特許第6763740号(P6763740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763740
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】噴霧熱分解装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20200917BHJP
   C01B 13/34 20060101ALI20200917BHJP
   F26B 17/10 20060101ALI20200917BHJP
   C01F 7/02 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B01J19/00 N
   C01B13/34
   F26B17/10 B
   C01F7/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-204353(P2016-204353)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-65078(P2018-65078A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢太
(72)【発明者】
【氏名】一坪 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】梅津 基宏
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広樹
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−229622(JP,A)
【文献】 特開2009−095685(JP,A)
【文献】 特開2005−218938(JP,A)
【文献】 特開2016−175078(JP,A)
【文献】 特開2009−081415(JP,A)
【文献】 特開2014−121704(JP,A)
【文献】 特開2004−290796(JP,A)
【文献】 特開昭61−118135(JP,A)
【文献】 特開平07−096165(JP,A)
【文献】 特開平03−109207(JP,A)
【文献】 特開平05−253469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J10/00−12/02,14/00−19/32
B01J2/00−2/30
F26B1/00−25/22
C01F1/00−17/38
C01B13/00−13/36
B01J21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物を構成する元素を含有する溶液の噴霧液滴から酸化物中空粒子を製造する縦型の
噴霧熱分解装置であって、噴霧器と、反応室と、この反応室を包囲する加熱手段とを備え
、反応室が、少なくとも前記溶液の噴霧液滴から溶媒を除去する乾燥ゾーン及び乾燥され
た粒子を熱分解して酸化物中空粒子とする熱分解ゾーンを有し、乾燥ゾーンを構成する反
応室の周囲であって前記加熱手段の内側に冷却エアの吹き込み口と排出口とを備えてなる
ことを特徴とする噴霧熱分解装置。
【請求項2】
反応室が、熱分解ゾーンの下部に更に、形成された中空粒子の表面を溶融するゾーンを
有する請求項1記載の噴霧熱分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物中空粒子を製造するための噴霧熱分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災を契機に、省エネルギー化に対する関心が高まり、断熱性、遮熱性等の部
材の熱特性を改善するフィラー材に注目が集まっている。このうち、中空粒子は、粒子内
部に空隙が存在するため、緻密な粒子に比べ、軽量性、断熱・遮熱性、遮音性、光散乱性
などの特性が優れることから、断熱・遮熱材フィラー、遮音フィラー、反射材フィラーと
して、広く普及している。
【0003】
中空粒子の製造法としては、気相合成法、溶液合成法や噴霧熱分解法などが知られてい
る。特に噴霧熱分解法は、他の方法に比べて、製造装置がシンプルであり、連続的に粒子
を製造できる観点から量産性、コストパフォーマンスに優れるため注目されている製造法
である。この噴霧熱分解法の製造プロセスは、無機塩が溶けている水溶液を超音波や圧縮
空気を利用してミスト化(液滴化)し、このミストをキャリアガスによって熱分解炉に供給
する製造法である(特許文献1)。この従来の噴霧熱分解装置は、炉内温度が乾燥ゾーン
と熱分解ゾーンと二つの温度域で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−98867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の噴霧熱分解装置においては、乾燥ゾーンで液滴中の溶媒が蒸発して無機塩等が析
出し、噴霧ミストが緻密に収縮する前に熱分解ゾーンで粒子表面の無機塩等を熱分解して
酸化物中空粒子が生成するものである。
