(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続半導体領域を形成する工程と同一のマスクを介して前記半導体基板の前記上面に第2導電型不純物を注入することによって、前記接続半導体領域の上部に配置されており、前記半導体基板の前記上面に露出しており、前記ボディ領域に接続されている第2導電型のボディコンタクト領域を形成する工程と、
前記半導体基板の前記上面に、前記ボディコンタクト領域に接する上部電極を形成する工程、
をさらに有する請求項1の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜4は、実施形態のMOSFET10を示している。
図3、4に示すように、MOSFET10は、半導体基板12と、電極、絶縁層等を備えている。なお、
図1、2では、図の見易さのため、半導体基板12の上面12a上の電極、絶縁層の図示を省略している。以下では、半導体基板12の上面12aと平行な一方向をx方向といい、上面12aに平行でx方向に直交する方向をy方向といい、半導体基板12の厚み方向をz方向という。
【0014】
半導体基板12は、SiCにより構成されている。
図1〜4に示すように、半導体基板12の上面12aには、複数のトレンチ22が設けられている。各トレンチ22は、上面12aにおいて、y方向に直線状に長く伸びている。複数のトレンチ22は、x方向に間隔を開けて配列されている。各トレンチ22の内部に、ゲート絶縁層24とゲート電極26が配置されている。
【0015】
ゲート絶縁層24は、トレンチ22の内面を覆っている。ゲート絶縁層24は、酸化シリコンにより構成されている。ゲート絶縁層24は、底部絶縁層24aと側面絶縁膜24bを有している。底部絶縁層24aは、トレンチ22の底部に配置されている。底部絶縁層24aは、トレンチ22の底面を覆っている。また、底部絶縁層24aは、トレンチ22の底面近傍において、トレンチ22の側面を覆っている。側面絶縁膜24bは、底部絶縁層24aの上部に位置するトレンチ22の側面を覆っている。
【0016】
ゲート電極26は、底部絶縁層24aの上部に配置されている。すなわち、ゲート電極26とトレンチ22の底面の間の絶縁層が、底部絶縁層24aである。また、ゲート電極26とトレンチ22の側面の間の絶縁層が、側面絶縁膜24bである。ゲート電極26は、側面絶縁膜24bと底部絶縁層24aによって半導体基板12から絶縁されている。ゲート電極26の上面は、層間絶縁膜28によって覆われている。
【0017】
側面絶縁膜24bの厚み(すなわち、トレンチ22の側面とゲート電極26の側面の間の間隔)は、底部絶縁層24aの厚み(すなわち、底部絶縁層24aの上面と下面の間の幅(言い換えると、ゲート電極26の下端とトレンチ22の底面の間の間隔))よりも薄い。
【0018】
図3、4に示すように、半導体基板12の上面12aには、上部電極70が配置されている。上部電極70は、層間絶縁膜28を覆っている。上部電極70は、層間絶縁膜28が設けられていない部分で半導体基板12の上面12aに接している。上部電極70は、層間絶縁膜28によってゲート電極26から絶縁されている。半導体基板12の下面12bには、下部電極72が配置されている。下部電極72は、半導体基板12の下面12bに接している。
【0019】
図1〜4に示すように、半導体基板12の内部には、複数のソース領域30、複数のボディコンタクト領域31、ボディ領域32、ドリフト領域34、ドレイン領域35、複数の底部半導体領域36及び複数の接続半導体領域38が設けられている。
【0020】
各ソース領域30は、n型領域である。各ソース領域30は、隣接する2つのトレンチ22の間に配置されている。各ソース領域30は、半導体基板12の上面12aに臨む範囲に配置されており、上部電極70にオーミック接触している。各ソース領域30は、トレンチ22の上端部において側面絶縁膜24bに接している。各ソース領域30は、その両側のトレンチ22内のゲート電極26に対して側面絶縁膜24bを介して対向している。
【0021】
各ボディコンタクト領域31は、ソース領域30の側方に配置されている。各ボディコンタクト領域31は、半導体基板12の上面12aに臨む範囲に配置されており、上部電極70にオーミック接触している。各ボディコンタクト領域31は、トレンチ22と交差する方向(すなわち、x方向)に長く伸びている。各ボディコンタクト領域31は、トレンチ22の上端部において側面絶縁膜24bに接している。
