(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抽気弁を含み、冷凍サイクルの凝縮器からガス冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する抽気部と、抽気された前記混合流体が貯留されるタンクと、該タンクを冷却する冷却部と、前記タンク内から不凝縮ガスを外部に排気する排気部と、前記冷却部による前記タンク内の冷却によりガス冷媒が凝縮され、貯留された液冷媒が通過する排液弁を含み、前記タンク内から液冷媒を排液させて、前記冷凍サイクルの蒸発器内に導入させる排液部と、を備える抽気装置の排液制御装置であって、
前記タンク内の気相の圧力を取得する圧力取得部と、
前記抽気弁が閉状態で、かつ前記排液弁が開状態とされた液冷媒の排液時に前記圧力取得部が取得する前記タンク内の気相の圧力の変化、及び該気相の圧力の変化に要した時間に基づき得られるパラメータが予め設定された閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと検知する排液完了検知部と、
前記排液完了検知部が液冷媒の排液が完了したと検知後に前記排液弁を閉状態とする弁制御部と、
を備える抽気装置の排液制御装置。
前記パラメータは、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率である請求項1記載の抽気装置の排液制御装置。
前記パラメータは、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値である第1のパラメータと、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率である第2のパラメータと、を含んでおり、
前記閾値は、前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値に対応する第1の閾値と、前記タンク内の気相の圧力変化率に対応する第2の閾値と、を含んでおり、
前記排液完了検知部は、前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値が前記第1の閾値を越えるか、或いは前記タンク内の気相の圧力変化率が前記第2の閾値を越えたときに前記液冷媒の排液が完了したと検知する請求項1記載の抽気装置の排液制御装置。
冷凍サイクルの凝縮器からガス冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する抽気弁が閉状態で、かつタンク内の液冷媒を排液する排液弁が開状態とされた液冷媒の排液時における前記タンク内の気相の圧力の変化、及び該気相の圧力の変化に要した時間に基づいてパラメータを取得するパラメータ取得工程と、
前記パラメータが予め設定された閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと判定する判定工程と、
液冷媒の排液が完了したと判定後に、前記排液弁を閉じる工程と、
を含む排液制御方法。
前記パラメータ取得工程では、前記パラメータとして、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率を取得する請求項8記載の排液制御方法。
前記パラメータ取得工程では、前記パラメータとして、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値である第1のパラメータと所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率である第2のパラメータと、を取得し、
前記判定工程では、前記閾値として、前記第1のパラメータに対応する第1の閾値と、前記第2のパラメータに対応する第2の閾値とを用い、前記第1のパラメータが前記第1の閾値を越えるか、或いは前記第2のパラメータが前記第2の閾値を越えたときに前記液冷媒の排液が完了したと判定する請求項8記載の排液制御方法。
前記判定工程では、前記液冷媒を排液する前の段階での前記タンク内の気相の圧力と前記タンク内の液冷媒が導入される蒸発器内の圧力との差に応じて、前記第1のパラメータ及び前記第1の閾値を用いて前記液冷媒の排液の完了を検知するか、前記第2のパラメータ及び前記第2の閾値を用いて前記液冷媒の排液の完了を検知するかのいずれか一方を選択する請求項11記載の排液制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、簡便な手法を用いて、タンク内の液冷媒の排液処理完了を検知することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、簡便な手法を用いて、タンク内の液冷媒の排液処理完了を検知することの可能な抽気装置の排液制御装置、抽気装置システム、冷凍機、及び排液制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る抽気装置の排液制御装置は、抽気弁を含み、冷凍サイクルの凝縮器からガス冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する抽気部と、抽気された前記混合流体が貯留されるタンクと、該タンクを冷却する冷却部と、前記タンク内から不凝縮ガスを外部に排気する排気部と、前記冷却部による前記タンク内の冷却によりガス冷媒が凝縮され、貯留された液冷媒が通過する排液弁を含み、前記タンク内から液冷媒を排液させて、前記冷凍サイクルの蒸発器内に導入させる排液部と、を備える抽気装置の排液制御装置であって、前記タンク内の気相の圧力を取得する圧力取得部と、前記抽気弁が閉状態で、かつ前記排液弁が開状態とされた液冷媒の排液時に前記圧力取得部が取得する前記タンク内の気相の圧力の変化、及び該気相の圧力の変化に要した時間に基づき得られるパラメータが予め設定された閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと検知する排液完了検知部と、前記排液完了検知部が液冷媒の排液が完了したと検知後に前記排液弁を閉状態とする弁制御部と、を備える。
【0008】
