(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る電池状態検出装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
図1から
図4を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電池状態検出装置および電池制御装置に関する。
図1は、実施形態に係る電池状態検出装置の回路構成の一例を示す図、
図2は、実施形態に係る電池状態検出装置の概略構成を示す平面図、
図3は、実施形態に係る電池状態検出装置の具体的な構成の一例を示す平面図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る電池状態検出装置1は、電池パック100に配置される。本実施形態の電池状態検出装置1は、メインユニット10、サブユニット20、および第一通信線33を有する。電池状態検出装置1は、更に、第二通信線34を有していてもよい。また、本実施形態に係る電池制御装置200は、電池状態検出装置1および電池ECU50を有する。
【0014】
電池パック100は、例えば、電気自動車やハイブリッド車などの車両に走行用の電源として搭載される。電池状態検出装置1は、電池パック100の各スタック101,102,103,104,105の状態を検出する。電池状態検出装置1は、検出結果に基づく管理情報を電池ECU50に送信する。電池ECU50は、電池パック100を制御する制御部である。電池ECU50は、電池状態検出装置1から取得した管理情報に基づいて、電池パック100を制御する。ここで、電池ECU50が実行する電池パック100の制御には、電池パック100の動作を制御するものだけでなく、電池パック100の異常を搭乗者等に通知することや、電池パック100の周辺機器を制御することも含まれる。
【0015】
電池パック100は、第一スタック101、第二スタック102、第三スタック103、第四スタック104、第五スタック105、および各スタック101,102,103,104,105を収容する筐体106を有する。各スタック101,102,103,104,105は、それぞれ列をなす複数の電池セル110からなる電池集合体である。電池セル110は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。各スタック101,102,103,104,105において、電池セル110は、全体として直方体形状をなすように、列をなして配置されている。また、一つの電池セル110の正極と、これに隣り合う電池セル110の負極とが隣接するように配置されている。
【0016】
各スタック101,102,103,104,105は、筐体106内に複数列をなすように配置されている。すなわち、各スタック101,102,103,104,105は、この並び順で、かつ長手方向の側面を互いに対向させて筐体106内に配置されている。隣接するスタック同士は、電気的に接続されている。第三スタック103と第四スタック104との間には、サービスプラグ108が介在している。第一スタック101は総正極109aに接続されており、第五スタック105は総負極109bに接続されている。
【0017】
図1および
図2に示すように、各スタック101,102,103,104,105には、それぞれバスバモジュール120が配置されている。バスバモジュール120は、電池セル110同士を電気的に接続する。具体的には、バスバモジュール120は、複数のバスバ121を有する。バスバ121は、隣接する電池セル110の電極同士を電気的に接続する。本実施形態のバスバ121は、電池セル110を直列に接続している。すなわち、バスバ121は、一つの電池セル110の正極と、この電池セル110に隣接する電池セル110の負極とを接続する。バスバモジュール120は、バスバ121に接続された回路体を有する。この回路体は、例えば、印刷回路体やFPC(Flexible printed circuits)で構成されている。これにより、電池パック100の低背化や軽量化が図られている。この回路体は、電圧検出線122、サーミスタ30等を含む。
【0018】
また、後述するメインユニット10の回路体は、
図1に示すように高圧系回路11および低圧系回路12を含み、サブユニット20の回路体は、高圧系回路25および低圧系回路26を含む。各スタック101,102,103,104,105は、
図2に示すように、接続部材107によって電気的に接続されている。本実施形態の電池パック100では、接続部材107によって5つのスタック101,102,103,104,105が直列に接続されている。
【0019】
