特許第6763836号(P6763836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763836
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】狭ベゼル平板表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20200917BHJP
【FI】
   G09F9/30 330
   G09F9/30 338
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-145267(P2017-145267)
(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-18082(P2018-18082A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年7月27日
【審判番号】不服2019-5561(P2019-5561/J1)
【審判請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0097463
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】金 度 成
(72)【発明者】
【氏名】谷 領介
【合議体】
【審判長】 岡田 吉美
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−191105(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0009220(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G09G 3/12-3/14
G09G 3/18
G09G 3/30-3/3291
G09G 3/36
G02F 1/133
G02F 1/136-1/1368
G02F 1/15-1/19
H01L 27/32
H01L 51/50
H04N 5/66-5/74
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と非表示領域を備えた基板と、
前記非表示領域に配置され、第1ゲート電極、第1ソース電極、及び第1ドレイン電極を備えたプルアップTFTと、
前記第1ゲート電極と前記第1ソース電極との間に配置されたブースト容量と、
を含み、
前記ブースト容量は、前記第1ソース電極と重畳するものの、前記第1ドレイン電極とは重畳せず、前記第1ゲート電極と接続された光遮断層を含む、
平板表示装置であって、該平板表示装置が更に、
前記光遮断層を覆うバッファ層と、
前記バッファ層の上で前記光遮断層と重畳するチャネル領域、前記チャネル領域の一側部から延長され前記光遮断層と重畳するソース領域、及び前記チャネル領域の他側部に延長され前記光遮断層と重畳しないドレイン領域を備えた半導体層と、
を含み、
前記第1ゲート電極は、ゲート絶縁膜を挟んで前記チャネル領域と重畳し、
前記ブースト容量は、前記光遮断層を第1容量電極とし、前記第1ソース電極を第2容量電極とし、前記第1容量電極と前記第2容量電極の間に配置された前記バッファ層を用いて形成され、
前記第1ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜及び前記バッファ層を貫通するゲートコンタクトホールを介して前記光遮断層と接続される、
平板表示装置。
【請求項2】
前記第1ゲート電極を覆う中間絶縁膜をさらに含み、
前記第1ドレイン電極は、前記中間絶縁膜のドレインコンタクトホールを介して、前記ドレイン領域と接続され、
前記第1ソース電極は、前記中間絶縁膜のソースコンタクトホールを介して、前記ソース領域と接続される、
請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項3】
前記非表示領域に配置され、第2ゲート電極、第2ソース電極、及び前記第1ソース電極に接続された第2ドレイン電極を備えたプルダウンTFTをさらに含む、請求項1に記載の平板表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭ベゼル(Narrow Bezel)構造を有する平板表示装置に関する。特に、本発明は、ゲート駆動回路部を基板に直接形成するが、ブースティング キャパシタンス(Boosting Capacitance)を薄膜トランジスタと積層する構造を有することにより、狭いベゼルを有する平板表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、タブレットPC、ノートPCなどを含む様々な種類の電子製品には、平板表示装置(FPD:Flat Panel Display)が用いられる。
【0003】
表示装置の研究は、技術的な面と、デザイン的な面に区分することができる。特に最近は、需要者にさらにアピールできるデザイン的な面での研究開発の必要性が顕著になっている。特に、表示装置の厚さを最小化(スリム化)するための研究が着実に進められている。また、表示装置の枠(ベゼル)の部分を狭く形成する技術の研究も活発に行われている。平板表示装置の表示パネルの中で画像が出力されない左右の枠の部分を最小化し、画像が出力される部分を増大させることで、ユーザにさらに広く大きな画像を提供する狭いベゼル(あるいは、ナローベゼル; Narrow bezel)技術の研究が活発に進められている。
【0004】
表示装置は、表示パネルのゲート配線を駆動するためのゲートドライバを含む。このゲートドライバは、工程手順及び製造コストを削減するためにGIP(Gate driver In Panel)方式の薄膜トランジスタ(あるいはTFT; Thin Film Transistor)工程を通じて表示パネルの非表示領域に直接形成されている。GIP方式で形成されるゲートドライバは、IC(Intergrated Circuit)の形態で表示パネルに付着されるIC型ゲートドライバに比べて表示装置のベゼルの幅を小さくするのに有利である。
