(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機に於いては、送風ファンにより吸い込んだ室内空気を、熱交換器に通過させることにより冷却または加熱して室内へと返流させるが、空気中に浮遊する塵埃が熱交換器を汚染するのを防止するため、熱交換器の風上側にエアフィルタが設けられている。このエアフィルタに塵埃が付着して目詰まりが生じ通風抵抗が増大すると、熱交換が妨げられるために空気調和機の空調能力が低下すると共に、消費電力が増大する。このような不都合を解消するため、エアフィルタの自動清掃機能を供えた空気調和機が種々提案されている。
【0003】
エアフィルタを自動的に清掃する場合、エアフィルタの全面を清掃ブラシで掃除するため、エアフィルタと清掃ブラシとの少なくともいずれか一方を移動させる必要がある。
エアフィルタを移動させる方式では、エアフィルタを移動させる移動経路を備え、この移動経路の途中に配されエアフィルタを移動させる移送手段とを備え、熱交換器の前方側空間に移動経路をU字状に折り返して形成し、更に、移動経路に接して回転ブラシと、このブラシで掻き取ったゴミを蓄えるダストボックス等のフィルタ清掃装置を熱交換器の前方側空間に備え、エアフィルタを移動させることによって、フィルタ清掃装置で自動清掃を行うものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
また、清掃手段(清掃ブラシやダストボックス等)をフィルタ表面全体に移動させ自動清掃を行うものもある。
また、清掃手段とフィルタ移送手段(フィルタ巻き取り装置等)を外枠内の上部後方でエアフィルタの先端部分に設けて、フィルタ先端を巻き取りながらブラシによって自動清掃を行うものがある。(例えば、特許文献2参照)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明の空気調和機の実施の形態で、フィルタ掃除セット(フィルタ清掃機能)を組み込んだ構成について、図面を基に説明する。1はセパレート式空気調和機の室内機で、背面板2と後板3と前面カバー4とオープンパネル5で外枠6を形成し、前記前面カバー4の前面に位置する前記オープンパネル5上部左右に設けた支軸(図示せず)を支点として前面カバー4の前方へ開閉自在に取付られる。
【0011】
前記前面カバー4の上面には横長格子状の吸込口7を備え、前面カバー4の下方から底面には斜め前方に温度調節された空気を吹き出す横長の吹出口8を設け、吸込口7から吹出口8の間に送風経路9を形成している。この送風経路9の前記吸込口7内側には、吸込空気内に混在するゴミを取り除く左右一対のエアフィルタ10を有し、このエアフィルタ10の更に内側(下流側)には、横長のフィンチューブ式の熱交換器11を有し、その前後方向の中間部を頂部として側面視で逆V字状に配置されている。また前記熱交換器11の下方には横長のクロスフローファンから成る送風ファン12を、前記吹出口8には運転時に上下方向の吹出風の風向を調整すると共に、停止時には自動的に吹出口8を閉じる上下風向板13と左右方向の吹出風の風向を調整する左右風向板14を有している。
【0012】
15はブラシユニットで、横長格子状の縦枠16と横枠17で前記吸込口7を形成するユニット枠18の先端にエアフィルタ10の掃除を自動で実施するためのブラシ19と、エアフィルタ10を背面側に移動させるフィルタ駆動部20を有している。また、前記ユニット枠18は後ろ側の両端に突出する左右端部21を有し、この左右端部21にそれぞれブラシ取付孔22を形成し、このブラシ取付孔22にブラシ19の回転軸23を挿入することでブラシ19はブラシ取付孔22を中心に回転する。また、前記左右端部21のブラシ取付孔22よりも前方で左右外側には一対のスライド突起24を有し、ブラシユニット15着脱時のガイドとして使用する。また、縦枠16の前端外側には左右一対の係止突起25を有し、ブラシユニット15装着時のストッパとして使用する。また前記縦枠16のスライド突起24よりも更に前方にはフィルタ駆動部取付孔26を備えている。また、左右の縦枠16の内側面にはエアフィルタ10が移動する際にガイドの役目をするスライド溝27を備えている。また、前記ブラシ19の両端にはブラシ19の回転力を伝えるブラシ歯車28を有している。
