特許第6763722号(P6763722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763722
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】塗料組成物及びそれから形成される塗膜
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/38 20060101AFI20200917BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20200917BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20200917BHJP
   B63B 1/34 20060101ALI20200917BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B63B1/38
   C09D183/04
   C09D7/61
   B63B1/34
   B63C11/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-167949(P2016-167949)
(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-35227(P2018-35227A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】597091890
【氏名又は名称】日本ペイントマリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山盛 直樹
(72)【発明者】
【氏名】南 晴康
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】富山 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】島田 守
(72)【発明者】
【氏名】島谷 舞
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−143866(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/084324(WO,A1)
【文献】 特表2011−524821(JP,A)
【文献】 特開平10−025469(JP,A)
【文献】 特開2001−302984(JP,A)
【文献】 特開2008−223003(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/041681(WO,A1)
【文献】 特開平08−268377(JP,A)
【文献】 特公昭48−011807(JP,B1)
【文献】 特表平06−511027(JP,A)
【文献】 特開平07−330837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B63B 1/38
B63B 1/34
B63B 59/00
B63C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中移動体の没水表面に適用される、該没水表面と水との間に生じる摩擦抵抗を低減するための塗料組成物であって、
硬化性シリコーンゴム成分100質量部と、
ウイスカ20〜200質量部と、
を含む、塗料組成物。
【請求項2】
前記ウイスカは、テトラポッド状又は針状である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
気体発生能を有する成分をさらに含む、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物から形成される塗膜。
【請求項5】
水中において空気保持能を有する、請求項4に記載の塗膜。
【請求項6】
水中移動体と水との間の摩擦抵抗を低減するためのシステムであって、
請求項4又は5に記載の塗膜と、空気バブル発生装置とを含む、摩擦抵抗低減システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の塗膜と、空気バブル発生装置とを含む、水中移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物及びそれから形成される塗膜に関する。また本発明は、当該塗膜を含む摩擦抵抗低減システム及び水中移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶等の水中移動体が水中を移動する際に受ける抵抗を低減させることは、航行燃費の削減、航行速力の向上、航行距離の延長等において有利である。水中移動体が受ける上記抵抗は、主に造波抵抗、形状抵抗、及び、水中移動体の表面と水との界面で生じる摩擦抵抗に大別される。これらのうち、造波抵抗及び形状抵抗は、流体力学のシミュレーション技術の向上等により大幅に低減できるようになったが、全抵抗の50〜80%を占めるとされている摩擦抵抗については、これを大幅に低減させるための解決策が未だ確立されているとは言い難い。
【0003】
水中において船舶等が受ける摩擦抵抗を低減させる手段の代表例は、空気潤滑法である。空気潤滑法とは、空気の気泡流を船底に供給することにより水中移動体の表面と水との界面で生じる摩擦抵抗を低減しようとする方法であり、最近になって実船での省エネルギー効果が実証されるようになり注目を集めている。
【0004】