【0005】
従来、GIP型ゲートドライバは、ゲート配線にゲート出力信号(スキャンパルス)を供給するために、複数のGIP素子を含み、一つのGIP素子が一つのゲート配線を駆動するように設計されている。一定の大きさの表示画面においては、解像度が高くなるほどゲート配線の数は増加するので、高解像度の表示装置でのGIP素子の数は増加する。このようにGIP素子の数が増加すると、これらが形成される非表示領域の面積が増加してしまうため、表示装置においてベゼルの幅を小さくするのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決しようと案出された発明として、GIP型ゲートドライバの設計変更により、非表示領域に対応するベゼルの幅をさらに小さくした狭ベゼル構造を有する表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る狭いベゼルを有する表示装置は、基板、プルアップTFT及びブースト容量を含む。基板は、表示領域と非表示領域を備える。プルアップTFTは、非表示領域に配置され、第1ゲート電極、第1ドレイン電極及び第1ソース電極を備える。ブースト容量は、第1ゲート電極と第1ソース電極との間に配置される。ブースト容量は、第1ソース電極と重畳するものの、第1ドレイン電極とは重畳せず、第1ゲート電極と接続された光遮断層を含む。
【0008】
一例として、本発明に係る狭いベゼルを有する表示装置は、バッファ層と半導体層をさらに含む。バッファ層は、光遮断層を覆う。半導体層は、チャネル領域、ソース領域、及びドレイン領域を備える。チャネル領域は、バッファ層の上で光遮断層と重畳する。ソース領域は、チャネル領域の一側部から延長され、光遮断層と重畳する。ドレイン領域は、チャネル領域の他側部に延長され、前記光遮断層と重畳しない。第1ゲート電極は、ゲート絶縁膜を挟んでチャネル領域と重畳する。ブースト容量は、光遮断層を第1容量電極とし、ソース領域を第2容量電極とし、これら第1容量電極と第2容量電極との間に配置されたバッファ層によって形成される。
【0009】
一例として、本発明に係る狭いベゼルを有する表示装置は、第1ゲート電極を覆う中間絶縁膜をさらに含む。第1ドレイン電極は、中間絶縁膜の上でドレイン領域と接続される。第1ソース電極は、中間絶縁膜の上でソース領域と接続される。
【0010】
一例として、本発明に係る狭いベゼルを有する表示装置は、プルダウンTFTをさらに含む。プルダウンTFTは、非表示領域に配置され、第2ゲート電極と、第2ソース電極と、第1ソース電極に接続された第2ドレイン電極を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る平板表示装置は、表示領域に薄膜トランジスタを形成する工程でゲート駆動部が基板上に直接形成される。本発明は、別の集積回路を基板上に実装する構造に比べ、ベゼル領域が狭いベゼル構造を有する平板表示装置を提供する。また、ゲート駆動部で安定化した信号を提供することができるように十分な大きさの補助容量を確保するにあたり、薄膜トランジスタの下部に補助容量を形成することにより、ベゼル領域が占める大きさをさらに小さくすることができる。本発明は、安定化されたゲート駆動信号を提供し、ベゼル領域が極小化された狭ベゼル構造を有する平板表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
図2図1に示されたオッド(odd:奇数)GIP回路とイーブン(even:偶数)GIP回路の接続構成を示す図である。
図3】オッドGIP回路またはイーブンGIP回路に含まれるGIP素子の一詳細構成を示す図である。
図4図3に示されたGIP素子の動作手順を説明するための信号波形図である。
図5】オッドGIP回路またはイーブンGIP回路に含まれるGIP素子の他の詳細構成を示す図である。
図6】第1実施形態と第2実施形態においてのQノード電位を比較するグラフである。
図7】第2実施形態に係るGIP構造を有するベゼル領域の一部を示した拡大平面図である。
図8図7に切取り線I−I′で切った断面図である。
図9】第3実施形態に係るGIP構造を有するベゼル領域の一部を示した拡大平面図である。
図10図9において切取り線II−II′で切った断面図である。
図11】本発明のGIP型ゲートドライバ適用時の表示装置の左右のベゼルが従来に比べて減少することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明に係る好ましい実施形態を詳細に説明する。明細書全体に亘って同一の参照番号は、実質的に同一の構成要素を意味する。以下の説明において、本発明に関連する公知の機能或いは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。以下の説明で用いられる構成要素の名称は、明細書作成の容易さを考慮して選択されたもので、実際の製品の名称とは異なることがある。以下の説明において、“前のGIP素子”とは、対象GIP素子より先に動作が活性化されるGIP素子の内、いずれか1つを意味する。以下の説明においては、本発明のGIP型ゲートドライバを構成する薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン(あるいは、LTPS; Low-Temperature Polycrystaline Silicon)に実現されることが望ましいが、本発明の技術的思想はこれに限定されず、アモルファスシリコン(a-Si:H)及び/または酸化物半導体物質も適用することができる。
【0014】
以下、図1を参照して、本発明について説明する。図1は、本発明に係る表示装置を概略的に示す。図1を参照すると、本発明に係る平板表示装置は、表示パネル100及びソースPCB140を含む。表示パネル100はGIP型ゲートドライバ(130A、130B)を含む。ソースPCB140はデータドライバ、レベルシフタ150及びタイミングコントローラ110を含む。
