【文献】
BASF,Oppanol PIB by BASF,2013年 3月,pp. 1-28,Available online[http://www.dispersions-pigments.basf.com/portal/load/fid736565/2013_11_19%20%20BR_Oppanol_A4.pdf]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、LCST化合物による水性媒体中でのポリイソブチレン粒子の凝集の低減または抑制のための方法ならびに該方法により得られる高純度のイソブチレンに関する。更に、本発明は、前記高純度のイソブチレンを含むまたは該イソブチレンから得られるポリイソブチレン製品に関する。
【0002】
背景
ゴム、特にイソオレフィンから得られる繰返単位を含むゴムは、カルボカチオン重合法によって工業的に製造される。特に重要なのはポリイソブチレンである。
【0003】
イソオレフィンのカルボカチオン重合は、機械論的に複雑なものである。触媒系は、一般的に2種の成分、つまり開始剤およびルイス酸、例えば三塩化アルミニウムから構成され、それは、大規模工業法で頻繁に使用される。
【0004】
開始剤の例には、プロトン源、例えばハロゲン化水素、アルコール類、フェノール類、カルボン酸およびスルホン酸ならびに水が含まれる。
【0005】
開始ステップの間に、イソオレフィンは、ルイス酸および開始剤と反応してカルベニウムイオンを生成し、それは更にモノマーと反応することで、いわゆる成長ステップにおいて新たなカルベニウムイオンが形成される。
【0006】
モノマーの種類、希釈剤もしくは溶剤の種類およびその極性、重合温度ならびにルイス酸および開始剤の具体的な組み合わせは、成長の化学、ひいては生長しているポリマー鎖へのモノマーの導入に影響を及ぼす。
【0007】
産業界では、ブチルゴム、ポリイソブチレン等を希釈剤としての塩化メチル中で製造するスラリー重合法が一般に広く用いられている。一般的に、前記重合法は、低温で、一般的には−90℃未満の温度で行われる。塩化メチルは、それがモノマーと塩化アルミニウム触媒を溶かすがポリマー生成物は溶かさないという理由を含む様々な理由のため使用されている。塩化メチルはまた、低温重合と、ポリマーおよび未反応のモノマーからの効果的な分離をそれぞれ可能にする適切な凝固点および沸点を有する。塩化メチル中でのスラリー重合法は、溶液重合における一般的に最高20質量%のポリマー濃度に対して、反応混合物中で40質量%までのポリマー濃度が実現できるという多くの更なる利点を提供する。重合物の許容可能な比較的低い粘度が得られるため、重合熱は表面熱交換によってより効果的に除去することが可能である。塩化メチル中でのスラリー重合法は、高分子量ポリイソブチレンおよびイソブチレン−イソプレンブチルゴムポリマーの製造において使用される。
【0008】
ポリイソブチレンのスラリー重合においては、反応混合物は、一般的にポリイソブチレン、希釈剤、残留モノマーおよび触媒残分を含む。この混合物は、回分式に、または産業界でより一般的には連続式に、
・ ブチルゴム粒子(それらは、通例「ブチルゴムクラム」と呼ばれる)を形成および保存するための、例えば多価金属イオンの脂肪酸塩、特にステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛であってよい凝集防止剤と、
・ 任意であるが好ましくは、開始剤残分を中和するための、一般的には水酸化ナトリウム水溶液である停止剤と、
を含む水の入った容器中へと移される。
【0009】
この容器中の水は、一般的には希釈剤および未反応のモノマーを取り出して回収するための加熱された蒸気である。
【0010】
その結果として、ポリイソブチレン粒子のスラリーが得られ、該スラリーは次いで脱水にかけられ、ポリイソブチレン粒子が単離される。該ポリイソブチレンゴム粒子は次いで乾燥され、輸送のためにベール化および包装される。
【0011】
凝集防止剤は、前記のプロセスステップにおいて、ブチルゴム粒子が懸濁状態で留まり、低い凝集傾向を示すことを保証する。
【0012】
凝集防止剤が存在しないと、本来は高いポリイソブチレンの付着性により、プロセス水中に、分散されていないゴムの塊が素早く形成されて、該製法は滞ることとなる。粒子の形成に加えて、該製法を汚し滞らせるものである形成されたブチルゴム粒子が本来ストリッピングプロセスの間に凝集する傾向を遅らせるのに十分な量の凝集防止剤を添加せねばならない。
【0013】
凝集防止剤、特にステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛は、ポリイソブチレン粒子同士の密接と付着を制限するための物理的・機械的障壁として機能する。
【0014】
これらの凝集防止剤の必要とされる物理特性は、一般的に標準条件下で1リットル当たり20mg未満である水中での非常に低い溶解度と、効果的な障壁を維持するのに十分な機械的安定性と、仕上げ作業と乾燥のために後に加工できることとポリイソブチレンと混合できることである。
【0015】
一価または多価金属イオンの脂肪酸塩、特にナトリウム、カリウム、カルシウムまたは亜鉛のステアリン酸塩またはパルミチン酸塩の根本的な欠点は、シーラントまたは接着剤の形成のためにポリイソブチレンと一緒に一般的に配合される成分とのその化学的相互作用と、不所望な混濁と見た目をもたらすポリイソブチレン中でのその不溶性である。
【0016】
有機溶液またはスラリー中での重合の後または重合後変性の後のいずれかで得られる他の様々なポリイソブチレンは、一般的に水性後処理にかけられるため、同様の問題点が当てはまる。
【0017】
従って、凝集の低減された傾向または低い傾向を有する水性媒体中でのポリイソブチレンの製造方法を提供することが依然として求められている。
【0018】
本発明の概要
本発明の一態様によれば、複数のポリイソブチレン粒子を中に懸濁された状態で含んでいる水性スラリーの製造方法であって、少なくとも
A)以下のi)およびii)
i)ポリイソブチレン、および
ii)有機希釈剤
を含む有機媒体と、0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有する少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体とを接触させるステップ、ならびに
B)前記有機希釈剤を少なくとも部分的に除去することで、ポリイソブチレン粒子を含む水性スラリーを得るステップ
を含む、前記方法が提供される。
【0019】
発明の詳細な説明
また本発明は、以下に開示される好ましい実施形態、範囲、パラメータの全ての互いの組み合わせ、または最も広く開示された範囲もしくはパラメータでの全ての組み合わせを包含する。
【0020】
一実施形態においては、ポリイソブチレンおよび有機希釈剤を含む有機媒体は、重合反応から得られる。
【0021】
前記ポリイソブチレンおよび有機希釈剤を含む有機媒体が重合反応から得られる場合に、該媒体は、更に重合反応の残留ブチレンを含有することがある。
【0022】
前記水性媒体は、更に、非LCST化合物を含んでもよく、ここで該非LCST化合物は、
・ イオン性もしくは非イオン性の界面活性剤、乳化剤および凝集防止剤からなる群から選択され、またはもう一つの実施形態においては、
・ 一価もしくは多価金属イオンの塩であり、またはもう一つの実施形態においては、
・ 一価もしくは多価金属イオンのステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩であり、またはもう一つの実施形態においては、
・ ナトリウム、カリウム、カルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩
である。
【0023】
一実施形態においては、従って前記水性媒体は、20000ppmまたはそれ未満の、好ましくは10000ppmまたはそれ未満の、より好ましくは8000ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは5000ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは2000ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては1000ppmまたはそれ未満の非LCST化合物を含み、ここで該非LCST化合物は、前記の4種の群から選択され、好ましくは有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される。
【0024】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、500ppmまたはそれ未満の、好ましくは100ppmまたはそれ未満の、より好ましくは50ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは30ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の、もう一つのなおも更により好ましい実施形態においては1000ppmまたはそれ未満の非LCST化合物を含み、ここで該非LCST化合物は、前記の4種の群から選択され、好ましくは有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される。
【0025】
特に明確な記載がない限り、ppmは質量に対する百万分率を指す。
【0026】
一実施形態においては、前記水性媒体は、0ppmから5000ppmまでの、好ましくは0ppmから2000ppmまでの、より好ましくは10ppmから1000ppmまでの、更により好ましくは50ppmから800ppmまでの、なおも更により好ましくは100ppmから600ppmまでの一価もしくは多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0027】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、0ppmから5000ppmまでの、好ましくは0ppmから2000ppmまでの、より好ましくは10ppmから1000ppmまでの、更により好ましくは50ppmから800ppmまでの、なおも更により好ましくは100ppmから600ppmまでの多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0028】
もう一つの実施形態においては、一価金属イオンおよび多価金属イオンのステアリン酸塩、パルミチン酸塩およびオレイン酸塩の塩と、存在する場合のLCST化合物との質量比は、水性媒体中で、1:2〜1:100、好ましくは1:2〜1:10、より好ましくは1:5〜1:10である。
【0029】
一実施形態においては、前記水性媒体は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つのなおも更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0030】
更なるもう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0031】
一実施形態においては、前記水性媒体は、8000ppmまたはそれ未満の、好ましくは5000ppmまたはそれ未満の、より好ましくは2000ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは1000ppmまたはそれ未満の、もう一つの実施形態においては好ましくは500ppmまたはそれ未満の、より好ましくは100ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは15ppmまたはそれ未満の非イオン性界面活性剤を含み、なおも更により好ましくは非イオン性界面活性剤を含まないかもしくは1ppm〜10ppmの非イオン性界面活性剤を含み、該非イオン性界面活性剤は、イオン性もしくは非イオン性の界面活性剤、乳化剤および凝集防止剤からなる群から選択される非LCST化合物であり、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対するものである。
【0032】
本明細書で使用される場合に、LCST化合物は、液体媒体中により低温で可溶であるが、ある特定の温度(いわゆる下限臨界溶液温度またはLCST温度)を上回ると前記液体媒体から沈殿する化合物である。この過程は可逆的であり、こうして該系は冷却すると再び均質となる。冷却時に溶液が澄明になる温度は、曇り点(ドイツ標準規格DIN EN 1890、2006年9月)として知られている。この温度は、特定の物質と特定の方法について特徴的である。
【0033】
一般的に親水性基と疎水性基を含むLCST化合物の性質に依存して、曇り点の測定は、DIN EN 1890(2006年9月)に示される種々の条件を必要とすることがある。このDINは本来、エチレンオキシドの縮合によって得られた非イオン性界面活性剤のために開発されたものであるけれども、この方法は同様に、広範な様々なLCST化合物についての曇り点の測定を可能にする。しかしながら、適合された条件が、構造的に異なる化合物に関して曇り点をより簡単に測定するために有用であることが判明した。
【0034】
従って、本明細書で使用されるLCST化合物という用語は、0℃〜100℃、好ましくは5℃〜100℃、より好ましくは15℃〜80℃、更により好ましくは20℃〜80℃の曇り点が以下の方法:
1)2006年9月のDIN EN 1890の方法A、
2)2006年9月のDIN EN 1890の方法C、
3)2006年9月のDIN EN 1890の方法E、
4)2006年9月のDIN EN 1890の方法Aであって、試験される化合物の量を、蒸留水100ml当たり1gから、蒸留水100ml当たり0.05gへと減らした方法
5)2006年9月のDIN EN 1890の方法Aであって、試験される化合物の量を、蒸留水100ml当たり1gから、蒸留水100ml当たり0.2gへと減らした方法
の少なくとも1つによって測定できるあらゆる化合物を含むものである。
【0035】
もう一つの実施形態においては、上述の曇り点は、方法1)、2)または4)の少なくとも1つによって測定することができる。
【0036】
好ましい一実施形態においては、前記LCST化合物は、曇り点が方法1)、3)または4)の少なくとも1つによって測定することができる化合物である。
【0037】
従って、非LCST化合物は、曇り点を有さないか、または前記定義の範囲外の曇り点を有するかのいずれかの化合物である。前記の異なる方法が僅かに異なる曇り点を導きうるということは、当業者には自明であり、かつ様々な市販製品から公知である。しかしながら、それぞれの方法の測定値は、それらの固有誤差の範囲内において一致しており再現的であり、かつ本発明の一般的原理は、上記方法の少なくとも1つで曇り点が前記範囲内であるとみなされる限りは、同じ化合物について測定された異なるLCST温度によって影響されるものではない。
【0038】
はっきりさせるために、ステップb)で使用される開始剤系から既に生じている金属イオン、特に多価金属イオン、例えばアルミニウムは、ステップA)で使用される水性媒体中に存在する金属イオンの計算によって包含されないと言及されるべきである。
【0039】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、70ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは30ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0040】
更なるもう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、25ppmまたはそれ未満の、好ましくは10ppmまたはそれ未満の、より好ましくは8ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは7ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは5ppmまたはそれ未満の多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0041】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)、その際、前記カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばステアリン酸から選択される。
【0042】
以下の例は、計算をどのように行うかを示すものである。
【0043】
ステアリン酸カルシウム(C
36H
70CaO
4)の分子量は、607.04g/モルである。カルシウム金属の原子量は、40.08g/モルである。550ppmの多価金属イオンの塩(ステアリン酸カルシウム)を含む(前記塩の金属含分(カルシウム)基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの、10gのポリイソブチレンを含む有機媒体からスラリーを形成するのに十分な量に対して計算される)、例えば1kgの水性媒体を準備するためには、該水性媒体は、(607.04/40.08)×(10gの550ppm)=83mgのステアリン酸カルシウムを含まねばならず、またはポリイソブチレンに対しては0.83質量%または該水性媒体に対しては83ppmである。水性媒体と、有機媒体中に存在するポリイソブチレンとの質量比は、この場合には100:1であることとなる。
【0044】
更にもう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、70ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは30ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)、その際、前記カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばパルミチン酸またはステアリン酸から選択される。
【0045】
更にもう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、25ppmまたはそれ未満の、好ましくは10ppmまたはそれ未満の、より好ましくは8ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは7ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは5ppmまたはそれ未満の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)、その際、前記カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばステアリン酸から選択される。
【0046】
一実施形態においては、前記水性媒体は、カルボン酸が、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸である、多価金属イオンのカルボン酸塩を含まない。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばステアリン酸から選択される。
