(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体の重力に垂直な水平面からの傾斜情報を検出する傾斜センサと、前記傾斜情報に基づいて前記移動体の姿勢を制御する制御部とを有する移動体制御システムであって、
前記傾斜センサは、
前記移動体に対して相対的に移動可能に配置され、流体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの出力と前記圧力センサの移動情報とに基づいて、前記傾斜情報を検出する傾斜情報検出部と、
を備えることを特徴とする移動体制御システム。
前記傾斜センサは、前記移動体に対して前記圧力センサを所定の移動経路で移動させる移動機構を備え、前記傾斜情報検出部は、前記圧力センサの移動情報と、前記圧力センサの出力とに基づいて、前記移動体の傾斜情報を検出することを特徴とする請求項1に記載の移動体制御システム。
前記移動機構は、前記圧力センサが配置される回転体を備え、前記回転体を回転させることによって前記圧力センサを円状に移動させることを特徴とする請求項2に記載の移動体制御システム。
前記移動機構は、前記圧力センサが配置され、直線状に移動可能な直線移動体を備え、前記直線移動体を直線状に移動させることによって前記圧力センサを直線移動させることを特徴とする請求項2に記載の移動体制御システム。
前記傾斜情報検出部は、前記圧力センサの移動距離と、前記移動距離に対する前記圧力センサの出力値の変化とに基づいて、前記傾斜情報を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記制御部は、前記移動体の外部に設けられており、前記傾斜センサにおいて検出された前記傾斜情報を受信し、当該傾斜情報に基づいて前記移動体の姿勢を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記移動体は車両であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記車両の姿勢に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記移動体は自律走行型の車両であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記車両の姿勢に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記移動体は飛翔体であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記飛翔体の姿勢に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記移動体は自律飛行型の飛翔体であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記飛翔体の姿勢に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動体制御システム。
前記移動体は患者を介護するロボットであり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記ロボットの少なくとも一部の姿勢に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の移動体制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には次の課題がある。即ち、加速度センサを用いて傾斜情報を得る場合は、移動体が加速運動すると、加速度センサが、移動体の加速度と重力加速度とを重畳した出力を与えてしまい、その結果、正確な傾斜角が得られないという問題が有った。また、ジャイロセンサを用いる方式では、移動体の回転速度を積分することで傾斜情報を得ているので、初期時刻から経過するにつれて誤差が積算されてしまい、正確な傾斜角が得られないという問題が有った。
【0007】
さらに特許文献1に開示されているように、加速度センサとジャイロセンサとを用いる方式では、2種類のセンサ出力にかかる重み付けを決めるモデリングを慎重に決める必要が有り、さらに元々両者のセンサ出力には上述した誤差が含まれているため、得られる傾斜角の正確性には限界が有った。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、傾斜情報に基づいて移動体の姿勢を制御する移動体制御システムであって、正確な傾斜情報を検出可能な移動体制御システム、及びそれを備える移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の特徴は、移動体の重力に垂直な水平面からの傾斜情報を検出する傾斜センサと、傾斜情報に基づいて移動体の姿勢を制御する制御部とを有する移動体制御システムであって、傾斜センサは、移動体に対して相対的に移動可能に配置され、流体の圧力を検出する圧力センサと、圧力センサの出力と圧力センサの移動情報とに基づいて、傾斜情報を検出する傾斜情報検出部と、を備えることとした。
【0010】
当該発明によれば、圧力センサの出力と圧力センサの移動情報とに基づいて傾斜情報を検出しているので、移動体が加速運動中であっても慣性力による影響を受けず、正確な傾斜情報を得ることができる。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は、傾斜センサは、移動体に対して圧力センサを所定の移動経路で移動させる移動機構を備え、傾斜情報検出部は、圧力センサの移動情報と、圧力センサの出力とに基づいて、移動体の傾斜情報を検出することである。