【0015】
表示パネル100は、互いに交差するデータ配線(図示せず)と、ゲート配線(図示せず)と、その交差領域にマトリクス形態に配置された画素(図示せず)とを含む。表示パネル100は、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオッド表示装置(OLED)、電気泳動表示装置(EPD)の内のいずれか1つの平板表示装置に適用することができる。
【0016】
データドライバは、複数のソースドライブIC120を含む。ソースドライブIC120は、タイミングコントローラ110からのデジタルビデオデータ(RGB)の入力を受ける。ソースドライブIC120は、タイミングコントローラ110からのソースタイミング制御信号に応答して、デジタルビデオデータ(RGB)をデータ電圧に変換し、ゲート出力信号に同期されるように、前記データ電圧を表示パネル100のデータ配線に供給する。ソースドライブICは、COG(Chip On Glass)工程やTAB(Tape Automated Bonding)工程で表示パネル100のデータ配線に接続されることができる。
【0017】
GIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、表示パネル100の非表示領域(BZ)に形成されるオッドGIP回路(130A)とイーブンGIP回路(130B)に区分されることができる。例えば、一側(例えば、左側)非表示領域(BZ)には複数の奇数番目(あるいは、オッド(odd)ゲート配線を駆動するためのオッドGIP素子を含むオッドGIP回路(130A)が配置される。また、前記一側と向き合う表示パネル100の他側(例えば、右側)非表示領域(BZ)には、表示パネル100の偶数番目(あるいは、イーブン:even)ゲート配線を駆動するための複数のイーブンGIP素子を含むイーブンGIP回路(130B)が配置される。
【0018】
GIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、ソースPCB140に実装されたレベルシフタ(level shifter)150からゲートシフトクロック(CLKs)の入力を受ける。レベルシフタ150は、タイミングコントローラ110から入力されるゲートシフトクロック(CLKs)のTTL(Transistor-Transistor- Logic)レベルの電圧を、表示パネル100に形成された薄膜トランジスタをスイッチングすることができるゲートハイ電圧とゲートロー電圧にレベルシフティングする。
【0019】
タイミングコントローラ110は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)インタフェース、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)インターフェースなどのインターフェースを介して外部のホストシステムからデジタルビデオデータ(RGB)の入力を受ける。タイミングコントローラ110は、ホストシステムから入力されるデジタルビデオデータ(RGB)をソースドライブIC120に伝送する。
【0020】
タイミングコントローラ110は、LVDSまたはTMDSインターフェース受信回路を介してホストシステムからの垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号、メインクロックなどのタイミング信号の入力を受ける。タイミングコントローラ110は、ホストシステムからのタイミング信号に基づいて、データドライバの動作タイミングとデータ電圧の極性を制御するためのデータタイミング制御信号と、GIP型ゲートドライバ(130A、130B)の動作タイミングを制御するゲートタイミング制御信号を生成する。
【0021】
ゲートタイミング制御信号は、ゲートスタートパルス(Gate Start Pulse)、ゲートシフトクロック(Gate Shift Clock、CLKs)、ゲート出力イネーブル信号(Gate Output Enable)などを含む。ゲートスタートパルスは、オッドとイーブンGIP回路(130A、130B)の最初のGIP素子にスタート信号(Vst)が入力されることによりシフトスタートのタイミングを制御する。最初のGIP素子を除外した残りのGIP素子は、前のイーブン/オッドGIP素子のゲート出力信号の内のいずれか一つをスタート信号として入力を受けることができる。ゲート出力イネーブル信号(GOE)は、オッド及びイーブンGIP回路(130A、130B)の出力タイミングを制御する。
【0022】
ゲートシフトクロック(CLks)はレベルシフタ150を介してレベルシフトされた後、オッド及びイーブンGIP回路(130A、130B)に入力され、スタート信号をシフトさせるためのクロック信号として用いられる。ゲートシフトクロック(CLks)は、オッドゲート出力信号に対応するオッドゲートシフトクロックと、イーブンゲート出力信号に対応するイーブンゲートシフトクロックを含む。
【0023】
データタイミング制御信号は、ソーススタートパルス(Source Start Pulse)、ソースサンプリングクロック(Source Sampling Clock)、極性制御信号(Polarity)、及びソース出力イネーブル信号(Source Output Enable)などを含む。ソーススタートパルスは、ソースドライブIC120のシフトスタートタイミングを制御する。ソースサンプリングクロックは、ライジングエッジまたはフォーリングエッジに基づいて、ソースドライブIC120内でデータのサンプリングタイミングを制御するクロック信号である。極性制御信号は、ソースドライブICから出力されるデータ電圧の極性を制御する。タイミングコントローラ110とソースドライブIC120との間のデータ伝送インターフェースがmini LVDSインターフェースであれば、ソーススタートパルスとソースサンプリングクロックは、省略することができる。
【0024】
