(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
紡糸装置から紡出された複数の糸を引き取る引取部と、前記引取部の下方に配置され、前記引取部で引き取った複数の糸を、水平な第1方向に並んだ複数のボビンに巻き取って複数のパッケージを形成する巻取部とをそれぞれ有し、水平で且つ前記第1方向と直交する第2方向に並んだ複数の引取ユニットと、
前記複数の引取ユニットに対して共通に設けられ、前記第1方向における前記巻取部の一方側に配置され、各引取ユニットの前記引取部に糸掛けを行う糸掛けロボットと、
前記糸掛けロボットの動作を制御する制御装置と、を備え、
前記引取部が、
糸を吸引して保持する第1吸引保持部を有し、
前記糸掛けロボットは、上方から吊り下げられた状態で、前記第2方向に移動可能に構成され、
前記糸掛けロボットは、さらに、
糸を吸引して保持する第2吸引保持部と、
糸を切断するカッターと、を備えていることを特徴とする紡糸巻取設備。
前記糸掛けロボットは、前記第1方向における前記巻取部の前記一方側の、前記巻取部から複数のパッケージが排出されるパッケージ排出空間よりも上方を、前記第2方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紡糸巻取設備。
前記パッケージ回収装置は、前記第1方向における、前記糸掛けロボットに対して、前記複数の引取ユニットと反対側において、前記第2方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の紡糸巻取設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、オペレータが、ゴデットローラ及び各振支点ガイドへの糸掛けを行っている。これに対して、オートメーション化のために、例えば、複数の巻取機にわたって移動可能に構成され、ゴデットローラや各振支点ガイドへの糸掛けを自動的に行う、複数巻取機に共通の糸掛けロボットを設けることが考えられる。
【0006】
一方、特許文献1に記載の紡糸巻取設備では、ボビンホルダからパッケージを回収する必要がある。パッケージの回収は、オペレータが手作業によって行うことや、特許文献2に記載されているような装置を用いて行うことなどが考えられる。
【0007】
特許文献1に記載の紡糸巻取設備に、上述したような糸掛ロボットを設けた場合、ある巻取機においてパッケージの回収を行っているときに、糸掛ロボットを別の巻取機まで移動させ、ゴデットローラや振支点ガイドに糸掛けを行うことがある。このとき、糸掛けロボットの現在位置と、糸掛けを行う巻取機との間の位置で、パッケージの回収が行われていることがある。この場合、糸掛けロボットがパッケージの回収を行っているオペレータや装置と干渉しないようにするために、パッケージの回収が完了するのを待ってから糸掛ロボットを目的の巻取機まで移動させるなどする必要があり、糸掛けが完了するのが遅れてしまう虞がある。
【0008】
本発明の目的は、パッケージの回収を行うオペレータや装置などと干渉しにくい糸掛けロボットを備えた紡糸巻取設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る紡糸巻取設備は、紡糸装置から紡出された複数の糸を引き取る引取部と、前記引取部の下方に配置され、前記引取部で引き取った複数の糸を、水平な第1方向に並んだ複数のボビンに巻き取って複数のパッケージを形成する巻取部とをそれぞれ有し、水平で且つ前記第1方向と直交する第2方向に並んだ複数の引取ユニットと、前記複数の引取ユニットに対して共通に設けられ、前記第1方向における前記巻取部の一方側に配置され、各引取ユニットの前記引取部に糸掛けを行う糸掛けロボットと、前記糸掛けロボットの動作を制御する制御装置と、を備え、
前記引取部が、糸を吸引して保持する第1吸引保持部を有し、前記糸掛けロボットは、上方から吊り下げられた状態で、前記第2方向に移動可能に構成され、
前記糸掛けロボットは、さらに、糸を吸引して保持する第2吸引保持部と、糸を切断するカッターと、を備えている。
【0010】
本発明によると、糸掛けロボットが、上方から吊り下げられた状態で、第2方向に移動可能に構成されているため、移動中の糸掛けロボットが、作業者や別の装置等と接触しにくい。
また、本発明によると、引取部の第1吸引保持部に吸引保持された糸をカッターで切断し、切断された糸を第2吸引保持部で吸引保持することによって、第2吸引保持部(糸掛けロボット)への糸の受け渡しを行うことができる。
第2の発明に係る紡糸巻取設備は、第1の発明に係る紡糸巻取設備において、前記制御装置は、前記カッターに、前記第1吸引保持部に保持された糸を切断させ、前記第2吸引保持部に、切断された糸を吸引保持させることによって、前記第1吸引保持部から前記第2吸引保持部への糸の受け渡しを行わせる。
本発明によると、カッターに、引取部の第1吸引保持部に吸引保持された糸を切断させ、第2吸引保持部に、切断された糸を吸引保持させることによって、糸掛けロボット(第2吸引保持部)への糸の受け渡しを行うことができる。
第3の発明に係る紡糸巻取設備は、第2の発明に係る紡糸巻取設備において、前記引取部は、前記第1吸引保持部の下方に配置され、紡糸装置から紡出された前記複数の糸が巻き掛けられるゴデットローラをさらに備え、前記制御装置は、前記糸掛けロボットに、前記第2吸引保持部で吸引保持した糸を、前記ゴデットローラに糸掛けさせる。
本発明によると、第2吸引保持部で吸引保持された糸を、ゴデットローラに糸掛けすることができる。
第4の発明に係る紡糸巻取設備は、第3の発明に係る紡糸巻取設備において、前記ゴデットローラと前記第1吸引保持部との間に配置され、隣接する糸同士の間隔を所定値に規定する糸規制ガイドをさらに備え、前記糸規制ガイドは、前記制御装置の制御によって、前記ゴデットローラの軸方向に沿って移動可能に構成され、前記制御装置は、前記糸掛けロボットに、前記第2吸引保持部で吸引保持した糸を、前記ゴデットローラに糸掛けさせる際に、前記糸規制ガイドを、前記ゴデットローラの先端部よりも突出する位置まで移動させ、続いて、前記第2吸引保持部を前記ゴデットローラよりも下方まで移動させることによって、前記糸規制ガイドへの糸掛けを行わせ、続いて、前記第2吸引保持部及び前記糸規制ガイドを、前記ゴデットローラの軸方向における基端側に移動させることによって、糸を前記ゴデットローラと重なる位置まで移動させる。
