特許第6763741号(P6763741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763741車両用ドアロック装置及び車両用ドアロック方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763741
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】車両用ドアロック装置及び車両用ドアロック方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20200917BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20200917BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B60R25/24
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-205362(P2016-205362)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-66191(P2018-66191A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 順司
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−231588(JP,A)
【文献】 特開2016−056504(JP,A)
【文献】 特開2013−096163(JP,A)
【文献】 特開平10−025939(JP,A)
【文献】 特開2016−094801(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0200669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをロック状態とアンロック状態に切り替え可能としたドア制御装置と、
前記ドアの閉鎖に基づいて、車両に搭載された車載装置と携帯機との間で、該携帯機が車両の車室内から車室外へ移動したことを検出する室内照合動作と室外照合動作を行う狭領域通信装置と、
前記車載装置に設けられ、前記室内照合動作と室外照合動作により、前記携帯機の前記車室内から前記狭領域通信装置の通信可能領域外への移動を検出したとき、前記ドア制御装置を制御して前記ドアを自動ロックする自動ロック制御部と、
前記車載装置と前記携帯機に設けられ、前記車載装置と前記携帯機との間で双方向通信により前記狭領域通信装置の通信可能領域より広い通信可能領域で車両情報を送受信する広領域通信装置とを備えた車両用ドアロック装置において、
前記室内照合動作と室外照合動作の検出結果と、前記広領域通信装置での前記携帯機の検出結果に基づいて、前記自動ロックを中止する自動ロック中止制御部を備え
前記狭領域通信装置による前記室内照合動作と室外照合動作で前記携帯機を検出しないとき、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、該携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域から外れたとき、前記ドア制御装置を制御して前記ドアを自動ロックする自動ロック制御部を備えたことを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ドアロック装置において、
前記自動ロック中止制御部は、
前記室内照合動作と室外照合動作に先立って前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、前記広領域通信装置で前記携帯機の位置を検出できないとき前記自動ロックを中止することを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両用ドアロック装置において、
前記自動ロック中止制御部は、
前記車載装置に搭載される車載側広領域通信装置と、
前記携帯機に搭載され、前記車載側広領域通信装置との間で双方向通信する携帯機側広領域通信装置と、
前記車載装置に搭載され、前記携帯機側広領域通信装置と前記車載側広領域通信装置との間で双方向通信可能か否かを検出して、前記携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域内に位置するか否かを検出する車載制御部とを備えたことを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記狭領域通信装置は、
前記車載制御部から出力される応答要求信号を携帯機に送信する車載側狭領域送信部と、
前記携帯機に搭載される携帯機制御部で制御され、前記応答要求信号を受信して前記携帯機制御部に出力する携帯機側狭領域受信部とを備え、
