(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屈曲したい箇所を蛇腹形状とする場合は、配索材の配索方向と直交する2方向に屈曲することができるが、配索方向から見た場合に正方形で複雑な形状となる。したがって、ワイヤハーネスを配置する空間が配索材の配索方向と直交する断面が長方形状などである場合に、短手方向におけるスペースの制限があることにより適用が困難となる。また、屈曲したい部分をゴムで形成する場合は、屈曲しない部分の合成樹脂に対するゴムのインサート成形となるため、複雑であり、製造コストの増加となる問題がある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みて、簡単な構成で屈曲することができるプロテクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るプロテクタは、受け側内部空間に配索材が配置される受け側プロテクタと、屈曲側内部空間に前記配索材が配置される屈曲側プロテクタと、を備え、前記受け側プロテクタは、前記受け側内部空間と連通し、かつ前記配索材の配索方向において、前記屈曲側プロテクタに対向して形成された受け側開口部を有し、前記屈曲側プロテクタは、前記屈曲側内部空間が形成される本体部と、前記屈曲側内部空間と連通し、かつ前記配索材の配索方向において、前記受け側開口部に対向して形成された屈曲側開口部と、前記配索方向において前記本体部よりも受け側プロテクタ側に位置し、受け側プロテクタ側の先端部が前記受け側開口部を介して前記受け側内部空間に収容され、かつ前記配索方向と直交する第1方向において離間して形成される一対のベラ部と、前記本体部と一対の前記ベラ部とをそれぞれ連結し、前記本体部に対して一対の前記ベラ部を前記第1方向に屈曲可能な一対のヒンジ部と、を有し、前記ベラ部の先端部は、前記配索方向および前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記受け側プロテクタ側に向かって狭くなるテーパ形状である、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記プロテクタは、前記ベラ部は、前記本体部に対して少なくとも前記先端部の弾性変形性が高い、ことが好ましい。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るワイヤハーネスは、配索材と、受け側内部空間に前記配索材が配置される受け側プロテクタと、屈曲側内部空間に前記配索材が配置される屈曲側プロテクタと、を少なくとも備え、前記受け側プロテクタは、前記受け側内部空間と連通し、かつ前記配索材の配索方向において、前記屈曲側プロテクタに対向して形成された受け側開口部を有し、前記屈曲側プロテクタは、前記屈曲側内部空間が形成される本体部と、前記屈曲側内部空間と連通し、かつ前記配索材の配索方向において、前記受け側開口部に対向して形成された屈曲側開口部と、前記配索方向において前記本体部よりも受け側プロテクタ側に位置し、受け側プロテクタ側の先端部が前記受け側開口部を介して前記受け側内部空間に収容され、かつ前記配索方向と直交する第1方向において離間して形成される一対のベラ部と、前記本体部と一対の前記ベラ部とをそれぞれ連結し、前記本体部に対して一対の前記ベラ部を前記第1方向に屈曲可能な一対のヒンジ部と、を有し、前記ベラ部の先端部は、前記配索方向および前記第1方向と直交する第2方向における幅が前記受け側プロテクタ側に向かって狭くなるテーパ形状である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るプロテクタおよびワイヤハーネスにおいては、一対のヒンジ部により一対のベラ部が本体部に対して第1方向に屈曲可能であり、ベラ部の先端部が第2方向における幅が受け側プロテクタ側に向かって狭くなるテーパ形状であるので、受け側内部空間においてベラ部の先端部が第2方向に傾斜可能となり、ベラ部の先端部により、屈曲側プロテクタが受け側プロテクタに対して第2方向に屈曲可能である。したがって、簡単な構成で、屈曲側プロテクタが受け側プロテクタに対して第1方向および第2方向に屈曲することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るプロテクタおよびワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
