(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1,第2のマイクロ流路に、それぞれ、第1,第2のマイクロ流体を導入または内包している、第1,第2のマイクロ流体供給部が設けられている、請求項1または2に記載のマイクロ流体の送液方法。
前記第1,第2のマイクロ流路において、前記第1,第2のマイクロ流体供給部よりも上流側において、前記第1,第2のマイクロ流路に外部のポンプが接続されるポンプ接続部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ流体の送液方法。
前記マイクロ流路デバイスが、前記第1,第2のバルブを有し、前記第1のマイクロ流路から、前記第1のマイクロ流体を送液するに際し、前記第2のバルブを閉じた状態とし、前記第1のバルブを開いた状態とし、
前記第2のマイクロ流体を送液するに際し、前記第1のバルブを閉じた状態とし、前記第2のバルブを開いた状態とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ流体の送液方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載のマイクロ流路デバイスでは、基板や板状部材を押圧することにより、マイクロ流路が閉じた状態とされている。このような構造で、マイクロ流体の送液のオン・オフを行ったとしても、マイクロ流体が所望でない分岐流路などへ浸入することがあった。
【0007】
本発明の目的は、分岐流路へのマイクロ流体の送液及び送液の停止を確実に行うことを可能とするマイクロ流路デバイス及びマイクロ流体の送液方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマイクロ流路デバイスは、マイクロ流路チップ内に、複数のマイクロ流路が設けられているマイクロ流路デバイスであって、前記複数のマイクロ流路が、第1〜第5のマイクロ流路を有し、前記第1のマイクロ流路の下流側端部と、前記第2のマイクロ流路の下流側端部とが合流されており、前記第1のマイクロ流路及び前記第2のマイクロ流路が合流されている部分の前記第3のマイクロ流路が接続されており、前記第3のマイクロ流路の下流側端部が、前記第4及び前記第5のマイクロ流路に分岐されており、前記第5のマイクロ流路の横断面の面積の前記第4のマイクロ流路の横断面の面積に対する比を流路断面積比yとし、前記第3のマイクロ流路が延びる方向に対し、前記第4のマイクロ流路の延びる方向のなす角度を角度A、前記第3のマイクロ流路の延びる方向に対する前記第5のマイクロ流路の延びる方向のなす角度を角度Bとしたときに、角度Aをx1とすると、y≧−0.013x1+2.3(但し、60度≦x1≦135度)、y≧0.5(但し、135度≦x1≦180度)、x1≦180度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60≦x1≦180度)であり、角度Bをx2としたときに、y≧0.033x2−0.5(但し、30度≦x2≦60度)、y≧0.5(但し、30度≦x2≦105度)、x2≦105度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60度≦x2≦105度)である。
【0009】
本発明に係るマイクロ流路デバイスのある特定の局面では、前記第4,第5のマイクロ流路の下流側の端部にそれぞれ設けられている、第1,第2の開閉バルブがさらに備えられている。
【0010】
本発明に係るマイクロ流路デバイスの他の特定の局面では、前記第1,第2のマイクロ流路に、それぞれ、第1,第2のマイクロ流体を導入または内包している、第1,第2のマイクロ流体供給部が設けられている。
【0011】
本発明に係るマイクロ流路デバイスのさらに他の特定の局面では、前記第1,第2のマイクロ流路において、前記第1,第2のマイクロ流体供給部よりも上流側に設けられている、第1,第2のポンプがさらに備えられている。
【0012】
本発明に係るマイクロ流路デバイスの別の特定の局面では、前記第1,第2のマイクロ流路において、前記第1,第2のマイクロ流体供給部よりも上流側において、前記第1,第2のマイクロ流路に外部のポンプが接続されるポンプ接続部が設けられている。