第1吸引保持部から第2吸引保持部に糸の受け渡しが行われた時点では、第2吸引保持部は、ゴデットローラよりも上方に位置している。ゴデットローラに糸掛けを行うためには、第2吸引保持部をゴデットローラよりも下方に移動させる必要がある。また、糸規制ガイドに糸掛けする必要もある。本発明では、上記糸の受け渡しが完了したときに、糸規制ガイドをゴデットローラの先端部よりも突出する位置に移動させたうえで、第2吸引保持部をゴデットローラよりも下方まで移動させることによって、糸規制ガイドへの糸掛けを行わせる。これにより、第2吸引保持部を移動させる際に、糸掛けロボットがゴデットローラに干渉してしまうのを防止することができる。また、第2吸引保持部をゴデットローラよりも下方まで移動させた後、第2吸引保持部及び糸規制ガイドをゴデットローラの軸方向の基端側に移動させることによって、糸をゴデットローラと重なる位置まで移動させる。これにより、ゴデットローラへの糸掛けが可能な状態とすることができる。
【0011】
第
5の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第4のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記糸掛けロボットは、前記第1方向における前記巻取部の前記一方側の、前記巻取部から複数のパッケージが排出されるパッケージ排出空間よりも上方を、前記第2方向に移動可能に構成されている。
【0012】
本発明によると、糸掛けロボットが、パッケージ排出空間よりも上方を移動するため、糸掛けロボットの移動と、パッケージ排出空間でのパッケージの回収とを並行して行うことができる。
【0013】
第
6の発明に係る紡糸巻取設備は、第
5の発明に係る紡糸巻取設備において、前記パッケージ排出空間は、前記巻取部における満巻状態のパッケージの上端と、前記複数の引取ユニットの設置面との間の空間である。
【0014】
本発明によると、糸掛けロボットが、巻取部における満巻状態のパッケージよりも上方を移動するため、糸掛けロボットの移動と、パッケージ排出空間でのパッケージの回収とを並行して行うことができる。
【0015】
第
7の発明に係る紡糸巻取設備は、
第5又は第6の発明に係る紡糸巻取設備において、前記巻取部は、前記パッケージ排出空間に複数のパッケージを排出するパッケージ排出装置を有し、前記パッケージ排出空間において、前記巻取部から排出された複数のパッケージを回収するパッケージ回収装置をさらに備えている。
【0016】
本発明によると、糸掛けロボットの移動と、パッケージ回収装置によるパッケージの回収とを並行して行うことができる。
【0017】
第
8の発明に係る紡糸巻取設備は、第
7の発明に係る紡糸巻取設備において、前記パッケージ回収装置は、前記第1方向における、前記糸掛けロボットに対して、前記複数の引取ユニットと反対側において、前記第2方向に移動可能に構成されている。
【0018】
本発明によると、糸掛けロボットによる糸掛け時においても、パッケージ回収装置を第2方向に移動させることができる。
【0019】
第
9の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第8のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記引取部は、紡糸装置から紡出された前記複数の糸が巻き掛けられるゴデットローラを有し、前記糸掛けロボットは、前記複数の引取ユニットの、前記第1方向における一方側に配置され、前記ゴデットローラに糸掛けし、前記ゴデットローラは、前記糸掛けロボットによる糸掛け時に、前記引取ユニットの、前記第1方向における前記一方側の端部に配置されるように構成されている。
【0020】
本発明によると、上方から吊り下げられた糸掛けロボットが、複数の引取部の第1方向における一方側に配置されているのに対して、ゴデットローラが、糸掛けロボットによる糸掛け時に、引取ユニットの第1方向における上記一方側の端部に配置される。これにより、糸掛けロボットによって、比較的容易にゴデットローラへの糸掛けを行うことができる。
【0021】
第
10の発明に係る紡糸巻取設備は、第
9の発明に係る紡糸巻取設備において、前記巻取部は、前記第1方向に並び、前記ゴデットローラから送られてきた複数の糸を前記複数のボビンに分配する複数の分配ガイドを有し、前記糸掛けロボットは、前記複数の分配ガイドに糸掛けし、前記複数の分配ガイドは、前記糸掛けロボットによる糸掛け時に、前記引取ユニットの、前記第1方向における前記一方側の端部に寄せられるように構成されている。
【0022】
本発明によると、上方から吊り下げられた糸掛けロボットが、複数の引取部の第1方向における一方側に配置されているのに対して、複数の分配ガイドが、糸掛けロボットによる糸掛け時に、引取ユニットの第1方向における上記一方側の端部に寄せられる。これにより、糸掛けロボットによって、比較的容易に複数の分配ガイドへの糸掛けを行うことができる。
【0023】
第
11の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第10のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記糸掛けロボットは、上方から吊り下げられた状態で前記第2方向に移動可能に構成された本体部と、前記本体部に取り付けられたアーム部と、前記アーム部の先端部に取り付けられ、複数の糸を保持する糸保持部と、を有し、前記第2方向に移動するときの移動姿勢において、糸掛けを行うときの糸掛け姿勢よりも、前記アーム部が上方に位置する。
【0024】
本発明によると、糸掛けロボットにおいて、糸掛け時にはアーム部を下げて糸掛けを行うことができる。一方、第2方向への移動時には、アーム部を糸掛け時よりも上方に位置させることにより、アーム部及び糸保持部を、作業者や別の装置等と干渉しにくくすることができる。
【0025】
第
12の発明に係る紡糸巻取設備は、第
11の発明に係る紡糸巻取設備において、前記移動姿勢は、前記糸掛けロボットの前記第2方向への投影面積が最小となるような姿勢である。
【0026】
本発明によると、糸掛けロボットを、移動姿勢となった状態で、第2方向への投影面積が最小となるようにすれば、第2方向に移動する糸掛けロボットを、作業者や別の装置等と最も接触しにくくすることができる。
【0027】
第
13の発明に係る紡糸巻取設備は、
第11又は第12の発明に係る紡糸巻取設備において、前記本体部は、前記第1方向に互いに離れた2か所において支持されて吊り下げられている。
【0028】
本発明によると、本体部が、第1方向に互いに離れた2か所において支持されて吊り下げられているため、アーム部を駆動したときの、本体部の第1方向への揺れを抑えることができる。
【0029】
第
14の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第13のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記糸掛けロボットは、複数のモータによって駆動され、前記制御装置は、前記糸掛けロボットに障害物が接触したか否かを判断し、前記糸掛けロボットに障害物が接触したと判断したときに、前記複数のモータに対してトルク制限を行う。
