(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二の開口部が、前記第一の開口部と前記第三の開口部の間に配列され、前記第二の開口部の長軸が、前記第三の開口部の長軸と垂直に配列される、請求項1および5〜6のいずれか1項に記載のステントグラフト。
前記第二のステントグラフト延在部の第一の端部が先細になっており、前記第三のステントグラフト延在部の第一の端部が先細になっている、請求項1〜13のいずれか1項に記載のステントグラフト。
前記隔膜、前記第一のステントグラフト延在部、前記第二のステントグラフト延在部、および前記第三のステントグラフト延在部が、前記ステントグラフト本体と単一の単位構造を形成する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のステントグラフト。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
例示的なステントグラフトおよび該ステントグラフトの配置の方法が、本明細書に記載される。本明細書に記載された任意の例示的実施形態または特色は、必ずしも他の実施形態または特色よりも好ましい、または有利であると見なされるとは限らない。本明細書に記載された例示的実施形態は、限定を意味するものではない。開示された方法の特定の態様が、種々の異なる構成で配列され、組み合わされ得ること、そしてそれらの全てが本明細書において企図されることは、即座に理解されよう。
【0019】
さらに、図に示された個々の配列は、限定と見なすべきではない。他の実施形態が、所与の図に示された各要素を幾分か含み得ることが、理解されなければならない。さらに、図解された要素の幾つかは、組み合わせること、または省略することが可能である。さらに例示的実施形態は、図に表されていない要素を含み得る。
【0020】
本明細書で用いられる「約」は、±5%を意味する。
【0021】
本明細書で用いられる直径の範囲は、ステントグラフトおよびステントグラフト延在部の非抑制のエクスビボ状態に関係する。ステントグラフトおよびステントグラフト延在部が、インビボ状態で留置されている場合、直径範囲は、エクスビボ状態よりも約10〜20%程度小さな直径であろう。
【0022】
本明細書で用いられる「腎動脈上」は、腎臓に隣接する領域を意味する。
【0023】
本明細書で用いられる「腎臓下」は、腎臓の下での状況または発生を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる「内臓主要部」は、腎動脈、上腸間膜動脈(「SMA」)、および腹腔動脈に付着した大動脈の部分を指す。
【0025】
本明細書で用いられる「基端」は、留置の際に「先端」よりも患者の心臓に近い位置にあるステントグラフト本体の端部を指す。
【0026】
本明細書で用いられる「封着リング」は、液体での密封を生成するために外向きの円周力を加えるように構成された構造である。幾つかの実施形態において、この円周力は、ステントグラフト本体の側壁に対して横方向に加えられ得る。他の実施形態において、円周力が加えられて、ステントグラフト本体の側壁における穴または開口部を開放状態および血管構造との接触状態の両方に維持することができる。封着リングは、数ある可能性の中で、円形もしくは楕円であり得、連続もしくは不連続であり得、そして/またはステントグラフト本体の側壁において陥凹もしくはホタテ貝形の穴を収容するような外形であり得るか、もしくは二段形状を有し得る。封着リングは、数ある可能性の中で、ニチノールなどの弾性反跳材料、標準のステント構造、または真直ぐな強化ワイヤー、ガスケットもしくは「O」リングと類似の封着構造を形成し得る注射可能な封着剤を含み得る。
【0027】
本明細書で用いられる「受動的な固定」は、摩擦、グラフトの布の間の相互作用、ステント構造の半径方向力、および重複部位でステントグラフトの構成部品を互いに保持する血圧を指す。
【0028】
本明細書で用いられる「能動的な固定」は、数ある可能性の中で、フック、二方向型フック、ステント構造要素、アンカー、ステープル、生体活性化接着剤、またはそれらの組み合わせをはじめとする血管構造を能動的に係合し得るステント、グラフトもしくはステントグラフト、または他のステントグラフトに結びつく特色を指す。
【0029】
本明細書で用いられる「糸」は、例えばGORE−TEX(登録商標)縫合糸などの低摩擦材料を指す。
【0030】
測定に関連して本明細書で用いられる「約」は、±5%を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「ステントグラフト」は、ステントによって支持された液密(即ち、血液密封)布地を含む管状で放射状拡張型のデバイスであり、患部動脈を橋渡しするために用いられ得る。そのようなステントグラフト、ならびにそれらの留置および使用の方法は、当業者に知られる。例えば、非限定的に、ガイドワイヤー、カテーテル、そして最終的にステントグラフトをはじめとする物品が通過される患者の動脈に、血管シースを導入することができる。
【0032】
本明細書で用いられる「ステント」は、典型的には円筒状のフレームであり、人工器官または天然の血管構造へ剛性、拡張力または支持を加える任意のデバイスまたは構造を意味するが、「ステントグラフト」は、長さの少なくとも一部を通して液密ルーメンを形成する、結合したステントおよびグラフト材料を含む人工器官を指す。本明細書で用いられる「液密」は、血液または血液製剤(即ち、血清およびその内容物)が通過するのを予防し、それによりエンドリークを予防するように構成されているか、またはインビボ留置により予防することが可能になる、バリアを意味する。例えばステント構造は、コイル状、メッシュ、ジグザグまたは織物のワイヤーまたはレーザカットチューブを含み得る。「グラフト」は、ステントの内部、外部またはその両方に配設され得る先細構成における実質的に円筒状の直線状または非直線状グラフトである。幾つかの実施形態において、グラフトは、複数のルーメンを有する単位構造として織られ得る。例えばステントグラフト本体、隔膜、2つの腎臓ルーメン、腎臓下ルーメンおよび内臓空洞は、全て単位構造として一緒に織られ得るか、または単位構造を形成するように他の方法で一緒にまとめられ得る。さらに、グラフトと協同で用いられる場合のステント構造は、グラフトに沿って配設された一連の離れたステントリングをさらに含み得る。非限定的に、縫合糸、接着ボンド、加熱溶接、および超音波溶接をはじめとする非常に様々な取り付け機構が、ステントとグラフトを互いに接合させるのに利用可能である。
【0033】
