【課題を解決するための手段】
【0007】
前記要望は、独立請求項に基づく要旨によって満足される。本発明の効果的な実施形態は、従属請求項に記載する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールする方法であって、その変調及びコード化スキームは、第1の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるか、又は第2の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第2の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能である方法が提供される。この方法は、第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルをベースステーションにより選択し、そしてベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームを、その選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいて、ベースステーションによりコントロールする、ことを含む。
【0009】
本発明のこの態様は、上位互換性を維持しながら、変調及びコード化スキームテーブルをより高次の変調へ拡張するという考え方に基づく。第1のテーブルは、例えば、64QAM(直角振幅変調)までサポートし、そして第2のテーブルは、例えば、256QAM、又は他のより高次の変調拡張までサポートする。ここでは、256QAMを明確に述べるが、第1のテーブルに使用されるものより高次の他の変調、例えば、128QAMも使用できるし、或いは一般的に、変調次数又はコード化スキーム又はその両方により特徴付けられる高次の変調及びコード化スキーム(MCS)も使用できることに注意されたい。
【0010】
この方法の考え方は、低い変調次数に対して導入される変調及びコード化スキーム(MCS)テーブルを依然サポートしながら、より高次の変調を導入することである。
【0011】
本書において「変調次数(modulation order)」という語は、それを使用して送信できる異なる記号の数で決定される。一般的に、MCSは、異なるコードレートも考慮し、従って、記号当たりに送信できるペイロードビットの平均数を指示する。第1の最大変調次数及び第2の最大変調次数は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0012】
「変調及びコード化スキームテーブル」という語は、LTEで定義されるMCSテーブルを指し、適当な変調及びコード化スキームを決定及び選択するのに使用されるものである。第2のテーブルは、LTEで定義されるMCSに基づく拡張型MCSテーブルであるが、高次の変調に対応するエントリを含む。例えば、上位互換性は、第1のテーブルを、LTE規格で現在定義されたように厳密なものにすることで保証される。
【0013】
第1及び第2のテーブルは、幾つかの観点が異なってもよい。例えば、1つのテーブルは、低いMCSに向かって偏るようにされ、そして第2のテーブルは、高いMCS値に向かって偏るようにされてもよい。例えば、1つのテーブルは、あるスレッシュホールドMCSより低いMCS値をより多く有してもよい。又、低いMCSにおけるMCS値の密度が一方のテーブルにおいて高くてもよく、或いはMCS値の重心又は平均が一方のテーブルにおいて低くてもよい。1つの実施形態では、一方のテーブルが他方の鏡像であり、例えば、中央のMCSにおいて鏡像化される。
【0014】
本書において「ベースステーション」という語は、そのようなMCSテーブルから変調及びコード化スキームを選択することによりユーザ装置又は他のネットワーク装置と通信できる任意の種類の物理的エンティティを表わす。本書におけるベースステーションは、方法のための所要の機能を提供する任意の種類のネットワーク装置でもよいし、中央エンティティと通信するトランシーバノードでもよい。ベースステーションは、例えば、NodeB又はeNBである。
【0015】
ベースステーションは、使用するMCSテーブルの変更についてUEに明確に通知するか、或いは能力問合せ手順の一部分として通知しそしてMCSテーブルを暗示的に選択する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第2の最大変調次数は、第1の最大変調次数より高い。特に、第1の最大変調次数は、64QAMに対応し、そして第2の最大変調次数は、256QAMに対応する。
【0017】
他の変調次数、例えば、128QAMも使用できることに注意されたい。
【0018】
更に、チャンネルが突然良好になった場合に素早く反応できるように前記第1のテーブルには少数の高いMCSが含まれる。
【0019】
本発明の更に別の実施形態によれば、最大変調次数は、最も高い変調及びコード化スキーム(MCS)に対応する。更に、その最も高い変調及びコード化スキームは、両テーブルについて同じである。
【0020】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態をベースステーションにより決定し、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて最大のサポートされる変調次数をベースステーションにより決定し、そしてその最大のサポートされる変調次数と第1の最大の変調次数及び第2の最大の変調次数との比較に基づいて第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルをベースステーションにより選択する、ことを含む。