【0013】
前記フィルタ駆動部20はアルミニューム製の棒から成る駆動軸29と、この駆動軸29の両端に貫通固定した一対の駆動歯車30を有する。また駆動歯車30よりも外側に駆動軸29が突出してフィルタ駆動部取付孔26に挿入することでフィルタ駆動部20はフィルタ駆動部取付孔26を中心に回転する。
【0014】
40はモータユニットで前記ブラシ19の駆動源となるブラシモータ41と、フィルタ駆動部20の駆動源となる送りモータ42を有している。このブラシモータ41と送りモータ42は正逆回転可能なステップモータを使用し、制御部43からの信号に応じてブラシ19とフィルタ駆動部20を作動してエアフィルタの自動掃除を行う。
【0015】
44はモータ取付板で、一方の面にブラシモータ41と送りモータ42をネジ止めし、モータ軸45・46と他方の面に備えた連動ギア47・48をモータ取付板44の貫通孔49・50で貫通して接続する。51はギアカバーで、前記連動ギア47・48を覆うと共に軸孔52・53を備え、前記貫通孔49・50と軸孔52・53の間に連動ギア47・48を回動自在に保持する。また、ギアカバー51はモータ取付板44の端部に設けた爪部54と係止部55で係止してモータ取付板44に取り付ける。また、モータユニット40は前記背面板2の上部左右端にネジ止めするための固定孔56を有している。また、モータユニット40は1つのエアフィルタ10に対して1セット備えられ、右側に配置されたエアフィルタ10に対応するモータユニット40の構成は、先に説明した構成と対称形となる右側配置用のモータユニット40を有している。
【0016】
前記背面板2は室内機1の最後部を構成し、背面上部には室内の壁面に取り付けるための据付板57に係止する係止手段として係止凹部70と、背面下部には据付板57に爪引っ掛けで固定するための爪部71を有している。また、背面板2の前面側には前記ブラシユニット15とモータユニット40側から落下してくるゴミを下方に送るダストシュータ72(第2空間)の後面73を備え、この後面73から前方側に垂直に立設する複数の側壁74を有している。また、前記据付板57の上部には左右一対の舌片58を備え、前記係止凹部70に挿入することで、背面板2の上部を係止する。また、据付板57の下部には前方に左右一対の係止片59を前方に突出し、この係止片59には係止孔60を有し、前記爪部71を係止孔60に係止することで背面板2の下部を据付板57に固定する。また、前記舌片58の下方には水平方向に長い4本の長孔61を平行に有し、前記係止片59の上方には6つのネジ穴62を左右一対設けている。据付板57が取り付けられる位置や壁面の状態、材質等に応じて長孔61やネジ穴62を適宜選択して据付板57を壁面にネジ止めする。
【0017】
前記側壁74の左側上部と背面板2の左側外枠75の間に前記モータユニット40を取り付ける左モータユニット取付部76を備え、モータユニット40を取り付けて
モータ取付板44の固定孔56にネジ止め固定する。また、右端の側壁74の右側上部で右側外枠77との間には右モータユニット取付部78が設けられ同様にネジ止め固定する。また、後面73の中央稍上部には4つの円柱が立設され、フィルタ案内板79を固定する固定用円柱80を有している。
【0018】
前記フィルタ案内板79の中央稍上部には前記固定用円柱80に対向して固定孔81が左右一対備えられ、フィルタ案内板79を背面板2にネジ止め固定する。また、フィルタ案内板79の背面は前記ダストシュータ72(第2空間)の前面82を形成し、この前面82と後面73の間をゴミが落下する。
【0019】
83は前記フィルタ案内板79の上端に平行に備えたクシ歯で、クシ歯83の先端がブラシ19に食い込んで、ブラシ19で掻き取ったエアフィルタ10のゴミをブラシ19から分離してダストシュータ72側へ落とすようにはたらく。クシ歯38は先端をブラシ19の回転軸23の方向に向かって突出し、ブラシ19の毛量や剛性に応じてブラシ19の食い込み量を、ブラシ19とクシ歯83の距離を可変して調整できる。84は前記フィルタ案内板79の左右端に後板3方向に突出して備えた側板で、フ