【0012】
当該発明によると、移動経路が毎回安定して一定であり、その移動距離を用いて正確な傾斜情報を得ることができる。
【0013】
また、本発明の第3の特徴は、移動機構は、圧力センサが配置される回転体を備え、回転体を回転させることによって圧力センサを円状に移動させることである。
【0014】
当該発明によると、安定した移動により正確な高さ変位が検出され、正確な傾斜情報を得ることができる。
【0015】
また、本発明の第4の特徴は、移動機構は、圧力センサが配置され、直線状に移動可能な直線移動体を備え、直線移動体を直線状に移動させることによって圧力センサを直線移動させることである。
【0016】
当該発明によると、当該直線に沿った所定方向の傾斜情報を正確に得ることができる。
【0017】
また、本発明の第5の特徴は、傾斜情報検出部は、圧力センサの移動距離と、移動距離に対する圧力センサの出力値の変化とに基づいて、傾斜情報を検出することである。
【0018】
当該発明によると、正確な移動距離に基づいた算出により、傾斜情報を正確に得ることができる。
【0019】
また、本発明の第6の特徴は、制御部は、前記移動体の外部に設けられており、前記傾斜センサにおいて検出された前記傾斜情報を受信し、当該傾斜情報に基づいて前記移動体の姿勢を制御することである。
【0020】
当該発明によると、制御部を移動体の外部に設けることにより、移動体の構成をより簡素化することができ、移動体の小型化、省電力化を達成できる。
【0021】
また、本発明の第7の特徴は、移動体は車両であり、傾斜情報は水平面に対する車両の姿勢に関する情報であることである。また、本発明の第8の特徴は、移動体は自律走行型の車両であり、傾斜情報は水平面に対する車両の姿勢に関する情報であることである。
【0022】
当該発明によると、地上の凹凸や傾斜など種々の要因によって移動体が傾斜しても、正確な姿勢情報を得ることができる。
【0023】
また、本発明の第9の特徴は、移動体は飛翔体であり、傾斜情報は水平面に対する飛翔体の姿勢に関する情報であることである。また、本発明の第10の特徴は、移動体は自律飛行型の飛翔体であり、傾斜情報は水平面に対する飛翔体の姿勢に関する情報であることである。
【0024】
当該発明によると、空中の風などの外乱によって移動体が傾斜しても、正確な姿勢情報を得ることができる。
【0025】
また、本発明の第11の特徴は、移動体は患者を介護するロボットであり、傾斜情報は水平面に対するロボットの少なくとも一部の姿勢に関する情報であることである。また、本発明の第12の特徴は、上記移動体制御システムを有し、該移動体制御システムによって、姿勢を制御可能に構成されている移動体であることである。
【0026】
当該発明によると、患者の体重や体動によって移動体が傾斜しても、正確な姿勢情報を得ることができる。また、正確、かつ精度よく姿勢を制御可能な移動体を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように本発明によれば、傾斜情報に基づいて移動体の姿勢を制御する移動体制御システムであって、正確な傾斜情報を検出可能な移動体制御システム、及びそれを備える移動体を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る移動体制御システム及び移動体の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明に係る移動体制御システムは、傾斜センサが検出する移動体の傾斜情報に基づいて、移動体の姿勢を精度よく、かつ正確に制御するものであるが、ここで「移動体の姿勢」とは、移動体全体の姿勢のみならず、移動体の一部の姿勢も含むものとする。
【0030】
(第1の実施形態)
<全体構成>
図1は、第1の実施形態に係る移動体1の模式図である。移動体1は、床や地面の上を走行する自律走行型機械(車両)である。移動体1は、上部筐体2、中央部筐体3、下部筐体4、から成る。上部筐体2には、カメラ5が設けられている。中央部筐体3には、傾斜センサ6、制御部7、記憶部8が設けられている。下部筐体4には、モータ9、モータ制御部10が設けられている。このように、本実施形態に係る移動体制御システムは、移動体1の内部に組み込まれている。
【0031】
移動体1は、走行中に床の傾きや障害物などのために姿勢が傾斜することがあるが、これに対して、移動体制御システムを司る制御部7が、移動体1の姿勢を常に把握してモータ制御部10に対して命令を出し、モータ9の動作によって移動体1全体の姿勢を維持するように制御している。移動体1の傾斜角などの傾斜情報は、傾斜センサ6が生成して制御部7に送信する。なお、ここでは重力と反対方向をZ方向、移動体1の前方方向をY方向、移動体1の左方向をX方向と定義し、傾斜情報とは、重力に垂直な水平面に対する傾斜情報とする。
【0032】
図2は、傾斜センサ6のブロック図である。傾斜センサ6は、中央部筐体3に対して固定された移動機構20と、圧力センサ11と、磁石31と、回転検出部32と、同期クロック信号生成部33と、電源部34と、スリップリング35と、傾斜情報検出部40とを備えている。また、移動機構20は、回転板21(回転体の一例)と、傾斜センサモータ制御部22と、傾斜センサモータ23とを備えている。
【0033】
移動機構20は、回転板21を回転させることよって圧力センサ11を円状に移動させる。回転板21は、傾斜センサモータ23によって回転軸C1回りに回転する。圧力センサ11は、例えば、空気、液体などの流体の圧力を検出する。
【0034】
