特許第6763862号(P6763862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763862
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】交換式ダイ、接合工具及び接合方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 15/02 20060101AFI20200917BHJP
   B21J 15/30 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   B21J15/02 Z
   B21J15/30 F
   B21J15/30 L
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-537420(P2017-537420)
(86)(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公表番号】特表2018-502721(P2018-502721A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2016050280
(87)【国際公開番号】WO2016116301
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】102015100922.6
(32)【優先日】2015年1月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】トリップ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】モエザー ヨアヒム
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102012101894(DE,A1)
【文献】 米国特許第05361473(US,A)
【文献】 特開昭57−89516(JP,A)
【文献】 特表平5−502917(JP,A)
【文献】 米国特許第02526998(US,A)
【文献】 米国特許第02219907(US,A)
【文献】 特表2016−540647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/02、15/30
F16B 21/00 − 21/20
B21D 37/00 − 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合工具(60)用の交換式ダイ(10)であって、ダイ構造部(18)が形成されたダイヘッド(12)と、前記ダイヘッド(12)から軸線方向(16)に延びたダイシャンク(14)とを有し、前記ダイシャンク(14)は、接合工具(60)のダイ受入れ部分(66)のシャンク・レセプタクルに挿入可能であり、前記交換式ダイ(10)を前記接合工具(60)に締結するための締結輪郭(30)が前記交換式ダイ(10)上に形成されており、
前記締結輪郭(30)が、前記交換式ダイ(10)と前記接合工具(60)との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立されるよう構成され、
前記ダイシャンク(14)が、前記ダイヘッド(12)に隣接した、第1のシャンク部分直径(D1)を有する第1の軸線方向シャンク部分(40)を有し、
前記ダイシャンク(14)が、第2の軸線方向シャンク部分(46)を有し、
前記第2の軸線方向シャンク部分(46)が、前記ダイヘッド(12)に対し前記第1の軸線方向シャンク部分(40)を挟んで軸線方向反対側に配置され、前記第1のシャンク部分直径(D1)より小さい第2のシャンク部分直径(D2)を有する
交換式ダイ(10)であって、
前記締結輪郭(30)が、前記第2の軸線方向シャンク部分(46)の領域内に形成された
ことを特徴とする交換式ダイ。
【請求項2】
前記締結輪郭(30)が、前記第1のシャンク部分直径(D1)以下の半径方向範囲(L5)を有することを特徴とする、請求項1に記載の交換式ダイ。
【請求項3】
前記締結輪郭(30)が、前記ダイシャンク(14)に関して半径方向に突出した少なくとも1つのロック部材(34)を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の交換式ダイ。
【請求項4】
前記締結輪郭(30)が、ペグ様突起(34)によって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の交換式ダイ。
【請求項5】
前記締結輪郭(30’)が、前記第2の軸線方向シャンク部分(46)の自由端の領域内に配置されたノーズ機構(50、52)上に形成された少なくとも1つの差込みスロット(54)を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の交換式ダイ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の交換式ダイ(10)のダイシャンク(14)を受け入れるためのダイ受入れ部分(66)を有、前記交換式ダイ(10)を接合工具(60)に締結するための締結装置(68)が前記ダイ受入れ部分(66)上に形成され、前記締結装置(68)が、前記交換式ダイ(10)と前記接合工具(60)との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立されるように構成され、