メインユニット10は、複数列に配置されたスタック101,102,103,104,105のうちの一つのスタックの状態を検出する。本実施形態のメインユニット10は、中央に配置された第三スタック103の状態を検出する。メインユニット10は、第三スタック103のバスバモジュール120と一体である。第三スタック103のバスバモジュール120には、メインユニット10を構成する電子部品が実装され、メインユニット10の電気回路を構成している。
【0020】
メインユニット10は、高圧系回路11および低圧系回路12を有する。高圧系回路11は、第三スタック103の各電池セル110の電圧を検出する。より詳しくは、高圧系回路11には、複数の電圧検出線122が接続されている。
図3に示すように、電圧検出線122は、それぞれバスバ121に接続されている。高圧系回路11は、電圧検出線122およびバスバ121を介して各電池セル110の正極側および負極側にそれぞれ電気的に接続されている。高圧系回路11は、各電池セル110の電圧を検出する電圧検出部を有している。高圧系回路11は、電池セル110の電圧であるセル電圧を検出する。高圧系回路11は、検出したセル電圧の合計値を算出したり、セル電圧の均等化処理を行ったりすることができる。
【0021】
図1に示すように、低圧系回路12は、演算部12a、第一通信インタフェース12b、および第二通信インタフェース12cを有する。演算部12aは、各種の演算を行う。低圧系回路12には、サーミスタ30が接続されている。サーミスタ30は、第三スタック103の電池セル110の温度に応じた信号を出力する。演算部12aは、サーミスタ30から取得した信号に基づいて、第三スタック103の電池セル110の温度を検出する。また、低圧系回路12は、高圧系回路11と通信可能に接続されている。演算部12aは、高圧系回路11との通信によって取得したセル電圧やセル電圧の合計値等に基づいて、第三スタック103の異常の有無を判断する。
【0022】
第一通信インタフェース12bには、第一通信線33が接続されている。演算部12aは、第一通信インタフェース12bおよび第一通信線33を介して、サブユニット20の低圧系回路26と通信可能に接続されている。第二通信インタフェース12cには、第二通信線34が接続されている。演算部12aは、第二通信インタフェース12cおよび第二通信線34を介して、電池ECU50と通信する。第一通信線33および第二通信線34を介した通信のプロトコルは限定されない。第一通信線33の通信プロトコルと第二通信線34の通信プロトコルとは共通であっても異なっていてもよい。
【0023】
サブユニット20は、メインユニット10の検出対象以外である第一スタック101、第二スタック102、第四スタック104、および第五スタック105にそれぞれ設けられている。各スタック101,102,104,105のサブユニット20は同様の構成を有している。本明細書では、第一スタック101の状態を検出するサブユニット20を第一サブユニット21と称する。同様に、第二スタック102、第四スタック104、および第五スタック105の状態を検出するサブユニット20をそれぞれ第二サブユニット22、第三サブユニット23、および第四サブユニット24と称する。
【0024】
ここでは、第一スタック101に配置された第一サブユニット21を例にしてサブユニット20について説明する。第一サブユニット21は、第一スタック101の状態を検出する。第一サブユニット21は、第一スタック101のバスバモジュール120と一体である。第一スタック101のバスバモジュール120には、第一サブユニット21を構成する電子部品が実装され、サブユニット20の電気回路を構成している。
【0025】
第一サブユニット21は、高圧系回路25および低圧系回路26を有する。高圧系回路25は、検出対象である第一スタック101の各電池セル110の電圧を検出する。高圧系回路25には複数の電圧検出線122が接続されている。高圧系回路25は、電圧検出線122を介して各電池セル110の正極側および負極側にそれぞれ電気的に接続されている。高圧系回路25は、各電池セル110の電圧を検出する電圧検出部を有している。高圧系回路25は、検出したセル電圧の合計値を算出したり、セル電圧の均等化処理を行ったりすることができる。
【0026】
低圧系回路26は、演算部26aおよび通信インタフェース26bを有する。低圧系回路26には、第一スタック101に配置されたサーミスタ30が接続されている。演算部26aは、サーミスタ30から取得した信号に基づいて、第一スタック101の電池セル110の温度を検出する。低圧系回路26は、高圧系回路25と通信可能に接続されている。
【0027】