【0021】
実際のチャンネル状態が高次の変調をサポートしないか又はユーザ装置(UE)が高次の変調をサポートできない場合には、ベースステーションは、第1のテーブルに基づいて送信のための変調及びコード化を遂行する。実際のチャンネル状態が高次の変調に充分なほど良好であり且つUEが高次の変調をサポートする場合には、ベースステーションは、例えば、256QAMまでの高次の変調をサポートする第2のテーブルに基づき変調及びコード化を遂行する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に、その選択された変調及びコード化スキームテーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信することを含む。
【0023】
ベースステーションは、選択され使用されるMCSテーブルに関する情報を含む信号をUEに与える。次いで、UEは、その情報に基づいてCQIレポートのような更なるアクションを遂行する。
【0024】
本発明の更に別の実施形態によれば、ユーザ装置への情報の送信は、無線リソースコントロールシグナリングに基づく。
【0025】
共通のシグナリンクを使用することにより、UEは、選択されたMCSテーブルに関して容易に通知される。この情報は、他のリソースコントロールに鑑みUEの情報より成る任意の情報信号にも含まれる。
【0026】
本発明の更に別の実施形態によれば、ユーザ装置への情報の送信は、暗示的なシグナリングに基づく。
【0027】
これは、UEがベースステーションから情報を受け取りそしてその情報に基づいて前記選択されたMCSテーブルを決定するケースを指す。これは、例えば、能力をeNBに利用できるようにもする能力問合せ手順の一部分としてのケースである。eNBがUEの能力を決定するこの種の設定手順の間に、テーブルが切り替えられ、そしてUEは、特定のシグナリングを伴わずに暗示的に通知される。
【0028】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルの行われた変更を表わす確認情報をユーザ装置から受信することを含む。
【0029】
ベースステーションは、UEから確認信号を受信した後に1つのテーブルから選択されたMCSテーブルへの変更を実行する。従って、確認信号は、ベースステーションにより実行されるMCSテーブルの最終的な変更を表わす。
【0030】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1の変調及びコード化スキームテーブル並びに第2の変調及びコード化スキームテーブルは、各々、第1の変調及びコード化スキームテーブル並びに第2の変調及びコード化スキームテーブル内の同じ位置に配置された等しいエントリの共通サブセットを含む。特に、この方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信した後であって且つユーザ装置から確認情報を受信する前に、前記選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づくベースステーションとユーザ装置との間の送信のための変調及びコード化スキームを、エントリの共通サブセットに基づいてコントロールすることを含む。
【0031】
両MCSテーブルに共通のエントリを使用することで、ベースステーションは、UEからの確認信号がない限り、共通のエントリを使用する。これは、両部分(ベースステーション及びUE)が(おそらく異なるテーブルを使用するが)同じ変調及びコード化スキームを使用するので誤解や誤った変調及びコード化がないという効果を発揮する。
【0032】
本発明の更に別の実施形態によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の最初の送信をコントロールすることは、第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づく。
【0033】
ベースステーション及びUEは、各通信の始めに最大変調次数の低いMCSテーブルを使用する。これは、各通信が同じテーブルで開始し、そしてその後、ベースステーションがMCSテーブルを変更すべきかどうか判断するという効果を発揮する。次いで、高次の変調をサポートするMCSテーブルをUEがサポートできる場合には、実際のチャンネル状態に基づいて変更が行われる。
【0034】
本発明の更に別の実施形態によれば、変調及びコード化スキームインデックスを搬送するビットは、第1の変調及びコード化スキームテーブルと、第2の変調及びコード化スキームテーブルとについて同じである。
【0035】
従って、MCSテーブルの既存の形態を変更することもそのテーブルからの選択を搬送するのに使用されるコード化及び送信メカニズムを変更することも必要なく、上位互換性があることが保証される。より特定の実施形態では、テーブルは、同じサイズをもつ。特に、第1のMCSテーブル及び第2のMCSテーブルの一部分が等しく、上述した共通のエントリを与える。非常に低い変調次数に関連した第1のMCSテーブルのエントリは、第2のMCSテーブルに対して交換(再定義)され、より高次の変調を含む。