ステントは、非限定的に、グラフトに取り付けられる生体適合性金属、埋込み可能な品質のステンレス鋼ワイヤー。ニッケルおよびチタン合金、ならびに生体適合性プラスチックをはじめとする、任意の適切な材料で作製され得る。任意の適切な液密(即ち、血液密封)グラフト材料が、用いられ得る。好ましい実施形態において、該グラフト材料は、非限定的に、織られたまたは編まれたポリエステル、例えばポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびそれらのコポリマー;フッ素化ポリマー、例えばPTFE、拡張型またはエレクトロスパンのPTFEおよびポリ(フッ化ビニリデン);ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン;ならびにポリエーテルウレタン、ポリウレタン尿素、ポリエーテルウレタン尿素、炭酸結合を含有するポリウレタン、織られたニッケル−チタン、およびシロキサンセグメントを含有するポリウレタンをはじめとする生体適合性布地である。生来、生体適合性でない材料は、該材料を生体適合性にするために、表面改質を受けることができる。表面改質の例としては、材料表面からの生体適合性ポリマーのグラフト重合、架橋された生体適合性ポリマーでの表面のコーティング、生体適合性官能基での化学修飾、およびヘパリンまたは他の物質などの相溶化剤の固定が挙げられる。グラフト材料はまた、細胞外マトリクス材料を含み得る。
【0034】
被覆されたステントグラフトは、非限定的に、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)裏地のニッケル−チタン合金ステントをはじめとする任意の適切な材料で作製され得る。ステントグラフトは、好ましくは被覆されていて、可撓性である。該ステントグラフトは、任意の他の適切な構成要素、例えば、非限定的に、ヘパリンの共有結合をはじめとする表面改質を含み得る。
【0035】
図9〜
図16に示された第一の態様において、本発明は、
第一の端部および第二の端部を有するルーメンを画定するステントグラフト本体と、
該ステントグラフト本体に連結され、少なくとも3つの開口部を画定する隔膜と、
それぞれがルーメンを画定する少なくとも3つのステントグラフト延在部であって、該少なくとも3つのステントグラフト延在部のそれぞれの第一の端部が該少なくとも3つの開口部の1つに連結されている、少なくとも3つのステントグラフト延在部と、
を含む、ステントグラフトを提供する。
【0036】
ここで
図9〜
図16を参照すると、第一の端部207および第二の端部209を有するルーメンを画定するステントグラフト本体205を含むステントグラフト200が示されている。一実施形態において、ステントグラフト本体205の第一の端部207は、留置の際に、ステントグラフト本体205の第二の端部209または先端よりも患者の心臓に近い位置になるように構成されたステントグラフト200の基端であり得る。隔膜210は、ルーメン内のある位置、または第一の端部207もしくは第二の端部209で、ステントグラフト本体205に連結され得る。一実施形態において、隔膜210は、ステントグラフト本体205の第二の端部または先端209からステントグラフト本体205の中央区分までの範囲のある位置で、ステントグラフト本体205に連結され得る。この配列は、有益には、血流からの圧力を隔膜の上のステントグラフト本体の近位側壁で作用させることができ、留置されるルーメンへのステントグラフトの封着および固定を支援し得る。
【0037】
隔膜210は、少なくとも3つの開口部を画定する。例えば一実施形態において、隔膜210は、第一のステントグラフト延在部231に連結された第一の開口部230と、第二のステントグラフト延在部236に連結された第二の開口部235と、第三のステントグラフト延在部221に連結された第三の開口部220と、第四のステントグラフト延在部226に連結された第四の開口部225と、を画定し得る。様々な実施形態において、第一の開口部230は、大動脈または他の天然の血管の腎臓下区分における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得、第二の開口部235は、腹腔およびSMAまたは他の天然の血管における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得、第三および第四の開口部220、225は、腎動脈または他の天然の血管における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得る。あるいは第一の開口部230は、大動脈弓における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得、第二の開口部235は、無名血管(右総頸動脈および右鎖骨下動脈)または他の天然の血管における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得、第三および第四の開口部220、225は、左総頸動脈および左鎖骨下動脈または他の天然の血管における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得る。
【0038】
図11に示される一実施形態において、第一の開口部230は、第二の開口部235の直径よりも大きな直径を有し得る。
図11に示された別の実施形態において、第二の開口部235の直径は、第三の開口部220の直径および第四の開口部225の直径よりも大きくなり得る。
図9および
図14に示される代わりの実施形態において、第二の開口部235、第三の開口部220および第四の開口部225は、それぞれ同じサイズの直径を有し得る。
図11に示されたさらに別の実施形態において、第一の開口部230および第二の開口部235は、隔膜210内の対向する側で画定され得る。さらなる実施形態において、第一の開口部230、第二の開口部235、第三の開口部220および第四の開口部225は、それぞれ
図11に示される通り、隔膜210の異なる四分円211〜214内で画定され得る。
【0039】
図9、
図14および
図16に示されたさらなる実施形態において、第五の開口部237もまた、隔膜210において画定され得、第五のステントグラフト延在部238に連結され得る。一実施形態において、第五の開口部237は、腹腔およびSMAまたは他の天然の血管における配置でブリッジングステントを受けるために用いられ得る。一実施形態において、第一の開口部230は、第二の開口部235の直径および第五の開口部237の直径よりも大きな直径を有し得る(
図9、
図14および
図16参照)。
図16に示されたさらなる実施形態において、第二の開口部235の直径および第五の開口部237の直径は、第三の開口部220の直径および第四の開口部225の直径よりも大きくなり得る。
図9および
図14に示された通り代わりの実施形態において、第二の開口部235の直径および第五の開口部237の直径は、第三の開口部220の直径および第四の開口部225の直径と同じ寸法を有し得る。一実施形態において、
図16に示された通り、第一の開口部230、第二の開口部235および第五の開口部237は、隔膜210内で直線上に配列され得、第三の開口部220および第四の開口部225は、第一、第二および第五の開口部230、235、237を中心として、対向する側に配列され得る。加えて、
図9に示される通り、第三の開口部220および第四の開口部225は、互いに隣接して配列され得、隔膜210内の第一の開口部230とは対向する側で一緒に配列され得る。さらに一実施形態において、