前記ダイ受入れ部分(66)は、前記ダイ受入れ部分(66)の導入開口部に隣接し、第1の受入れ直径(D1’)を有する第1の軸線方向受入れ部分(98)を有し、前記ダイ受入れ部分(66)は、前記導入開口部に対し前記第1の軸線方向受入れ部分(98)を挟んで反対側に配置された、前記第1の受入れ直径(D1’)より小さい第2の受入れ直径(D2’)を有する第2の軸線方向受入れ部分(100)を有する
接合工具であって、
前記ダイ受入れ部分(66)が、本体(70)と、受入れスリーブ(74)とを有し、前記受入れスリーブ(74)が挿入される受入れ穴(72)が前記本体(70)に形成されており、
前記交換式ダイ(10)の締結輪郭(30)と相互作用してプラグ・アンド・ターン接続を確立することができる受入れスリーブ輪郭(90−94)が、前記受入れスリーブ(74)上に形成された
ことを特徴とする接合工具。
【請求項7】
前記第2の軸線方向受入れ部分(100)が、前記受入れスリーブ(74)に形成されていることを特徴とする、請求項に記載の接合工具。
【請求項8】
前記受入れスリーブ輪郭(90−94)が、前記プラグ・アンド・ターン接続を確立するために前記交換式ダイ(10)の半径方向突起(34)が係合することができる少なくとも1つのスリーブ差込みスロット(90)を有することを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の接合工具。
【請求項9】
前記受入れスリーブ輪郭が、前記プラグ・アンド・ターン接続を確立するために前記交換式ダイ(10’)のダイ差込みスロット(54)と係合することができる少なくとも1つの半径方向内方に突出した受入れ突起(102)を有することを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の接合工具。
【請求項10】
前記接合工具(60)は、予備張力ばね機構(76)を有し、これにより、前記ダイ受入れ部分(66)に挿入された交換式ダイ(10)に、前記ダイ受入れ部分(66)の導入開口部から遠ざかる方向に予備張力がかけられることを特徴とする、請求項又は請求項6の1行から「接合工具であって、」までに記載の接合工具。
【請求項11】
前記受入れスリーブ(74)に、前記本体(70)に対して前記導入開口部から遠ざかる方向で軸線方向に予備張力がかけられることを特徴とする、請求項10に記載の接合工具。
【請求項12】
前記受入れスリーブ(74)に、前記導入開口部から遠い側の端の領域において、前記受入れスリーブ(74)と前記本体(70)に堅固に接続された予備張力ペグとの間に作用する前記予備張力ばね機構(76)によって、予備張力がかけられることを特徴とする、請求項10に記載の接合工具。
【請求項13】
接合工具(60)が、請求項6から請求項12までのいずれかに記載の接合工具であるか、又は、交換式ダイ(10)が、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の交換式ダイである場合における、交換式ダイ(10)用のダイ受入れ部分(66)を有する接合工具(60)を用いて接合するための方法であって、
交換式ダイ(10)を前記接合工具(60)のダイ受入れ部分(66)に挿入し、前記ダイ受入れ部分(66)と前記交換式ダイ(10)との間にプラグ・アンド・ターン接続を確立させように、前記ダイ受入れ部分(66)と前記交換式ダイ(10)との間に軸線方向相対運動及び相対回転生じさせる、移送ステップと、
前記交換式ダイ(10)を用いて接合プロセスを実行するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合工具用の交換式ダイであって、ダイ構造部が形成されたダイヘッドと、ダイヘッドから軸線方向に延びたダイシャンクとを有し、ダイシャンクは、接合工具のダイ受入れ部分のシャンク・レセプタクルに挿入可能であり、交換式ダイを接合工具に締結するための締結輪郭が交換式ダイ上に形成されており、締結輪郭が、交換式ダイと接合工具との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立されるように構成された、交換式ダイに関する。
【0002】
さらに、本発明は、交換式ダイ、特に上述の型式の交換式ダイのダイシャンクを受け入れるためのダイ受入れ部分を有する接合工具であって、交換式ダイを接合工具に締結するための締結装置がダイ受入れ部分上に形成され、締結装置は、交換式ダイと接合工具との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立されるように構成された、接合工具に関する。
【0003】
最後に、本発明は、交換式ダイ用のダイ受入れ部分を有する接合工具によって接合するための方法であって、交換式ダイを接合工具のダイ受入れ部分の中に移送するステップであって、ダイ受入れ部分と交換式ダイとの間に軸線方向相対運動が生じる、移送するステップと、交換式ダイを用いて接合プロセスを実行するステップとを含む方法に関する。
【背景技術】
【0004】
上記型式の交換式ダイ及び接合工具並びに接合方法は、特許文献1及び特許文献2から公知である。
【0005】
使用される交換式ダイは、クリンチ用又はリベット締め用、特に打抜きリベット締め用に使用することができる。ダイ構造部は、例えば、軸線方向凹部とすることができ、これは中央部に隆起を有する又は隆起を有さない等の、切頭円錐状に形成することができる。
【0006】
接合工具は、上記の接合プロセスに適した工具とすることができ、そうした工具は、具体的にはC形フレームを有し、その一方の脚部上に工具、例えばパンチプレス工具が配置され、その他方の脚部に交換式ダイが固定される。
【0007】
