450は、折起こされた後側の端壁シート部分430に当接する。このような第2の別例によっても、包装容器を効率良く箱状に保形することができることは言うまでもない。
【0083】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の包装容器、及び、包装容器の展開体の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0084】
例えば、前述した実施形態や別例では、本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体の各一例として、段ボール紙製の包装容器1や、包装容器の展開体2,3,4が例示されている。しかしながら、本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体は、段ボール紙製に限るものではなく、例えば厚紙製や樹脂製のもの等、その具体的な材料を問うものではない。
【0085】
また、前述した実施形態では、本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体の各一例として、上面視で八角形の包装容器1、そのような包装容器の展開体2,3、及び上面視で五角形の包装容器の展開体4が例示されている。しかしながら、本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体は、これらに限るものではなく、その具体的な形状を問うものではない。
【0086】
また、前述した実施形態では、本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体の各一例として、ピザを収容対象とした包装容器1、及び、包装容器の展開体2,3,4が例示されている。本発明にいう包装容器、及び、包装容器の展開体は、これらに限るものではない。収容対象は、ピザ以外の円形状の食品や、皿や蛍光灯等といった食品以外の円形状の商品や、ホースや電線等といった円形状にまとめて収容可能な商品等、その具体的な態様を問うものではない。