図14に示される通り、第一の開口部230は、隔膜210の第一の四分円211内に配列され得、第三の開口部220は、隔膜の第二の四分円212内に配列され得、第二の開口部235および第五の開口部237は、隔膜の第三の四分円213内に配列され得、第四の開口部225は、隔膜210の第四の四分円214内に配列され得る。
【0040】
さらに別の実施形態において、隔膜210の少なくとも一部が、ステントグラフト本体205の側壁218に関して、ステントグラフト本体205の第二の端部209に向かって角度を成し得る。
図9〜
図10に示された通り、一実施形態において、隔膜210の開口部220、225、230は、隔膜210の中心において画定され得、隔膜210は、実質的に漏斗の形状であり得る。さらなる実施形態において、ステントグラフト延在部の少なくとも1つの端部は、本発明の第一の態様に関して図示および記載される通り、隔膜210に隣接して先細になり得る。この配列は、延在部またはブリッジングステントを配置するために、ガイドワイヤーのアラインメントおよびステントグラフト延在部の各ルーメンへの進入を支援し得、層流の血流を促進し得る。
【0041】
加えて一実施形態において、隔膜210の開口部は、例えばブリッジングステントまたは延在部のステントグラフトとの嵌合を強化し得る。強化材料としては、ニチノール、例えば生体適合性である任意の非拡張性で折畳み可能な材料を挙げることができる。さらなる実施形態において、隔膜210は、本発明の第一の態様に関して述べた通り、ステントグラフト本体205に対して外向きの半径方向力を加えるように構成され得る拡張性フレームを有し得る。このフレームは、血管ルーメンとの固定および封着を支援し得る。
【0042】
一実施形態において、ステントグラフト本体205の直径は、約20mm〜約65mmの範囲内であり得、好ましくは内臓区分では約23mm〜約40mmまたは約28mm〜約36mm、好ましくは胸部大動脈では約30mm〜約65mmまたは約40mm〜約55mmの範囲内であり得る。加えて、ステントグラフト本体205の長さは、約10mm〜約150mm、好ましくは約20mm〜約60mmの範囲内であり得る。さらに、第二のステントグラフト延在部236および第五のステントグラフト延在部238のそれぞれが、一例において、約0.5mm〜約40mmの範囲内の長さを有し得る。さらに別の実施形態において、第二のステントグラフト延在部236の直径および第五のステントグラフト延在部238の直径のそれぞれが、約6mm〜約14mmの範囲内であり得る。
【0043】
一実施形態において、第一のステントグラフト延在部231は、少なくとも30mmの長さを有し得、約8mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。別の実施形態において、第一の開口部230は、約8mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。さらなる実施形態において、第三の開口部220および第四の開口部225はそれぞれ、約4mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。別の実施形態において、第三のステントグラフト延在部221および第四のステントグラフト延在部226はそれぞれ、約4mm〜約12mmの範囲内の直径を有し得る。
【0044】
ステントグラフト200はまた、本発明の第一の態様に関して先に述べた通り、ステントグラフト本体205に連結された複数の封着リングを含み得る。例えば一実施形態において、複数の封着リングは、ステントグラフト本体205に連結された、または第一の端部207に直接隣接する、近位封着リング245を含み得る。一実施形態において、近位封着リング245は、上部および下部を画定する二段構造を有し得る。代わりの実施形態において、近位封着リングは、リング状であり得る。
【0045】
図13Bおよび
図23に示される一実施形態において、ステントグラフトは、ステントグラフト本体205の側壁において画定される逆U形を有し、隔膜210からステントグラフト本体205の第二の端部209まで延在する、内臓−血管開口部275を含み得る。内臓開口部は、有利には血流の遮断を回避し、腹腔およびSMA動脈へのアクセスを可能にし得る。さらなる実施形態において、複数の封着リングは、隔膜210とステントグラフト本体205の第二の端部209の間でステントグラフト本体205に連結された遠位封着リング176を含み得る。遠位封着リング276は、ステントグラフト本体205の円周の一部の周りに配列された放射状部分277と、内臓−血管開口部275とアライメントされた弓部278と、を有し得る。一実施形態において、遠位封着リング276の放射状部分277の各端部は、それぞれが約20mm〜約50mmの範囲内の曲線半径を有する2つの曲線区分279を介して、弓部278に移行し得る。さらに別の実施形態において、第一の端部207と隔膜210の間のステントグラフト本体205の長さは、約10mm〜約150mmの範囲内であり得る。さらなる実施形態において、隔膜210からステントグラフト本体205の第二の端部209までのステントグラフト本体205の長さは、約0.05mm〜約40mmの範囲内であり得る。
【0046】
別の実施形態において、本発明の第二の態様に関して以下で述べる通り、一対の向かい合うらせん状ステント構造は、第一のステントグラフト延在部231、第二のステントグラフト延在部236、第三のステントグラフト延在部221、第四のステントグラフト延在部226および第五のステントグラフト延在部238のうちの1つまたは複数に連結され得る。
【0047】
さらに別の実施形態において、ステントグラフト本体205の第一の端部207は、本発明の第二の態様に関して以下に記載される通り、固定ステントに連結され得る。
【0048】
図19に示された代わりの実施形態において、ステントグラフトは、ステントグラフト本体205の第一の端部207に付着されたステントバルブ280を含み得る。この配列において、ステントバルブの自由端は、被覆され得、該自由端とステントグラフト本体205の間を延在するステントバルブの一部は、非被覆であり得る。本明細書で用いられる「ステントバルブ」は、血流を維持するために冠動脈に重なる非被覆部分によってステントグラフト本体205の基端または第一の端部207に付着された経皮自己拡張型バルブである。ステントバルブの模範的実施形態としては、Medtronicによって製造されるCorevalve(登録商標)が挙げられる。一実施形態において、ステントバルブの自由端は、不浸透性天然または合成材料で被覆され得る。一実施形態において、ステントバルブは、大動脈弁の流出管の中に配置され得る。ステントバルブ定着機構は、例えば、自由端でより大きな直径を有し、被覆部分が非被覆部分と出会うポイントでより小さな直径を有する、漏斗形から得られる。
【0049】
第二の態様において、該ステントグラフトは、
第一の端部および第二の端部を有するルーメンを画定するステントグラフト本体と、