空気潤滑法が摩擦抵抗低減効果を有効に発揮するためには、空気の気泡を船底面に均一に広げることが重要である。そのために、船底の形状を平らにする、又はセンターキールを設ける等、船底に気泡が均等に広がるような工夫が必要となる。このように、空気潤滑法は、水中移動体の形状の自由度が制限されることに伴い、適用範囲が大きく限定されるという問題を有している。
【0005】
空気潤滑法の摩擦抵抗低減効率を改善する方法として、船底を撥水性の塗膜で被覆することと、空気潤滑法とを併用することが知られている〔特開平07−017476号公報(特許文献1)〕。この方法は、船底表面と水との間に空気層をより効果的に形成するための空気潤滑法の改良法である。しかしこの方法も、適用範囲が大きく限定されるという問題をなお有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−017476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、水中移動体の表面(没水表面)に適用したときに、水との界面で生じる摩擦抵抗を良好に低減し得る塗膜を形成することができる塗料組成物及びそれから形成される塗膜を提供することにある。本発明の他の目的は、当該塗膜を含む摩擦抵抗低減システム及び水中移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示す塗料組成物、塗膜、摩擦抵抗低減システム及び水中移動体を提供する。
【0009】
〔1〕 硬化性シリコーンゴム成分100質量部と、
ウイスカ20〜200質量部と、
を含む、塗料組成物。
【0010】
〔2〕 前記ウイスカは、テトラポッド状又は針状である、〔1〕に記載の塗料組成物。
【0011】
〔3〕 気体発生能を有する成分をさらに含む、〔1〕又は〔2〕に記載の塗料組成物。
【0012】
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の塗料組成物から形成される塗膜。
〔5〕 水中において空気保持能を有する、〔4〕に記載の塗膜。
【0013】
〔6〕 水中移動体と水との間の摩擦抵抗を低減するためのシステムであって、
〔4〕又は〔5〕に記載の塗膜と、空気バブル発生装置とを含む、摩擦抵抗低減システム。
【0014】
〔7〕 〔4〕又は〔5〕に記載の塗膜と、空気バブル発生装置とを含む、水中移動体。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水中移動体の表面(没水表面)に適用したときに水との界面で生じる摩擦抵抗を良好に低減し得る塗膜を形成することができる塗料組成物及びそれから形成される塗膜を提供できる。また本発明によれば、当該塗膜を含む摩擦抵抗低減システム及び水中移動体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<塗料組成物>
本発明に係る塗料組成物は、硬化性シリコーンゴム成分と、フィラー(充填剤)としてのウイスカとを含む。ウイスカの含有量は、硬化性シリコーンゴム成分100質量部に対して20〜200質量部である。この塗料組成物は、船舶等の水中移動体の表面、とりわけ没水表面に適用される、水中移動体の表面と水との間に生じる摩擦抵抗を低減するための塗料として好適に用いることができる。
【0017】
本発明に係る水中における摩擦抵抗低減用の塗料組成物は、水中において最大で時速約20km(11ノット)にも及ぶ高速で泳ぎまわることができるペンギンの羽毛構造を参考にして確立された技術的思想に基づいている。ペンギンは、陸上ではしきりに毛繕いをする。これは、油脂性の分泌物を羽毛の最表面に塗布することで羽毛の撥水性を高めているといわれている。さらに、羽毛の根元部分は、非常に細かい鈎状の繊維が網目構造をとることで空気層を効率的に形成、保持できるように構成されている。すなわち、ペンギンは、空気層を内部に形成、保持することができ、撥水性表面を有する羽毛で覆われており、加速に合わせてこの空気層から空気の気泡を放出させることで瞬間的な摩擦抵抗低減効果を得ているものと考えられる。
【0018】
本発明は、上記のようなペンギンの羽毛構造がもたらす摩擦抵抗低減効果に着想を得て、水中において塗膜内又は塗膜表面に微細な空気層を良好に形成、保持することができる撥水性塗料組成物として、上記組成の塗料組成物を提供するものである。空気潤滑法は、ペンギンの高速泳法の生物規範モデルといわれることがあるが、上記特許文献1に記載の空気潤滑法の改良法も含めて、塗膜自身に空気を捕捉する能力はないため、本発明に係る塗料組成物による摩擦抵抗低減と、空気潤滑法及びその改良法による摩擦抵抗低減とは、メカニズムにおいて本質的に異なっている。
【0019】
本発明に係る塗料組成物においては、塗膜自体が空気(気体)の保持能(捕捉能)を有し、外部からの塗膜への空気バブル(気泡)の導入は必ずしも必要ではない。ただし、捕捉した空気(気体)は水中(例えば海水中)に溶解するため、長期間にわたって空気(気体)層を塗膜表面に保持することは容易ではない。そこで、外部からの塗膜への空気バブル(気泡)の導入を行うことが好ましく、これによって塗膜表面と水との間に空気層を長期にわたり形成させ得る。この塗膜表層の空気層により、従来の塗膜では達成できない摩擦抵抗低減効果を発揮することが可能となる。
【0020】
このように、本発明に係る塗料組成物から形成される塗膜においては、塗膜空気潤滑法とは異なり、外部からの空気バブルの導入の代わりに、又は好ましくは当該外部からの空気バブルの導入とともに、塗膜内に保持された空気層を塗膜表面を空気層で覆うための空気供給源として利用する(すなわち、塗膜自体に気体発生能を持たせる)ことで摩擦抵抗低減を図る。
【0021】