まず、実施形態に係るプロテクタおよびワイヤハーネスについて説明する。
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスおよびプロテクタの斜視図である。
図2は、実施形態に係るプロテクタの屈曲側プロテクタの斜視図である。
図3は、実施形態に係るプロテクタの屈曲側プロテクタの斜視図である。
図4は、実施形態に係るプロテクタの第1受け側プロテクタの斜視図である。
図5は、実施形態に係るプロテクタの第2受け側プロテクタの斜視図である。
図6は、実施形態に係るプロテクタの要部断面図である。
図2はカバー部材から見た場合の斜視図であり、
図3はケース部材から見た場合の斜視図であり、
図6は第2方向から見た場合における受け側プロテクタの一部および屈曲側プロテクタの要部断面図である。ここで、各図のX方向は、配索材である電線101の配索方向であり、本実施形態におけるプロテクタ1の長手方向である。Y方向は、配索方向と直交する第1方向であり、本実施形態におけるプロテクタ1の幅方向である。Z方向は、配索方向および第1方向と直交する第2方向であり、本実施形態におけるプロテクタ1の上下方向である。X1方向は本実施形態における第2受け側プロテクタ方向であり、X2方向は本実施形態における第1受け側プロテクタ方向である。Y1方向は本実施形態におけるケース部材方向であり、Y2方向は本実施形態におけるカバー部材方向である。Z1方向は本実施形態におけるプロテクタ1の上方向であり、Z2方向は本実施形態におけるプロテクタ1の下方向である。なお、
図1〜
図3において図示される電線101は、一部分のみである。
【0013】
本実施形態におけるワイヤハーネス100は、図示しない車両のエンジンルーム、トランクルーム、車両のボディー底面に形成された空間などに設置されるものであり、例えば、車両の後方に設置された図示しないバッテリと、車両の前方に設置されたバッテリの電力により作動する図示しないインバータや電気接続箱などの複数の電子機器とを電気的に接続するものである。ワイヤハーネス100は、少なくとも電線101と、プロテクタ1とを備える。電線101は、配索材であり、電力を供給する電力線と、電子機器を制御する信号線とがある。なお、配索材は、電線101に限定されるものではなく、ワイヤハーネス100により、集合して一方の箇所から他方の箇所まで配索されるものであれば、液体、気体などの粒体を輸送する配管などであってもよい。
【0014】
プロテクタ1は、電線101を外力、衝撃から保護するものであり、かつワイヤハーネス100を図示しない固定部材に固定するためのものである。プロテクタ1は、
図1に示すように、屈曲側プロテクタ2と、受け側プロテクタ3とを備える。本実施形態におけるプロテクタ1は、1つの屈曲側プロテクタ2の配索方向(X方向)において一対の第1受け側プロテクタ3Aおよび第2受け側プロテクタ3Bを備える。
【0015】
屈曲側プロテクタ2は、受け側プロテクタ3に対して第1方向(Y方向)および第2方向(Z方向)に屈曲可能なものである。本実施形態における屈曲側プロテクタ2は、第1受け側プロテクタ3Aに対して第1方向および第2方向に屈曲可能なものであり、第2受け側プロテクタ3Bに対して第1方向および第2方向に屈曲可能なものである。屈曲側プロテクタ2は、弾性変形性を許容する合成樹脂により形成されており、
図2および
図3に示すように、屈曲側内部空間2aに電線101が配置、すなわち電線101が貫通するものであり、本体部21と、一対のベラ部22,23と、一対のヒンジ部24,25とを有する。
【0016】