ィルタ清掃の際にエアフィルタ10の左右端がスライドする案内溝85を有している。また、フ
ィルタ清掃の際には後板3とフィルタ案内板79の間の空間であるフィルタ経路86(第1空間)内をフィルタ10が上下方向に摺動する。
【0020】
前記後板3の上部にはブラシユニット15取り付け用のコの字形上面開口部87を2つ備え、この上面開口部87の左右内側面にはブラシユニット15のスライド突起24を案内する溝88を有する。89は後部ドレンパンで、上方に前記熱交換器11の後部が配置され、冷房運転時には熱交換器11後部から発生する結露水を集積排水する。90はケーシングで、前方には所定の空間を隔てて前記送風ファン12を備えている。送風ファン12は横長円柱状で多数の羽根を有するクロスフロー型のファンで、ケーシング90の左側面91に取り付ける軸受け(図示せず)と、ケーシング90の右側面92の右側に取り付けられる送風モータ93の回動軸94との間で垂直方向に回転する。95は左右端部と中央の上下等に備える取付孔で、背面板2に立設した取付リブ96等に取付孔95を貫通してネジ止め固定する。97は後板3上面の左右に備えた一対の前面カバー取付片で、先端部には上方向に係止用の突起98を有している。
【0021】
99は前部ドレンパンで、上方に前記熱交換器11の前部が配置され、冷房運転時には熱交換器11前部から発生する結露水を集積排水する。また、前部ドレンパン99の左右端には取付脚(図示せず)を備え、この取付脚を後板3に嵌め込んで取り付けられる。
【0022】
100はダストボックスで、後板3の底面で前記ダストシュータ72の下部に備えるゴミ排出口101に下方から着脱自在に取り付ける。エアフィルタ10の自動掃除で発生したゴミを数ヶ月から1年の間蓄えることのできる充分な容積を備えている。102は後板3下部の左右端に一対設けた前面カバー取付孔で、前面カバー4の下部をネジ止め固定する。
【0023】
前記前面カバー4は左側板110と右側板111の間の上面を繋ぐ上フレーム112と、底面を繋ぐ下フレーム113と、前面中央より稍下方を繋ぐ前フレーム114と、左右方向の略中央で上フレーム112と前フレーム114を垂直に接続する中央フレーム115とを備えている。左側板110と中央フレーム115の上部内側には、後板3の溝88と連続する溝116と、この溝116の前方にコの字型係止部117とを有し、この溝88・116によってブラシユニット15のスライド突起24を案内し、ブラシユニット15が最後部に突き当たった状態で下方に引き下ろすことで、ブラシユニット15の係止突起25がコの字型係止部117に嵌り込み、ブラシユニット15をセットすることができる。
【0024】
118は前記溝116の下方に備えたフィルタ溝で、ブラシユニット15のスライド溝27に連続して接続され、前記エアフィルタ10の左右端部を保持する。フィルタ溝118の下端にはフィルタ挿入部119を備え、方形状で柔軟性を有するエアフィルタ10をフィルタ挿入部119からフィルタ10の先端がブラシ19とフィルタ駆動部20まで差し込むとフィルタ10の通常状態(空気調和機運転時の位置)にセットされる。120は左側板110と右側板111の上面に貫通して設けた取付孔で、前記後板3の前面カバー取付片97先端の突起98が係止して前面カバー4上部を固定する。前面カバー4上部を係止後に前面カバー4下部を下部取付孔(図示せず)で後板3にネジ止め固定する。前フレーム114と下フレーム113の間には前記吹出口8が形成され吹出口8の左右方向の略中央には前フレーム114と下フレーム113を垂直に補強する補強フレーム121を備え、吹出口8下部の下フレーム113には回動自在に取り付けられた左右風向板122を有している。また、吹出口8の側壁123には回動自在に上下風向板123を有している。
【0025】
前記エアフィルタ10は方形状で多数の縦桟124と横桟125に、樹脂製の網126を溶着して設けられ、両端の縦桟124にはフィルタ駆動部20の駆動歯車30と噛み合うラック127を有している。フィルタ清掃時には駆動歯車30の回転によりフィルタ10が駆動歯車30とブラシ19の間を通過してフィルタ案内板79の方向に送られる。また、駆動歯車30とブラシ19の間を通過する際にはエアフィルタ10の表面に付着したゴミをブラシ19で除去する。フィルタ掃除手段は前記ラック127に係合してフ