本発明のGIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、順方向駆動と逆方向駆動の両方が可能である。ここで、順方向駆動とは、データドライバの出力端からだんだん遠ざかる方向(例えば、図1の下方向)に沿ってゲート配線を順次駆動させることを指示する。そして、逆方向駆動とは、データドライバの出力端に向かってだんだん近づく方向(例えば、図1で上方向)に沿ってゲート配線を順次駆動させることを指示する。
【0025】
順方向駆動のための順方向シフトモードにおいて、GIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、タイミングコントローラ110から順方向ゲートスタートパルス(Vst)、及び順方向ゲートシフトクロック(CLks)の入力を受けて動作する。逆方向駆動のための逆方向シフトモードにおいて、GIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、タイミングコントローラ110から逆方向ゲートスタートパルス(Vst)、及び逆方向ゲートシフトクロック(CLks)の入力を受けて動作する。
【0026】
図2は、図1に示されたオッドGIP回路とイーブンGIP回路の接続構成を示す。本発明のGIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、表示パネル100の左右両側非表示領域(BZ)(つまり、ベゼル領域)に分離形成されることで、片側のみ非表示領域(BZ)が形成されるときと比較して、ベゼルのサイズを減らすことが容易である。
【0027】
本発明に係るGIP型ゲートドライバ(130A、130B)は、狭いベゼル(あるいは、ナローベゼル; Narrow Bezel)の実現を容易にするために、ゲート配線を駆動するGIP素子の数を従来比で1/2に減少させ、GIP素子が実装される左右両側非表示領域(BZ)の面積を大きく減らすことができる。そのため、本発明に係るGIP型ゲートドライバ(130A、130B)に属するGIP素子のそれぞれは、一つのQノードと、前記Qノードの電位に応じて出力が制御される2つのプルアップ薄膜トランジスタを介して位相が互いに異なる2つのゲートの出力信号を出力することができる。
【0028】
本発明に係るGIP型ゲートドライバ(130A、130B)のGIP素子それぞれは、順方向シフトモードまたは逆方向シフトモードで前のイーブンまたはオッドGIP素子の内、いずれか1つのゲート出力信号をスタート信号として活用する。従って、GIP素子の回路構成が簡素化されて狭いベゼルの実現がさらに容易になる。
【0029】
図2を参照すると、本発明に係るオッドGIP回路(130A)は、複数のオッドGIP素子(SG1、SG3、SG5、SG7、...)を含み、ゲートシフトクロック(CLKs)の内、オッドゲートシフトクロック(例えば、CLK1,3,5,7)に基づいてスタート信号(Vst、または前のイーブンGIP素子のゲート出力信号)をシフトさせてオッドゲート出力信号(Out1,3,5 、7,9,11,13,15)を生成する。特に、各オッドGIP素子は、位相が互いに異なる2つのオッドゲート出力信号(OOut1とOut3、Out5とOut7、Out9とOut11、Out13及びOut15)を生成して、2つのオッドゲート配線に供給することにより、オッドGIP素子一つ当たり2つのオッドゲート配線が駆動される。
【0030】
本発明のイーブンGIP回路(130B)は、複数のイーブンGIP素子(SG2、SG4、SG6、SG8、...)を含み、ゲートシフトクロック(CLks)の内、イーブンゲートシフトクロック(たとえば、CLK2,4,6,8)に基づいてスタート信号(Vst、または前のオッドGIP素子のゲート出力信号)をシフトさせてイーブンゲート出力信号(Out2,4,6,8,10,12、14,16)を生成する。特に、各イーブンGIP素子は、位相が互いに異なる2つのイーブンゲート出力信号(Out2とOut4、Out6とOut8、Out10とOut12、Out14及びOut16)を生成して、2つのイーブンゲート配線に供給することで、イーブンGIP素子一つ当たり2つのイーブンゲート配線が駆動する。
【0031】
これまでは本発明に係るGIP素子及びこれを含む平板表示装置の概略的な構造について説明した。以下では、様々な実施形態を介して本発明に係るGIP素子の様々な構成について説明する。
【0032】
<第1実施形態>
以下、図3及び4を参照して、本発明の第1の実施形態に係るGIP素子について説明する。図3は、オッドGIP回路またはイーブンGIP回路に含まれるGIP素子の1つの詳細構成を示す。
【0033】
図3を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るGIP型ゲートドライバ(130A、130B)のGIP素子それぞれは、第1プルアップTFT(Tpu1)、第2プルアップTFT(Tpu2)、第1プルダウンTFT(Tpd1)、第2プルダウンTFT(Tpd2)、順方向駆動用第1スイッチTFT(T1)、第2スイッチTFT(T2)、第3スイッチTFT、第4スイッチTFT、及び逆方向駆動用第5スイッチTFT(T5)を含むことができる。第1の実施形態に係るGIP素子は、順方向シフトモードと逆方向シフトモードのそれぞれにおいて、第n位相を有する第nゲートシフトクロック(CLKn)、第n+2の位相を有する第n+2ゲートシフトクロック(CLKn+2)、第n+4位相を有する第n+4ゲートシフトクロック(CLKn+4)の入力を受ける。また、第1の実施形態に係るGIP素子は順方向シフトモードで自分より先に動作が活性化される前のオッド/イーブンGIP素子の内、いずれか1つのゲート出力信号(Out(n−1))の入力を受ける。そして、本発明のGIP素子は、逆方向シフトモードで自分より先に動作が活性化される前のオッド/イーブンGIP素子のいずれか1つのゲート出力信号(Out(n+3)の入力を受ける。
【0034】