該ステントグラフト本体に連結され、少なくとも3つの開口部を画定する隔膜と、
それぞれがルーメンを画定する少なくとも3つのステントグラフト延在部であって、該少なくとも3つのステントグラフト延在部のそれぞれの第一の端部が該少なくとも3つの開口部の1つに連結されている、少なくとも3つのステントグラフト延在部と、
該ステントグラフト本体の該第一端部と該第二の端部の間にある該ステントグラフト本体の側壁において画定される内臓−血管開口部であって、該隔膜が該ステントグラフト本体のルーメン内に配設され、該隔膜の少なくとも3つの開口部が第一の開口部、第二の開口部、第三の開口部および第四の開口部を含む、内臓−血管開口部と、
第二の開口部および該隔膜のうちの一方に、そして該内臓−血管開口部および該ステントグラフト本体の側壁のうちの一方に連結された側壁によって画定される内臓空洞と、
を提供する。
【0050】
ここで
図1〜
図6を参照すると、ステントグラフト本体105の第一の端部または基端107で画定される入口106を有し、ステントグラフト本体105の第二の端部または先端109で画定される出口108を有する、ルーメンを画定するステントグラフト本体105を含むステントグラフト100が、示される。一実施形態において、隔膜110とステントグラフト本体105の基端107の間に配列されるステントグラフト本体105のルーメンの一部は、約20mm〜約65mm、好ましくは約20mm〜約46mmの範囲内の直径を有し得る。別の実施形態において、ステントグラフト本体105は、約10mm〜約150mmの範囲内の長さを有して、ステントグラフト本体105の第一の端部107と、内臓−血管開口部115の第一の端部116の間を延在し得る。さらなる実施形態において、ステントグラフト本体105は、0mm〜約40mmの範囲内の長さを有して、内臓−血管開口部115の第二の端部または先端117と、ステントグラフト本体105の第二の端部109の間を延在し得る。
【0051】
ステントグラフト100は、ステントグラフト本体105のルーメン内に配設され、ステントグラフト本体105に連結された隔膜110を含む。隔膜110は、第一の開口部130、第二の開口部135、第三の開口部120および第四の開口部125を画定する。一実施形態において、第一の開口部130は、腎臓下区分をステント設置するために用いられ得、第二の開口部135は、腹腔およびSMA動脈をステント設置するために用いられ得、第三の開口部120および第四の開口部125は、腎動脈をステント設置するために用いられ得る。第二の開口部135は、以下により詳細に述べる内臓−血管開口部115の上に横たわる隔膜110の四分円の中にアライメントされ得、第一の開口部130ならびに第三および第四の開口部120、125は、隔膜110の同じまたは他の四分円内で様々な構成で配列され得る。例えば一実施形態において、
図6に示される通り、第一の開口部130および第二の開口部135は、隔膜110内の対向する側に配列され得、第三の開口部120および第四の開口部125も同様に、第一の開口部130と第二の開口部135の間の隔膜110内の対向する側に配列され得る。あるいは第三および第四の開口部120、125は、第一の開口部130と第二の開口部135の間の隔膜110内の同じ側に配列され得る。他の実施形態において、第一の開口部130、ならびに第三および第四の開口部120、125のうちの一方は、他方の開口部がそれらの間に配列され得る隔膜110とは対向する側に配列され得る。さらなる実施形態において、第二の開口部135の直接対向する側に他の入口が存在しないように、第一の開口部130、ならびに第三および第四の開口部120、125が配列され得る。
【0052】
一実施形態において、隔膜110は、これらの様々な開口部を取り囲む領域内で傾斜し得るか、または先細になり得る。一実施形態において、第二の開口部135は、数ある可能性の中で、約5mm〜約15mmの範囲内の半径を有するV形半円の開口部として、または約6mm〜約20mmの範囲内の直径を有する全円の開口部として画定され得る。さらなる実施形態において、第三の開口部120、第四の開口部125、第一の開口部130は、実質的に円形を有し得る。一実施形態において、3つのステントグラフト延在部121、126および131は、ステントグラフト100の留置前に液密(血液密封)の手法で、それぞれ第三の開口部120、第四の開口部125および第一の開口部130に直接連結され得る。これらのステントグラフト延在部121、126、131はそれぞれ、ルーメンを画定し、受動的または能動的な固定を介して適所に保持され得る拡張またはブリッジングステントグラフトを受けるように構成される。この配列は、ステントグラフト100と腎動脈の間に血流を提供し得、そして/または例えば大動脈および総腸骨動脈を含む腎臓下動脈に血流を提供し得る。
【0053】
様々な実施形態において、ステントグラフト延在部121、126、131は、真直ぐであり得るか、または徐々に広がり得、遠位自由端123、128、133は、ブリッジングステントグラフトを配置するために自由に移動可能であり得る。一実施形態において、第一の開口部130に連結されたステントグラフト延在部131は、少なくとも30mmの長さを有し得、別の実施形態において、約10mm〜120mmの範囲内の長さを有し得る。そして別の実施形態において、ステントグラフト延在部131は、約8mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。別の実施形態において、第一の開口部130は、約8mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。さらに別の実施形態において、ステントグラフト延在部131の第一の端部または基端が、先細132になるように、第一の開口部130の直径は、連結されたステントグラフト延在部131の直径よりも大きくなり得る。別の実施形態において、第三および第四の開口部120、125はそれぞれ、約4mm〜約25mmの範囲内の直径を有し得る。一実施形態において、第三および第四の開口部に連結されたステントグラフト延在部121、126はそれぞれ、約4mm〜約18mmの範囲内の直径を有し得る。さらに別の実施形態において、ステントグラフト延在部121、126それぞれの第一の端部または基端が、先細122、127になるように、第三および第四の開口部120、125それぞれの直径は、ステントグラフト延在部121、126のそれぞれの直径よりも大きくなり得る。隔膜開口部から様々なステントグラフト延在部まで先細になることが、拡張またはブリッジングステントを配置するためのガイドワイヤーのアラインメントおよび各ルーメンへの進入を支援し得、層流の血流を促進し得る。別の実施形態において、ステントグラフト延在部121、126および131は、留置後に別々に配置され得る。この実施形態において、ステントグラフト延在部121、126、131は、留置により隔膜の近位に配列される、裾の広がった基端を有し得る。
【0054】
