【文献】
BRINGMANN G,ATROPO-ENANTIOSELECTIVE SYNTHESIS OF A C"3-SYMMETRIC TRIPODAL LIGAND WITH THREE AXIALLY 以下備考,TETRAHEDRON ASYMMETRY,英国,PERGAMON PRESS LTD,2003年 8月,VOL:14, NR:15,PAGE(S):2225 - 2228,CHIRAL BIARYL SUBUNITS,URL,http://dx.doi.org/10.1016/S0957-4166(03)00406-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン系ポリマーを形成するための方法であって、請求項1に記載の少なくとも1つの分子遷移金属錯体の存在下で、エチレンと、任意に少なくとも1つのコモノマーと、を含む混合物を重合することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
式1(上で考察された)のZ
1及びZ
2で記載される2つの架橋構造の間に、式1(上で考察された)の「Y」連鎖により記載される、単一の原子架橋構造を含有する五配位金属(例えば、Hf、Zr、またはTi)錯体を含有する新しい分子遷移金属錯体が発見された。X線回折分析は、Z
1またはZ
2原子のうちの1つがおそらくかかる短い架橋により及ぼされる歪みに因り、金属中心に対して配位しない五配位構造を明らかにした。これらの錯体は、高い触媒活性及び高い反応器生産量を有する半結晶性(例えば、Tm≧50℃)の低分子量エチレン系ポリマー(例えば、5,000g/モル未満のMw)を形成するために使用され得る。
【0007】
上で考察されるように、本発明は、式1から選択される分子遷移金属錯体を提供する。
【0009】
式1の分子遷移金属錯体は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0010】
一実施形態において、R
1a、R
2a、R
3a、R
4a、R
1b、R
2b、R
3b、R
4b、R
5c、R
6c、R
7c、R
8c、R
5d、R
6d、R
7d、及びR
8dのうちの2つ以上は、1つ以上の環構造を形成しない。
【0011】
一実施形態において、式1に関して、R
5c及びR
5dは各々独立して、以下の群、なわち、g1)〜g14)から選択される。
【0013】
構造g1)〜g14)において、各置換基の外部接点は、現IUPAC標準:Pure Appl.Chem.,2008,80,277(化学構造図のためのグラフ表示標準)により推奨されるように、波線により示される。
【0014】
一実施形態において、式1に関して、R
5c及びR
5dは各々独立して、以下の群、すなわち、g1)〜g4)、g6)、g8)、g12)、またはg13)から選択される。
【0015】
一実施形態において、式1に関して、R
5c及びR
5dは各々独立して、以下の群、すなわち、g1)、g2)、g6)、g5)、またはg13)から選択される。
【0016】
一実施形態において、式1に関して、R
5c及びR
5dは独立して、以下の1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、アントラセニル、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセニル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロアントラセニル、フェナンスレニル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフェナンスレニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、3,5−ジ(ターシャリー−ブチル)フェニル、3,5−ジフェニルフェニル、1−ナフチル、2−メチル−1−ナフチル、2−ナフチル、1,2,3,4−テトラ−ヒドロナフト−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロナフト−6−イル、アントラセン−9−イル、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン−9−イル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロアントラセン−9−イル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフェナントレン−9−イル、インドリル、インドリニル、キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、カルバゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾリル、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロカルバゾリル、3,6−ジ(ターシャリー−ブチル)−カルバゾール−9−イル、3,6−ジ(ターシャリー−オクチル)−カルバゾール−9−イル、3,6−ジフェニルカルバゾール−9−イル、3,6−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−カルバゾール−9−イル、2,7−ジ(ターシャリー−ブチル)−カルバゾール−9−イル、2,7−ジ(ターシャリー−オクチル)−カルバゾール−9−イル、2,7−ジフェニルカルバゾール−9−イル、または2,7−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−カルバゾール−9−イルから選択される。
【0017】
一実施形態において、式1に関して、R
5c=R
5dである。
【0018】
一実施形態において、式1に関して、各Zは、−O−(酸素原子)である。
【0019】
一実施形態において、式1に関して、Mは、ZrまたはHfから選択される。さらなる実施形態において、Mは、Zrである。
【0020】
一実施形態において、式1に関して、nは、2であり、各Xは独立して、アルキルである。
【0021】
一実施形態において、式1に関して、nは、2であり、各Xは独立して、(C1−C7)アルキル、さらに(C1−C3)アルキルであり、さらに各Xは、メチルである。
【0022】
一実施形態において、式1に関して、Yは、以下の−CHR−、−CRR′−、−CR
2−、−CH
2−、−SiR
2−、−SiRR′−、−GeR
2−、−NR−、−CHOR−、−N−NR
2、または−PR−から選択され、
式中、各Rは独立して、アルキル、及びさらにC1−C5アルキルまたはアリール、及びさらにC5−C12アリールであり、
各R′は独立して、アルキル、及びさらにC1−C5アルキルまたはアリール、及びさらにC5−C12アリールである。
【0023】
一実施形態において、式1に関して、Yは、以下の−CHR−、−CRR′−、−CR
2−、−CH
2−から選択され、式中、各Rは独立して、アルキル、さらにC1−C5アルキルであり、各R′は独立して、アルキル、及びさらにC1−C5アルキルである。さらなる実施形態において、Yは、以下の−CHR−または−CR
2−から選択され、式中、各Rは独立して、アルキル、及びさらにC1−C5アルキル、さらにC1−C3アルキル、及びさらにC1アルキルである。さらなる実施形態において、Yは、−CH
2−である。
【0024】
一実施形態において、式1に関して、R
3aまたはR
3bは各々独立して、以下のハロゲン(例えば、−Fまたは−Cl)、アミン(例えば、−N(アルキル)
2)、アルコキシル(例えば、−O(アルキル))、またはアルキル(例えば、C3−C5アルキル)から選択される。
【0025】
一実施形態において、式1に関して、R
7c及びR
7dは各々独立して、アルキル、さらに(C1−C20)アルキル、及びさらに(C1−C10)アルキルである。
【0026】
一実施形態において、式1に関して、R
1a、R
2a、R
4a、R
1b、R
2b、R
4b、R
6c、R
8c、R
6d、及びR
8dは各々、水素である。
【0027】
一実施形態において、式1に関して、式1は、以下の構造、すなわち、a)〜ee)から選択される。
【0033】
各構造a)〜ee)に関して、Z
1及びZ
2位置において酸素原子のうちの1つのみが、金属(ZrまたはHf)に対して付与共有結合(配位)性である。
【0034】
一実施形態において、式1は、以下の構造、すなわち、a)〜e)から選択され、各々は上で示される。
【0035】
一実施形態において、式1は、以下の構造、すなわち、a)またはb)から選択され、各々は上で示される。
【0036】
本発明は、エチレン系ポリマーを形成するための方法も提供し、該方法は、本明細書に記載される少なくとも1つの発明の分子遷移金属錯体の存在下で、エチレンと、任意に少なくとも1つのコモノマーと、を含む混合物を重合することを含む。
【0037】
一実施形態において、本発明の方法は、140℃以上、さらに150℃以上、さらに160℃以上、さらに170℃以上の重合温度で実行される。
【0038】
一実施形態において、本発明の方法は、250℃以下、さらに240℃以下、さらに230℃以下、さらに220℃以下の重合温度で実行される。
【0039】
一実施形態において、本発明の方法は、溶液重合、及びさらに連続溶液重合において実行される。
【0040】
一実施形態において、本発明の方法は、2.0〜3.0kg/時間のエチレン、及び100mL/分以下、さらに90mL/分以下、さらに80mL/分以下の水素を使用して実行される。
【0041】
一実施形態において、本発明の方法は、2.0〜3.0kg/時間のエチレン、及び70mL/分以下、さらに60mL/分以下、さらに50mL/分以下の水素を使用して実行される。
【0042】
一実施形態において、重合は、1つ以上の重合反応器を平行して、連続して、またはそれらを組み合わせて接続した中で、少なくとも1つの発明の遷移金属錯体、及び任意に1つ以上の他の触媒系の存在下で起きる。
【0043】
本発明は、本明細書に記載される発明の方法から形成されるエチレン系ポリマーも提供する。
【0044】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好ましいα−オレフィンには、C3−C20α−オレフィン、及びさらにC3−C10α−オレフィンが含まれるが、これらに限定されない。より好ましいα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンが含まれ、さらにプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン、ならびにさらに1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン、ならびにさらに1−ブテン及び1−オクテンが含まれる。
【0045】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、200〜5,000g/モル、さらに300〜2,000、さらに400〜1,000g/モルの重量平均分子量(M
w)を有する。
【0046】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、1.1〜3.0、さらに1.3〜2.5、さらに1.5〜2.0の分子量分布(MWD)を有する。
【0047】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、50℃〜100℃、さらに60℃〜90℃、さらに70℃〜80℃の溶融温度(Tm)を有する。
【0048】
本発明は、発明のエチレン系ポリマーを含む組成物も提供する。さらなる実施形態において、本組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0049】
本発明は、発明の組成物から形成された少なくとも1つの構成成分を含む物品も提供する。
【0050】
発明のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0051】