本発明によれば、タンク内の気相の圧力を取得する圧力取得部と、抽気弁が閉状態で、かつ排液弁が開状態の場合に、圧力取得部が取得したタンク内の気相の圧力の変化、及び気相の圧力の変化に要した時間に基づき得られるパラメータが予め設定された閾値を越えた際にタンク内の液冷媒の排液が完了したことを検知する排液完了検知部を有することにより、液面センサの有無に関わらず、タンク内の液冷媒の有無を検知することが可能となるので、タンク内の液冷媒の排液が完了したことを簡便な手法で検知できる。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係る抽気装置の排液制御装置において、前記パラメータは、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値であってもよい。
【0010】
このように、パラメータとして、単位時間当たりのタンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値を用いることで、液冷媒の排液が完了したことを検知することができる。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る抽気装置の排液制御装置において、前記パラメータは、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率であってもよい。
【0012】
このように、パラメータとして、所定期間を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得する前記タンク内の気相の圧力の変化速度を、最後の区画に取得するタンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの圧力の変化速度の平均値で割ることで得られるタンク内の気相の圧力変化率を用いることで、タンク内に貯留された液冷媒の排液が完了したことを検知することができる。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る抽気装置の排液制御装置において、前記パラメータは、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値である第1のパラメータと、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率である第2のパラメータと、を含んでおり、前記閾値は、前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値に対応する第1の閾値と、前記タンク内の気相の圧力変化率に対応する第2の閾値と、を含んでおり、前記排液完了検知部は、前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値が前記第1の閾値を越えるか、或いは前記タンク内の気相の圧力変化率が前記第2の閾値を越えたときに前記液冷媒の排液が完了したと検知してもよい。
【0014】
タンク内の液冷媒の排出が開始されると、タンク内の気相の割合(体積)が緩やかに増加するにつれて、タンク内の気相の圧力が低下する。そして、タンク内の液の冷媒の排出が完了すると、タンク内のガスが排出されて、タンク内の気相の圧力が急激に低下する。これにより、タンク内の圧力は、蒸発器内の圧力に近づく。
ここで、排液処理を行う前の段階で、タンク内の気相の圧力が蒸発器内の圧力に対して十分に高い場合、タンク内のガスが排出される段階において、タンク内の気相の圧力は、蒸発器内の圧力に対して十分に高い。よって、この場合には、タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値のピークが大きくなるので、タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値、及び第1の閾値を用いて排液処理の完了を精度良く検知することが可能となる。
【0015】
一方、排液処理前の段階で、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が小さい場合、タンク内のガスが排出される段階において、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差は、排液処理前の段階よりもさらに小さくなる。このため、タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値のピークは、小さくなる。
この状態でも排液処理の完了を検知することは可能であるが、排液処理前の段階において、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が小さい場合には、タンク内の気相の圧力変化率を用いると、タンク内のガスが排出される期間に現れる圧力変化率のピークを強調させることが可能となる。
よって、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が小さい場合には、タンク内の気相の圧力変化率及び第2の閾値を用いて、液冷媒の排液の完了を検知することが好ましい。この場合、液冷媒の排液の完了を精度良く検知することができる。
【0016】
つまり、タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値が前記第1の閾値を越えるか、或いはタンク内の気相の圧力変化率が第2の閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと検知する排液完了検知部を有することで、液冷媒の排液の開始時におけるタンク内の気相の圧力の大きさに依存することなく、液冷媒の排液の完了を精度良く検知することができる。
【0017】
また、上記本発明の一態様に係る抽気装置の排液制御装置において、前記圧力取得部は、前記タンク内の気相の圧力の他に冷凍サイクルの蒸発器内の圧力を取得し、前記排液完了検知部は、排液開始時における前記タンク内の気相の圧力と前記蒸発器内の圧力との差に応じて、前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値及び前記第1の閾値を用いて排液の完了を検知するか、前記タンク内の気相の圧力変化率及び前記第2の閾値を用いて排液の完了を検知するかのいずれか一方を選択してもよい。