【0022】
ボディ領域32は、p型領域である。ボディ領域32は、各ソース領域30及び各ボディコンタクト領域31の下側に配置されている。ボディ領域32は、各ソース領域30及び各ボディコンタクト領域に対して下側から接している。ボディ領域32のp型不純物濃度は、ボディコンタクト領域31のp型不純物濃度よりも低い。ボディ領域32は、ソース領域30及びボディコンタクト領域31の下側で、側面絶縁膜24bに接している。ボディ領域32は、各トレンチ22内のゲート電極26に対して側面絶縁膜24bを介して対向している。ボディ領域32の下端は、ゲート電極26の下端(すなわち、底部絶縁層24aの上面)よりも上側に配置されている。
【0023】
ドリフト領域34は、n型領域である。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側に配置されており、ボディ領域32によって各ソース領域30から分離されている。ドリフト領域34は、ボディ領域32に対して下側から接している。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側で、側面絶縁膜24b及び底部絶縁層24aに接している。ドリフト領域34は、各トレンチ22内のゲート電極26に対して側面絶縁膜24bを介して対向している。
【0024】
ドレイン領域35は、n型領域である。ドレイン領域35は、ドリフト領域34よりも高いn型不純物濃度を有している。ドレイン領域35は、ドリフト領域34の下側に配置されている。ドレイン領域35は、ドリフト領域34に対して下側から接している。ドレイン領域35は、半導体基板12の下面12bに臨む範囲に設けられており、下部電極72にオーミック接触している。
【0025】
各底部半導体領域36は、p型領域である。各底部半導体領域36は、対応するトレンチ22の底面に臨む範囲に配置されている。各底部半導体領域36は、対応するトレンチ22の底面において、底部絶縁層24aに接している。各底部半導体領域36は、対応するトレンチ22の底面に沿ってy方向に長く伸びている。各底部半導体領域36は、対応するトレンチ22の底面全体を覆っている。各底部半導体領域36の周囲は、ドリフト領域34に囲まれている。各底部半導体領域36は、ドリフト領域34に接している。
【0026】
図1に示すように、各接続半導体領域38は、ボディ領域32から下方向(ドリフト領域34側)に突出するp型領域である。各接続半導体領域38は、対応するボディコンタクト領域31の下部に配置されている。各接続半導体領域38は、対応するボディコンタクト領域31に沿って、各トレンチ22と交差する方向(すなわち、x方向)に長く伸びている。したがって、
図4に示すように、各接続半導体領域38は、隣接する2つのトレンチ22の間の範囲において、一方のトレンチ22から他方のトレンチ22に達するように伸びている。
図1に示すように、複数の接続半導体領域38が、y方向に間隔を開けて配置されている。
図4に示すように、各接続半導体領域38は、ボディ領域32の下端からトレンチ22の下端よりも深い深さD1まで伸びている。各接続半導体領域38は、ボディ領域32の下端から深さD1までの深さ範囲全体において、x方向に伸びている。各接続半導体領域38は、各底部半導体領域36に接している。各接続半導体領域38は、その底面及び側面において、ドリフト領域34に接している。各接続半導体領域38のp型不純物濃度は、各ボディコンタクト領域31のp型不純物濃度、及び、ボディ領域32のp型不純物濃度よりも低い。
【0027】
上述したように、複数のボディコンタクト領域31、ボディ領域32、複数の接続半導体領域38、及び、複数の底部半導体領域36は、互いに接続されたp型領域である。本明細書においては、半導体基板12の上面12aに沿って横方向(x方向及びy方向)に分布しているp型領域がボディ領域32である。また、ボディ領域32から上側に突出して上面12aに達しているp型領域が、ボディコンタクト領域31である。また、トレンチ22の底面の直下に位置するp型領域が、底部半導体領域36である。また、ボディ領域32から下側に突出して底部半導体領域36に繋がっているp型領域が、接続半導体領域38である。