【0030】
本発明によると、糸掛けロボットが作業者等と接触したときに、糸掛けロボットに対してトルク制限が行われるため、糸掛けロボットと作業者等と接触したときに重大な事故が発生してしまうのを防止することができる。
【0031】
第
15の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第14のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記糸掛けロボットと前記第2方向に重なる空間内の障害物を検出する障害物センサをさらに備え、前記制御装置は、前記障害物センサにより障害物が検出されたときに、前記糸掛けロボットの移動を停止させる。
【0032】
本発明によると、糸掛けロボットが移動中に作業者等と接触してしまうのを防止することができる。
【0033】
第
16の発明に係る紡糸巻取設備は、
第1〜第15のいずれかの発明に係る紡糸巻取設備において、前記第2方向に移動するときの前記糸掛けロボットの下端の、前記複数の引取ユニットの設置面からの高さが、1700mm以上である。
【0034】
本発明によると、引取ユニットと、移動時の糸掛けロボットとの間の空間に1700mm以上の高さがあれば、糸掛けロボットの移動中でも、作業者がこの空間で巻取部のメンテナンス作業や複数のボビンをボビンホルダに装着する作業等を比較的容易に作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、糸掛けロボットが、上方から吊り下げられた状態で、第2方向に移動可能に構成されているため、移動中の糸掛けロボットが、作業者や別の装置等と接触しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0046】
(紡糸巻取設備の全体構成)
本実施の形態に係る紡糸巻取設備1は、図示しない紡糸装置から紡出される複数の糸Yを引き取り、複数のボビンBにそれぞれ巻き取って複数のパッケージPを形成するためのものである。紡糸巻取設備1は、
図1〜
図4に示すように、複数の引取ユニット3と、これら複数の引取ユニット3に対して共通に設けられた、1つの糸掛けロボット4及び1つのパッケージ回収装置5と、を備えている。
【0047】
複数の引取ユニット3は、水平な一方向に並べて配置されている。なお、以下では、複数の引取ユニット3が並ぶ方向を左右方向(本発明の「第2方向」)、水平で且つ左右方向と直交する方向を前後方向(本発明の「第1方向」)、重力が作用する方向を鉛直方向とする。また、以下では、
図1に示すように、左右方向の右側及び左側を定義し、
図2に示すように、前後方向の前側及び後側を定義して説明を行う。
【0048】
(引取ユニット)
各引取ユニット3は、アスピレータ11(本発明の「第1吸引保持部」)と、第1ゴデットローラ12と、糸規制ガイド19と、第2ゴデットローラ13と、巻取部14とを備えている。アスピレータ11は、左右方向に沿って延びている。アスピレータ11は、ゴデットローラ12、13及び巻取部14への糸掛けを行う前に、紡糸装置から紡出されてきた複数の糸Yを予め吸引して保持するためのものである。
【0049】
第1ゴデットローラ12は、軸方向が左右方向とほぼ平行なローラであり、アスピレータ11の鉛直方向における下側に位置する部分に配置されている。これにより、第1ゴデットローラ12は、引取ユニット3の前側の端部に位置している。第1ゴデットローラ12は、第1ゴデットモータ111(
図7参照)によって回転駆動される。
【0050】
糸規制ガイド19は、鉛直方向におけるアスピレータ11と第1ゴデットローラ12との間に配置されている。糸規制ガイド19は、例えば、公知の櫛歯状の糸ガイドであって、複数の糸Yが掛けられたときに、隣接する糸Y同士の間隔を所定値(例えば、4mm)に規定する。また、糸規制ガイド19は、シリンダ119(
図7参照)によって、左右方向(第1ゴデットローラ12の軸方向)に移動させることができるようになっている。これにより、糸規制ガイド19は、左右方向において、第1ゴデットローラ12の先端部よりも突出した突出位置と、第1ゴデットローラ12が配置されている範囲内に収まった引っ込み位置との間で移動可能となっている。
【0051】
第2ゴデットローラ13は、軸方向が左右方向とほぼ平行なローラであり、第1ゴデットローラ12よりも後側に配置されている。第2ゴデットローラ13は、第2ゴデットモータ112(
図7参照)によって回転駆動される。また、第2ゴデットローラ13は、ガイドレール15に移動可能に支持されている。ガイドレール15は、前後方向における後側にいくほど、鉛直方向における上側に位置するように延びている。第2ゴデットローラ13は、シリンダ113(
図7参照)に接続されている。シリンダ113を駆動させると、第2ゴデットローラ13は、ガイドレール15に沿って移動する。これにより、第2ゴデットローラ13は、
図2に実線で示す、糸Yの巻取を行うときの巻取位置と、
図2に一点鎖線で示す、引取ユニット3の前側の端部の第1ゴデットローラ12に近接して配置される、糸掛けを行うときの糸掛け位置との間で移動可能となっている。ここで、第2ゴデットローラ13は、上記糸掛け位置に位置している状態で、引取ユニット3の前側の端部に位置している。
【0052】
紡糸装置から紡出された複数の糸Yは、回転駆動されるゴデットローラ12、13に順に巻き掛けられる。なお、本実施の形態では、アスピレータ11、第1ゴデットローラ12、糸規制ガイド19及び第2ゴデットローラ13を合わせたものが、本発明の「引取部」に相当する。
【0053】
巻取部14は、複数の支点ガイド21(本発明の「分配ガイド」)と、複数のトラバースガイド22と、ターレット23と、2本のボビンホルダ24と、コンタクトローラ25と、プッシャー26とを備えている。複数の支点ガイド21は、
図2、
図4、
図5(a)、(b)に示すように、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に配列されている。また、各支点ガイド21は、後側に開口した溝21aを有し、後側から溝21aに糸Yを挿入することによって糸掛けを行うことができるようになっている。
【0054】
また、複数の支点ガイド21は、
図5(a)、(b)に示すように、複数のスライダ27に取り付けられている。複数のスライダ27は、ガイドレール28に沿って前後方向に移動可能に支持されている。また、複数のスライダ27は、シリンダ114(
図7参照)に接続されている。シリンダ114を駆動させると、複数のスライダ27は、ガイドレール28に沿って前後方向に移動する。これにより、複数の支点ガイド21は、
図2、
図5(a)に示す、前後方向に互いに離れて配置される、糸Yを巻き取るときの巻取位置と、
