特許第6763793号(P6763793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763793不具合検知装置、不具合検知方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763793
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】不具合検知装置、不具合検知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/08 20060101AFI20200917BHJP
   B61D 19/00 20060101ALI20200917BHJP
   B61D 27/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   G01M17/08
   B61D19/00 A
   B61D27/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-9735(P2017-9735)
(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-119812(P2018-119812A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭平
(72)【発明者】
【氏名】眞謝 仁志
(72)【発明者】
【氏名】木内 真史
(72)【発明者】
【氏名】桐畑 孝之
(72)【発明者】
【氏名】上盛 広大
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/119110(WO,A1)
【文献】 特開2016−23489(JP,A)
【文献】 特開2005−241089(JP,A)
【文献】 特公平7−11466(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00−17/10
B61D 19/00
B61D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得部と、
前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析部と、
不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められた前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキが記憶される記憶部と、
前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、前記複数の他の判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定部と、
が設けられていることを特徴とする不具合検知装置。
【請求項2】
前記記憶部には、不具合と判定された複数の不具合対象のそれぞれについて求められた前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキが記憶され、
前記判定部は、前記判定用領域と前記判定点との相対位置、および、前記複数の不具合対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される不具合領域と前記判定点との相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定することを特徴とする請求項1記載の不具合検知装置。
【請求項3】
前記標準偏差のバラツキは、複数の前記標準偏差における標準偏差、複数の前記標準偏差における分散、および、複数の前記標準偏差の平均値と複数の前記標準偏差のそれぞれの値との差の絶対値を合計した値のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の不具合検知装置。
【請求項4】
前記相対位置に基づく判定は、マハラノビスの距離に基づく判定であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の不具合検知装置。
【請求項5】
判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得ステップと、
前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析ステップと、
前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められて記憶部に記憶された前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定ステップと、
を有することを特徴とする不具合検知方法。
【請求項6】
コンピュータに、
判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得機能と、
前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析機能と、
前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められて記憶部に記憶された前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不具合検知装置、不具合検知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車内と車外との間に圧力差が発生する車両には、側引戸を車体に押さえつける押え装置が搭載されている場合がある。上述の車両としては、高速走行や列車のすれ違い時に車内と車外との間に圧力差が発生する新幹線などの高速鉄道車両などを例示することができる。なお、側引戸とは、車両の側入口に設けられている戸であって、引戸形式の側戸のことである。