発明の組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0052】
発明の物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0053】
発明の方法は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0054】
式1の分子遷移金属錯体は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0055】
本発明は、従来の化学基用語を使用して本明細書に記載される、式1の1つ以上の遷移金属錯体を用いる。ある特定の炭素原子含有化学基(例えば、(C
1−C
40)アルキル)を説明するために使用されるとき、挿入句(C
1−C
40)は、「(C
v−C
w)」の形態により表示され得、これは、化学基の非置換バージョンがvの数字の炭素原子からwの数字の炭素原子を含み、各v及びwが独立して、化学基に関して記載される整数であることを意味する。
【0056】
用語「置換された」は、本明細書で使用される場合、化学化合物に関して、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、S、N、Pなど)を含む置換基を指す。置換基には、以下のハロゲン原子、ポリフルオロ置換基、ペルフルオロ置換基、F
3C−、FCH
2O−、F
2HCO−、F
3CO−、(R
C)
3Si−、(R
C)
3Ge−、(R
C)O−、(R
C)S−、(R
C)S(O)−、(R
C)S(O)
2−、(R
C)
2P−、(R
C)
2N−、(R
C)
2C=N−、NC−、(R
C)C(O)O−、(R
C)OC(O)−、(R
C)C(O)N(R
C)−、及び(R
C)
2NC(O)−のようなR
S置換基が含まれるが、これらに限定されず、式中、各R
Cは独立して、置換もしくは非置換の(C
1−C
30)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換の(C
1−C
30)ヘテロヒドロカルビルである。
【0057】
用語「非置換の」は、本明細書で使用される場合、化学化合物に関して、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、S、N、Pなど)を含む置換基の欠如を指す。
【0058】
用語「ヒドロカルビル」は、本明細書で使用される場合、水素及び炭素原子のみを含有する一価の(モノラジカル(monoradical)またはラジカル)化学基を指す。
【0059】
用語「置換されたヒドロカルビル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの水素原子が少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基で置換されるヒドロカルビルを指す。
【0060】
用語「ヘテロヒドロカルビル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素原子、またはCH基、またはCH
2基が、ヘテロ原子、または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されるヒドカルビルを指す。ヘテロ原子には、O、N、P、及びSが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
用語「置換されたヘテロヒドロカルビル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの水素原子が少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基で置換されるヘテロヒドロカルビルを指す。
【0062】
用語「ヒドロカルビレン」は、本明細書で使用される場合、水素及び炭素原子のみを含有する二価(ジラジカル)化学基を指す。
【0063】
用語「置換されたヒドロカルビレン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの水素原子が少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基で置換されるヒドロカルビレンを指す。
【0064】
用語「ヘテロヒドロカルビレン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素原子、またはCH基、またはCH
2基が、ヘテロ原子、または少なくとも1つのヘテロ原子を含有する化学基で置換されるヒドロカルビレンを指す。ヘテロ原子には、O、N、P、及びSが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
用語「置換されたヘテロヒドロカルビレン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの水素原子が少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基で置換されるヘテロヒドロカルビレンを指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「(C
1−C
40)ヒドロカルビル」は、1〜40個の炭素原子の炭化水素ラジカルを指す。各炭化水素ラジカルは独立して、芳香族(6個以上の炭素原子)もしくは非芳香族、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖、環式(二環式を含む、単及び多環式、縮合及び非縮合多環式の3個以上の炭素原子を含む)もしくは非環式、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり得、各炭化水素ラジカルは独立して、それぞれ別の炭化水素ラジカルと同じか、または異なる。
【0067】
好ましくは、(C
1−C
40)ヒドロカルビルは独立して、(C
1−C
40)アルキルまたは(C
3−C
40)シクロアルキルである。より好ましくは、前述の(C
1−C
40)ヒドロカルビル基の各々は独立して、最大20個の炭素原子(すなわち、(C
1−C
20)ヒドロカルビル)、及びさらにより好ましくは、最大12個の炭素原子を有する。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「(C
1−C
40)ヒドロカルビレン」は、1〜40個の炭素原子の炭化水素ジラジカルを指す。各炭化水素ジラジカルは独立して、芳香族(6個以上の炭素原子)もしくは非芳香族、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖、環式(二環式を含む、単及び多環式、縮合及び非縮合多環式の3個以上の炭素原子を含む)もしくは非環式、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり得、各炭化水素ジラジカルは独立して、それぞれ別の炭化水素ジラジカルと同じか、または異なる。
【0069】
好ましくは、(C
1−C
40)ヒドロカルビレンは独立して、(C
3−C
20)シクロアルキル−(C
1−C
20)アルキレン、(C
6−C
40)アリール、または(C
6−C
20)アリール−(C
1−C
20)アルキレンである。より好ましくは、前述の(C
1−C
40)ヒドロカルビレン基の各々は独立して、最大20個の炭素原子(すなわち、(C
1−C
20)ヒドロカルビル)、及びさらにより好ましくは、最大12個の炭素原子を有する。
【0070】
用語「(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビル」は、1〜40個の炭素原子のヘテロ炭化水素ラジカルを指す。各ヘテロヒドロカルビルは独立して、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、S(O)、S(O)
2、Si(R
C)
2、Ge(R
C)
2、P(R
P)、及びN(R
N)を有し、式中、各R
Cは独立して、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであり、各R
Pは、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであり、各R
Nは、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが−N=または三炭素置換Nを含むとき、存在しない)。ヘテロ炭化水素ラジカルは、それらの炭素原子またはヘテロ原子上にあるが、式1のヘテロ原子または別のヘテロヒドロカルビルのヘテロ原子に結合するとき、好ましくは炭素原子上にある。各(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビルは独立して、飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分岐鎖、環式(単及び多環式、縮合及び非縮合多環式を含む)もしくは非環式、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり得、各々は、それぞれ互いと同じか、または異なる。
【0071】
用語「(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビレンは、1〜40個の炭素原子のヘテロ炭化水素ジラジカルを指す。各ヘテロヒドロカルビレンは独立して、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、S(O)、S(O)
2、Si(R
C)
2、Ge(R
C)
2、P(R
P)、及びN(R
N)を有し、式中、各R
Cは独立して、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであり、各R
Pは、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであり、各R
Nは、非置換の(C
1−C
18)ヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが−N=または三炭素置換Nを含むとき、存在しない)。ヘテロ炭化水素ラジカル及びヘテロ炭化水素ジラジカルの各々は独立して、それらの炭素原子またはヘテロ原子上にあるが、式1のヘテロ原子または別のヘテロヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビレンのヘテロ原子に結合するとき、好ましくは炭素原子上にある。
【0072】
好ましくは、(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビルは独立して、(C
1−C
40)ヘテロアルキル、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−O−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−S−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−S(O)−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−S(O)
2−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−Si(R
C)
2−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−Ge(R
C)
2−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−N(R
N)−、(C
1−C
40)ヒドロカルビル−P(R
P)−、(C
2−C
40)ヘテロシクロアルキルである。
【0073】
好ましくは、(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビレンは独立して、(C
2−C
19)ヘテロ−シクロアルキル−(C
1−C
20)アルキレン、(C