本体部21は、屈曲側内部空間2aが形成されるものであり、第1方向においてカバー部材21aと、ケース部材21bとに分割されて構成されている。カバー部材21aは、第1方向から見た場合に、第2方向が長手方向となる長方形状に形成されており、第2方向における両端部がケース部材方向に突出して形成されている。ケース部材21bは、第1方向から見た場合に、第2方向が長手方向となる長方形状に形成されており、第2方向における両端部がカバー部材方向に突出して形成されている。カバー部材21aおよびケース部材21bは、第1方向において離間した状態で、かつ第2方向における両端部が第2方向において重なり合った状態で、本体部21の第2方向における両端部に形成される複数の係止機構21cにより互いに係止される。したがって、カバー部材21aおよびケース部材21bは、配索方向から見た場合に、内部に、第2方向を長手方向とする長方形状の屈曲側内部空間2aが形成される。本体部21は、配索方向における両端部に一対の第1屈曲側開口部2bおよび第2屈曲側開口部2cが屈曲側開口部として形成されている。第1屈曲側開口部2bおよび第2屈曲側開口部2cは、カバー部材21aおよびケース部材21bの配索方向における両端部の間に形成されている。第1屈曲側開口部2bおよび第2屈曲側開口部2cは、配索方向において屈曲側内部空間2aと連通して形成されている。
【0017】
一対のベラ部22,23は、配索方向において本体部21よりも受け側プロテクタ側に位置する。本実施形態におけるベラ部22,23は、第1方向において離間した状態で、本体部21の配索方向における端部からそれぞれヒンジ部24,25を介して、受け側プロテクタ3側に位置する。ベラ部22は、カバー部材21aと一体に形成され、カバー部材21aの第1受け側プロテクタ3A側の端部からヒンジ部24Aを介して、第1受け側プロテクタ3A方向に突出するベラ部22A、およびカバー部材21aと一体に形成され、カバー部材21aの第2受け側プロテクタ3B側の端部からヒンジ部24Bを介して第2受け側プロテクタ3B方向に突出するベラ部22Bである。ベラ部23は、ケース部材21bと一体に形成され、ケース部材21bの第1受け側プロテクタ3A側の端部からヒンジ部25Aを介して第1受け側プロテクタ3A方向に突出するベラ部23A、およびケース部材21bと一体に形成され、ケース部材21bの第2受け側プロテクタ3B側の端部からヒンジ部25Bを介して第2受け側プロテクタ3B方向に突出するベラ部23Bである。
【0018】
ベラ部22A,23Aは、カバー部材21aおよびケース部材21bに対してそれぞれ一体に形成されており、第1方向において離間している。ベラ部22A,23Aは、第1方向から見た場合に、平板に形成されており、第2方向における幅が後述する受け側開口部3bの第2方向における幅よりも狭く形成されている。ベラ部22A,23Aは、基部22a,23aと、先端部22b,23bとを有する。基部22a,23aは、第1方向から見た場合に、第2方向を長手方向とする長方形状に形成されており、配索方向において、本体部21側がヒンジ部24A,25Aとそれぞれ連結され、第1受け側プロテクタ3A側が先端部22b,23bとそれぞれ連結されている。基部22a,23aは、カバー部材21aの厚み(第1方向における幅)と同一の厚みに形成されている。先端部22b,23bは、
図6に示すように、第1受け側開口部3bを介して第1受け側プロテクタ3Aの受け側内部空間3aに収容されるものである。先端部22b,23bは、第1方向から見た場合に、第2方向を長手方向とする長方形状に形成されており、基部22a,23aの厚み(第1方向における幅)よりもそれぞれ薄く形成されている。つまり、先端部22b,23bは、カバー部材21aおよび基部22a,23aよりも第1方向への弾性変形性が高くなり、ベラ部22A,23Aに対して第1方向に外力が作用した場合に、先端部22b,23bが本体部21および基部22a,23aよりも先に第1方向に変形する。先端部22b,23bは、
図2および
図3に示すように、第2方向における幅が第1受け側プロテクタ3Aに向かって狭くなるテーパ形状である。つまり、ベラ部22A,23Aは、受け側内部空間3aに収容される部分が第1受け側プロテクタ3A側方向に先細り形状に形成されている。
【0019】
ベラ部22B,23Bは、カバー部材21aおよびケース部材21bに対してそれぞれ一体に形成されており、第1方向において離間している。ベラ部22B,23Bは、第1方向から見た場合に、平板に形成されており、第2方向における幅が後述する受け側開口部3dの第2方向における幅よりも狭く形成されている。ベラ部22B,23Bは、基部22c,23cと、先端部22d,23dとを有する。基部22c,23cは、第1方向から見た場合に、第2方向を長手方向とする長方形状に形成されており、配索方向において、本体部21側がヒンジ部24B,25Bとそれぞれ連結され、第2受け側プロテクタ3B側が先端部22d,23dとそれぞれ連結されている。基部22c,23cは、ケース部材21bの厚み(第1方向における幅)と同一の厚みに形成されている。先端部22d,23dは、