【0018】
このような構成とすることで、液冷媒の排液の開始時におけるタンク内の気相の圧力に依存することなく、液冷媒の排液の完了を精度良く検知することができるとともに、一方のパラメータ及び閾値を用いて排液の完了を検知するので、排液完了の検知に要する時間を短縮することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る抽気装置システムは、上記抽気装置の排液制御装置と、前記冷凍サイクルの前記凝縮器からガス冷媒と不凝縮ガスとを含む前記混合流体を抽気するとともに、前記抽気弁を含む前記抽気部と、抽気された前記混合流体が貯留される前記タンクと、該タンクを冷却する前記冷却部と、前記タンクから不凝縮ガスを外部に排気可能な前記排気部と、前記タンク内から排液された液冷媒を前記蒸発器内に導入するとともに、液冷媒が通過する前記排液弁を含む前記排液部と、前記圧力取得部と電気的に接続され、前記タンク内の気相の圧力を検知する圧力検知部と、を含む抽気装置と、を備えてもよい。
【0020】
このような構成とされた抽気装置システムは、液面センサの有無に関わらず、タンク内の液冷媒の有無を検知することが可能となるので、タンク内の液冷媒の排液が完了したことを簡便な手法で検知できる。
【0021】
また、上記本発明の一態様に係る冷凍機において、上記抽気装置システムと、前記冷凍サイクルと、を含んでもよい。
【0022】
このような構成とされた冷凍機は、タンク内の液冷媒の排液が完了したことを簡便な手法で検知できるとともに、タンク内の液冷媒を再利用することができる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る排液制御方法は、冷凍サイクルの凝縮器からガス冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する抽気弁が閉状態で、かつタンク内の液冷媒を排液する排液弁が開状態とされた液冷媒の排液時における前記タンク内の気相の圧力の変化、及び該気相の圧力の変化に要した時間に基づいてパラメータを取得するパラメータ取得工程と、前記パラメータが予め設定された閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと判定する判定工程と、液冷媒の排液が完了したと判定後に、前記排液弁を閉じる工程と、を含んでもよい。
【0024】
本発明によれば、上記パラメータ取得工程、判定工程、及び排液弁を閉じる工程を有することで、液面センサの有無に関わらず、タンク内の液冷媒の有無を検知することが可能となるので、液冷媒の排液が完了したことを簡便な手法で検知することができるとともに、液冷媒の排液処理完了後に排液弁を閉じることができる。
【0025】
また、上記本発明の一態様に係る排液制御方法において、前記パラメータ取得工程では、前記パラメータとして、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値を取得してもよい。
【0026】
このように、パラメータとして、単位時間当たりのタンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値を用いることで、液冷媒の排液が完了したことを検知することが可能となる。
特に、排液処理の開始前のタンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が大きい場合に有効である。
【0027】
また、上記本発明の一態様に係る排液制御方法において、前記パラメータ取得工程では、前記パラメータとして、所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率を取得してもよい。
【0028】
このように、パラメータとして、タンク内の気相の圧力変化率を用いることで、液冷媒の排液が完了したことを検知することが可能となる。
特に、排液処理の開始前のタンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が小さい場合に有効である。
【0029】
また、上記本発明の一態様に係る排液制御方法において、前記パラメータ取得工程では、前記パラメータとして、単位時間当たりの前記タンク内の気相の圧力の変化速度の絶対値である第1のパラメータと所定期間内を複数の区間に分割した際、最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を前記最後の区間で取得した前記タンク内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの前記気相の圧力の変化速度の平均値で割ることで得られる前記タンク内の気相の圧力変化率である第2のパラメータと、を取得し、前記判定工程では、前記閾値として、前記第1のパラメータに対応する第1の閾値と、前記第2のパラメータに対応する第2の閾値とを用い、前記第1のパラメータが前記第1の閾値を越えるか、或いは前記第2のパラメータが前記第2の閾値を越えたときに前記液冷媒の排液が完了したと判定してもよい。
【0030】
このように、第1のパラメータが第1の閾値を越えるか、或いは第2のパラメータが第2の閾値を越えたときに液冷媒の排液が完了したと検知する判定工程を有することで、液冷媒の排液を開始する前の段階におけるタンク内の気相の圧力に依存することなく、液冷媒の排液の完了を精度良く検知することができる。
【0031】
また、上記本発明の一態様に係る排液制御方法において、前記判定工程では、前記液冷媒を排液する前の段階での前記タンク内の気相の圧力と前記タンク内の液冷媒が導入される蒸発器内の圧力との差に応じて、前記第1のパラメータ及び前記第1の閾値を用いて前記液冷媒の排液の完了を検知するか、前記第2のパラメータ及び前記第2の閾値を用いて前記液冷媒の排液の完了を検知するかのいずれか一方を選択してもよい。
【0032】
このような手法を用いることで、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が大きい場合には、第1のパラメータ及び第1の閾値を用いて排液の完了を検知し、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差が小さい場合には、第2のパラメータ及び第2の閾値を用いて排液の完了を検知することが可能となる。