【0028】
次に、MOSFET10の動作について説明する。MOSFET10の使用時には、MOSFET10と負荷(例えば、モータ)と電源が直列に接続される。MOSFET10と負荷の直列回路に対して、電源電圧(本実施形態では、約800V)が印加される。MOSFET10のドレイン側(下部電極72)がソース側(上部電極70)よりも高電位となる向きで、電源電圧が印加される。ゲート電極26にゲートオン電位(ゲート閾値よりも高い電位)を印加すると、側面絶縁膜24bに接する範囲のボディ領域32にチャネル(反転層)が形成され、MOSFET10がオンする。ゲート電極26にゲートオフ電位(ゲート閾値以下の電位)を印加すると、チャネルが消滅し、MOSFET10がオフする。以下に、MOSFET10のターンオフ時とターンオン時の動作について、詳細に説明する。
【0029】
MOSFET10をターンオフさせる場合には、ゲート電極26の電位をゲートオン電位からゲートオフ電位に引き下げる。すると、チャネルが消失し、下部電極72の電位が上昇する。下部電極72の電位は、上部電極70に対して電源電圧分(すなわち、約800V)だけ高い電位まで上昇する。底部半導体領域36は、接続半導体領域38、ボディ領域32及びボディコンタクト領域31を介して上部電極70に接続されている。このため、下部電極72の電位が上昇している期間内に、底部半導体領域36の電位は上部電極70と略同じ電位(すなわち、0Vに近い電位)に固定されている。下部電極72の電位の上昇に伴って、ドレイン領域35及びドリフト領域34の電位も上昇する。ドリフト領域34の電位が上昇すると、ボディ領域32とドリフト領域34の間に電位差が生じる。このため、ボディ領域32とドリフト領域34の界面のpn接合に逆電圧が印加される。したがって、ボディ領域32からドリフト領域34に空乏層が広がる。また、ドリフト領域34の電位が上昇すると、底部半導体領域36とドリフト領域34の間に電位差が生じる。このため、底部半導体領域36とドリフト領域34の界面のpn接合に逆電圧が印加される。したがって、底部半導体領域36からドリフト領域34に空乏層が広がる。このようにドリフト領域34内に空乏層が広がることで、ドリフト領域34内における電界集中が抑制される。特に、底部半導体領域36から広がる空乏層によって、トレンチ22の底面近傍における電界集中が抑制される。
【0030】
なお、接続半導体領域38内に結晶欠陥が多く存在していると、MOSFET10がオフしているときに接続半導体領域38を介してリーク電流が流れる。後に詳述するが、本実施形態では、接続半導体領域38が高温イオン注入により形成されるので、接続半導体領域38内の結晶欠陥が少ない。したがって、MOSFET10がオフしているときにリーク電流が流れ難い。
【0031】
MOSFET10をターンオンさせる場合には、ゲート電極26の電位をゲートオフ電位からゲートオン電位に引き上げる。すると、側面絶縁膜24bに接している範囲のボディ領域32に電子が引き寄せられる。これによって、この範囲のボディ領域32がp型からn型に反転し、チャネルが形成される。チャネルによって、ソース領域30とドリフト領域34が接続される。これによって、ドリフト領域34、ドレイン領域35及び下部電極72の電位が低下する。ドリフト領域34の電位が低下すると、ボディ領域32とドリフト領域34の界面のpn接合に印加されていた逆電圧が低下する。このため、ボディ領域32からドリフト領域34に広がっていた空乏層が、ボディ領域32に向かって収縮する。また、ドリフト領域34の電位が低下すると、底部半導体領域36とドリフト領域34の界面のpn接合に印加されていた逆電圧が低下する。このため、底部半導体領域36からドリフト領域34に広がっていた空乏層が、底部半導体領域36に向かって収縮する。このように、ドリフト領域34内に広がっていた空乏層が収縮することで、ドリフト領域34の抵抗が低下する。したがって、上部電極70から、ソース領域30、チャネル、ドリフト領域34、ドレイン領域35を経由して下部電極72へ電子が流れるようになる。すなわち、MOSFET10がオンする。
【0032】