本発明に係る塗料組成物によれば、塗膜中又は塗膜表面に微細な空気層を形成、保持することができ、この空気層を塗膜表面を空気層で覆うための空気供給源として利用することができるため、水中移動体(船舶等)の形状(船底形状)によらず、摩擦抵抗低減効果、ひいては、航行燃費の削減、航行速力の向上、航行距離の延長等を期待することができる。このことは、地球温暖化ガスの排出抑制にもつながる。本発明に係る塗料組成物によれば、撥水性を有するだけでなく、水中において高い空気保持能を有する塗膜を形成することが可能である。また従来の空気潤滑法と組み合わせることにより、相乗的な摩擦抵抗低減効果が期待される。
【0022】
また本発明に係る塗料組成物は、水中生物(海洋生物等)の付着による汚損を抑制するための防汚塗料組成物として用いることも可能である。本発明に係る塗料組成物によれば、高い撥水性と、塗膜による空気の保持及び/又はその放出との相乗効果等により防汚性に優れる塗膜を形成し得る。本発明に係る塗料組成物と空気潤滑法との組み合わせにより、防汚性がさらに高められることも期待される。
【0023】
以下、本発明に係る塗料組成物について具体的に説明する。
(1)硬化性シリコーン成分
硬化性シリコーン成分はバインダー成分であり、硬化性を示す。硬化性シリコーン成分を含む塗料組成物によれば、得られる硬化塗膜は、高い撥水性を示す表面を有することができる。硬化性シリコーン成分を含む塗料組成物から形成される硬化塗膜表面の水に対する接触角は、例えば、95°以上、さらには100°以上である。硬化塗膜にウイスカを含有させることにより、水に対する接触角が大きくなることが検討により明らかとなっている。ウイスカを含有する本発明に係る塗膜(硬化塗膜)の水に対する接触角は、例えば120°以上又は130°以上、さらには140°以上、なおさらには150°以上であり得る。本明細書において、水に対する接触角は、23℃の環境下において塗膜に1μLの蒸留水を滴下し、滴下から30秒経過後に測定される接触角である。
【0024】
硬化性シリコーン成分としては、例えば、反応硬化型のシリコーンゴム組成物を挙げることができる。反応硬化型のシリコーンゴム組成物の好適な例は、分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物とを含む反応硬化型シリコーンゴム組成物である。シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物は、分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと反応可能な化合物である。分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物とは、室温又は加温等によって化学的に反応して硬化し得、反応硬化型シリコーンゴム組成物は、例えば、室温で硬化する湿気硬化型のシリコーンゴム組成物である。
【0025】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンにおいて、Si原子に結合している有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;又は、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部若しくは全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基等が挙げられる。結合している有機基が複数ある場合、これらは、同一であってもよいし異なっていてもよい。シロキサン結合の繰り返し数は、5以上の整数であることが好ましい。反応硬化型シリコーンゴム組成物は、分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンを1種又は2種以上含むことができる。
【0026】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が25〜500000cStの範囲であることが好ましく、1000〜100000cStの範囲であることがより好ましい。これにより、塗膜形成性、塗膜の撥水性等を向上させることができる。
【0027】
上記シラン化合物は、加水分解可能な基を有する多官能シラン化合物であることができ、塗膜の撥水性等を高める観点からは、好ましくは、下記一般式(1):
(RSiX (1)
(式中、Rは、メチル基、ビニル基又はフェニル基を表す。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基、プロペニルオキシ基又はアセトキシ基を表す。mは0又は1を表す。nは3又は4を表す。ただし、mが0のときnが4であり、mが1のときnが3である。)で表されるシラン化合物、すなわち、SiX、(RSiXで表されるシラン化合物であることが好ましい。上記シラン化合物の縮合物は、好ましくは、その縮合数が2〜30であり、より好ましくは2〜15である。
【0028】
上記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、具体的には、メチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリプロペニルオキシシラン、ビニルトリプロペニルオキシシラン、フェニルトリプロペニルオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン;テトラアルコキシシラン(アルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。反応硬化型シリコーンゴム組成物は、シラン化合物、その部分加水分解物及びその縮合物から選択される化合物を1種又は2種以上含むことができる。