前記携帯機制御部は、前記応答要求信号の受信レベルに基づく前記携帯機の位置情報を含む応答信号を、前記広領域通信装置を介して前記自動ロック制御部に出力することを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項5】
車両のドアの閉鎖に基づいて、車載装置と携帯機との間で広領域通信を行う広領域通信装置で前記携帯機を検出し、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出したとき、前記車載装置と前記携帯機との間で狭領域通信を行う狭領域通信装置で前記携帯機が車室内に位置するかを検出する室内照合動作と、車室外の通信可能領域内に位置するか否かを検出する室外照合動作を行い、前記携帯機が前記狭領域通信装置の通信可能領域外へ移動したとき前記ドアを自動ロックし、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出できないとき、前記ドアの自動ロックを中止し、
前記室内照合動作と室外照合動作により携帯機を検出できないとき、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、該携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域外へ移動したとき、前記ドアを自動ロックすることを特徴とする車両用ドアロック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子キーを保持した乗員が車両を離れるとき、車両のドアの施錠を自動的に行う自動ロック機能を備えた車両用ドアロック装置及び車両用ドアロック方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアロック装置には、携帯機(電子キー)を所持した乗員が車両を離れるとき、ドアロック装置が自動的に施錠(以下ロックという)する電子キーシステムを搭載したものがある。
【0003】
このような電子キーシステムでは、車両に搭載された車載装置と携帯機との間で双方向通信が行われて、携帯機を所持した乗員の位置が特定される。
詳しくは、車載装置には携帯機にLF(Low Frequency)帯の応答要求信号を出力するLF送信部が設けられ、携帯機にはLF受信部による応答要求信号の受信に基づいてUHF(Ultra High Frequency)帯の応答信号を車載装置に送信するUHF送受信部が設けられている。応答信号には、携帯機を識別するIDコードや携帯機で受信した応答要求信号の受信レベル等が含まれている。
【0004】
車載装置は携帯機から出力される応答信号に基づいて、携帯機が車内に位置するか否かを検出する室内照合動作と、LF帯の応答要求信号が届くLF通信可能領域に携帯機が位置するか否かを検出する室外照合動作を行う。
【0005】
そして、携帯機を保持した乗員がドアを閉じて車両を離れるとき、車載装置は室内照合動作により携帯機が車内に残っていないかを検出し、さらに室外照合動作により携帯機がLF通信可能領域外に移動したことを検出すると、ドアロック装置を作動させてドアを自動的にロックするようになっている。
【0006】
このような動作により、車内への携帯機の閉じ込みを防止しながら、携帯機を保持した乗員が車両から離れるときには、ドアが自動的にロックされる。
特許文献1には、車載装置と複数の携帯機との間で双方向通信を行うことにより、ドアの施錠と解錠を制御する車両用通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−62688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような車両用ドアロック装置では、乗員がドアを閉じたのちに室内照合動作及び室外照合動作が行われる。従って、携帯機を保持した乗員が車両から離れながらドアを閉じると、室内照合動作及び室外照合動作が完了する前に、乗員がLF通信可能領域外へ移動してしまい、室内照合動作及び室外照合動作がともに照合不能となることがある。
【0009】
また、他の電気機器から発せられる電波によりLF通信が正常に行われない場合でも、室内照合動作及び室外照合動作がともに照合不能となる。
このような場合に、ドアを自動的にロックさせると、車内に携帯機を閉じ込んでしまう恐れがあるため、自動ロックをキャンセルすることが必要である。従って、車両を離れる乗員は、自動ロックの作動を確認し、自動ロックされない場合には、乗員が一旦LF通信可能領域まで戻る必要があるため、その動作が煩雑である。