【課題を解決するための手段】
【0024】
少なくとも1つの受動光学構成要素を備えるデバイスの製造方法は、
a)少なくとも1つの阻止部と多数の透明素子とを備えるウェハを設けるステップを備え、
上記多数の透明素子の各々は、透明材料と呼ばれる、少なくとも特定のスペクトル範囲の光に対して実質的に透過性を有する材料でできており、上記少なくとも1つの阻止部は、非透明材料と呼ばれる、上記特定のスペクトル範囲の光に対して実質的に透過性をもたない材料でできている。
【0025】
これは、以下の本文から明らかになるように、多くの局面および用途およびデバイスにおいて有用であり得る。例えば、ウェハレベルでの受動光学構成要素の効率的な製造はこのように達成可能であり、特に受動光学構成要素(特に、以下にさらに記載される光学構造)の少なくとも一部は、通常は阻止部によって形成される周囲のウェハ部の垂直方向の広がりを越えて垂直に延びている。
【0026】
一般に、上記デバイスは上記ウェハの少なくとも一部を備える。
上記ウェハの典型的な横方向寸法は、少なくとも5cmまたは10cmであって、30cmまたは40cmまたはさらには50cmまでであり、典型的な垂直方向寸法は、少なくとも0.2mmまたは0.4mmまたはさらには1mmであって、6mmまたは10mmまたはさらには20mmまでである。
【0027】
通常、上記受動光学構成要素は、影響を及ぼすように、特に光を誘導するように設けられる。
【0028】
1つの実施例において、上記多数の透明素子の各々は、上記少なくとも1つの阻止部に横方向に隣接している。
【0029】
上記の実施例と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの阻止部が上記多数の透明素子の各々を横方向に取囲んでいる。
【0030】
上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの阻止領域は、厳密に1つの非透明材料で実質的にできている。
【0031】
上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記多数の透明素子の各々の垂直方向の広がりは、上記少なくとも1つの阻止部の垂直方向の広がりに少なくともほぼ等しい。
【0032】
上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記多数の透明素子の各々は、垂直方向に実質的に直交する、2つの対向する少なくともほぼ平坦な面を有する。
【0033】
上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該方法は、
d)上記ウェハを製造するステップを備え、
ステップd)は、
d1)上記透明素子が位置することになる場所に開口を有する、実質的に上記非透明材料でできた前駆体ウェハを設けるステップと、
d2)上記開口を上記透明材料のうちの少なくとも1つで少なくとも部分的に充填するステップとを備える。
【0034】
これは、特に効率的な上記ウェハの製造方法であり得る。
上記の実施例を参照する1つの実施例において、ステップd2)の間、上記透明材料は液体状態または粘性状態にあり、ステップd2)に続いて、
d3)上記透明材料を固めるステップ
が行われる。特に、上記固めるステップは硬化を含む。
【0035】
ステップd1)およびd2)を備える上記2つの実施例の一方または両方を参照する1つの実施例において、ステップd2)はディスペンサを用いて行われる。本明細書において、上記開口のうちの1つまたはいくつかは、一度に充填可能である。
【0036】
ディスペンサの使用の代替手段は、例えばスクリーン印刷プロセスにおいて用いられるようなスキージプロセスの使用である。
【0037】
ステップd1)およびd2)を備える上記の実施例のうちの1つ以上を参照する1つの実施例において、当該方法は、複製を用いて上記前駆体ウェハを製造するステップを備える。これは非常に効率的であり得る。固めるステップ、例えば硬化ステップが上記複製中に行われる場合、これはむしろ加熱によってなされる。なぜなら、阻止部の非透明材料の非透過性が、多くの場合、放射線硬化を達成するために用いられるであろう放射線の非透過性を伴う可能性があるためである。
【0038】
複製の代替手段は、孔あけもしくはエッチングによる上記開口の作製、または、成形を用いた前駆体ウェハの製造である。成形が用いられる場合、デュロプラスチック(duroplastic)射出成形が、さまざまな用途に特に適した方法であり得る。
【0039】
上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該方法は、
c)上記少なくとも1つの受動光学構成要素を備える多数の受動光学構成要素を備える、光学ウェハと呼ばれるウェハを製造するステップを備え、
ステップc)は、
c1)上記多数の透明素子の各々の上に少なくとも1つの光学構造を生成することによって上記多数の受動光学構成要素を生成するステップを備える。
【0040】
通常、上記少なくとも1つの光学構造は、影響を及ぼすように、特に光を誘導するように、より特定的には光を再方向付けするように設けられる。
【0041】
上記デバイスが上記光学ウェハであるかもしくは上記光学ウェハを備える、またはその一部を備えると規定することができる。
【0042】
(ステップc)およびc1)を備える)上記の実施例を参照する1つの実施例において、上記少なくとも1つの光学構造は、少なくとも1つのレンズ素子を備える。
【0043】
これは、典型的な適用例である。上記レンズ素子は通常はレンズであり、当該レンズは、上記透明素子のうちの少なくとも1つをさらに備える複合レンズの構成部材である。
【0044】
レンズ素子自体および上記の複合レンズは、屈折および/または回折に基づいて動作し得る。
【0045】