また、MOSFET10の内部には、ボディコンタクト領域31、ボディ領域32、接続半導体領域38及び底部半導体領域36からなるp型領域と、ドリフト領域34及びドレイン領域35からなるn型領域によって、pnダイオードが形成されている。外部の回路の動作によって、上部電極70の電位が下部電極72の電位よりも高くなる場合がある。この場合、pnダイオードに電流が流れる。p型領域とn型領域の界面のpn接合の面積が広いほど、pnダイオードの順方向電圧降下は小さくなる。仮に接続半導体領域38が存在しないとすると、pnダイオードのpn接合は、ボディ領域32とドリフト領域34の界面のみである。これに対し、本実施形態では、ボディ領域32から下側に突出する接続半導体領域38が設けられている。このため、接続半導体領域38の側面及び底面も、pnダイオードのpn接合として機能する。したがって、本実施形態では、pn接合の面積が広く、pnダイオードの順方向電圧降下が小さい。また、本実施形態では、接続半導体領域38のp型不純物濃度が、ボディコンタクト領域31のp型不純物濃度及びボディ領域32のp型不純物濃度よりも低い。このように、pn接合を構成する部分のp型領域(すなわち、接続半導体領域38)のp型不純物濃度を低くすることで、pnダイオードの順方向電圧降下をより小さくすることができる。このように、pnダイオードの順方向電圧降下が小さいので、pnダイオードに電流が流れる際に生じる損失が小さい。
【0033】
なお、特許文献1のように、ゲート絶縁層の近傍のみに接続半導体領域(底部半導体領域とボディ領域を接続するp型領域)が設けられている場合でも、接続半導体領域とドリフト領域の間の界面がpnダイオードのpn接合として機能する。しかしながら、この場合には、本実施形態の場合(すなわち、接続半導体領域が一方のトレンチから他方のトレンチまで伸びている場合)に比べて、接続半導体領域とドリフト領域の間の界面のpn接合の面積が小さい。本実施形態の構成によれば、特許文献1の構成よりもさらにpnダイオードのpn接合の面積をすることができ、pnダイオードの順方向電圧降下をさらに小さくすることができる。
【0034】
次に、
図5〜11を用いて、MOSFET10の製造方法について説明する。なお、
図5〜11は、MOSFET10の製造過程における半導体基板の断面である。
図5〜11において、右側の断面は、接続半導体領域38が設けられない部分の断面(
図3に相当する断面の一部)を示しており、左側の断面は、接続半導体領域38が設けられる部分の断面(
図4に相当する断面の一部)を示している。
【0035】
まず、
図5に示すように、ドレイン領域35、ドリフト領域34及びボディ領域32を備える半導体基板12x(MOSFET10の材料となる半導体基板)を準備する。半導体基板12xは、SiCによって構成されている。ドリフト領域34は、ドレイン領域35上にエピタキシャル成長によって形成された領域である。ボディ領域32は、エピタキシャル成長またはイオン注入によって形成された領域である。
【0036】
次に、
図6に示すように、半導体基板12xの上面12aにマスク80を形成する。マスク80は、高い耐熱性を有する材料(例えば、酸化シリコン等)により形成する。次に、マスク80をパターニングすることによって、マスク80に開口部82を形成する。開口部82は、接続半導体領域38を形成すべき部分の上部に設けられる。
【0037】
次に、
図7に示すように、マスク80を介して半導体基板12xの上面12aに向けてp型不純物を照射する。ここでは、半導体基板12xを約150℃に加熱した状態でp型不純物を照射する(いわゆる、高温イオン注入)。開口部82内では、p型不純物が半導体基板12xに注入される。マスク80により覆われている範囲では、マスク80によってp型不純物の半導体基板12xへの注入が防止される。ここでは、照射エネルギーを変更しながら複数回p型不純物を照射することで、浅い位置から比較的深い位置まで広い範囲にp型不純物を注入する。これによって、