圧力センサ11は、例えば、圧力による物理的な変形により抵抗値が変化する差圧センサ(相対センサ)と、当該差圧センサを抵抗の一部とするホイートストンブリッジ回路と、出力アンプとを備えており、圧力による差圧センサの抵抗変化に基づいて、圧力(例えば、気圧)を検出する。なお、XYZ直交座標系は
図1と同一の定義であり、重力と反対方向をZ方向とする。基準状態として移動体1が直立しているとすると、回転板21は重力に直交する水平面(XY平面)上を所定の回転速度で回転する。
【0035】
磁石31は、回転板21の円周付近に配置されており、圧力センサ11(又は回転板21)の回転位置の検出に利用される。回転検出部32(移動情報検出部の一例)は、圧力センサ11の移動情報を検出する。なお、圧力センサ11の移動情報とは、例えば、圧力センサ11の移動位置(回転位置)、移動量、速度、方向、及び位相、又はこれらの組み合わせなどの情報であり、ここでは、一例として、圧力センサ11の回転位置を示す情報(回転位置情報)を、圧力センサ11の移動情報として説明する。回転検出部32は、例えば、ホール素子などの磁気検出素子であり、回転板21に配置された磁石31が接近することにより、回転板21の基準位置を検出し、検出信号を出力する。
【0036】
同期クロック信号生成部33(参照信号生成部の一例)は、回転検出部32が検出した移動情報に基づいて、所定の方向の傾斜に対応する同期クロック信号(参照信号)を生成する。すなわち、同期クロック信号生成部33は、回転板21の基準位置に応じて回転検出部32から出力された検出信号に基づいて、例えば、Y軸方向の傾斜を同期検波する同期クロック信号を生成する。
【0037】
具体的には、同期クロック信号生成部33は、回転検出部32から出力された検出信号をトリガとして、回転板21の回転周期と同一周期のクロック信号を生成する。そして、同期クロック信号生成部33は、Y軸方向の傾斜を同期検波するように、生成したクロック信号を遅延させて、同期クロック信号として傾斜情報検出部40に出力する。
【0038】
電源部34は、傾斜センサ6を動作させるための電源電圧を生成し、生成した電源電圧を各部に供給する。また、電源部34は、スリップリング35を介して、回転板21上の圧力センサ11に電源電圧(電源電力)を供給する。
【0039】
スリップリング35は、回転している回転板21上の圧力センサ11に、電源部34が生成した電源電圧(電源電力)を供給するとともに、圧力センサ11から出力された出力信号を傾斜情報検出部40に伝送する信号伝送手段である。スリップリング35を用いることにより、傾斜センサ6は、回転している回転板21上に配置されている圧力センサ11の出力信号を適切に傾斜情報検出部40に伝送することが可能になる。
【0040】
傾斜情報検出部40は、圧力センサ11の出力と、圧力センサ11の移動情報とに基づいて、移動体1の傾斜情報を検出する信号処理部である。すなわち、傾斜情報検出部40は、移動機構20によって所定の移動経路を移動された圧力センサ11の移動情報と、圧力センサ11の出力とに基づいて、移動体1の傾斜情報を検出する。
【0041】
ここで、傾斜情報には、例えば、傾斜角、水平度、傾斜の有無、傾斜角の時間変化、又はこれらの組み合わせを示す情報などが含まれる。本実施形態では、一例として、傾斜情報検出部40が、移動体1の傾斜角を検出する例について説明する。
【0042】
また、傾斜情報検出部40は、例えば、圧力センサ11の移動距離と、移動距離に対する圧力センサ11の出力値の変化とに基づいて、移動体1の傾斜情報を検出する。
【0043】
ここで、
図3、
図4、及び
図5を参照して、傾斜情報検出部40による傾斜角の検出原理について説明する。
【0044】
<傾斜角の検出原理>
図3は、本実施形態における傾斜センサ6の、移動体1が水平である時における出力の一例を説明する図である。
図3(a)において、傾斜センサ6は、移動体1の中央部筐体3に取り付けされており、移動体1が水平である場合の状態を示している。
図3(b)は、移動体1の水平時における圧力センサ11の出力信号を示している。
図3(b)において、グラフの縦軸は、圧力センサ11の出力信号の電圧を示し、グラフの横軸は、時間を示している。また、波形W1は、圧力センサ11の出力信号の波形を示している。
【0045】
図3(a)に示すように、移動体1が水平状態である場合、回転板21とともに、円状に移動する圧力センサ11は、水平に移動するため、
図3(b)の波形W1に示すように、一定の電圧を出力する。
【0046】
図4は、本実施形態における傾斜センサ6の、移動体1がY軸方向に傾斜した時における出力の一例を説明する図である。
図4(a)において、傾斜センサ6は、移動体1の中央部筐体3に取り付けされており、移動体1がY軸方向に傾斜角θだけ傾斜している場合の状態を示している。
図4(b)は、移動体1の傾斜時における圧力センサ11の出力信号を示す。
図4(b)において、縦軸は、圧力センサ11の出力信号の電圧を示し、横軸は、時間を示している。また、波形W2は、圧力センサ11の出力信号の波形を示している。
【0047】
図4(a)に示すように、移動体1がY軸方向に傾斜角θだけ傾斜している場合、回転板21とともに、円状に移動する圧力センサ11は、Z軸方向に変位するため、
図4(b)の波形W2に示すように、周期的な出力信号を出力する。この場合、圧力センサ11は、Z軸方向の変位(高さの変化)による気圧の変化を検出し、波形W2のような正弦波状の出力信号を出力する。なお、出力信号(波形W2)のピーク間の変化量を変化量ΔV0とすると、傾斜角θが大きい程、変化量ΔV0が大きくなり、傾斜角θが小さい程、変化量ΔV0が小さくなる。また、傾斜角θは、下記の式(1)により算出することができる。
【0049】