レンズ素子の代わりに(またはそれに加えて)、プリズム素子などの他の素子が光学構造に含まれていてもよい。そして、コーティングされた素子、例えば反射コーティングで
コーティングされた、ミラー素子としての役割を果たす透明部も好適であり得る。
【0046】
ステップc)およびc1)を備える上記の実施例のうちの1つ以上を参照する1つの実施例において、(ステップc1)に記載した)上記光学構造を生成する上記ステップは、複製を用いて行われる。これは、非常に効率的かつ正確な上記光学構造の生成方法である。
【0047】
通常、上記複製に用いられる複製材料は、(少なくとも複製材料が固まった状態にある時)上記特定のスペクトル範囲の光に対して実質的に透過性を有する。多くの用途に適した複製を行う方法は、エンボス加工を含む。
【0048】
上記の実施例を参照する1つの実施例において、複製を用いて上記光学構造を生成する上記ステップは、
r1)複製材料を上記多数の透明素子の各々に塗布するステップと、
r2)構造化面を上記複製材料に複製するステップと、
r3)上記複製材料を固めるステップと、
r4)上記構造化面を除去するステップとを備える。
【0049】
通常、ステップr1)〜r4)は、引用された順序でまたはr2、r1、r3、r4の順序で、後に行われる。
【0050】
複製材料は、紫外線放射または加熱を用いて固めることが可能な材料、一般に硬化性の材料、特にそれぞれ固めることが可能でありかつ硬化性の材料である。好適な複製材料は、例えばエポキシ樹脂などのポリマーであり得る。
【0051】
複製を用いて上記光学構造を生成する上記ステップは、全ての上記光学構造に対して1回の複製プロセスで同時に行われると規定することができる。しかし、複製を用いて上記光学構造を生成する上記ステップは、多数の複製プロセス、一般に上記光学構造の各々に対して1回の複製プロセスであるが、恐らくは全ての上記光学構造の一部に対して1回の単一の複製プロセスを後に行うことによって行われると規定することもできる。
【0052】
ステップr1)〜r4)を備える上記の実施例を参照する1つの実施例において、ステップr2)に記載した上記複製は、位置合わせされた態様で、より具体的には上記構造化面が、上記多数の透明素子のうちの少なくとも1つに対して、明確に規定された態様で位置合わせされるように、行われる。
【0053】
ステップc)およびc1)を備える上記の実施例のうちの1つ以上を参照する1つの実施例において、当該方法は、
e)上記光学ウェハと少なくとも1つのさらなるウェハとを備えるウェハ積層体を準備するステップと、
f)上記ウェハ積層体を切離すことによって、各々が上記多数の受動光学構成要素のうちの少なくとも1つを備える多数の別々のモジュールを得るステップとを備える。
【0054】
(ステップe)およびf)を備える)上記の実施例を参照する1つの実施例において、ステップe)は、例えば熱硬化性エポキシ樹脂を用いて、例えば接着によって上記ウェハ積層体のウェハを互いに対して固定する、特に接合するステップを備える。
【0055】
ステップe)およびf)を備える上記の実施例のうちの1つ以上を参照する1つの実施例において、ステップe)は、特に上記ウェハ積層体のウェハを互いに対して固定した時に上記ウェハ積層体のウェハが好適に位置合わせされるように上記ウェハ積層体のウェハ
を互いに対して位置合わせするステップを備える。
【0056】
ステップe)およびf)を備える上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記さらなるウェハのうちの少なくとも1つは、多数の能動光学構成要素を備え、上記別々のモジュールは各々、上記多数の能動光学構成要素のうちの少なくとも1つを備える。本明細書において、通常は、上記透明素子および受動光学構成要素の各々は、それぞれ、上記多数の能動光学構成要素のうちの少なくとも1つに割当てられ、これは通常、それに応じて上記ウェハを位置合わせすることによって製造中になされる。
【0057】
ステップe)およびf)を備える上記の実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記さらなるウェハのうちの少なくとも1つは、上記受動光学構成要素とスペーサウェハによって設けられる機械的止め具との間に明確に規定された垂直方向距離を設けるように構造化され構成されたスペーサウェハである。
【0058】
上記デバイスが上記ウェハ積層体であるかもしくは上記ウェハ積層体を備える、またはその一部を備えると規定することができる。
【0059】
上記デバイスが上記モジュールのうちの1つもしくは少なくとも1つであるか、または、上記モジュールのうちの1つもしくは少なくとも1つを備えると規定することができる。
【0060】
上記の方法に加えて、本発明はデバイスも含む。
当該デバイスは、少なくとも1つの透明部と少なくとも1つの阻止部とを備える少なくとも1つの光学部材を備え、
上記少なくとも1つの透明部は、透明材料と呼ばれる、少なくとも特定のスペクトル範囲の光に対して実質的に透過性を有する1つ以上の材料でできており、上記少なくとも1つの阻止部は、非透明材料と呼ばれる、上記特定のスペクトル範囲の光に対して実質的に透過性をもたない1つ以上の材料でできており、
上記透明部は、少なくとも1つの受動光学構成要素を備え、
上記少なくとも1つの受動光学構成要素は、透明素子と少なくとも1つの光学構造とを備え、上記透明素子は、垂直方向に実質的に直交しかつ上記透明素子に取付けられた2つの対向する少なくともほぼ平坦な面を有する。
【0061】
本発明は、本発明に係る対応する方法の特徴を有するデバイスを含み、逆に、本発明に係る対応するデバイスの特徴を有する方法も含む。
【0062】
当該デバイスの利点は基本的には対応する方法の利点に対応し、逆に、当該方法の利点は基本的には対応するデバイスの利点に対応する。
【0063】