【0047】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、100ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは20ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは15ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の一価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0048】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、それに加えて、またはその代わりに、100ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは30ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては5ppmまたはそれ未満の一価金属イオンのカルボン酸塩、例えばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムおよびオレイン酸ナトリウムならびにステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウムおよびオレイン酸カリウムを含み(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)、その際、前記カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸から選択される。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばステアリン酸から選択される。カルボン酸の一価塩の例には、ナトリウムのステアリン酸塩、パルミチン酸塩およびオレイン酸塩ならびにカリウムのステアリン酸塩、パルミチン酸塩およびオレイン酸塩が含まれる。
【0049】
一実施形態においては、前記水性媒体は、カルボン酸が、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するカルボン酸である、一価金属イオンのカルボン酸塩を含まない。一実施形態においては、そのようなカルボン酸は、モノカルボン酸から選択される。もう一つの実施形態においては、そのようなカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、例えばパルミチン酸またはステアリン酸から選択される。
【0050】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、0ppmから5000ppmまでの、好ましくは0ppmから2000ppmまでの、より好ましくは10ppmから1000ppmまでの、更により好ましくは50ppmから800ppmまでの、なおも更により好ましくは100ppmから600ppmまでの多価金属イオンの炭酸塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0051】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の多価金属イオンの炭酸塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0052】
更にもう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、70ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは30ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の多価金属イオンの炭酸塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0053】
多価金属イオンの炭酸塩は、特に炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムである。
【0054】
多価金属イオンという用語は、特に二価アルカリ土類金属イオン、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム、好ましくはマグネシウムおよびカルシウム、第13族の三価金属イオン、例えばアルミニウム、第3族〜第12族の多価金属イオン、特に亜鉛の二価金属イオンを包含する。
【0055】
一価金属イオンという用語は、特にアルカリ金属イオン、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムを包含する。
【0056】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、500ppmまたはそれ未満の、好ましくは200ppmまたはそれ未満の、より好ましくは100ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは50ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の層状鉱物、例えばタルクを含み、もう一つの更により好ましい実施形態においては層状鉱物を含まない(有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0057】
もう一つの実施形態においては、前記水性媒体は、500ppmまたはそれ未満の、好ましくは200ppmまたはそれ未満の、より好ましくは100ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは20ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは10ppmまたはそれ未満の、もう一つのなおも更なるより好ましい実施形態においては5ppmまたはそれ未満のLCST化合物以外の分散剤、乳化剤もしくは凝集防止剤を含み、なおも更により好ましくは該LCST化合物以外の分散剤、乳化剤もしくは凝集防止剤を含まない。用語「複数の」は、少なくとも2、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも100の整数を示す。
【0058】
一実施形態においては、「複数のポリイソブチレン粒子を中に懸濁された状態で含んでいる水性スラリー」という表現は、少なくとも10個の離散した粒子を1リットル当たりに、好ましくは少なくとも20個の離散した粒子を1リットル当たりに、より好ましくは少なくとも50個の離散した粒子を1リットル当たりに、更により好ましくは少なくとも100個の離散した粒子を1リットル当たりに中に懸濁されて有するスラリーを示す。
【0059】
ポリイソブチレン粒子という用語は、任意の形態および稠性の離散した粒子であって、好ましい一実施形態においては、0.05mmから25mmの間の、より好ましくは0.1mmから20mmの間の粒度を有する粒子を示す。
【0060】
一実施形態においては、ゴム粒子の質量平均粒度は、0.3mmから10.0mmまでである。
【0061】
本発明により形成されたポリイソブチレン粒子が依然として有機希釈剤および/または残留モノマーを含有することがあり、更に該ポリイソブチレン粒子内に取り囲まれた水を含有することがあることは当業者には自明である。一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子は、有機希釈剤、イソブチレンおよびポリイソブチレンの合計に対して計算して、90質量%もしくはそれより多くの、好ましくは93質量%もしくはそれより多くの、より好ましくは94質量%もしくはそれより多くの、更により好ましくは96質量%もしくはそれより多くのポリイソブチレンを含有する。
【0062】
上述のように、ポリイソブチレン粒子は、しばしば文献においてはクラムと呼ばれる。一般的にポリイソブチレン粒子またはクラムは、不均一な形態および/または形状を有する。
【0063】
水性媒体という用語は、80質量%もしくはそれより多くの、好ましくは90質量%もしくは80質量%より多くの、更により好ましくは95質量%もしくはそれより多くの、なおも更により好ましくは99質量%もしくはそれより多くの水を含む媒体を示す。
【0064】
100質量%に対する残分は、LCST化合物を含むとともに、更に
・ 前記定義の非LCST化合物、
・ LCST化合物でもなく、前記定義の非LCST化合物でもない化合物および塩、
・ 水性媒体中に溶解可能な程度までの有機希釈剤、
・ 生成物の貯蔵寿命の延長が望まれる場合には、酸化防止剤および/または安定剤
の群から選択される化合物を含んでよい。
【0065】
一実施形態においては、前記水性媒体は、1ppmから2000ppmまでの、好ましくは50ppmから1000ppmまでの、より好ましくは80ppmから500ppmまでの酸化防止剤を含む(有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0066】
非常に高純度の生成物を得ることが望まれる場合に、水性媒体の調製に使用される水は、イオン交換、膜濾過技術、例えば逆浸透等の標準的な方法によって脱塩される。
【0067】
一般的に、8.0度のドイツ硬度(°dH)またはそれ未満、好ましくは6.0°dHまたはそれ未満、より好ましくは3.75°dHまたはそれ未満、更により好ましくは3.00°dHまたはそれ未満を有する水を利用することで十分である。
【0068】
一実施形態においては、前記水は少なくとも1種のLCST化合物と混合されて、温度に応じて、0.1質量%から2質量%までの、好ましくは0.5質量%から1質量%までのLCST化合物濃度を有するスラリーまたは溶液のいずれかである濃縮物が得られる。次いでこの濃縮物は、ステップA)が行われる容器中に計量供給され、更なる水で所望の濃度へと希釈される。
【0069】
好ましくは、前記濃縮物は溶液であり、それは0℃から35℃までの、好ましくは10℃から30℃までの温度を有する容器中に計量供給される。
【0070】
特に言及されなければ、ppmは質量ppmを指す。
【0071】
前記水性媒体は、更に酸化防止剤および安定剤を含んでよい。
【0072】
酸化防止剤および安定剤には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)およびペンタエリトロール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010としても知られる)、オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(Irganox(登録商標)1076としても知られる)、t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート(Irgafos(登録商標)168)、ジオクチルジフェニルアミン(Stalite(登録商標)S)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化生成物(Wingstay)ならびに他のフェノール系酸化防止剤およびヒンダードアミン光安定剤が含まれる。
【0073】
適切な酸化防止剤には、一般に、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリイソブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4−ジブチル−6−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソ−ブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジシクロペンチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4,6−ジ−t−ブチル−2−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノールおよび2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,2−エチリデン−ビス[4,6−ジ−t−ブチルフェノール]、2,2−エチリデン−ビス[6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール]、2,2−イソブチリデン−ビス[4,6−ジメチルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[4,6−ジ−t−ブチルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2−メチレン−ビス[4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[4−メチル−6−ノニルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[6−t−ブチル−4−エチルフェノール]、2,2−メチレン−ビス[6−t−ブチル−4−メチルフェノール]、4,4−ブチリデン−ビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]、4,4−メチレン−ビス[2,6−ジ−t−ブチルフェノール]、4,4−メチレン−ビス[6−t−ブチル−2−メチルフェノール]、4,4−イソプロピリデン−ジフェノール、4,4’−デシリデン−ビスフェノール、4,4’−ドデシリデン−ビスフェノール、4,4−(1−メチルオクチリデン)ビスフェノール、4,4−シクロヘキシリデン−ビス(2−メチルフェノール)、4,4−シクロヘキシリデンビスフェノールおよびペンタエリトロール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010としても知られる)が含まれる。
【0074】
一実施形態においては、ポリイソブチレンの粘度平均分子量(M
v)は、100kg/モルから3000kg/モルまでの範囲であり、好ましくは250kg/モルから3000kg/モルまでの範囲である。
【0075】
もう一つの実施形態においては、ポリイソブチレンの粘度平均分子量(M
v)は、100kg/モルから2000kg/モルまでの範囲であり、好ましくは200kg/モルから2000kg/モルまでの範囲であり、より好ましくは350kg/モルから1800kg/モルまでの範囲であり、更により好ましくは400kg/モルから1500kg/モルまでの範囲であり、なおも更により好ましくは700kg/モルから1300kg/モルまでの範囲である。
【0076】
更にもう一つの実施形態においては、ポリイソブチレンの粘度平均分子量(M
v)は、2001kg/モルから3000kg/モルまでの範囲である。
【0077】
更にもう一つの実施形態においては、ポリイソブチレンの粘度平均分子量(M
v)は、3001kg/モルから10000kg/モルまでの範囲である。
【0078】
一実施形態においては、本発明によるポリイソブチレンの多分散性は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される質量平均分子量の数平均分子量に対する比率によって測定される3.0〜5.5の範囲である。
【0079】
ポリイソブチレンは、例えば一般的には、少なくとも10(125℃でのML 1+8、ASTM D 1646)の、好ましくは10から80までの、より好ましくは20から80までの、更により好ましくは25から60までの(125℃でのML 1+8、ASTM D 1646)ムーニー粘度を有する。
【0080】
モノマー
一実施形態においては、ステップA)で使用される有機媒体は、少なくとも
a)有機希釈剤およびイソブチレンを含む反応媒体を準備するステップ、
b)該反応媒体内のイソブチレンを開始剤系または触媒の存在下で重合することで、ポリイソブチレン、有機希釈剤および場合により残留モノマーを含む有機媒体を形成するステップ
を含む方法によって得られる。
【0081】
イソブチレンは、前記反応媒体中に、0.01質量%から80質量%までの量で、好ましくは0.1質量%から65質量%までの量で、より好ましくは10.0質量%から65.0質量%までの量で、更により好ましくは25.0質量%から65.0質量%までの量で、またはもう一つの実施形態においては10.0質量%から20.0質量%までの量で存在してよい。
【0082】
一実施形態においては、前記イソブチレンは、ステップa)で使用する前に、特にそれらがステップd)から再循環される場合には精製される。イソブチレンの精製は、適切なモレキュラーシーブまたはアルミナベースの吸着材を含む吸着材カラムに通過させることによって行うことができる。重合反応との干渉を最小限にするために、該反応に対して毒として作用する水およびアルコール等の物質および他の有機酸素化物の全濃度は、好ましくは質量基準で、約100未満の百万分率にまで低下される。
【0083】
有機希釈剤
有機希釈剤という用語は、反応条件下で液体である希釈用または溶解用の有機化学物質を包含する。モノマーまたは開始剤系の成分と反応しないか、または任意の認識できる程度にまでは反応しない任意の適切な有機希釈剤を使用することができる。
【0084】
しかしながら、当業者は、希釈剤とモノマーまたは開始剤系の成分もしくは触媒との間の相互作用が生じうることを認識している。
【0085】
更に、有機希釈剤という用語には、少なくとも2種の希釈剤の混合物が含まれる。
【0086】
有機希釈剤の例には、塩素化炭化水素類、例えば塩化メチル、塩化メチレンまたは塩化エチルが含まれる。
【0087】
有機希釈剤の更なる例には、式:C
xH
yF