図5(b)に示す、ガイドレール28の前側において互いに近接して配置される、糸掛けを行うときの糸掛け位置との間で移動可能となっている。これにより、複数の支点ガイド21は、上記糸掛け位置に位置している状態で、引取ユニット3の前側の端部に寄せられる。
【0055】
複数のトラバースガイド22は、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に並んで配置されている。複数のトラバースガイド22は、共通のトラバースモータ115(
図7参照)によって駆動されて、前後方向に往復移動する。これにより、トラバースガイド22に掛けられた糸Yが、支点ガイド21を中心にトラバースされる。
【0056】
ターレット23は、軸方向が前後方向と平行な円板状の部材である。ターレット23は、ターレットモータ116(
図7参照)によって回転駆動される。2本のボビンホルダ24は、それぞれ、軸方向が前後方向と平行であり、ターレット23の上端部及び下端部に回転自在に支持されている。各ボビンホルダ24には、複数の糸Yに対して個別に設けられた複数のボビンBが前後方向に並べて装着されている。また、2つのボビンホルダ24は、それぞれ、個別の巻取モータ117(
図7参照)によって回転駆動される。
【0057】
そして、上側のボビンホルダ24を回転駆動させると、トラバースガイド22によってトラバースされた糸YがボビンBに巻き取られてパッケージPが形成される。また、パッケージPの形成が完了した後には、ターレット23を回転させることにより、2本のボビンホルダ24の上下の位置を入れ換える。これにより、それまで下側に位置していたボビンホルダ24が上側に移動し、このボビンホルダ24に装着されたボビンBに糸Yを巻き取ってパッケージPを形成することができる。また、それまで上側に位置していたボビンホルダ24が下側に移動し、パッケージPの回収が可能となる。
【0058】
コンタクトローラ25は、軸方向が前後方向と平行なローラであり、上側のボビンホルダ24のすぐ上方に配置されている。コンタクトローラ25は、上側のボビンホルダ24に装着されたボビンBに糸Yが巻き取られたパッケージPの表面に接触することで、巻取中のパッケージPの表面に接圧を付与する。
【0059】
プッシャー26は、前後方向に延びたガイドレール29に沿って、ボビンホルダ24の全長にわたって移動可能に構成されている。プッシャー26は、シリンダ118(
図7参照)と接続されている。シリンダ118を駆動すると、プッシャー26が、ガイドレール29に沿って前方に移動し、下側のボビンホルダ24に保持された、満巻状態の複数のパッケージPを巻取部14の前方のパッケージ排出空間Rに押し出す。ここで、パッケージ排出空間Rは、巻取部14の前方の、下側のボビンホルダ24に保持された満巻状態のパッケージPの上端と、引取ユニット3の設置面Gとの間の空間である。
【0060】
(糸掛けロボット)
次に、糸掛けロボット4について説明する。糸掛けロボット4は、本体部31と、ロボットアーム32と、糸掛けユニット33(本発明の「糸保持部」)とを備えている。本体部31は、略直方体形状に構成され、内部に、ロボットアーム32や糸掛けユニット33の動作を制御するための糸掛け制御装置102(
図7参照)などを搭載している。また、複数の引取ユニット3の前側には、前後方向に間隔をあけて配置され、複数の引取ユニット3にわたって左右方向にそれぞれ延びた2本ガイドレール35が配置されている。本体部31は、2本のガイドレール35に吊り下げられ、2本のガイドレール35に沿って左右方向に移動可能となっている。
【0061】
より詳細に説明すると、本体部31の上端部には、
図6(a)、(b)に示すように、4つの車輪36が設けられている。そして、これら4つの車輪36のうち2つずつが、各ガイドレール35の上面に配置されている。これにより、本体部31は、前後方向に互いに離れた2か所においてガイドレール35に支持された状態で、前記ガイドレール35に吊り下げられている。また、各ガイドレール35の上面に配置された2つの車輪36は、それぞれ、左右方向に間隔をあけて配置されている。また、4つの車輪36は、移動モータ121(
図7参照)によって回転駆動され、4つの車輪36が回転駆動されることで、本体部31が、2本のガイドレール35に沿って左右方向に移動する。
【0062】
また、本体部31には、2つのエリアセンサ37(本発明の「障害物センサ」)が設けられている。エリアセンサ37は、本体部31の左右両端部に設けられている。エリアセンサ37は、糸掛けロボット4と左右方向に重なる領域内の、作業者や装置などの障害物の有無を検出する。
【0063】
ロボットアーム32は、本体部31の下面に取り付けられている。ロボットアーム32は、複数のアーム32aとアーム32a同士を連結する複数の関節部32bとを有する。各関節部32bにはアームモータ122(
図7参照)が内蔵されており、アームモータ122(
図7参照)が駆動されると、アーム32aが関節部32bを中心に揺動する。これにより、ロボットアーム32が駆動される。ここで、アームモータ122は、全て最大出力が80W以下となっている。糸掛けユニット33は、ロボットアーム32の先端部に取り付けられている。糸掛けユニット33の先端部には、糸Yを吸引して保持するためのアスピレータ39(本発明の「第2吸引保持部」)と、糸Yを切断するためのカッター38とが設けられている。なお、糸掛けユニット33は、アスピレータ39及びカッター38以外にも、例えば、特開平2015‐164875号公報に開示されているような櫛状の糸掛け補助具等、後述するように複数の糸Yを複数の支点ガイド21に分配して糸掛けするための種々の装置を備えているが、ここでは、これらの装置の構成についての説明は省略する。
【0064】
(パッケージ回収装置)
パッケージ回収装置5は、昇降部41と、支柱部42とを有している。昇降部41は、水平に延びた略直方体形状を有している。昇降部41の内部には、ボビンホルダ24とほぼ同じ長さにわたって、昇降部41の長手方向に延びたシャフト43が設けられている。シャフト43は、後述するようにパッケージPを回収する際に、パッケージPに挿通される。支柱部42は、糸掛けロボット4よりも前方に配置され、鉛直方向に延びている。昇降部41は、支柱部42に昇降可能に支持されている。昇降部41には、シリンダ131(
図7参照)が接続され、シリンダ131を駆動させると、昇降部41が支柱部42に沿って昇降する。また、支柱部42は、鉛直方向の両端部が、それぞれ、左右方向に延びたガイドレール44、45に支持されているとともに、ガイドレール44、45に沿って左右方向に移動可能となっている。支柱部42にはシリンダ132(
図7参照)が接続されており、シリンダ132を駆動させると、支柱部42を左右方向に移動する。支柱部42が左右方向に移動すると、支柱部42に取り付けられた昇降部41も左右方向に移動する。また、支柱部42は、モータ133(