【0013】
本発明に係るマイクロ流体の送液方法は、本発明に従って構成されたマイクロ流路デバイスにおける第1,第2のマイクロ流体の送液方法であって、前記第1のマイクロ流路から前記第1のマイクロ流体を、前記第5のマイクロ流路に至らないようにして前記第4のマイクロ流路に送液する工程と、前記第2のマイクロ流体を前記第2のマイクロ流路から、前記第4のマイクロ流路に至らないようにして、前記第5のマイクロ流路に送液する工程とを備える。
【0014】
本発明に係るマイクロ流体の送液方法のある特定の局面では、前記マイクロ流路デバイスが、前記第1,第2のバルブを有し、前記第1のマイクロ流路から、前記第1のマイクロ流体を送液するに際し、前記第2のバルブを閉じた状態とし、前記第1のバルブを開いた状態とし、前記第2のマイクロ流体を送液するに際し、前記第1のバルブを閉じた状態とし、前記第2のバルブを開いた状態とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るマイクロ流路デバイス及びマイクロ流体の送液方法によれば、第4のマイクロ流路または第5のマイクロ流路への第3のマイクロ流路からの送液のオン・オフを行うに際し、マイクロ流体を第4のマイクロ流路または第5のマイクロ流路の一方のマイクロ流路に確実に送液し、他方のマイクロ流路への浸入を確実に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロ流路デバイスの概略構成図である。
【0019】
マイクロ流路デバイス1は、チップ本体2を有する。チップ本体2は、特に限定されるわけではないが、本実施形態では、合成樹脂からなる。具体的には、複数の合成樹脂プレートの積層体によりチップ本体2が構成されていてもよい。あるいは、板状の合成樹脂の射出成形品の少なくとも片面に合成樹脂とを積層してなる積層体を用いてもよい。
【0020】
チップ本体2内に、図示のマイクロ流路構造が設けられている。このマイクロ流路構造は、第1〜第5のマイクロ流路11〜15を有する。第1のマイクロ流路11の下流側端部と、第2のマイクロ流路12の下流側端部とが合流されている。第3のマイクロ流路13は、この合流点に接続されている。すなわち、第1,第2のマイクロ流路11,12の下流側端部に第3のマイクロ流路13が接続されている。第3のマイクロ流路13の下流側端部は、第4,第5のマイクロ流路14,15に分岐されている。すなわち、第3のマイクロ流路13の下流側端部に、第4,第5のマイクロ流路14,15が接続されている。
図1において、上記分岐部分を分岐点Oとして示すこととする。
【0021】
第1のマイクロ流路11及び第2のマイクロ流路12には、第1,第2のマイクロ流体供給部11a,12aが設けられている。本実施形態は、第1,第2のマイクロ流体供給部11a,12aには、予め、第1,第2のマイクロ流体が内包されている。もっとも、第1,第2のマイクロ流体供給部11a,12aには、外部から第1,第2のマイクロ流体が導入されるように構成されていてもよい。
【0022】
また、第1,第2のマイクロ流路11,12においては、第1,第2のマイクロ流体供給部11a,12aの上流側に、ポンプ16,17が配置されている。このポンプ16,17は、マイクロ流体を送液するためのガスを発生するガス発生材料を含んでいる。もっとも、ポンプ16,17は、他の形式のマイクロ流体送液ポンプであってもよい。また、本実施形態では、ポンプ16,17が、チップ本体2に内蔵されているが、ポンプ16をチップ本体2の外側に配置し、第1,第2のマイクロ流路11,12に接続してもよい。
【0023】
チップ本体2の外側に配置されるポンプの場合、ガス発生材料を含むポンプの他、シリンジを用いたインヒュージョンポンプその他の形式のポンプを用いてもよい。
【0024】
なお、マイクロ流体とは、1〜500μlの容積を有する程度の微小な液滴である。そして、マイクロ流路とは、このようなマイクロ流体が送液される流路であり、マイクロ流体は通常の液体とは異なり、マイクロ流体の表面張力や、マイクロ流路の壁面との関係により、通常の液体とは異なる許容を有する。
【0025】
上記第1〜第5のマイクロ流路11〜15の横断面積は、特に限定されるわけではないが、上記マイクロ流体を供給するものであるため、0.01〜2.0mm