図6に示すように、第2受け側開口部3dを介して第2受け側プロテクタ3Bの受け側内部空間3cに収容されるものである。先端部22d,23dは、第1方向から見た場合に、第2方向を長手方向とする長方形状に形成されており、基部22c,23cの厚み(第1方向における幅)よりもそれぞれ薄く形成されている。つまり、先端部22d,23dは、ケース部材21bおよび基部22c,23cよりも第1方向への弾性変形性が高く、ベラ部22B,23Bに対して第1方向に外力が作用した場合に、先端部22d,23dが本体部21および基部22c,23cよりも先に第1方向に変形する。本実施形態における先端部22d,23dは、配索方向において基部22c,23c側において、予め第1方向において、カバー部材方向に屈曲されている。先端部22d,23dは、第2方向における幅が第2受け側プロテクタ3Bに向かって狭くなるテーパ形状である。つまり、ベラ部22B,23Bは、受け側内部空間3cに収容される部分が第2受け側プロテクタ3B側方向に先細り形状に形成されている。
【0020】
一対のヒンジ部24,25は、配索方向において本体部21と、一対のベラ部22,23とをそれぞれ連結するものである。一対のヒンジ部24,25は、本体部21に対して一対のベラ部22,23を第1方向に屈曲可能とするものである。ヒンジ部24は、カバー部材21aとベラ部22Aとを連結するヒンジ部24A、およびカバー部材21aとベラ部22Bとを連結するヒンジ部24Bである。ヒンジ部25は、ケース部材21bとベラ部23Aとを連結するヒンジ部25A、およびケース部材21bとベラ部23Bとを連結するヒンジ部25Bである。本実施形態におけるヒンジ部24,25は、第2方向に延在して形成されており、板部24a,25aと、穴部24b,25bとを有する。板部24aは、カバー部材21aと、ベラ部22A,22Bとをそれぞれ連結するものであり、カバー部材21aおよび基部22a,22cの厚み(第1方向における幅)よりもそれぞれ薄く形成されている。穴部24bは、板部24aの第1方向における表裏面まで貫通する穴であり、本実施形態では板部24aに対して第2方向において複数形成されており、板部24aの第1方向における断面積を小さくするものである。つまり、板部24aは、カバー部材21aおよび基部22a,22cよりも第1方向への弾性変形性が高く、ベラ部22A,22Bに対して第1方向に外力が作用した場合に、ヒンジ部24A,24Bが本体部21およびベラ部22A,22Bよりも先に第1方向に変形、すなわち屈曲する。板部25aは、ケース部材21bと、ベラ部23A,23Bとをそれぞれ連結するものであり、ケース部材21bおよび基部23a,23cの厚み(第1方向における幅)よりもそれぞれ薄く形成されている。穴部25bは、板部25aの第1方向における表裏面まで貫通する穴であり、本実施形態では板部25aに対して第2方向において複数形成されており、板部25aの第1方向における断面積を小さくするものである。つまり、板部25aは、ケース部材21bおよび基部23a,23cよりも第1方向への弾性変形性が高く、ベラ部23A,23Bに対して第1方向に外力が作用した場合に、ヒンジ部25A,25Bが本体部21およびベラ部23A,23Bよりも先に第1方向に変形、すなわち屈曲する。
【0021】
受け側プロテクタ3は、合成樹脂により形成されており、
図4および
図5に示すように、第1受け側プロテクタ3Aの受け側内部空間3aおよび第2受け側プロテクタ3Bの受け側内部空間3cに電線101が配置、すなわち電線101が貫通するものである。受け側内部空間3aおよび受け側内部空間3cに配置される電線101は、屈曲側内部空間2aに配置される電線101と同一である。つまり、屈曲側プロテクタ2、第1受け側プロテクタ3Aおよび第2受け側プロテクタ3Bは、同一の電線101が各内部空間2a,3a,3cに配置される。受け側プロテクタ3は、本体部31と、固定部32と、固定穴33とを有する。第1受け側プロテクタ3Aの本体部31は、受け側内部空間3aが形成されるものであり、第1方向においてカバー部材31aと、ケース部材31bとに分割されており、係止機構31cにより互いに係止することで構成される。