図7参照)に接続されている。そして、モータ133を駆動させると、支柱部42が上下端の位置が固定された状態で回転する。支柱部42が回転すると、支柱部42に取り付けられた昇降部41も回転する。これにより、パッケージ回収装置5では、昇降部41は、
図1、
図2に示すように、シャフト43が前後方向とほぼ平行となった回収姿勢と、
図3、
図4に示すように、シャフト43が左右方向とほぼ平行となった搬送姿勢とを取ることができる。昇降部41は、回収姿勢となっている状態では、その一部分が、前後方向において、糸掛けロボット4が配置される範囲内に位置する。また、昇降部41は、搬送姿勢となっている状態では、その全体が、糸掛けロボット4よりも前方に位置する。
【0065】
(紡糸巻取設備の電気的構成)
次に、紡糸巻取設備1の電気的構成について説明する。紡糸巻取設備1では、
図7に示すように、各引取ユニット3に引取ユニット制御装置101が設けられ、引取ユニット制御装置101が、第1ゴデットモータ111、第2ゴデットモータ112、シリンダ113、114、118、119、トラバースモータ115、ターレットモータ116、巻取モータ117等の動作を制御する。なお、各引取ユニット3は、巻取モータ117を2つ備えているが、
図7では、巻取モータ117を1つだけ図示している。また、
図7では、1つの引取ユニット制御装置101についてのみ、その制御対象である第1ゴデットモータ111、第2ゴデットモータ112、シリンダ113、114、トラバースモータ115、ターレットモータ116、巻取モータ117及びシリンダ118を図示している。
【0066】
また、紡糸巻取設備1では、糸掛けロボット4に糸掛け制御装置102が設けられ、糸掛け制御装置102が、移動モータ121、アームモータ122、糸掛けユニット33等の動作を制御する。また、糸掛け制御装置102には、糸掛けロボット4のモータ121、122のトルクの情報、エリアセンサ37の検出結果等が入力される。なお、ロボットアーム32は、複数の関節部32bを有し、複数の関節部32bに対応する複数のアームモータ122を有しているが、
図7では、アームモータ122を1つだけ図示している。また、本体部31には2つのエリアセンサ37が設けられているが、
図7では、エリアセンサ37を1つだけ図示している。
【0067】
また、紡糸巻取設備1では、パッケージ回収装置5に回収制御装置103が設けられ、回収制御装置103が、シリンダ131、132、モータ133等の動作を制御する。
【0068】
さらに、紡糸巻取設備1は、装置全体の制御を行うための制御装置100を備えている。制御装置100は、複数の引取ユニット3に設けられた複数の引取ユニット制御装置101、糸掛け制御装置102及び回収制御装置103と接続されており、複数の引取ユニット制御装置101、糸掛け制御装置102及び回収制御装置103の動作を制御することによって、紡糸巻取設備1全体の動作を制御する。
【0069】
(糸掛けの方法)
次に、糸掛けロボット4に、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21への糸掛けを行わせる方法について説明する。
【0070】
糸掛けロボット4に糸掛けを行わせる前には、紡糸装置から紡出された複数の糸Yを、予めアスピレータ11に吸引保持させておく。また、糸掛けを行う引取ユニット3の、第2ゴデットローラ13を上述の糸掛け位置に位置させることで、引取ユニット3の前側の端部に位置させておく。また、複数の支点ガイド21を、上述の糸掛け位置に位置させることで引取ユニット3の前側の端部に寄せておく。
【0071】
糸掛けロボット4により、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21に糸掛けを行うためには、まず、糸掛けロボット4を、糸掛けを行う引取ユニット3の前方まで移動させる。このとき、
図1、
図2に示すように、ロボットアーム32を、本体部31に最も近いアーム32aが左右方向とほぼ平行となり、これよりも先端側のアーム32aが鉛直方向とほぼ平行となるような姿勢とする。なお、この状態での糸掛けロボット4の姿勢が、本発明の「移動姿勢」に相当する。
【0072】
糸掛けロボット4を上記移動姿勢にすると、ロボットアーム32及び糸掛けユニット33の大部分が本体部31と左右方向に重なり、糸掛けロボット4の左右方向への投影面積が最小となる。また、移動姿勢となっている糸掛けロボット4は、上述のパッケージ排出空間Rよりも上方に位置している。また、糸掛けロボット4の下端の、引取ユニット3の設置面Gからの高さHが、1700mm程度となっている。
【0073】
ただし、糸掛けロボット4を引取ユニット3の前方まで移動させる途中で、エリアセンサ37により障害物が検出されたときには、糸掛けロボット4の移動(移動モータ121の駆動)を停止させ、その後、エリアセンサ37により障害物が検出されなくなってから、糸掛けロボット4の移動を再開させる。
【0074】
そして、糸掛けロボット4を、糸掛けを行う引取ユニット3の前方まで移動させた後、ロボットアーム32を移動姿勢よりも下側に下げて、
図8(a)に示すように、糸掛けユニット33を、アスピレータ39の先端部が複数の糸Yに押し付けられる位置まで移動させる。また、このとき、カッター38は、アスピレータ39よりも下方に位置しており、複数の糸Yは、カッター38を通過している。続いて、アスピレータ39に吸引を行わせたうえで、カッター38で糸を切断する。これにより、切断された複数の糸Yが、アスピレータ39に吸引保持され、
図8(b)に示すように、アスピレータ11からアスピレータ39への複数の糸Yの受け渡しが行われる。
【0075】
そして、アスピレータ11からアスピレータ39への複数の糸Yの受け渡しが完了した後、続いて、
図8(c)、(d)に示すように、糸規制ガイド19を、上記突出位置まで移動させたうえで、糸掛けユニット33を、糸規制ガイド19に複数の糸Yを掛けることができる左右方向の位置で、第1ゴデットローラ12よりも下方まで移動させる。なお、本実施の形態では、例えば、カッター38を駆動するための信号が出力されたときに、アスピレータ11からアスピレータ39への複数の糸Yの受け渡しが完了したと判断して、上記動作を行わせる。
【0076】
続いて、
図8(e)に示すように、ロボットアーム32の糸掛けユニット33を第1ゴデットローラ12の軸方向における基端側に移動させるとともに、シリンダ119に糸規制ガイド19をゴデットローラ12の軸方向における基端側に移動させることによって、複数の糸Yを、ゴデットローラ12の外周面と重なる位置まで移動させる。そして、この後、ロボットアーム32の糸掛けユニット33を移動させることによって、