3−C
20)シクロアルキル−(C
1−C
19)ヘテロアルキレン、(C
2−C
19)ヘテロシクロアルキル−(C
1−C
20)ヘテロアルキレン、(C
1−C
40)ヘテロアリーレン、(C
1−C
19)ヘテロアリール−(C
1−C
20)アルキレン、(C
6−C
20)アリール−(C
1−C
19)ヘテロアルキレン、または(C
1−C
19)ヘテロアリール−(C
1−C
20)ヘテロアルキレンである。
【0074】
用語「ハロゲン原子」は、フッ素原子ラジカル(F)、塩素原子ラジカル(Cl)、臭素原子ラジカル(Br)、またはヨウ素原子ラジカル(I)を指す。好ましくは、各ハロゲン原子は独立して、Br、F、またはClラジカル、及びより好ましくはFまたはClラジカル、及びより好ましくはFラジカルである。
【0075】
好ましくは、式1の遷移金属錯体において、S(O)またはS(O)
2ジラジカル官能基のO−S結合以外のO−O、S−S、またはO−S結合は存在しない。より好ましくは、式1の遷移金属錯体において、S(O)またはS(O)
2ジラジカル官能基のO−S結合以外のO−O、N−N、P−P、N−P、S−S、またはO−S結合は存在しない。
【0076】
用語「飽和」は、二重結合または三重結合、例えば、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基中の)炭素−窒素、炭素−亜リン酸、及び炭素−シリコン多重結合の欠如を意味する。
【0077】
用語「不飽和」は、1つ以上の二重結合及び/または三重結合、例えば、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基中の)炭素−窒素、炭素−亜リン酸、及び/または炭素−シリコン多重結合を含有することを意味する。
【0078】
式1の金属Mは好ましくは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、及びチタン(Ti)、ならびに好ましくはZrまたはHf、ならびにより好ましくはZrから選択される。いくつかの実施形態において、Mは、+2、+3、または+4の形式的酸化状態にある。いくつかの実施形態において、nは、0、1、2、または3である。各Xは独立して、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である単座配位子であるか、または2つのXが一緒になって、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である二座配位子を形成する。X及びnは、式1の金属配位子錯体が全体的に中性になるように選択される。いくつかの実施形態において、各Xは独立して、単座配位子である。一実施形態において、2つ以上のX単座配位子が存在するとき、各Xは、同じである。いくつかの実施形態において、単座配位子は、モノアニオン性配位子である。モノアニオン性配位子は、−1の正味の形式的酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は独立して、水素化物、(C
1−C
40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、HC(O)O
−、(C
1−C
40)ヒドロカルビルC(O)O
−、HC(O)N(H)
−、(C
1−C
40)ヒドロカルビルC(O)N(H)
−、(C
1−C
40)ヒドロカルビルC(O)N((C
1−C
20)ヒドロカルビル)
−、R
KR
LB
−、R
KR
LN
−、R
KO
−、R
KS
−、R
KR
LP
−、またはR
MR
KR
LSi
−であり得、式中、各R
K、R
L、及びR
Mは独立して、水素、(C
1−C
40)ヒドロカルビル、もしくは(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビルであるか、またはR
K及びR
Lが一緒になって、(C
2−C
40)ヒドロカルビレンもしくは(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、R
Mは、上で定義される通りである。
【0079】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの単座配位子Xは独立して、中性配位子である。一実施形態において、中性配位子は、R
XNR
KR
L、R
KOR
L、R
KSR
L、またはR
XPR
KR
Lである中性ルイス塩基基であり、式中、各R
Xは独立して、水素、(C
1−C
40)ヒドロ−カルビル、[(C
1−C
10)ヒドロカルビル]
3Si、[(C
1−C
10)ヒドロカルビル]
3Si(C
1−C
10)ヒドロカルビル、または(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビルであり、各R
K及びR
Lは独立して、上で定義される通りである。
【0080】
いくつかの実施形態において、各Xは、独立してハロゲン原子、非置換の(C
1−C
20)ヒドロカルビル、非置換の(C
1−C
20)ヒドロカルビルC(O)O−、またはR
KR
LN−である単座配位子であり、式中、R
K及びR
Lの各々は独立して、非置換の(C
1−C
20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態において、各単座配位子Xは、塩素原子、(C
1−C
10)ヒドロカルビル(例えば、(C
1−C
6)アルキルまたはベンジル)、非置換の(C
1−C
10)ヒドロカルビルC(O)O−、またはR
KR
LN−であり、式中、R
K及びR
Lの各々は独立して、非置換の(C
1−C
10)ヒドロカルビルである。
【0081】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのXが存在し、2つのXが一緒になって、二座配位子を形成する。いくつかの実施形態において、二座配位子は、中性二座配位子である。一実施形態において、中性二座配位子は、式(R
D)
2C=C(R
D)−C(R
D)=C(R
D)
2のジエンであり、式中、各R
Dは独立して、H、非置換の(C
1−C
6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態において、二座配位子は、モノアニオン性−モノ(ルイス塩基)配位子である。モノアニオン性−モノ(ルイス塩基)配位子は、式(D):R
E−C(O
−)=CH−C(=O)−R
E(D)の1,3−ジオナートであり得、式中、各R
Eは独立して、H、非置換の(C
1−C
6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態において、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、−2の正味の形式的酸化状態を有する。一実施形態において、各ジアニオン性配位子は独立して、炭酸塩、シュウ酸塩(すなわち、
−O
2CC(O)O
−)、(C
2−C
40)ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C
1−C
40)ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、リン酸塩、または硫酸塩である。
【0082】
前述されるように、Xの数及び電荷(中性、モノアニオン性、ジアニオン性)は、式1の遷移金属錯体が全体的に中性になるようにMの形式的酸化状態に応じて選択される。
【0083】
いくつかの実施形態において、各Xは、同じであり、各Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2,−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、またはクロロである。いくつかの実施形態において、nは、2であり、各Xは、同じである。
【0084】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのXは、異なる。いくつかの実施形態において、nは、2であり、各Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2,−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、またはクロロのうちの異なる1つである。
【0085】
整数nは、X基の数を示す。一実施形態において、nは、2または3であり、少なくとも2つのXは独立して、モノアニオン性単座配位子であり、第3のXは、存在する場合、中性単座配位子である。いくつかの実施形態において、nは、2であり、2つのXが一緒になって、二座配位子を形成する。いくつかの実施形態において、二座配位子は、2,2−ジメチル−2−シラプロパン(silapropane)−1,3−ジイルまたは1,3−ブタジエンである。
【0086】
一実施形態において、各Zは独立して、−O−、−S−、−N[(C
1−C
40)ヒドロカルビル]−、または−P[(C
1−C
40)ヒドロカルビル]−である。いくつかの実施形態において、各Zは、異なる。いくつかの実施形態において、1つのZは、−O−であり、1つのZは、−N[(C
1−C
40)ヒドロカルビル]−(例えば、−N(CH
3)−)である。いくつかの実施形態において、1つのZは、−O−であり、1つのZは、−S−である。いくつかの実施形態において、1つのZは、−S−であり、1つのZは、−N[(C
1−C
40)ヒドロ−カルビル]−(例えば、−N(CH
3)−)である。いくつかの実施形態において、各Zは、同じである。いくつかの実施形態において、各Zは、−O−である。いくつかの実施形態において、各Zは、−S−である。いくつかの実施形態において、各Zは、−N[(C
1−C
40)−ヒドロカルビル]−(例えば、−N(CH
3)−)である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのZ、及びいくつかの実施形態において、各Zは、−P[(C
1−C
40)ヒドロカルビル]−(例えば、−P(CH
3)−)である。
【0087】
重合
本発明のホモポリマー、インターポリマー、またはコポリマーを調製するために、エチレン及び/または選択されたアルファ−オレフィンモノマー(複数可)が、バッチ式、半連続、または連続生成に好適な反応器中に供給され、ここで、かかるモノマー(複数可)は、触媒と接触することになる。コポリマーを調製する場合、エチレン/アルファ−オレフィンの反応性比は、任意の所定の触媒に対して異なり、標的のコポリマー組成物を獲得するのに必要とされるであろうアルファ−オレフィンの量を決定するための方法を提供することが留意される。反応性比は、周知の理論手法を使用して決定され得るか、または実際の重合データから実証的に導き出され得る。好適な理論手法は、例えば、B.G.Kyle,Chemical and Process Thermodynamics,3
rded.,Prentice−Hall(Englewood Cliffs,NJ 1999)、及びG.Soave,“Redlich−Kwong−Soave(RKS) Equation of State,”Chemical Engineering Science,1972,vol.27,pp1197−1203に開示される。市販のソフトウェアプログラムが、実験的に導き出されたデータから反応性比を導き出すのを支援するために使用され得る。かかるソフトウェアの一例は、Aspen Technology,Inc.,Ten Canal Park,Cambridge,Massachusetts 02141−2201,USAのAspen Plusである。一実施形態において、コポリマー中のアルファ−オレフィンの標的とされる量は、重合されたモノマーの総モルに基づいて、1〜30モルパーセント(mol%)、より好ましくは1〜25mol%、及びさらにより好ましくは1〜20mol%の範囲である。
【0088】