【0029】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物とを含む反応硬化型シリコーンゴム組成物において、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物の含有量は、分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。
【0030】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物とを含む反応硬化型シリコーンゴム組成物は、必要に応じて、硬化触媒を含むことができる。硬化触媒としては、例えば、ナフテン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫等の錫カルボン酸塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート等の錫化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウム・イソ・プロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0031】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと、シラン化合物、その部分加水分解物又はその縮合物とを含む上述の反応硬化型シリコーンゴム組成物として、あるいは、他の硬化性シリコーン成分として、市販品を用いてもよい。市販の硬化性シリコーンゴム成分(硬化性シリコーンゴム組成物)としては、例えば、いずれも商品名で以下の製品を挙げることができる(いずれも信越化学工業株式会社製)。
(1)硬化反応形式が脱オキシムタイプの縮合反応(一液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−44、KE−45、KE−441、KE−445、KE−45−S等、
(2)硬化反応形式が脱アセトンタイプの縮合反応(一液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−347、KE−348、KE−3479、KE−3423、KE−3490、KE−3491、KE−3495等、
(3)硬化反応形式が脱酢酸タイプの縮合反応(一液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−41、KE−42、FE−123等、
(4)硬化反応形式が脱アルコールタイプの縮合反応(一液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−4890、KE−4895、KE−4896、KE−4897、KE−4898等、
(5)硬化反応形式が付加反応(一液型、加熱硬化型又は室温硬化型):KE−1820、KE−1825、KE−1830、FE−61等、
(6)硬化反応形式が脱アセトンタイプの縮合反応(二液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−200等、
(7)硬化反応形式が脱アルコールタイプの縮合反応(二液型、湿気硬化型、室温硬化型):KE−66、KE−108、KE−118、KE−119等、
(8)硬化反応形式が付加反応(二液型、加熱硬化型又は室温硬化型):KE−1031−A/B、KE−103、KE−106、KE−1282−A/B等。
【0032】
硬化性シリコーン成分は、好ましくは、湿気硬化型のシリコーンゴム組成物(シリコーンゴム成分)であり、より好ましくは、硬化反応形式が脱オキシムタイプの縮合反応である一液型の湿気硬化型シリコーンゴム組成物である。
【0033】
(2)ウイスカ
本発明に係る塗料組成物は、フィラー(充填剤)としてウイスカを含む。本明細書において「ウイスカ」とは、外形形状として髭状(針状)に延びる部分(針状部)を有するフィラーをいう。好ましいウイスカの一例は、テトラポッド状フィラーである。テトラポッド状フィラーは、核部から互いに異なる方向に延びる4つの上記針状部を有する物体の粉体であり、典型的には、結晶体の粉末である。テトラポッド状フィラーの材質は特に制限されず、アルミナ、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム等の無機酸化物;クロム、銅、鉄、ニッケル等の金属;炭化ケイ素、黒鉛、窒化ケイ素等の無機酸化物及び金属以外の無機物を挙げることができる。塗膜の撥水性等の観点から、テトラポッド状フィラーの材質は、好ましくは無機酸化物(例えば、酸化亜鉛等)である。
【0034】
ウイスカは、針状フィラーであってもよい。ここでいう針状フィラーとは、通常の意味でいう針状のフィラーであり、直線状(棒状)に延びる細径の物体(典型的には結晶体)の粉末である。針状フィラーの材質の例は、テトラポッド状フィラーと同様である。
【0035】
テトラポッド状フィラーが有する各々の針状部の長さ及びその平均(針状部の平均繊維長)は、例えば1〜50μmであり、好ましくは5〜30μmである。また各々の針状部の径(太さ)及びその平均は、例えば、0.2〜3μmである。針状部の長さが過度に小さい場合や過度に大きい場合には、水中における塗膜の空気保持能を高くすることが困難となり、その結果、摩擦抵抗低減効果が不十分となる。あるいはまた、針状部の長さが過度に小さい場合には、塗膜の撥水性の向上効果が低下する。
【0036】
同様の理由で、針状フィラーの長さ及びその平均(平均繊維長)は、例えば1〜50μmであり、好ましくは5〜30μmである。また針状フィラーの径(太さ)及びその平均は、例えば、0.2〜3μmである。
【0037】