交換式ダイをダイ受入れ部分に締結するための今までの通例の概念は、ダイ受入れ部分に、シャンク・レセプタクルに向かう横穴を設けることにある。この横穴を介して、交換式ダイを例えばグラブねじを用いて固定することができる。しかしながら、この型式の締結では、ダイの自動化交換を可能にするには多大な努力を伴う。さらに、横穴が比較的大きいので、ダイ受入れ部分が強度に関して脆弱化することになる。
【0008】
上記問題を回避するために、特許文献3は、工具又は工具ホルダをダイ受入れ部分に取外し可能に締結するために、ダイ受入れ部分に穴を設け、この穴の中に締結手段を設け、この締結手段がダイ受入れ部分の穴壁上で支持されることを開示する。これは、例えば、ねじ係合によって又は穴を介して工具ホルダに作用するねじによって行うことができるが、ダイとは反対側の端から行われる。特許文献3は、軸線方向の固定の目的でクランプ手段を設けることも記載しており、これはスピンドル・ノーズ原理に従って形成することができ、又はエラストマー要素を用いて実現することができる。
【0009】
ダイを固定するためにダイ受入れ部分内に横穴を設けなければならないという問題はこの方法で回避されるが、自動ダイ交換を実現するには未だ困難が伴う。
【0010】
比較的簡単に交換できる交換式ダイは、例えば特許文献4から公知である。特許文献4において示されている交換式ダイは、ダイヘッド及びダイシャンクを有し、ダイシャンク上に半径方向溝を設ける。C形フレーム上にクイックチェンジ・レセプタクルを設けることが可能であり、これは例えばラッチ又はクランプ接続として構成することができる。さらに特許文献4は、ダイヘッド及びダイを保管保持することができる交換ステーションを開示する。
【0011】
上記特許文献1は、接合工具上のダイの自動化交換が可能な、交換式ダイと接合工具との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立される交換式ダイシステムを開示する。自動化交換は、この事例では、一方で可能な限り迅速に実現することができる。しかしながら他方で、好ましくは交換式ダイとダイ受入れ部分との間で軸線方向に高い保持力を確立することができ、この保持力は、接合動作後に交換式ダイがダイ受入れ部分から偶発的に引き抜かれることを防止する。
【0012】
プラグ・アンド・ターン接続は、交換式ダイと接合工具との間の相対的軸線方向オフセットと、交換式ダイと接合工具との間の相対的回転オフセットとによって確立されるものとして理解され、これら2つの相対オフセットは連続して行うことができ、又は互いに少なくとも部分的に重複した方式で行うことができる。典型的なプラグ・アンド・ターン接続は、差込み(bayonet)接続である。プラグ・アンド・ターン接続の利点は、特許文献1及び特許文献2に広範に記載されている。これら2つの特許文献の開示の全内容を本明細書で引用する。
【0013】
特許文献1に記載された型式の交換式ダイと接合工具との間のプラグ・アンド・ターン接続の生成の際に、ロボットによる自動化手段でシャンク・レセプタクル内に交換式ダイを導入すること又は引き抜くことは、交換式ダイとダイ受入れ部分のシャンク・レセプタクルとの間の案内長さが比較的長いことを考慮すると困難である。さらに、特許文献1に開示されている変形において、ばね装置によって交換式ダイに予備張力がかけられ、このばね装置は、交換式ダイに下から軸線方向に当接し、交換式ダイに対してシャンク・レセプタクルから外に出る方向に予備張力をかける。この結果、接合プロセスに先立って、ダイヘッドの下面がダイ受入れ部分の上面に対してわずかに突出する場合があり、このことにより接合プロセス中に微小運動が生じる場合がある。特許文献1に記載の変形では、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために用いられる横方向ペグを受け入れるための2つの横穴をシャンク・レセプタクルの導入開口部に隣接したダイ受入れ部分の上部に設けることもまた必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国実用新案第20 2013 011 928号明細書
【特許文献2】独国実用新案第20 2013 011 927号明細書
【特許文献3】独国実用新案第20 2006 013 082号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第103 35 085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この背景に鑑みて、本発明の目的は、上述の欠点の少なくとも1つを軽減し又は克服する、改善された交換式ダイ、改善された接合工具及び改善された接合方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
冒頭で言及した交換式ダイの場合、この目的は、ダイシャンクが、ダイヘッドに隣接した、第1のシャンク部分直径を有する第1の軸線方向シャンク部分を有し、ここでダイシャンクが、ダイヘッドから見て第1の軸線方向シャンク部分の軸線方向反対側に配置された、第1のシャンク部分直径より小さい第2のシャンク部分直径を有する第2の軸線方向シャンク部分を有することで達成される。
【0017】
さらに、上記目的は、冒頭で言及した型式の接合工具であって、ダイ受入れ部分が、ダイ受入れ部分の導入開口部に隣接した、第1の受入れ直径を有する第1の軸線方向受入れ部分を有し、ダイ受入れ部分が、導入開口部から見て第1の軸線方向受入れ部分の反対側に配置された、第1の受入れ直径より小さい第2の受入れ直径を有する第2の軸線方向受入れ部分を有する、接合工具によって達成される。
【0018】