第2受け側プロテクタ3Bの本体部31は、受け側内部空間3cが形成されるものであり、第2方向においてカバー部材31dと、ケース部材31eとに分割されており、係止機構31fにより互いに係止することで構成される。第1受け側プロテクタ3Aは、配索方向において隣り合う屈曲側プロテクタ2の第1屈曲側開口部2bと配索方向において対向する受け側開口部3bが形成されており、受け側内部空間3aと受け側開口部3bとが連通する。第2受け側プロテクタ3Bは、配索方向において隣り合う屈曲側プロテクタ2の第2屈曲側開口部2cと配索方向において対向する受け側開口部3dが形成されており、受け側内部空間3cと受け側開口部3dとが連通する。なお、受け側内部空間3aおよび受け側内部空間3cは、第1受け側プロテクタ3Aおよび第2受け側プロテクタ3Bに形成された、受け側開口部3bおよび受け側開口部3dと異なる開口部と連通しており、固定部32は、受け側プロテクタ3を固定部材に固定する部分であり、固定穴33が形成されている。固定穴33は、金属製のリングなどで構成され、挿入される図示しないボルトなどの固定具により固定部32を固定部材に対して締結する。これにより、ワイヤハーネス100が固定部材に固定される。
【0022】
次に、プロテクタ1の組立について説明する。まず、作業員は、屈曲側プロテクタ2の屈曲側内部空間2aに電線101を配置する。ここでは、作業員は、電線101をケース部材21bに対して、電線101の延在方向が配索方向と一致するように配置し、図示しないインシュロックなどの固定具により、配置された電線101をケース部材21bに対して固定する。次に、作業員は、ケース部材21bに対して電線101を固定した状態で、カバー部材21aを係止機構21cによりケース部材21bに形成する。このとき、第1屈曲側開口部2bから露出する電線101は、ベラ部22A,23Aの間から屈曲側プロテクタ2の外部に延在する。また、第2屈曲側開口部2cから露出する電線101は、ベラ部22B,23Bの間から屈曲側プロテクタ2の外部に延在する。次に、作業員は、ベラ部22A,23Aの間に絶縁テープを巻き、ベラ部22A,23Aおよび電線101を一体化する。次に、作業員は、ベラ部22B,23Bの間に絶縁テープを巻き、ベラ部22B,23Bおよび電線101を一体化する。次に、作業員は、第1受け側プロテクタ3Aの受け側内部空間3aに電線101を配置する。ここでは、作業員は、電線101をケース部材31bに対して、第1方向から見た場合に、ベラ部22A,23Aの先端部22b,23bが受け側開口部3bよりも受け側内部空間3aに位置し、かつ電線101の延在方向が配索方向と一致するように配置し、図示しないインシュロックなどの固定具により、配置された電線101をケース部材31bに対して固定する。次に、作業員は、ケース部材31bに対して電線101を固定した状態で、カバー部材31aを係止機構31cによりケース部材31bに形成する。これにより、ベラ部22A,23Aは、先端部22b,23bが受け側内部空間3aに収容される。次に、作業員は、第2受け側プロテクタ3Bの受け側内部空間3cに電線101を配置する。ここでは、作業員は、電線101をケース部材31dに対して、第2方向から見た場合に、ベラ部22B,23Bの先端部22d,23dが受け側開口部3dよりも受け側内部空間3cに位置し、かつ電線101の延在方向が配索方向と一致するように配置し、図示しないインシュロックなどの固定具により、配置された電線101をケース部材31dに対して固定する。次に、作業員は、ケース部材31dに対して電線101を固定した状態で、カバー部材31cを係止機構31eによりケース部材31dに形成する。これにより、ベラ部22B,23Bは、先端部22d,23dが受け側内部空間3cに収容される。
【0023】
以上のように、本実施形態に係るプロテクタ1およびワイヤハーネス100によれば、一対のヒンジ部24,25により一対のベラ部22,23が本体部21に対して第1方向に屈曲可能である。また、ベラ部22,23の先端部22b,22d,23b,23dにより、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第2方向に屈曲可能である。
図7は、実施形態に係るプロテクタの第1方向に対する直線状態を示す図である。
図8は、実施形態に係るプロテクタの第1方向に対する屈曲状態を示す図である。
図9は、実施形態に係るプロテクタの第2方向に対する直線状態を示す図である。