塗料組成物におけるウイスカの含有量は、硬化性シリコーンゴム成分100質量部に対して、20〜200質量部であり、好ましくは30〜100質量部であり、より好ましくは40〜90質量部である。ウイスカの含有量が20質量部未満であると、塗膜に撥水性は発現するものの水中における塗膜の空気保持能を高くすることが困難となり、その結果、摩擦抵抗低減効果が不十分となる。また40質量部未満であると安定した空気保持能が得られない場合があり、その結果、安定して良好な摩擦抵抗低減効果が得られないことがある。ウイスカの含有量が200質量部を超えると、塗膜形成性が著しく低下し、また下地との付着性に問題が生じる。ウイスカの含有量が100質量部以下であることは、塗膜形成性や塗膜の耐久性の観点から有利である。塗料組成物は、1種又は2種以上のウイスカを含むことができる。
【0038】
(3)その他の配合成分
本発明に塗料組成物は、上記以外のその他の配合成分を必要に応じて含むことができる。その他の配合成分の具体例は、顔料(ウイスカ以外の充填剤)、溶剤、タレ止め剤、色分かれ防止剤、沈降防止剤、消泡剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、粘度調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、可塑剤、防腐剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、防汚剤等を含む。塗料組成物は、1種又は2種以上のその他の配合成分を含むことができる。
【0039】
顔料としては、例えば、沈降性バリウム、タルク、クレー、マイカ、白亜、シリカ、アルミナ、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料;酸化チタン(二酸化チタン)、酸化ジルコン、塩基性硫酸鉛、酸化スズ、カーボンブラック、白鉛、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、アゾ系赤・黄色顔料、クロムイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ウルトラマリンブルー、キナクリドン等の着色顔料等を挙げることができる。これらの顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロペンタン、オクタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ホワイトスピリット等の炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ブタノール、プロピルアルコール等のアルコールなどを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
防汚剤としては、例えば、酸化亜鉛、亜酸化銅;マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート;ジンクジメチルジチオカーバメート;2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル;N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素;ジンクエチレンビスジチオカーバーメート;ロダン銅(チオシアン酸第一銅);4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(4,5,−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン);N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド;N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド;2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩(ジンクピリチオン)および銅塩(銅ピリチオン)等の金属塩;テトラメチルチウラムジサルファイド;2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド;2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン;3−ヨード−2−プロピルブチルカーバーメート;ジヨードメチルパラトリスルホン;フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド;2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール;トリフェニルボロンピリジン塩;ステアリルアミン−トリフェニルボロン;ラウリルアミン−トリフェニルボロン;ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート;1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェンアミド;1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)メタンスルフェンアミド;N’−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N’−ジメチル尿素;N’−tert−ブチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン;および、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル等を挙げることができる。これらの防汚剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