つまり、タンク内の気相の圧力と蒸発器内の圧力との差に応じて、一方のパラメータ及び閾値を用いて判定を行えばよいため、液冷媒の排液の完了の判定に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、簡便な手法を用いて、タンク内の液冷媒の排液処理完了を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0036】
(実施形態)
図1を参照するに、本実施形態の冷凍機10は、冷凍サイクル11と、電動機13と、駆動軸14と、冷却水用管路17と、第1のポンプ19と、第1の流量計21と、第1の圧力センサ23と、冷水用管路25と、第2のポンプ27と、第2の流量計29と、第2の圧力センサ31と、抽気装置システム35と、を有する。
【0037】
冷凍サイクル11は、圧縮機37と、冷媒供給用管路38と、凝縮器41と、膨張弁43と、蒸発器44と、を有する。
圧縮機37は、冷媒吸込み口37Aと、冷媒吐出口37Bと、を有する。冷媒吸込み口37Aには、蒸発器44により低温低圧とされた冷媒が導入される。圧縮機37は、低温低圧とされた冷媒を圧縮することで、高温高圧のガス冷媒を生成する。
圧縮機37は、冷媒吐出口37Bから高温高圧のガス冷媒を吐出する。高温高圧のガス冷媒は、冷媒供給用管路38を介して、凝縮器41に供給される。
圧縮機37としては、例えば、多段遠心圧縮機を用いることが可能である。
【0038】
冷媒供給用管路38は、一端が冷媒吸込み口37Aの一端と接続されており、他端が冷媒吐出口37Bと接続されている。冷媒供給用管路38は、圧縮機37、凝縮器41、膨張弁43、及び蒸発器44に冷媒を循環させる。
冷媒としては、例えば、低圧冷媒であるHFO−1233zd(E)を用いることが可能である。
【0039】
凝縮器41は、冷却水用管路17を構成する伝熱部17Aを収容している。凝縮器41は、高温高圧のガス冷媒と伝熱部17Aを流れる冷却水とを熱交換させることで、高温高圧のガス冷媒から熱を放出させて、常温高圧の液冷媒を生成する。常温高圧の液冷媒は、冷媒供給用管路38を介して膨張弁43に供給される。
凝縮器41は、凝縮器41内の冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気装置システム35(凝縮器41の外部)に導出する導出部41Aを有する。
凝縮器41としては、例えば、シェルアンドチューブ型の熱交換器を用いることが可能である。
【0040】
膨張弁43は、凝縮器41と蒸発器44との間に位置する冷媒供給用管路38に設けられている。膨張弁43は、例えば、オリフィスとしてもよい。膨張弁43を通過させることで、冷媒供給用管路38を流れる常温高圧の液冷媒を低温低圧の液冷媒にする。
低温低圧の液冷媒は、冷媒供給用管路38を介して蒸発器44に供給される。
【0041】
蒸発器44は、冷水用管路25を構成する伝熱部25Aを収容している。蒸発器44は、低温低圧の液冷媒と伝熱部25Aを流れる冷却水とを熱交換させることで、低温低圧のガス冷媒を生成する。低温低圧のガス冷媒は、圧縮機37の冷媒吸込み口37Aに供給される。蒸発器44は、タンク55内の液冷媒が導入される導入部44Aを有する。
【0042】
電動機13は、駆動軸14の一端と接続されている。電動機13は、駆動軸14を介して、圧縮機37を駆動させる。駆動軸14は、他端が圧縮機37と接続されている。
【0043】
冷却水用管路17は、冷却水が流れる管路であり、伝熱部17Aと、供給部17Bと、回収部17Cと、を有する。
供給部17B及び回収部17Cは、伝熱部17Aと接続されている。供給部17Bは、伝熱部17Aに冷却水を供給する。回収部17Cは、伝熱部17Aを通過した冷却水を回収する。
供給部17B及び回収部17Cは、冷却塔(図示せず)と接続されている。冷却塔では、回収部17Cにより回収された冷却水の熱を排熱させる。排熱された冷却水は、供給部17Bを介して、再度、伝熱部17Aに供給される。
【0044】
第1のポンプ19は、凝縮器41の外側に位置する供給部17Bに設けられている。第1のポンプ19は、冷却水用管路17内に冷却水を循環させる。
第1の流量計21は、第1のポンプ19と凝縮器41との間に位置する供給部17Bに設けられている。第1の流量計21は、供給部17B内を流れる冷却水の流量を計測する。
第1の圧力センサ23は、凝縮器41に設けられている。第1の圧力センサ23は、凝縮器41内の圧力を検知する。
【0045】
冷水用管路25は、冷水が流れる管路であり、伝熱部25Aと、供給部25Bと、回収部25Cと、を有する。
供給部25B及び回収部25Cは、伝熱部25Aと接続されている。供給部25Bは、伝熱部25Aに冷水を供給する。回収部25Cは、伝熱部25Aを通過した冷水を回収する。
供給部25B及び回収部25Cは、外部負荷(図示せず)と接続されている。外部負荷では、回収部25Cにより回収された冷水を加熱する。加熱された冷水は、供給部25Bを介して、再度、伝熱部25Aに供給される。
【0046】
第2のポンプ27は、蒸発器44の外側に位置する供給部25Bに設けられている。第2のポンプ27は、冷水用管路25内に冷水を循環させる。
第2の流量計29は、第2のポンプ27と蒸発器44との間に位置する供給部25Bに設けられている。第1の流量計21は、供給部25B内を流れる冷水の流量を計測する。
第2の圧力センサ31は、蒸発器44に設けられている。第2の圧力センサ31は、蒸発器44内の圧力を検知する。
【0047】
抽気装置システム35は、抽気装置51と、排液制御装置52(抽気装置の排液制御装置)と、を有する。
抽気装置51は、タンク55と、抽気部56と、冷却部57と、排気部59と、排液部61と、圧力検知部63と、温度検知部65と、を有する。
【0048】
タンク55内には、導出部41Aから導出されたら冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体(以下、単に「混合流体」という場合がある)が貯留されている。タンク55内の下部には、液相71が形成され、液相71の上方には気相72が形成されている。液相71は、液冷媒で形成されている。気相72には、不凝縮ガスが存在している。