【0003】
上述の押え装置の一例としては、車両が一定の速度以上になると動作を開始するものであり、ピストンシリンダ内に圧縮空気を供給することによりピストンを移動させ、所定の力で側引戸を押えつける押え動作を行うものが知られている。押え動作を緩解させる(緩ませる)場合、例えば駅に停車して側引戸を開く場合には、まず、車掌の機器扱い(操作)によって側引戸の開き指令が出される。開き指令が出されると、ピストンシリンダ内の圧縮空気の排気を制御する電磁弁が動作し、ピストンシリンダ内の圧縮空気が排気される。この排気によりピストンが側引戸を押える力が弱くなり、押え動作が緩解される。
【0004】
上述の押え装置による押えつけが緩まない不具合が発生すると、側引戸の開扉にも不具合が生じて旅客(乗客)が降車できなくなるという問題があった。また、側引戸の押えつけが行われない不具合が発生すると車内の気密が保ちにくくなり、旅客に耳ツン等の不快感を与える(大幅なサービス低下となる)という問題もあった。
【0005】
上述の問題を解決する方法として、図10におけるグラフAで示すように、押え装置の緩み時素が所定の閾値以下である基準範囲を一定の回数以上超過した場合、その押え装置は不具合品と判定する方法が知られている。ここで、緩み時素は側引戸の開き指令が出されてから側引戸が開き始めるまでの時間である。その他に、不具合品の判定にマハラノビスの距離を利用する方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−092909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した不具合の判定方法では、緩み時素が所定の基準範囲を一定の回数以上超過した場合については不具合品を判定できるが、以下に例示するように判定ができない場合もあるという問題があった。
【0008】
判定ができない場合の1つの例が、図10におけるグラフBで示すように、緩み時素は上述の基準範囲内に収まっているが、バラツキが大きく押え動作が不安定な場合が挙げられる。別の例としては、図10におけるグラフCで示すように、単発的に緩み時素が上述の基準範囲を超える場合が挙げられる。これらは、緩み時素が上述の基準範囲を一定の回数以上超過した場合のように明らかな不具合までには至っていないが、使用し続けると不具合の程度が悪化する可能性が高いものである。
【0009】
さらに、上述した不具合の判定方法では不具合の程度の比較が難しいため、複数の不具合を有する押え装置について交換等の不具合を解消する措置を行う順位付けが困難という問題もあった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、対象装置の不具合検知の精度を高めやすくするとともに、不具合の程度の比較を容易にすることができる不具合検知装置、不具合検知方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る不具合検知装置は、判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得部と、前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析部と、不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められた前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキが記憶される記憶部と、前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、前記複数の他の判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定部と、が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様に係る不具合検知方法は、判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得ステップと、前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析ステップと、前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められて記憶部に記憶された前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータに、判定に用いられる判定対象の特徴量を表す出力情報を取得する取得機能と、前記出力情報に基づいて所定期間における前記特徴量の標準偏差を求め、複数の所定期間における前記標準偏差に基づく平均値およびバラツキを算出する解析機能と、前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、前記判定対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキにより定まる判定点と、不具合でないと判定された複数の他の判定対象のそれぞれについて求められて記憶部に記憶された前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される判定用領域と、の相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定する判定機能と、を実現させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の態様に係る不具合検知装置、第2の態様に係る不具合検知方法、および、第3の態様に係るプログラムによれば、複数の標準偏差を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において、不具合でないと判定された他の判定対象が所属する判定用領域と、判定対象の判定点との相対位置に基づいて判定を行うことにより、特徴量を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行う場合と比較して、判定の精度を高めやすくなり、不具合の程度の比較を容易にしやすくなる。