図7に示すように、ボディコンタクト領域31と接続半導体領域38を形成する。ボディコンタクト領域31は、半導体基板12xの上面12aに露出するように形成される。なお、浅い範囲にはp型不純物を高濃度で注入することによって、p型不純物濃度が高いボディコンタクト領域31を形成し、深い範囲にはp型不純物を低濃度で注入することによって、p型不純物濃度が低い接続半導体領域38を形成する。高温イオン注入によって接続半導体領域38とボディコンタクト領域31が形成されるので、これらの領域内に結晶欠陥が生じ難い。したがって、結晶欠陥密度が低い接続半導体領域38とボディコンタクト領域31を形成することができる。
【0038】
次に、
図8に示すように、半導体基板12xの上面12aにn型不純物を注入することによって、ソース領域30を形成する。なお、ボディコンタクト領域31にもn型不純物が注入されるが、ボディコンタクト領域31のp型不純物濃度が高いので、ボディコンタクト領域31の範囲内にはソース領域30は形成されない。なお、ソース領域30を形成するためのn型不純物注入を、接続半導体領域38及びボディコンタクト領域31を形成するためのp型不純物注入(
図7)よりも先に行ってもよい。
【0039】
次に、
図9に示すように、半導体基板12xの上面12aを選択的にエッチングすることによって、トレンチ22を形成する。ここでは、ボディ領域32を貫通するようにトレンチ22を形成する。また、半導体基板12xの上面12a側から見たときに、各トレンチ22が接続半導体領域38及びボディコンタクト領域31を横断するように各トレンチ22を形成する。接続半導体領域38を有さない範囲では、トレンチ22の下端はドリフト領域34内に位置している。接続半導体領域38を有する範囲では、トレンチ22の下端は接続半導体領域38内(より詳細には、接続半導体領域38の下端の近傍)に位置している。
【0040】
次に、
図10に示すように、トレンチ22の底面にp型不純物を注入することによって、底部半導体領域36を形成する。底部半導体領域36は、接続半導体領域38に接続される。
【0041】
次に、LP−CVD等によってトレンチ22内に酸化シリコンを埋め込み、その後に酸化シリコンをエッチングする。これによって、
図11に示すように、底部絶縁層24aを形成する。その後、従来周知の方法により、側面絶縁膜24b、ゲート電極26、層間絶縁膜28、上部電極70及び下部電極72等を形成することで、
図1〜4に示すMOSFET10が完成する。
【0042】
この方法によれば、接続半導体領域38を高温イオン注入により形成することができるので、接続半導体領域38内の結晶欠陥密度を小さくすることができる。なお、特許文献1のように、ゲート絶縁層の近傍のみに接続半導体領域(底部半導体領域とボディ領域を接続するp型領域)が設けられている場合には、半導体基板に対して傾斜した向きでp型不純物を照射することによって、トレンチの側面にp型不純物を注入することで、接続半導体領域を形成することができる。この場合に、トレンチの側面の一部のみにp型不純物を注入しなければならないので、トレンチの側面にパターニングされたマスクを形成する必要がある。トレンチの幅が極めて狭いので、トレンチの側面においてマスクをパターニングするためには、マスクとして有機材料(例えば、フォトレジスト)を用いる必要がある。有機材料は耐熱性が低いので、トレンチの側面へのイオン注入を高温で行うことができない。したがって、比較的低い温度(例えば、常温)でイオン注入を行う必要がある。常温イオン注入では、接続半導体領域内に多量の結晶欠陥が生成される。したがって、MOSFETがオフしているときに接続半導体領域を介してリーク電流が流れ易くなる。これに対し、本実施形態の製造方法では、半導体基板12xの上面12aに対するイオン注入により接続半導体領域38を形成するので、耐熱性が高い無機材料のマスク80を使用することができる。したがって、高温イオン注入により接続半導体領域38を形成することが可能であり、接続半導体領域38内に形成される結晶欠陥が少ない。したがって、この方法によれば、リーク電流が生じ難いMOSFET10を製造することができる。
【0043】
また、この製造方法によれば、接続半導体領域38とボディコンタクト領域31を同一のマスク80を用いてイオン注入により形成することができる。したがって、効率的にMOSFET10を製造することができる。
【0044】
なお、上述した製造方法では、接続半導体領域38を高温イオン注入によって形成したが、別の製造方法では、接続領域38を埋め込みエピタキシャル成長によって形成してもよい。
【0045】