ィルタ10をフ
ィルタ案内板79側へ送る駆動歯車30と、駆動歯車30を回転する送りモータ42とフ
ィルタ10の表面に付着したゴミを取り除くブラシ19と、ブラシ19を回転するブラシモータ41と、ブラシ19に付着したゴミをダストシュータ側へ掻き落とすクシ歯部83で構成される。
【0026】
前記オープンパネル5は、前面カバ−4の上部左右両端に備えた一対の係止軸(図示せず)に対向して係止部(図示せず)を中心に回動自在に設け、オープンパネル5の下部両端は前面カバ−4の前フレーム114に係止して固定される。
【0027】
前記制御部43は入力側には運転スイッチ(図示せず)やタイマースイッチ(図示せず)等のスイッチ類を備えた操作部128と、室温センサ129と、湿度センサ130と、熱交センサ131や、前記フィルタ案内板79のフィルタ経路86(第1空間)に装着され、フィルタ10の位置を検知するフ
ィルタセンサ132等が接続されている。また、制
御部43の出力側には前記送風モータ93や、熱源機である室外機(図示せず)と接続する室外信号線133や、左右に2セット備えたブラシモータ41、送りモータ42等が接続されている。フ
ィルタセンサ132は押圧式のマイクロスイッチでフィルタ10の先端の到達を検知する。
【0028】
室内機1の組立手順について説明する。まず、背面板2の左モータユニット取付部76と右モータユニット取付部78にモータユニット40をそれぞれ組み込んでネジ止めする。次に、背面板2の固定用円柱80にフィルタ案内板79の固定孔81で4か所ネジ止めして、背面板2の前方にフィルタ案内板79を固定する。
【0029】
次に、フィルタ案内板79の更に前方に後板3を取り付ける。背面板2に立設した取付リブ96に後板3の取付孔95を貫通して6か所ネジ止め固定することで後板3が背面板2に固定される。次に、ケーシング90の前方で左側面91と右側面92の間に送風ファン12が位置するように軸受けや送風モータ93と共に固定する。次に、前部ドレンパン99を送風ファン12の前方に取り付けた後に、熱交換器11を前部ドレンパン99と後部ドレンパン89を跨いで取り付ける。また、後板3底面のゴミ排出口101に下方からダストボックス100を取り付ける。
【0030】
次に、前面カバー4の後板3への取付を説明する。まず、後板3の左右上端に備えた前面カバー取付片97の突起98を、前面カバ−4の左右上端に備えた取付孔120に係止する。次に、取付孔120の係止状態で前面カバー4の全体を回動して前面カバー4を後板3に密着させ、前面カバー4の下部両端に一対備えた取付孔(図示せず)を貫通して後板3の前面カバー取付孔102にネジ止め固定する。
【0031】
次に、ブラシユニット15を前面カバー4の前方から左右に備えたスライド突起24を前面カバー4の溝116に沿って後方へスライドさせ、溝116から連なる後板3の溝88に案内し、ブラシユニット15が最後部に突き当たった状態で下方に引き下ろすことで、ブラシユニット15の係止突起25が前面カバー4のコの字型係止部117に嵌り込み、ブラシユニット15がセットされる。
【0032】
次に、エアフィルタ10をフィルタ挿入部119から挿入する。フィルタ10の先端はフ
ィルタ溝118からユニット枠18のスライド溝27を経由してブラシ19とフィルタ駆動部20位置に突き当たってフィルタ10のセットが完了する。この位置が室内機の通常運転時のフィルタ位置になる。次に、オープンパネル5を前面カバ−4の上フレーム112と前フレーム114に係止して取り付ければ室内機1の組立が完了する。
【0033】
室内の壁面への取付について説明すれば、まず、前記据付板57が取り付けられる位置や壁面の状態、材質等に応じて長孔61やネジ穴62を適宜選択して据付板57を壁面にネジ止めする。次に、据付板57上部の舌片58に、背面板2の係止凹部70を挿入して係止することで、背面板2の上部を据付板57に係止する。そして、据付板57の下部の係止片59に備えた係止孔60に、背面板2の爪部71を係止することで背面板2の下部を据付板57に固定する。
【0034】
フィルタ10の自動掃除運転の作動について説明する。室内機が空調運転を行うとフ