【0015】
具体的には、特徴量を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行う場合には、判定用領域に不具合を起こした判定対象の判定点が含まれる場合があるのに対して、標準偏差を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行うと、判定領域に不具合を起こした判定対象の判定点が含まることがなく、かつ判定領域から離れる。そのため、判定の精度を高めやすくなり、不具合の程度の比較を容易にしやすくなる。ここで、標準偏差は、所定期間に求められた判定対象の特徴量を母集団として求められた値である。
【0016】
上記発明の第1の態様において前記記憶部には、不具合と判定された複数の不具合対象のそれぞれについて求められた前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキが記憶され、前記判定部は、前記判定用領域と前記判定点との相対位置、および、前記複数の不具合対象の前記標準偏差の平均値および前記標準偏差のバラツキから構成される不具合領域と前記判定点との相対位置に基づいて前記判定対象が不具合か否かを判定することが好ましい。
【0017】
このように判定用領域と判定点との相対位置、および、不具合領域と判定点との相対位置に基づいて判定を行うことにより、さらに判定の精度を高めやすくなるとともに、不具合の程度の比較がさらに容易になる。
【0018】
上記発明の第1の態様において前記標準偏差のバラツキは、複数の前記標準偏差における標準偏差、複数の前記標準偏差における分散、および、複数の前記標準偏差の平均値と複数の前記標準偏差のそれぞれの値との差の絶対値を合計した値のいずれかであることが好ましい。
【0019】
このように標準偏差のバラツキを、複数の標準偏差を母集団とする標準偏差、複数の標準偏差を母集団とする分散、および、複数の標準偏差を母集団とする平均値と複数の標準偏差のそれぞれとの差の絶対値を合計した値のいずれかとすることにより、標準偏差のバラツキを演算処理にて求めることができる。
【0020】
上記発明の第1の態様において前記相対位置に基づく判定は、マハラノビスの距離に基づく判定であることが好ましい。
このように相対位置に基づく判定を、マハラノビスの距離に基づく判定とすることにより、判定の精度をさらに高めやすくなるとともに、不具合の程度の比較がさらに容易になる。具体的には、マハラノビスの距離に基づく判定は、判定用領域や不具合領域の形状を反映した判定となるため、判定の精度が高めやすくなる。さらに、それぞれの判定対象について求められたマハラノビスの距離の値を比較することにより、判定対象の間での不具合の程度の比較が容易となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様に係る不具合検知装置、第2の態様に係る不具合検知方法および第3の態様に係るプログラムによれば、複数の標準偏差を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において、不具合でないと判定された他の判定対象が所属する判定用領域と、判定対象の判定点との相対位置に基づいて判定を行うため、対象装置の不具合検知の精度を高めやすくするとともに、不具合の程度の比較を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る不具合検知装置および不具合検知装置が適用される鉄道車両の構成を説明する概略図である。
図2図1の不具合検知装置の構成を説明するブロック図である。
図3図1の不具合検知装置による検知方法の概略を説明するフローチャートである。
図4図4(a)は、押え装置が正常な場合の緩み時素および標準偏差の時間推移を表すグラフであり、図4(b)は、押え装置が不具合な場合の緩み時素および標準偏差の時間推移を表すグラフである。
図5図5(a)は、標準偏差の平均値およびバラツキに基づく基準空間における正常領域、不具合領域および判定点を説明するグラフであり、図5(b)は、緩み時素の平均値およびバラツキに基づく基準空間における正常領域および不具合領域を説明するグラフである。
図6】本発明の第2の実施形態に係る不具合検知装置および不具合検知装置が適用される鉄道車両の構成を説明する概略図である。
図7図6の不具合検知装置の構成を説明するブロック図である。
図8】2台の空調装置における制御温度差の時間推移を表すグラフである。
図9図9(a)は、処置前の制御温度差のデータと、正常領域および不具合領域との位置関係を説明するグラフであり、図9(b)は、処置後の制御温度差のデータと、正常領域および不具合領域との位置関係を説明するグラフである。
図10】従来の判定方法において不具合の判定が難しい例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る不具合検知装置10について、図1から図5を参照しながら説明する。本実施形態では、図1に示すように、本発明を鉄道車両100の側引戸110を車体に押え付ける押え装置(判定対象)111における不具合を検知する不具合検知装置10に適用して説明する。鉄道車両100としては、車内と車外との間に圧力差が発生する車両、具体的には新幹線などの高速鉄道車両を例示することができる。
【0024】