なお、上述した実施形態では、接続半導体領域38のp型不純物濃度がボディコンタクト領域31のp型不純物濃度よりも低かった。しかしながら、接続半導体領域38のp型不純物濃度がボディコンタクト領域31のp型不純物濃度と同程度であってもよい。この場合、接続半導体領域38のp型不純物濃度を1×10
19atoms/cm
3以上とすることができる。この構成によれば、MOSFET10がオフしているときに接続半導体領域38全体が空乏化することを防止することができる。このため、MOSFET10がオフしているときに、トレンチ22の下部から接続半導体領域38の下部に亘って等電位線が横方向に伸びやすくなり、電界集中が抑制される。したがって、MOSFET10の耐圧がより向上する。
【0046】
また、接続半導体領域38の短手方向(y方向)の幅を、1.0μm以上とすることができる。この構成によれば、MOSFET10がオフしているときに接続半導体領域38全体が空乏化することを防止することができる。このため、MOSFET10がオフしているときに、トレンチ22の下部から接続半導体領域38の下部に亘って等電位線が横方向に伸びやすくなり、電界集中が抑制される。したがって、MOSFET10の耐圧がより向上する。
【0047】
また、上述した実施形態では、nチャネル型のMOSFETについて説明したが、pチャネル型のMOSFETに本明細書に開示の技術を適用してもよい。上述した実施形態のn型領域とp型領域を入れ換えることで、pチャネル型のMOSFETを構成することができる。
【0048】
上述した実施形態の各構成要素と請求項の各構成要素との関係について説明する。実施形態のソース領域30は、請求項の第1半導体領域の一例である。実施形態のドリフト領域34は、請求項の第2半導体領域の一例である。
【0049】
本明細書が開示する技術要素について、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0050】
本明細書が開示する一例のスイッチング装置は、接続半導体領域を複数個有する。前記複数の接続半導体領域が、第1トレンチと第2トレンチの長手方向に間隔を開けて配置されている。
【0051】
この構成によれば、底部半導体領域の電位がより安定する。さらに、スイッチング装置が内蔵するpnダイオードのpn接合の面積が増えるので、pnダイオードの順方向電圧降下がさらに小さくなる。
【0052】
本明細書が開示する一例のスイッチング装置は、半導体基板の上面に配置されている上部電極をさらに有する。また、半導体基板が、ボディコンタクト領域をさらに有する。ボディコンタクト領域は、接続半導体領域の上部に配置されており、上部電極に接しており、ボディ領域に接続されている第2導電型の領域である。
【0053】
この構成によれば、ボディコンタクト領域によってボディ領域を上部電極に接続することができる。また、ボディコンタクト領域が接続半導体領域の上部に配置されているので、スイッチング装置の製造時に、接続半導体領域形成用のマスクと同一のマスクを用いて不純物注入を行うことでボディコンタクト領域を形成することができる。効率的に接続半導体領域とボディコンタクト領域を形成することができる。
【0054】
本明細書が開示する一例の構成では、接続半導体領域の第2導電型不純物濃度が、ボディコンタクト領域の第2導電型不純物濃度よりも低い。
【0055】
この構成によれば、スイッチング装置が内蔵するpnダイオードの順方向電圧降下をさらに低くすることができる。
【0056】
本明細書が開示する一例の製造方法は、接続半導体領域を形成する工程と同一のマスクを介して半導体基板の上面に第2導電型不純物を注入することによって、接続半導体領域の上部に配置されており、半導体基板の上面に露出しており、ボディ領域に接続されている第2導電型のボディコンタクト領域を形成する工程と、半導体基板の上面にボディコンタクト領域に接する上部電極を形成する工程をさらに有する。
【0057】
この構成によれば、接続半導体領域形成用のマスクと同一のマスクを用いて不純物注入を行うことでボディコンタクト領域を形成することができる。効率的に接続半導体領域とボディコンタクト領域を形成することができる。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。