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は携帯機を保持した乗員が車両から離れるとき、ドアの自動ロック動作を安定して行い得る車両用ドアロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する車両用ドアロック装置は、車両のドアをロック状態とアンロック状態に切り替え可能としたドア制御装置と、前記ドアの閉鎖に基づいて、車両に搭載された車載装置と携帯機との間で、該携帯機が車両の車室内から車室外へ移動したことを検出する室内照合動作と室外照合動作を行う狭領域通信装置と、前記車載装置に設けられ、前記室内照合動作と室外照合動作により、前記携帯機の前記車室内から前記狭領域通信装置の通信可能領域外への移動を検出したとき、前記ドア制御装置を制御して前記ドアを自動ロックする自動ロック制御部と、前記車載装置と前記携帯機に設けられ、前記車載装置と前記携帯機との間で双方向通信により前記狭領域通信装置の通信可能領域より広い通信可能領域で車両情報を送受信する広領域通信装置を備えた車両用ドアロック装置において、前記室内照合動作と室外照合動作の検出結果と、前記広領域通信装置での前記携帯機の検出結果に基づいて、前記自動ロックを中止する自動ロック中止制御部を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、室内照合動作と室外照合動作の検出結果及び広領域通信装置での前記携帯機の検出結果に基づいて、前記自動ロック制御部の動作が停止される。
また、上記の車両用ドアロック装置では、前記自動ロック中止制御部は、前記室内照合動作と室外照合動作に先立って前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、前記広領域通信装置で前記携帯機の位置を検出できないとき前記自動ロック動作を中止することが好ましい。
【0013】
この構成により、室内照合動作と室外照合動作に先立って、広領域通信装置で携帯機の検出動作を行い、携帯機を検出できない場合には、自動ロック動作が中止される。
また、上記の車両用ドアロック装置では、前記自動ロック中止制御部は、前記車載装置に搭載される車載側広領域通信装置と、前記携帯機に搭載され、前記車載側広領域通信装置との間で双方向通信する携帯機側広領域通信装置と、前記車載装置に搭載され、前記携帯機側広領域通信装置と前記車載側広領域通信装置との間の双方向通信により、前記携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域内に位置するか否かを検出する車載制御部を備えることが好ましい。
【0014】
この構成により、車載側広領域通信装置と携帯機側広領域通信装置との間の双方向通信により、携帯機が通信可能領域内に位置するか否かが検出される。
また、上記の車両用ドアロック装置では、前記狭領域通信装置による前記室内照合動作と室外照合動作で前記携帯機を検出できないとき、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、該携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域から外れたとき、前記ドア制御装置を制御して前記ドアを自動ロックする自動ロック制御部を備えることが好ましい。
【0015】
この構成により、狭領域通信装置による室内照合動作と室外照合動作で携帯機を検出できないときにも、広領域通信装置で携帯機を検出し、携帯機が広領域通信装置の通信可能領域外に移動すれば、ドアが自動ロックされる。
【0016】
また、上記の車両用ドアロック装置では、前記狭領域通信装置は、前記車載制御部から出力される応答要求信号を携帯機に送信する車載側狭領域送信部と、前記携帯機に搭載される携帯機制御部で制御され、前記応答要求信号を受信して前記携帯機制御部に出力する携帯機側狭領域受信部とを備え、前記携帯機制御部は、前記応答要求信号の受信レベルに基づく前記携帯機の位置情報を含む応答信号を、前記広領域通信装置を介して前記自動ロック制御部に出力することが好ましい。
【0017】
この構成により、車載側狭領域送信部から送信される応答要求信号を携帯機側狭領域受信部で受信すると、携帯機制御部から広領域通信装置を介して応答信号が自動ロック制御部に出力される。
【0018】
上記課題を解決する車両用ドアロック方法では、車両のドアの閉鎖に基づいて、車載装置と携帯機との間で広領域通信を行う広領域通信装置で前記携帯機を検出し、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出したとき、前記車載装置と前記携帯機との間で狭領域通信を行う狭領域通信装置で前記携帯機が車室内に位置するかを検出する室内照合動作と、車室外の通信可能領域内に位置するか否かを検出する室外照合動作を行い、前記携帯機が前記狭領域通信装置の通信可能領域外へ移動したとき前記ドアを自動ロックし、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出できないとき、前記ドアの自動ロックを中止することを特徴とする。
【0019】
この方法により、室内照合動作と室外照合動作に先立って、広領域通信装置で携帯機の検出動作を行い、携帯機を検出できない場合には、自動ロック動作が中止される。
また、上記の車両用ドアロック方法では、前記室内照合動作と室外照合動作により携帯機を検出できないとき、前記広領域通信装置で前記携帯機を検出し、該携帯機が前記広領域通信装置の通信可能領域外へ移動したとき、前記ドアを自動ロックすることが好ましい。