z[式中、xは、1から40までの、あるいは1から30までの、あるいは1から20までの、あるいは1から10までの、あるいは1から6までの、あるいは2から20までの、あるいは3から10までの、あるいは3から6までの、最も好ましくは1から3までの整数であり、ここでyおよびzは整数であるとともに少なくとも1である]によって表されるフッ素化炭化水素が含まれる。一実施形態においては、前記1種以上のフッ素化炭化水素は、飽和フッ素化炭化水素、例えばフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1−フルオロプロパン、2−フルオロプロパン、1,1−ジフルオロプロパン、1,2−ジフルオロプロパン、1,3−ジフルオロプロパン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、1,1,2−トリフルオロプロパン、1,1,3−トリフルオロプロパン、1,2,2−トリフルオロプロパン、1,2,3−トリフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラフルオロプロパン、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン、1,1,2,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,3−テトラフルオロプロパン、1,2,2,3−テトラフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1−フルオロブタン、2−フルオロブタン、1,1−ジフルオロブタン、1,2−ジフルオロブタン、1,3−ジフルオロブタン、1,4−ジフルオロブタン、2,2−ジフルオロブタン、2,3−ジフルオロブタン、1,1,1−トリフルオロブタン、1,1,2−トリフルオロブタン、1,1,3−トリフルオロブタン、1,1,4−トリフルオロブタン、1,2,2−トリフルオロブタン、1,2,3−トリフルオロブタン、1,3,3−トリフルオロブタン、2,2,3−トリフルオロブタン、1,1,1,2−テトラフルオロブタン、1,1,1,3−テトラフルオロブタン、1,1,1,4−テトラフルオロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロブタン、1,1,2,3−テトラフルオロブタン、1,1,2,4−テトラフルオロブタン、1,1,3,3−テトラフルオロブタン、1,1,3,4−テトラフルオロブタン、1,1,4,4−テトラフルオロブタン、1,2,2,3−テトラフルオロブタン、1,2,2,4−テトラフルオロブタン、1,2,3,3−テトラフルオロブタン、1,2,3,4−テトラフルオロブタン、2,2,3,3−テトラフルオロブタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,4−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,4−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,3,3,4−ペンタフルオロブタン、1,2,2,3,3−ペンタフルオロブタン、1,2,2,3,4−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,2,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,2,2,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,4,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,3,3,4,4−ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3,4−オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,4,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,4,4−ノナフルオロブタン、1−フルオロ−2−メチルプロパン、1,1−ジフルオロ−2−メチルプロパン、1,3−ジフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,3−トリフルオロ−2−メチルプロパン、1,3−ジフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,3,3−テトラフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,3−トリフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,3,3−テトラフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン、フルオロシクロブタン、1,1−ジフルオロシクロブタン、1,2−ジフルオロシクロブタン、1,3−ジフルオロシクロブタン、1,1,2−トリフルオロシクロブタン、1,1,3−トリフルオロシクロブタン、1,2,3−トリフルオロシクロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、1,1,3,3−テトラフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロブタンからなる群から選択される。特に好ましいHFCには、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、フルオロメタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンが含まれる。
【0088】
更なる一実施形態においては、前記1種以上のフッ素化炭化水素は、不飽和フッ素化炭化水素、例えばフッ化ビニル、1,2−ジフルオロエテン、1,1,2−トリフルオロエテン、1−フルオロプロペン、1,1−ジフルオロプロペン、1,2−ジフルオロプロペン、1,3−ジフルオロプロペン、2,3−ジフルオロプロペン、3,3−ジフルオロプロペン、1,1,2−トリフルオロプロペン、1,1,3−トリフルオロプロペン、1,2,3−トリフルオロプロペン、1,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3−トリフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1−フルオロ−1−ブテン、2−フルオロ−1−ブテン、3−フルオロ−1−ブテン、4−フルオロ−1−ブテン、1,1−ジフルオロ−1−ブテン、1,2−ジフルオロ−1−ブテン、1,3−ジフルオロプロペン、1,4−ジフルオロ−1−ブテン、2,3−ジフルオロ−1−ブテン、2,4−ジフルオロ−1−ブテン、3,3−ジフルオロ−1−ブテン、3,4−ジフルオロ−1−ブテン、4,4−ジフルオロ−1−ブテン、1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン、1,1,3−トリフルオロ−1−ブテン、1,1,4−トリフルオロ−1−ブテン、1,2,3−トリフルオロ−1−ブテン、1,2,4−トリフルオロ−1−ブテン、1,3,3−トリフルオロ−1−ブテン、1,3,4−トリフルオロ−1−ブテン、1,4,4−トリフルオロ−1−ブテン、2,3,3−トリフルオロ−1−ブテン、2,3,4−トリフルオロ−1−ブテン、2,4,4−トリフルオロ−1−ブテン、3,3,4−トリフルオロ−1−ブテン、3,4,4−トリフルオロ−1−ブテン、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,2,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,3,3−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−ブテン、1,2,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,2,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,3,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2,3,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、3,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,2,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,2,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,2,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、2,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1−フルオロ−2−ブテン、2−フルオロ−2−ブテン、1,1−ジフルオロ−2−ブテン、1,2−ジフルオロ−2−ブテン、1,3−ジフルオロ−2−ブテン、1,4−ジフルオロ−2−ブテン、2,3−ジフルオロ−2−ブテン、1,1,1−トリフルオロ−2−ブテン、1,1,2−トリフルオロ−2−ブテン、1,1,3−トリフルオロ−2−ブテン、1,1,4−トリフルオロ−2−ブテン、1,2,3−トリフルオロ−2−ブテン、1,2,4−トリフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,4−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,2,4−テトラフルオロ−2−ブテン、1,2,3,4−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
有機希釈剤の更なる例には、塩素化フッ素化炭化水素が含まれる。
【0090】
有機希釈剤の更なる例には、炭化水素、好ましくはアルカンであって、更なる好ましい一実施形態においては、プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘプタン、3−エチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1−ジメチルシクロペンタン、シス−1,2−ジメチルシクロペンタン、トランス−1,2−ジメチルシクロペンタン、トランス−1,3−ジメチル−シクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンからなる群から選択されるものであるアルカンが含まれる。
【0091】
炭化水素希釈剤の更なる例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルトキシレン、パラキシレンおよびメタキシレンが含まれる。
【0092】
更に、適切な有機希釈剤には、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素、塩素化フッ素化炭化水素および炭化水素からなる群から選択される少なくとも2種の化合物の混合物が含まれる。具体的な組み合わせには、塩素化炭化水素とフッ素化炭化水素との混合物、例えば塩化メチルと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、特に40容量%〜60容量%の塩化メチルと40容量%〜60容量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物であって、上述の2種類の希釈剤が足して、全希釈剤の90容量%〜100容量%、好ましくは95容量%〜100容量%となり、場合による100容量%に対する残分は、他のハロゲン化炭化水素を含む混合物、または塩化メチルと少なくとも1種のアルカンとの混合物もしくはアルカンの混合物、例えば少なくとも90質量%、好ましくは95質量%の、1013hPaの圧力で−5℃〜100℃もしくはもう一つの実施形態においては35℃〜85℃の沸点を有するアルカンを含む混合物が含まれる。もう一つの実施形態においては、アルカンの少なくとも99.9質量%、好ましくは100質量%は、1013hPaの圧力で、100℃以下の、好ましくは35℃から100℃までの範囲の、より好ましくは90℃以下の、更により好ましくは35℃から90℃までの範囲の沸点を有する。
【0093】
ステップb)のために意図される重合の性質に応じて、前記有機希釈剤は、スラリー重合または溶液重合が可能となるように選択される。
【0094】
開始剤系
ステップb)において、反応媒体内のイソブチレンは、開始剤系の存在下で重合することで、ポリイソブチレン、有機希釈剤および場合による残りのイソブチレンを含む媒体が形成される。
【0095】
開始剤系、特にポリイソブチレンをカチオン重合によって得るための開始剤系は、一般的に、少なくとも1種のルイス酸および開始剤を含む。
【0096】
ルイス酸
適切なルイス酸には、式MX
3[式中、Mは、第13族元素であり、かつXは、ハロゲンである]によって表される化合物が含まれる。そのような化合物の例には、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化ガリウムおよび三フッ化インジウムが含まれ、その際、三塩化アルミニウムが好ましい。
【0097】
更なる適切なルイス酸には、式MR
(m)X
(3-m)[式中、Mは、第13族元素であり、Xは、ハロゲンであり、Rは、C
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、かつmは、1または2である]によって表される化合物が含まれる。Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい。
【0098】
そのような化合物のための例には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウムおよびそれらの任意の混合物が含まれる。好ましくは、塩化ジエチルアルミニウム(Et
2AlClまたはDEAC)、セスキ塩化エチルアルミニウム(Et
1.5AlCl
1.5またはEASC)、二塩化エチルアルミニウム(EtAlCl
2またはEADC)、臭化ジエチルアルミニウム(Et
2AlBrまたはDEAB)、セスキ臭化エチルアルミニウム(Et
1.5AlBr
1.5またはEASB)および二臭化エチルアルミニウム(EtAlBr
2またはEADB)ならびにそれらの任意の混合物である。
【0099】
更なる適切なルイス酸には、式M(RO)
nR’
mX
(3-(m+n))[式中、Mは、第13族金属であり、ROは、C
1〜C
30−アルコキシ、C
7〜C
30−アリールオキシ、C
7〜C
30−アリールアルコキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールオキシからなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から3までの数であり、mは、0から3までの数であり、nとmの合計は3以下であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]によって表される化合物が含まれる。
【0100】
本発明の目的につき、当業者であれば、アルコキシおよびアリールオキシという用語がそれぞれアルコキシドおよびフェノキシドとの構造的に等価なものであることを認知しているはずである。用語「アリールアルコキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルコキシ位にある基を指す。用語「アルキルアリール」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールオキシ位にある基を指す。
【0101】
制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、二塩化メトキシアルミニウム、二塩化エトキシアルミニウム、二塩化2,6−ジ−t−ブチルフェノキシアルミニウム、塩化メトキシメチルアルミニウム、塩化2,6−ジ−t−ブチルフェノキシメチルアルミニウム、二塩化イソプロポキシガリウムおよびフッ化フェノキシメチルインジウムが含まれる。
【0102】
更なる適切なルイス酸には、式M(RC=OO)
nR’
mX
(3-(m+n))[式中、Mは、第13族金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30−アルキルアシルオキシ(alkacyloxy)、C
7〜C
30−アリールアシルオキシ、C
7〜C
30−アリールアルキルアシルオキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールアシルオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボアシル(hydrocarbacyl)基であり、R’は、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から3までの数であり、mは、0から3までの数であり、nとmの合計は3以下であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]によって表される化合物が含まれる。
【0103】
用語「アリールアルキルアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルキルアシルオキシ位にある基を指す。用語「アルキルアリールアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールアシルオキシ位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、二塩化アセトキシアルミニウム、二臭化ベンジルオキシアルミニウム、二フッ化ベンゾイルオキシガリウム、塩化メチルアセトキシアルミニウムおよび三塩化イソプロポイル(isopropoyl)オキシインジウムが含まれる。
【0104】
更なる適切なルイス酸には、元素の周期律表の第4族、第5族、第14族および第15族の金属、例えばチタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、ヒ素、アンチモンおよびビスマスを基礎とする化合物が含まれる。
【0105】
しかしながら、当業者であれば、幾つかの元素が本発明の実施においてより一層適していることを認知しているであろう。第4族元素、第5族元素および第14族元素のルイス酸は、一般式MX
4[式中、Mは、第4族金属、第5族金属または第14族金属であり、かつXは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有する。制限されるものではないが、例には、四塩化チタン、四臭化チタン、四塩化バナジウム、四塩化スズおよび四塩化ジルコニウムが含まれる。前記第4族元素、第5族元素および第14族元素のルイス酸は、1種より多くのハロゲンを含んでもよい。制限されるものではないが、例には、臭化三塩化チタン、二臭化二塩化チタン、臭化三塩化バナジウムおよび塩化三フッ化スズが含まれる。
【0106】
本発明において有用な第4族元素、第5族元素および第14族元素のルイス酸は、一般式MR
nX
(4-n)[式中、Mは、第4族金属、第5族金属または第14族金属であり、Rは、C
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から4までの整数であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有する。
【0107】
用語「アリールアルキル」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルキル位にある基を指す。
【0108】
用語「アルキルアリール」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリール位にある基を指す。
【0109】
制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、三塩化ベンジルチタン、二塩化ジベンジルチタン、三塩化ベンジルジルコニウム、二臭化ジベンジルジルコニウム、三塩化メチルチタン、二フッ化ジメチルチタン、二塩化ジメチルスズおよび三塩化フェニルバナジウムが含まれる。
【0110】
本発明において有用な第4族元素、第5族元素および第14族元素のルイス酸は、一般式M(RO)
nR’
mX
4-(m+n)[式中、Mは、第4族金属、第5族金属または第14族金属であり、ROは、C
1〜C
30−アルコキシ、C
7〜C
30−アリールオキシ、C
7〜C
30−アリールアルコキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、
前記定義のC1〜C12−アルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C14−アリールアルキルおよびC7〜C14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、Rは、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から4までの整数であり、mは、0から4までの整数であり、nとmの合計は4以下であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有してもよい。
【0111】
本発明の目的につき、当業者であれば、アルコキシおよびアリールオキシという用語がそれぞれアルコキシドおよびフェノキシドとの構造的に等価なものであることを認知しているはずである。用語「アリールアルコキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルコキシ位にある基を指す。
【0112】