図8(f)に示すように、複数の糸Yを、ゴデットローラ12、13に巻き掛ける。
【0077】
さらに、この後、複数の糸Yを、複数の支点ガイド21に1本ずつ糸掛けする。これにより、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21への糸掛けが完了する。そして、糸掛けの完了後、第2ゴデットローラ13及び複数の支点ガイド21を上記巻取位置に移動させる。なお、本実施の形態では、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21に糸掛けを行うときの、ロボットアーム32が上記移動姿勢よりも下側に位置している状態での自動糸掛けロボットの姿勢が、本発明の「糸掛け姿勢」に相当する。ここで、
図3、
図4では、ロボットアーム32が、パッケージ排出空間Rよりも上方に位置しているが、ロボットアーム32は、糸掛け時にロボットアーム32が駆動したときに、一時的にパッケージ排出空間R内に侵入することがある。
【0078】
また、このようにして糸掛けロボット4により糸掛けを行っている途中で、移動モータ121及びアームモータ122のいずれかのトルクが所定量以上変動したときには、糸掛けロボット4が作業者等に接触したと判断して移動モータ121及びアームモータ122のトルク制限を行う。
【0079】
(パッケージの回収方法)
次に、パッケージ回収装置5を用いてパッケージPを回収する方法について説明する。パッケージ回収装置5を用いてパッケージPを回収するためには、昇降部41を、下側のボビンホルダ24と同じ高さまで降下させるとともに、上記搬送姿勢とした状態で、パッケージPの回収が行われる引取ユニット3の前方まで移動させる。続いて、昇降部41を約90度回転させて回収姿勢とする。そして、この状態で、
図9に示すように、プッシャー26により、下側のボビンホルダ24に保持された複数のパッケージPを押し出す。これにより、シャフト43が、ボビンホルダ24から押し出された複数のパッケージPに挿通され、これら複数のパッケージPがシャフト43に保持される。
【0080】
プッシャー26によるパッケージPの排出の完了後、
図10に示すように、昇降部41を約90度回転させて搬送姿勢とし、左右方向に移動させることにより、回収したパッケージPを搬送する。また、プッシャー26を後方に移動させることによって、パッケージPを押し出す前の位置まで戻す。そして、この後、パッケージPが排出されたボビンホルダ24に複数のボビンBを装着する。なお、ボビンホルダ24への複数のボビンBの装着は、例えば、作業者が手作業で行う。あるいは、パッケージ回収装置5が、パッケージPの搬送の完了後に、ボビンホルダ24への複数のボビンBの装着を行うようにしてもよい。
【0081】
以上に説明した実施の形態によると、引取ユニット3の前方に配置された糸掛けロボット4が、ガイドレール35に吊り下げられていることにより、糸掛けロボット4の下側に空間ができる。これにより、移動中の糸掛けロボット4が、作業者や別の装置等と干渉しにくい。
【0082】
ここで、本実施の形態では、第1ゴデットローラ12が引取ユニット3の前側の端部に配置されている。また、上述したように、糸掛け時に、第2ゴデットローラ13を引取ユニット3の前側の端部に位置させることができ、複数の支点ガイド21を引取ユニット3の前側の端部に寄せることができる。これにより、引取ユニット3の前方に配置された糸掛けロボット4によって、比較的容易に、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21への糸掛けを行うことができる。なお、支点ガイド21への糸掛けは、例えば、特開平2015‐164875号公報に開示されているような糸掛け手法(櫛状糸掛け補助具を用いた糸掛け)を適用・応用すれば、ロボットの動作プログラムや制御が容易となる。
【0083】
また、移動姿勢となった糸掛けロボット4は、パッケージ排出空間Rよりも上方を左右方向に移動可能となる。これにより、パッケージ回収装置5により、ある引取ユニット3のボビンホルダ24からパッケージPを回収しているときに、糸掛けロボット4を、昇降部41の上方を左右方向に移動させることによって、別の引取ユニット3の前方まで移動させることができる。したがって、上記別の引取ユニット3のゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21に糸掛けを行うために、糸掛けロボット4を移動させる際に、ボビンホルダ24からのパッケージPの回収が完了するのを待つ必要がない。すなわち、糸掛けロボット4による糸掛けと、パッケージ回収装置5によるパッケージPの回収とを並行して行うことができる。これにより、糸掛けが完了するのが遅れてしまうのを防止することができる。
【0084】
また、パッケージ回収装置5の昇降部41は、搬送姿勢となった状態で、その全体が、糸掛けロボット4よりも前方に位置している。これにより、糸掛けロボット4により糸掛けを行っているときに、昇降部41を左右方向に移動させても、糸掛けロボット4と昇降部41とが干渉することがない。すなわち、糸掛けロボット4による糸掛け中での、昇降部41を左右方向に移動させることができる。
【0085】
また、糸掛けロボット4は、移動姿勢となっている状態で、左右方向への投影面積が最小となる。これにより、糸掛けロボット4を左右方向に移動させるときに、糸掛けロボット4が作業者や別の装置等と最も干渉しにくい。
【0086】
また、糸掛けロボット4の本体部31は、前後方向に互いに間隔をあけて配置された2本のガイドレール35に支持されて吊り下げられている。これにより、糸掛け時等にロボットアーム32を駆動させてアーム32aを揺動させたときの、糸掛けロボット4の前後方向への揺れを抑えることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、糸掛けロボット4の本体部31に、エリアセンサ37が設けられ、エリアセンサ37により障害物が検出されたときに、糸掛けロボット4の移動を停止させる。これにより、移動中の糸掛けロボット4が作業者等と接触するのを防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、糸掛けロボット4のアームモータ122の最大出力が全て、国際規格ISO10218に準拠する80W以下となっているため、糸掛け時に、糸掛けロボット4が作業者に接触した場合に、重大な事故が発生してしまうのを防止することができる。
【0089】
さらに、本実施の形態では、移動モータ121及びアームモータ122のトルクの変化に基づいて、糸掛けロボット4が作業者等に接触したか否かを判断し、糸掛けロボット4に作業者などが接触したときに、移動モータ121、アームモータ122のトルク制限が行われる。これにより、糸掛けロボット4が作業者に接触したときに重大な事故が発生してしまうのを防止することができる。