通信インタフェース26bには、第一通信線33が接続されている。演算部26aは、通信インタフェース26bおよび第一通信線33を介してメインユニット10の低圧系回路12と通信可能に接続されている。なお、演算部26aは、第一通信線33を介して他のスタック102,104,105のサブユニット20と通信することも可能である。
【0028】
第一サブユニット21の演算部26aは、高圧系回路25との通信によって取得した第一スタック101のセル電圧やセル電圧の合計値、電池温度などの情報をメインユニット10に送信する。同様に、第二サブユニット22、第三サブユニット23、および第四サブユニット24は、第二スタック102、第四スタック104、および第五スタック105のセル電圧やセル電圧の合計値、電池温度などの情報をメインユニット10に送信する。
【0029】
メインユニット10の演算部12aは、各サブユニット21,22,23,24の検出結果と、メインユニット10の検出結果とに基づいて、管理情報を演算する。管理情報は、電池ECU50による電池パック100の制御に用いられる情報である。管理情報には、例えば、各スタック101,102,103,104,105の電池セル110の異常/正常の状態判定の結果が含まれる。また、管理情報には、各電池セル110の温度状態が含まれる。また、管理情報には、各スタック101,102,103,104,105の故障判定の結果が含まれる。演算部12aは、管理情報を電池ECU50に送信する。
【0030】
電池ECU50は、通信インタフェース51および演算部52を有する。通信インタフェース51には、第二通信線34が接続されている。演算部52は、通信インタフェース51および第二通信線34を介してメインユニット10と通信する。演算部52は、通信によってメインユニット10から管理情報を取得する。
【0031】
電池ECU50は、インバータ61およびエアバッグECU62と通信可能に接続されている。インバータ61は、例えば、電池パック100と車両のモータとの間に介在する。インバータ61は、電池パック100から出力される直流電力を交流電力に変換してモータに供給すること、およびモータからの交流電力を直流電力に変換して電池パック100に供給することができる。電池ECU50は、車両に搭載された車両制御ECU等から送られる指令に基づいてインバータ61と通信する。より詳しくは、インバータ61は、インバータ61を制御するインバータECUを有する。インバータECUは、電池ECU50からの指令に応じてインバータ61を動作させる。また、演算部52は、電池パック100の状態、例えば正常に動作しているか否かに関する情報をエアバッグECU62に送信する。
【0032】
電池ECU50は、ブロアモータ63、吸気温度センサ64、および電流センサ65と接続されている。ブロアモータ63は、電池パック100に対して冷却用の空気を送るモータである。吸気温度センサ64は、ブロアモータ63の吸気温度を検出するセンサである。電流センサ65は、電池パック100の入出力電流を検出するセンサである。演算部52は、吸気温度センサ64の検出結果、およびメインユニット10から取得した電池セル110の温度状態に基づいて、ブロアモータ63を制御する。演算部52は、電流センサ65の検出結果に基づいて、電池パック100の充電残量を算出する。
【0033】
電池ECU50は、リレー53と接続されている。リレー53は、電池パック100と車両の各機器とを接続および遮断する。リレー53は、電池パック100に接続された電気接続箱等に搭載されている。リレー53は、例えば、電池パック100とインバータ61との間や、電池パック100と変圧器との間などに配置されている。電池ECU50は、リレー53を開放状態とすることで、電池パック100を切り離すことができる。
【0034】
メインユニット10、サブユニット20、および電池ECU50には、電源線31およびグランド線32が接続されている。メインユニット10、サブユニット20、および電池ECU50は、共通の電源線31から供給される電力によって作動する。また、メインユニット10、サブユニット20、および電池ECU50は、共通のグランド線32を介して接地されている。本実施形態では、メインユニット10とサブユニット20とが第一ケーブル35によって互いに接続されている。第一ケーブル35は、電源線31と、グランド線32と、第一通信線33とを有するケーブルである。第一ケーブル35は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)で構成されている。メインユニット10と電池ECU50とは、第二ケーブル36によって接続されている。第二ケーブル36は、電源線31と、グランド線32と、第二通信線34とを有するケーブルである。第二ケーブル36は、例えば、FFCで構成されている。
【0035】