ここで、変数Rsは、
図4(a)に示すように、圧力センサ11の回転半径を示している。また、変化量ΔV0に対応する高さの変化は、圧力センサ11の出力信号の変化量ΔV0をZ軸方向の高さの変化に変換したものである。傾斜情報検出部40は、例えば、演算により変化量ΔV0から高さの変化を変換してもよいし、変化量ΔV0と高さの変化とを対応付けた変換テーブルに基づいて、変化量ΔV0に対応する高さの変化を生成してもよい。また、傾斜情報検出部40は式(1)を利用して、傾斜角θを傾斜情報として生成する。
【0050】
図2の説明に戻る。傾斜情報検出部40は、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号と、圧力センサ11から出力される周期的な出力信号とに基づいて同期検波を実行し、当該同期検波の結果に基づいて、検出対象物(移動体1)の所定の方向の傾斜情報を検出する。同期検波部41は、上述した圧力センサ11の周期的な出力信号と、同期クロック信号生成部33が生成した同期クロック信号とに基づいて同期検波を実行する。同期検波部41は、例えば、ロックインアンプ回路とローパスフィルタ(LPF)とを含み、圧力センサ11の出力信号の振幅に比例した直流信号を生成する。
【0051】
傾斜角生成部42は、同期検波部41が生成した圧力センサ11の出力信号の振幅に比例した直流信号に基づいて、上述の式(1)を利用して、傾斜角θを傾斜情報として生成する。
【0052】
ここまでは移動体1がY軸に沿って傾斜した場合について説明したが、同時にX軸に沿っても傾斜している場合も、同様の構成により傾斜角を算出できる。
図5は、本実施形態における傾斜センサ6の、移動体1がX軸方向とY軸方向の両方に同時に傾斜した時における出力の一例を説明する図である。
【0053】
図5(a)は、移動体1がX軸方向とY軸方向の両方に同時に傾斜した時の傾斜方向に直交する方向から見た断面図を示す。
図5(b)はこのときの圧力センサ11の出力信号を示す。圧力センサ11は回転板21とともに円状に移動し、Z軸方向に変位するため、
図5(b)の波形W3に示すように、周期的な正弦波状の出力信号を出力する。なお、出力波形W3のピーク間の変化量を変化量ΔV1とすると、傾斜角φが大きい程、変化量ΔV1が大きくなり、傾斜角φが小さい程、変化量ΔV1が小さくなる。
【0054】
図4(b)に示すY軸方向のみに傾斜したときの出力信号との差異は、Z軸方向の最大及び最小を与える時間(位相)である。この位相ずれΔPHは、移動体1の傾斜方向がY軸に一致するときには0、X軸に一致するときにはπ?2となり、X軸とY軸の両方の成分を持つときにはその間の値を取る。出力波形W3のピークを検出し、その位相ずれΔPHから傾斜方向を求めることができる。このようにして、移動体1がX軸方向とY軸方向の両方に同時に傾斜した時でも傾斜方向と傾斜角φを検出できる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る移動体制御システムは、傾斜センサ6を備えている。傾斜センサ6は、圧力センサ11と、傾斜情報検出部40とを備えている。圧力センサ11は、移動体1に対して相対的に移動可能に配置され、流体(例えば、気体、液体など)の圧力を検出する。傾斜情報検出部40は、圧力センサ11の出力と、圧力センサ11の移動情報(例えば、回転位置情報)とに基づいて、移動体1の傾斜情報(例えば、傾斜角θを示す情報)を検出する。
【0056】
これにより、本実施形態による傾斜センサ6は、圧力センサ11を用いて傾斜情報を検出するため、移動体1の加速度の影響を受けることがない。例えば、本実施形態による傾斜センサ6は、水平方向の加速度の影響を受けることがないので、移動体1が加速運動している最中でも正確な傾斜情報を取得して、それに基づいた姿勢制御が可能である。
【0057】
また、本実施形態による傾斜センサ6は、圧力センサ11を所定の移動経路で移動させて傾斜情報を検出し、1つの圧力センサ11により傾斜情報を検出できる。よって、本実施形態による傾斜センサ6は、傾斜情報の検出精度を向上させることができ、移動体制御システムは、より正確な傾斜情報に基づいた姿勢制御が可能である。
【0058】
ところで、傾斜情報の検出に、加速度センサを使用した場合、加速度の変化を距離の変化に変換するためには、2回積分する必要がある。また、加速度センサの出力に基づいて遠心力から角速度を検出する場合、又はジャイロセンサ(角速度センサ)により角速度を検出する場合には、角速度から角度を算出するために、1回積分する必要がある。このように、加速度センサ又はジャイロセンサを使用した場合には、センサの出力値を積分する必要があるので、積分により誤差が蓄積され、傾斜情報の検出精度が低下する傾向にある。
【0059】
これに対して、本実施形態に係る移動体制御システムでは、傾斜情報取得のために用いる傾斜センサ6が圧力センサ11を使用しているため、出力値を積分する必要がない。よって、上述したような積分により誤差の蓄積がなく、傾斜情報の検出精度を向上させることができる。また、本実施形態による傾斜センサ6は、上述の式(1)を利用して、簡易な演算処理により、傾斜角θを検出することができる。
【0060】
このようにして得られた傾斜角θに基づいて制御部7は演算あるいは判断処理を行い、モータ制御部10に対して適切な命令を出すことで、移動体制御システムは、移動体1の姿勢を維持することができる。以上より、本実施形態に係る移動体制御システムによれば、移動体1の傾斜情報を正確に検出し、当該傾斜情報に基づいて移動体1の姿勢を制御するので、移動体1の制御を高精度、かつ正確に制御することが可能になる。
【0061】
(第2の実施形態)