【0049】
抽気部56は、抽気ライン75と、抽気弁76と、を有する。抽気ライン75は、一端が導出部41Aと接続されており、他端がタンク55の上部と接続されている。
抽気弁76は、抽気ライン75に設けられている。抽気弁76は、排液制御装置52と電気的に接続されている。抽気弁76の開閉は、排液制御装置52(具体的には、後述する
図2に示す弁制御部87)により制御される。
抽気弁76が開くと、タンク55内に混合流体が導入される。一方、抽気弁76が閉じると、タンク55内への混合流体の供給が停止される。
抽気部56は、導出部41Aから導出されたら冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する。
【0050】
冷却部57は、タンク55内を冷却可能な状態でタンク55に設けられている。冷却部57としては、例えば、冷却水が流れる配管やタンク外部に設置するペルチェ素子を用いることが可能である。
【0051】
排気部59は、排気ライン78と、排気用ポンプ79と、を有する。排気ライン78は、一端がタンク55の上部と接続されている。排気用ポンプ79は、排気ライン78に設けられている。排気用ポンプ79は、タンク55内の気相に存在するガスを排気ライン78内へと導く。
【0052】
排液部61は、排液ライン81と、排液弁82と、を有する。排液ライン81は、一端がタンク55の下部と接続されており、他端が蒸発器44の導入部44Aと接続されている。排液ライン81は、タンク55内の液状の冷媒(以下、「液冷媒A」という)を蒸発器44内に導入するためのラインである。
排液弁82は、排液ライン81に設けられている。排液弁82は、排液制御装置52と電気的に接続されている。抽気弁76の開閉は、排液制御装置52により制御される。
排液弁82が開くと、タンク55内から液冷媒Aが蒸発器44内に導入される。一方、排液弁82が閉じると、タンク55内の液冷媒Aの蒸発器44への供給が停止される。
【0053】
圧力検知部63は、タンク55内の気相72の圧力を検知可能な状態でタンク55に設けられている。圧力検知部63は、排液制御装置52を構成する圧力取得部85と電気的に接続されている。圧力検知部63は、検知したタンク55の気相72の圧力情報を圧力取得部85に送信する。圧力検知部63としては、例えば、圧力センサを用いることが可能である。
【0054】
温度検知部65は、タンク55内の気相72の温度(冷媒ガスの温度)を検知可能な状態でタンク55に設けられている。温度検知部65は、排液制御装置52を構成する温度取得部83と電気的に接続されている。温度検知部65は、検知したタンク55内の気相72の温度情報を温度取得部83に送信する。温度検知部65としては、例えば、温度センサを用いることが可能である。
【0055】
図1及び
図2を参照して、排液制御装置52について説明する。なお、
図2では、
図1に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
排液制御装置52は、温度取得部83と、状態監視部84と、圧力取得部85と、排液完了検知部86と、弁制御部87と、を有する。
温度取得部83は、温度検知部65及び状態監視部84と電気的に接続されている。温度取得部83は、温度検知部65が検知した冷媒ガスの温度情報を受信することで、気相72の温度を取得する。温度取得部83は、取得した気相72の温度情報を状態監視部84に送信する。
【0056】
圧力取得部85は、圧力検知部63、第2の圧力センサ31、及び排液完了検知部86と電気的に接続されている。圧力取得部85は、圧力検知部63が検知したタンク55内の気相72の圧力を取得するとともに、第2の圧力センサ31が検知した蒸発器44内の圧力を取得する。
圧力取得部85は、排液処理開始信号を受信すると、排液完了検知部86にタンク55内の気相72の圧力情報、及び蒸発器44内の圧力情報に送信する。
ここでの「排液処理開始信号」とは、タンク55内の液冷媒Aの排液処理を開始する際に送信される信号のことをいう。
【0057】
排液処理開始信号は、抽気弁76及び排液弁82と電気的に接続された弁制御部87にも送信される。弁制御部87は、排液処理開始信号を受信すると、排液弁82が閉じた状態で、抽気弁76を開く。これにより、凝縮器41内の冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体は、抽気部56を介して抽気され、その後、タンク55内に導入される。
【0058】
排液完了検知部86は、弁制御部87、圧力取得部85と電気的に接続されている。
排液完了検知部86は、抽気弁76が閉状態で、かつ排液弁82が開状態とされた液冷媒の排液時に、圧力取得部85が取得するタンク55内の気相72の圧力の変化、及び気相72の圧力の変化に要した時間に基づいて得られるパラメータ(以下、「パラメータP」という)の値が予め設定された閾値(以下、「閾値Th」という)を越えたときにタンク55内の液冷媒Aの排液が完了したと検知する。
排液完了検知部86は、タンク55内の液冷媒Aの排液が完了したと検知した際に弁制御部87に排液処理完了信号を送信する。
【0059】
パラメータPとしては、例えば、単位時間当たりのタンク55内の気相72の圧力の変化速度の絶対値である第1のパラメータ(以下、「第1のパラメータΔPt
n」という)と、所定期間(圧力を検知する期間)を複数の区間(時間の長さが同じ複数の区間)に分割した際、最後の区間で取得するタンク55内の気相72の圧力の変化速度を、最後の区画に取得するタンク55内の気相の圧力の変化速度を除いた残りの圧力の変化速度の平均値で割ることで得られるタンク55内の気相72の圧力変化率である第2のパラメータと、を用いることが可能である。
【0060】
第1のパラメータΔPt
n(KPa/sec)は、下記(1)式により求めることができる。
ΔPt
n=|(Pt
n−Pt
(n−1))/(t
n−t
(n−1))|・・・(1)
【0061】
上記(1)式において、t
nは時刻、t
(n−1)はt
nよりも前の時刻、(t
n−t
(n−1))は圧力情報を取得するサンプリング間隔(単位時間(sec))、Pt
nは時刻t
nのときのタンク55内の気相72の圧力(KPa)、Pt