2程度とされている。
【0026】
第3のマイクロ流路13の延びる方向Cに対し、第4のマイクロ流路14が延びる方向Eとのなす角度を角度A、及び第3のマイクロ流路13の延びる方向Cと、第5のマイクロ流路15の延びる方向Dとのなす角度を角度Bとする。マイクロ流路デバイス1の特徴は、角度A及びBが下記の特定の範囲内とされていることにある。
【0027】
すなわち、角度Aをx1とすると、y≧−0.013x1+2.3(但し、60度≦x1≦135度)、y≧0.5(但し、135度≦x1≦180度)、x1≦180度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60≦x1≦180度)とされている。
【0028】
また、角度Bをx2としたときに、y≧0.03x2−0.5(但し、30度≦x2≦60度)、y≧0.5(但し、30度≦x2≦105度)、x2≦105度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60度≦x2≦105度)とされている。
【0029】
それによって、後述するように、第1のマイクロ流体を第1のマイクロ流路11から第5のマイクロ流路15には至らないように確実に第4のマイクロ流路14に送液する工程と、第2のマイクロ流体を第2のマイクロ流路12から、第4のマイクロ流路14に浸入させずに確実に第5のマイクロ流路15に送液することが可能とされている。
【0030】
なお、上記送液を可能とするために、第4のマイクロ流路14の下流側端部には、第1のバルブ18が設けられている。また、第5のマイクロ流路15の下流側端部には、第2のバルブ19が設けられている。
【0031】
第1,第2のバルブ18,19は、第4,第5のマイクロ流路14,15を開状態または閉状態とする開閉バルブからなる。このような開閉バルブの構造は特に限定されず、押しピンで流路を封止する方法などを用いることができる。
【0032】
なお、第4のマイクロ流路14、及び第5のマイクロ流路15の開状態とは、第4,第5のマイクロ流路14,15に、マイクロ流体が送液されてくることを可能とする状態であり、閉状態とは、第4,第5のマイクロ流路14,15へのマイクロ流体の送液が進行しがたい状態をいうものとする。
【0033】
次に、上記マイクロ流路デバイス1を用いたマイクロ流体の送液方法を説明する。
【0034】
なお、第1,第2のマイクロ流体は特に限定されないが、本実施形態では、第1のマイクロ流体として界面活性剤を含む水溶液が用いられる。また、第2のマイクロ流体として細胞含有水溶液が用いられる。それによって、PCRに用いる界面活性剤及び細胞含有水溶液の送液を行うことができる。
【0035】
まず、第1のバルブ18を開状態とし、第2のバルブ19を閉状態とする。この状態で、第1のマイクロ流体供給部11aに内包されている第1のマイクロ流体を、第1のポンプ16を駆動し、第1のマイクロ流路11から下流側に送液する。マイクロ流体は、第3のマイクロ流路13に至り、分岐点Oに至る。分岐点Oでは、上記角度A及び角度Bが上記特定の範囲とされているため、第1のマイクロ流体は、第5のマイクロ流路15に浸入せずに、確実に第4のマイクロ流路14に進む。
【0036】
次に、第1のポンプ16を停止し、第1のバルブ18を閉状態とし、第2バルブ19を開状態とする。そして、第2のポンプ17を駆動し、第2のマイクロ流体供給部12aに内包されていた第2のマイクロ流体を第2のマイクロ流路12から第3のマイクロ流路13に送液する。そして、上記角度A及び角度Bが上記特定の範囲とされているため、分岐点Oにおいて、第2のマイクロ流体は、第4のマイクロ流路14に浸入せずに、確実に第5のマイクロ流路15に送液される。しかる後、第2のポンプ17を停止する。このようにして、第4のマイクロ流路14に第1のマイクロ流体を、第5のマイクロ流路15に第2のマイクロ流体を確実に収納することができる。
【0037】
特に、上記角度A及び角度Bが、上記特定の範囲内とされているため、第1のマイクロ流体の第5のマイクロ流路15側への浸入が確実に抑制され、同様に、第2のマイクロ流体の第4のマイクロ流路14側への浸入も確実に抑制される。よって、第1のマイクロ流体及び第2のマイクロ流体の汚染も生じ難い。