最後に、上記目的は、冒頭で言及したタイプの接合方法であって、本発明による型式の接合工具が接合工具として用いられ、及び/又は本発明による型式の交換式ダイが交換式ダイとして用いられる方法によって達成される。
【0019】
このようにして実現される接合システムにおいて、ダイシャンク及びダイ受入れ部分は、協働する対を形成し、ここで、第1の軸線方向シャンク部分は、第1の軸線方向受入れ部分に割り当てられ、第2の軸線方向シャンク部分は、第2の軸線方向受入れ部分に割り当てられる。ダイシャンク及び/又はダイ受入れ部分を異なる直径を有する第1及び第2の軸線方向部分に細分することで、特許文献1に記載の型式の交換式ダイと比べて案内長さを短くすることが可能である。これにより、ロボットなどの手段によって自動化方式で交換式ダイを接合工具に導入し及び引き抜くことが可能になり、ダイと接合工具との間の傾斜した位置決めによる詰まりのリスクが軽減される。したがって、出し入れの際の「スティック−スリップ」と呼ばれる現象を防止し又は低減することができる。加えて、この構成は、多くの変形において、プラグ・アンド・ターン接続を確立するための締結輪郭を半径方向でコンパクトに形成することを可能にする。
【0020】
多くの変形において、これはまた、ダイ受入れ部分がこの領域内で剛直に形成されるという点で、生じる張力に関して導入開口部の領域内のダイ受入れ部分を最適化することもまた可能にする。
【0021】
ダイシャンク及びダイ受入れ部分の第1及び第2の軸線方向部分はそれぞれ、各々がゼロより大きい長さを有する。好ましくは、直径は、各々の場合において、これらの軸線方向部分において均一又は一定であり、その結果、軸線方向部分の少なくとも1つは、交換式ダイとダイ受入れ部分との間で傾きなく案内するための役割を果たすことができるようになっている。
【0022】
ダイシャンク及びダイ受入れ部分の軸線方向部分は、それぞれ中間部分によって分離されることが好ましい。中間部分は、同様にゼロより大きい長さを有することが好ましい。好ましくは、中間部分は、第1の直径から第2の直径への移行を実現するために、円錐形又はほぼ円錐状に形成される。
【0023】
第2の直径は、第1の直径の0.8倍未満であることが好ましい。ダイシャンク及びダイ受入れ部分の第1の軸線方向部分の軸線方向長さは、それぞれ、第2の軸線方向部分の軸線方向長さの0.8倍と第2の軸線方向部分の軸線方向長さの1.2倍との間にあることが好ましい。中間部分の軸線方向長さは、それぞれ、ダイシャンク及びダイ受入れ部分の第1の軸線方向部分の軸線方向長さの少なくとも半分であることが好ましく、この軸線方向長さの少なくとも4分の3であることが好ましい。
【0024】
ダイヘッドに対し隣接した第1の軸線方向シャンク部分の配置は、第1の軸線方向シャンク部分が、ダイヘッドに直接隣接することもできるが、移行部分、例えば溝付き部分を介してダイヘッド又はその下面に隣接することもできることを意味する。
【0025】
このようにして、目的が完全に達成される。
【0026】
本発明によれば、さらに、交換式ダイの締結輪郭は、第2の軸線方向シャンク部分の領域内に形成される。この場合に、締結輪郭の半径方向範囲は、第1のシャンク部分直径以下とすることができる
【0027】
この構成を有する本発明において、第1の軸線方向シャンク部分は、もっぱら、ダイ受入れ部分の領域内での、特にその第1の軸線方向受入れ部分における案内の目的で役立つことができる。第2の軸線方向シャンク部分は、特にダイ受入れ部分の第2の軸線方向受入れ部分において、同様に案内の役割を果たすことができる。接合工具に対するプラグ・アンド・ターン接続を確立するための締結輪郭を第2の軸線方向シャンク部分の領域内に設けるという対策の結果として、締結輪郭は、半径方向に突出した輪郭として形成することができる。さらに、ダイ受入れ部分の中に受入れスリーブを挿入することが可能であり、第2の軸線方向シャンク部分はこの受入れスリーブの中に通され、交換式ダイの締結輪郭との組合せでプラグ・アンド・ターン接続を実現するための締結装置は、好ましくはこの受入れスリーブ上に設けられる。
【0028】
第2の軸線方向シャンク部分の領域内での締結輪郭の形成は、軸線方向で第2の軸線方向シャンク部分の第1の軸線方向端と第2の軸線方向端との間に締結輪郭を形成することができることを意味する。しかしながら、代替的な実施形態において、第2の軸線方向シャンク部分に隣接して締結輪郭を形成することもでき、これも同様にその領域内の形成を表すことを意図する。
【0029】
締結輪郭の半径方向範囲は、第1のシャンク部分直径以下であり、第2の軸線方向シャンク部分は、第2のシャフト部分直径より少しだけ大きい開口部の中に容易に導入することができ、したがってその案内の役割を果たすことができる。
【0030】
さらなる好ましい実施形態によれば、締結輪郭は、ダイシャンクに対して半径方向に突出した少なくとも1つのロック部材を有する。
【0031】
ロック部材は、例えば、差込み型プラグ・アンド・ターン接続の差込みスロットに導入可能な、差込み突起の様式で形成することができる。
【0032】
好ましくは、ロック部材は、第2の軸線方向シャンク部分に対して半径方向に突出する。第2の軸線方向シャンク部分上の対称な位置にロック部材を形成することが特に好ましい。
【0033】
この点に関して、締結輪郭は、ペグ様突起によって形成されることが特に有利であり、これはダイシャンクと一体に形成することもでき、又はダイシャンク内の半径方向穴に導入される半径方向ペグとして形成することもできる。
【0034】
ペグ様突起、又は半径方向穴は、具体的には、第2の軸線方向シャンク部分の領域内に形成することができる。ペグ様突起、又は半径方向ペグは、半径方向穴の軸線方向の両側でダイシャンクに対して外方に延びることができる。
【0035】