なお、側引戸110とは、鉄道車両100の側入口に設けられている戸であって、引戸形式の側戸のことである。また、押え装置111は、鉄道車両100が一定の速度以上になると側引戸110を車体に押え付ける動作を開始するものである。押え装置111としては、ピストンシリンダ内に圧縮空気を供給することによりピストンを移動させ、所定の力で側引戸110を車体に押えつける構成を有するものを例示することができるが、公知の構成のものを用いることができ、その構成を特に限定するものではない。
【0025】
不具合検知装置10は、鉄道車両100とは別の場所、例えば、鉄道車両100との情報通信が可能な施設の中に設置され、押え装置111における不具合を検知するサーバまたはコンピュータなどの演算処理装置である。本実施形態では、不具合検知装置10がCPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAMおよび入出力インタフェース等を有する情報処理装置である例に適用して説明する。上述のROM等の記憶装置に記憶されている制御プログラムは、図2に示すように、CPU、ROM、RAMおよび入出力インタフェース等を協働させることにより、主に、取得部11、解析部12、記憶部13、判定部14、比較部15および出力部16として機能させるものである。
【0026】
取得部11は、鉄道車両100の記録部121と情報通信が可能に接続されたものであり、記録部121から不具合の判定に用いられる緩み時素(特徴量)を表すデータ(出力情報)を取得するものである。なお、取得部11と記録部121との通信方式は公知の通信方式を用いることができ、通信の頻度についても公知の頻度であればよく、特に限定するものではない。
【0027】
記録部121は、検出部122により検出された押え装置111の緩み時素を表すデータを記憶するものであり、鉄道車両100に搭載されたものである。検出部122は、鉄道車両100の車掌の機器扱い(操作)によって出力される開き指令を検出するとともに、側引戸110に配置されたセンサ112から出力される側引戸110の開き始めを表す検知信号を検出するものである。
【0028】
ここで、緩み時素とは、鉄道車両100の車掌の機器扱い(操作)によって側引戸110の開き指令が出された時点から、側引戸110が開き始める時点までに要する時間である。具体的には、開き指令を検知した際の時刻情報、および、センサ112の検知信号を検知した際の時刻情報に基づいて緩み時素を求める方法を例示することができる。
【0029】
解析部12は、所定期間に取得された緩み時素を母集団とする標準偏差を求める演算処理を行うものであり、その後、複数の所定期間のそれぞれで求められた複数の標準偏差を母集団とした標準偏差の平均値およびバラツキを算出する演算処理を行うものである。ここで求められる標準偏差、標準偏差の平均値、および、標準偏差のバラツキは、1つの押え装置111から取得された緩み時素のデータに基づいて算出されるものである。
【0030】
本実施形態では、所定期間を5日間(例えば、月曜日から金曜日)である例に適用して説明するが、所定期間は標準偏差を求める際に必要とされる緩み時素のデータ数に応じて適宜変更することができる。例えば、1日に取得できる緩み時素のデータの数が多い場合には、所定期間を短くすることができ、1日に取得できる緩み時素のデータの数が少ない場合には、所定期間を長くすることになる。また、標準偏差を求める際に必要とされる緩み時素のデータの数が多い場合には、所定期間を長くすることになり、標準偏差を求める際に必要とされる緩み時素のデータの数が少ない場合には、所定期間を短くすることができる。
【0031】
また、本実施形態における標準偏差の平均値およびバラツキを算出する際に用いられる複数の所定期間は、互いに期間の一部が重なり合う例に適用して説明する。なお、複数の所定期間は、互いに期間の一部が重なり合っていてもよいし、互いの期間の間に空きが存在していてもよく、特に限定するものではない。
【0032】
本実施形態における標準偏差の平均値は、平均を求める際に用いる複数の標準偏差に同じ重み付けを行った平均値である例に適用して説明する。なお、複数の標準偏差に異なる重み付けを行う平均値を用いても良く、特に限定するものではない。
【0033】
本実施形態における標準偏差のバラツキは、バラツキを求める際に用いる複数の標準偏差を母集団とする標準偏差(標準偏差の標準偏差)である例に適用して説明する。なお、標準偏差のバラツキとしては、標準偏差の標準偏差であっても良いし、バラツキを求める際に用いる複数の標準偏差を母集団とする分散(標準偏差の分散)であっても良い。さらに、バラツキを求める際に用いる複数の標準偏差を母集団とする平均値と、複数の標準偏差との差の絶対値の合計であってもよい。
【0034】
記憶部13は、予め不具合があると判定された複数の押え装置111(以下「不具合グループ」とも表記する。)について求められた標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキ、言い換えると、不具合領域NRの情報を記憶すると共に、予め正常である(不具合でない)と判定された複数の押え装置111(以下「正常グループ」とも表記する。)について求められた標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキ、言い換えると、正常領域GRの情報を記憶するものである。
【0035】
判定部14は、標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキに基づく基準空間において、判定対象である押え装置111の標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキにより定まる判定点JPと、正常グループに属する標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキから構成される正常領域(判定用領)GRと、不具合グループに属する標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキから構成される不具合領域NRとに基づいて、判定対象である押え装置111が不具合か否かを判定する処理を行うとともに、評価する処理を行うものである。判定方法および評価方法の詳細については後述する。