式1の遷移金属錯体は、それを活性化共触媒に接触させるか、またはそれを活性化共触媒と組み合わせるか、あるいは金属系オレフィン重合反応とともに使用するための当技術分野で既知であるものなどの活性化手法を使用することにより、触媒活性を付与される。多くの活性化共触媒及び活性化手法が、異なる金属配位子錯体に関して、以下の特許参照文献、すなわち、米国第5,064,802号、同第5,153,157号、同第5,296,433号、同第5,321,106号、同第5,350,723号、同第5,425,872号、同第5,625,087号、同第5,721,185号、同第5,783,512号、同第5,883,204号、同第5,919,983号、同第6,696,379号、及び同第7,163,907号で以前に教示された。好適なヒドロカルビルオキシドの例は、米国第5,296,433号に開示される。重合触媒の添加に好適なブレンステッド酸塩の例は、米国第5,064,802号、同第5,919,983号、同第5,783,512号に開示される。カチオン性酸化剤、及び重合触媒の添加のための活性化共触媒としての非配位性で適合性アニオンの好適な塩の例は、米国第5,321,106号に開示される。重合触媒の添加のための活性化共触媒としての好適なカルベニウム塩の例は、米国第5,350,723号に開示される。重合触媒の添加のための活性化共触媒としての好適なシリリウム塩の例は、米国第5,625,087号に開示される。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとのアルコール、メルカプタン、シラノール、及びオキシムの好適な錯体の例は、米国第5,296,433号に開示される。これらの触媒のいくつかは、米国第6,515,155号の一部、欄50、39行目から始まり、欄56、55行目までにおいても記載され、この一部分のみが参照により、本明細書に組み込まれる。
【0089】
いくつかの実施形態において、式1の遷移金属錯体は活性化されて、カチオン形成共触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の共触媒と組み合わせることにより活性触媒組成物を形成し得る。好適な共触媒には、ポリマー系またはオリゴマー系アルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、適合性、非配位性、イオン形成化合物が含まれる。例示的な好適な共触媒には、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリス−ペンタフルオロフェニルボラン、ビス−水素化タローアルキルメチルアンモニウムテトラキス−ペンタフルオロ−フェニルボレート、メチルビス(オクタデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、共触媒は、トリス−ペンタフルオロフェニルボラン、修飾メスアルミノキサン、ビス−水素化タローアルキル−メチルアンモニウムテトラキス−ペンタフルオロフェニルボレート、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0090】
いくつかの実施形態において、前述の活性化共触媒のうちの1つ以上が互いに組み合わせられて使用される。例えば、トリ((C
1−C
4)ヒドロカルビル)−アルミニウム、トリ((C
1−C
4)ヒドロカルビル)ボラン、またはアンモニウムボレートと、オリゴマー系またはポリマー系アルモキサン化合物との組み合わせ。
【0091】
式1の1つ以上の遷移金属錯体のモルの総数の、活性化共触媒のうちの1つ以上のモルの総数に対する比率は、1:10,000〜100:1である。いくつかの実施形態において、比率は、少なくとも1:5000、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1:1000または1:100、及び10:1以下、ならびにいくつかの他の実施形態において、1:1以下である。アルモキサンが単独で活性化共触媒として使用されるとき、好ましくは、用いられるアルモキサンのモルの数は、式1の遷移金属錯体のモルの数の少なくとも10倍、さらに少なくとも40倍、さらに少なくとも100倍である。トリス(ペンタフルオロフェニル)−ボランが単独で活性化共触媒として使用されるとき、いくつかの他の実施形態において、用いられるトリス(ペンタフルオロ−フェニル)ボランのモルの数対式1の1つ以上の遷移金属錯体のモルの総数は、0.5:1〜10:1、いくつかの他の実施形態において、1:1〜6:1、いくつかの他の実施形態において、1:1〜5:1である。残りの活性化共触媒は概して、式1の1つ以上の遷移金属錯体の総モル量におよそ等しいモル量で用いられる。
【0092】
種々の単独重合または共重合条件、及びそれらの組み合わせは、開始材料、反応の性質(バッチ式、半連続、または連続)、装置設定、所望の生成物などに従って用いられ得る。しかし、概して、本発明の好適なポリマー、インターポリマー、またはコポリマーは、好ましくは150℃〜250℃、さらに160℃〜240℃、さらに170℃〜230℃の温度で、明記された式1の遷移金属錯体のうちの1つ以上を使用して生成され得る。反応時間は、10分〜300分の範囲であり得る。圧力などの他のパラメータは、実践者の希望及び必要性に従って制御及び変化され得る。本プロセスを、少なくとも1つの連続撹拌槽反応器(CSTR)または他の好適な容器(複数可)をさらに使用する連続プロセスとして、及び好ましくは、少なくとも1つの連続撹拌槽反応器(CSTR)または他の好適な容器(複数可)をさらに使用する連続溶液プロセスとして行うことが通常好ましい。
【0093】
エチレン系ポリマー
エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、エチレン系インターポリマー、またはエチレン系コポリマーであり得る。
【0094】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好ましいα−オレフィンには、C3−C20α−オレフィン、さらにC3−C12α−オレフィン、及びさらにC3−C10α−オレフィンが含まれるが、これらに限定されない。より好ましいα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンが含まれ、よりさらにプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン、さらに1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン、さらに1−ブテン及び1−オクテンが含まれる。
【0095】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、350°F(177℃)で、5,000cP以下、さらに4,000cP以下、さらに3,000cP以下、さらに2,000cP以下、さらに1,000cP以下の溶融粘度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0096】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、350°F(177℃)で、20cP以上、さらに50cP以上、よりさらに100cP以上の溶融粘度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0097】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、10,000g/モル以下、及びさらに5,000g/モル以下、及びさらに2,000g/モル以下、及びよりさらに1,000g/モル以下の重量平均分子量を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0098】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、100〜10,000g/モル、さらに200〜5,000g/モル、さらに300〜2,000、さらに400〜1,000g/モルの重量平均分子量(M
w)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0099】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、3.0以下、及びさらに2.8以下、及びさらに2.5以下、及びよりさらに2.0以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらに、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1.1〜3.0、及びさらに1.3〜2.5、及びよりさらに1.5〜2.0の分子量分布を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0100】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、500g/10分以上、さらに1000g/10分以上、及びよりさらに2000g/10分以上の溶融指数(I2またはMI)、または計算された溶融指数(I2)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0101】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、50℃〜100℃、さらに60℃〜90℃、さらに70℃〜80℃の溶融温度(Tm)を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0102】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、DSCにより決定されるときに、5〜50パーセント、さらに10〜50パーセント、及びよりさらに20〜50パーセントの結晶化度パーセントを有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0103】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.855g/cc以上、さらに0.860g/cc以上、よりさらに0.865g/cc以上(1cc=1cm
3)密度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0104】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.900g/cc以下、さらに0.895g/cc以下、よりさらに0.890g/cc以下の密度を有する。さらなる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びさらにエチレン/α−オレフィンコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0105】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、均一に分岐された線状インターポリマー及びさらにコポリマー、または均一分岐された実質的に線状のインターポリマー及びさらにコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0106】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、均一に分岐された線状インターポリマー及びさらにコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0107】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、均一分岐された実質的に線状のインターポリマー及びさらにコポリマーである。好適なα−オレフィンは、上述される。
【0108】
用語「均一の」及び「均一に分岐された」は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーに対して使用され、ここで、α−オレフィンコモノマーは所定のポリマー分子内で無作為に分布しており、ポリマー分子の全ては、同じかまたは実質的に同じのコモノマー対エチレン比を有する。
【0109】