しかしながら、この噴霧熱分解装置を縦型にした場合、下段の熱分解ゾーンの熱風が上
昇し、上段の乾燥ゾーンの温度制御が困難になることが判明した。この乾燥ゾーンの温度
が上昇しすぎると、中空の殻が破裂したり、中実になってしまい、粒子内部に空洞が形成
されなくなってしまうという問題が生じる。さらに、乾燥ゾーンの上部に設置したミスト
を供給するノズルが熱負荷により、設計どおりのサイズのミストを供給できなくなるとい
う問題も生じた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、前記噴霧熱分解装置の課題を解決すべく種々検討した結果、乾燥ゾ
ーンを構成する反応室の周囲であって加熱手段の内側に冷却エアの吹き込み口と排出口と
を設置すれば、乾燥ゾーンの温度制御が容易になり、ミスト供給ノズルの熱負荷を防止で
き、かつ安定して酸化物中空粒子が製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供するものである。
【0008】
〔1〕酸化物を構成する元素を含有する溶液の噴霧液滴から酸化物中空粒子を製造する縦
型の噴霧熱分解装置であって、噴霧器と、反応室と、この反応室を包囲する加熱手段とを
備え、反応室が、少なくとも前記溶液の噴霧液滴から溶媒を除去する乾燥ゾーン及び乾燥
された粒子を熱分解して酸化物中空粒子とする熱分解ゾーンを有し、乾燥ゾーンを構成す
る反応室の周囲であって前記加熱手段の内側に冷却エアの吹き込み口と排出口とを備えて
なることを特徴とする噴霧熱分解装置。
〔2〕反応室が、熱分解ゾーンの下部に更に、形成された中空粒子の表面を溶融するゾー
ンを有する〔1〕記載の噴霧熱分解装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の噴霧熱分解装置によれば、容易かつ安価な手段により乾燥ゾーンと熱分解ゾー
ンと温度制御が可能となり、酸化物中空粒子の粒子径のコントロールが可能であり、安定
して酸化物中空粒子が得られる。また、ミストノズルとして耐熱温度の低いノズルを使用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の噴霧熱分解装置の概略図である。
図2】本発明の噴霧熱分解装置の上面図である。
図3】従来の噴霧熱分解装置の概略図である。
図4】溶融ゾーンを有する本発明の噴霧熱分解装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の噴霧熱分解装置は、酸化物を構成する元素を含有する溶液の噴霧液滴から酸化
物中空粒子を製造する縦型の噴霧熱分解装置であって、噴霧器と、反応室と、この反応室
を包囲する加熱手段とを備え、反応室が、少なくとも前記溶液の噴霧液滴から溶媒を除去
する乾燥ゾーン及び乾燥された粒子を熱分解して酸化物中空粒子とする熱分解ゾーンを有
し、乾燥ゾーンを構成する反応室の周囲であって前記加熱手段の内側に冷却エアの吹き込
み口と排出口とを備えてなることを特徴とする。当該乾燥ゾーン及び熱分解ゾーンは、図
1〜図4のように、一つの反応室内に設けることができる。以下、図1図4を参照して
説明する。
【0012】
本発明の製造装置は、酸化物を構成する元素を含有する溶液を装置内に噴霧するための
噴霧ノズル1を有し、当該噴霧ノズルから酸化物を構成する元素を含有する溶液を噴霧す
る。
【0013】
ここで、酸化物を構成する元素を含む原料としては、水等の溶媒に溶解する化合物であ
り、無機塩、金属アルコキシド等が挙げられる。より具体的には、アルミニウム塩、チタ
ン塩、マグネシウム塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシドやテトラエトキシ
シラン、テトラメトキシシランなどのケイ酸アルコキシド等が挙げられる。また、アルミ
ニウム酸化物、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物
のゾル溶液も原料溶液として用いることができる。さらに、溶融温度、耐熱性、粒子強度
を調整するために、他の元素の原料を添加することもできる。また、これらの原料化合物
から得られる酸化物としては、無機酸化物であり、例えば金属酸化物、アルミナ、シリカ
、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物等が挙げられ、より具体的には、アルミナ、
シリカ、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物
、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸
化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げられる。
【0014】
これらの酸化物を構成する元素の原料を溶解あるいは分散する溶媒としては、水及び有
機溶媒が挙げられるが、環境への影響、製造コストの点から水が好ましい。
【0015】
噴霧する溶液中の酸化物を構成する元素の原料濃度は、得られる酸化物中空粒子の密度
、強度等を考慮し、0.01mol/L〜飽和濃度が好ましく、0.1mol/L〜1.