一実施形態において、一対の向かい合うらせん状のステント構造が、ステントグラフト延在部121、126および131のうちの1つまたは複数に連結されて、その長さに沿って延在し得る。らせん状ステント構造は、有利にはルーメンの伸長を予防し得る。これらのらせん状ステント構造は、数ある可能性の中で、ニチノールなどの弾性形状記憶、ステンレス鋼、プラスチック、ポリマーまたはそれらの材料の任意の組み合わせを有する生体適合性材料から作製され得る。
【0055】
さらなる実施形態において、本開示の第一、第二および第三の態様によれば、隔膜110は、拡張性フレーム111を有し得る。この拡張性フレーム111は、隔膜110に適用される下向きの力に対して、ステントグラフト本体105の外向きの半径方向力を加えるように構成され得る。下向きの力は、例えば血流によるものであり得る。一実施形態において、隔膜110は、内臓−血管開口部115の第一の端部116と、内臓−血管開口部115の第二の端部117で、またはそれらの間で、ステントグラフト本体105のルーメン内に位置し得る。
【0056】
ステントグラフト100はまた、ステントグラフト本体105の第一の端部107と第二の端部109の間のステントグラフト本体105の側壁118において画定される内臓−血管開口部115を含む。一実施形態において、内臓−血管開口部115は、約10mm〜約60mmの範囲内の高さを有し得、約5mm〜約30mmの範囲内の幅を有し得る。一実施形態において、内臓−血管開口部は、第二の端部または先端よりも第一の端部または基端が広くなり得、内臓−血管開口部115と2つの腎臓開口部170の間により大きなグラフト表面積を提供して、ステントグラフトと血管構造の間により強固な封着を提供し得る。別の実施形態において、内臓−血管開口部115は、分流材料、例えば高打込み密度の結われた、または織られた自己拡張型ステント材料で被覆され得る。この分流材料は、例えば、血管構造内の腎動脈上ステントグラフトの定着および封着を支援するためにステント設置されていない大動脈壁の度合いを最小限にしながら、内臓血管への開存性を可能にし得る。これは、ステントグラフトと大動脈のより強固な封着を提供し得る。該分流材料は、血栓の形成およびそこからの動脈発生も可能にし得、ステントグラフト本体105のこの領域を通る適当な血流および血圧を支援し得る。
【0057】
加えて、ステントグラフト100は、隔膜110および第二の開口部135のうちの一方に、そしてステントグラフト本体の側壁および内臓−血管開口部のうちの一方に連結された側壁141によって画定される内臓空洞140を含む。内臓空洞140は、SMAおよび腹腔動脈へ血流を提供し得る。加えて、外科医は、内臓空洞140を利用して、SMAおよび/または腹腔動脈におけるブリッジングステントを配置し得る。
【0058】
一実施形態において、ステントグラフト100は、ステントグラフト本体105に連結された複数の封着リングをさらに含み得る。別の実施形態において、複数の封着リングは、ステントグラフト本体105の第一の端部107に、または第一の端部107に直接隣接して、ステントグラフト本体105に連結された近位封着リング145を含み得る。さらなる実施形態において、近位封着リング145は、上部146および下部147を画定する二段構造を有し得る。近位封着リング145の下部147は、内臓−血管開口部115とアライメントされて、その近位に配列され得、下部147は、近位封着リング145の上部146に対して遠位に配列され得る。一実施形態において、近位封着リング145の上部146は、約0mm〜約40mmの範囲内の距離だけ、ステントグラフト本体105に沿って下部147から長手方向に離れ得る。二段の実施形態において、ステントグラフト本体105の第一の端部107の周縁部104は、近位封着リング145と同じ二段の外形を有し得る。一実施形態において、ステントグラフト本体105は、約0mm〜約20mmの範囲内の長さを有し得、ステントグラフト本体105の近位封着リング145の下部147と、内臓−血管開口部115の第一の端部1116の間で延在し得る。
【0059】
ステントグラフト本体105のグラフト材料は、血液を脊柱へ送達する腰部動脈の被覆を回避するために、近位封着リング145と同じ境界を有し得る。他の実施形態において、グラフト材料は、近位封着リング145の上部境界に沿って均一な円周を有し得る。さらなる実施形態において、該グラフト材料は、近位封着リング145の上部近位境界を越えて、固定ステント150の最上部または近位縁部まで延在し得る。
【0060】
別の実施形態において、内臓−血管封着リング155が、内臓−血管開口部115を取り囲むように、複数の封着リングが、ステントグラフト本体105に連結された内臓−血管封着リング155を含み得る。例えば内臓−血管封着リング155は、留置の際に内臓−血管開口部115を無傷に保つ円周力を加えて、SMAおよび腹腔動脈の周りに緊密な液密を提供し得る。少なくとも1つの支持封着リング160の第一の端部161が、内臓−血管封着リング155の第一の側に連結され、少なくとも1つの支持封着リング155の第二の端部162が、内臓−血管封着リング155の第二の側に連結されるように、複数の封着リングも、ステントグラフト本体105に連結された少なくとも1つの支持封着リング160を含み得る。内臓−血管封着リング155はまた、支持封着リング160と協同で働き、ステントグラフト本体105に対して円周の半径方向力を提供して、例えば大動脈との液密(即ち、血液密封)を提供し得る。さらなる実施形態において、少なくとも1つの支持封着リング160は、近位支持封着リング163、遠位支持封着リング164、および中央支持封着リング160を含み得る。一実施形態において、中央支持封着リング160は、内臓−血管封着リング155に連結され得る。近位支持封着リング163は、ステントグラフト本体105の第一の端部107と、中央支持封着リング160の間で、ステントグラフト本体105に連結され得る。そして遠位支持封着リング164は、ステントグラフト本体105の第二の端部109と、中央支持封着リング160の間で、ステントグラフト本体105に連結され得る。
【0061】
さらに別の実施形態において、複数の封着リングは、ステントグラフト本体105の第二の端部109に、または第二の端部109に直接隣接して、ステントグラフト本体105に連結された遠位封着リング165を含み得る。一実施形態において、2つの腎臓開口部170は、隔膜110に対して遠位のステントグラフト本体105の側壁118において画定され得る。一実施形態において、遠位封着リング165は、2つの弓部167によって接合された2つの半径部分166を有し得る。2つの弓部167は、ステントグラフト本体105の側壁118に沿って長手方向に配列され得、2つの半径部分166は、ステントグラフト本体105の円周の周りに配列され得る。2つの弓部167は、2つの腎臓開口部170とアライメントされている。一実施形態において、遠位封着リング165の2つの半径部分166の間を延在する有効直径は、約20mm〜約50mmの範囲内であり得る。一実施形態において、2つの弓部167は、約4mm〜約30mmの範囲内の幅を有し得る。腎臓開口部170がステントグラフト本体105の側壁118内に提供されていない実施形態において、ステントグラフト本体105の長さは、短縮されて、腎臓ステントグラフトを第二の端部から出すことができ、それによりそれらは、ブリッジングステントが配置されると、腎臓入口および標的血管の小孔からの曲線の緩やかな広がりまたは大きな半径を有することができる。