上述の実施形態において、プラグ・アンド・ターン接続が確立され、この場合、ロック部材は交換式ダイ上に形成され、差込みスロットの形態の締結装置は接合工具のダイ受入れ部分上に実現される。
【0036】
代替的な実施形態において、交換式ダイの締結輪郭は、第2の軸線方向シャンク部分の自由端の領域内に配置されたノーズ機構上に形成された少なくとも1つの差込みスロットを有する。
【0037】
この実施形態においてもまた、締結輪郭は、結果として第2の軸線方向シャンク部分の領域内に形成される。この場合、交換式ダイは、接合工具とのプラグ・アンド・ターン接続を確立するように構成され、接合工具のダイ受入れ部分上に、ダイの差込みスロットと相互作用することができる半径方向に延びたロック部材が形成される。
【0038】
上記で接合工具に対する交換式ダイのプラグ・アンド・ターン接続に言及する場合、このようなプラグ・アンド・ターン接続は、交換式ダイと移送ステーションとの間にも確立することができることが理解されるであろう。しかしながら、別の選択肢として、交換式ダイは、そのような移送ステーションにおいて回転駆動輪郭で保持されることもでき、その回転駆動輪郭は、上記の2つの実用新案公報に開示されるように、例えばダイヘッド上に形成される。
【0039】
本発明による接合工具において、ダイ受入れ部分は、本体と、受入れスリーブとを有することが有利であり、受入れスリーブが挿入される穴が本体に形成される。
【0040】
本体は、例えばドーム状に形成することができ、これは、そのような接合工具のC形フレームのC端に取外し可能又は取外し不能な方式で取り付けられる。
【0041】
本体の受入穴は、止まり穴とすることができるが、貫通穴であることが好ましい。
【0042】
交換式ダイのダイシャンクの少なくとも一部を、受入れスリーブの中に導入することができる。
【0043】
第2の軸線方向受入れ部分は、受入れスリーブによって形成されることが特に有利である。
【0044】
この実施形態において、第1の軸線方向受入れ部分は、本体の受入れ穴によって形成されることが特に有利である。
【0045】
交換式ダイに対するプラグ・アンド・ターン接続を確立するための締結装置は、ダイ受入れ部分の本体上に配置することができる。
【0046】
しかしながら、締結装置は、受入れスリーブ上に形成されることが特に有利であり、この場合、受入れスリーブは、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために交換式ダイの締結輪郭と相互作用することができる受入れスリーブ輪郭を有することが好ましい。
【0047】
好ましくは、受入れスリーブ輪郭は、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために交換式ダイの半径方向突起又は他の何らかのロック手段が係合することができる、少なくとも1つのスリーブ差込みスロットを有する。
【0048】
変形において、受入れスリーブ輪郭は、この場合、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために交換式ダイの差込みスロットと係合することができる、少なくとも1つの半径方向内方に突出した受入れ突起を有する。
【0049】
請求項6の前文との組合せで別個の発明を表すさらなる好ましい実施形態によれば、接合工具は、予備張力ばね機構を有し、これにより、ダイ受入れ部分に挿入された交換式ダイに、ダイ受入れ部分の導入開口部から遠ざかる方向に予備張力がかけられる。
【0050】
結果として、予備張力ばね機構によって、ダイヘッドの下面を、導入開口部の領域内のダイ受入れ部分の上側に常に当接させることが可能である。したがって、ダイに逆方向に予備張力がかけられている場合には生じる可能性がある接合プロセス中の微小運動を、回避することができる。
【0051】
予備張力ばね機構の予備張力は、プラグ・アンド・ターン接続のラッチ配置を固定するために用いることもできる。この場合、例えば、プラグ・アンド・ターン接続の差込みスロットは、軸線方向溝を有することができ、交換式ダイの接合工具上での締結位置をラッチ方式で固定するために、ロック部材又は半径方向突起がその軸線方向溝の中に予備張力ばね機構によって押し込まれる。
【0052】
一般に、予備張力ばね機構は、この場合、交換式ダイとダイ受入れ部分の本体との間で作用することができる。
【0053】
しかしながら、受入れスリーブに、本体に対して導入開口部から遠ざかる方向で軸線方向に予備張力をかけることが特に好ましい。
【0054】
この実施形態は、プラグ・アンド・ターン接続を確立することができる締結装置が受入れスリーブ上に形成される場合に特に有利である。
【0055】
さらに、ここでは、受入れスリーブに、その導入開口部から遠い方の端の領域内で予備張力ばね機構によって予備張力をかけることが有利であり、予備張力ばね機構は、この場合、受入れスリーブと本体に堅固に接続された予備張力ペグとの間に作用する。
【0056】
予備張力ペグは、例えば、本体内の横穴を通って案内される横方向ペグとすることができ、受入れスリーブに導入開口部から遠ざかる方向に張力をかけるために、予備張力ばね機構をこの横方向ペグに当接して支持することができる。
【0057】
この場合、このような予備張力ペグ又は横方向ペグを通すための軸線方向に細長い孔を、受入れスリーブ内に設けることができる。これは、同時に、受入れスリーブの軸線方向移動をこのような細長い孔によって制限することも可能にする。最大移動は、例えば、例えば差込みスロットの領域内に設けたラッチ溝の深さに対応するものとすることができる。全体として、ダイ・ラッチ手段を交換式ダイ上に形成して、交換式ダイが接合工具に対して回転位置及び/又は長手位置でラッチ方式で固定可能になるようにすることがさらに好ましい。
