特許第6763871号(P6763871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763871
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】スルホン化プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/36 20060101AFI20200917BHJP
   C08F 12/00 20060101ALI20200917BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   C08F8/36
   C08F12/00 510
   C08F20/00 510
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-547122(P2017-547122)
(86)(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公表番号】特表2018-510243(P2018-510243A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】US2016024489
(87)【国際公開番号】WO2016160686
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】62/140,779
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シー・ロアーナ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ケイ・シュルツ
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03056765(US,A)
【文献】 特開平10−195134(JP,A)
【文献】 特開昭53−119847(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102174212(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F8/00−8/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリマー粒子(A)を硫酸と反応させる方法であって、反応混合物を80℃以上の温度に加熱する工程を含み、前記反応混合物は、
(a)コポリマー粒子(A)と、
(b)硫酸と、
(c)前記コポリマー粒子(A)とは異なる固体粒子(B)と、を含み、前記固体粒子(B)は、50m/g〜5,000m/gのBET表面積を有し、
前記硫酸は発煙硫酸の形態であり、前記固体粒子(B)は活性炭粒子を含み、
前記コポリマー粒子(A)は、アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリルまたはそれらの組み合わせの重合単位を含む1つ以上のビニルポリマーを含む、法。
【請求項2】
コポリマー粒子(A)を硫酸と反応させる方法であって、反応混合物を80℃以上の温度に加熱する工程を含み、前記反応混合物は、
(a)コポリマー粒子(A)と、
(b)硫酸と、
(c)前記コポリマー粒子(A)とは異なる固体粒子(B)と、を含み、前記固体粒子(B)は、50m/g〜5,000m/gのBET表面積を有し、
前記硫酸は発煙硫酸の形態であり、前記固体粒子(B)は活性炭粒子を含み、
前記コポリマー粒子(A)は、1つ以上のビニル芳香族モノマーの重合単位を含む1つ以上のビニルポリマーを含む、法。
【請求項3】
前記活性炭粒子は、粉末炭素粒子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記加熱の後に、前記硫酸及び前記固体粒子(B)から前記コポリマー粒子(A)を分離する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体粒子(B)の体積平均粒子径は、200μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コポリマーを硫酸と反応させて樹脂を作り出すことがしばしば望ましい。このような反応を行うための一般的な方法は、コポリマーと硫酸とを含有する混合物を形成し、混合物をある時間にわたって加熱してスルホン官能基を有する樹脂を生成し、次いで樹脂を硫酸から分離することである。いくつかの場合では、このような方法で樹脂を反応させた後、樹脂に水を接触させると水が着色するが、このことは、樹脂から水に1つ以上の着色化合物が移動したと想定される。そのような移動プロセスから生じる水中の色は、樹脂の「カラースロー」として知られており、大量のカラースローは望ましくないと考えられている。
【0002】
Cabot Corporationの出版物「Activated Carbons and What They Can Do For You」は、残留色を除去するために活性炭がしばしば使用されると述べている。カラースローが低減された樹脂を製造する、硫酸とコポリマーとを反応させる方法を特定することが所望される。
【0003】
以下は、本発明の陳述である。
【0004】
本発明の一態様は、コポリマーを硫酸と反応させる方法であって、反応混合物を80℃以上の温度に加熱する工程を含み、該反応混合物は、