ィルタ10には室内に漂う空気中のゴミが吸込空気に混じって集積する、運転時間が長くなれば集積するゴミが多くなり熱交換器11の熱交換効率が低下する前にフィルタ10の掃除が必要になる。制御部43で運転積算時間やその他掃除のタイミングを決定してフィルタ10の自動掃除運転を開始する。ブラシモータ41と送りモータ42が回転を開始し、各モータの回転力がブラシ歯車28と駆動歯車30に伝わり、ブラシ19とフィルタ駆動部20か回転を開始する。フィルタ駆動部20の回転によってフィルタ10のラック12
7が噛み合い、フィルタ10が後方のフィルタ経路86(第1空間)側に徐々に引き込まれる。これと一緒にブラシ19が回転してフィルタ10の上面側に集積したゴミを取り除く。ブラシ19に付着したゴミはフィルタ案内板79のクシ歯83でダストシュータ72側に掻き落とされて、ダストシュータ72内を落下しダストボックス100に集積する。
【0035】
フィルタ10の先端がフィルタ経路86の下端に備えたフィルタセンサ132の位置に到達することで、送りモータ42が逆回転に反転し、フィルタ10は前面カバー4のフィルタ挿入部119側に戻っていく、この時ブラシモータ41は正回転のまま回転を続けることでブラシ19やクシ歯83のゴミが逆戻りすることはない。このようなフィルタ10の往復動作(掃除動作)を数回繰り返せば、フィルタ10の掃除を確実にきれいにできる。そして、次回の自動掃除のタイミングが訪れるまで通常の空調運転を行うことを繰り返す。自動掃除運転の間隔は積算時間だけでなく、単純に時刻や曜日など色々に設定できる。また、操作部128やリモコン(図示せず)に手動掃除ボタンを設ければ、使用者だ手動で掃除運転を行うことができる。ダストボックス100に溜まったゴミは後板3のゴミ排出口101からダストボックス100を下方に取り外して行う。
【0036】
このようにすることで、ゴミ捨て作業は数ヶ月または1年に1回等必要に応じて行われるが、ダストシュータ100下部に取り除いたゴミを集積し、大きなゴミ溜め空間を確保でき、空気調和機の全体寸法も比較的小さくでき、美観も向上できる。また、大きなゴミ溜め空間を確保することで、ゴミ捨て作業の回数も少なくすることができ、ゴミが充満するすることが原因で発生するゴミの漏出や故障を防止できる。
【0037】
また、フィルタ10がブラシ19とフ
ィルタ駆動20の間を通過する前後の変形角度も比較的小さいのでフィルタ10を痛めることも少なくなり、これによってフィルタ10が切れたり破れたりする故障も少なくすることができる。また、フィルタ案内板79を背面板2と後板3の間に設けることで、フ
ィルタ経路86を確実に確保することで自動掃除運転時のフィルタ10の移動を極めてスムーズに行うことができる。
【0038】
次に、フィルタ掃除セット(フィルタ清掃機能)を搭載せずに安価な機種を作成した場合の構成を、
図14〜16と
図20〜23を基に説明する。
【0039】
前記フィルタ掃除セットを搭載した構成から、背面板2とブラシユニット15、モータユニット40、フィルタ案内板79、ダストボックス100を取り除くと、後板3には、取り除かれた各部品に対応する開口が生じるので、必要に応じて開口を閉塞すると共に、室内機1が据付板57に取り付け可能にする構成が必要になる。
【0040】
前記ブラシユニット15を取り除くと、前面カバー4から後板3の上面は上面開口部87となるが、吸込口7として開口しているので上面開口部87の下方に備えたエアフィルタ10が正常にスライドして取り付けられれば良いもので、上面開口部87をそのまま吸込口7としても良く、または、ブラシユニット15からブラシ19とフィルタ駆動部20を取り外してユニット枠18のみを取り付けて吸込口7の保護枠として使用しても良い。
【0041】
前記後板2とブラシ19、モータユニット40、フィルタ案内板79を取り除くと、後板3の背面上部で後部ドレンパン89の上方に後部開口部140が開口する。そこで、この後部開口部140を閉塞するために上部閉塞板141を備える。この上部閉塞板141は横長方形状の板を多数のリブ142で補強されたもので、上面に水平に備える上面リブ143を有し、この上面リブ143の下方背面には背面板2の係止凹部70と略同形状で、閉塞板係止手段としての係止凹部144を備え、左右に備える係止凹部144の中央と左右端に3個のネジ穴145を有している。また、上部閉塞板141の下部146には前方に向かって突出する円柱状のネジボス147を形成している。また、係止凹部144と下部146の間の背面側には段差148を備えている。