図10は、実施形態に係るプロテクタの第2方向に対する屈曲状態を示す図である。屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向において屈曲する場合は、
図7に示すように、プロテクタ1に外力が作用していない状態から、
図8に示すように、ヒンジ部24,25を中心に本体部21に対してベラ部22,23が第2方向回りに回転する。このとき、屈曲する方向に応じて、ベラ部22,23のうち一方が受け側内部空間3a、3cから出てきて、他方が受け側内部空間3a、3cに入り込む。屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向において、さらに屈曲する場合は、先端部22b,22d,23b,23dが第2方向回りのうち、屈曲する回転方向に変形する。また、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第2方向において屈曲する場合は、
図9に示すように、プロテクタ1に外力が作用していない状態から、
図10に示すように、ベラ部22,23の先端部22b,22d,23b,23dがテーパ形状であるので、受け側内部空間3a、3c内で、先端部22b,22d,23b,23dが第1方向回りに回転することができ、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第2方向に傾斜する。例えば、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して、上方向に屈曲する場合は、先端部22b,22d,23b,23dが受け側内部空間3a、3cを構成する内壁の下面に接触するまで屈曲することができる。一方、下方向に屈曲する場合は、先端部22b,22d,23b,23dが受け側内部空間3a、3cを構成する内壁の上面に接触するまで屈曲することができる。したがって、屈曲側プロテクタ2の本体部21に連結されたベラ部22,23により、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向および第2方向に屈曲することができるので、屈曲を目的として蛇腹形状を用いたり、合成樹脂に対してゴムを用いたりすることなく、簡単な構成で、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向および第2方向に屈曲することができる。これにより、ワイヤハーネス100が屈曲した状態でなければ、配置できないスペースにもワイヤハーネス100を配置することができる。
【0024】
また、屈曲側プロテクタ2のカバー部材21aおよびケース部材21bにベラ部22,23およびヒンジ部24,25をそれぞれ追加成形することで実現できるので、プロテクタ1を成形する金型の形状の複雑化を抑制することができ、製造コストの増加を抑制することができる。また、プロテクタ1の第1方向の幅を変更せずに、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向および第2方向に屈曲することができるので、ワイヤハーネス100の配置自由度を向上することができる。また、屈曲側プロテクタ2が受け側プロテクタ3に対して第1方向および第2方向に屈曲するので、ワイヤハーネス100の形状の自由度を向上することができ、ワイヤハーネス100の搬送が容易となり、ワイヤハーネス100の輸送時の梱包が容易となり、輸送費を低減することができる。
【0025】
また、本実施形態におけるベラ部22,23は、屈曲側プロテクタ2の配索方向における両側に設けられているので、
図8に示す第1方向における最大屈曲角度θ1および
図10に示す第2方向における最大屈曲角度θ2をベラ部22,23が片側に設けられている場合よりも大きくすることができる。また、本実施形態では、プロテクタ1に対して、屈曲側プロテクタ2を1つ設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、プロテクタ1に対して2以上の屈曲側プロテクタ2を設け、各屈曲側プロテクタ2の配索方向における両側に受け側プロテクタ3を設けてもよい。
【0026】
また、先端部22b,22d,23b,23dのテーパ形状を変更、特に、配索方向におけるテーパの角度を変更することで、第2方向における屈曲角度を変更することができる。