また塗料組成物は、ワセリン;石油系ワックス(例えば、固形パラフィンワックス、塩素化パラフィンワックス、スラックスワックス、加工ワックス等)、動植物系ワックス(例えば、木蝋、白蝋、カルナウバワックス、カスターワックス等)等のワックス類;流動パラフィン、プロセスオイル、潤滑油(例えば、機械油、ミシン油等)、植物油(ひまし油、サラダ油等)、動物油(ラード等)、鉱物油等のオイル類;シリコーンオイル、フッ素系樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系アクリル樹脂、ポリフルオロエチレン等)等の撥水性樹脂;等を含むことができる。これらの1種又は2種以上を含有させることにより、塗膜の空気保持能、撥水性、防汚性及び/又は耐久性等を向上させることができることがある。
【0043】
塗料組成物から形成される塗膜の気体発生能を高めるために、塗料組成物は、気体発生能を有する成分を含むことができる。気体発生能を有する成分としては、例えばクエン酸又はその水和物等の有機酸と、炭酸水素塩(例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウム等)等の塩基との組み合わせを挙げることができる。このような気体発生能を有する成分を塗料組成物に含有させることにより、塗膜が水中(例えば海水中)と接触することで気体が発生するので、気体層を塗膜表面に保持する能力を高め得る。上記有機酸の含有量と上記塩基の含有量との比率は、当量比で、有機酸:塩基=1:3〜3:1、好ましくは2:3〜3:2である。塗料組成物における気体発生能を有する成分(有機酸と塩基との組み合わせ等)の含有量は、溶剤を除く塗料組成物の全成分を100質量%とするとき、0.3〜30質量%とすることができる。
【0044】
(4)塗料組成物の調製
本発明に係る塗料組成物は、所定の配合成分及び必要に応じて添加される配合成分を、ペブルミル、ロールミル、サンドグラインドミル、高速ディスパー等の混合機を用いて混合することにより、調製することができる。例えば、硬化性シリコーンゴム成分として二液型のものを用いる場合等において、塗料組成物は、二液型であってもよい。
【0045】
<塗膜>
上記塗料組成物から形成される塗膜(硬化塗膜)は、水中において高い空気保持能を有することができる。塗膜が高い空気保持能を有する要因としては、ウイスカを含有させることにより表面粗度が大きくなり、これにより塗膜表面の撥水性や空気捕捉能が向上すること等が考えられる。塗膜の空気保持能は、簡略的には、後述する[実施例]の項で実施している方法で評価することができる。
【0046】
塗膜は、塗料組成物を被塗物の表面に塗布し、乾燥、硬化させることによって形成することができる。硬化塗膜の膜厚は、例えば30〜2000μmであり、好ましくは50〜800μmである。塗料組成物の塗布方法と特に制限されず、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り、ローラー塗装、静電塗装等の従来公知の方法を用いることができる。塗布後、室温で静置することにより塗膜を硬化させることができるが、硬化性シリコーンゴム成分の種類によっては、加熱して硬化させてもよい。
【0047】
上記被塗物は、典型的には、船舶等の水中移動体である。塗料組成物が塗布されるべき水中移動体の表面は、典型的には、没水表面である。塗料組成物が塗布されるべき水中移動体の表面は、その水中移動体の基材それ自体の表面であってもよいし、該基材の表面にウォッシュプライマー、ジンクエポキシ系プライマー等のプライマー類;油性錆止め、塩化ゴム系、エポキシ系、シリコーンゴム系の下塗りプライマー類;長油性フタル酸樹脂系、塩化ゴム系、シリコーンゴム系、エポキシ系等の中塗り塗料類又は上塗り塗料類等から選択されるプライマー若しくは塗料から形成される塗膜又はこれらから選択される2種以上のプライマー若しくは塗料から形成される複合塗膜の表面であってもよい。
【0048】
水中における空気保持能を高める観点、及び塗膜表面の撥水性を高める観点から、塗膜において、ウイスカは、塗膜の内部に分散されていることが好ましく、塗膜の内部及び塗膜表面に分散されていることがより好ましい。塗膜表面にウイスカが分散されている場合において、ウイスカは、その一部が塗膜表面から突出していることが好ましい。
【0049】
<摩擦抵抗低減システム及び水中移動体>
本発明に係る摩擦抵抗低減システムは、水中を移動する際に受ける水中移動体と水との間の摩擦抵抗を低減するためのシステムであり、水中移動体(船舶等)の表面に設けられるべき上述の塗膜と、空気バブル発生装置とを含む。本発明に係る水中移動体は、その表面(典型的には、没水表面)に設けられた上述の塗膜を含むものであり、好ましくは、上記の摩擦抵抗低減システム、すなわち、上述の塗膜と空気バブル発生装置とを含む。
【0050】
本発明に係る摩擦抵抗低減システム及び上述の塗膜と空気バブル発生装置とを含む本発明に係る水中移動体によれば、塗膜が保持する空気による水中移動体の表面と水との界面への空気層の形成と、空気バブル発生装置による空気供給(すなわち、空気潤滑法による上記界面への空気層の形成)との相乗効果により、摩擦抵抗低減効果が高められることが期待される。また本発明に係る摩擦抵抗低減システム及び水中移動体によれば、水中移動体の形状(船底形状)によらず、高い摩擦抵抗低減効果を期待することができる。
【0051】
空気バブル発生装置としては、空気潤滑法で使用されている公知のものを使用することができ、例えば、加圧溶解方式、ベンチュリー管方式、ポーラス(多孔体)方式、超音波方式、気体・液体せん断方式等の空気バブル発生装置を挙げることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実験例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、部及び%は質量基準である。