【0036】
本発明の更に別の実施形態によれば、実際のチャンネル状態は、第1の最大変調次数をサポートする第1のチャンネル品質指示子テーブルに基づくか又は第2の最大変調次数をサポートする第2のチャンネル品質指示子テーブルに基づいて選択可能なチャンネル品質指示子に基づいて決定され、この方法は、ユーザ装置からのチャンネル品質指示子をベースステーションにより受信し、そしてその受信したチャンネル品質指示子に基づいてベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態をベースステーションにより決定することを含む。
【0037】
MCSテーブルと同様に、CQIテーブルも、MCSテーブルの選択に基づいて選択される。第1のMCSテーブルから第2のMCSテーブルへの切り換え又は変更がある場合には、第1のCQIテーブルから第2のCQIテーブルへの変更もある。従って、UEは、選択されたMCSテーブルに対応するテーブルに基づいてCQIを決定する。
【0038】
本発明の更に別の実施形態によれば、この方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいて第1のチャンネル品質指示子テーブル又は第2のチャンネル品質指示子テーブルをベースステーションにより選択し、そしてその選択されたチャンネル品質指示子テーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信することを含む。
【0039】
選択されたCQIテーブルの情報は、ベースステーションからUEに与えられる。又、その情報は、選択されたMCSテーブルをユーザ装置に通知することにより暗示的に与えられてもよい。
【0040】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1のチャンネル品質指示子テーブル及び第2のチャンネル品質指示子テーブルは、各々、第1のチャンネル品質指示子テーブル及び第2のチャンネル品質指示子テーブル内の同じ位置に配置された等しいエントリの共通サブセットを含む。
【0041】
MCSテーブルと同様に、CQIテーブルも、共通のサブセットを含む。従って、切り換えの間に、UEとベースステーションとの間に誤解がないことが保証される。
【0042】
本発明の第2の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールするためのベースステーションであって、その変調及びコード化スキームは、第1の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるか、又は第2の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第2の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるベースステーションが提供される。このベースステーションは、第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択するための選択ユニットと、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームを、その選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいてコントロールするためのコントロールユニットと、を備えている。
【0043】
ベースステーションは、セルラーネットワークシステムへのワイヤレスアクセスを与えることのできる任意の形式のアクセスポイント又は取り付けポイントである。従って、ワイヤレスアクセスは、ワイヤレスで通信できるユーザ装置又は他のネットワーク装置に対して行われる。ベースステーションは、NodeB、eNB、ホームNodeB又はHeNB、或いは他の種類のアクセスポイント又はマルチホップノード又はリレーである。ベースステーションは、特に、B4G、LTE又は3GPPセル及び通信に使用される。
【0044】
ベースステーションは、受信ユニット、例えば、当業者に知られた受信器を含む。又、ベースステーションは、送信ユニット又は伝送ユニット、例えば、送信器も含む。受信器及び送信器は、単一のユニット、例えば、トランシーバとして実施されてもよい。トランシーバ、又は受信ユニット・送信ユニットは、アンテナを経てユーザ装置と通信するようにされる。
【0045】
ベースステーションは、更に、選択ユニット及びコントロールユニットを備えている。選択ユニット及びコントロールユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又は例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準的なコントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0046】
1つの実施形態において、ベースステーションは、更に、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態を決定すると共に、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて最大のサポートされる変調次数を決定するための決定ユニットも備えている。選択ユニットは、最大のサポートされる変調次数と第1の最大変調次数及び第2の最大変調次数との比較に基づいて第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択する。