図7A〜
図8Bに示されたさらに別の実施形態において、ステントグラフト本体の側壁の2つの腎臓開口部170は、フェネストレーションのサイズおよび形状であり得、天然の動脈へのアクセスを可能にし得る。
【0062】
本開示の第一、第二および第三の態様に適用可能な一実施形態において、ブリッジングステントグラフトは、らせん形状のブリッジングステントグラフトの長さに沿って長手方向に、そして対向する側に配設された2つのワイヤーに連結された離れたステントリングを含み得る。この配列は、有益にはブリッジングステントグラフトの伸長を予防し得る。第三および第四の開口部120、125に連結されたステントグラフト延在部121、126、または第一の開口部130に連結されたステントグラフト延在部131との適当な重複は、ステントグラフトデブランチング手順の際にブリッジングステントグラフトと受動的な固定を実現するのに十分になり得る。例えば能動的な固定の特色もステントグラフトで用いられる場合には、この重複領域の長さはより短くなり得る。
【0063】
第三の態様において、該ステントグラフトは、
第一の端部および第二の端部を有するルーメンを画定するステントグラフト本体と、
該ステントグラフト本体に連結され、少なくとも3つの開口部を画定する隔膜と、
それぞれがルーメンを画定する少なくとも3つのステントグラフト延在部であって、該少なくとも3つのステントグラフト延在部のそれぞれの第一の端部が該少なくとも3つの開口部の1つに連結されている、少なくとも3つのステントグラフト延在部と、
該ステントグラフト本体の該第一端部と該第二の端部の間にある該ステントグラフト本体の側壁において画定される内臓−血管開口部であって、該隔膜が該ステントグラフト本体のルーメン内に配設され、該隔膜の少なくとも3つの開口部が第一の開口部、第二の開口部、第三の開口部および第四の開口部を含む、内臓−血管開口部と、
を提供する。
【0064】
ここで
図7Aおよび
図7Bを参照すると、一実施形態において、それぞれ基端および先端に対応し得る第一の端部107および第二の端部109を有するルーメンを画定するステントグラフト本体105を含むステントグラフト100が示されている。内臓−血管開口部115は、ステントグラフト本体105の第一の端部107と、第二の端部109の間でステントグラフト本体105の側壁において画定される。加えて、隔膜110は、ステントグラフト本体105のルーメン内に配設され、ステントグラフト本体105に連結される。隔膜は、第一の開口部、第二の開口部、第三の開口部および第四の開口部を画定する。一実施形態において、開口部のそれぞれは、例えばブリッジングステントを受け得、腎臓下区分を第一の開口部130に連結し得、腹腔およびSMA動脈を第二の開口部135に連結し得、腎動脈を第三および第四の開口部120、125に連結し得る。
【0065】
一実施形態において、内臓空洞140は、隔膜110と、ステントグラフト本体105の側壁と、隔膜110とステントグラフト本体105の側壁の間を延在する内臓側壁141と、によって画定され得る。別の実施形態において、第五の開口部137は、内臓側壁と、ステントグラフト本体105の側壁の間の隔膜において画定される。この第五の開口部137は、有益には腹腔およびSMA動脈への血流を可能にしながら、第二の開口部を能動的にステント設置するか、または他の方法で遮断し、そしてその逆もあり得る。第五の開口部137はまた、腹腔およびSMA動脈の1つよりも多くをステントグラフトで橋渡しし得る。
【0066】
第二および第五の開口部135、137は、内臓側壁141とステントグラフト本体105の側壁の間の隔膜110において画定される。内臓側壁141は、ステントグラフト本体105の第二の端部109と隔膜110の間で画定される内臓−血管開口部115の一部を取り囲む。
【0067】
一実施形態において、第二の開口部135および第五の開口部137は、互いに隣接して配列され得る。別の実施形態において、第二の開口部135は、ルーメンを画定するステントグラフト延在部136に連結され得、第五の開口部137もまた、ルーメンを画定するステントグラフト延在部138に連結され得る。さらなる実施形態において、第二および第五の開口部の一方に連結されたステントグラフト延在部のそれぞれは、約6mm〜約14mmの範囲内の直径を有し得、約0.5mm〜約40mmの範囲内の長さを有し得る。
【0068】
さらなる実施形態において、第一の開口部120、第二の開口部135、第三の開口部120、第四の開口部125および第五の開口部137のうちの1つまたは複数は、強化され得る。
【0069】
図24に示され、本開示の態様の全てに適用可能である一実施形態において、ステントグラフト300は、それぞれが小穴を画定する複数のアンカー385を含む。複数のアンカー385は、ステントグラフト本体305に沿って長手方向に間隔をおいて配列される。さらなる実施形態において、ステントグラフト300は、第一の端部387および第二の端部388を有する糸386を含む。ステントグラフト本体305が、一部拡張された状態および完全に拡張された状態を有するように、糸386は、複数のアンカー385の小穴を通して摺動自在に配列され得る。一部拡張された状態では、糸386は、緊張下にあり得、糸の第一の端部387は、複数のアンカー385の第一のアンカー390に固定して連結され得、糸386の第二の端部388は、複数のアンカーの第二のアンカー391に着脱自在に連結され得る。完全に拡張された状態では(
図24参照)、糸388の第二の端部は、第二のアンカー391から開放され得、糸386は、緊張され得ない。
【0070】
一実施形態において、ステントグラフト本体305は、一部拡張された状態では完全に拡張された直径の50%〜95%で拡張し得る。そのようにして一部拡張された状態は、ステントグラフトをルーメン内に留置させ、その後再度、位置決めされ得る。例えば一部拡張されたステントグラフトのより小さな直径によって、適当な分岐血管構造とのアラインメントのために、ステントグラフトをルーメンの所望の位置より近位および遠位に移動させ、回転させ得る。適所になると、糸386の着脱自在の端部388は、以下に記載された通りアンカー391から分離され得、ステントグラフト300は、例えばステントの形状記憶またはバルーン拡張によって完全に拡張された状態に移行し得る。
【0071】
別の実施形態において、複数のアンカーは、内臓−血管開口部に対向するステントグラフト本体の側に配列され得る。さらなる実施形態において、複数のアンカーは、横方向の向かい合う対として配列され得る(
図24参照)。さらなる実施形態において、複数のアンカーは、ジグザグパターンで配列され得る。
【0072】
一実施形態において、複数のアンカー385の小穴および糸386は、低摩擦材料で作製され得、ステントグラフト300を一部拡張された状態から完全に拡張された状態へ移行させる。