【0038】
次に、上記角度A及び角度Bが上記特定の範囲内とされていることにより、上記のように第1,第2のマイクロ流体が第4または第5のマイクロ流路14,15に送液されることを、
図2〜
図5を参照して説明する。
【0039】
本明細書において、流路断面積比とは、第5のマイクロ流路15の横断面積の第4のマイクロ流路14の横断面積に対する比を示す。
【0040】
(実施例1)
実施例1のマイクロ流路デバイスを下記の表1に示すように、角度Bを45度、角度Aを60度、流路断面積比を1.5、第5のマイクロ流路の横断面積を0.6mm
2、第4のマイクロ流路の横断面積を0.4mm
2、第5のマイクロ流路の体積を10μl、第4のマイクロ流路の容積を20μlとした。
【0041】
(実施例2〜11及び比較例1〜11)
実施例2〜11及び比較例1〜11では、下記の表1及び表2に示すように、角度Bを45度に固定し、角度Aを実施例1と異ならせた。また、第4のマイクロ流路の横断面積及び第5のマイクロ流路の横断面積を変化させた。
【0042】
なお、表1及び表2における○、△、×の評価記号の意味は以下の通りである。
【0043】
○:閉状態にあるマイクロ流路にマイクロ流体が浸入していないことを示す。
△:閉状態にあるマイクロ流路にマイクロ流体が0〜1mmの長さだけ浸入している状態を示す。
×:閉状態にあるマイクロ流路にマイクロ流体が1mmを超えた長さに渡り浸入している状態を示す。
【0044】
また、評価記号○/○、△/△、×/△などの/の前が、第5のマイクロ流路を閉状態とし、第4のマイクロ流路に第1のマイクロ流体を送液した場合の結果を示し、/の後は、第4のマイクロ流路を閉状態とし、第2のマイクロ流体を第5のマイクロ流路に送液した場合の結果を示す。
【0047】
表1及び表2から明らかなように、比較例1〜11では、第1のマイクロ流体及び/または第2のマイクロ流体を送液する場合に、閉状態にあるマイクロ流路に少なからずマイクロ流体が浸入していることがわかる。これに対して、実施例1〜11では、第1のマイクロ流体及び第2のマイクロ流体のいずれを供給する場合においても、閉状態にあるマイクロ流路にマイクロ流体が浸入していないことがわかる。
【0048】
(実施例12〜22)
下記の表3に示すように、実施例12〜22では、角度Bを90度に固定し、角度A、第4のマイクロ流路の横断面積及び第5のマイクロ流路の横断面積を変化させた。
【0050】
表3から明らかなように、実施例12〜22においても、第1のマイクロ流体及び第2のマイクロ流体のいずれを供給する場合においても、閉状態にあるマイクロ流路にマイクロ流体が浸入していないことがわかる。
【0051】
(実施例23〜33)
下記の表4に示すように、実施例23〜33では、角度Bを105度に固定し、角度A、第4のマイクロ流路の横断面積及び第5のマイクロ流路の横断面積を異ならせた。
【0053】
表4から明らかなように、実施例23〜33においても、第1,第2のマイクロ流体のいずれを送液する場合においても、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入は認められなかった。
【0054】
(実施例7,34,35及び比較例12,13)
下記の表5に示すように、角度Bを45度に固定し、角度Aを180度に固定し、但し第4のマイクロ流路及び第5のマイクロ流路の体積を変化させた。
【0056】
表5から明らかなように、比較例12,13では、第2のマイクロ流体送液時、あるいは第1,第2のマイクロ流体送液時に、閉状態にあるマイクロ流路への浸入が認められた。これに対して、実施例7,34,35では、第1,第2のマイクロ流体のいずれを送液した場合でも、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入は認められなかった。
【0057】
図2は、上記表1〜表5に示した結果をプロットしたものである。すなわち、角度Bを固定した場合の角度Aと流路断面積比との関係を示す。
【0058】
図2において、実施例は黒いドットで示す。また、比較例については、実施例よりも小さな黒いドットで示すこととする。
【0059】