【0047】
決定ユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又はCPU又はマイクロコントローラのような標準的なコントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0048】
ユーザ装置(UE)は、ここに述べるベースステーションに接続することのできる任意の形式の通信端装置である。UEは、特に、セルラー移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートブックコンピュータ、プリンタ、及び/又は任意の他の移動通信装置である。
【0049】
ユーザ装置は、ベースステーションからの信号を受信するための受信ユニット又は受信器を備えている。ユーザ装置は、信号を送信するための送信ユニットを備えている。送信ユニットは、当業者に知られた送信器である。受信器及び送信ユニットは、単一のユニット、例えば、トランシーバとして実施されてもよい。トランシーバ、又は受信器及び送信ユニットは、アンテナを経てベースステーションと通信するようにされる。
【0050】
ユーザ装置は、更に、選択されたMCSテーブルを表わすベースステーションから受信した情報に基づいて送信をコントロール及び構成するためのコントロールユニットを備えている。このコントロールユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又は例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準的コントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0051】
本発明の第3の態様によれば、セルラーネットワークシステムが提供される。セルラーネットワークシステムは、上述したベースステーションを備えている。
【0052】
ここでは、一般的に、第1の態様による方法及び方法の実施形態は、第2又は第3の態様或いはその実施形態に関して述べた1つ以上の機能を遂行することを含む。その逆のことも言え、第2及び第3の態様によるベースステーション又はセルラーネットワークシステム及びその実施形態は、第1の態様又はその実施形態に関して述べた1つ以上の機能を遂行するためのユニット又は装置を含む。
【0053】
ここに開示する要旨の第4の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールするためのコンピュータプログラムが提供され、そのコンピュータプログラムは、データプロセッサアッセンブリにより実行されたときに、第1の態様又はその実施形態で述べた方法をコントロールするためのものである。
【0054】
ここで使用するコンピュータプログラムという語は、上述した方法の実行を整合するためにコンピュータシステムをコントロールするインストラクションを収容するプログラムエレメント及び/又はコンピュータ読み取り可能な媒体という語と同等である。
【0055】
コンピュータプログラムは、例えば、JAVA(登録商標)、C++のような適当なプログラミング言語の使用によりコンピュータ読み取り可能なインストラクションコードとして実施され、そしてコンピュータ読み取り可能な媒体(取り外し可能なディスク、揮発性又は不揮発性メモリ、埋め込み型メモリ/プロセッサ、等)に記憶される。インストラクションコードは、意図される機能を実行するようにコンピュータ又は他のプログラム可能な装置をプログラムするように働く。コンピュータプログラムは、それがダウンロードされるワールドワイドウェブのようなネットワークから入手できる。
【0056】
ここに開示する要旨は、コンピュータプログラム各々ソフトウェアにより実現することができる。しかしながら、ここに開示する要旨は、1つ以上の特定の電子回路各々ハードウェアにより実現されてもよい。更に、ここに開示する要旨は、混成形態、即ちソフトウェアモジュール及びハードウェアモジュールの組み合わせで実現されてもよい。
【0057】
以上、ここに開示する要旨の規範的な実施形態を述べたが、以下、セルラーネットワークシステム、ベースステーション、及びベースステーションとユーザ装置との間の送信のための変調及びコード化スキームをコントロールする方法について詳細に説明する。当然、ここに開示する要旨の異なる態様に関する特徴の組み合わせも考えられることを指摘しておく。特に、ある実施形態は、装置形式の実施形態を参照して説明し、一方、他の実施形態は、方法形式の実施形態を参照して説明する。しかしながら、当業者であれば、以上及び以下の説明から、特に指示のない限り、1つの態様に属する特徴の組み合わせに加えて、異なる態様又は実施形態に関する特徴間の組み合わせ、例えば、装置形式の実施形態の特徴と方法形式の実施形態の特徴との間の組み合わせが、本出願と共に開示されると考えられる。
【0058】
上述した態様及び実施形態並びに本発明の更に別の態様及び実施形態は、以下に述べる実施例から明らかであり、図面を参照して説明するが、本発明は、それに限定されない。異なる図面において、同じ又は同様の要素は、同じ参照文字で示されていることに注意されたい。