第1プルアップTFT(Tpu1)はQノードの電位に応じてターンオンされ、第nゲートシフトクロック(CLKn)を第nゲート出力信号(Out(n))として、第1出力ノード(No1)に印加する。このため、第1プルアップTFT(Tpu1)はQノードに接続されたゲート電極、第nゲートシフトクロック(CLKn)の入力端に接続されたドレイン電極、及び第1出力ノード(No1)に接続されたソース電極を備える。
【0035】
第2プルアップTFT(Tpu2)は、前記Qノードの電位に応じてターンオンされ、第n+2ゲートシフトクロック(CLKn+2)を第n+2のゲート出力信号(Out(n+2))として第2出力ノード(No2)に印加する。このため、第2プルアップTFT(Tpu2)はQノードに接続されたゲート電極、第n+2ゲートシフトクロック(CLKn+2)の入力に接続されたドレイン電極、及び第2出力ノード(No2)に接続されたソース電極を備える。
【0036】
第1プルダウンTFT(Tpd1)は、前記Qノードと反対の充電と放電されるQBノードの電位に応じてターンオンされ、第1出力ノード(No1)の電位を低電位電圧(VSS)に維持させる。このため、第1プルダウンTFT(Tpd1)はQBノードに接続されたゲート電極、第1出力ノード(No1)に接続されたドレイン電極、前記低電位電圧(VSS)の入力端に接続されたソース電極を備える。
【0037】
第2プルダウンTFT(Tpd2)は、前記QBノードの電位に応じてターンオンされ、第2出力ノード(No2)の電位を低電位電圧(VSS)に維持させる。このため、第2プルダウンTFT(Tpd2)はQBノードに接続されたゲート電極、第2出力ノード(No2)に接続されたドレイン電極、前記低電位電圧(VSS)の入力端に接続されたソース電極を備える。
【0038】
第1スイッチTFT(T1)は、前記第nゲート出力信号(Out(n))の位相が前記第n+2ゲート出力信号(Out(n+2))の位相より早い順方向シフトモードで、前のGIP素子から入力される第n−1ゲート出力信号(Out(n−1))に基づいてスイッチングされ、前記Qノードに高電位電圧を印加する。このため、第1スイッチTFT(T1)のゲート電極は、前のGIP素子の一出力端に接続され、ドレイン電極は、高電位電圧(VGH))の入力端に接続され、ソース電極は、Qノードに接続される。
【0039】
第2スイッチTFT(T2)は、前記Qノードの電位に応じてスイッチングされ、前記QBノードに前記低電位電圧(VSS)を印加する。このため、第2スイッチTFT(T2)のゲート電極は、Qノードに接続され、ドレイン電極は、QBノードに接続され、ソース電極は低電位電圧(VSS)の入力端に接続される。
【0040】
第3スイッチTFT(T3)は、QBノードに第n+4ゲートシフトクロック(CLKn+4)を印加する。第3スイッチTFTのゲート電極とドレイン電極は、第n+4ゲートシフトクロック(CLKn+4)の入力端に接続され、ソース電極は、QBノードに接続される。
【0041】
第4スイッチTFT(T4)は、前記QBノードの電位に応じてスイッチングされ、前記Qノードに前記低電位電圧(VSS)を印加する。第4スイッチTFT(T4)のゲート電極は、QBノードに接続され、ドレイン電極は、Qノードに接続され、ソース電極は低電位電圧(VSS)の入力端に接続される。
【0042】
第5スイッチTFT(T5)は、前記第n+2ゲート出力信号(Out(n+2))の位相が、前記第nゲート出力信号(Out(n))の位相より早い逆方向シフトモードで、前のGIP素子から入力される第n+3のゲート出力信号(Out(n + 3))に基づいてスイッチングされ、前記Qノードに高電位電圧を印加する。このため、第5スイッチTFT(T5)のゲート電極は、前のGIP素子の一出力端に接続され、ドレイン電極は、高電位電圧(VGH))の入力端に接続され、ソース電極は、Qノードに接続される。
【0043】
本発明のGIP素子は、Qノードの電位安定化のためにQノードと低電位電圧(VSS)の入力端との間に接続されたCQキャパシタ(CQ)と、QBノードの電位安定化のためにQBノードと低電位電圧(VSS)の入力端との間に接続されたCQBキャパシタ(CQB)をさらに備えることができる。
【0044】
図4は、図3に図示されたGIP素子の動作手順を説明するための信号波形を示す。図4においては、順方向駆動時オッドGIP素子の一動作を示す。順方向駆動時イーブンGIP素子、逆駆動時オッド及びイーブンGIP素子の動作については、その駆動原理は、図4と同様で、説明の便宜上省略する。
【0045】
図3図4を参照すると、第1期間(P1)で前のGIP素子から入力される第n−1ゲート出力信号(Out(n−1))に基づいて、第1スイッチTFT(T1)がターンオンされてQノードに高電位電圧(VGH)を印加してQノードを活性化させる。このとき、第2スイッチTFT(T2)は、Qノードの活性化電位に応じてターンオンされ、QBノードに低電位電圧(VSS)を印加してQBノードを非活性化させる。
【0046】
第2期間(P2)において第1プルアップTFT(Tpu1)のドレイン電極に第nゲートシフトクロック(CLKn)(例えば、CLK1)が入力されると、第1プルアップTFT(Tpu1)のゲート−ドレイン間の寄生キャパシタのカップリング(coupling)作用により、第1プルアップTFT(Tpu1)のゲート電位、つまり、Qノードの電位がブートストラップ(bootstrapping)される。その結果、第1プルアップTFT(Tpu1)はターンオンされ、第nゲートシフトクロック(CLKn)を第nゲート出力信号(Out(n))として、第1出力ノード(No1)に出力する。このような第nゲート出力信号(Out(n))は、第nオッドゲート配線に供給される。
【0047】