図2から明らかなように、角度Aと流路断面積比とが特定の範囲内にあれば、上記のように、第1,第2のマイクロ流体の閉状態にあるマイクロ流路への浸入を防止し得ることがわかる。すなわち、
図2の実線Fで示す領域内であれば、第1,第2のマイクロ流体の閉じた状態にあるマイクロ流路への浸入を抑制し得ることがわかる。そして、
図2の実線F、斜め方向に延びる直線F1は、下記の表6の示す実施例1,5,8,9,10,11が位置している部分に相当する。
【0061】
これを
図3に拡大して示すこととする。すなわち、直線F1は角度Aをx1、流路断面積比をyとしたとき、y=−0.013x1+2.3で表される。
【0062】
従って、
図2の実線Fで示されている領域は、前述の通り、y≧−0.013x1+2.3(但し、60度≦x1≦135度)、y≧0.5(但し、135度≦x1≦180度)、x1≦180度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60≦x1≦180度)となる。
【0063】
(実施例36〜44及び比較例14〜23)
下記の表7及び表8に示すように、角度Aを180度に固定し、角度B、第4のマイクロ流路の横断面積及び第5のマイクロ流路の横断面積を種々異ならせた。
【0066】
表7及び表8から明らかなように、比較例14〜23では、第1のマイクロ流体及び/または第2のマイクロ流体の送液時に、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入が認められた。
【0067】
これに対して、実施例36〜44では、第1,第2のマイクロ流体のいずれの送液時も、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入は認められなかった。
【0068】
(実施例45〜53)
下記の表9に示すように、角度Aを135度に固定し、角度B、第4のマイクロ流路の横断面積及び第5のマイクロ流路の横断面積を種々異ならせた。
【0070】
表9から明らかなように、実施例45〜53においても、第1,第2のマイクロ流体の送液時に、閉状態にあるマイクロ流路への第1,第2のマイクロ流体の浸入は認められなかった。
【0071】
(実施例54,55及び比較例24,25)
下記の表10に示すように、角度Bを105度に固定し、角度Aを180度に固定し、但し、第4,第5のマイクロ流路の体積を変化させた。
【0073】
表10から明らかなように、比較例24,25では、第1,第2のマイクロ流体の少なくとも一方の送液時に、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入が認められた。
【0074】
これに対して、実施例40,54,55では、第1のマイクロ流体及び第2のマイクロ流体のいずれを送液した場合であっても、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入は認められなかった。
【0075】
上記表7〜表10の結果を
図4にプロットした。
図4において、大きな黒いドットで実施例を示し、小さな黒いドットで比較例を示す。
図4から明らかなように、実線Gで囲まれた領域であれば、第1,第2のマイクロ流体のいずれを送液した場合であっても、閉状態にあるマイクロ流路へのマイクロ流体の浸入を防止し得ることがわかる。
【0076】
実線Gのうち、斜め方向に延びる直線G1は、実施例36,38,41の位置を結ぶ直線となる。
【0078】
この表11に示す実施例36,38,41を、プロットすると、
図5に示す通りとなる。すなわち、角度Bをx2とした場合、流路断面積比yは、y=0.0333x2+0.5となる。すなわち、直線G1がy=0.0333x2+0.5で表される。
【0079】
よって、
図4の直線Gで囲まれる領域は、角度Bをx2としたときに、下記の特定の範囲となる。
【0080】
y≧0.033x2−0.5(但し、30度≦x2≦60度)、y≧0.5(但し、30度≦x2≦105度)、x2≦105度(但し、0.5≦y≦1.5)及びy≦1.5(但し、60度≦x2≦105度)である。
【0081】
よって、本発明においては、角度A及び角度Bがそれぞれ上記特定の範囲内とあることにより、第1,第2のマイクロ流体の閉じた状態にあるマイクロ流路への浸入を確実に防止することができる。