<全体構成>
図6は、本発明の第2の実施形態に係る移動体51の模式図を示す。移動体51は、空中を飛行する自律飛行型装置(飛翔体)である。移動体51には、中央部筐体52と、中央部筐体52から4方向に延びたアーム53と、アーム53の先端に固定されたプロペラ制御ユニット54と、プロペラ制御ユニット54から上方向に延びたプロペラシャフト55と、プロペラシャフト55の先端に固定されたプロペラ56と、中央部筐体52から下方向に延びたシャフト57と、シャフト57の先端に固定されたカメラユニット58と、中央部筐体52下部の輪郭から下方向に延びた脚部59と、が設けられている。中央部筐体52には、その内部に制御ユニット60が設けられている。カメラユニット58には、その内部にカメラ82が設けられている。このように本実施形態に係る移動体制御システムは、移動体51の内部に組み込まれている。
【0062】
図7は、本実施形態に係る移動体51のブロック図を示す。
図6と同一部には同一符号を与える。制御ユニット60には、制御部61、通信部62、電源部63、記憶部64、GPS65、傾斜センサ66、障害物センサ67、温度センサ68、気圧センサ69が設けられている。プロペラ制御ユニット54には、プロペラモータ71とプロペラモータ制御部72が設けられている。カメラユニット58には、カメラ制御部81とカメラ82が設けられている。
【0063】
<全体の動作>
図6と
図7を用いて移動体51の動作を説明する。移動体51は、4個のプロペラ56の回転に伴う揚力によって空中を飛行し、カメラ82によって下方の撮影対象物の撮影を行う。プロペラ56は、プロペラモータ制御部72が駆動するプロペラモータ71によって回転する。カメラ82は、カメラ制御部81によって制御される。
【0064】
プロペラモータ制御部72とカメラ制御部81は、制御部61からの制御信号によって制御される。移動体制御システムを司る制御部61は、GPS65、傾斜センサ66、障害物センサ67、温度センサ68、気圧センサ69などの各種センサからの情報を基に移動体51の姿勢や速度などの状態を把握・判断し、プロペラモータ制御部72とカメラ制御部81に制御信号を送信する。
【0065】
また、制御部61は、上記各種センサからの情報とカメラ制御部81から送信された撮影画像や映像を記憶部64に記憶させる。また、制御部61は、地上などの別の場所に居るオペレータ(図示略)からの無線による指示を、通信部62を介して受信し、その指示に従って全体の制御を行うこともできる。
【0066】
<傾斜センサの構成>
傾斜センサ66は、第1の実施形態で用いた傾斜センサ6と同様のものを用いるため、構成と動作のうち第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。本実施形態においては、傾斜センサ66が出力する移動体51の傾斜情報を、温度情報と気圧情報を用いて補正する。
【0067】
傾斜センサ66の内部に設けられている圧力センサ11は、圧力変動を電気抵抗変化に変換し、更にそれを電圧変化として出力する。この電気抵抗は温度依存性を持つため、気温が変化すると電気抵抗が変化して、圧力変動の検出値に対してノイズとなってしまう。
【0068】
本実施形態では、電気抵抗の温度依存性をあらかじめ測定した温度依存性テーブルを記憶部64に保存しておき、傾斜センサ66からの出力信号を受けた制御部61は、温度センサ68から受けた温度情報と上記温度依存性テーブルを参照して、傾斜情報を補正することができる。
【0069】
また、傾斜センサ66からの電圧変化を高さ変化に変換した値は、周囲の気圧に依存するため、高度や天候の変化が高さ変化計算値にノイズを与え、結果として得られる傾斜情報にもノイズが含まれてしまう。
【0070】
これに対して本実施形態では、圧力変化と高さ変化の関係の気圧依存性をあらかじめ気圧依存性テーブルとして記憶部64に保存しておき、傾斜センサ66からの出力信号を受けた制御部61は、気圧センサ69から受けた気圧情報と上記気圧依存性テーブルを参照して、傾斜情報を補正することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る移動体制御システムによれば、空中で加速運動中であっても、X方向とY方向の傾斜を正確に取得し、移動体51の正確な姿勢制御を可能にする。よって、本実施形態に係る移動体制御システムによれば、移動体51の傾斜情報を正確に検出し、当該傾斜情報に基づいて移動体51の姿勢を制御するので、移動体51の制御を高精度、かつ正確に制御することが可能になる。
【0072】
(第3の実施形態)
<全体構成>
図8は、本発明の第3の実施形態に係る移動体91の模式図を示す。移動体91は、医療機関や療養施設で患者PTや利用者の介護を支援する介護ロボットである。移動体91には、頭部92と、胴体部93と、脚部94と、シャフト95と、アーム96が設けられている。頭部92には、内部にカメラ97が設けられている。胴体部93には、内部に制御ユニット98が設けられている。シャフト95は、胴体部93と脚部94とを連結して支える。脚部94には、複数の車輪99が設けられている。アーム96は、途中で関節96aによって、胴体部93に近い第1アーム部96bと、遠い第2アーム部96cの2つの部分に分けられる。このように本実施形態に係る移動体制御システムは、移動体91の内部に組み込まれている。
【0073】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る移動体91のブロック図を示す。移動体制御システムを司る制御ユニット98には、内部に制御部111、通信部112、電源部113、記憶部114が設けられている。アーム96には、第1アーム部96bに第1傾斜センサ100と第1アクチュエータ121、第2アーム部96cに第2傾斜センサ101と第2アクチュエータ122、が設けられている。また、アーム96には、その先端部や患者PTとの接触面に触覚センサ123が設けられている。