第3期間(P3)において第2プルアップTFT(Tpu2)のドレイン電極に第n+2ゲートシフトクロック(CLKn+2)(例えば、CLK3)が入力されると、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート−ドレイン間の寄生キャパシタのカップリング作用により、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電位、つまり、Qノードの電位が再度ブートストラップ(bootstrapping)される。その結果、第2プルアップTFT(Tpu2)はターンオンされ、第n+2ゲートシフトクロック(CLKn+2)を第n+2ゲート出力信号(Out(n+2))として、第2出力ノード(No2)に出力する。このような第n+2ゲート出力信号(Out(n+2))は、第n+2オッドゲート配線に供給される。
【0048】
第4期間(P4)において第n+4ゲートシフトクロック(CLKn+4)が第3スイッチTFT(T3)を経由してQBノードに印加されて、QBノードを活性化させる。このようなQBノードの活性化電位に応じて第1及び第2プルダウンTFT(Tpd1、Tpd2)はターンオンされ、それぞれ第1出力ノード(No1)及び第2出力ノード(No2)の電位を低電位電圧(VSS)に下げる。そして、QBノードの活性化電位に基づいて、第4スイッチTFT(T4)がターンオンされ、Qノードの電位を低電位電圧(VSS)に下げる。
【0049】
このようなQノードとQBノードの電位は、CQキャパシタ及びCQBキャパシタ(CQ、CQB)によって維持される。その結果、第4期間(P4)を含む所定期間(1フレーム期間)の間に、第1出力ノード(No1)及び第2出力ノード(No2)の電位は、低電位電圧(VSS)に維持され、このような低電位電圧(VSS)は、第nおよび第n+2オッドゲート配線に供給される。
【0050】
<第2実施形態>
以下、図5及び6を参照して、本発明の第2実施形態に係るGIP素子について詳細に説明する。図5は、第2実施形態に係る、オッドGIP回路またはイーブンGIP回路に含まれたGIP素子の他の詳細構成を示す。図5のGIP素子は、図3と比較してCQキャパシタの接続構成のみが異なるだけで、残りの構成は同じである。したがって、図5のGIP素子は、図4において説明した動作手順を採用することができる。図5に示されたGIP素子の構成要素の内、図3と重複する部分については詳細な説明を省略する。図6は、第1実施形態と第2実施形態でおいてのQノード電位を比較するグラフである。
【0051】
図3のGIP素子がQノードと低電位電圧(VSS)の入力端との間に接続されたCQキャパシタ(CQ)を備えたことに比べ、図5のGIP素子はQノードと第1出力ノード(No1)との間に接続された第1CQキャパシタ(CQ1)と、Qノードと第2出力ノード(No2)の間に接続された第2CQキャパシタ(CQ2)を備える。別の観点、すなわち、第2プルアップTFT(Tpu2)を中心に説明すると、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極とソース電極との間に第2CQキャパシタ(CQ2)が接続された構造を有する。
【0052】
図3のように、一端が低電位電圧(VSS)の入力端に接続されるようにCQキャパシタ(CQ)を設計する場合、低電位電圧(VSS)とのカップリング現象によりQノード電位が低くなることがある。その結果、ブートストラップが起こってもQノード電位が十分に高くならず、ゲートの出力信号の生成のために、ゲートシフトクロックを出力ノードに充電させる時間、すなわち、図4のP2、P3が長くなることがある。ゲートシフトクロックの充電時間は、GIP素子の応答特性と関連があるので、早い応答特性を確保するためには短いほど良い。
【0053】
一方、図5に示すように、一端が出力ノードに接続されるようCQキャパシタ(CQ1、CQ2)を設計する場合、Qノードはブートストラップが起こるとき低電位電圧(VSS)より高い電位を有する出力ノードにカップリングされるので、図6に示すようにQノード電位(B)は、図3のそれ(A)に比べて十分に高くなることができるようになる。その結果、図5のGIP素子では、ゲート出力信号の生成のために、ゲートシフトクロックを出力ノードに充電させる時間(BP)、すなわち、図4のP2、P3を減らすことが容易であり、それに応じてGIP素子の応答特性をさらに効果的に改善することができる。
【0054】
以下、第2実施形態に基づいて、GIP素子を基板上に直接形成した場合のベゼル領域の構造について説明する。図7は、第2実施形態に係るGIP構造を有するベゼル領域の一部を示す拡大平面図である。図8は、図7において切取り線I−I′で切った断面図である。
【0055】
図7に、図5の円形部分Aの平面構造を示す。図7を参照すると、第2プルアップTFT(Tpu2)と、第2プルダウンTFT(Tpd2)の間に第2CQキャパシタ(CQ2)が接続された構造が実現されている。第2プルアップTFT(Tpu2)は、ゲート電極(Gu)を中心に両側辺に配置されたソース電極(Su)とドレイン電極(Du)を含む。第2プルダウンTFT(Tpd2)も、ゲート電極(Gd)を中心に両側辺に配置されたソース電極(Sd)とドレイン電極(Dd)を含む。第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)は、第2プルダウンTFT(Tpd2)のドレイン電極(Dd)と接続された構造を有する。
【0056】
また、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)から延長され、長方形に拡張された第1容量電極(C1)が形成されている。一方、第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)で延長され、長方形に拡張された第2容量電極(C2)が形成されている。第1容量電極(C1)と第2容量電極(C2)は、実質的に同じ大きさを有し、誘電膜を挟んで、重畳するように配置される。その結果、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)とソース電極(Su)との間には、第1容量電極(C1)と第2容量電極(C2)を備える第2CQキャパシタ(CQ2)が接続される。
【0057】
図8をさらに参照して、第2実施形態に係るGIPの断面構造を説明する。特に、第2プルアップTFT(Tpu2)と第2CQキャパシタ(CQ2)を中心に説明する。