0mol/Lがより好ましい。
【0016】
前記溶液は、通常ポンプを介して、噴霧ノズル1に供給される。
【0017】
前記溶液は、超音波式の液滴化装置を使用することができるが、生産性の観点から圧縮
空気によって噴霧液滴とするのが好ましい。具体的には、2流体ノズルや4流体ノズルで
噴霧するのが、粒子径の調整、生産性の点で好ましい。ここで2流体ノズルの方式には、
空気と前記溶液とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で空気と前記溶液
を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用できる。また、前記溶液は、超音波振動
子で振動させてミストを発生させる方式でミストを発生させてもよい。
【0018】
噴霧される液滴の平均粒子径は、ノズル径や空気の圧力によって調整することができ、
0.5〜60μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜15μmがさらに好ま
しい。
【0019】
噴霧ノズル1は、縦型の噴霧熱分解装置であるから、装置の上部に設置されている。加
熱ゾーンの温度は、噴霧ノズルの設置位置から加熱炉の出口方向に、順に高くなるように
するのがよい。さらに、本発明装置は、噴霧ノズル、乾燥ゾーン及び熱分解ゾーンがこの
順に並んでいる。
【0020】
本発明の装置の反応室2は、少なくとも乾燥ゾーン4及び熱分解ゾーン5を有し、さら
に熱分解ゾーンの下部に溶融ゾーン8(図4)を有していてもよい。
【0021】
本発明の装置の乾燥ゾーン4は、前記溶液の噴霧液滴から溶媒を除去する乾燥ゾーンで
あり、ここでは、噴霧液滴粒子から溶媒が蒸発し、液滴粒子表面に無機塩等が析出し、粒
子内部に空隙が形成される。この乾燥ゾーンの温度は、用いる原料溶液の噴霧液滴から、
溶媒が蒸発する温度であればよいが、乾燥ゾーン内で無機塩等が析出する必要性から、室
温〜800℃の範囲内であって0.1秒から1分程度で当該蒸発及び析出が生じる温度で
あるのが好ましい。より好ましくは100℃〜750℃であり、さらに好ましくは150
℃〜600℃であり、さらに好ましくは150〜400℃である。
【0022】
本発明の装置は、乾燥ゾーン4を構成する反応室の周囲であって前記加熱手段3の内側
に冷却エアの吹き込み口6と排出口7とを備える点に特徴がある(図2)。この冷却エア
吹き込み口6と排出口7がある点で、従来の噴霧熱分解装置と相違する(図3)。
【0023】
冷却エア吹き込み口6は乾燥ゾーン4の下部に、冷却エア排出口7は乾燥ゾーン4の上
部に設置する(図1参照)のが、冷却エアによる反応室の冷却を効率的に行う点で好まし
い。また、冷却エア吹き込み口6を下部に設置した場合、冷却エア排出口7はその対角線
側の上部に設置するのが、冷却エアの対流による反応室の冷却を効率的に行う点で好まし
い。また、冷却エア吹き込み口と排出口は、それぞれ複数、例えばそれぞれ2〜4個設け
てもよい。
【0024】
吹き込み口6に導入する冷却エアの温度は、乾燥ゾーンの温度を例えば100〜800
℃にコントロールできればよく、例えば5〜70℃が好ましく、10〜50℃がより好ま
しく、20〜40℃がさらに好ましい。
【0025】
熱分解ゾーン5は、乾燥された液滴および粒子を熱分解して酸化物中空粒子を形成する
ゾーンであり、ここでは、液滴および粒子の無機塩が、熱分解および酸化されて酸化物中
空粒子が生成する。この熱分解ゾーン5の温度は、熱分解および酸化反応が進行する温度
であればよいが、熱分解ゾーン内で熱分解反応が終了する必要性から、150℃〜120
0℃が好ましい。また0.1秒〜1分程度で当該酸化反応が終了する温度が好ましく、具
体的には、400℃〜1000℃が好ましく、500℃〜900℃がより好ましい。
【0026】
また、本発明の装置においては、溶融ゾーン8、すなわち熱分解ゾーンで形成された酸
化物中空粒子の表面を溶融するゾーンであり、酸化物中空粒子の表面を溶融し、表面に存
在する孔を閉塞させるゾーンを設けることができる。この溶融ゾーン8の温度は、酸化物
中空粒子の表面が溶融する温度であればよいが、溶融ゾーン内で溶融により酸化物中空粒
子表面の孔が閉塞する点から600℃以上が好ましい。また、0.1秒〜1分程度で酸化