1つの実施例において、上記透明素子は一体型の部品である。
上記の実施例と組合せられてもよい1つの実施例において、上記受動光学構成要素は一体型の部品ではない。それは、少なくとも2つの構成部材、通常は2つまたは3つの構成部材を備える。これらは、通常、上記透明素子および上記少なくとも1つの光学構造である。
【0064】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記2つの対向する少なくともほぼ平坦な面は、上記垂直方向に沿って測定される上記少なくとも1つの阻止部の厚みに少なくともほぼ等しい距離に配置される。
【0065】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記透明部の各々の各構成部材は1つの(単一の)透明材料でできており、これらは、上記透明部の各々の構成部材のうちの1つ以上と同一である場合もあれば、異なっている場合もある。
【0066】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの透明部は、上記少なくとも1つの受動光学構成要素と同一である。
【0067】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの光学構造を持たない上記光学部材は、概して平面的である。
【0068】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの光学構造を持たない上記光学部材は、概してブロック状または板状の形状を有する。
【0069】
当該デバイスが1つのこのような光学部材であると規定することができる。
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの阻止部は、固まった固めることが可能な材料、特に硬化した硬化性の材料でできている。
【0070】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの阻止部は複製を用いて製造される。代替的な方法は、ブランクウェハから出発して孔あけもしくはエッチングを用いるというもの、または、少なくとも1つの阻止部を製造するために成形を用いるというものであろう。
【0071】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記透明素子は、固まった固めることが可能な材料、特に硬化した硬化性の材料でできている。上記透明素子がディスペンシングを用いて製造される場合には、固まった固めることが可能なディスペンシング可能な材料が通常用いられる。上記透明素子がスキージプロセスを用いて製造される場合には、スキージプロセスにおいて適用可能な固まった固めることが可能な材料が通常用いられる。
【0072】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記少なくとも1つの光学構造は、固まった固めることが可能な材料、特に硬化した硬化性の材料でできている。
【0073】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、上記受動光学構成要素は、上記対向する面の各々に取付けられた少なくとも1つの光学構造を備え、特にそれは、対向する面につき厳密に1つの光学構造を備える。
【0074】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該デバイスは、上記少なくとも1つの光学部材が含まれる光電子モジュールを備える。
【0075】
上記の実施例を参照する1つの実施例において、上記光電子モジュールは少なくとも1つの能動光学構成要素を備え、特に上記光電子モジュール内で、上記少なくとも1つの能動光学構成要素および上記少なくとも1つの光学部材は互いに対して固定される。例えば、上記光電子モジュールは、パッケージングされた構成要素であり得る。
【0076】
最後に記載した2つの実施例の一方または両方を参照する1つの実施例において、上記デバイスは上記光電子モジュールである。
【0077】
上記光電子モジュールを備える上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該デバイスは、上記光電子モジュールが実装されるプリント回路基板を備える。特に、上記デバイスは電子デバイスである。
【0078】
上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該デバイスは、光学ウェハと呼ばれるウェハを備え、上記光学ウェハは多数の上記光学部材を備え、特に上記光学部材は(横方向に)互いに隣接して配置される。
【0079】
上記デバイスが上記光学ウェハであるか、または上記光学ウェハを備えると規定することができる。
【0080】
上記の実施例を参照する1つの実施例において、当該デバイスは、上記光学ウェハが含まれるウェハ積層体を備える。上記デバイスが上記ウェハ積層体であるか、または上記ウェハ積層体を備えると規定することができる。
【0081】
上記光電子モジュールを備える上記のデバイスの実施例のうちの1つ以上と組合せられてもよい1つの実施例において、当該デバイスは、多数の上記光電子モジュールが含まれるウェハ積層体を備え、特に上記光電子モジュールは(横方向に)互いに隣接して配置される。上記デバイスが上記ウェハ積層体であるか、または上記ウェハ積層体を備えると規定することができる。
【0082】
さらなる実施例および利点は、従属請求項および図面から明らかになる。
以下、例および含まれている図面を用いて本発明についてより詳細に説明する。
【0083】
図面で用いられている参照記号およびそれらの意味は、参照記号の一覧に要約されている。記載している実施例は例であるように意図されており、本発明を限定するものではない。