(n−1)は時刻t
(n−1)のときのタンク55内の気相72の圧力(KPa)をそれぞれ示している。
【0062】
一方、第2のパラメータΔΔPt
nは、下記(2)式により求めることができる。また、下記(2)式に示すΔPt
n、ΔPt
1、ΔPt
(n−1)は、上記(1)式に基づいて求めることができる。
ΔΔPt
n=ΔPt
n/Average(ΔPt
1〜ΔPt
(n−1))・・・(2)
【0063】
上記(2)式において、Average(ΔPt
1〜ΔPt
(n−1))は、最後に取得するタンク55内の圧力の変化速度を除いた残りの圧力の変化速度の平均値を意味している。
【0064】
閾値Thとしては、例えば、第1のパラメータΔPt
nに対応する第1の閾値(以下、「第1の閾値Th
1」という)と、第2のパラメータΔΔPt
nに対応する第2の閾値(以下、「第2の閾値Th
2」という)と、を用いることが可能である。
第1の閾値Th
1は、例えば、予め試験を行うことで得られる固定値、或いは排液処理開始直前のタンク内の気相の圧力(以下、「Pt
0」という)及び排液処理開始直前の蒸発器44内の圧力(以下、「Pe
0」という)の差圧に関する関数(=f(Pt
0−Pe
0))を用いて設定することが可能である。
【0065】
第2の閾値Th
2は、例えば、予め試験を行うことで得られる固定値、或いは排液処理開始直前のタンク内の気相の圧力(以下、「Pt
0」という)及び排液処理開始直前の蒸発器44内の圧力(以下、「Pe
0」という)の差圧に関する関数(=f(Pt
0−Pe
0))を用いて設定することが可能である。
【0066】
排液完了検知部86は、第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を越えるか、或いは第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を越えたときに液冷媒Aの排液が完了したと検知する。
【0067】
図3では、t
1は排液処理を開始した時刻(以下、「時刻t
1」という)、t
2は排液処理が完了した時刻(以下、「時刻t
2」という)、t
3はタンク55内の気相72の圧力が蒸発器44内の圧力と略等しくなる時刻(以下、「時刻t
3」という)をそれぞれ示している。
また、
図3において、T
1はタンク55内から液冷媒Aが排液される期間(以下、「期間T
1」という)、T
2はタンク55内からガスが排出されることで、タンク55内の圧力が急激に低下し、タンク55内の圧力が蒸発器44内の圧力に近づく期間(以下、「期間T
2」という)をそれぞれ示している。
【0068】
ここで、
図1、
図3、及び
図4を参照して、排液処理開始前のタンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差が大きい場合を例に挙げて、排液完了検知部86が行う排液完了の検知方法について説明する。
図4は、
図3に示すタンク55内の気相72の圧力に基づいて作成したグラフである。
図4では、
図3に示す符号と同一の符号を用いる。
なお、排液処理前後の抽気弁76及び排液弁82の開閉状態は、弁制御部87を説明する際に説明する。
【0069】
排液処理前の段階において、蒸発器44内の圧力に対してタンク55内の圧力が十分に高い場合、期間T
1では、タンク55内の液冷媒Aの排液によりタンク55内の気相72の体積が緩やかに増加する。これにより、タンク55内の気相72の圧力は、緩やかに減圧される(
図3参照)。
このため、期間T
1におけるタンク55内の気相72の圧力の変化速度は、第1の閾値Th
1よりも十分に小さい値となるので、第1の閾値Th
1に到達することはない(
図4参照)。
【0070】
タンク55内の液冷媒Aの排液処理が進むと、時刻t
2にタンク55内の液冷媒Aの排出が完了する。時刻t
2でのタンク55内の気相72の圧力は、蒸発器44内の圧力に対して十分に高いため、時刻t
2〜時刻t
3の期間におけるタンク55内の気相72の圧力の変化速度のピークが大きくなる。
よって、排液処理前の段階において、蒸発器44内の圧力に対してタンク55内の圧力が十分に高い場合には、上述した第1のパラメータΔPt
n及び第1の閾値Th
1を用いて、第1のパラメータΔPt
nの波形が第1の閾値Th
1を越えたことを検知することで、排液処理の完了を精度良く検知することが可能となる。
【0071】
ここで、
図1、及び
図5〜
図7を参照して、排液処理開始前のタンク55内の気相の圧力と蒸発器44内の圧力との差が小さい場合を例に挙げて、排液完了検知部86が行う排液完了の検知方法について説明する。
図5では、
図3に示す符号と同一の符号を用いる。
図6では、
図5に示すタンク55内の気相72の圧力に基づいて作成している。
図7では、
図6に示すタンク55内の気相72の圧力の変化速度に基づいて作成している。
【0072】
排液処理前の段階において、蒸発器44内の圧力とタンク55内の気相72の圧力との差が小さい場合、期間T
1では、タンク55内の液冷媒Aの排液によりタンク55内の気相72の体積が緩やかに増加する。これにより、タンク55内の気相72の圧力は、緩やかに減圧される(
図5参照)。
しかし、排液処理前の段階において、蒸発器44内の圧力とタンク55内の気相72の圧力との差が小さいため、期間T
1におけるタンク55内の気相72の圧力を示す曲線の傾きは、
図3に示すタンク55内の気相72の圧力を示す曲線の傾きよりも小さくなる。
【0073】
タンク55内の液冷媒Aの排液処理が進むと、時刻t
2においてタンク55内の液冷媒Aの排出が完了する。時刻t
2では、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差がさらに小さくなるため、時刻t
2〜時刻t
3の期間におけるタンク55内の気相72の圧力の変化速度のピークも小さくなる(
図6参照)。
この状態でも排液処理の完了を検知することは可能であるが、排液処理前の段階において、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差が小さい場合には、タンク55内の気相72の圧力変化率を用いると、タンク55内のガスが排出される期間(具体的には、時刻t
2〜時刻t