【0036】
比較部15は、既に不具合と判定された押え装置111における不具合の程度、および、直近に不具合と判定された押え装置111における不具合の程度を比較し、これらの押え装置111における不具合の程度の順位付けを行うものである。順位付けを行う詳細な内容については後述する。
【0037】
出力部16は、判定部14により判定された結果や、評価された結果を外部に出力するものである。出力する相手としては、例えば、鉄道車両100の保守管理を行う部門の端末などを例示することができる。
【0038】
次に、上記の構成からなる不具合検知装置10における不具合の検知方法について図3から図5を参照しながら説明する。本実施形態では、不具合検知装置10は所定のタイミングで押え装置111の不具合について判定する例に適用して説明する。所定のタイミングとしては、押え装置111の製造年月日や使用状況など、不具合の発生頻度に影響があると考えられる要素を考慮して決定する例などを挙げることができる。また、不具合の判定は、所定のタイミングで離散的に行っても良いし、連続して行っても良く、判定のタイミングを限定するものではない。
【0039】
不具合検知装置10による不具合の検知処理が開始されると、図3に示すように、取得部11により記録部121に記録された緩み時素のデータを取得する処理が行われる(S10:取得ステップ)。取得されるデータには、押え装置111を特定する情報と、押え装置111を特定する情報に紐付けされた緩み時素に関する情報と、検出部122が緩み時素に関する情報を取得した時期(年月日)の情報とが少なくとも含まれている。
【0040】
緩み時素のデータが取得されると、解析部12により緩み時素の解析処理が行われる(S11:解析ステップ)。具体的には、判定の対象となる押え装置111について、所定期間に取得された緩み時素を母集団とする標準偏差を求める演算処理が行われる。その後、複数の所定期間のそれぞれで求められた複数の標準偏差を母集団とした標準偏差の平均値およびバラツキを算出する演算処理が行われる。
【0041】
図4(a)は、押え装置111が正常な場合における緩み時素と、標準偏差の時間推移を示すグラフである。図4(b)は、押え装置111が不具合な場合における緩み時素と、標準偏差の時間推移を示すグラフである。
【0042】
緩み時素の時間推移を表すグラフYJから、押え装置111が正常な場合では、緩み時素の値が所定の範囲内で変動していることが判る。その一方で、押え装置111が不具合な場合では、緩み時素の値が大きく変動していることが判る。また、標準偏差の時間推移を表すグラフSDから、押え装置111が正常な場合では、標準偏差の値の変動が比較的小さく、平均値が小さいことが判る。その一方で、押え装置111が不具合な場合では、標準偏差の値の変動が比較的大きく、平均値が大きいことが判る。
【0043】
標準偏差の平均値およびバラツキが算出されると、判定部14は、標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキに基づく基準空間に基づいて、判定対象である押え装置111が不具合であるか否かを判定する演算処理を行う(S12:判定ステップ)。
【0044】
判定する演算処理の内容について説明すると次の通りとなる。
判定部14は、記憶部13に記憶されている不具合グループについて求められた標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキ、言い換えると、不具合領域NRの情報、および、正常グループについて求められた標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキ、言い換えると、正常領域GRの情報を取得する。
【0045】
そして、S11の演算処理で求められた判定対象である押え装置111の標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキにより定まる判定点JPと不具合領域NRとの間のマハラノビスの距離である不具合距離LNと、判定点JPと正常領域GRとの間のマハラノビスの距離である正常距離LGとを演算により求める。なお、マハラノビスの距離を求める演算方法については公知の演算方法を用いることができ、特定の演算方法に限定するものではない。
【0046】
求められた不具合距離LNと正常距離LGとを比較し、例えば、不具合距離LNの値が正常距離LGの値未満(不具合距離LNの値<正常距離LGの値)であれば、判定対象である押え装置111は不具合を起こしていると判定する。その一方で、不具合距離LNの値が正常距離LGの値以上(不具合距離LNの値≧正常距離LGの値)であれば、判定対象である押え装置111は正常と判定する。
【0047】
ここで、判定部14における判定処理の内容を図5(a)に示すグラフを参照しながら説明する。図5(a)に示すグラフは、横軸を標準偏差の平均値とし、縦軸を標準偏差のバラツキとした基準空間を表すものである。また、グラフにおける白抜きの四角は正常グループに属する押え装置111を表し、白抜きの三角は不具合グループに属する押え装置111を表す。そして白抜きの丸は、評価対象である押え装置111(判定点JP)を表す。
【0048】
例えば、図5(a)に示すように、判定点JPが不具合領域NRにも正常領域GRにも含まれておらず、単純に押え装置111の不具合が判定できない場合であっても、不具合距離LNと正常距離LGとを比較することにより、判定点JPが不具合領域NRおよび正常領域GRのどちらに近いが容易に判定でき、不具合か否かを判定できる。図5(a)に示す場合では、不具合距離LNの値≧正常距離LGの値であり、判定対象である押え装置111は正常と判定される。