【0058】
結果として、交換式ダイとダイ受入れ部分との間の形状による嵌合い(form−fitting)及び/又は力による嵌合い(force−fitting)接続が偶発的に外れないことを保証することができる。
【0059】
全体として好ましいさらなる実施形態によれば、交換式ダイ上に回転駆動輪郭が形成され、交換式ダイを回転させるための回転装置をこの回転駆動輪郭に作用させることが可能であり、この回転駆動輪郭は、好ましくはダイヘッド上に形成される。
【0060】
このような回転駆動輪郭によって、第一に、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために、交換式ダイを標的を定めた方式で回転させることが可能である。
【0061】
さらに、回転駆動輪郭によって、移送ステーション内で定められた回転位置に交換式ダイを保持することが可能である。
【0062】
移送ステーションは、少なくとも1つの交換式ダイを一時保管する役割を果たし、交換式ダイは、その交換式ダイを用いる少なくとも1つの接合動作を行うために接合工具によって移送ステーションから取り出すことができ、ひとたび接合動作が行われると、移送ステーションに戻されて再び保管することができる。好ましくは、このような移送ステーションは、交換式ダイが保管から取り出されたときに交換式ダイと接合工具との間にプラグ・アンド・ターン接続が確立されるように交換式ダイを回転させるための回転装置を有する。
【0063】
このような移送ステーションは、接合工具及び複数の交換式ダイと共に接合工具システムを形成することができる。
【0064】
移送ステーション内で、交換式ダイは、もっぱらそのヘッドによってその中に保持されることがさらに好ましく、このときダイシャンクは移送ステーションの交換式ダイ・レセプタクルに対して突き出しており、接合工具は、移送ステーションに保持されている交換式ダイのダイシャンクが接合工具のダイ受入れ部分に導入されるように動くことができる。
【0065】
回転駆動輪郭によって、交換式ダイは、プラグ・アンド・ターン接続を確立するために、この場合には、好ましくは、回転状態でセットする(又は回転位置で保持する)ことができる。
【0066】
さらに好ましい構成によれば、交換式ダイは、随意に検出可能な識別手段を備え、及び/又は、ダイ受入れ部分に対する交換式ダイの相対運動が発生した場合に音響的に検出可能な音響信号を生じさせることができる識別手段を備える。
【0067】
さらに、本発明による接合工具において、回転位置及び/又は長手方向位置においてラッチ方式でダイ受入れ部分内に交換式ダイを固定するために、ダイ・ラッチ手段と相互作用するように構成された工具ラッチ手段を設けることが全体として有利である。
【0068】
上記特徴及び後述する特徴は、各事例で与えられる組合せのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組合せで、又はそれ自体で使用できることは言うまでもない。
【0069】
本発明の例示的な実施形態は、図面に示され、より詳細に以下の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明による交換式ダイの第1の実施形態の斜視図を示す。
図2図1の交換式ダイの分解図を示す。
図3図1の交換式ダイの側面図を示す。
図4図3に比べて90°回転した図1の交換式ダイの側面図を示す。
図5】本発明による交換式ダイのさらなる実施形態の斜視図を示す。
図6図1から図4までの交換式ダイ及び接合工具のダイ受入れ部分の分解図を示す。
図7】プラグ・アンド・ターン接続が生成されたダイ受入れ部分及び挿入された状態の交換式ダイの、図6の線VII−VII上の断面図を示す。
図8図7に相当するが90°回転した、図6の線VIII−VIII上の図を示す。
図9図6のダイ受入れ部分の受入れスリーブの側面図を示す。
図10図9の受入れスリーブの斜視図を示す。
図11図9の受入れスリーブの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1から図4までは、一般呼称10を有する本発明による交換式ダイの実施形態を模式的に示す。
【0072】
交換式ダイ10は、断面が円形であることが好ましいダイヘッド12と、同じく断面が円形であることが好ましいダイシャンク14とを有する。ダイシャンク14の直径は、ダイヘッド12の直径より小さいことが好ましい。長手方向軸線を16で示す。
【0073】
ダイヘッド12は、ダイシャンク14から遠い側にヘッド端面20を有する。ヘッド端面20上に、ダイ構造部18が、打抜きリベット締め又は他の接合プロセスに関して従来の通り、例えば軸線方向凹部の形態で形成される。
【0074】
ダイヘッド12のヘッド周囲部分24上に回転駆動輪郭22が形成され、これは弦状に延びた1つ又は2つの半径方向溝によって形成することができる。
【0075】
シャンク周囲部分を図中26で示す。ダイヘッド12から遠い方のシャンク端面を28で示す。
【0076】
ダイシャンク14上に締結輪郭30が形成される。締結輪郭30は、接合工具のダイ受入れ部分に対するプラグ・アンド・ターン接続を確立する。締結輪郭30は、本事例では、ダイシャンク14に対して半径方向に突出したロック部材32によって形成される。図2に示すように、ロック部材32は、ダイシャンク14内の半径方向穴36に挿入される半径方向ペグ34によって形成され、半径方向ペグ34がダイシャンク14に対して半径方向穴36の両端に突出するようになっている。
【0077】