3の間の期間)に現れる圧力変化率のピークを強調させることが可能となる。
よって、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差が小さい場合には、タンク55内の気相72の圧力変化率及び第2の閾値を用いて、液冷媒Aの排液の完了を検知することが好ましい。この場合、液冷媒Aの排液の完了を精度良く検知することができる。
【0074】
つまり、第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を越えるか、或いは第2のパラメータ第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を越えたときに液冷媒Aの排液が完了したと検知する排液完了検知部86を有することで、液冷媒Aの排液の開始時におけるタンク55内の気相の圧力の大きさに依存することなく、液冷媒Aの排液の完了を精度良く検知することができる。
【0075】
図1、
図2、及び
図8〜
図10を参照して、弁制御部87について説明する。
図8では、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図9では、
図8に示す構造体と同一構成部分には統一符号を付す。
図10では、
図9に示す構造体と同一構成部分には統一符号を付す。また、
図8〜
図10において、黒で塗り潰された状態の抽気弁76及び排液弁82は閉状態を示しており、白抜き状態の抽気弁76及び排液弁82は開状態を示している。
【0076】
弁制御部87は、抽気弁76、排液弁82、及び排液完了検知部86と電気的に接続されている。弁制御部87は、抽気開始信号、抽気停止信号、排液処理開始信号、及び排液処理完了信号を受信する。
【0077】
図8に示すように、弁制御部87が抽気開始信号を受信すると、弁制御部87は、排液弁82を閉じ、抽気弁76を開く制御を行う。これにより、タンク55内に、凝縮器41から抽気された混合流体(冷媒と前記不凝縮ガスとを含む混合流体)が導入され、タンク55内に液冷媒Aが貯留される。その後、タンク55内に液冷媒Aが溜まると、弁制御部87は、抽気停止信号を受信する。その後、弁制御部87は、排液処理開始信号を受信する。
【0078】
図9に示すように、弁制御部87が排液処理開始信号を受信すると、弁制御部87は、抽気弁76を閉じ、排液弁82を開く制御を行う。これにより、凝縮器41から混合流体の抽気が停止され、排液部61を介して、タンク55内から液冷媒Aの排液が開始される。排液された液冷媒Aは、蒸発器44内に導入される。
そして、時間の経過とともに液冷媒Aの排液処理が進み、やがてタンク55内の液冷媒Aの排液処理が完了し、排液完了検知部86から排液処理完了信号が送信される。
【0079】
図10に示すように、弁制御部87が排液処理完了信号を受信すると、弁制御部87は、抽気弁76を閉じた状態で、排液弁82を閉じる制御を行う。これにより、排液処理が停止される。
【0080】
第1の実施形態の排液制御装置52によれば、タンク55内の気相72の圧力を取得する圧力取得部85と、抽気弁76が閉状態で、かつ排液弁82が開状態の場合に、圧力取得部85が取得したタンク55内の気相72の圧力の変化、及び気相72の圧力の変化に要した時間に基づいて得られるパラメータPの値が予め設定された閾値Thを越えたときに液冷媒Aの排液が完了したと判定する排液完了検知部86を有することで、液面センサの有無に関わらず、タンク55内の液冷媒Aの有無を検知することが可能となるので、液冷媒Aの排液が完了したことを簡便な手法で検知することができる。
【0081】
また、パラメータPとして、第1のパラメータΔPt
n及び第2のパラメータΔΔPt
nを用い、閾値Thとして、第1の閾値ΔPt
nまたは第2の閾値ΔΔPt
nを用いることで、排液処理前のタンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力差の大きさに依存することなく、液冷媒Aの排液処理が完了したことを検知できる。
【0082】
さらに、上記排液制御装置52と、抽気装置51と、を含む抽気装置システム35によれば、簡便な手法で液冷媒Aの排液が完了したことを検知して、排液弁82を閉じることができる。
また、上記抽気装置システム35と、冷凍サイクル11と、を含む冷凍機10によれば、簡便な手法で液冷媒Aの排液が完了したことを検知して、排液弁82を閉じることができるとともに、タンク55内の液冷媒Aを再利用することができる。
【0083】
なお、第1の実施形態では、一例として、タンク55内に液面センサを設けない場合を例に挙げて説明したが、
図1に示すタンク55内に液相71の液面を検知する液面センサを設けてもよい。
【0084】
図1、
図2、及び
図11を参照して、本実施形態の排液制御方法について説明する。
図11に示すBは、S8及びS9を含む判定工程(以下、「判定工程B」という)を示している。
図11に示す処理が開始されると、S1では、抽気処理を開始する。具体的には、S1では、抽気開始信号を弁制御部87が受信した段階で、弁制御部87が排液弁82を閉じ、抽気弁76を開く制御を行う。これにより、凝縮器41から冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体の抽気が開始される。その後、処理は、S2へと進む。
【0085】
S2では、排液弁82を閉じ、抽気弁76を開いた状態で、抽気処理を継続させる(抽気中)。その後、処理は、S3へと進む。
S3では、弁制御部87が抽気停止信号を受信したか否かの判定が行われる。S3において、Noと判定されると、処理はS2へと戻る。一方、S3において、Yesと判定されると、処理はS4へと進む。
【0086】
S4では、タンク55内の気相72の圧力、及び蒸発器44内の圧力の検知を開始するとともに、上述した手法を用いて、パラメータP(第1のパラメータΔPt
n及び第2のパラメータΔΔPt
n)の取得を開始する(パラメータ取得工程)。
タンク55内の気相72の圧力は、圧力検知部63を用いて検知する。圧力検知部63は、タンク55内の気相72の圧力に関する情報を圧力取得部85に送信する。