【0020】
この方法により、狭領域通信装置による室内照合動作と室外照合動作で携帯機を検出できないときにも、広領域通信装置で携帯機を検出し、携帯機が広領域通信装置の通信可能領域外に移動すれば、ドアが自動ロックされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両用ドアロック装置によれば、携帯機を保持した乗員が車両から離れるとき、ドアの自動ロック動作を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】車両用ドアロック装置の電気的構成を示すブロック図。
図2】車両用ドアロック装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、車両用ドアロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す車両用ドアロック装置は、車両の乗員が所持する携帯機1と、車両に搭載される車載装置2とで構成される。
【0024】
車載装置2は、車載制御部3と、UHF送受信部4と、車外LF送信部5と、車内LF送信部6を備えている。
UHF送受信部4は、携帯機1から出力されるUHF帯の応答信号resを受信して、車載制御部3に出力する。また、車載制御部3は、UHF送受信部4を介して携帯機1との間で車両に関する種々の情報を送受信する機能を備えている。
【0025】
車外LF送信部5は、例えば車両の両側のセンターピラーと、トランクリッドに設けられ、車載制御部3から出力される応答要求信号reqを車外の携帯機1に向かって送信する。車内LF送信部6は、車室内に設けられ、車載制御部3から出力される応答要求信号reqを車内の携帯機1に向かって送信する。
【0026】
LF通信は、UHF通信に比して、狭い領域で安定した通信可能領域を設定可能である。従って、車載装置2の車内LF送信部6及び車外LF送信部5と携帯機1との間で行われる携帯機1の室内照合動作及び室外照合動作にはLF通信が採用されている。
【0027】
UHF通信は、LF通信に比して広い通信可能領域を設定可能であるが、その通信可能領域は車両の周囲の条件により変動しやすいので、室内照合動作及び室外照合動作には適さない。
【0028】
車載制御部3には、ドアスイッチ7から操作信号及び乗員によりドアが閉じられたことを検知した検出信号が入力される。また、車載制御部3にはドア制御装置8が接続されている。そして、車載制御部3は、ドアスイッチ7から操作信号が入力されたとき、ドア制御装置8を制御して、ドアロック装置をロック状態あるいはアンロック状態に切り替える。
【0029】
また、車載制御部3は乗員によりドアが閉じられたとき、自動ロック動作を開始する。自動ロック動作は、まず車載制御部3と携帯機1との間でUHF双方向通信を行い、携帯機1がUHF通信可能領域内に位置するか否かを判定する機能を備えている。
【0030】
また、携帯機1がUHF通信可能領域内に位置するか否かの判定後に、車載制御部3は上記室内照合動作と室外照合動作により携帯機1の位置を検出し、その検出結果に基づいてドアを自動ロックするか否かを制御するようになっている。
【0031】
携帯機1は、携帯機制御部9と、UHF送受信部10と、LF受信部11を備えている。LF受信部11は、車外LF送信部5及び車内LF送信部6から出力されるLF信号を応答要求信号reqとして受信して、携帯機制御部9に出力する。また、LF受信部11は、車外LF送信部5及び車内LF送信部6から受信したLF信号の受信レベル(電解強度)を検出する機能を備え、その受信レベル携帯機制御部9に出力する。
【0032】
携帯機制御部9は、LF受信部11から出力される受信レベルを応答信号resとしてUHF送受信部10を介して車載装置2に送信する。携帯機制御部9で生成される応答信号resには、当該携帯機1に設定されているID情報が含まれている。
【0033】
車載制御部3は、UHF送受信部4で受信した応答信号resに基づいてドア制御装置8に制御信号を出力する。そして、ドア制御装置8は入力された制御信号に基づいてドアロック装置を開閉制御する。
【0034】
次に、上記のように構成された車両用ドアロック装置において、携帯機1を保持した乗員が車両を離れる際の自動ロック動作時の作用を図2に従って説明する。
携帯機1を保持した乗員が、降車してドアを閉じると、ドアの自動ロック動作が開始される。ドアが閉じられてドアスイッチ7からドアの閉鎖を検知した信号が車載制御部3に入力されると(ステップ1)、車載制御部3は携帯機1との間でUHF双方向通信を開始し(ステップ2)、携帯機1との間でUHF通信が可能であるか否かが判別される(ステップ3)。
【0035】
ここで、乗員がドアを閉めて間もないにも関わらず、携帯機1との間でUHF双方向通信ができない場合は、ノイズ等により携帯機1との通信が不能であるか、あるいは乗員が携帯機1を所持していないと判断して、ドアの自動ロックを中止する(ステップ4)。
【0036】