【0058】
基板(SUB)の表面全体上にはバッファ層(BUF)が蒸着及び/または塗布されている。バッファ層(BUF)の上には第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)が形成されている。図には示していないが、第2プルダウンTFT(Tpd2)の半導体層も共に形成されていることがある。半導体層(Au)の中心部には、ゲート絶縁膜(GI)を間に置いて第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)が形成されている。また、第2CQキャパシタ(CQ2)が配置された領域には、ゲート絶縁膜(GI)と、第1容量電極(C1)とが形成されている。
【0059】
第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)と第1容量電極(C1)が形成された基板(SUB)の表面全体上に中間絶縁膜(ILD)が蒸着及び/または塗布されている。中間絶縁膜(ILD)には、第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)の一側部と他側部を露出するコンタクトホールが形成されている。第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)からゲート電極(Gu)と重畳する部分は、チャネル領域となる。一方、コンタクトホールによって露出された一側部と他側部は、それぞれドレイン領域とソース領域となる。
【0060】
中間絶縁膜(ILD)の上には第2プルアップTFT(Tpu2)のドレイン電極(Du)、第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)と第2容量電極(C2)が形成されている。ドレイン電極(Du)はコンタクトホールを介して半導体層(Au)の一側部(つまり、ドレイン領域)と接触する。ソース電極(Su)はコンタクトホールを介して半導体層(Au)の他側部(つまり、ソース領域)と接触する。第2容量電極(C2)は、中間絶縁膜(ILD)を挟んで第1容量電極(C1)と重畳することにより、第2CQキャパシタ(CQ2)を構成する。
【0061】
前にも説明したように、CQキャパシタ(CQ1、CQ2)において、Qノードはブートストラップが起こるとき低電位電圧(VSS)より高い電位を有する出力ノードにカップリングされる。特に、第2CQキャパシタ(CQ2)は、十分な容量を確保することが必要であるため、かなり大きな面積を有する。すなわち、図7に示すように、ベゼル領域において一定の幅(WBZ)が全体のベゼル領域でかなり大きな部分を占める。
【0062】
<第3実施形態>
以下、図9及び10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。これまでに説明した第1及び第2実施形態は、GIP素子を構成する回路的な側面について説明した。以下においては、GIP素子を構成する回路を直接基板上に実現することにおいて、ベゼル領域をさらに減らすことができる構造について説明する。特に、第2実施形態において、ベゼル領域をさらに減らすことができる構造を中心に説明する。しかし、第3実施形態で提供するアイデアを第1実施形態にも同様に適用することができることは自明である。また、これまでは、ベゼル領域を極小化することをさらに容易にするようにイーブン/オッドに分け左/右側辺にGIPを配置した構造を中心に説明した。しかし、左側あるいは右側辺のいずれか1つにGIPを配置した構造においても、第3実施形態を適用することにより、ベゼル領域をさらに小さくすることができる。
【0063】
図9は、第3実施形態に係るGIP構造を有するベゼル領域の一部を示す拡大平面図である。図10は、図9で切取り線II−II′で切った断面図である。
【0064】
図9を参照すると、第2プルアップTFT(Tpu2)と、第2プルダウンTFT(Tpd2)とがベゼル領域に配置されている。第2プルアップTFT(Tpu2)は、ゲート電極(Gu)を中心に両側辺に配置されたドレイン電極(Du)とソース電極(Su)を含む。第2プルダウンTFT(Tpd2)も、ゲート電極(Gd)を中心に両側辺に配置されたドレイン電極(Dd)とソース電極(Sd)とを含む。第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)は、第2プルダウンTFT(Tpd2)のドレイン電極(Dd)と接続された構造を有する。
【0065】
第3実施形態に係るGIP構造は、第2実施形態に係るGIP構造とは異なり、平面図上で第2CQキャパシタ(CQ2)が直接観察できない。第3実施形態に係るGIP構造において第2CQキャパシタ(CQ2)は、第2プルアップTFT(Tpu2)と垂直方向に重畳された構造を有する。
【0066】
具体的に説明すると、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)とソース電極(Su)が重畳するように半導体層の下に光遮断層(LS)が配置されている。また、光遮断層(LS)は、ゲートコンタクトホール(CHG)を介して、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)と接続されている。その結果、光遮断層(LS)が第1容量電極(C1)となり、ソース電極(Su)が第2容量電極(C2)となる。すなわち、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)に接続された光遮断層(LS)とソース電極(Su)との間には、第2CQキャパシタ(CQ2)が形成される。第3実施形態に係るGIP構造は、第2CQキャパシタ(CQ2)のための容量電極が別に構成されず、光遮断層(LS)と第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)を用いる。
【0067】