【0073】
本開示のステントグラフトは、非限定的に、放射線不透過性マーカーをはじめとする任意のさらなる適切な成分を含有して視覚化を支援し、ステントグラフトの正確な配置を促進し得る。これらの放射線不透過性マーカーは、ステントグラフトの方向および方位を示すために、例えば「S」の形状または任意の他の適切な形態で、所与のステントグラフトの個々のルーメンの先端にあるゴールドバンドの形態または他の指向性マーカーの形態をとり得る。一実施形態において、ステントグラフト本体105の第一の端部または基端107、207は、固定ステント150に連結され得る。加えて、固定ステント150の一部は、血管壁の非患部において信頼できる手掛かりを得るのに用いられ得るため、二方向性定着フックが、形成され得る。この固定ステント150は、二方向性フックと併せて血管内での半径方向力での固定を提供し得る。別の実施形態において、固定ステント150は、ステントグラフト本体105のルーメンから離れるように偏向されて、動脈瘤が近位に進行した場合でも血管構造との固定を留置状態に維持し得る。
【0074】
第四の態様において、本発明は、本発明の第一の態様によるステントグラフト100の配置の方法を提供する。該方法は、(a)動脈アクセスを介して任意の適当なサイズの動脈構成の中にガイドワイヤーを導入すること、(b)前述の実施形態のいずれかによるステントグラフトを含む送達カテーテルをガイドワイヤー上へロードすること、(c)該ガイドワイヤーに沿って該送達カテーテルを移動させて、動脈アクセスを介して該適当なサイズの動脈構成の中に該送達カテーテルを導入すること、ならびに(d)該ステントグラフトを該適当なサイズの動脈構成および/または過去に配置されたステントグラフトのルーメンの中へ留置すること、を含む。
【0075】
一実施形態において、該方法は、それぞれが小穴を画定する複数のアンカーを通して配列された緊張した糸を介して、ステントグラフトを一部圧縮された状態に維持することをさらに含み得る。一実施形態において、糸の緊張は、複数のアンカーの第一のアンカーからワイヤーの一端を開放することにより低減され得る。糸の緊張が低減されると、その後ステントグラフトは、完全に拡張された状態に拡張され得る。
【0076】
一実施形態において、第二の態様は、(e)ブリッジングステントグラフトを含む第二の送達カテーテルをガイドワイヤー上にロードすること、(f)ガイドワイヤーに沿って第二の送達カテーテルを移動させて、動脈アクセスを介してステントグラフト105の本体のルーメンの基端107の中に第二の送達カテーテルを導入すること、(g)隔膜110において画定される第一の腎臓入口120、第二の腎臓入口125、腎臓下入口130または内臓入口135の中から選択すること、(h)選択された入口の中へ、そして選択された入口に連結されたルーメン121、126、131または適切なサイズの動脈ルーメンのいずれかの中へ、第二の送達カテーテルを導入すること、および(i)選択された入口または適切なサイズの動脈ルーメンの中へブリッジングステントグラフトの全てまたは一部を留置すること、をさらに含み得る。
【0077】
第五の態様において、ステントグラフトは、
第一の端部および第二の端部を有するルーメンを画定するステントグラフト本体と、
該ステントグラフト本体に連結され、第一の開口部、第二の開口部、および第三の開口部を画定する隔膜と、
第一の端部および第二の端部を有する第一のステントグラフト延在部であって、該第一のステントグラフト延在部が単一ルーメンを有し、該第一のステントグラフト延在部の該第一の端部が該隔膜に連結されて、該第一の開口部を取り囲んで配列された、第一のステントグラフト延在部と、
第一の端部および第二の端部を有する第二のステントグラフト延在部であって、該第二のステントグラフト延在部が、該第一の端部で単一ルーメンを有し、該第二の端部で2つのルーメンを画定する分岐点を有し、該第二のステントグラフト延在部の該第一の端部が該隔膜に連結され、該第二の開口部を取り囲んで配列された、第二のステントグラフト延在部と、
第一の端部および第二の端部を有する第三のステントグラフト延在部であって、該第三のステントグラフト延在部が該第一の端部で単一ルーメンを有し、該第三のステントグラフト延在部の該第一の端部が該隔膜に連結され、該第三の開口部を取り囲んで配列された、第三のステントグラフト延在部と、
を提供する。
【0078】
ここで、
図25A〜
図26Bを参照すると、第一の端部406および第二の端部407を有するルーメンを画定するステントグラフト本体405を有するステント400が示されている。ステントグラフト本体405に連結されるのは、第一の開口部415、第二の開口部420および第三の開口部425を画定する隔膜410である。第一のステントグラフト延在部430は、単一ルーメンを画定し、第一の端部431および第二の端部432を有し、第一のステントグラフト延在部430の第一の端部431は、隔膜410に連結され、第一の開口部415を取り囲んで配列される。第二のステントグラフト延在部435は、第一の端部436に単一ルーメンを有し、第二の端部438に2つのルーメンを画定する分岐点437を有する。第二のステントグラフト延在部435の第一の端部436は、隔膜410に連結され、第二の開口部420を取り囲んで配列される。そして第三のステントグラフト延在部440は、第一の端部441および第二の端部442を有する。第三のステントグラフト延在部440は、第一の端部441に単一ルーメンを有し、第三のステントグラフト延在部440の第一の端部441は、隔膜410に連結され、第三の開口部425を取り囲んで配列される。
【0079】
図26A〜
図26Bに示される一実施形態において、第一の開口部415は、円形であり得、第二の開口部420は、楕円形であり得、第三の開口部425は、円形であり得る。この実施形態において、ステントグラフト400は、隔膜410において画定され、円形である第四の開口部445をさらに含み得る。そして第四のステントグラフト延在部450は、第一の端部451および第二の端部452を有し、第四のステントグラフト延在部450は、第一の端部451に単一ルーメンを有し、第四のステントグラフト延在部450の第一の端部451は、隔膜410連結され、第四の開口部445を取り囲んで配列される。一実施形態において、第三の開口部425および第四の開口部445は、互いに隣接して配列され得る。代わりの実施形態において(図示されない)、第一の開口部は、円形であり得、第二の開口部は、円形であり得、第三の開口部は、楕円形であり得る。さらなる実施形態において、第四の開口部は、隔膜において画定され得、円形である第二の開口部に隣接した位置にある。
【0080】
別の実施形態において、第一の開口部415は、円形であり、第二の開口部420は、楕円形であり、第三の開口部425は、楕円形である。第三のステントグラフト延在部440は、第二の端部442で2つのルーメンを画定する分岐点443を有し得る。一実施形態において、第二の開口部420は、第一の開口部415と第三の開口部425の間に配列される。さらなる実施形態において、第二の開口部420の長軸は、第三の開口部425の長軸と垂直に配列され得る。さらに別の実施形態において、第二の開口部420の短軸は、第三の開口部425の長軸とアラインメントされている。