ダイシャンク14は、ダイヘッド12のヘッド下面42に隣接した第1の軸線方向シャンク部分40を有する。より正確に言うと、第1の軸線方向シャンク部分40は、溝付き部分44を介してヘッド下面42に隣接する。第1の軸線方向シャンク部分40は、軸線方向長さL1を有するとともに、軸線方向長さL1に沿って均一且つ一定の第1のシャンク部分直径D1を有する(図3及び図4参照)。
【0078】
ダイシャンク14は、ダイヘッド12から見て第1の軸線方向シャンク部分40の軸線方向反対側に配置された、第2の軸線方向シャンク部分46をさらに有する。第2の軸線方向シャンク部分46は、軸線方向長さL2を有するとともに、この軸線方向長さL2に沿って均一且つ一定の、D1より小さい直径D2とを有する。横穴36は、第2の軸線方向シャンク部分46の領域内で、詳細にはそのほぼ軸線方向中心で、ダイシャンク14を貫通する。
【0079】
第1の軸線方向シャンク部分40及び第2の軸線方向シャンク部分46は、本事例では円錐部分の形態の中間部分48を介して互いに離間する。中間部分48は、軸線方向長さL3を有する。さらに、溝付き部分44は、軸線方向長さL4を有する。さらに、半径方向ペグ34は、長さL5を有する。これらの寸法に関して、以下の関係式が成り立つことが好ましい。
0.8L2<L1<1.2xL2
D2<0.85xD1
L3≧0.5xL1
L5<D1
L5≧D2
【0080】
上記関係は、単独で、又はあらゆる所望の互いの組合せで成り立つ。
【0081】
図5は、交換式ダイ10’の代替的な実施形態を示し、これは、構造及び動作に関して全体的に図1から図4までの交換式ダイ10に対応する。したがって、同一要素は、同一符号で特徴付けられる。以下の文章において説明するのは、本質的に差異である。
【0082】
ダイシャンク14’は、中間部分48’を有し、その軸線方向長さは、第1の軸線方向シャンク部分40’の軸線方向長さ及び第2の軸線方向シャンク部分46’の軸線方向長さより長く、具体的には3倍長い。第1の軸線方向シャンク部分40’の軸線方向長さと、第2の軸線方向シャンク部分46’の軸線方向長さとは、ほぼ同じである。
【0083】
締結輪郭30’は、第2の軸線方向シャンク部分46の領域内に、詳細には第2の軸線方向シャンク部分の自由端に隣接して、設けられる。本事例では、締結輪郭30’は、第2の軸線方向シャンク部分46’の自由端に対して軸線方向に突出した第1のノーズ50及び第2のノーズ52によって形成される。2つのノーズ50、52は、これらがダイ差込みスロット54を形成するように形作られ、これが本事例において締結輪郭30’を形成する。ダイ差込みスロット54は、2つのノーズ50と52との間に半径方向に形成されたダイ導入スロット56と、ダイ・ロック・スロット58とを含む。プラグ・アンド・ターン接続を確立するために、ダイ導入スロット56の領域内で横方向ペグの形態のロック部材をノーズ50、52の間に軸線方向に導入することができる。その後の相対回転によって、このようなロック部材は、次いでダイ・ロック・スロット58の中に入り込み、このダイ・ロック・スロット58は、実質的に半径方向又は接線方向に配向するとともにラッチ溝を含むことができ、このような横方向ペグは、取付け位置でそのラッチ溝の中に入ることができ、ラッチ方式でこの取付け位置で固定されるようになっている。
【0084】
プラグ・アンド・ターン接続は、本事例では実質的に差込み接続に対応する。
【0085】
図6から図11までは、接合工具60の部分を示し、ここで接合工具60は、本事例ではドームの形態のダイホルダ62を有し、これは、接合工具60のフレーム、例えば打抜きリベット締めプロセス用のC形フレームに、取外し可能な接続を介して剛に接続される。取外し可能な接続を確立するために、ダイホルダ62に締結穴64を設ける。ダイホルダ62は、結果として簡単に交換可能である。しかしながら、ダイホルダをC形フレームに統合し又は一体に接続することもできる。
【0086】
ダイホルダ62上に、図1から図4までの交換式ダイ10を挿入することができるダイ受入れ部分66が形成される。ダイ受入れ部分66は、締結装置68を含み、これは、図1から図4までの交換式ダイの締結輪郭30と相互作用して、交換式ダイ10とダイ受入れ部分66との間にプラグ・アンド・ターン接続が差込み接続方式で確立できるようになっている。
【0087】
ダイホルダ62は、締結穴64を設けた本体70を有し、これはドーム状に延びた部分を有し、その中に軸線方向に連続した受入れ穴72が形成される。ダイホルダ62は、受入れ穴72の中に挿入される受入れスリーブ74をさらに有する。受入れスリーブ74に、予備張力ばね装置76によって、受入れ穴72の導入開口部から軸線方向に遠ざかる方向に予備張力がかけられる。この目的で、受入れスリーブ74は、横方向ペグ80を通す2つの細長い孔78を有し、この横方向ペグ80は、本体70内の横穴82の中に導入される。受入れスリーブ74は、結果として、本体に対して細長い孔78の軸線方向長さによって制限された変位が可能となるように取り付けられる。予備張力ばね装置76は、内部に形成されたばねを有するケージで作られたばね機構84、例えば圧力ボール(pressure ball)を有する。ばね機構84は、横方向ペグ80と受入れスリーブ74の環状肩部86との間で軸線方向に作用し、この環状肩部86は、受入れ穴72の導入開口部から見て横方向ペグ80の反対側に形成される。ばね機構84は、結果として、受入れスリーブ74に、本体70に対して受入れ穴72の導入開口部から軸線方向に遠ざかる方向に予備張力をかける。
【0088】