さらに図10を参照して、第3実施形態に係るGIPの断面構造を詳細に説明する。特に、第2プルアップTFT(Tpu2)と第2CQキャパシタ(CQ2)を中心に説明する。
【0068】
基板(SUB)の表面上に光遮断層(LS)が形成されている。光遮断層(LS)は、第2プルアップTFT(Tpu2)及び第2プルダウンTFT(Tpd2)のチャネル領域を外部の光から保護するためのものである。また、第3実施形態においては、光遮断層(LS)は、第2CQキャパシタ(CQ2)を形成する。したがって、光遮断層(LS)は、第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)でソース領域とチャネル領域とだけに重畳するが、ドレイン領域とは重畳しないように配置することが望ましい。
【0069】
光遮断層(LS)が第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)でドレイン領域と重畳する場合には、ドレイン領域と光遮断層(LS)との間に寄生容量が発生し、正常な第2CQキャパシタ(CQ2)の機能を期待することができない。また、光遮断層(LS)は、チャネル領域を外部の光から保護しなければならないので、少なくともチャネル領域と完全に重畳するべきが望ましい。
【0070】
光遮断層(LS)が形成された基板(SUB)の表面全体の上にはバッファ層(BUF)が蒸着及び/または塗布されている。バッファ層(BUF)の上には第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)が形成されている。図示しなていないが、第2プルダウンTFT(Tpd2)の半導体層も共に形成することができる。半導体層(Au)の中心部には、ゲート絶縁膜(GI)を間に置いて第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)が形成されている。
【0071】
光遮断層(LS)は、第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)と接続する必要がある。このため、光遮断層(LS)の一部が、ゲートコンタクトホール(CHG)を介してゲート電極(Gu)と接触する。ゲートコンタクトホール(CHG)はゲート絶縁膜(GI)とバッファ層(BUF)を貫通して、光遮断層(LS)の一部を露出する。
【0072】
第2プルアップTFT(Tpu2)のゲート電極(Gu)が形成された基板(SUB)の表面全体の上には中間絶縁膜(ILD)が蒸着及び/または塗布されている。中間絶縁膜(ILD)には、第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)の一側部と他側部を露出するコンタクトホール(CHS、CHD)が形成されている。第2プルアップTFT(Tpu2)の半導体層(Au)でゲート電極(Gu)と重畳する部分は、チャネル領域(CAu)である。一方、チャネル領域(CAu)の両側部には、ドレイン領域(DAu)とソース領域(SAu)とが定義される。バッファ層(BUF)を間に置いて、重畳する光遮断層(LS)と第2プルアップTFT(Tpu2)のソース領域(SAu)の間に第2CQキャパシタ(CQ2)が形成される。
【0073】
中間絶縁膜(ILD)の上には第2プルアップTFT(Tpu2)のドレイン電極(Du)、及び第2プルアップTFT(Tpu2)のソース電極(Su)が形成されている。ドレイン電極(Du)は、ドレインコンタクトホール(CHD)を介してドレイン領域(DAu)と接触する。ソース電極(Su)は、ソースコンタクトホール(CHS)を介して、ソース領域(SAu)と接触する。
【0074】
第3実施形態に係るGIP構造は、第2実施形態に係るものと比べて、第2CQキャパシタ(CQ2)が別に形成されず、第2プルアップTFT(Tpu2)の下部に積層された構造を有する。したがって、第2実施形態に係るGIP構造において第2CQキャパシタ(CQ2)が占めていたベゼル領域の幅(WBZ)を必要としない。すなわち、第3実施形態に係るGIP構造はさらに、ベゼル領域を減らし、極小化にすることができる。
【0075】
以上のように、本発明のGIP型ゲートドライバは、GIP素子のそれぞれにおいて単一のQノードに接続された2つのプルアップTFTを介して位相が互いに異なる2つのゲートの出力信号が出力されるようにGIP素子の構成を変更することにより、ゲート配線を駆動するGIP素子の数を従来比で1/2に低減させ、GIP素子が実装される左右両側非表示領域(BZ)の面積を減らすことができる。
【0076】
また、本発明のGIP型ゲートドライバのGIP素子のそれぞれは、順方向シフトモードまたは逆方向シフトモードにおいて前のGIP素子のいずれか1つのゲート出力信号をスタート信号として活用するため、GIP素子の回路構成を簡素化することができ、GIP素子が実装される左右両側の非表示領域(BZ)の面積をさらに減らすことができる。
【0077】
さらに、本発明は、GIP素子のブースティングのためのキャパシタを薄膜トランジスタの下部に積層する構造を提案する。その結果、GIP素子が実装される非表示領域(BZ)の面積を極小化にすることができる。
【0078】
図11は、本発明のGIP型ゲートドライバ適用時の表示装置の左右のベゼルが従来に比べて減少することを示す概略図である。従来技術においては、図11(A)に示すようにGIP素子の実装に起因する表示装置の左右のベゼル(BZ)を減らすことが難しかったが、本発明では、図11(B)のようにGIP素子の実装に起因する表示装置の左右のベゼル(BZ)の幅を従来に比べてはるかに低減することができる。
【0079】
以上説明した内容から、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で様々な変更及び修正が可能であることが分かる。したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定めるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11