図4を参照して、実施形態の電池状態検出装置1の動作について説明する。
図4の制御フローは、例えば、イグニッションがONの状態で実行されるものであり、繰り返し実行される。
【0036】
ステップS1において、メインユニット10は、第一スタック101が正常であるか否かを判定する。メインユニット10の演算部12aは、第一スタック101の各電池セル110のセル電圧の検出結果に基づいてステップS1の判定を行う。演算部12aは、例えば、全ての電池セル110のセル電圧の値が正常値の範囲にある場合に第一スタック101が正常であると判定する。一方、演算部12aは、セル電圧の値が正常値の範囲から外れている電池セル110が存在する場合、第一スタック101が正常でないと判定する。ステップS1の判定の結果、第一スタック101が正常であると判定された場合(ステップS1−Y)にはステップS2に進み、そうでない場合(ステップS1−N)にはステップS3に進む。
【0037】
ステップS2において、メインユニット10の演算部12aは、第一スタック101が正常であると記録する。演算部12aは、例えば、第一スタック101が異常状態であることを示すフラグをOFFとする。ステップS2が実行されると、ステップS4に進む。
【0038】
ステップS3において、メインユニット10の演算部12aは、第一スタック101が異常であると記録する。演算部12aは、例えば、第一スタック101が異常状態であることを示すフラグをONとする。ステップS3が実行されると、ステップS4に進む。
【0039】
ステップS4において、メインユニット10は、第二スタック102が正常であるか否かを判定する。ステップS4の判定方法は、ステップS1の判定方法と同様である。ステップS4で肯定判定された場合(ステップS4−Y)にはステップS5に進み、そうでない場合(ステップS4−N)にはステップS6に進む。
【0040】
ステップS5において、メインユニット10は、第二スタック102が正常であると記録する。ステップS6において、メインユニット10は、第二スタック102が異常であると記録する。ステップS5およびS6の記録は、例えば、第二スタック102の異常状態を示すフラグをON/OFFに切り替えるものである。
【0041】
メインユニット10は、ステップS1からステップS6までと同様の判定および記録を、各スタック103,104について実行する。スタックの総数をnとした場合、メインユニット10は、第三スタック103から第(n−1)スタックまでの状態判定および記録を実行する。第(n−1)スタックの判定および記録がなされると、ステップS7に進む。
【0042】
ステップS7において、メインユニット10は、第nスタックの状態判定を行う。本実施形態では、スタックの総数n=5であるため、ステップS7において第五スタック105の状態判定がなされる。ステップS7において第五スタック105が正常であると判定された場合(ステップS7−Y)にはステップS8に進み、そうでない場合(ステップS7−N)にはステップS9に進む。
【0043】
ステップS8において、メインユニット10は、第五スタック105が正常であると記録する。ステップS8が実行されると、ステップS10に進む。
【0044】
ステップS9において、メインユニット10は、第五スタック105が異常であると記録する。ステップS9が実行されると、ステップS10に進む。
【0045】
ステップS10において、メインユニット10は、スタック101,102,103,104,105が正常であるか否かを判定する。メインユニット10の演算部12aは、何れのスタック101,102,103,104,105についても正常であると記録されている場合、ステップS10で肯定判定する。一方、演算部12aは、異常であると記録されたスタックが存在する場合、ステップS10で否定判定する。ステップS10で肯定判定されると(ステップS10−Y)ステップS11に進み、否定判定されると(ステップS10−N)ステップS12に進む。
【0046】
ステップS11において、メインユニット10の演算部12aは、スタック正常状態を電池ECU50に通知する。演算部12aは、第二通信線34を介して、各スタック101,102,103,104,105が正常状態であることを示す信号を電池ECU50に送信する。ステップS11が実行されると、本制御フローは一旦終了する。
【0047】
ステップS12において、メインユニット10は、スタック異常状態を電池ECU50に通知する。メインユニット10は、第二通信線34を介して、スタック101,102,103,104,105の少なくとも何れか一つに異常が発生していることを示す信号を電池ECU50に送信する。メインユニット10は、異常が発生しているスタックが何れであるかを示す信号を送信することもできる。ステップS12が実行されると、本制御フローは一旦終了する。