均一に分岐された線状エチレンインターポリマーは、長鎖分岐が欠如しているが、重合されてインターポリマーになるコモノマーから導き出された短鎖分岐を有し、同じポリマー鎖内及び異なるポリマー鎖間の両方に均一に分布されるエチレンポリマーである。これらのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、線状ポリマー主鎖、測定不可能な長鎖分岐、及び狭い分子量分布を有する。この部類のポリマーは、例えば、米国特許第3,645,992号のElston、ならびにビス−メタロセン触媒を使用して、例えば、欧州特許第0 129 368号、同第0 260 999号、米国特許第4,701,432号、同第4,937,301号、同第4,935,397号、同第5,055,438号、及び国際公開第90/07526号に示されるように生み出されるかかるポリマーを生成するための後の方法により開示され、各々は参照により、本明細書に組み込まれる。考察されるように、均一に分岐された線状エチレンインターポリマーは、長鎖分岐が欠如しており、線状低密度ポリエチレンポリマーまたは線状高密度ポリエチレンポリマーの場合も同様である。市販の均一に分岐された線状エチレン/α−オレフィンインターポリマーの例には、Mitsui Chemical CompanyのTAFMERポリマー、ならびにExxonMobil Chemical CompanyのEXACT及びEXCEEDポリマーが含まれる。
【0110】
均一に分岐された実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第6,054,544号、同第6,335,410号、及び同第6,723,810号に記載され、各々は参照により、本明細書に組み込まれる。実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、長鎖分岐を有する。長鎖分岐は、ポリマー主鎖と同じコモノマー分布を有し、ポリマー主鎖の長さとほぼ同じ長さを有し得る。「実質的に線状」は典型的に、平均的に「1000個の総炭素当たり0.01個の長鎖分岐」〜「1000個の総炭素当たり3個の長鎖分岐」で置換されるポリマーに関する。長鎖分岐の長さは、短鎖分岐の炭素の長さよりも長く、これは、1つのコモノマーのポリマー主鎖への組み込みにより形成される。
【0111】
いくつかのポリマーは、1000個の総炭素当たり0.01個の長鎖分岐〜1000個の総炭素当たり3個の長鎖分岐、さらに1000個の総炭素当たり0.01個の長鎖分岐〜1000個の総炭素当たり2個の長鎖分岐、及びさらに1000個の総炭素当たり0.01個の長鎖分岐〜1000個の総炭素当たり1個の長鎖分岐で置換され得る。
【0112】
実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、固有の部類の均一に分岐されたエチレンポリマーを形成する。それらは、上で考察されるように、周知の部類である従来の均一に分岐された線状エチレン/α−オレフィンインターポリマーと実質的に異なり、さらに、それらは、従来の不均質の「チーグラー−ナッタ触媒で重合された」線状エチレンポリマー(例えば、米国特許第4,076,698号のAnderson等により開示される手法を使用して作製される、例えば、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または高密度ポリエチレン(HDPE))と同じ部類ではなく、それらは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、及びエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーなどの高圧力のフリーラジカルで開始された高分岐ポリエチレンとも同じ部類ではない。
【0113】
本発明で有用な均一に分岐された実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、相対的に狭い分子量分布を有するが、優良な加工性を有する。驚くべきことに、ASTM D 1238による、実質的に線状のエチレンインターポリマーの溶融流量比(I10/I2)は、幅広く、かつ、分子量分布(Mw/MnまたはMWD)とは本質的に独立して変化し得る。この驚くべき作用は、例えば、米国第3,645,992号のElstonにより記載されるものなどの従来の均一に分岐された線状エチレンインターポリマー、及び例えば、米国第4,076,698号のAnderson等により記載されるものなどの不均一に分岐された従来の「チーグラー−ナッタで重合された」線状ポリエチレンインターポリマーと対照的である。実質的に線状のエチレンインターポリマーと異なり、線状エチレンインターポリマーは(均一にまたは不均一に分岐されているかに関わらず)、分子量分布が増加するとI10/I2値も増加するような、レオロジー特性を有する。
【0114】
長鎖分岐は、
13C核磁気共鳴(NMR)分光法を使用することにより決定され得、かつRandall(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),1989,p.285−297)の方法を使用して定量化され得、この開示は参照により、本明細書に組み込まれる。他の2つの方法は、低角度レーザー光散乱検出器(GPCLALLS)と組み合わされたゲル浸透クロマトグラフィー、及び差動粘度計検出器(GPC−DV)と組み合わされたゲル浸透クロマトグラフィーである。長鎖分岐検出のためのこれらの手法の使用及び基本理論は、文献によく記載されている。例えば、Zimm,B.H.and Stockmayer,W.H.,J.Chem.Phys.,17,1301(1949)、及びRudin,A.,Modern Methods of Polymer Characterization,John Wiley & Sons,New York(1991)pp103−112を参照されたい。
【0115】
「実質的に線状のエチレンポリマー」とは対照的に、「線状エチレンポリマー」は、ポリマーには測定可能なまたは明白な長鎖分岐が欠如していること、つまり、ポリマーが1000個の総炭素当たり平均0.01個未満の長鎖分岐で置換されていることを意味する。
【0116】
エチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0117】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0118】
エチレン/α−オレフィンコポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0119】
添加剤及び適用
発明の組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。典型的に、ポリマー及び樹脂は、1つ以上の安定剤、例えば、各々がBASFにより供給される、IRGANOX1010、IRGANOX1076、及びIRGAFOS168などの抗酸化剤で処理される。ポリマーは典型的に、押出成形または他の溶融プロセスの前に1つ以上の安定剤で処理される。よって、添加剤には、抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料及び染料、造核剤、充填剤、難燃剤、粘着付与剤、可塑剤または油、煙抑制剤、粘度制御剤、ならびにブロッキング防止剤が含まれるが、これらに限定されない。発明の組成物は、1つ以上の熱可塑性ポリマーも含有する。
【0120】
本発明の組成物は、接着剤、潤滑剤、誘電性流体、接着剤、インク、パーソナルケア及び化粧品、密閉剤、着色濃縮剤、ならびに添加濃縮剤が含まれるが、これらに限定されない種々の適用においても使用され得る。
【0121】
定義
それに反すると述べられない限り、全ての試験方法は、本開示の申請日時点のものである。
【0122】
用語「付与共有結合(または配位)性は、本明細書で使用される場合、2つの原子間の結合を指し、ここで、結合電子は2つの原子のうちの1つにより供給される。
【0123】
用語「組成物」は、本明細書で使用される場合、本組成物を含む材料の混合物、ならびに本組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を含む。
【0124】
用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、同じかまたは異なる種類に関わらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー系化合物を指す。よって、総称ポリマーは、用語ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられ、微量の不純物はポリマー構造中に組み込まれ得ることが理解される)及び後に定義されるような用語インターポリマーを包含する。微量の不純物、例えば、触媒残渣は、ポリマー中及び/または内に組み込まれ得る。
【0125】
用語「インターポリマー」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されたポリマーを指す。よって、総称インターポリマーは、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)及び2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0126】
用語、「エチレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合された形態で、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーを含み、かつ任意に1つ以上のコモノマー含み得るポリマーを指す。
【0127】
用語、「エチレン系インターポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合された形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーと、少なくとも1つのコモノマーと、を含むインターポリマーを指す。
【0128】
用語、「エチレン系コポリマー」は、本明細書で使用される場合、2種類のみのモノマーとして、重合された形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーと、コモノマーと、を含むコポリマーを指す。
【0129】
用語、「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合された形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーと、少なくとも1つのα−オレフィンと、を含むインターポリマーを指す。
【0130】
用語、「エチレン/α−オレフィンコポリマー」は、本明細書で使用される場合、2種類のみのモノマーとして、重合された形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーと、α−オレフィンと、を含むコポリマーを指す。
【0131】
用語、「プロピレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合された形態で、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のプロピレンモノマーを含み、かつ任意に1つ以上のコモノマー含み得るポリマーを指す。
【0132】
用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を有する」、及びそれらの派生語は、同じものが具体的に開示されているかどうかに関わらず、任意の追加の構成成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。一切の疑念を回避するために、用語「を含む」の使用により主張される全ての組成物は、それらに反すると述べられない限り、ポリマー系かどうかに関わらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含んでもよい。対照的に、用語、「から本質的になる」は、一切の連続的な引用の範囲から、実施性に不可欠でないものを除いて一切の他の構成成分、ステップ、または手順を排除する。用語「からなる」は、具体的に描写または列挙されていない一切の構成成分、ステップ、または手順を排除する。