【0053】
<実験例1〜22>
(1)塗料組成物の調製
表1又は表2に示される配合成分を、表1又は表2に示される配合比で、室温にてディスパーにより30分間混合撹拌して塗料組成物を調製した。表1及び表2に示される各配合成分の詳細は次のとおりである。なお、表1及び表2に示す配合量の単位は質量部であり、硬化性シリコーン成分の配合量は、硬化性シリコーン成分として使用した市販品に含まれる硬化性シリコーン成分量(有効成分の量;質量部)である。
【0054】
〔1〕硬化性シリコーン成分1:脱オキシムタイプの湿気硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製「KE−44」、一液型、硬化性シリコーン成分の含有率:100質量%)、
〔2〕硬化性シリコーン成分2:脱オキシムタイプの湿気硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製「KE−45」、一液型、硬化性シリコーン成分の含有率:100質量%)、
〔3〕硬化性シリコーン成分3:脱オキシムタイプの湿気硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製「KE−441」、一液型、硬化性シリコーン成分の含有率:100質量%)、
〔4〕硬化性シリコーン成分4:脱オキシムタイプの湿気硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製「KE−445」、一液型、硬化性シリコーン成分の含有率:100質量%)、
〔5〕硬化性シリコーン成分5:脱オキシムタイプの湿気硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製「KE−45−S」、一液型、溶剤希釈タイプ、硬化性シリコーン成分の含有率:50質量%)、
〔6〕ウイスカ1:酸化亜鉛からなるテトラポッド状単結晶体粉末(パナソニック社製「パナテトラ」、平均繊維長(針状部分):約10μm)、
〔7〕ウイスカ2:ホウ酸アルミニウムからなる針状フィラー(四国化成工業株式会社製「アルボレックス M−20タイプ」、平均繊維長:約20μm)、
〔8〕シリコーンオイル1:信越化学工業株式会社製「KF−50 300CS」、
〔9〕シリコーンオイル2:信越化学工業株式会社製「KF−414」。
【0055】
(2)塗膜の空気保持能の評価
表1又は表2に示される塗料組成物を、長さ70mm×幅20mmのガラス板に乾燥硬化後の膜厚が約200μmになるように塗布し、室温で18時間静置することにより乾燥硬化させて硬化塗膜を有するガラス板を作製した。この硬化塗膜は、空気中においては白色を呈している(目視)。
【0056】
得られた硬化塗膜を有するガラス板をビーカー内の蒸留水中に、表1及び表2に記載の所定時間浸漬させた(室温環境下)。水中浸漬された硬化塗膜について目視評価を行った。評価基準は次のとおりである。結果を表1又は表2に示す。
【0057】
A:水中浸漬された硬化塗膜の全体にわたって、かつ、白色(空気中)から高度に透明化している、
B:水中浸漬された硬化塗膜の透明化が不十分であり、少し白色を呈している、
C:水中浸漬された硬化塗膜が、空気中と同程度の白色を呈している。
【0058】
水中浸漬によって硬化塗膜が透明化するのは、硬化塗膜中又は硬化塗膜表面に空気層が形成され、これが保持された結果である。水中浸漬によっても白色を呈するか又は透明化が不十分であるのは、硬化塗膜中又は硬化塗膜表面に空気層が形成されないか、又は形成されてもその量が少ないためである。したがって、水中浸漬された硬化塗膜の透明度が高いほど空気保持能に優れているといえる。
【0059】
実験例8の塗料組成物から作製した硬化塗膜表面の水に対する接触角は、約150°であった。実験例17の塗料組成物から作製した硬化塗膜表面の水に対する接触角は、約100°であった。
【0060】
(3)造膜性の評価
表1又は表2に示される塗料組成物を、ガラス板上に乾燥硬化後の膜厚が約200μm、約700μm又は約1000μmになるように塗布し、室温で24時間静置することにより乾燥硬化させて硬化塗膜を形成した。得られた硬化塗膜の塗膜状態について目視評価を行った。評価基準は次のとおりである。結果を表1又は表2に示す。
【0061】
A:欠陥の無い良好な塗膜状態である、
B:わずかなクラックが発生している、
C:大きなクラックが発生している。
【0062】
硬化性シリコーン成分100質量部に対するウイスカの含有量が200質量部以上であると、特に乾燥膜厚が大きい場合において大きなクラックが発生した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
上記実験例に示されるとおり、硬化性シリコーン成分100質量部に対してウイスカを20質量部以上(好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上)含む塗料組成物によれば、水中での空気保持能が良好な硬化塗膜を形成することができる。この硬化塗膜は、従来の空気潤滑法に代わる、又はこれとともに併用される、水中移動体が水中を移動する際に水中移動体の表面と水との界面で生じる摩擦抵抗を低減させる手段として期待される。この硬化塗膜によれば、その中又は塗膜表面に保持されている空気を塗膜表面を空気層で覆うための空気供給源として利用することができるため、水中移動体の形状(船底形状)によらず、良好な摩擦抵抗低減効果、あるいはさらに良好な防汚性を期待することができる。