物中空粒子表面が溶融する点から、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好まし
く、900℃以上がさらに好ましく、1000℃以上がさらに好ましい。なお、経済性の
点から1500℃以下が好ましい。
【0027】
熱分解ゾーン又は溶融ゾーンを通過した酸化物中空粒子を冷却後回収すれば、目的の酸
化物中空粒子が得られる。酸化物中空粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させる
等の分級操作を行うことにより調整をすることができる。酸化物中空粒子の回収は、高性
能サイクロン粉体回収機やバグフィルターを用いた粉体回収装置を用いることができる。
【0028】
本発明の装置における乾燥ゾーン、熱分解ゾーン及び溶融ゾーンの加熱方式は、電気抵
抗熱による輻射熱やガスバーナーによる火炎を熱源とした直接加熱、また熱風などの直接
加熱が挙げられる。
【0029】
本発明装置を用いて得られる酸化物中空粒子の好ましい例としては、中空室を区画する
殻を有する酸化物中空粒子であって、形状がほぼ球状(平均円形度0.85以上)、平均
粒子径が0.5μm〜20μm、前記殻の厚みが500nm以下のものが挙げられる。
【0030】
本発明の装置で得られる酸化物中空粒子の平均粒子径は、0.5μm〜20μmであり
、好ましくは1μm〜20μmであり、より好ましくは2μm〜15μmであり、さらに
好ましくは3μm〜12μmであり、さらに好ましくは3μm〜10μmである。平均粒
子径が0.5μm未満の酸化物中空粒子は、超音波照射等の特殊な装置の使用を必要とし
、20μmを超える場合は一部が不完全な真球となることがあり、好ましくない。なお、
平均粒子径の調整は、噴霧に使用する流体ノズルの直径および圧縮空気圧力の調節によっ
て行うことができる。ここで粒子径は、電子顕微鏡の解析によって測定でき、その平均は
、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径
分布測定方法」、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、例えばマイク
ロトラック(日機装株式会社製)などによって計算できる。
【0031】
本発明の装置で得られる酸化物中空粒子の粒子径分布(粒度分布)は、せまい程好まし
く、粒子の80%以上が平均粒子径の±5.0μmにあるのが好ましく、粒子の80%以
上が平均粒子径の±4.5μmにあるのがより好ましく、粒子の80%以上が平均粒子径
の±4.0μmにあるのがさらに好ましい。
【0032】
本発明の装置で得られる酸化物中空粒子の殻の厚みは、2000nm以下であり、1〜5
00nmが好ましく、10〜300nmがより好ましく、50〜200nmがさらに好ましい。
殻の厚みが2000nmを超えると、中空室が十分でなく、熱伝導率が十分に小さい粒子と
ならない。また、殻の厚みが小さすぎる場合には、粒子の強度が十分でない可能性がある
。殻の厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)像から測定できる。
【実施例】
【0033】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない
【0034】
実施例1
乾燥ゾーン、熱分解ゾーンおよび溶融ゾーンを有する噴霧熱分解装置を製作した。乾燥
ゾーンの側面には直径70mmの冷却エア導入管を2本設置し、また乾燥ゾーンの上部に
冷却エア排気管を2本設置した。乾燥ゾーン、熱分解ゾーンおよび溶融ゾーンの温度をそ
れぞれ、600℃、1500℃、1500℃となるように電気炉を運転した。なお、噴霧
する原料溶液として硝酸アルミニウム水溶液を使用し、酸化アルミニウム中空粒子を製造
した。冷却エア導入管のバルブを閉めて運転した結果、乾燥ゾーンの温度は1000℃ま
で上昇してしまい、600℃に制御することができず、殻が破裂して、中空粒子を合成で
きなかった。
冷却エア導入管のバルブを開き、25℃の空気を冷却エアとして毎分250Lの流量で
導入した。この結果、乾燥ゾーンの温度を600±5℃で制御でき、中空粒子を合成する
ことができた。
【符号の説明】
【0035】
1:噴霧ノズル
2:反応室
3:加熱手段
4:乾燥ゾーン
5:熱分解ゾーン
6:冷却エア吹き込み口
7:冷却エア排出口
8:溶融ゾーン
図1
図2
図3
図4