【0133】
試験方法
溶融粘度
溶融粘度を、Brookfield Digital Viscometer(Model DV−III、バージョン3)及び使い捨てアルミニウム試料チャンバを使用して、ASTM D 3236(177℃、350°F)に従って測定する。心棒は、10〜100,000センチポアズ(cP)の範囲である粘度を測定するのに好適なSC−31熱溶融型心棒である。試料をチャンバ中に注ぎ、次に、Brookfield Thermosel中に挿入して、正しい位置に固定する。試料チャンバは、心棒が挿入及びスピンしたときにチャンバが絶対に回転しないようにするために、Brookfield Thermoselの底部と嵌合する底部にくぼみを有する。試料(およそ8〜10グラムの樹脂)を、溶融される試料が試料チャンバの上部の約1インチ下になるまで必要な温度に加熱する。粘度計装置を低くし、心棒を試料チャンバ中に沈める。粘度計上のブラケットがThermoselと整列するまで低くし続ける。粘度計を起動させ、粘度計のrpm出力に基づいて総トルク容量の40〜60パーセントの範囲であるトルク読み取りをもたらすせん断速度で動作するように設定する。15分間または値が安定するまで1分毎に読み取りを行い、安定した点において、最終読み取りを記録する。
【0134】
溶融指数
エチレン系ポリマーの溶融指数(I2、またはMI)を、条件190℃/2.16kgでASTM D−1238に従って測定する。高いI2のポリマー(I2以上、200g/モル)に関して、溶融指数を好ましくは、米国特許第6,335,410号、同第6,054,544号、同第6,723,810号に記載されるようにBrookfield粘度から計算する。I2(190℃/2.16kg)=3.6126[10
(log(η
)−6.6928)/−1.1363]−9.3185lであり、式中、350°Fにおいて、cPで、η=溶融粘度である。
【0135】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
エチレン系ポリマーに関する平均分子量及び分子量分布を、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220からなるクロマトグラフィーシステムで決定する。カラム及びカルーセルコンパートメントを、エチレン系ポリマーに関して140℃で操作する。カラムは、3つのPolymer Laboratoriesの10ミクロンの混合Bカラムである。溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンである。試料を、「50ミリリットル」の溶媒中の「0.1グラムのポリマー」の濃度で調製する。試料を調製するために使用される溶媒は、「200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)」を含有する。試料は、160℃で2時間軽く扇動することにより調製される。注入体積は、「100マイクロリットル」であり、流量は、「1.0ミリリットル/分」である。GPCカラム設定の較正を、Polymer Laboratories(UK)から購入した「狭い分子量分布」ポリスチレン標準を用いて行う。ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の等式を使用して、ポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されるように)、
【0137】
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。ポリエチレン換算分子量計算を、VISCOTEK TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して行った。プロピレン系ポリマーに関する分子量は、ASTM D6474.9714−1に従って、マルク‐ホウインク比を使用して決定され得、式中、ポリスチレンに関して、a=0.702及びlog K=−3.9であり、ポリプロピレンに関して、a=0.725及びlog K=−3.721である。プロピレン系ポリマー試料に関して、カラム及びカルーセルコンパートメントを、160℃で操作する。
【0138】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を、エチレン(PE)系ポリマー試料及びプロピレン(PP)系ポリマー試料中の結晶化度を測定するために使用する。約5〜8ミリグラムの試料を計量し、DSCパン内に置く。蓋をパンの上に圧着して、確実に密閉大気にする。試料パンをDSCセル内に置き、次いで、およそ10℃/分の速度で、PEに関して180℃(PPに関しては230℃)の温度に加熱する。試料を、この温度で3分間維持する。次いで、試料を10℃/分の速度で、PEに関して−60℃(PPに関しては−40℃)に冷却し、その温度で3分間等温に維持する。次に、試料を、10℃/分の速度で完全に溶融するまで加熱する(第2の加熱)。結晶化度パーセントを、PEに関して292J/g(PPに関しては165J/g)の融合の理論熱による第2の加熱曲線から決定された融合の熱(H
f)で除算し、この量に100を乗算することにより計算する(例えば、PEに関する結晶化度%=(H
f/292J/g)x100、及びPPに関する結晶化度%=(H
f/165J/g)x100)。
【0139】
別途述べられない限り、各ポリマーの溶融点(複数可)(T
m)を、上述のように、DSCから取得された第2の加熱曲線から決定する。結晶化温度(T
c)を、第1の冷却曲線から測定する。
【0140】
密度
密度に関して測定されるポリマー試料を、ASTM D−1928に従って調製する。測定を、ASTM D−792の方法Bを使用して試料圧縮の1時間以内に行う。
【0143】
4−フルオロ−2−ヨードフェノールの調製
添加漏斗を備え付けられた丸底フラスコに、0〜10℃でのN
2大気下で、メタノール(200mL)、4−フルオロフェノール(8.00g、71.37mmol)、NaI(12.84g、85.64mmol)、及びNaOH(3.43g、85.64mmol)を添加した。この溶液を0〜10℃でおよそ15分間攪拌し、その後、1.5時間にわたって、NaOCl(市販漂白剤中の5%v/vの133mL、92.77mmol)を液滴で添加した。この漂白剤の添加が完了した後、反応を0〜10℃でさらに1時間攪拌した。次に、100mLの10重量%水性チオ硫酸ナトリウムを、反応混合物に添加した。次いで、反応混合物を5%HClで酸性化し、塩化メチレン(500mL)中に抽出し、500mLの、各々10重量%水性チオ硫酸ナトリウム、水、次いで塩水で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、シリカゲルのパッドに通してろ過し、次いで、濃縮して油をもたらした。この原油をヘキサンを使用して再結晶により精製し、白い結晶体として11.52g(67.8%)の純粋化合物をもたらした。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ7.36(dd、J=7.6、2.9Hz、1H)、6.97(ddd、J=8.9、7.7、2.9Hz、2H)、6.92(dd、J=9.0、4.9Hz、1H)、5.10(s、1H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ156.42(d、J=243.0Hz)、151.45(d、J=2.6Hz)、124.34(d、J=25.3Hz)、116.83(d、J=23.1Hz)、115.08(d、J=7.8Hz)、84.23(d、J=9.0Hz)。
19F NMR(376MHz、クロロホルム−d)δ−122.52(td、J=7.6、4.9Hz)。MS m/e 238。
【0145】
ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)メタンの調製
添加漏斗を備え付けられた丸底フラスコに、N
2大気下で、N,N−ジメチルホルムアミド(120mL)、4−フルオロ−2−ヨードフェノール(5.00g、21.01mmol)、及びNaH(0.924g、23.11mmol)を添加した。4時間の攪拌後、溶液を0〜10℃に冷却し(氷水槽)、1mLのN,N−ジメチルホルムアミド中のジヨードメタンの溶液(0.85mL、10.10mmol)を、約5分にわたって添加漏斗により液滴で添加した。次いで、懸濁液を90℃に留意しながら加熱し、その温度で18時間維持し、その後、室温に冷却した。次に、ジエチルエーテル(100mL)を添加し、低い層を捨てた。有機エーテル層をまず、5%水性塩化リチウム(100mL)、次いで、5%水性水酸化カリウム(3x50mL)、及び最後に塩水(50mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して無色の原油固体をもたらした。この原油をヘキサンから再結晶化して、白い結晶体として4.08g(79.6%)の生成物をもたらした。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ7.50(dd、J=7.6、3.0Hz、2H)、7.18(dd、J=9.1、4.7Hz、2H)、7.05(ddd、J=9.1、7.7、3.0Hz、2H)、5.70(s、2H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ159.22、156.77、152.28(d、J=3.0Hz)、126.20(d、J=25.0Hz)、116.10(m、J=32.0Hz))、92.84、86.82(d、J=8.2Hz)。
19F NMR(376MHz、クロロホルム−d)δ−119.43(td、J=7.8、4.8Hz)。
【0147】
2−ヨード−4−メチルフェノールの調製
アセトニトリル(150mL)に、4−メチルフェノール(5.00g、46.24mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(8.80g、46.24mmol)を添加し、この溶液を0〜10℃(氷水槽)で約15分間攪拌し、この時、N−ヨードサクシニミド(10.41g、46.27mmol)を添加し、反応を0〜10℃でさらに3時間攪拌した。反応フラスコを−20℃の冷凍庫内に66時間置き、PTSA沈殿物をろ過した。ろ過液を濃縮して乾燥状態にし、塩化メチレン(200mL)中で溶解した。有機相を200mLの、各々10重量%水性チオ硫酸ナトリウム、水、次いで塩水で洗浄し、次いで、無水MgSO
4で乾燥させ、シリカゲルのパッドに通してろ過し、次いで、濃縮してピンク色の油として10.81g(99.9%)の生成物をもたらした。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ7.47(dq、J=2.0、0.7Hz、1H)、7.03(ddq、J=8.3、2.1、0.6Hz、1H)、6.87(d、J=8.3Hz、1H)、5.29(s、1H)、2.24(t、J=0.8Hz、3H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ152.61、138.26、131.92、130.80、114.67、85.37、19.91。MS m/e 235。
【0149】
2−(2−ヨード−4−メチルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの調製