用語「アルキルアリール」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールオキシ位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、三塩化メトキシチタン、三塩化n−ブトキシチタン、二塩化ジ(イソプロポキシ)チタン、三臭化フェノキシチタン、三フッ化フェニルメトキシジルコニウム、二塩化メチルメトキシチタン、二塩化メチルメトキシスズおよび二塩化ベンジルイソプロポキシバナジウムが含まれる。
【0113】
本発明において有用な第4族元素、第5族元素および第14族元素のルイス酸は、一般式M(RC=OO)
nR’
mX
4-(m+n)[式中、Mは、第4族金属、第5族金属または第14族金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30−アルキルアシルオキシ、C
7〜C
30−アリールアシルオキシ、C
7〜C
30−アリールアルキルアシルオキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールアシルオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボアシル基であり、R’は、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から4までの整数であり、mは、0から4までの整数であり、nとmの合計は4以下であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有してもよい。
【0114】
用語「アリールアルキルアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルキルアシルオキシ位にある基を指す。
【0115】
用語「アルキルアリールアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールアシルオキシ位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、三塩化アセトキシチタン、三臭化ベンゾイルジルコニウム、三フッ化ベンゾイルオキシチタン、三塩化イソプロポイルスズ、二塩化メチルアセトキシチタンおよび塩化ベンジルベンゾイルオキシバナジウムが含まれる。
【0116】
本発明において有用な第5族元素のルイス酸は、一般式MOX
3[式中、Mは、第5族金属であり、かつXは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素である]を有してもよい。制限されるものではないが、例はオキシ三塩化バナジウムである。前記第15族元素のルイス酸は、一般式MX
y[式中、Mは、第15族金属であり、かつXは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、yは、3、4または5である]を有する。Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい。制限されるものではないが、例には、六塩化アンチモン、六フッ化アンチモンおよび五フッ化ヒ素が含まれる。前記第15族元素のルイス酸は、1種より多くのハロゲンを含んでもよい。制限されるものではないが、例には、塩化五フッ化アンチモン、三フッ化ヒ素、三塩化ビスマスおよびフッ化四塩化ヒ素が含まれる。
【0117】
本発明において有用な第15族元素のルイス酸は、一般式MR
nX
y-n[式中、Mは、第15族金属であり、Rは、C
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、かつnは、0から4までの整数であり、yは、3、4または5であり、nは、y未満であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有してもよい。用語「アリールアルキル」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルキル位にある基を指す。用語「アルキルアリール」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリール位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、塩化テトラフェニルアンチモンおよび二塩化トリフェニルアンチモンが含まれる。
【0118】
本発明において有用な第15族元素のルイス酸は、一般式M(RO)
nR’
mX
y-(m+n)[式中、Mは、第15族金属であり、ROは、C
1〜C
30−アルコキシ、C
7〜C
30−アリールオキシ、C
7〜C
30−アリールアルコキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から4までの整数であり、mは、0から4までの整数であり、かつyは、3、4または5であり、nとmの合計はy未満であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有してもよい。本発明の目的につき、当業者であれば、アルコキシおよびアリールオキシという用語がそれぞれアルコキシドおよびフェノキシドとの構造的に等価なものであることを認知しているはずである。用語「アリールアルコキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルコキシ位にある基を指す。用語「アルキルアリール」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールオキシ位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、テトラクロロメトキシアンチモン、ジメトキシトリクロロアンチモン、ジクロロメトキシヒ素、クロロジメトキシヒ素およびジフルオロメトキシヒ素が含まれる。本発明において有用な第15族元素のルイス酸は、一般式M(RC=OO)
nR’
mX
y-(m+n)[式中、Mは、第15族金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30−アルキルアシルオキシ、C
7〜C
30−アリールアシルオキシ、C
7〜C
30−アリールアルキルアシルオキシ、C
7〜C
30−アルキルアリールアシルオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボアシルオキシ基であり、R’は、前記定義のC
1〜C
12−アルキル、C
6〜C
10−アリール、C
7〜C
14−アリールアルキルおよびC
7〜C
14−アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0から4までの整数であり、mは、0から4までの整数であり、かつyは、3、4または5であり、nとmの合計はy未満であり、Xは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、Xは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであってもよい]を有してもよい。用語「アリールアルキルアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアルキルアシルオキシ位にある基を指す。用語「アルキルアリールアシルオキシ」は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含む基であって、残基がアリールアシルオキシ位にある基を指す。制限されるものではないが、これらのルイス酸の例には、アセタトテトラクロロアンチモン、(ベンゾアト)テトラクロロアンチモンおよび塩化酢酸ビスマスが含まれる。
【0119】
ルイス酸、例えばメチルアルミノオキサン(MAO)および特別に設計された弱配位型ルイス酸、例えばB(C
6F
5)
3も本発明の範囲内で適切なルイス酸である。
【0120】
弱配位型ルイス酸は、WO2004/067577Aの段落[117]〜[129]に包括的に開示されており、前記文献は本明細書では参照により援用される。
【0121】
開始剤
本発明において有用な開始剤は、選択されたルイス酸と錯形成することで、モノマーと反応することにより成長ポリマー鎖を形成する錯体を得ることができる開始剤である。
【0122】
好ましい一実施形態においては、前記開始剤は、水、ハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、スルホン酸、スルホン酸ハロゲン化物、アルコール類、フェノール類、第三級アルキルハロゲン化物、第三級アラルキルハロゲン化物、第三級アルキルエステル、第三級アラルキルエステル、第三級アルキルエーテル、第三級アラルキルエーテル、アルキルハロゲン化物、アリールハロゲン化物、アルキルアリールハロゲン化物およびアリールアルキル酸ハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0123】
好ましいハロゲン化水素開始剤には、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素が含まれる。特に好ましいハロゲン化水素は、塩化水素である。
【0124】
好ましいカルボン酸には、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の両方が含まれる。本発明において有用なカルボン酸の例には、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ケイ皮酸、安息香酸、1−クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−クロロ安息香酸およびp−フルオロ安息香酸が含まれる。特に好ましいカルボン酸には、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸およびp−フルオロ安息香酸が含まれる。
【0125】
本発明において有用なカルボン酸ハロゲン化物は、カルボン酸と構造的に類似しており、該酸のOHについてハロゲン化物の置換を有するものである。前記ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物であってよく、その際、塩化物が好ましい。
【0126】
本発明において有用なカルボン酸ハロゲン化物は、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化シンナミル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、塩化トリクロロアセチル、塩化トリフルオロアセチル、塩化トリフルオロアセチルおよび塩化p−フルオロベンゾイルが含まれる。特に好ましい酸ハロゲン化物には、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化トリクロロアセチル、塩化トリフルオロアセチルおよび塩化p−フルオロベンゾイルが含まれる。
【0127】
本発明において開始剤として有用なスルホン酸には、脂肪族スルホン酸と芳香族スルホン酸の両方が含まれる。好ましいスルホン酸の例には、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。
【0128】
本発明において有用なスルホン酸ハロゲン化物は、スルホン酸と構造的に類似しており、該親酸のOHについてハロゲン化物の置換を有するものである。前記ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物であってよく、その際、塩化物が好ましい。親スルホン酸からのスルホン酸ハロゲン化物の製造は、先行技術において知られており、当業者であれば、これらの方法に精通しているべきである。本発明において有用な好ましいスルホン酸ハロゲン化物は、塩化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、塩化トリクロロメタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニルおよび塩化p−トルエンスルホニルが含まれる。
【0129】
本発明において有用なアルコール類には、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、2−メチルプロパン−2−オール、シクロヘキサノールおよびベンジルアルコールが含まれる。
【0130】
本発明において有用なフェノール類には、フェノール、2−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、p−クロロフェノール、p−フルオロフェノール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノールおよび2−ヒドロキシナフタレンが含まれる。
【0131】
更に、前記開始剤系は、活性に更に影響を及ぼす(incluence)か、または活性を更に高めるために、上記以外の含酸素化合物または含窒素化合物を含んでよい。
【0132】
そのような化合物には、エーテル類、アミン類、N−複素芳香族化合物、ケトン類、スルホン類およびスルホキシド類ならびにカルボン酸エステル類およびアミド類が含まれる。
【0133】
エーテル類には、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールまたはフェネトールが含まれる。
【0134】
アミン類には、n−ペンチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシルアミン、N−ブチルプロピルアミン、ヘプチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、オクチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、N−メチルアニリン、フェネチルアミン、N−エチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、アンフェタミン、N−プロピルアニリン、フェンテルミン、N−ブチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジンおよびトリフェニルアミンが含まれる。
【0135】
N−複素芳香族化合物には、ピリジン、2−、3−もしくは4−メチルピリジン、ジメチルピリジン、エチレンピリジンおよび3−メチル−2−フェニルピリジンが含まれる。
【0136】
ケトン類には、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、2,4−ヘキサジオン、アセチルアセトンおよびアセトニルアセトンが含まれる。
【0137】
スルホン類およびスルホキシド類には、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドおよびスルホランが含まれる。
【0138】
カルボン酸エステルには、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸アリル、酢酸ベンジル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸アリル、安息香酸ブチリデン、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチルおよびフタル酸ジオクチルが含まれる。
【0139】
カルボン酸アミドには、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドが含まれる。
【0140】
好ましい第三級アルキルおよびアラルキル開始剤には、以下の式によって表される第三級化合物が含まれる。その式中、Xは、ハロゲン、擬ハロゲン、エーテルもしくはエステルまたはそれらの混合物、好ましくはハロゲン、好ましくは塩化物であり、かつR
1、R
2およびR
3は、独立して、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状の任意のアルキル、アリールもしくはアリールアルキル、好ましくは1〜15個の炭素原子を有する、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有する前記アルキル、アリールもしくはアリールアルキルである。nは、開始剤部位の数であって、1より大きい数または1と等しい数、好ましくは1から30の間の数であり、より好ましくはnは、1から6までの数である。アリールアルキルは、置換もしくは非置換であってよい。本発明およびそのためのいずれかの請求項の目的のために、アリールアルキルは、芳香族構造と脂肪族構造の両方を含む化合物を意味するものと定義される。開始剤の好ましい例には、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−ブロモ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−ブロモ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、1−クロロ−1−メチルエチルベンゼン、1−クロロアダマンタン、1−クロロエチルベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、5−t−ブチル−1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、2−アセトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−ベンゾイルオキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−アセトキシ−2−メチルプロパン、2−ベンゾイルオキシ−2−メチルプロパン、2−アセトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−ベンゾイル−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、1−アセトキシ−1−メチルエチルベンゼン、1−アセトキシアダマンタン、1−ベンゾイルオキシエチルベンゼン、1,4−ビス(1−アセトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン、5−t−ブチル−1,3−ビス(1−アセトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン、2−メトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−イソプロポキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−メトキシ−2−メチルプロパン、2−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン、2−メトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−イソプロポキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、1−メトキシ−1−メチルエチルベンゼン、1−メトキシアダマンタン、1−メトキシエチルベンゼン、1,4−ビス(1−メトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン、5−t−ブチル−1,3−ビス(1−メトキシ−1−メチルエチル)ベンゼンおよび1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンが含まれる。他の適切な開始剤は、米国特許第4,946,899号に記載されている。本発明およびそのための特許請求の範囲の目的のために、擬ハロゲンは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドであるいずれかの化合物であるものと定義される。