【0049】
なお、不具合グループから構成される不具合領域NRと、正常グループから構成される正常領域GRとをグラフ上に表示すると図5(a)のように、不具合領域NRと正常領域GRとが切り分けされていることが判る。対比として横軸を緩み時素の平均値とし、縦軸を緩み時素のバラツキとしたグラフ(基準空間)上に不具合領域NRと正常領域GRとを表示すると図5(b)の通りとなる。図5(b)では、不具合領域NRと正常領域GRとが部分的に重なり合い、両者が切り分けできていないことが分かる。
【0050】
言い換えると、緩み時素の平均値および緩み時素のバラツキから構成される基準空間に基づいた押え装置111の不具合の判定では、図5(b)に示すように、不具合領域NRと正常領域GRとが部分的に重なり合い分離されていないため、不具合の判定は困難であることが判る。つまり、標準偏差の平均値および標準偏差のバラツキから構成される基準空間に基づいて判定を行うことにより、正常な押え装置111が不具合と判定されたり、不具合な押え装置111が正常と判定されたりすることを抑制することが困難となる。
【0051】
S12の判定処理において判定対象である押え装置111が不具合でない、言い換えると正常である判定された場合(NOの場合)、不具合検知装置10における不具合の検知は終了し、次回の不具合の検知を行うまで待機する処理が行われる。
【0052】
S12の判定処理において判定対象である押え装置111が不具合であると判定された場合(YESの場合)、比較部15による判定対象である押え装置111の順位を算出する演算処理を行う(S13)。
【0053】
具体的には、直近に不具合と判定された押え装置111における不具合距離LNおよび正常距離LGを記憶部13に記憶させる演算処理と、既に不具合と判定されて記憶部13に記憶された押え装置111における不具合距離LNおよび正常距離LGと、直近に不具合と判定された押え装置111における不具合距離LNおよび正常距離LGとを比較して、不具合と判定された押え装置111の不具合の程度の順位を算出する演算処理を行う。
【0054】
不具合の程度の順位を算出する方法としては、不具合距離LNおよび正常距離LGをパラメータとした関数により求められる値を比較する方法、例えば、不具合距離LNおよび正常距離LGの差の値を求め、差の値の大小により不具合の程度の順位を算出する方法を例示することができる。その他にも、不具合距離LNの大小により不具合の程度の順位を算出する方法や、正常距離LGの大小により不具合の程度の順位を算出する方法も例示することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、記憶部13に記憶されている押え装置111における不具合距離LNおよび正常距離LGは、修理やメンテナンスや交換等の作業により不具合に対処がなされた押え装置111のものは除かれている例に適用して説明する。つまり、不具合に対処がなされた押え装置111については、記憶部13からその不具合距離LNおよび正常距離LGが除去される演算処理が行われる例に適用して説明する。
【0056】
不具合であると判定された押え装置111の順位が算出されると、不具合と判定された複数の押え装置111の不具合の程度に基づく順位付けがされたリスト、言い換えると評価された結果が作成される。作成されたリストは、出力部16により鉄道車両100の保守管理を行う部門の端末などの外部へ出力される。
【0057】
上記の構成の不具合検知装置10によれば、複数の標準偏差を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において、不具合でない(正常)と判定された押え装置111が所属する正常領域GRと、判定対象の押え装置111の判定点JPとのマハラノビスの距離(相対位置)に基づいて判定を行うことにより、緩み時素を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行う場合と比較して、判定の精度を高めやすくなり、不具合の程度の比較を容易にしやすくなる。具体的には、緩み時素を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行う場合には、正常領域GRに不具合を起こした押え装置111の判定点JPが含まれる場合があるのに対して、標準偏差を母集団とする平均値およびバラツキに基づく基準空間において判定を行うと、正常領域GRに不具合を起こした押え装置111の判定点JPが含まることがなく、かつ不具合を起こした押え装置111の判定点が正常領域GRから離れる。そのため、判定の精度を高めやすくなり、不具合の程度の比較を容易にしやすくなる。
【0058】
さらに、正常領域GRと判定点JPとの間のマハラノビスの距離、および、不具合領域NRと判定点JPとの間のマハラノビスの距離に基づいて判定を行うことにより、正常領域GRと判定点JPとの間のマハラノビスの距離のみで判定を行う場合、または、不具合領域NRと判定点JPとの間のマハラノビスの距離のみで判定を行う場合と比較して、さらに判定の精度を高めやすくなるとともに、不具合の程度の比較がさらに容易になる。
【0059】