【0074】
<全体の動作>
図8と
図9を用いて移動体91の動作を説明する。制御部111はカメラ制御部142に撮影に関する指示信号を送信する。カメラ制御部142はその信号に基づいてカメラ141を制御して対象物を撮影する。撮影した映像は制御部111に送信される。
【0075】
第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101、触覚センサ123、などの各種センサからはそれぞれ第1アーム部96bの傾斜、第2アーム部96cの傾斜、アーム96と外部物体との接触に関する情報が制御部111に送信される。これらの情報は必要に応じて制御部11から記憶部114に送信されて記憶される。
【0076】
制御部111は、これらの情報に基づいて移動体91の状況を判断する。オペレータ(図示略)からの指示は無線によって通信部112に送られ、制御部111は、通信部112からその指示を受ける。これらの部分に必要な電力は電源部113から供給される。制御部111は、患者PTがアーム96の所定位置に接触していることをこれらの情報に基づいて確認し、必要に応じて脚部制御部131に指示信号を送信して車輪99を回転することで床の上を移動する。また、第1アクチュエータ121、第2アクチュエータ122に対して指示信号を送信して第1アーム部96b、第2アーム部96cの傾斜を調整する。
【0077】
患者PTに対して所定の姿勢を達成したと判断すると、制御部111は脚部制御部131に対して移動を指示する信号を送信し、所定の位置まで移動体91は床の上を移動する。その後、第1アクチュエータ121、第2アクチュエータ122に対して指示信号を送信して第1アーム部96b、第2アーム部96cの傾斜を変更して患者PTをベッドの上などの所定位置に運ぶ。これらの動作中、カメラ141は状況を撮影し続け、その画像は制御部111で解析されて、あらかじめ定義された行動を取っていることを確認する。
【0078】
<傾斜センサの構成>
図10は、
図9の第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101のブロック図である。本実施形態では第1傾斜センサ100と第2傾斜センサ101は同様の構成を持つ。
図10に示すように、第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101は、圧力センサ190と、移動機構200bと、磁石211と、位置検出部212bと、同期クロック信号生成部213と、電源部214と、フレキシブル基板215aと、傾斜情報検出部220とを備えている。
【0079】
本実施形態では、圧力センサ190の移動を、円状の移動の代わりに、直線状に往復移動させる直線移動にしている点が、第1、第2の実施形態とは異なっている。
【0080】
図10に示すY軸がアーム96の長手方向であり、Z軸が重力方向、X軸が移動体91の左右方向(
図8の紙面に垂直方向)である。本実施形態では、第1アーム部96b、第2アーム部96cの傾斜はY軸方向に沿った傾斜情報が最も重要であるので、第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101は、共にY軸方向に沿った傾斜情報を取得するよう設計されている。
【0081】
移動機構200bは、圧力センサ190が配置され、直線状に移動可能な移動板205(直線移動体)を備え、移動板205を直線状に移動させることによって圧力センサ190を直線移動させる。すなわち、移動機構200bは、圧力センサ190を直線状に往復移動させる直線移動を可能にする。
【0082】
また、移動機構200bは、例えば、リニアトラッキング機構230と、モータ制御部202と、モータ203とを備えている。リニアトラッキング機構230は、回転板201と、クランクシャフト204と、移動板205と、レール206とを備え、回転板201の回転運動を、移動板205のY軸方向に沿った直線移動に変換する。
【0083】
移動板205には、圧力センサ190及び磁石211が配置され、モータ203によって、回転板201が回転されることによって、クランクシャフト204を介して、水平時にレール206上をY軸方向に直線状に移動する。モータ制御部202は、回転板201を所定の回転速度で回転させて、圧力センサ190を上述した直線移動させるように制御する。位置検出部212bは、圧力センサ190の移動情報を検出する。位置検出部212bは、例えば、ホール素子などの磁気検出素子であり、移動板205に配置された磁石211が接近することにより、移動板205の基準位置を検出し、検出信号を同期クロック信号生成部213に出力する。
【0084】
本実施形態による第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101では、圧力センサ190が、移動機構200bによって、直線移動されることにより、圧力センサ190は、検出対象物の傾斜に応じて、周期的な出力信号を出力する。また、同期クロック信号生成部213は、位置検出部212bによって検出された移動板205の位置を示す情報に基づいて、Y軸方向の傾斜を検出するための同期クロック信号を生成する。傾斜情報検出部220は、圧力センサ190がフレキシブル基板215aを介して出力した周期的な出力信号と、同期クロック信号とに基づいて、同期検波部221は同期検波を実行し、傾斜角生成部222は当該同期検波の結果に基づいて、傾斜角を検出する。