2−ヨード−4−メチルフェノール(11.21g、47.90mmol)に、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(18mL、197.29mmol)及び3滴の濃縮したHClを添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌し、次いで、45℃でもう3時間加熱し、その後、室温に冷却した。反応混合物をジエチルエーテル(100mL)で希釈し、次いで、100mLの、各々冷たい飽和水性重炭酸ナトリウム、水、次いで塩水で洗浄し、次いで、無水塩化カルシウムで乾燥させ、シリカの小さいパッドに通してろ過し、次いで、濃縮して金色の油として15.03g(98.6%)の生成物をもたらした。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ7.59(d、J=2.0Hz、1H)、7.05(dd、J=8.4、2.1Hz、1H)、6.95(d、J=8.4Hz、1H)、5.46(t、J=3.0Hz、1H)、3.88(td、J=11.0、2.9Hz、1H)、3.58(dddd、J=11.3、4.5、3.1、1.6Hz、1H)、2.25(s、3H)、2.21−2.06(m、1H)、2.03−1.92(m、1H)、1.92−1.79(m、1H)、1.80−1.56(m、4H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ153.49、139.52、132.95、129.88、115.15、96.73、87.39、61.69、30.23、25.27、20.00、18.34。
【0151】
9−(5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)フェニル)−9H−カルバゾールの調製
トルエン(70mL)を乾燥させるために、カルバゾール(4.50g、26.91mmol)、2−(2−ヨード−4−メチルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(12.00g、37.72mmol)、K
3PO
4(12.00g、56.52mmol)、CuI(0.103g、0.541mmol)、及びN,N`−ジメチルエチレンジアミン(0.232mL、2.15mmol)を添加した。反応混合物を125℃(加熱マントル温度)でのN
2下で、24時間加熱すると、GC分析は、13%の転換を示した。したがって、追加のCuI(0.210g、1.10mmol)及びアミン(0.464mL、4.30mmol)を反応に添加し、反応を125℃でさらに24時間攪拌した。46時間の総反応時間後、GC分析は、68%の転換を示した。したがって、追加のCuI(0.210g、1.10mmol)及びアミン(0.464mL、4.30mmol)を反応に添加し、反応を125℃でさらに72時間攪拌した。反応を冷却し、THFで希釈し、シリカゲルの小さいパッドに通して、真空ろ過によりろ過した。ろ過液を濃縮して11.36gの原油化合物をもたらし、これを、ヘキサン中の2%の酢酸エチルを使用して、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、灰白色固体として6.10g(63.4%)の化合物をもたらした。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ8.16(dt、J=7.6、1.1Hz、2H)、7.40(dtd、J=8.1、6.8、1.2Hz、2H)、7.34(d、J=8.5Hz、2H)、7.32−7.24(m、4H)、7.22(dt、J=8.2、0.9Hz、1H)、5.23(t、J=3.0Hz、1H)、3.63(td、J=11.2、2.9Hz、1H)、3.44(dddd、J=11.3、4.5、3.2、1.2Hz、1H)、2.41(s、3H)、1.52−1.35(m、2H)、1.30−1.03(m、4H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ151.20、141.42(d、J=1.4Hz)、131.94、129.88(d、J=17.5Hz)、126.76、125.44、123.13(d、J=6.5Hz)、119.93(d、J=5.9Hz)、119.34(d、J=0.9Hz)、117.43、110.40(d、J=35.3Hz)、97.08、61.48、29.91、24.93、20.53、17.61。MS m/e 380(M+Na)。
【0153】
9−(5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾールの調製
0〜10℃で、かつN
2大気下で、オーブンで乾燥させた3口丸底フラスコに、9−(5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)フェニル)−9H−カルバゾール(11.90g、33.29mmol)及び乾燥テトラヒドロフラン(250mL)を添加した。この溶液を約15分間0〜10℃(氷水槽)に冷却し、ヘキサン(20mL、50.00mmol)中の2.5Mのn−ブチルリチウムをゆっくりと添加した。4時間の攪拌後、2−イソ−プロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(10.2mL、49.94mmol)をゆっくりと添加した。混合物を0〜10℃で1時間攪拌し、その後、反応を室温に温め、次いで、もう18時間攪拌した。反応混合物に、冷たい飽和水性重炭酸ナトリウム(100mL)を添加した。混合物を、4つの50mL量の塩化メチレンで抽出した。有機相を組み合わせ、冷たい飽和水性重炭酸ナトリウム(200mL)、塩水(200mL)で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して金色の泡として原油をもたらした。この原油をアセトニトリル(50mL)中でスラリー化し、室温で1時間静置させ、その後、真空ろ過により固体を単離した。この固体を少量の冷たいアセトニトリルで洗浄し、高真空下で乾燥させ、白色粉末として13.44g(83.5%)の生成物をもたらした。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ8.14−8.08(m、2H)、7.71(dd、J=2.4、0.8Hz、1H)、7.44−7.35(m、2H)、7.33−7.22(m、5H)、4.90(t、J=2.9Hz、1H)、2.63(ddd、J=11.3、10.1、3.0Hz、1H)、2.59−2.51(m、1H)、2.38(s、3H)、1.77−1.64(m、1H)、1.40(d、J=4.6Hz、12H)、1.35−1.07(m、4H)、1.02−0.89(m、1H)。
13C NMR(101MHz、クロロホルム−d)δ156.51、141.22(d、J=7.2Hz)、137.32、133.69、132.91、130.02、125.62、123.25、122.93、119.75(d、J=1.2Hz)、119.38(d、J=3.1Hz)、110.92、110.69、101.79、83.79、61.22、29.96、24.91、24.87(d、J=28.9Hz)、20.42、18.22。MS m/e 507(M+Na)。
【0155】
6’,6’’’−(メチレンビス(オキシ))ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)−3’−フルオロ−5−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2−オル)の調製
N
2大気下で、丸底フラスコに、9−(5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(8.58g、17.25mmol)(HPLCにより、97.2%の純度に基づいて調整されたmmol)、ジメトキシエタン(200mL)、水(60mL)中のNaOHの溶液(2.16g、54.00mmol)、テトラヒドロフラン(60mL)、及びビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)メタン(4.00g、8.20mmol)を添加した。システムを、N
2でおよそ15分間パージし、Pd(PPh
3)
4(468mg、0.41mmol)を添加した。混合物を85℃の還流温度に24時間加熱し、次いで、室温に冷却した。冷却されると、沈殿物が反応フラスコ内に形成され、それを、真空ろ過により単離し、高真空下で1時間乾燥させて原油保護配位子をもたらした。原油保護配位子をテトラヒドロフラン(500mL)とメタノール(250mL)との混合物中でスラリー化し、次いで、60℃に加熱した。スラリーに、溶液がpH試験紙に従って酸性になるまで濃縮化HClを添加し、次いで、60℃で8時間攪拌し(脱保護が進むと、全ての沈殿物が徐々に溶液に溶け込むように)、次いで、冷却し、次いで、濃縮した。残渣を塩化メチレン(500mL)中で溶解し、塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、シリカゲルのパッドに通してろ過し、次いで、濃縮して5.65g(88.5%)の配位子をもたらした。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ7.80(s、2H)、7.39(ddd、J=7.7、1.2、0.7Hz、4H)、6.60−6.52(m、4H)、6.50−6.36(m、12H)、6.29(ddd、J=23.0、2.3、0.7Hz、4H)、6.16(ddd、J=9.1、8.2、3.2Hz、12H)、4.92(s、2H)、1.45(s、6H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ157.33(d、J=238.4Hz)、151.00(d、J=2.2Hz)、148.88、140.97、131.82、130.32(d、J=8.2Hz)、128.77(d、J=18.1Hz)、127.05(d、J=1.3Hz)、125.99、124.40、123.15、120.35、119.61、118.04、117.81、117.27(d、J=8.5Hz)、115.13、114.90、110.43、20.07。
19F NMR(376MHz、DMSO−d6)δ−121.60(td、J=8.6、4.8Hz)。MS m/e 796(M+NH
4)。
【0157】
Cat Eの調製
配位子(0.500g、0.64mmol)を、乾燥ボックス内で40mLのトルエンと混合した。ZrCl
4(0.150g、0.64mmol)を10mLのトルエン中で懸濁し、すぐに配位子の攪拌溶液に添加した。MeMgBr(ジエチルエーテル中の0.96mL、2.89mmol;3Mの溶液)を、注射器により液滴で添加した。反応混合物の色は、グリニヤール試薬の添加中、黒色になった。混合物を、2時間攪拌した。懸濁液を0.45ミクロンのPTFE注射器ろ過装置に通してろ過し、次いで、ろ過液を真空下で乾燥状態に還元した。残留物を10mLのトルエン及び5mLヘキサンと混合し、ろ過し(0.45ミクロン)、ろ過液を真空下で約5mLまで濃縮し、ろ過し、ろ過液を過剰ヘキサン(約15mL)と混合して灰白色の沈殿物を形成し、それをろ過し、真空下で乾燥させた。生成物を10mLのトルエン中で溶解し、4〜5mLのヘキサンを添加し、これにより、薄い茶色の沈殿物をもたらし、それをろ過し、捨てた。ろ過液をヘキサンと積層させ、−20℃に冷却し、白色の沈殿物をもたらし、それをろ過し、真空下で乾燥させた(215mg、37%)。触媒Eに関して、1つの酸素(Z1またはZ2位置)は、Zrに対して付与共有結合性である。
1H NMR(400MHz、C
6D
6)δ8.02(d、J=7.7Hz、2H)、7.94(d、J=7.8Hz、2H)、7.27(m、8H)、7.15(m、2H)、6.99(m、4H)、6.88(d、J=2.2Hz、2H)、6.83(m、2H)、6.16(m、4H)、4.72(s、2H)、2.14(s、6H)、−1.12(s、6H)。
13C{
1H} NMR(101MHz、C
6D
6)δ162.03、159.58、154.88、147.33、147.30、142.32、142.14、134.42、134.34、131.00、130.94、130.34、129.59、129.58、127.35、126.91、126.70、124.93、123.95、122.06、121.25、120.73、120.59、120.50、119.96、119.72、116.28、116.05、111.92、109.61、96.74、44.04、21.09。