【0042】
前記上部閉塞板141の後板2への取り付けについて説明すれば、上部閉塞板141の下部146を後部開口部140の背面側から差し入れて前記の段部148を後部開口部140の下辺に突き当て、上面リブ143を後板3の上桟149の下部に突き当てる。次に、背面側からネジ穴145を貫通して後板3の後部開口部140に形成した縦桟150にネジ止めし、後板3に備える取付孔95を貫通してネジボス147へと多数ネジ止め固定される。
【0043】
次に、ダストボックス100を取り除くと、後板3底面にゴミ排出口101が表れる。このゴミ排出口101が開口しても室内機の性能上は問題無いが、意匠の低下を防止するために排出口閉塞板151が必要になる。この排出口閉塞板151はゴミ排出口101よりもやや大きく横長方形状の板の左右辺部に、ゴミ排出口101の左右縁に下方から係止する蓋突起152とバネ部153を有している。また、背面板2が取り除かれることで、据付板57下部の係止孔60に係止していた背面板2の爪部71が無くなることを補うために、排出口閉塞板151の内側で据付板57の係止孔60に対向する位置に、背面板2の爪部71と略同形状の蓋爪部154を形成し後板3の下方を固定する構造とする。
【0044】
前記排出口閉塞板151のゴミ排出口101への取り付けについて説明すれば、まず、やや突出する蓋爪部154をゴミ排出口101の内側へ入れてからゴミ排出口101の左右縁に蓋突起152とバネ部153を嵌め込んでセットする。また、排出口閉塞板151を取り付けた状態で据付板57下部の係止孔60に蓋爪部154を係止することで後板3(室内機1)を据付板57に固定することができる。尚、この実施例では蓋突起152とバネ部153による構成にしたが、排出口閉塞板151のゴミ排出口101への取り付け構造については、ネジ止めにして強度を向上した構成にしても良い。
【0045】
次に、フィルタ掃除セットを搭載せずに安価な機種を作成した場合に於ける室内機1の組立手順について説明する。まず、後板3の後部開口部140に背面側から上部閉塞板141を多数のネジでネジ止めする。次に、後板3のゴミ排出口101に排出口閉塞板151を嵌め込んでセットする。
【0046】
次に、送風ファン12や送風モータ93、前部ドレンパン99、熱交換器11、前面カバー4、エアフィルタ10、オープンパネル5の組立は先に説明した、フィルタ掃除セットを搭載した機種とほぼ同じ工程で組み立てることができる。
【0047】
室内の壁面への取付について説明すれば、まず、据付板57を壁面にネジ止めする。次に、据付板57上部の舌片58に、上部閉塞板141の係止凹部144を挿入して係止することで、後板3の上部を据付板57に係止する。そして、据付板57の下部の係止片59に備えた係止孔60に、排出口閉塞板151の蓋爪部154を係止することで後板3の下部を据付板57に固定することができる。
【0048】
このようにすることで、後板3の背面側にフィルタ掃除手段と背面板2とを積層して組み立て可能とし、フィルタ掃除セットと据付板57を選択することで、フィルタ清掃装置を搭載した高級機種と、フィルタ清掃装置を搭載しない安価な機種で、同じ外枠の金型を使用することができ、かつ、部品の共通化や組立作業の共通化することでコストダウンをすることができる。
【0049】
また、1種類の据付板57で、フィルタ清掃装置を搭載した高級機種と、フィルタ清掃装置を搭載しない安価な機種の2種類の機種の据付をすることができる。
また、フィルタ掃除セットを選択したときには、ゴミの排出口101にダストボックス100を装着し、据付板57を選択したときには、排出口101を閉塞する排出口閉塞板141を備え、排出口101に排出口閉塞板151を装着する構成とすることで、簡単に排出口101を塞ぐことができ外観を損なうことを防止できる。
また、排出口閉塞板151に蓋爪部154を備えることで、より簡単に部品の共通化や組立作業の共通化とコストダウンをすることができる。