【0085】
本実施形態では、傾斜角を検出する際に温度や気圧による補正を行っていないが、これらの補正を行うことは、第2実施形態と同様の構成にすることで容易である。特に患者PTに接触する部分は患者PTの体温によって温度が上昇するので、温度補正を行って正確な傾斜角を検出することは有効である。
【0086】
このような構成の第1傾斜センサ100、第2傾斜センサ101を用いると、移動体91が加速運動している最中でも慣性力の影響を受けることなく正確な傾斜情報を得ることができ、安全に患者PTを介助することができる。
【0087】
以上より、本実施形態に係る移動体制御システムによれば、移動体91の傾斜情報を正確に検出し、当該傾斜情報に基づいて移動体91の姿勢を制御するので、移動体91の制御を高精度、かつ正確に制御することが可能になる。
【0088】
(第4の実施形態)
本実施形態の全体構成は第3の実施形態と同一であり、第1傾斜センサ300と第2傾斜センサ301がそれぞれ第3の実施形態における第1傾斜センサ100と第2傾斜センサ101に置換されているので、これらの傾斜センサ300(301)についてのみ説明する。
【0089】
図11は、第4の実施形態による傾斜センサ300(301)の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、傾斜センサ300は、圧力センサ190と、移動板205と、レール206と、磁石211と、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)と電源部214と、フレキシブル基板215aと、傾斜情報検出部320とを備えている。なお、
図11において、
図10に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
本実施形態では、直線移動した2箇所における圧力センサ190の出力に基づいて傾斜情報を検出する場合の別の一例について説明する。本実施形態では、リニアトラッキング機構330は、移動機構200bを備えずに、モータ203等に接続されない移動板205及びレール206を備え、外力や加速度などにより、圧力センサ190を直線移動させる点が、第3の実施形態と異なる。
【0091】
本実施形態において、移動板205は、圧力センサ190及び磁石211を備え、レール206(リニアトラッキング)上を自由に直線移動できるように構成されている。移動板205は、例えば、検出対象物に加えられた外力(例えば、測定軸方向(X軸方向)の加速度成分)や人力などにより、レール206上を移動する。
【0092】
位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)は、位置検出部212bと同一の構成であり、移動板205に配置された磁石211が接近することにより、移動板205の移動位置を検出し、検出信号を傾斜情報検出部320に出力する。本実施形態において、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)は、傾斜センサ300が備える任意の位置検出部を示す場合、又は特に区別しない場合には、位置検出部212bとして説明する。なお、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)の位置関係は、予め定められているものとする。例えば、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)は、所定の位置間隔で配置され、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)の出力により、圧力センサ190の移動距離が検出可能である。
【0093】
傾斜情報検出部320は、圧力センサ190の移動距離と、移動距離に対する圧力センサ190の出力値の変化とに基づいて、検出対象物の傾斜情報を検出する。傾斜情報検出部320は、例えば、上述した複数の位置検出部212bのうちの2つの出力により得られる移動距離ΔDと、移動距離ΔDに対する圧力センサ190の出力値の変化とに基づいて、検出対象物のX軸方向の傾斜角を検出する。また、傾斜情報検出部320は、傾斜角生成部222を備えている。
【0094】
傾斜角生成部222は、位置検出部(212b−1、212b−2、・・・、212b−N)のうちの2つにより検出信号が出力された第1の位置における圧力センサ190の出力値(電圧V1)と、第2の位置における圧力センサ190の出力値(電圧V2)を取得する。傾斜角生成部222は、第1の位置の出力値と、第2の位置の出力値との変化量ΔVo(=V2−V1)を算出する。そして、傾斜角生成部222は、上述した式(1)を利用して、移動距離ΔDと、変化量ΔVoとに基づいて、傾斜角θを算出する。なお、本実施形態では、式(1)において、移動距離(2×Rs)の代わりに、上述した移動距離ΔDを使用する。
【0095】
なお、傾斜角生成部222は、所定の期間内に、磁石211を検出した検出信号が、3個以上の位置検出部212bから出力された場合に、例えば、3個以上の位置検出部212bのうちの最も距離が離れている2つを選択し、当該2つの位置検出部212bの距離を移動距離ΔDとしてもよい。この場合、傾斜角生成部222は、例えば、最も距離が離れて磁石211を検出した2つ位置検出部212bの位置における変化量ΔVoと、当該2つの位置検出部212bの距離(移動距離ΔD)とに基づいて、傾斜角θを算出する。
【0096】