【0090】
また、移動姿勢の糸掛けロボット4の下端の、引取ユニット3の設置面Gからの高さHが1700mm程度となっている。これにより、移動中の糸掛けロボット4の下方に、高さが1700mm程度の空間ができ、作業者は、この空間で比較的容易に作業を行うことができる。
【0091】
また、複数の糸Yがアスピレータ11で吸引保持された状態で、アスピレータ39を複数の糸Yに押し付け、アスピレータ39に吸引を行わせたうえで、カッター38に複数の糸Yを切断させることにより、アスピレータ11からアスピレータ39への複数の糸Yの受け渡しを行うことができる。さらに、アスピレータ11からアスピレータ39への複数の糸Yの受け渡しの後、糸規制ガイド19を、上記突出位置まで移動させたうえで、糸掛けユニット33を、第1ゴデットローラ12よりも下方まで移動させる。これにより、糸掛けユニット33は、ゴデットローラ12よりも右側の位置で下方に移動することになり、糸掛けユニット33が第1ゴデットローラ12に干渉してしまうのを防止することができる。
【0092】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0093】
上述の実施の形態では、移動姿勢の糸掛けロボット4の下端の、引取ユニット3の設置面Gからの高さHが1700mm程度であったが、これには限られない。高さHは、1700mmよりも高くてもよい。この場合でも、作業者は、糸掛けロボット4の下方の空間で、比較的容易に作業を行うことができる。また、高さHは、1700mmよりも低くてもよい。
【0094】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4が移動姿勢となっている状態で、糸掛けロボット4の左右方向への投影面積が最小となるようにしたが、これには限られない。糸掛けロボット4の、移動姿勢となっている状態での左右方向への投影面積は、上述の実施の形態の最小となる面積よりも大きくてもよい。
【0095】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4が、移動姿勢となっているときに、糸掛け姿勢となっているときよりも、アーム32a及び糸掛けユニット33が上方に位置していたが、これには限られない。例えば、糸掛け時に、常に糸掛けロボット4の下端が、上記パッケージ排出空間Rよりも上方に位置する場合には、糸掛けロボット4が、移動姿勢となっているときと糸掛け姿勢となっているときとで、アーム32a及び糸掛けユニット33の高さがほぼ同じであってもよい。
【0096】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4の本体部31に、エリアセンサ37が設けられていたが、エリアセンサ37は設けられていなくてもよい。この場合には、糸掛けロボット4が左右方向に移動して作業者と接触することがある。しかしながら、例えば、本体部31の移動中にも、上述の実施の形態と同様に、糸掛けロボット4が作業者等に接触したと判断されたときに、移動モータ121及び複数のアームモータ122のトルク制限を行うようにすれば、糸掛けロボット4が作業者に接触したときに重大な事故が発生するのを防止することができる。
【0097】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4が作業者等に接触したと判断されたときに、移動モータ121及び複数のアームモータ122のトルク制限を行ったが、このトルク制限は行わなくてもよい。複数のアームモータ122の最大出力が全て80W以下であれば、上記トルク制限を行わなくても、糸掛け時に、糸掛けロボット4が作業者に接触した場合に、重大な事故が発生することを防止することができる
【0098】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4の複数のアームモータ122の最大出力が全て80W以下であったが、これには限られない。複数のアームモータ122のうち、少なくとも一部の最大出力は80Wよりも大きくてもよい。この場合でも、例えば、上述の実施の形態と同様に、糸掛けロボット4が作業者等に接触したと判断されたときに、アームモータ122のトルク制限を行うようにすれば、糸掛けロボット4が作業者に接触したときに重大な事故が発生してしまうのを防止することができる。
【0099】
また、上述の実施の形態では、エリアセンサ37により障害物が検出されたときに、糸掛けロボット4の移動を停止させていたが、これには限られない。例えば、エリアセンサ37により障害物が検出されたときに、第1段階として、糸掛けロボット4の移動速度をより安全な速度まで低下させ、その後、第2段階として、糸掛けロボット4が障害物と接触する前に、糸掛けロボット4の移動を停止させてもよい。
【0100】
また、上述の実施の形態では、障害物センサとしてエリアセンサ37が設けられていたが、これには限られない。一変形例では、
図11に示すように、エリアセンサ37の代わりに接触センサ201が設けられている。接触センサ201は、糸掛けロボット4に作業者等の障害物が接触したことを検出する。なお、接触センサ201は、本体部31(
図1参照)の、エリアセンサ37が設けられていたのと同様の部分に設けられていてもよいが、ロボットアーム32の先端部等、作業者等の障害物との接触が想定される糸掛けロボット4の各部分に設けられていることがより好ましい。この場合には、接触センサ201は、糸掛けロボット4に障害物が接触したことを検出することによって、糸掛けロボット4と左右方向に重なる領域内の障害物を検出する。そして、この場合には、糸掛けロボット4が左右方向に移動して作業者等と接触したときに糸掛けロボット4の移動を停止させることができる。
【0101】
あるいは、障害物センサとして、エリアセンサ37と接触センサ201の両方が設けられていてもよい。この場合には、例えば、糸掛けロボット4が左右方向に移動する際に、エリアセンサ37により障害物が検出されたときに、糸掛けロボット4の移動速度をより安全な速度まで低下させる。その後、さらに、接触センサ201により、糸掛けロボット4に障害物が接触したことが検出されたときに糸掛けロボット4の移動を停止させる。
【0102】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4の本体部31が、前後方向に間隔をあけて配置された2本のガイドレール35に支持されて吊り下げられていたが、これには限られない。本体部31は、1本のガイドレール35に支持されて吊り下げられていてもよい。
【0103】