【0141】
もう一つの好ましい開始剤は、ポリマー型のハロゲン化物であり、R
1、R
2またはR
3の1つはオレフィンポリマーであり、かつ残りのR基は、前記定義の通りである。好ましいオレフィンポリマーには、ポリイソブチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルが含まれる。ポリマー型の開始剤は、鎖端に位置する、またはポリマーの主鎖に沿って、もしくは該主鎖内に位置するハロゲン化された第三級炭素を有してよい。該オレフィンポリマーが第三級炭素において複数のハロゲン原子をポリマー主鎖に対してペンダント状にまたは該ポリマー主鎖内のいずれかで有する場合に、該生成物は、オレフィンポリマー中のハロゲン原子の数および位置に応じて、櫛形構造および/または側鎖分岐を有するポリマーを含んでよい。同様に、鎖端が第三級のポリマー型のハロゲン化物開始剤の使用は、ブロック状ポリイソブチレンを含みうる生成物を製造する方法を提供する。
【0142】
特に好ましい開始剤は、イソブチレンのカチオン重合(ポリイソブチレン)において有用ないずれかの開始剤、例えば水、塩化水素、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−メチルエチルベンゼンおよびメタノールであってよい。
【0143】
本発明において有用な開始剤系は、更に、反応性カチオンと、前記定義の弱配位型アニオン(「WCA」)とを含む組成物を含んでよい。
【0144】
ルイス酸と開始剤との好ましいモル比は、一般的に、1:5〜100:1、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは8:1〜20:1である。
【0145】
ルイス酸と開始剤を含む開始剤系は、好ましくは、反応混合物中に、使用されるモノマーの質量に対して0.002質量%〜5.0質量%の量で、好ましくは0.1質量%〜0.5質量%の量で存在する。
【0146】
もう一つの実施形態においては、特に三塩化アルミニウムが使用される場合には、ルイス酸、特に三塩化アルミニウムに対して使用されるモノマーの質量比は、500〜20000の範囲内、好ましくは1500〜10000の範囲内である。
【0147】
一実施形態においては、開始剤系のための少なくとも1種の調節剤が使用される。調節剤は、活性を調節するために、従って所望のコポリマーの特性を、特に分子量を調整するために役立つ(例えばUS2,580,490およびUS2,856,394を参照のこと)。
【0148】
適切な調節剤は、エチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20−モノアルケンであって、その置換とはアルキル基がオレフィン性二重結合に結合されることを示すことを意味するモノアルケンを含む。好ましい調節剤は、一置換されたC
3〜C
20−モノアルケン(第一級オレフィンとも呼ばれる)であり、より好ましい調節剤は、C
3〜C
20−1−アルケン、例えば1−ブテンである。上述の調節剤のエチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20−モノアルケンは、一般的に、ステップa)で使用されるモノマー基準で計算して0.01質量%から20質量%までの量で、好ましくは0.2質量%から15質量%までの量で、より好ましくは1質量%から15質量%までの量で適用される。
【0149】
もう一つの適切な調節剤は、ジイソブチレン(2,4,4−トリメチル−1−ペンテン)を含む。ジイソブチレンは、エチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20−モノアルケンの代わりにまたはそれに加えて使用することができる。ジイソブチレンは、一般的に、ステップa)で使用されるモノマー基準で計算して0.001質量%から3質量%までの量で、好ましくは0.01質量%から2質量%までの量で、より好ましくは0.01質量%から1.5質量%までの量で適用される。
【0150】
当然ながら、より多量のまたはより少量の開始剤も本発明の範囲内であると理解される。
【0151】
特に好ましい開始剤系においては、前記ルイス酸は、セスキ塩化エチルアルミニウムであり、好ましくは等モル量の塩化ジエチルアルミニウムおよび二塩化エチルアルミニウムを、好ましくは希釈剤中で混合することによって生成されるセスキ塩化エチルアルミニウムである。該希釈剤は、好ましくは重合反応の実施のために使用されるのと同じものである。
【0152】
ハロゲン化アルキルアルミニウムが使用される場合に、水および/またはアルコール類、好ましくは水がプロトン源として使用される。一実施形態においては、水の量は、該ハロゲン化アルキルアルミニウムのアルミニウム1モル当たりに、0.40モル〜4.0モルの範囲の水、好ましくは該ハロゲン化アルキルアルミニウムのアルミニウム1モル当たりに、0.5モルから2.5モルの範囲の水、最も好ましくはアルミニウムアルキルハロゲン化物1モル当たりに、1モル〜2モルの範囲の水である。
【0153】
アルミニウムハロゲン化物、特に三塩化アルミニウムが使用される場合に、水および/またはアルコール類、好ましくは水がプロトン源として使用される。
【0154】
一実施形態においては、水の量は、該ハロゲン化アルミニウム中のアルミニウム1モル当たりに、0.05モル〜2.0モルの範囲の水、好ましくは該ハロゲン化アルミニウム中のアルミニウム1モル当たりに、0.1モルから1.2モルの範囲の水である。
【0155】
重合条件
一実施形態においては、使用される有機希釈剤およびイソブチレンは、本質的には水不含である。本明細書で使用される場合に、本質的に水不含とは、反応媒体の全質量に対して50ppm未満、好ましくは30ppm未満、より好ましくは20ppm未満、更により好ましくは10ppm未満、なおも更により好ましくは5ppm未満であると定義される。
【0156】
当業者は、有機希釈剤およびイソブチレン中の含水量は、開始剤系が、例えば開始剤として利用する目的によって添加されたものではない追加量の水によって影響されないことが保証されるほど低い必要があることを理解している。
【0157】
ステップa)および/またはb)は、連続法または回分法において実施でき、その際、連続法が好ましい。
【0158】
本発明の一実施形態においては、ステップb)による重合は、重合反応器を使用して行われる。適切な反応器は、当業者に公知の反応器であり、該反応器には、流通式重合反応器、プラグフロー型反応器、撹拌槽型反応器、移動ベルト式反応器もしくはドラム型反応器、ジェット型反応器もしくはノズル型反応器、管形反応器および自動冷却式沸騰プール式反応器が含まれる。具体的な適切な例は、WO2011/000922AおよびWO2012/089823Aに開示されている。
【0159】
一実施形態においては、ステップb)による重合は、開始剤系、イソブチレンおよび有機希釈剤が単相中に存在した状態で行われる。好ましくは、前記重合は、開始剤系、1種以上のモノマーおよび有機希釈剤が単相として存在する、連続重合法において行われる。
【0160】
有機希釈剤の選択に応じて、ステップb)による重合は、スラリー重合または溶液重合としていずれかで行われる。
【0161】
スラリー重合においては、イソブチレン、開始剤系は全て、一般的に希釈剤または希釈剤混合物中に可溶性であり、すなわち単相を構成するが、一方で、ポリイソブチレンはその形成時に該有機希釈剤から析出する。望ましくは、ポリマーの「膨潤」が減ったかまたはそれが起きないことは、該ポリマーのTg抑制が殆ど起きないこともしくはそれが起きないこと、および/または有機希釈剤の物質取り込みが殆ど起きないこともしくはそれが起きないことを指標として表される。
【0162】
溶液重合においては、モノマー、開始剤系は全て、一般的に希釈剤または希釈剤混合物中に可溶性であり、すなわち重合の間にポリイソブチレンが形成されるときと同様に単相を構成する。
【0163】
前記の有機希釈剤中での所望のポリマーの溶解度および前記ポリマーの反応条件下での膨潤挙動は、当業者によく知られている。
【0164】
溶液重合のスラリー重合に対する利点および欠点は、文献で包括的に論じられており、従って当業者に公知である。
【0165】
一実施形態においては、ステップb)は、−110℃〜20℃の範囲の、好ましくは−100℃〜−50℃の範囲の、更により好ましくは−100℃〜−70℃の範囲の温度で行われる。
【0166】
好ましい一実施形態においては、前記重合温度は、有機希釈剤の凝固点より20℃以内だけ高く、好ましくは有機希釈剤の凝固点より10℃以内だけ高い。
【0167】
ステップb)における反応圧力は、一般的に、100hPaから100000hPaまでであり、好ましくは200hPaから20000hPaまでであり、より好ましくは500hPaから5000hPaまでである。
【0168】
ステップb)による重合は、一般的にステップb)でのスラリーの固体含量が、好ましくは1質量%から45質量%までの範囲、より好ましくは3質量%から40質量%までの範囲、更により好ましくは15質量%から40質量%までの範囲であるように行われる。
【0169】
本明細書で使用される場合に、用語「固体含量」または「固体濃度」とは、ステップb)、すなわち重合により得られる、ステップb)により得られるポリイソブチレン、有機希釈剤および場合により残留モノマーを含む媒体中に存在するポリイソブチレンの質量%を指す。
【0170】
一実施形態においては、ステップb)における反応時間は、2分から2時間まで、好ましくは10分から1時間まで、より好ましくは20分から45分までである。
【0171】
本方法は、回分式または連続式に行うことができる。連続反応が行われる場合には、上記反応時間は、平均滞留時間を表す。
【0172】
一実施形態においては、前記反応は、停止剤、例えば水、メタノールまたはエタノール中1質量%の水酸化ナトリウム溶液によって停止される。
【0173】
もう一つの実施形態においては、前記反応は、ステップA)において、一実施形態においては、20℃および1013hPaで測定したpH値5〜10、好ましくは6〜9、より好ましくは7〜9を有してよい水性媒体と接触させることによって停止される。
【0174】
pH調整は、所望であれば、好ましくは多価金属イオンを含有しない酸性化合物またはアルカリ性化合物の添加によって実施することができる。より高いpH値へのpH調整は、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの添加によって行われる。
【0175】
特に、溶液重合の場合は、前記転化は、一般的に、最初に使用されたモノマーの5質量%〜25質量%の、好ましくは10質量%〜20質量%のモノマーが消費された後に停止される。
【0176】
モノマーの転化は、重合の間にオンラインの粘度計または分光計によるモニタリングによって追跡することができる。
【0177】
ステップA)において、前記有機媒体、例えばステップb)により得られた有機媒体は、0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有する少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体と接触され、前記有機希釈剤を少なくとも部分的に除去することで、複数のポリイソブチレン粒子を含む水性スラリーが得られる。
【0178】
前記接触は、この目的のために適したあらゆる容器中で実施することができる。産業界では、そのような接触は、フラッシュドラム中、または液相と蒸気との分離のために知られるあらゆる他の容器中で行われる。
【0179】
有機希釈剤の除去は、他の種類の蒸留を使用することで、引き続きまたは一緒に残留モノマーおよび有機希釈剤を所望の程度にまで除去することもできる。異なる沸点の液体を分離するための蒸留法は当該技術分野でよく知られており、例えば化学技術事典(Encyclopedia of Chemical Technology),Kirk Othmer,第4版,第8頁〜第311頁に記載されており、該文献は本明細書で参照により援用される。一般的に、前記有機希釈剤は、別々にまたは一緒にのいずれかで、重合反応のステップa)中に再循環されてよい。
【0180】
ステップA)における圧力、一実施形態においてはスチームストリッパーまたはフラッシュドラム中の圧力は、有機希釈剤と、該当するならば、ステップb)で使用されるイソブチレンに依存するが、一般的に100hPaから5000hPaまでの範囲である。
【0181】
ステップA)における温度は、有機希釈剤を少なくとも部分的に除去するのに十分なほどであり、まだ残留イソブチレンが存在する程度までで選択される。
【0182】
一実施形態においては、前記温度は、10℃から100℃までであり、好ましくは50℃から100℃までであり、より好ましくは60℃から95℃までであり、更により好ましくは75℃から95℃までである。
【0183】
前記有機媒体が少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体と接触されると、該媒体は、安定化を担う有機希釈剤の除去により脱安定化され、場合によっては、特に該有機媒体がポリイソブチレンのガラス転移温度よりも低い温度を有する場合には、一般的に素早く該ポリイソブチレンのガラス転移温度より高くに加熱され、それにより水性スラリー中に懸濁されたポリイソブチレン粒子が形成される。
【0184】
出願人の観察によれば、理論に縛られることを望むものではないが、更なる結果として、従来のステアリン酸カルシウムのような凝集防止剤のために以前から認められている少なくとも1種のLCST化合物、つまり該少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体から、LCST化合物は使い果たされるので、最終的な水性スラリーにおいては、少なくとも一部の、実験部に開示される観察によれば、本質的な部分のLCST化合物は、ポリイソブチレン粒子の一部となり、おそらくポリイソブチレン粒子の表面に結合されて、強烈な凝集防止効果が引き起こされる。
【0185】
適切なLCST化合物は、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−alt−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ[2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ポリ(2−オキサゾリン)グリポリイソブチレン(glypolyisobutylene)、ポリ(3−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン)、ヒドロキシルブチルキトサン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2〜6個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜6個のエチレングリコール単位と2〜6個のポリプロピレン単位を有するポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、式(I)
【化1】
[式中、y=3〜10、xおよびz=1〜8、その際、y+x+zは、5〜18である]の化合物、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜8個のエチレングリコール単位と2〜8個のポリプロピレン単位を有するポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、エトキシル化されたイソ−C
13H
27−アルコール、好ましくはエトキシル化度4〜8を有するエトキシル化されたイソ−C
13H
27−アルコール、4〜50個の、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、4〜30個の、好ましくは4〜15個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、4〜50個の、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールモノ
メチル、ジメチル、モノエチルおよびジエチルエーテル、4〜50個の、好ましくは4〜20個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコールモノメチル、ジメチル、モノエチルおよびジエチルエーテルからなる群から選択され、もう一つの実施形態においては、上述のLCST化合物には、更にヒドロキシエチルセルロースが含まれ、ここでメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0186】
一実施形態においては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.5から2.8までの置換度を有し、その際、理論的最大値は、3であり、好ましくは1.2〜2.5であり、より好ましくは1.5〜2.0である。
【0187】
一実施形態においては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1グルコース単位当たり3以上の、好ましくは4以上の、より好ましくは4から20までのエチレングリコール基またはプロピレングリコール基のMS(置換モル数)を有する。
【0188】
ステップA)で使用される水性媒体中に存在する1種以上のLCST化合物の量は、有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して、例えば1ppmから20000ppmまで、好ましくは3ppmから10000ppmまで、より好ましくは5ppmから5000ppmまで、更により好ましくは10ppmから5000ppmまでである。
【0189】
一実施形態においては、LCST化合物は、少なくとも1500g/モルの、好ましくは少なくとも2500g/モルの、より好ましくは少なくとも4000g/モルの分子量を示す。
【0190】
種々のLCST化合物の混合物が利用される場合に、質量平均分子量は、例えば1500から2000000までである。
【0191】
該LCST化合物が水溶液中でポリイソブチレン粒子を安定化する特有の能力は、本発明の主たる知見である。従って、本発明はまた、ポリイソブチレン粒子を水性媒体中に懸濁された状態で含むスラリーの凝集を、0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有するLCST化合物を添加または使用することによって抑制または低下または減速する方法を包含する。
【0192】
誤解を避けるために留意されることは、ステップA)で得られる水性スラリーは、ステップb)に記載される幾つかの実施形態において得ることができる重合スラリーとは異なり、かつ無関係であるということである。
【0193】
ステップb)が溶液重合として水と接触したときに行われた場合に、有機希釈剤は蒸発し、該ポリイソブチレンは、水性スラリー中に懸濁されたポリイソブチレン粒子を形成する。
【0194】
有機希釈剤の少なくとも部分的な除去は、一般的に、蒸発の熱を保証するために多量の熱を必要とするが、それは、例えばステップA)が行われる容器を外側から加熱するか、または好ましい一実施形態においては、それに加えてまたはその代わりに、有機希釈剤の除去を更に助けるスチームを、重合の後にイソブチレンがまだ存在する程度まで導入する(スチームストリッピング)かのいずれかによって供給できる。
【0195】
ステップA)は、回分式または連続式に実施してよく、その際、連続作業が好ましい。
【0196】
一実施形態においては、ステップA)で得られるスラリーの温度は、50℃から100℃までであり、好ましくは60℃から100℃までであり、より好ましくは70℃から95℃までであり、更により好ましくは75℃から95℃までである。