以上説明したように、本実施形態による傾斜センサ300は、第3の実施形態のような移動機構200bを備えずに、移動板205及びレール206を備え、外力や加速度などにより、圧力センサ190を直線移動させる。そして、傾斜情報検出部320は、圧力センサ190の移動距離(例えば、移動距離ΔD)と、移動距離に対する圧力センサ190の出力値の変化(例えば、変化量ΔVo)とに基づいて、検出対象物の傾斜情報(例えば、傾斜角θ)を検出する。これにより、本実施形態による傾斜センサ300は、上述した同期検波を使用する場合に比べて、簡易な構成により、傾斜情報を検出することができる。
【0097】
(その他の実施形態)
上述の第1〜第4の実施形態では、傾斜センサが一つの圧力センサを有する構成について説明したが、圧力センサの数はこれに限られるものではない。傾斜センサが複数の圧力センサを有し、これらの圧力センサが各々移動体に対して移動可能に構成されていてもよい。
【0098】
また、上述の第1〜第4の実施形態では、傾斜情報を演算し、移動体の姿勢制御を行う制御部(制御手段)が、移動体と一体に設けられている形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、制御部を移動体の外部に設け、移動体に設けられている傾斜センサからの出力を受信可能に構成することで、外部の制御部によって、移動体の姿勢を制御可能としてもよい。
【0099】
また、このように移動体と制御部とをネットワーク上で接続することで、外部の制御部によって、複数の移動体の姿勢を制御することも可能である。なお、外部の制御部は、外部の電子機器、PC、スマートフォン、又はその他ウェアラブル機器などに設けられていてもよい。
【0100】
すなわち、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、移動体の重力に垂直な水平面からの傾斜情報を検出する傾斜センサと、前記傾斜情報に基づいて前記移動体の姿勢を制御する制御部とを有する移動体制御システムであって、
前記傾斜センサは、前記移動体に対して相対的に移動可能に配置され、流体の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサの出力と前記圧力センサの移動情報とに基づいて、前記傾斜情報を検出する傾斜情報検出部と、を備えることを特徴とする。
【0101】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記傾斜センサは、前記移動体に対して前記圧力センサを所定の移動経路で移動させる移動機構を備え、前記傾斜情報検出部は、前記圧力センサの移動情報と、前記圧力センサの出力とに基づいて、前記移動体の傾斜情報を検出することを特徴とする。
【0102】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動機構は、前記圧力センサが配置される回転体を備え、前記回転体を回転させることによって前記圧力センサを円状に移動させることを特徴とする。
【0103】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動機構は、前記圧力センサが配置され、直線状に移動可能な直線移動体を備え、前記直線移動体を直線状に移動させることによって前記圧力センサを直線移動させることを特徴とする。
【0104】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記傾斜情報検出部は、前記圧力センサの移動距離と、前記移動距離に対する前記圧力センサの出力値の変化とに基づいて、前記傾斜情報を検出することを特徴とする。
【0105】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記制御部は、前記移動体の外部に設けられており、前記傾斜センサにおいて検出された前記傾斜情報を受信し、当該傾斜情報に基づいて前記移動体の姿勢を制御することを特徴とする。
【0106】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動体は車両であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記車両の姿勢に関する情報であることを特徴とする。
【0107】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動体は自律走行型の車両であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記車両の姿勢に関する情報であることを特徴とする。
【0108】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動体は飛翔体であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記飛翔体の姿勢に関する情報であることを特徴とする。
【0109】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動体は自律飛行型の飛翔体であり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記飛翔体の姿勢に関する情報であることを特徴とする。
【0110】
また、以上の実施形態に係る移動体制御システムは、前記移動体は患者を介護するロボットであり、前記傾斜情報は前記水平面に対する前記ロボットの少なくとも一部の姿勢に関する情報であることを特徴とする。
【0111】
また、以上の実施形態に係る移動体は、上記移動体制御システムを有し、該移動体制御システムによって、姿勢を制御可能に構成されていることを特徴とする。