不具合の判定をマハラノビスの距離に基づいて行うことにより、判定の精度をさらに高めやすくなるとともに、不具合の程度の比較がさらに容易になる。具体的には、マハラノビスの距離に基づく判定は、正常領域GRや不具合領域NRの形状を反映した判定となるため、判定の精度が高めやすくなる。さらに、それぞれの判定対象である押え装置111について求められたマハラノビスの距離の値を比較することにより、判定対象の間での不具合の程度の比較が容易となる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る不具合検知装置10について、図6から図9を参照ながら説明する。本実施形態の不具合検知装置10の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、不具合の発生を検知する対象が異なっている。よって、本実施形態においては、図6から図9を用いて不具合を検知する対象との関係についてのみを説明し、その他の内容についての説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、図6に示すように、本発明を鉄道車両200の空調装置(判定対象)210における不具合を検知する不具合検知装置10に適用して説明する。空調装置210は、鉄道車両200の車両内の空気を吸込み、温度を所望の温度に調整した空気を車両内に吹きだすものである。空調装置210としては、公知の構成を有するものを用いることができ、特に空調装置210の具体的な構成を限定するものではない。
【0062】
本実施形態では1つの車両に2台の空調装置210が配置されている例に適用して説明するが、後述するように、複数の空調機210において検知される吸込み空気の温度の差を求めることが可能であれば1つの車両に配置される空調装置210の数を特に限定するものではない。
【0063】
空調装置210には、図6および図7に示すように、車両内の空気を吸込む吸入口の近傍に吸込み空気の温度(以下「制御温度」とも表記する。)を検知するセンサ212および検出部122が設けられている。センサ212により検知された制御温度を示す検知信号は検出部122に集められ、記録部121に記録される。
【0064】
記録部121に記録される情報としては、空調装置210における制御温度や、1台の車両に配置された2台の空調装置210における制御温度の差を例示することができる。空調装置210における制御空気の温度が記録される場合には、不具合検知装置10において1台の車両に配置された空調装置210における制御温度の差が算出される。本実施形態では、検出部122または記録部121において1台の車両に配置された空調装置210における制御温度の差が算出される例に適用して説明する。
【0065】
不具合検知装置10における構成は第1の実施形態で説明した内容と同じであるため、構成の説明は省略する。また、本実施形態の不具合検知装置10による不具合を検知する演算処理の内容は、第1の実施形態において緩み時素の標準偏差の平均値、および、緩み時素の標準偏差のバラツキを対象とした演算処理であったのに対して、制御温度差の標準偏差の平均値、および、制御温度差の標準偏差のバラツキを対象としている点のみが異なる。つまり、本実施形態の不具合検知装置10による不具合を検知する演算処理の内容は、演算の対象とするデータのみが異なる他は第1の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0066】
次に、本実施形態の不具合検知装置10による不具合を起こした空調装置210の検知例と、不具合を処置して正常となった空調装置210の検知例について説明する。図8に示すグラフは、2台の空調装置210における制御温度差の時間推移を示している。グラフにおける左側の部分は、空調装置210に不具合が発生していて不具合に対する処置がされる前(以下「処置前」とも表記する。)の状態を示し、右側の部分は不具合に対する処置がされた後(以下「処置後」とも表記する。)の状態を示している。
【0067】
処置前の制御温度差のデータ(グラフ中の黒塗り三角)と、正常領域GRおよび不具合領域NRとの位置関係は、図9(a)に示す通りとなる。図に示すように、処置前の制御温度差のデータは不具合領域NRの内部に位置している。そのため、不具合検知装置10による不具合検知の演算処理においても、不具合が発生していると判定される。
【0068】
その一方で、処置後の制御温度差のデータ(グラフ中の黒塗り丸)と、正常領域GRおよび不具合領域NRとの位置関係は、図9(b)に示す通りとなる。図に示すように、処置後の制御温度差のデータは正常領域GRの内部に移動している。そのため、不具合検知装置10による不具合検知の演算処理においても、正常と判定される。
【0069】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態では不具合検知装置10が鉄道車両100とは別の施設の中に設置されている例に適用して説明したが、不具合検知装置10を鉄道車両100に搭載してもよく、不具合検知装置10の設置位置を特に限定するものではない。
【0070】
なお、本実施形態では、押え装置111が不具合であるか否かの判定を行う際に判定点JPと不具合領域NRとの間の距離、および、判定点JPと正常領域GRとの間の距離を用いて判定する例に適用して説明したが、判定点JPと正常領域GRとの間の距離のみを用いて判定してもよい。この場合、判定点JPと正常領域GRとの間の距離が、正常領域GRの形状や広がりに基づいて定められる閾値よりも小さければ押え装置111は正常と判定され、閾値よりも大きければ押え装置111は不具合を起こしていると判定される。
【0071】
なお、本実施形態では、押え装置111が不具合であるか否かの判定を行う際にマハラノビスの距離を用いる例に適用して説明したが、判定点JPと不具合領域NRとの間の距離や、判定点JPと正常領域GRとの間の距離を評価できる方法であればどのような評価方法を用いてもよく、評価法方法を特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0072】
10…不具合検知装置、11…取得部、12…解析部、13…記憶部、14…判定部、111…押え装置(判定対象)、210…空調装置(判定対象)、JP…判定点、GR…正常領域(判定用領)、NR…不具合領域、S10…取得ステップ、S11…解析ステップ、S12…判定ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10