【0081】
一実施形態において、第二のステントグラフト延在部435の2つのルーメンはそれぞれ、約4mm〜約12mmの範囲内の直径を有する。別の実施形態において、第二の開口部420の長軸は、約4mm〜約36mmの範囲内の長さを有し得、第二の開口部420の短軸は、約4mm〜約24mmの範囲内の長さを有し得る
【0082】
別の実施形態において、第三のステントグラフト延在部440の2つのルーメンはそれぞれ、約6mm〜約14mmの範囲内の直径を有し得る。さらなる実施形態において、第三の開口部の長軸は、約6mm〜約42mmの範囲内の長さを有し、第三の開口部の短軸は、約6mm〜約28mmの範囲内の長さを有する。
【0083】
さらなる実施形態において、第二のステントグラフト延在部435の分岐点437は、隔膜410から約0mm〜約50mmの範囲内の位置で発生し得、第三のステントグラフト延在部440の分岐点443は、隔膜410から約0mm〜約50mmの範囲内の位置に発生している。幾つかの実施形態において、隔膜から離れた分岐点の凹所が、屈伸可能なカテーテルチップを介して第二および第三のグラフト延在部の2つのルーメンの一方の選択を可能にする窪みを生成し得る。これが、ブリッジングステントを適所に進めるのにかかる時間の低減を支援し得、それにより手術の際にデバイスの配置を視覚化するのに用いられる蛍光および放射線の量を低減し得る。別の実施形態において、第一のステントグラフト延在部430、第二のステントグラフト延在部435、および第三のステントグラフト延在部440はそれぞれ、約5mm〜約50mmの範囲内の長さを有し得る。
【0084】
一実施形態において、第二のステントグラフト延在部435の第一の端部438は、先細になっており、第三のステントグラフト延在部440の第一の端部441は、先細になっている。さらなる実施形態において、第一のステントグラフト延在部430の第一の端部431は、先細になっている。
【0085】
第六の態様において、ステントグラフトは、
第一の端部および第二の端部を有するルーメンを画定するステントグラフト本体と、
該ルーメン内で該ステントグラフト本体に連結され、少なくとも3つの開口部を画定する隔膜と、
それぞれがルーメンを画定する少なくとも3つのステントグラフト延在部であって、該少なくとも3つのステントグラフト延在部のそれぞれの第一の端部が該少なくとも3つの開口部の1つに連結されている、少なくとも3つのステントグラフト延在部と、
該ステントグラフト本体の側壁において画定される内臓−血管開口部と、
該隔膜に対して遠位の該ステントグラフト本体の側壁において画定される2つの腎臓開口部と、
該内臓−血管開口部および該2つの腎臓開口部のうちの少なくとも1つを被覆する透過性膜材料と、
を提供する。
【0086】
ここで
図27A〜
図27Bを参照すると、第一の端部506および第二の端部507を有するルーメンを画定するステントグラフト本体505を有するステントグラフト500が示されている。隔膜510は、ルーメン内でステントグラフト本体505に連結され、隔膜510は、少なくとも3つの開口部を画定する。図示された実施形態において、隔膜510は、4つの開口部、即ち第一の開口部530、第二の開口部535、第三の開口部520および第四の開口部525を有する。ステントグラフト500はまた、ステントグラフト延在部521、526、531、536を含み、そのそれぞれが、それぞれ開口部520、525、530、535のうちの1つに連結された第一の端部を有し、それぞれがルーメンを画定する。内臓−血管開口部515は、ステントグラフト本体505の側壁518において画定される。2つの腎臓開口部570もまた、隔膜510に対して遠位にあるステントグラフト本体505の側壁515において画定される。透過性膜材料571は、内臓−血管開口部518および2つの腎臓開口部570のうちの少なくとも1つを被覆する。
【0087】
一実施形態において、透過性膜材料571は、穿孔可能であり得る。例えば、カテーテル、ガイドワイヤー、ブリッジングステントグラフトまたは他の器具を用いて、透過性膜材料571を穿孔し得る。手術の際、ブリッジングステントグラフトと透過性膜材料571の間に封着が存在するように、ブリッジングステントグラフトは、透過性膜材料571中の穿孔によって配置され得る。さらなる実施形態において、透過性膜材料571は、インビボで血栓を介して封着されるように構成され得る。別の実施形態において、透過性膜材料571は、非限定的に、ニチノール、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、ポリエステル、非吸収性ポリマーおよびそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含み得る。さらに透過性膜材料571は、例えば織物、メッシュ、またはエレクトロスパンであり得る。
【0088】
別の実施形態において、血流は、第一の端部506から進入し、第二の端部507から排出されるように、ステントグラフト本体505の第二の端部507は、血流に関して遠位に配列され得る。第二の端部507でのステントグラフト本体505の直径は、第一の端部506でのステントグラフト本体505の直径よりも大きくなり得る。この配列は、大動脈壁に対するステントグラフト500の定着と、血流による移動の抵抗を支援し得る。さらなる実施形態において、ステントグラフト本体505の第二の端部507は、拡張されたエクスビボ状態では
図27Aに示される通り鐘形である。
【0089】
一実施形態において、ステントグラフトは、2つの腎臓開口部570および内臓−血管開口部518のうちの1つまたは複数を取り囲むステントグラフト本体505に連結された1つまたは複数の封着リング555を含み得る。
【0090】
一実施形態において、2つの腎臓開口部570は、フェネストレーションであり得る。別の実施形態において、2つの腎臓開口部570は、本発明の第二の態様に関係して先に記載された通り2つの弓部であり得る。
【0091】
本発明の第一、第二、第三、第五、および第六の態様によるステントグラフトの様々な実施形態が、
図17〜
図23および
図25A〜
図27Bにおいて、本発明の第四の態様の方法によるインビボでの留置後の内臓主要部または胸部大動脈のうちの一方で示されている。
【0092】
具体的な実施形態を本明細書に例示および記載したが、同じ目的を実現するため推定された任意の配列を、図示された具体的実施形態に代用され得ることは、当業者に認識されよう。本出願は、本発明の実施形態の任意の改変または変形を含むものとする。上記の記載が例示であり制限でないこと、および本明細書で用いられる表現法または用語法が説明を目的とし限定ではないことが、理解されなければならない。他に断りがない限り、上記の記載を試験する上で当業者に明白となる通り、上記の実施形態および他の実施形態は組み合わせることができる。