【0048】
電池ECU50は、メインユニット10からスタック異常状態が通知された場合、異常発生時の処理を実行する。異常発生時の処理は、例えば、車両制御ECUに対してスタック異常状態の発生を通知する動作を含む。また、異常発生時の処理は、車両のドライバに対してスタック異常状態の発生を通知する動作を含む。ドライバに対する通知は、ウォーニングランプの点灯や、アラーム音によってなされる。電池ECU50は、リレー53を開放することにより電池パック100を切り離してもよい。例えば、電池ECU50は、車両に複数の電池パック100が搭載されている場合に、スタック異常が発生している電池パック100を切り離して、その他の電池パック100による電力供給を継続させることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る電池状態検出装置1は、メインユニット10と、サブユニット20と、第一通信線33とを有する。メインユニット10は、複数の電池セル110が列をなすスタック101,102,103,104,105が複数収容されている電池パック100における一つのスタック103の状態を検出する。サブユニット20は、電池パック100におけるメインユニット10の検出対象以外のスタック101,102,104,105の状態を検出する。第一通信線33は、メインユニット10とサブユニット20とを接続する通信線である。
【0050】
メインユニット10は、第一通信線33とは別系統の第二通信線34を介して電池パック100を制御する電池ECU50と接続される。本実施形態の電池状態検出装置1では、メインユニット10とサブユニット20とを接続する第一通信線33と、メインユニット10と電池ECU50とを接続する第二通信線34とが別系統である。すなわち、メインユニット10とサブユニット20との間の通信経路と、メインユニット10と電池ECU50との間の通信経路とが独立している。これにより、通信配線の簡略化が可能である。例えば、電池ECU50と全てのユニット10,21,22,23,24とをそれぞれ通信線によって接続する場合と比較して、通信線の全長を短縮することや、通信線の本数を少なくすることが可能となる。また、電池パック100の電池セル110の数やスタックの数が変化した場合であっても、第二通信線34に変更を加えなくて済むため、通信配線の簡略化が可能である。
【0051】
また、本実施形態の電池状態検出装置1によれば、電池ECU50の通信負荷が軽減される。例えば、電池ECU50が全てのユニット10,21,22,23,24と通信可能に接続されている構成と比較して、電池ECU50が受信する受信量が大幅に低減される。これにより、電池ECU50の演算負荷が軽減される。
【0052】
また、本実施形態の電池状態検出装置1によれば、電池パック100の構成変更に対する制約が緩和される。例えば、電池パック100の容量を拡大するために、電池パック100においてスタック数を増加させることが考えられる。この場合に、本実施形態の電池状態検出装置1では、第二通信線34を変更することなく、第一通信線33を変更するだけでスタック数の増加に対応可能である。
【0053】
本実施形態の電池状態検出装置1において、メインユニット10は、第一通信線33を介して、サブユニット20の検出結果をサブユニット20から受信する。メインユニット10は、第二通信線34を介して、サブユニット20の検出結果とメインユニット10の検出結果とに基づく管理情報を電池ECU50に送信する。メインユニット10が各スタック101,102,103,104,105を集中管理することで、電池パック100の動作管理が効率化される。電池ECU50が個々の電池セル110の監視を行う必要が無いため、電池ECU50の監視負荷が軽減される。
【0054】
また、各スタック101,102,103,104,105の状態監視のための通信が第一通信線33によってなされ、第二通信線34は監視結果に基づく管理情報の通信に用いられる。よって、第二通信線34の通信トラフィックが少なくなり、電池ECU50の通信負荷が軽減される。
【0055】
また、電池ECU50が個々の電池セル110や個々のスタック101,102,103,104,105の監視を行う必要が無い。このため、電池ECU50のソフトウエア変更を行うことなしに電池セル110やスタック101,102,103,104,105の個数を変更することが可能である。すなわち、メインユニット10に電池パック100の監視機能が集約されることで、電池ECU50の汎用性や拡張性が高められる。また、電池セル110やスタックの数が増加しても、電池ECU50の処理負荷が増加しにくい。
【0056】