【0197】
必要ないと見なされたとしても、一実施形態においては、ステップA)における温度は、使用される少なくとも1種のLCST化合物の測定された最高の曇り点を上回る。
【0198】
測定された最高の曇り点とは、前記の5種の方法で、またはもう一つの実施形態においては前記の3種の方法で測定された最高の曇り点を意味する。曇り点が何らかの理由のため1種または2種の方法で測定できないのであれば、他の測定の最高の曇り点がその測定された最高の曇り点として採用される。
【0199】
一実施形態においては、有機希釈剤の除去は、水性スラリーが、得られた水性スラリーのポリイソブチレン粒子中に含まれるポリイソブチレンに対して計算して、10質量%未満の、好ましくは7質量%未満の、更により好ましくは5質量%未満の、なおも更により好ましくは3質量%未満の有機希釈剤を含むまで行われる。
【0200】
複数のポリイソブチレン粒子を含む水性スラリーを、非常に低い濃度の一価もしくは多価金属イオンのカルボン酸塩および層状鉱物から選択される凝集防止剤でまたは該凝集防止剤が存在しなくても得ることができることは以前から知られたことではなく、非常に驚くべきことである。
【0201】
従って、0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有するLCST化合物の、凝集防止剤としての、特に定義されたポリイソブチレン粒子用の凝集防止剤としての使用も同様に本発明により包含される。
【0202】
前記開示のステップA)により得ることができる水性スラリー自体も従って本発明によって包含される。
【0203】
ステップA)により得られる水性スラリーは、ポリイソブチレン粒子を、単離された形で得るために理想的な出発材料として役に立つ。
【0204】
従って、更なるステップC)においては、ステップB)により得られた水性スラリー中に含まれるポリイソブチレン粒子は分離されて、ポリイソブチレン粒子が得られてもよい。
【0205】
前記分離は、浮選、遠心分離、濾過、脱水押出機中での脱水によるか、または流体から固体を分離するための当業者に公知の任意の他の手段によって行うことができる。
【0206】
一実施形態においては、分離された水性媒体は、所望であれば、該ポリイソブチレン粒子と一緒に除去されたLCST化合物、水および場合により他の成分を補充した後にステップA)へと再循環される。
【0207】
更なるステップD)においては、ステップC)により得られたポリイソブチレン粒子は、好ましくは7000ppmまたはそれ未満の、好ましくは5000ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは4000ppmまたはそれ未満の、もう一つの実施形態においては2000ppmまたはそれ未満の、好ましくは1000ppmまたはそれ未満の残留揮発物含分にまで乾燥される。
【0208】
本明細書で使用される場合に、揮発物という用語は、常圧下で250℃未満の、好ましくは200℃またはそれ未満の沸点を有する化合物を示し、それには水だけでなく残留有機希釈剤も含まれる。
【0209】
乾燥は、加熱されたメッシュコンベヤベルト上での乾燥を含む、当業者に公知の慣用の手段を使用して実施することができる。
【0210】
乾燥法に応じて、ポリイソブチレン粒子は、異なる形状に導かれてもよく、それらは以下で再形成されたポリイソブチレン粒子と呼ばれる。
【0211】
再形成されたポリイソブチレン粒子は、例えばペレットである。そのような再形成されたポリイソブチレン粒子は、また本発明によって包含されており、例えば押出機中で乾燥させて、引き続き押出機の出口でペレット化することによって得られる。そのようなペレット化は、水中で行うこともできる。本発明による方法は、調整可能であるか、または所望であればかつてないほど低い濃度の一価および多価金属イオンを有するポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品を製造することを可能にする。
【0212】
従って、本発明は、98.5質量%またはそれより多くの、好ましくは98.8質量%またはそれより多くの、より好ましくは99.0質量%またはそれより多くの、更により好ましくは99.2質量%またはそれより多くの、なおも更により好ましくは99.4質量%またはそれより多くの、もう一つの実施形態においては99.5質量%またはそれより多くの、好ましくは99.7質量%またはそれより多くのポリイソブチレン含量を有するポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子を包含する。
【0213】
一実施形態においては、前記(再形成された)ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の一価または多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつ有機媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0214】
一実施形態においては、前記(再形成された)ポリイソブチレン粒子は、5000ppmまたはそれ未満の、好ましくは2000ppmまたはそれ未満の、より好ましくは1000ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは500ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは100ppmまたはそれ未満の、もう一つのなおも更なるより好ましい実施形態においては50ppmまたはそれ未満の、好ましくは50ppmまたはそれ未満の、より好ましくは10ppmまたはそれ未満のイオン性もしくは非イオン性の界面活性剤、乳化剤および凝集防止剤からなる群から選択される非LCST化合物を含み、なおも更により好ましくは前記非LCST化合物を含まない。
【0215】
もう一つの態様においては、本発明は、多価金属イオンの塩を、それらの金属含量に対して計算して、500ppmまたはそれ未満の、より好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは250ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは100ppmまたはそれ未満の、更により好ましい実施形態においては、50ppmまたはそれ未満の量で含む(再形成された)ポリイソブチレン粒子を提供する。
【0216】
本発明による(再形成された)コポリマー粒子は、更に、酸化防止剤、例えば前記列挙された酸化防止剤のうちの少なくとも1種の酸化防止剤を含んでよい。
【0217】
特に好ましいのは、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010としても知られる)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)である。
【0218】
前記(再形成された)コポリマー粒子中の酸化防止剤の量は、例えば50ppmから1000ppmまで、好ましくは80ppmから500ppmまでであり、もう一つの実施形態においては、300ppmから700ppmまでである。
【0219】
一般的に、100質量%に対する残分は、前記1種以上のLCST化合物、揮発物を、多価金属イオンの全ての塩で使用される程度まで含むだけでなく、低い濃度の残留一価金属イオン塩、例えば塩化ナトリウムを含む。
【0220】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在するLCST化合物の量は、1ppmから18000ppmまで、好ましくは1ppmから10000ppmまで、より好ましくは1ppmから5000ppmまで、更により好ましくは1ppmから2000ppmまでであり、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまで、または5ppmから500ppmまでである。
【0221】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在する一価金属イオンの塩の量は、1ppmから1000ppmまで、好ましくは10ppmから500ppmまで、より好ましい実施形態においては10ppmから200ppmまでである。
【0222】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品中に存在する一価または多価金属イオンのステアリン酸塩またはパルミチン酸塩の量は、0ppmから4000ppmまで、好ましくは0ppmから2000ppmまで、より好ましくは0ppmから1000ppmまでであり、より好ましい実施形態においては0ppmから500ppmまでである。
【0223】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在するLCST化合物の量は、1ppmから5000ppmまで、好ましくは1ppmから2000ppmまで、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまで、または5ppmから500ppmまでである。
【0224】
もう一つの好ましい実施形態においては、前記ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在するLCST化合物の量は、5ppmから100ppmまで、好ましくは5ppmから50ppmまで、より好ましくは5ppmから30ppmまでである。
【0225】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在する一価金属イオンの塩の量は、1ppmから1000ppmまで、好ましくは10ppmから500ppmまで、より好ましい実施形態においては10ppmから200ppmまでである。
【0226】
一実施形態においては、ポリイソブチレン粒子および再形成されたポリイソブチレン粒子中に存在する多価金属イオンのステアリン酸塩またはパルミチン酸塩の量は、0ppmから4000ppmまで、好ましくは0ppmから2000ppmまで、より好ましくは0ppmから1000ppmまでであり、より好ましい実施形態においては0ppmから500ppmまでである。
【0227】
従って、一実施形態において、本発明は、ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品であって、
I)96.0質量%またはそれより多くの、好ましくは97.0質量%またはそれより多くの、より好ましくは98.0質量%またはそれより多くの、更により好ましくは99.0質量%またはそれより多くの、なおも更により好ましくは99.2質量%またはそれより多くの、もう一つの実施形態においては、99.5質量%またはそれより多くのポリイソブチレンと、
II)0質量%〜3.0質量%の、好ましくは0質量%〜2.5質量%の、より好ましくは0質量%〜1.0質量%の、より好ましくは0質量%〜0.40質量%の一価または多価金属イオンの塩、好ましくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩と、
III)1ppmから5000ppmまでの、好ましくは1ppmから2000ppmまでの、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまで、または5ppmから500ppmまでの少なくとも1種のLCST化合物と、
を含む、前記ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品を包含する。
【0228】
LCST化合物が必須成分として定義される場合に、本発明は、ポリイソブチレン粒子または再形成されたポリイソブチレン粒子(本明細書では(再形成された)ポリイソブチレン粒子とも呼ばれる)を包含するだけでなく、該LCST化合物を含む任意の種類のポリイソブチレン組成物をも包含する。
【0229】
従って、もう一つの実施形態において、本発明は、ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子であって、
I)96.0質量%またはそれより多くの、好ましくは97.0質量%またはそれより多くの、より好ましくは98.0質量%またはそれより多くの、更により好ましくは99.0質量%またはそれより多くの、なおも更により好ましくは99.2質量%またはそれより多くの、もう一つの実施形態においては、99.5質量%またはそれより多くのポリイソブチレンと、
II)0質量%〜3.0質量%の、好ましくは0質量%〜2.5質量%の、より好ましくは0質量%〜1.0質量%の、より好ましくは0質量%〜0.40質量%の一価または多価金属イオンの塩、好ましくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩と、
III)1ppmから5000ppmまでの、好ましくは1ppmから2000ppmまでの、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまで、または5ppmから500ppmまでの少なくとも1種のLCST化合物と、
を含む、前記ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子を包含する。
【0230】
多価金属イオンの塩はASTM D5667(再承認版2010)により測定できる灰分に寄与するので、本発明は更に、ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子であって、98.5質量%またはそれより多くの、好ましくは98.8質量%またはそれより多くの、より好ましくは99.0質量%またはそれより多くの、更により好ましくは99.2質量%またはそれより多くの、なおも更により好ましくは99.4質量%またはそれより多くの、もう一つの実施形態においては99.5質量%またはそれより多くのポリイソブチレンを含むとともに、0.2質量%またはそれ未満の、好ましくは0.1質量%またはそれ未満の、より好ましくは0.08質量%またはそれ未満の、更により好ましくは0.05質量%またはそれ未満の、なおも更により好ましくは0.03質量%またはそれ未満の、最も好ましくは0.015質量%またはそれ未満のASTM D5667により測定された灰分を有する、前記ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子を包含する。
【0231】
好ましい一実施形態においては、上述のポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)コポリマー粒子は、更に、1ppmから5000ppmまでの、好ましくは1ppmから2000ppmまでの、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまでの、または5ppmから500ppmまでの少なくとも1種のLCST化合物を含む。
【0232】
更なるもう一つの実施形態においては、本発明は、ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品であって、
I)100質量部のポリイソブチレン(100phr)と、
II)0.0001phr〜0.5phrの、好ましくは0.0001phr〜0.2phrの、より好ましくは0.0005phr〜0.1phrの、更により好ましくは0.0005phr〜0.05phrの少なくとも1種のLCST化合物と、
III)一価もしくは多価金属イオンの塩、好ましくは一価もしくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛もしくはパルミチン酸亜鉛を含む塩を含まないか、または0.0001phrから3.0phrまでの前記塩と、好ましくは前記塩を含まないか、または0.0001phrから2.0phrまでの前記塩と、より好ましくは前記塩を含まないか、または0.0001phrから1.0phrまでの前記塩と、更により好ましくは前記塩を含まないか、または0.0001phrから0.5phrまでの前記塩と、なおも更により好ましくは前記塩を含まないか、または0.0001phrから0.3phrまでの前記塩と、最も好ましくは前記塩を含まないか、または0.0001phrから0.2phrまでの前記塩と、
IV)酸化防止剤を含まないか、または0.005phrから0.1phrまでの、好ましくは0.008phrから0.05phrまでの、より好ましくは0.03phrから0.07phrまでの酸化防止剤と、
V)0.005phrから0.5phrまでの、好ましくは0.01phrから0.3phrまでの、より好ましくは0.05phrから0.2phrまでの、常圧下で200℃またはそれ未満の沸点を有する揮発物と、
を含む、前記ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品を包含する。
【0233】
好ましくは、上述の成分I)からV)までは足して、100.00501質量部〜104.100000質量部まで、好ましくは100.01質量部〜103.00質量部まで、より好ましくは100.10質量部〜101.50質量部まで、更により好ましくは100.10質量部〜100.80質量部までとなり、一緒になって、前記ポリイソブチレン組成物、特に(再形成された)ポリイソブチレン粒子の全質量の99.80質量%〜100.00質量%、好ましくは99.90質量%〜100.00質量%、より好ましくは99.95質量%〜100.00質量%、なおも更により好ましくは99.97質量%〜100.00質量%を表す。
【0234】
残分は、もしあれば、上述の成分のいずれでもない塩または成分、例えばステップA)で使用される水性媒体の調製に使用される水に由来する塩または成分、または該当するならば、分解産物およびステップb)で使用される開始剤系から残留する塩を含む生成物であってよい。
【0235】
遊離のカルボン酸およびそれらの塩、特にカルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩またはパルミチン酸塩の測定は、ガスクロマトグラフィーと火炎イオン化型検出器(GC−FID)を使用した測定によって、以下の手順に従って実現できる:
2gのコポリマー組成物の試料を非常に厳密に0.0001gにまで量り取り、100mLのジャーに入れ、そして
a)遊離のカルボン酸の濃度が測定されるべき場合には、25mLのヘキサン、1000mLの内部標準溶液、および
b)カルボン酸塩の濃度が測定されるべき場合には、25mLのヘキサン、1000mLの内部標準溶液および5滴の濃硫酸
と合する。
【0236】
前記ジャーを12時間にわたりシェイカー上に置く。次いで、23mlのアセトンを添加し、残りの混合物を50℃で蒸発乾涸させる。それには通常30分かかる。その後に、10mlのメタノールおよび2滴の濃硫酸を添加し、振り混ぜて、50℃に1時間にわたり加熱することで、カルボン酸をそれらのメチルエステルへと転化させる。その後に、10mlのヘキサンおよび10mlの脱塩水を添加し、激しく振り混ぜ、最後にヘキサン層を分離させる。2mlのヘキサン溶液をGC−FID分析のために使用する。
【0237】
工業用ステアリン酸塩、例えばカルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩が、パルミチン酸塩のような他のカルシウムおよび亜鉛のカルボン酸塩の含分も含有することは、当業者に知られている。しかしながら、GC−FIDは、他のカルボン酸の含量も同様に測定してしまう。
【0238】
カルボン酸塩、特にステアリン酸塩およびパルミチン酸塩の直接的な測定は、FTIRによって以下の通りに実現できる:
ゴムの試料を2枚のシリコン剥離紙の間で紙試料ホルダ中で加圧し、赤外分光計で分析する。ステアリン酸カルシウムのカルボニルピークは、1541.8cm