また、上述の実施の形態では、パッケージ回収装置5の昇降部41が、搬送姿勢となっている状態で、糸掛けロボット4よりも前方に位置するようにしたが、これには限られない。昇降部41は、搬送姿勢となっている状態で、その一部分において、糸掛けロボット4と前後方向の位置が重なっていてもよい。この場合には、糸掛けロボット4による糸掛けの最中に昇降部41を左右方向移動させると、昇降部41が糸掛けロボット4に干渉してしまう虞がある。そのため、糸掛けロボット4による糸掛けが完了するまで、昇降部41の左右方向への移動を停止させる必要が生じることがある。ただし、この場合でも、昇降部41を、移動姿勢の糸掛けロボット4よりも下方に位置させることができるため、昇降部41の移動と糸掛けロボット4の移動とを並行して行うことはできる。
【0104】
また、上述の実施の形態では、回収制御装置103に制御されるパッケージ回収装置5によって、ボビンホルダ24からパッケージPが回収されるようにしたが、これには限られない。例えば、作業者が、シャフトを有する台車を、パッケージPが回収される引取ユニット3の前方に移動させ、この状態でプッシャー26を前方に移動させることにより、シャフトをパッケージPに挿通させるようにしてもよい。あるいは、作業者が手作業でボビンホルダ24からパッケージPを回収してもよい。
【0105】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4により、ゴデットローラ12、13及び複数の支点ガイド21に糸掛けを行わせていたが、これには限られない。例えば、糸掛けロボット4にゴデットローラ12、13への糸掛けを行わせ、その後、作業者が手作業で、あるいは、巻取部14に備えられた複数の支点ガイドへの自動糸掛け装置を用いて、複数の支点ガイド21への糸掛けを行うなどしてもよい。あるいは、糸掛けロボット4に、ゴデットローラ12、13や複数の支点ガイド21以外の糸ガイドやノズル等への糸掛けを行わせてもよい。
【0106】
また、上述の実施の形態では、アスピレータ11によって吸引された糸Yをカッター38で切断し、切断された糸Yをアスピレータ39で吸引することによって、アスピレータ39への糸Yの受け渡しを行ったが、これには限られない。例えば、アスピレータ11がなく、紡糸装置から紡出された糸Yを、アスピレータ39で直接吸引するなどしてもよい。また、糸掛けユニット33の先端部にカッター38を備えておらず、アスピレータ11の上部にアスピレータ11によって吸引された糸Yを切断するカッターを備えていてもよい。
【0107】
また、上述の実施の形態では、糸規制ガイド19が左右方向に移動可能となっており、糸規制ガイド19を、左右方向における第1ゴデットローラ12の先端部よりも突出した突出位置に移動させたうえで、アスピレータ39で糸Yを吸引保持した糸掛けユニット33を第1ゴデットローラ12の下方まで移動させることによって、糸規制ガイド19に糸掛けを行ったが、これには限られない。例えば、糸規制ガイド19が前後方向に移動可能になっていてもよい。この場合には、例えば、糸規制ガイド19を第1ゴデットローラよりも前方に移動させたうえで、アスピレータ39で複数の糸Yを吸引保持した糸掛けユニット33を糸規制ガイド19と第1ゴデットローラ12との間の位置まで移動させることによって、糸規制ガイド19に糸掛けを行う。さらに、その後、糸掛けユニット33を第1ゴデットローラ12よりも下方まで移動させてから、糸規制ガイド19を後方に移動させることによって、第1ゴデットローラ12に糸掛けを行う。この場合には、糸掛けユニット33を第1ゴデットローラ12よりも下方まで移動させる際に、糸掛けユニット33を第1ゴデットローラ12よりも前方で移動させることができるため、糸掛けユニット33が第1ゴデットローラ12と干渉してしまうのを防止することができる。
【0108】
さらには、糸規制ガイド19は移動可能であることにも限られない。例えば、糸規制ガイド19が上記引っ込み位置に固定されたものであってもよい。糸掛けユニット33は、ロボットアーム32により、鉛直方向だけでなく、左右方向及び前後方向にも自由に移動させることができる。したがって、この場合には、例えば、糸掛けユニット33を、糸規制ガイド19と第1ゴデットローラ12との間で移動させることによって、複数の糸Yを糸規制ガイド19に糸掛けする。その後、糸掛けユニット33を、第1ゴデットローラ12よりも右側まで移動させたうえで、第1ゴデットローラ12よりも下方まで移動させる。これにより、糸掛けユニット33が第1ゴデットローラ12と干渉してしまうのを防止することができる。ただし、この場合には、上述の実施の形態の場合と比較して、ロボットアーム32の制御が複雑になってしまう。
【0109】
また、上述の実施の形態では、第2ゴデットローラ13が、巻取位置と糸掛け位置との間で移動可能となっていたが、これには限られない。第2ゴデットローラ13は、引取ユニット3の前側の端部に固定されていてもよい。
【0110】
また、上述の実施の形態では、各引取ユニット3が、2つのゴデットローラ12、13を備えていたが、これには限られない。各引取ユニット3が、3つ以上のゴデットローラを備えていてもよい。
【0111】
また、上述の実施の形態では、紡糸装置から紡出された複数の糸Yを、予めアスピレータ11に吸引保持させていたが、これには限られない。例えば、紡糸装置から紡出された複数の糸Yを、図示しない糸降ろし装置によって、アスピレータ11と対向する位置まで降ろし、アスピレータ11が、糸降ろし装置から複数の糸Yに吸引するようにしてもよい。
【0112】
また、上述の実施の形態では、糸掛けロボット4は、上方から吊り下げられた状態で、左右方向に移動可能に構成されていたが、これには限られない。例えば、糸掛けロボット4は、左右方向に加えて鉛直方向にも移動可能となっていてもよい。この場合には、糸掛けロボット4を左右方向に移動させる際に、糸掛けロボット4を上方に移動させることにより、移動姿勢の糸掛けロボット4の下端の、引取ユニット3の設置面Gからの高さHをより高くすることができる。例えば、高さHを、上述の実施の形態の1700mmよりさらに高い2000mm以上とすれば、作業者の作業時の作業性をより高くすることができるのに加えて、安全性も高くすることができる。また、糸掛けロボット4が鉛直方向に移動可能であるため、糸掛け時に糸掛けロボット4を下方に移動させるようにすれば、ロボットアーム32の長さを短くすることできる。ロボットアーム32が短ければ、小回りが利くため、ロボットアーム32の位置決め調整が容易になり、位置決め精度も向上できる。
【0113】
また、上述の実施の形態では、引取部が、2つのゴデットローラ12、13を有するものであったが、これには限られない。引取部は、例えば、特開2014−5555号公報に記載されているような、内部にヒータを備えた複数のゴデットローラ(加熱ローラ)を有するものであってもよい。この場合でも、糸掛けロボットにより、これら複数のゴデットローラに糸掛けを行うことができる。