また、本実施形態のメインユニット10は、第三スタック103の電池セル110同士を電気的に接続するバスバモジュール120と一体である。本実施形態のサブユニット20は、サブユニット20によって状態が検出されるスタック101,102,104,105の電池セル110同士を電気的に接続するバスバモジュール120と一体である。例えば、第一サブユニット21は、第一スタック101のバスバモジュール120と一体である。このようにユニット10,20がバスバモジュール120と一体であることで、電池パック100の低背化や軽量化、部品点数の削減などが実現される。
【0057】
なお、電池パック100のスタック数は、5個には限定されない。スタック101,102,103,104,105における電池セル110の個数は任意である。電池パック100において、各スタック101,102,103,104,105が並列に接続されてもよい。また、各スタック101,102,103,104,105において、電池セル110が並列に接続されてもよい。第一ケーブル35や第二ケーブル36は、フラット配索材に代えて、被覆電線等で構成されてもよい。
【0058】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図5は、実施形態の第1変形例に係る電池状態検出装置の概略構成を示す斜視図、
図6は、実施形態の第1変形例に係る電池状態検出装置の具体的な構成の一例を示す斜視図である。第1変形例の電池状態検出装置1において、上記実施形態と異なる点は、例えば、メインユニット10が、第一基板70と第二基板71とで構成されている点である。第一基板70は、サブユニット20と共通である。メインユニット10の管理機能などは、第二基板71に搭載されている。本実施形態の基板70,71は、例えば、PCB(Printed Circuit Board)等の板状のリジッド基板である。
【0059】
上記実施形態と同様に、
図5に示すように、メインユニット10は第三スタック103に配置されており、第三スタック103の状態を検出する。サブユニット21,22,23,24は、それぞれスタック101,102,104,105の状態を検出する。第1変形例のメインユニット10およびサブユニット20は、カバー123の上面に固定されている。カバー123は、合成樹脂等で形成された絶縁性の部材である。カバー123は、バスバ121を覆うように各スタック101,102,103,104,105の上面に固定されている。
【0060】
図6に示すように、サブユニット21,22,23,24は、第一基板70で構成されている。第一基板70は、電圧検出線122を介して各バスバ121に接続されている。第一基板70は、演算部70aおよび第一通信インタフェース70b(
図5参照)を有している。演算部70aは、各電池セル110の電圧を検出する。また、演算部70aは、上記実施形態と同様に、サーミスタ30から電池セル110の温度を取得するようにしてもよい。
【0061】
メインユニット10は、第一基板70および第二基板71を有する。第一基板70と第二基板71とは通信可能に接続されている。サブユニット20の第一基板70およびメインユニット10の第一基板70は、第一ケーブル35によって相互に接続されている。第一ケーブル35は、FPC、FFC、印刷回路体などのフラット配索材であることが好ましい。第一通信インタフェース70bは、第一ケーブル35の第一通信線33によって通信可能に接続されている。
【0062】
第二基板71は、演算部71a、および第二通信インタフェース71bを有している。第二基板71と電池ECU50とは第二ケーブル36によって接続されている。第二ケーブル36は、FPC、FFC、印刷回路体などのフラット配索材とされてもよい。第二通信インタフェース71bは、第二ケーブル36の第二通信線34によって電池ECU50と通信可能に接続されている。つまり、上記実施形態の電池状態検出装置1と同様に、メインユニット10とサブユニット20とを接続する第一通信線33と、メインユニット10と電池ECU50とを接続する第二通信線34とが別系統である。演算部71aは、サブユニット20の演算部70aおよびメインユニット10の演算部70aによって検出されたセル電圧や電池温度を通信によって取得する。演算部71aは、取得した検出結果に基づく管理情報を電池ECU50に送信する。
【0063】
[実施形態の第2変形例]
電圧検出線122は、FFC(Flexible Flat Cable)や被覆電線であってもよい。スタック101,102,103,104,105は、水平方向に列をなすように並べて配置されることに加えて、鉛直方向に列をなすように重ねて積まれてもよい。
【0064】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。