【0159】
配位子合成には、底部の架橋断片を発生させる合成ステップにおける相違を除いて、Cat Eに関する配位子の合成に関して概説される反応ステップを利用した。これを達成させるために、ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)メタンの調製を、以下の合成ステップにより置き換えた。
【0161】
1,3−ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)プロパンの調製:500mLのフラスコを、4−フルオロ−2−ヨードフェノール(15.00g、63.03mmol)、1,3−ジブロモプロパン(6.40g、31.68mmol)、K
2CO
3(26.00g、188.4mmol)、及びアセトン(200mL)で満たした。反応混合物を、24時間攪拌及び還流させた。混合物を、冷却及びろ過した。ろ過液を、回転式蒸発により濃縮した。得られた固体をアセトニトリルから再結晶化して、白い結晶体として所望の生成物をもたらした(12.00g、74%)。
1H NMR(300MHz、クロロホルム−d)δ7.48(m、1H)、7.02(m、1H)、6.88(m、1H)、4.26(t、J=6.05Hz、4H)、及び2.34(クインテット、J=6.05Hz、2H)。Ms m/e 516。
【0162】
Cat Bを、以下に示されるようにHfCl
4によりZrCl
4を置き換えることを除いて、Cat Eに関して記載される手順を使用して合成した。
【0164】
配位子合成には、底部の架橋断片を発生させる合成ステップにおける相違を除いて、Cat Eに関する配位子の合成に関して概説される反応ステップを利用した。これを達成させるために、ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)メタンの調製を、以下に示されるように、1,2−ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)エタンの調製により置き換えた。このステップを、1,3−ビス(4−フルオロ−2−ヨードフェノキシ)プロパンの合成に関して記載される手順に従って行った。
【0166】
Cat Cを、以下に示されるようなCat Bに関して記載される手順を使用して合成した。
【0168】
Cat Dを、以下に示されるようなCat Eに関して記載される手順を使用して合成した。
【0170】
エチレン/1−オクテン重合に関する実験
エチレン/オクテンの共重合を、2Lのパールバッチ式反応器内で実行した。反応器を電気加熱マントルにより加熱し、冷却水を含む内部蛇行冷却コイルにより冷却した。反応器及び加熱/冷却システムの両方を、CAMILE TG処理コンピュータにより制御及び監視した。触媒失活溶液で事前に充填したSS廃棄ポットに入れて反応器の内容物を空にする廃棄弁と、反応器の底部とを嵌合した。廃棄ポットを、30ガロン吸引タンクに脱気し、ポット及びタンクの両方をN
2パージした。重合または触媒作製のために使用される全ての化学物質(エチレン、1−オクテン、トルエン、及び混合アルカン溶媒ISOPAR E(ExxonMobilからの))を精製カラムに通して、重合に影響を与えるであろう一切の不純物を除去した。移送のために使用されたN
2をカラムに通過させて、不純物を除去した。
【0171】
反応器をまず、ISOPAR E及び1−オクテンを収容するショットタンクから投入した。ショットタンクを、タンクが取り付けられた実験室スケールを使用することにより投入設定点まで充填した。溶媒の添加後、反応器を重合温度設定点まで加熱した。エチレンを反応温度になってから反応器に添加して、反応圧力設定点を維持した。エチレン添加量を、微細動作流量計により監視した。
【0172】
触媒及びcocat−2活性化剤(1.2当量)を適切な量のトルエンと混合して、所望のモル濃度溶液を達成した。触媒及び活性化剤を不活性大気グローブボックス内で処理し、注射器に導入し、次いで、触媒ショットタンク中に圧力移送した。その後、これをトルエンで3回(各回5mL)すすいだ。エチレンの添加前に、10μモルのcocat−1(MMAO)を、触媒ショットタンクに通して反応器に添加した。反応器圧力設定点が達成されたとき、触媒及び活性化剤を添加した。
【0173】
触媒の添加直後に、実行時間を開始した。通常、触媒の実行が成功した最初の2分以内に、発熱、ならびに反応器圧力の低減が観察された。次いで、エチレンをCAMILE(処理制御ソフトウェア、バージョン5)により添加して、反応器内で反応圧力設定点を維持した。これらの重合を10分間実行し、次いで、扇動装置を停止し、底部廃棄弁を開放して反応器内容物を廃棄ポットに入れて空にした。廃棄ポット内容物をトレイに注いで、実験室フード内に静置し、ここで、溶媒を一晩蒸発させた。次いで、残渣ポリマーを収容するトレイを真空オーブンに移し、ここで、それらを真空下で140℃に加熱して、一切の残りの溶媒を除去した。トレイを周囲温度に冷却した後、ポリマーを収率/効率に関して計量した。重合結果は、表1に示される。
【0175】
b重合条件:2Lのバッチ式反応器、温度:140℃、ISOPAR−E:605g、1−オクテン:300g、エチレン圧力:288psi、実行時間:10分、Cocat−2:1.2当量、Cocat−1=MMAO−3A:10μモル。
*液体。
NA:Tmが検出されなかった。
Cocat−1:MMAO
Cocat−2:メチルビス(オクタデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4]。
【0176】
本明細書で詳述される結果は、式1により表される本発明の遷移金属錯体が、増加した反応器生産量を可能にする良好な効率性を有する、非常に低い分子量のエチレン系ポリマーの140℃での生成に関して高い活性があることを示す。さらに、これらのエチレン系ポリマーは、高いTm値(>50℃)を有する。よって、本発明の錯体は、熱溶融型接着剤及び他の種類の接着剤に有用な、ワックス構成成分などの非常に低い分子量ポリマーを生成するために使用され得る。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]式1から選択される分子遷移金属錯体であって、
【化1】
式中、Mが、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、各々が独立して、+2、+3、または+4の形式的酸化状態にあり、
nが、0〜3の整数であり、nが0の時、Xは、存在せず、
各Xが独立して、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である単座配位子であるか、または2つのXが一緒になって、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である二座配位子を形成し、
X及びnが、金属配位子錯体が中性になるように選択され、
Z1及びZ2が各々独立して、以下の−O−、−S−、−N[(C1〜C40)ヒドロカルビル]−、または−P[(C1〜C40)ヒドロカルビル]−から選択され、
Yが、以下の−CR2−、−GeR2−、−SiR2−、−P−、−NR−から選択される単一の原子架橋であり、式中、各Rが独立して、水素、置換もしくは非置換の(C1〜C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換の(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、−ORC、−SRC、−CN、−CF3、−OCF3、−S(O)RC、−S(O)2RC、−N=C(RC)2、−OC(O)RC、−C(O)ORC、−N(R)C(O)RC、−C(O)N(RC)2、またはハロゲンであり、各RCが独立して、置換もしくは非置換の(C1〜C30)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換の(C1〜C30)ヘテロヒドロカルビルであり、
R1a、R2a、R3a、R4a、R1b、R2b、R3b、R4b、R5c、R6c、R7c、R8c、R5d、R6d、R7d、及びR8dが各々独立して、以下の置換もしくは非置換の(C1〜C40)−ヒドロカルビル、置換もしくは非置換の(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、−Si(RC)3、−OSi(RC)3、−Ge(RC)3、−P(RC)2、−N(RC)−2、−ORC、−SRC、−NO2、−CN、−CF3、−OCF3、−S(O)RC、−S(O)2RC、−N=C(RC)2、−OC(O)RC、−C(O)ORC、−N(R)C(O)RC、−C(O)N(RC)2、ハロゲン、または水素から選択され、各RCが独立して、置換もしくは非置換の(C1〜C30)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換の(C1〜C30)ヘテロヒドロカルビルであり、
式1に関して、R1a、R2a、R3a、R4a、R1b、R2b、R3b、R4b、R5c、R6c、R7c、R8c、R5d、R6d、R7d、及びR8dのうちの2つ以上が、任意に1つ以上の環構造を形成し得、
Z1またはZ2が、Mに対して付与共有結合(配位)性である、分子遷移金属錯体。
[2]R5c及びR5dが各々独立して、以下の群、g1)〜g14)から選択される、前記[1]に記載の分子遷移金属錯体。
【化2-1】
【化2-2】
[3]各Zが、−O−(酸素原子)である、前記[1]または[2]に記載の分子遷移金属錯体。
[4]Mが、ZrまたはHfから選択される、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[5]nが、2であり、各Xが独立して、アルキルである、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[6]各Xが独立して、(C1〜C7)アルキル、さらに(C1〜C3)アルキルであり、さらに各Xが、メチルである、前記[5]に記載の分子遷移金属錯体。
[7]Yが、以下の−CHR−、−CRR′−、−CR2−、−CH2−、−SiR2−、−SiRR′−、−GeR2−、−NR−、−CHOR−、−N−NR2、または−PR−から選択され、
式中、各Rが独立して、アルキルまたはアリールであり、
各R′が独立して、アルキルまたはアリールである、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[8]R3aまたはR3bが各々独立して、以下のハロゲン、アミン、アルコキシル、またはアルキルから選択される、前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[9]R7c及びR7dが各々独立して、アルキル、さらに(C1〜C20)アルキル、及びさらに(C1〜C10)アルキルである、前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[10]R1a、R2a、R4a、R1b、R2b、R4b、R6c、R8c、R6d、及びR8dが各々、水素である、前記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
[11]式1が、以下の構造、すなわち、a)〜ee)から選択される、前記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の分子遷移金属錯体。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
[12]エチレン系ポリマーを形成するための方法であって、前記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の少なくとも1つの分子遷移金属錯体の存在下で、エチレンと、任意に少なくとも1つのコモノマーと、を含む混合物を重合することを含む、方法。
[13]前記[12]に記載の方法から形成される、エチレン系ポリマー。
[14]前記[13]に記載のエチレン系ポリマーを含む、組成物。
[15]前記[14]に記載の組成物から形成された少なくとも1つの構成成分を含む、物品。