-1と1577.2cm
-1に見られる。熱転化されたステアリン酸カルシウム(ステアリン酸カルシウムの異なる変態、例えば
コロイド科学ジャーナル(Journal of Colloid Science) 第4巻,第2号,1949年4月,第93頁〜第101頁を参照のこと)のピークは、1562.8cm
-1と1600.6cm
-1に見られ、それらもステアリン酸カルシウムの計算に算入される。試料における厚さの変動を説明するために、これらのピークを950cm
-1でのピークとの比を取る。
【0239】
予め決められた濃度のステアリン酸カルシウムを有する既知の標準とピーク高さを比較することによって、ステアリン酸カルシウムの濃度を測定することができる。他のカルボン酸塩、特にステアリン酸塩およびパルミチン酸塩にも同様に同じことが当てはまる。例えば、単一のステアリン酸亜鉛のカルボニルピークは1539.5cm
-1に見られ、ステアリン酸ナトリウムについては単一のカルボニルピークは1558.5cm
-1に見られる。
【0240】
一価または多価金属イオン、特に多価金属イオンの含有量、例えばカルシウムおよび亜鉛の含有量は、一般的に、特に述べられない限りは、誘導結合プラズマ原子発光分光分析(ICP−AES)によってEPA 6010の方法Cに従ってNISTのトレーサブルな校正標準を使用して、EPA 3052の方法Cによるマイクロ波消化の後に測定することができ、かつ測定された。
【0241】
それに加えて、またはそれに代えて、様々な元素の含有量は、蛍光X線(XRF)によって測定できる。試料は、対象となる元素を励起されるのに十分なエネルギーのX線放射で照射される。その元素は元素の種類に特有のエネルギーを放出することとなり、そのエネルギーが、適切な検出器によって検出される。既知の濃度の標準および類似のマトリックスとの比較により、所望の元素の定量化がもたらされる。LCST化合物の含有量、特にメチルセルロース含有量は、ゲル濾過クロマトグラフィーを使用して、PolySeq−GFC−P4000,300×7.8mmの水性GFCカラムおよびPolySeq−GFC−P4000,35×7.8mmのガードカラムを備えたWaters Alliance 2690/5分離モジュールおよびWaters 2414示差屈折計において既知の濃度の標準に対して測定することができ、かつ測定された。ゲル濾過クロマトグラフィーは分子量に基づいて分離するので、異なる分子量範囲にわたりLCST化合物に関して分析するために、上述のもの以外の異なるカラムの使用が必要とされることがある。
【0242】
前記試料は、例えば以下の手順に従って調製される:
2gのコポリマー組成物を非常に厳密に0.0001gにまで量り取り、30mlのヘキサン中にシェイカーを使用して低速で一晩にわたり閉じたバイアル中で溶解させる。ちょうど5mlのHPLCグレードの室温の水を添加し、該バイアルに再びキャップをし、更に30分間にわたり振り混ぜる。相分離後に、水相をゲル濾過クロマトグラフィーのために使用して、0.45ミクロンのシリンジフィルタを介して注入した。種々の分析法は僅かに異なる結果を生じうることは当業者には自明である。しかしながら、少なくとも前記方法が関係する限り、前記結果は、それらの特定の固有の誤差限界の範囲内で一致していると見られた。
【0243】
一実施形態において前記の全てのポリイソブチレン組成物については、ASTM D 5667により測定された灰分は、例えば0.2質量%またはそれ未満、好ましくは0.1質量%またはそれ未満、より好ましくは0.08質量%またはそれ未満、更により好ましくは0.05質量%またはそれ未満、なおも更により好ましくは0.03質量%またはそれ未満、最も好ましくは0.015質量%またはそれ未満である。
【0244】
好ましいポリイソブチレンは、前記の方法のセクションにおいて既に記載されたポリイソブチレンである。
【0245】
一実施形態においては、前記ポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品は、0.05kg/lから0.900kg/lまでの嵩密度を示す。
【0246】
更なるステップe)においては、ステップf)で得られたポリイソブチレン粒子は、ベール化のような成形過程に供される。
【0247】
従って、本発明は、ステップd)で得られるポリイソブチレン粒子およびポリイソブチレン製品を成形することによって、特にベール化することによって得ることができる成形品、特にベールを包含する。成形は、そのような目的のために当業者に知られたあらゆる標準的な機器を使用して行うことができる。ベール化は、例えば慣用の市販されているベーラーを用いて実施することができる。(再形成された)ポリイソブチレン粒子から製造されるまたは該粒子を含む成形品は、同様にポリイソブチレン組成物という用語によって包含される。
【0248】
一実施形態においては、成形品、特にベールは、0.700kg/lから0.850kg/lまでの密度を示す。
【0249】
もう一つの実施形態においては、前記成形品は立方形であり、10kgから50kgまでの、好ましくは25kgから40kgまでの重さを有する。
【0250】
前記成形品、特にベールの密度が、その製造のために使用されるポリイソブチレン粒子の嵩密度よりも高いことは当業者には自明のことである。
【0251】
ブレンド
前記ポリイソブチレン組成物、特に前記(再形成された)ポリイソブチレン粒子および(再形成された)ポリイソブチレン粒子から作られるまたは前記粒子を含む成形品を、以下、本発明によるポリイソブチレンと呼ぶ。本発明によるポリイソブチレンの1種以上は、互いにブレンドされてもよく、またはそれに加えてもしくはそれに代えて、ポリイソブチレン粒子を形成するポリイソブチレンとは異なる少なくとも1種の第二のゴムとブレンドされてもよく、前記第二のゴムは、好ましくは、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ペルフルオロポリイソブチレン(FFKM/FFPM)、エチレンビニルアセテート(EVA)ゴム、エチレンアクリレートゴム、ポリスルフィドゴム(TR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンMクラスゴム(EPDM)、ポリフェニレンスルフィド、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、プロピレンオキシドポリマー、星形分岐ブチルゴムおよびハロゲン化された星形分岐ブチルゴム、本発明の主題ではないブチルゴム、すなわち異なる濃度の多価金属イオンもしくは純度を有するブチルゴム、臭素化ブチルゴムおよび塩素化ブチルゴム、星形分岐ポリイソブチレンゴム、星形分岐臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンポリイソブチレン)ゴム、ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)およびハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)、ハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−p−メチルスチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−α−メチルスチレン)、ハロゲン化されたポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−α−メチルスチレン)からなる群から選択される。
【0252】
本発明によるポリイソブチレンまたは前記第二のゴムとのブレンドのうちの1種以上は、更に、それに加えてもしくはそれに代えて、例えば同時にまたは個別に、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとブレンドされてよく、前記熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ポリフェニルスルフィド(PPS)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸エステル(ACM、PMMA)、熱可塑性ポリエステルウレタン(AU)、熱可塑性ポリエーテルウレタン(EU)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される。
【0253】
本発明によるポリイソブチレンまたは前記第二のゴムおよび/もしくは熱可塑性ポリマーとのブレンドのうちの1種以上は、1種以上の充填剤と配合されてよい。前記充填剤は、非鉱物性充填剤、鉱物性充填剤またはそれらの混合物であってよい。幾つかの実施形態においては非鉱物性充填剤が好ましく、それらには、例えばカーボンブラック、ゴムゲルおよびそれらの混合物が含まれる。適切なカーボンブラックは、好ましくは、ランプブラック法、ファーネスブラック法またはガスブラック法によって製造される。カーボンブラックは、好ましくは、20m
2/g〜200m
2/gのBET比表面積を有する。カーボンブラックの幾つかの具体的な例は、SAF、ISAF、HAF、FEFおよびGPFのカーボンブラックである。ゴムゲルは、好ましくは、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンポリイソブチレン、ブタジエン/アクリロニトリルポリイソブチレンまたはポリクロロプレンを基礎とするものである。
【0254】
適切な鉱物性充填剤は、例えば、シリカ、ケイ酸塩、クレイ、ベントナイト、バーミキュライト、ノントロナイト、バイデライト、ヴォルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニヤアイト、レディカイト、石膏、アルミナ、タルク、ガラス、金属酸化物(例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、金属炭酸塩(例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛)、金属水酸化物(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)またはそれらの混合物を含む。鉱物性充填剤として使用するのに適した乾燥アモルファスシリカは、1ミクロンから100ミクロンまでの範囲の、または10ミクロンから50ミクロンまでの範囲の、または10ミクロンから25ミクロンまでの範囲の平均凝集物粒度を有してよい。一実施形態においては、前記凝集物粒子の10容量%未満は、5ミクロン未満であってよい。一実施形態においては、前記凝集物粒子の10容量%未満は、50ミクロンを超えるサイズであってよい。適切な乾燥アモルファスシリカは、例えば、DIN(ドイツ工業規格)66131により測定されたBET表面積50平方メートル毎グラムから450平方メートル毎グラムの間を有してよい。DIN 53601に従って測定されるDBP吸着量は、シリカ100グラム当たり150グラムから400グラムの間であってよい。DIN ISO 787/11により測定される乾燥減量は、0質量%から10質量%までであってよい。適切なシリカ充填剤は、HiSil(商標)210、HiSil(商標)233およびHiSil(商標)243という名称で市販されており、PPG Industries Inc.から入手できる。また、Bayer AGから市販されているVulkasil(商標)SおよびVulkasil(商標)Nも適している。
【0255】
本発明において有用な高いアスペクト比の充填剤には、少なくとも1:3のアスペクト比を有するクレイ、タルク、マイカ等が含まれうる。前記充填剤には、板状構造または針状構造を有する非円形または非等長性の材料が含まれうる。前記アスペクト比は、プレート面と同じ面積の円の平均直径の、該プレートの平均厚さに対する比率として定義される。針状充填剤および繊維状充填剤についてのアスペクト比は、長さの直径に対する比率である。高いアスペクト比の充填剤は、少なくとも1:5の、または少なくとも1:7の、または1:7〜1:200の範囲のアスペクト比を有してよい。高いアスペクト比の充填剤は、例えば0.001ミクロンから100ミクロンまでの範囲の、または0.005ミクロンから50ミクロンまでの範囲の、または0.01ミクロンから10ミクロンまでの範囲の平均粒度を有してよい。適切な高いアスペクト比の充填剤は、DIN(ドイツ工業規格)66131により測定されたBET表面積5平方メートル毎グラムから200平方メートル毎グラムの間を有してよい。高いアスペクト比の充填剤は、ナノクレイ、例えば有機変性ナノクレイを含んでよい。ナノクレイの例には、天然の粉末状スメクタイトクレイ(例えばナトリウムもしくはカルシウムモンモリロナイト)または合成クレイ(例えばハイドロタルサイトもしくはラポナイト)が含まれる。一実施形態においては、高いアスペクト比の充填剤には、有機変性モンモリロナイトナノクレイが含まれうる。前記クレイを、当該技術分野で知られるように遷移金属をオニウムイオンで置換することによって変性することで、一般的に疎水性のポリマー環境内で該クレイの分散を助ける界面活性剤の機能性を該クレイに与えることができる。一実施形態においては、オニウムイオンは、リンを基礎とするか(例えばホスホニウムイオン)または窒素を基礎とする(例えばアンモニウムイオン)とともに、2〜20個の炭素原子を有する官能基を含む。該クレイは、ナノメートルスケールの粒度で、例えば体積基準で25μm未満で供給することができる。前記粒度は、1μmから50μmまでの範囲、または1μmから30μmまでの、もしくは2μmから20μmまでの範囲であってよい。シリカに加えて、前記ナノクレイは、幾らかのアルミナ分を含有してもよい。例えば、前記ナノクレイは、0.1質量%から10質量%までのアルミナ、または0.5質量%から5質量%までのアルミナ、または1質量%から3質量%までのアルミナを含有してよい。高いアスペクト比の鉱物性充填剤としての市販の有機変性ナノクレイの例には、例えばCloisite(登録商標)クレイ10A、20A、6A、15A、30Bまたは25Aの商品名で販売されているナノクレイが含まれる。
【0256】
本発明によるポリイソブチレンまたは前記第二のゴムおよび/もしくは熱可塑性ポリマーとのブレンドまたは前記配合物のうちの1種以上は、総称してポリマー製品として呼ばれ、更にゴム産業で知られる他の成分、例えば硬化剤、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、起泡剤、劣化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エクステンダー、有機酸、抑制剤、金属酸化物および活性化剤、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等を含有してよい。これらの成分は、とりわけ意図される用途に応じた慣用の量で使用される。
【0257】
用途
該ポリマー製品は、特定用途の配合物の製造のために特に有用であることが判明した。
【0258】
そのような用途には、シーラント、接着剤、コーティングおよび屋根材が含まれる。
【0259】
従って、本発明はまた、本発明によるポリイソブチレンの、シーラント、接着剤、コーティングおよび屋根材における、またはそれらとしての使用を包含する。
【0260】
前記ポリマー製品はまた、タイヤのサイドウォールおよびトレッド用のコンパウンドにおいて有用である。サイドウォールにおいて、該ポリイソブチレンの特性は、良好なオゾン耐性、亀裂成長および外観を付与する。
【0261】
好ましい具体的な一実施形態1においては、本発明は、複数のエラストマー粒子を中に懸濁された状態で含んでいる水性スラリーの製造方法であって、
A
*)以下のi)およびii)
i)少なくとも1種のエラストマー、および
ii)有機希釈剤
を含む有機媒体と、0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有する少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体とを接触させるステップ、ならびに
前記有機希釈剤を少なくとも部分的に除去することで、エラストマー粒子を含む水性スラリーを得るステップを含み、前記エラストマーはポリイソブチレンである、前記方法に関する。
【0262】
具体的な実施形態1による具体的な一実施形態2においては、少なくとも1種のポリイソブチレンおよび有機希釈剤を含む有機媒体は、重合反応または後重合から得られる。
【0263】
具体的な実施形態1または2による具体的な一実施形態3においては、前記有機媒体は、重合反応から得られるとともに、更に該重合反応の残留モノマーを含有する。
【0264】
具体的な実施形態1〜3のいずれかによる具体的な一実施形態4においては、前記水性媒体は、0ppmから5000ppmまでの、好ましくは0ppmから2000ppmまでの、より好ましくは10ppmから1000ppmまでの、更により好ましくは50ppmから800ppmまでの、なおも更により好ましくは100ppmから600ppmまでの多価金属イオンの塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつステップA)により得られる媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0265】
具体的な実施形態1〜4のいずれかによる具体的な一実施形態5においては、前記水性媒体は、550ppmまたはそれ未満の、好ましくは400ppmまたはそれ未満の、より好ましくは300ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは250ppmまたはそれ未満の、なおも更により好ましくは150ppmまたはそれ未満の、もう一つの更により好ましい実施形態においては100ppmまたはそれ未満の多価金属イオンのカルボン酸塩を含む(前記塩の金属含分基準で、かつステップb)により得られる媒体中に存在するポリイソブチレンの量に対して計算される)。
【0266】
具体的な実施形態4または5による具体的な一実施形態6においては、前記多価金属イオンの塩は、ステアリン酸カルシウムおよび/またはステアリン酸亜鉛および/またはパルミチン酸カルシウムおよび/またはパルミチン酸亜鉛である。
【0267】
具体的な実施形態6による具体的な一実施形態7においては、前記多価金属イオンのカルボン酸塩は、ステアリン酸カルシウムおよび/もしくはステアリン酸亜鉛および/またはパルミチン酸カルシウムおよび/もしくはパルミチン酸亜鉛である。
【0268】
具体的な実施形態1〜7のいずれかによる具体的な一実施形態8においては、前記少なくとも1種のエラストマーおよび有機希釈剤を含む有機媒体は、少なくとも
a)有機希釈剤および少なくとも1種の重合可能なモノマーを含む反応媒体を準備するステップ、
b)該反応媒体内のモノマーを開始剤系または触媒の存在下で重合することで、エラストマー、有機希釈剤および場合により残留モノマーを含む有機媒体を形成するステップ
を含む重合反応から得られる。
【0269】
具体的な実施形態1〜8のいずれかによる具体的な一実施形態9においては、ステップA
*)は、回分式に、または連続式に、好ましくは連続式に行われる。
【0270】
具体的な実施形態1〜9のいずれかによる具体的な一実施形態10においては、前記ステップA
*)における温度は、10℃から100℃までであり、好ましくは50℃から100℃までであり、より好ましくは60℃から95℃までであり、更により好ましくは75℃から95℃までである。
【0271】