ステップ3で、携帯機1との間でUHF双方向通信が可能であると、車載制御部3は携帯機1との間でLF通信を行い、室内照合動作を行い(ステップ5)、携帯機1が車内に位置するか否かを判定する(ステップ6)。
【0037】
そして、携帯機1が室内に位置する場合には、携帯機1の閉じ込みを防止するために、ドアの自動ロックを中止する(ステップ7)。
ステップ6で、携帯機1が車内に位置しない場合には、ステップ8に移行して、車載制御部3は携帯機1との間のLF通信により室外照合動作を行い、携帯機1が車外のLF通信可能領域内に位置するか否かを判定する(ステップ9)。
【0038】
ステップ9で、携帯機1が車外LF通信可能領域内に位置するときには、周期的に室外照合動作を繰り返す(ステップ10,11)。そして、携帯機1が車外LF通信可能領域外に移動して、LF通信が不能となると、車載制御部3はドア制御装置8を作動させて、ドアを自動ロックする(ステップ12)。ステップ9で、携帯機1との間で車外照合動作ができない場合には、ステップ13に移行して、携帯機1との間で周期的にUHF双方向通信を行う。そして、携帯機1がUHF通信可能領域外に移動すると、車載制御部3はドア制御装置8を作動させて、ドアを自動ロックする(ステップ14,15)。
【0039】
なお、ステップ2のUHF双方向通信開始動作と、ステップ5の室内照合動作と、ステップ8の室外照合動作は、上記の順番以外の任意の順番あるいは並行して行ってもよい。
例えば、室内照合動作及び室外照合動作とUHF通信がすべて不能であれば、自動ロックを中止する。また、室外照合動作とUHF通信の成否に関わらず、室内照合動作で携帯機を車室内で検出する場合には自動ロックを中止する。また、UHF双方向通信が不能であっても、室内照合動作と室外照合動作により、携帯機1が車室外に存在することが確認できる場合は、自動ロックするようにしてもよい。
【0040】
ステップ9で携帯機1が車外LF通信可能領域内で検出できない場合には、ステップ6で携帯機1が車室内に残っていないことが確認されているので、ステップ13〜15の動作を経ることなく、直ちに自動ロックするようにしてもよい。
【0041】
上記のような車両用ドアロック装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)携帯機1を保持した乗員がドアを閉じて車両から離れるとき、まず車載制御部3と携帯機1との間でLF通信による室内照合動作及び室外照合動作に先立ってUHF双方向通信を行う。そして、UHF双方向通信が不能であれば、ノイズ等によりUHF双方向通信及びLF通信が不能となっていると判断して、自動ロック動作を中止することができる。乗員がドアを閉じた時点でUHF双方向通信ができない場合には、ノイズ等によりLF通信による室内照合動作及び室外照合動作も不能となる可能性が高く、この状態で自動ロックを行うと、車内に携帯機1を閉じ込むおそれがある。従って、LF通信より通信可能領域の広いUHF双方向通信ができない場合には、自動ロック動作を中止することができるので、携帯機1の閉じ込みを未然に防止することができる。
【0042】
(2)乗員がドアを閉じて車両から離れるとき、UHF双方向通信が可能である場合には、UHF双方向通信に続いてLF通信により室内照合動作を行い、携帯機1が車内に位置することが検知されると、自動ロック動作を中止することができる。従って、携帯機1の閉じ込みを未然に防止することができる。
【0043】
(3)携帯機1を保持した乗員がドアを閉じて車両から離れるとき、室内照合動作及び室外照合動作が完了する前に、乗員がLF通信可能領域外に移動しても、UHF双方向通信により携帯機1の位置を認識することができる。そして、携帯機1がUHF双方向通信可能領域外に移動したとき、自動ロック動作を完了することができる。従って、ドアを安定して自動ロックすることができる。
【0044】
(4)種々の車両情報を送受信するために、車載装置2と携帯機1にそれぞれ設けられているUHF送受信部4,10を利用して、自動ロック動作時に携帯機1の位置を検出して自動ロック動作の可否を判定する機能を車載制御部3に備えた。従って、携帯機1及び車載装置2に新たな電気的構成を付加する必要はないので、コストの上昇を抑えながら、携帯機1の閉じ込みを安定して防止することができる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・車載制御部と携帯機との間で双方向通信するための搬送波の帯域は、UHF帯域以外のRF(Radio Frequency)帯域の搬送波を使用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…携帯機、2…車載装置、3…車載制御部(自動ロック制御部、自動ロック中止制御部)、4…広領域通信装置(車載側広領域通信装置)、5,6…狭領域通信装置(車載側狭領域送信部)、8…ドア制御装置、9…携帯機制御部、10…広領域通信装置(携帯機側広領域通信装置)、11…狭領域通信装置(携帯機側狭領域送信部)。
図1
図2