この予備張力位置において、受入れスリーブ74の導入開口部に隣接した軸線方向端は、図7のL6及び図8に示すように、導入開口部から離間される。受入れスリーブ74のこの端の領域に、スリーブ差込みスロット90が形成される。スリーブ差込みスロット90は、スリーブ導入スロット92を有し、これは、図1から図4までの交換式ダイ10の半径方向ペグ34が軸線方向にスリーブ導入スロット92内に導入されることができるように形作られる(図11参照)。スリーブ差込みスロット90は、スリーブ・ロック・スロット94をさらに有し、半径方向ペグ34によって形成される半径方向突起は、交換式ダイ10が接合工具60に対して回転したときにそのスリーブ・ロック・スロット94の中に導入されることができ、このようにしてプラグ・アンド・ターン接続を差込み接続方式で確立されるようになっている。
【0089】
確立されたロック位置をラッチ方式で固定することができるように、半径方向ペグ34がばね機構84によって押し込まれるラッチ凹部95をスリーブ・ロック・スロット94の周方向端に設けることができる。
【0090】
その上端の領域において、受入れスリーブ74は、受入れスリーブ74の外周を受入れスリーブ74内の内側穴の内周に実質的に接続する導入円錐96を有する。図8に示すように、導入円錐96は、円錐状に形成された交換式ダイの中間部分48とは異なる角度を有することが好ましい。
【0091】
受入れスリーブ74は、受入れ穴72に対して軸線方向に取り付けられ、受入れ穴72の導入開口部と受入れスリーブ74の上端との間に軸線方向長さL6を有する第1の軸線方向受入れ部分98が形成されるようになっている。軸線方向長さL6は、第1の軸線方向シャンク部分40の長さL1より長いことが好ましい。導入円錐96は、中間部分48の軸線方向長さに対応する軸線方向長さL3’に沿って延びる。さらに、受入れスリーブ74内の内側穴の内周は、第2の軸線方向シャンク部分46の軸線方向長さL2より長い軸線方向長さL7を有する第2の軸線方向受入れ部分100を形成する。
【0092】
第1の軸線方向受入れ部分98は、第1の軸線方向シャンク部分の直径D1に対応する直径D1’を有しており、第1の軸線方向シャンク部分40が第1の軸線方向受入れ部分98の中に傾くことなく案内されることができるようになっている。
【0093】
受入れスリーブ74の内側穴、又は第2の軸線方向受入れ部分100の直径(図7においてD2’で示す)は、第2の軸線方向シャンク部分46の直径D2より大きいことが好ましい。この事例では、第2の軸線方向シャンク部分46と第2の受入れ部分100との間に案内機能を確立することができるが、これは必ずしも絶対に必要なわけではない。
【0094】
交換式ダイ10がダイ受入れ部分66の中に導入されるとき、まず第2の軸線方向シャンク部分46が受入れ穴72の中に入る。位置合わせ不良が発生した場合、第2の軸線方向シャンク部分46は、導入円錐96を介して受入れスリーブ74内の穴の中へ通ることができ、これは本体70の受入れ穴72の中に第1の軸線方向シャンク部分40が導入されるのとほぼ同時に起こる。この事例では、半径方向ペグ34は、まずスリーブ導入スロット92に入る。その後、相対回転が行われ、そこで半径方向ペグ34がスリーブ・ロック・スロット94に入り、その過程で、随意的に半径方向ペグ34がラッチ凹部95内にラッチされるまで、随意的にばね機構84の力に逆らって、受入れスリーブ74をたわませる。こうした運動は、短い軸線方向案内長さしか必要としないので、結果として、空間内で比較的長い軸線方向案内長さを正確に実行することが困難なロボットであっても簡単に実行することができる。
【0095】
ばね機構84の結果として、交換式ダイ10は、受入れスリーブ74によって導入開口部から遠ざかる方向に引っ張られ、ヘッド下面42が本体70の上面に当接するようになっている。したがって、接合動作の際の微小運動を回避することができる。本体の上端の領域内に横穴を設ける必要がないので、本体を堅固な方式で形成することができ、したがって高い安定性を与えることができる。図6及び図8ではそうした横穴が2つ見られるが、本発明の実施形態によれば、これらの横穴を省くことが可能である。
【0096】
接合工具60を図5の交換式ダイ10’のために設定することが意図される場合、受入れスリーブ74は、スリーブ差込みスロット90ではなく、例えばこの領域内に横方向ペグを有することができ、これは、交換式ダイ10’の導入中にノーズ50と52との間を通り、相対回転中に図5のダイ・ロック・スロット58の中に導入されることができる。
【0097】
この種の横方向ペグは、図9の102に模式的に示されている。
【符号の説明】
【0098】
10、10’:交換式ダイ
12:ダイヘッド
14:ダイシャンク
16:長手方向軸線
18:ダイ構造部
20:ヘッド端面
22:回転駆動輪郭
24:ヘッド周囲部分
26:シャンク周囲部分
28:シャンク端面
30、30’:締結輪郭
32:ロック部材
34:半径方向ペグ
36:横穴
40、40’:第1の軸線方向シャンク部分
42:ヘッド下面
44:溝付き部分
46、46’:第2の軸線方向シャンク部分
48、48’:中間部分
50、52:ノーズ
54:ダイ差込みスロット
56:ダイ導入スロット
58:ダイ・ロック・スロット
60:接合工具
62:ダイホルダ
64:締結穴
66:ダイ受入れ部分
68:締結装置
70:本体
72:受入れ穴
74:受入れスリーブ
76:予備張力ばね装置
78:細長い孔
80:横方向ペグ
82:横穴
84:ばね機構
86:環状肩部
90:スリーブ差込みスロット
92:スリーブ導入スロット
94:スリーブ・ロック・スロット
95:ラッチ凹部
96:導入円錐
98:第1の軸線方向受入れ部分
100:第2の軸線方向受入れ部分
102:受入れ突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11