具体的な実施形態1〜10のいずれかによる具体的な一実施形態11においては、前記少なくとも1種のLCST化合物は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−alt−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ[2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ポリ(2−オキサゾリン)グリエラストマー(glyelastomer)、ポリ(3−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン)、ヒドロキシルブチルキトサン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2〜6個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜6個のエチレングリコール単位と2〜6個のポリプロピレン単位を有するポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、式(I)
【化2】
[式中、y=3〜10、xおよびz=1〜8、その際、y+x+zは、5〜18である]の化合物、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜8個のエチレングリコール単位と2〜8個のポリプロピレン単位を有するポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、エトキシル化されたイソ−C
13H
27−アルコール、好ましくはエトキシル化度4〜8を有するエトキシル化されたイソ−C
13H
27−アルコール、4〜50個の、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、4〜30個の、好ましくは4〜15個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、4〜50個の、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールモノ
メチル、ジメチル、モノエチルおよびジエチルエーテル、4〜50個の、好ましくは4〜20個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコールモノメチル、ジメチル、モノエチルおよびジエチルエーテルからなる群から選択され、ここでメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0272】
具体的な実施形態1〜11のいずれかによる具体的な一実施形態12においては、前記方法は、ステップA
*)により得られた水性スラリー中に含まれるエラストマー粒子を分離して、単離されたエラストマー粒子を得る更なるステップを含む。
【0273】
具体的な実施形態1〜11のいずれかによる具体的な一実施形態13においては、前記方法は、ステップA
*により得られた水性スラリー中に含まれるエラストマー粒子を分離して、単離されたエラストマー粒子を得る更なるステップと、前記(単離された)エラストマー粒子を、好ましくは7000ppmまたはそれ未満の、好ましくは5000ppmまたはそれ未満の、更により好ましくは4000ppmまたはそれ未満の、もう一つの実施形態においては2000ppmまたはそれ未満の、好ましくは1000ppmまたはそれ未満の残留揮発物含分にまで乾燥させる更なるステップとを含む。
【0274】
具体的な実施形態1〜12のいずれかによる具体的な一実施形態14においては、前記方法は、更なるステップとして、前記エラストマー粒子を成形して、再形成されたエラストマー粒子、例えばペレットまたは成形品、例えばベールを得るステップを含む。
【0275】
具体的な一実施形態15においては、本発明は、具体的な実施形態1〜14のいずれかにより得ることができる水性スラリーを包含する。
【0276】
具体的な一実施形態16においては、本発明は、具体的な実施形態1において定義される0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有するLCST化合物の、凝集防止剤としての、ポリイソブチレン粒子用の凝集防止剤としての使用を包含する。
【0277】
具体的な一実施形態17においては、本発明は、ポリイソブチレン粒子を水性媒体中に懸濁された状態で含むスラリーの凝集を、具体的な実施形態1において定義される0℃〜100℃の、好ましくは5℃〜100℃の、より好ましくは15℃〜80℃の、更により好ましくは20℃〜70℃の曇り点を有するLCST化合物を添加または使用することによって抑制または低下または減速する方法を包含する。
【0278】
具体的な一実施形態18においては、本発明は、98.5質量%またはそれより多くの、好ましくは98.8質量%またはそれより多くの、より好ましくは99.0質量%またはそれより多くの、更により好ましくは99.2質量%またはそれより多くの、なおも更により好ましくは99.4質量%またはそれより多くの、もう一つの実施形態においては99.5質量%またはそれより多くのポリイソブチレン含量を有するポリイソブチレン粒子を包含する。
【0279】
具体的な実施形態18による具体的な一実施形態19においては、前記ポリイソブチレンは、10kg/モルから2000kg/モルまでの範囲の、好ましくは20kg/モルから1000kg/モルまでの範囲の、より好ましくは50kg/モルから1000kg/モルまでの範囲の、更により好ましくは200kg/モルから800kg/モルまでの範囲の、なおもより好ましくは375kg/モルから550kg/モルまでの範囲の、最も好ましくは400kg/モルから500kg/モルまでの範囲の質量平均分子量を有する。
【0280】
具体的な実施形態18または19による具体的な一実施形態20においては、前記ポリイソブチレンは、少なくとも10(125℃でのML 1+8、ASTM D 1646)の、好ましくは20から80までの、更により好ましくは25から60までの(125℃でのML 1+8、ASTM D 1646)ムーニー粘度を有する。
【0281】
具体的な実施形態18〜20のいずれかによる具体的な一実施形態21においては、前記ポリイソブチレン粒子は、更に、0質量%〜0.4質量%の、好ましくは0質量%〜0.2質量%の、より好ましくは0質量%〜0.1質量%の、より好ましくは0質量%〜0.05質量%の多価金属イオンの塩、好ましくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩を含む。
【0282】
具体的な実施形態18〜21のいずれかに記載の具体的な一実施形態22においては、前記ポリイソブチレン粒子は、更に、1ppmから18000ppmまでの、好ましくは1ppmから5000ppmまでの、より好ましくは1ppmから2000ppmまでの、より好ましい実施形態においては、5ppmから1000ppmまでの、または5ppmから500ppmまでの少なくとも1種のLCST化合物を含む。
【0283】
具体的な一実施形態23においては、本発明は、具体的な実施形態18〜22によるポリイソブチレン粒子を成形することによって得ることができる成形品、特にペレットまたはベールを包含する。
【0284】
具体的な一実施形態24においては、本発明は、具体的な実施形態18〜22によるポリイソブチレン粒子または具体的な実施形態23の成形品をブレンドまたは配合することによって得られるブレンドまたは配合物を包含する。
【0285】
具体的な一実施形態25においては、本発明は、具体的な実施形態18〜22によるポリイソブチレン粒子または具体的な実施形態23の成形品または具体的な実施形態24によるブレンドもしくは配合物の、インナーライナー、ブラダー、チューブ、エアクッション、空気ばね、空気ベロー、アキュムレータバッグ、ホース、コンベヤベルトおよび医薬品用クロージャ、自動車サスペンションバンパ、自動車用エキゾーストハンガー、ボディマウント、靴底、タイヤのサイドウォールおよびトレッドコンパウンド、ベルト、ホース、靴底、ガスケット、Oリング、ワイヤ/ケーブル、メンブレン、ローラ、ブラダー(例えば硬化ブラダー)、タイヤのインナーライナー、タイヤトレッド、衝撃吸収材、機械架台、風船、ボール、ゴルフボール、防護衣、医療用チューブ、貯蔵タンク用ライニング、電気的絶縁、ベアリング、医薬品用栓、接着剤、容器、例えば瓶、トート、貯蔵タンク、容器用クロージャもしくは蓋、シールまたはシーラント、例えばガスケットもしくはコーキング、材料運搬装置、例えばオーガもしくはコンベヤベルト、冷却塔、金属加工装置もしくは金属加工液と接触する任意の装置、エンジン構成部品、例えば燃料導管、燃料フィルタ、燃料貯蔵タンク、ガスケット、シール等、流体濾過用膜もしくはタンクシーリングのための使用を包含する。
【0286】
本発明はまた、前記列記した25個の具体的な実施形態と、あらゆる水準の好ましい実施形態を含む一般的な実施形態、前記開示される範囲、パラメータとの組み合わせである具体的な実施形態を包含する。
【0287】
本発明を、以下で更に実施例によって説明するが、本発明はそれに制限されるものではない。
【0288】
実験セクション
例1および例2
ポリイソブチレンセメントを、750000の質量平均分子量、800000の粘度平均分子量およびヘキサン類(約80%のn−ヘキサン、残りは分岐ヘキサン異性体)中5.0の多分散性を有するポリイソブチレンを溶解させることによって製造した。該セメント中のポリイソブチレンの全濃度は、5質量%であった。このセメント(71g、全体でポリイソブチレンの質量に対して3.55g)を蠕動ポンプを使用して1分間当たりに50mLの流速で
例1):大気圧で65℃の温度で2lの脱イオン水、
例2)0.01g(またはポリイソブチレンに対して0.12質量%)のメチルセルロースを含む2lの脱イオン水、
を含む撹拌槽中に圧送した。
【0289】
低圧スチーム(約5psi〜10psi)を、セメント流中に、水容器へのセメントの入口の地点で注入した。
【0290】
例1の場合には、粗大な凝集物が形成され、例2の場合には、単離されたポリイソブチレンクラムが得られる。
【0291】
使用されるメチルセルロースは、水中2質量%および20℃で4000cpの粘度および88000の分子量、1.5から1.9までの置換度ならびに27.5質量%〜31.5質量%のメトキシ置換を有する、Sigma Aldrichによって販売されるメチルセルロースタイプM0512であった。
【0292】
前記メチルセルロースは、方法5)によって測定される39.0℃の曇り点と、方法4)によって測定される37.8℃の曇り点を示した。
【0293】
例3a〜例3c
連続的なポリイソブチレン粒子の形成:
イソブチレンを塩化メチルおよび場合によりジイソブチレンと合して重合供給物を調製した。こうして、モノマーの全濃度は、イソブチレン含量の0質量%から0.1質量%までの量で添加されたジイソブチレンと一緒で約15質量%から18質量%までであった。この供給物流を約−100℃にまで冷却し、また−100℃で維持された撹拌反応容器中に連続的に供給した。該反応容器中で、供給物を連続的に添加される開始剤系の流れ、つまり塩化メチル中0.05質量%〜0.5質量%の三塩化アルミニウムの溶液であって、0.1:1〜1:1の水対三塩化アルミニウムのモル比で水によって活性化された溶液と混合した。供給物の流れと開始剤系の流れの添加速度は通常のように調節することで、250000g/モルから3000000g/モルの間の粘度平均分子量M
vを有するポリイソブチレンが得られた。一般的に、供給物流中のモノマーの三塩化アルミニウムに対する質量比は、500〜20000の範囲内に、好ましくは1500〜10000の範囲内に保持した。
【0294】
ジイソブチレン(DIB)は、ポリマーの分子量調節のために連鎖移動剤として添加した。このように、DIBの量は、最終生成物に望まれる分子量に依存して変動する。最高の分子量のためには、DIBは必要とされず、かつ分子量を低下させるためには前記の範囲内でより多くのDIBが逐次添加される。
【0295】
撹拌反応容器内で、ポリイソブチレンは、塩化メチル中に懸濁された微分散したスラリーの形で得られた。
【0296】
該反応容器は、供給物の連続的な添加が反応器の容量を超えるように設定し稼働させた。この容量を超えたら、塩化メチル、未反応のモノマーおよびポリイソブチレンを含有する、よく混合された反応スラリーは、該ポリイソブチレンに対して計算して質量基準で15:1から6:1までの量で使用される、65℃から100℃までに加熱された水を含んだ別の撹拌槽中に溢流させた。それにより、極めて大部分の希釈剤の塩化メチルが前記スラリーから除去された。
【0297】
溶剤とモノマーのストリッピングが完了した後に、ポリイソブチレンに対して100ppm〜500ppmのIrganox(登録商標)1010を該水性媒体へと添加し、その後にポリマーを脱水し、仕上げ作業を行った。この酸化防止剤を早期にストリッピング過程に加えることもでき、または脱水後の仕上げ作業へと直接的に加えることさえも可能である。
【0298】
ポリイソブチレンに対して計算して50ppm〜500ppmのメチルセルロースの添加により、ポリイソブチレン粒子の水性スラリーの形成が可能となった。その際、該水性スラリー中のコポリマー粒子の濃度は重合の進行に伴い増加した。次いで前記水性スラリーを、慣用の手段を用いて脱水および乾燥させることで、試験および分析に適したコポリマーが得られた。
【0299】
この実験においては、より高い値またはより低い値は試験しなかったが、その挙動は、水性媒体中のポリイソブチレンの所望の接着性に応じて、この範囲を上回るかまたは下回る濃度を効果的に使用することができることを示した。
【0300】
使用されたメチルセルロースは、3000cps〜5600cpsの2質量%溶液での溶液粘度、〜90000の分子量Mw、27.5質量%〜31.5質量%のメトキシ置換および、ゆえに約1.9の置換度を有していた。
【0301】
前記メチルセルロースは、方法5)によって測定される39.0℃の曇り点と、方法4)によって測定される37.8℃の曇り点を示した。
5)2006年9月のDIN EN 1890の方法Aであって、試験される化合物の量を、蒸留水100ml当たり1gから、蒸留水100ml当たり0.2gへと減らした方法
4)2006年9月のDIN EN 1890の方法Aであって、試験される化合物の量を、蒸留水100ml当たり1gから、蒸留水100ml当たり0.04gへと減らした方法。
【0302】
先に記載した実験の設定を使用して、水性スラリーから粒子を分離し、乾燥させた後に3種の生成物が得られ、それらをMvの範囲によって区別した。
【0303】
粘度平均分子量は、ウッベローデ型の粘度計を使用して測定し、既知の値と比較して、イソオクタン中のポリイソブチレンの溶液の粘度が測定された。試験は、以下の通りに実施した。
【0304】
ポリイソブチレンの試料(0.0400±0.0050g)を、20mLのイソオクタン中に溶解させた。11mLのこの溶液をウッベローデ型の粘度計へと移し、次いで温度制御浴中で20℃で10分間にわたり平衡化させる。ピペットバルブを使用して、該粘度計の開始タイマーの上にあるリザーバ中に溶液を吸い上げる。次いでピペットバルブを取り外し、溶液が流れるようにした。
【0305】
時間(t)は、メニスカス部分が粘度計の開始線から停止線まで動いた時間(秒)として測定される。この測定は三重試験で行われ、平均値をMvの測定のために既知の粘度の表と比較する。
【0306】
得られた3種の生成物についての分析データを以下に示す。
【0307】
一般的に、特に述べられていない場合に、全ての分析データは、前記詳細な説明に示される手順に従って得られたものである。分子量と多分散性は、テトラヒドロフラン中でのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定され、kg mol
-1で報告した。立体障害フェノール系酸化防止剤(Irganox(商標)1010)の含有量はHPLCによって測定し、結果は質量%で報告される。全不飽和率および微細構造は、
1H NMRスペクトルからのそれぞれの信号から測定され、モル%で報告される。
【0308】
例3a
全不飽和率: 0.04モル%未満
Mv: 620000g/モル〜950000g/モル、その際、ある特定の試験(SR)は、819400のMvを有している
多分散性SR(Mw/Mn): 1.71
カルシウム: 50ppm未満、SR: 24ppm
ステアリン酸カルシウム含有量: 検出限界未満(全て)
メチルセルロース含有量: 0.05質量%未満
Irganox(登録商標)1010: 0.030質量%〜0.100質量%
揮発物SP: 0.048質量%
他の凝集防止剤、界面活性剤、乳化剤: なし
イオン: (ICP−AES)
アルミニウムSR(触媒由来): 17ppm
マグネシウムSR: 32ppm
他の多価金属イオンSR(Mn、Pb、Cu、Cr、Ba、Fe、Zn): 24ppm
一価金属イオンSR(Na、K): 29ppm
全灰分SR(ASTM D5667): 0.008質量%。
【0309】
例3b:
全不飽和率: 0.04モル%未満
Mv: 1000000g/モル〜1350000g/モル
カルシウム: 50ppm未満
ステアリン酸カルシウム含有量: 検出限界未満
メチルセルロース含有量: 0.05質量%未満
Irganox(登録商標)1010: 0.030質量%〜0.100質量%
揮発物: 0.3質量%。
【0310】
例3c:
全不飽和率: 0.04モル%未満
Mv: 2300000g/モル〜2850000g/モル
カルシウム: 50ppm未満
ステアリン酸カルシウム含有量: 検出限界未満
メチルセルロース含有量: 0.05質量%未満
Irganox(登録商標)1010: 0.030質量%〜0.100質量%
揮発物: 0.3質量%。
【0311】
生成物3bおよび3cについて、灰分含量は、同様に0.2質量%未満であることが判明した。
【0312】
こうして、例3a〜例3cによるポリイソブチレン粒子は、
I)100質量部のポリイソブチレン(100phr)
II)0.005phr未満の少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0.001phr未満の、イオン性もしくは非イオン性の界面活性剤、乳化剤および凝集防止剤からなる群から選択される非LCST化合物、ならびに
IV)0.03phr〜0.1phrの酸化防止剤
V)約0.3phrの、常圧下で200℃またはそれ未満の沸点を有する揮発物
を含んでいた。その際、これらの成分は、ポリイソブチレン粒子の全質量の99.9質量%超を成している。
【0313】
例4〜例7
ポリイソブチレンセメントを、765mlのヘキサン類(約80%のn−ヘキサン、残りは分岐ヘキサン異性体)中の2.8gのポリイソブチレンを溶解させることによって調製した。該セメント中のポリイソブチレンの全濃度は、約2.5質量%であった。このセメントを、蠕動ポンプ速度15rpmを用いて、1Lの水を含んでおり、それが低圧スチームで1分間にわたり予熱されているビーカー中に圧入した。次いで該セメントを、継続的なスチームと一緒に2分間にわたって加えた。
【0314】
6.25mgのLCST化合物のメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(または有機媒体中のポリイソブチレンの含有量に対して計算して2230ppm)を、0.25mlの2.5質量%の水溶液の形で水を予熱する前に水相に添加した。
【0315】
100.00mgのステアリン酸カルシウム(または有機媒体中のポリイソブチレンの含有量に対して計算して35700ppm)を、比較のために、0.2mlの50質量%の水溶液の形で水を予熱する前に水相に添加した。
【0316】
あるいは、以下に挙げられる非LCST化合物を、水を予熱する前に添加したか、または添加しなかった。次いでクラムの形成を確認した。
【0317】
「不合格」は、離散したポリイソブチレン粒子が形成されずに、単独の塊の沈殿が観察されたことを意味する。
【0318】
「合格」は、離散したポリイソブチレン粒子の形成が確認されたことを意味する。結果を以下の第1表に示す。
【0319】
第1表:
【表1】