蒸発器44内の圧力は、第2の圧力センサ31を用いて検知する。第2の圧力センサ31は、蒸発器44内の圧力に関する情報を圧力取得部85に送信する。上記2つの圧力を測定する時間及び間隔は、適宜設定することが可能である。S4の処理が終わると、処理はS5へと進む。
【0087】
S5では、弁制御部87が抽気停止信号を受信後に、抽気処理を停止させる。具体的には、弁制御部87により、
図8に示す開状態とされた抽気弁76を閉じる制御を行う。これにより、抽気処理が停止される。その後、処理は、S6へと進む。
【0088】
S6では、排液処理開始信号を圧力取得部85及び弁制御部87が受信後に、タンク55内の液冷媒Aの排液処理を開始する。具体的には、S6では、弁制御部87が排液弁82を開く制御を行う。これにより、タンク55内の液冷媒Aの排液処理が開始され、排液部61を介して、蒸発器44内に液冷媒Aが導入される。その後、処理はS7へと進む。
【0089】
S7では、排液弁82を開き、抽気弁76を閉じた状態で、排液処理を継続させる(排液中)。その後、処理は、S8へと進む。
【0090】
S8では、排液完了検知部86により、第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を超えたか否かの判定が行われる。S8において、第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を超えていないと判定(No判定)されると、処理はS9へと進む。一方、第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を超えたと判定(Yes判定)されると、処理はS10へと進む。
【0091】
S9では、排液完了検知部86により、第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を超えたか否かの判定が行われる。S9において、第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を超えていないと判定(No判定)されると、処理はS7へと戻る。一方、第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を超えたと判定(Yes判定)されると、処理はS10へと進む。なお、S8及びS9は、判定工程Bを構成している。
【0092】
S10では、排液完了検知部86から弁制御部87に排液処理完了信号が送信される。弁制御部87が排液処理完了信号を受信すると、弁制御部87は、排液弁82を閉じる制御を行う(排液弁を閉じる工程)。これにより、タンク55内の液冷媒Aの排液処理が終了する。これにより、
図11に示すフローチャートの処理は、全て終了する。
【0093】
本実施形態の排液制御方法によれば、冷凍サイクル11の凝縮器41から冷媒と不凝縮ガスとを含む混合流体を抽気する抽気弁76が閉状態で、かつタンク55内の液冷媒Aを排液する排液弁82が開状態とされた液冷媒Aの排液時におけるタンク55内の気相72の圧力の変化、及び気相72の圧力の変化に要した時間に基づいてパラメータを取得するパラメータP(第1のパラメータΔPt
n及び第2のパラメータΔΔPt
n)を取得するパラメータ取得工程と、パラメータP(第1のパラメータΔPt
n及び第2のパラメータΔΔPt
n)の値が予め設定された閾値Th(第1及び第2の閾値Th
1,Th
2)を越えたときに液冷媒Aの排液が完了したと判定する判定工程Bと、液冷媒Aの排液が完了したと判定後に、排液弁82を閉じる工程と、を有することで、液面センサの有無に関わらず、タンク55内の液冷媒Aの有無を検知することが可能となるので、液冷媒Aの排液が完了したことを簡便な手法で検知することができる。
【0094】
また、パラメータPとして、第1のパラメータΔPt
n及び第2のパラメータΔΔPt
nを用い、閾値Thとして、第1の閾値ΔPt
nまたは第2の閾値ΔΔPt
nを用いることで、排液処理前のタンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力差の大きさに依存することなく、液冷媒Aの排液が完了したことを検知することができる。
【0095】
なお、本実施形態の
図11では、一例として、S7の後に、S8(第1のパラメータΔPt
nが第1の閾値Th
1を越えたか否かの判定を行うステップ)を行い、その後、S9(第2のパラメータΔΔPt
nが第2の閾値Th
2を越えたか否かの判定を行うステップ)を行う場合を例に挙げて説明したが、S8とS9の位置を替えてもよい。つまり、S7の後に、S9を行い、その後、S8を行ってもよい。
【0096】
図12に示すように、S7の後に、S8とS9とを並列で配置し、S8の判定とS9の判定とを同時に行ってもよい。
図12において、
図11に示すフローチャートのステップ(S)と同一ステップには同一の符号を付す。
【0097】
また、例えば、
図12に示すS7において、排液完了検知部86がタンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力差に応じて、S8及びS9のうち、どちらの判定処理を行うか選択(第1のパラメータΔPt
n及び第1の閾値Th
1を用いて排液の完了を検知するか、第2のパラメータΔΔPt
n及び第2の閾値Th
2を用いて排液の完了を検知するかのいずれか一方を選択)してもよい。
【0098】
このような手法を用いることで、排液開始時におけるタンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差に応じて、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差が大きい場合には、第1のパラメータΔPt
n及び第1の閾値Th
1を用いて排液の完了を検知し、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差が小さい場合には、第2のパラメータΔΔPt
n及び第2の閾値Th
2を用いて排液の完了を検知することが可能となる。
これにより、タンク55内の気相72の圧力と蒸発器44内の圧力との差に応じて、一方の判定処理のみを行えばよいため、排液の完了を検知するために必要な時間を短縮することができる。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。