(a)コポリマー粒子(A)の集合体と、
(b)硫酸と、
(c)該コポリマー粒子(A)とは異なる固体粒子(B)の集合体と、を含み、該固体粒子(B)は、50m/g〜5,000m/gのBET表面積を有する、方法である。
【0005】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0006】
本明細書中で使用されるとき、以下の用語は、文脈上他に明確に示されていない限り、指定された定義を有する。
【0007】
本明細書で使用される「樹脂」は、「ポリマー」の同義語である。本明細書で使用される「ポリマー」は、より小さな化学反復単位の反応生成物から構成される比較的大きな分子である。ポリマーは、直鎖状、分枝状、星型、ループ状、超分枝状、架橋状、またはそれらの組み合わせである構造を有していてもよい。ポリマーは単一種の反復単位(「ホモポリマー」)を有していてもよく、またはそれらは2種以上の反復単位(「コポリマー」)を有していてもよい。コポリマーは、ランダムに、連続して、ブロックで、他の配置で、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせで配置された様々な種類の反復単位を有し得る。ポリマーの重量平均分子量は2,000以上である。
【0008】
互いに反応してポリマーの反復単位を形成することができる分子は、本明細書では「モノマー」として知られている。このように形成された反復単位は、本明細書ではモノマーの「重合単位」として知られている。
【0009】
ビニルモノマーは以下の構造を有し、
【0010】
【化1】
【0011】
式中、R、R、R、及びRの各々は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基など)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換もしくは非置換の有機基、またはそれらの任意の組み合わせである。ビニルモノマーは2,000未満の分子量を有する。ビニルモノマーには、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、エチレン誘導体、及びそれらの混合物が含まれる。エチレン誘導体には、例えば、以下のものの非置換及び置換バージョンが含まれる:酢酸ビニル及びアクリルモノマー。アクリルモノマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のアミド、塩化ビニル、ハロゲン化アルケン、及びそれらの混合物から選択されるモノマーである。本明細書で使用される接頭語「(メタ)アクリル−」は、アクリル−またはメタクリル−のいずれかを意味する。「置換された」は、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボン酸基、他の官能基、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの結合した化学基を有することを意味する。
【0012】
本明細書で使用されるとき、ビニル芳香族モノマーは、R、R、R、及びRのうちの1つ以上が1つ以上の芳香族環を含む、ビニルモノマーである。
【0013】
モノビニルモノマーは、1分子当たりちょうど1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するビニルモノマーである。マルチビニルモノマーは、1分子当たり2個以上の非芳香族炭素−炭素二重結合を有するビニルモノマーである。
【0014】
重合単位の90モル%以上が1種以上のビニルモノマーの重合単位であるポリマーは、ビニルポリマーである。
【0015】
粒子の集合体は、粒子の直径により特徴付けられる。粒子が球状でない場合、粒子の直径は、その粒子と同じ体積を有する粒子の直径と考えられる。粒子の集合体は、本明細書では、その集合体の体積平均直径によって特徴付けられる。粒子が0℃〜80℃を含む温度範囲にわたって固体状態にある場合、その粒子は本明細書では固体であると見なされる。固体粒子の集合体の表面積は、Brunauer−Emmett−Teller(BET)法によって決定される。
【0016】
本明細書で使用されるとき、発煙硫酸は、硫酸を含有する混合物である。発煙硫酸は、硫酸と三酸化硫黄とを混合することによって作製される。硫酸は三酸化硫黄と反応してピロ硫酸(H)を形成すると想定される。発煙硫酸に水を添加した場合、各1モルの水は1モルのピロ硫酸と反応して2モルの硫酸を形成すると考えられる。発煙硫酸の試料の「濃度」は、発煙硫酸の試料の重量に基づくパーセンテージとして、発煙硫酸の試料に十分な水を添加してすべてのピロ硫酸を硫酸に変換した場合に存在するであろう硫酸の重量と見なされる。この定義により、発煙硫酸の「濃度」は100%より大きくなり得る。発煙硫酸を特徴付ける別の方法は、発煙硫酸の各試料がXグラムの硫酸とYグラムの三酸化硫黄との反応生成物として特徴付けられ得ると考えるパラメータ「%発煙硫酸」である。パラメータX及びYは、発煙硫酸の試料の組成によって一意的に決定される。次いで、「%発煙硫酸」は、100×Y/(X+Y)である。硫酸の濃度が「C%以上」である硫酸の試料が用いられたとして本明細書で述べられた場合、試料は、(1)硫酸の重量濃度がC%〜100%である水中の硫酸の混合物または(2)発煙硫酸のいずれかであることを意味する。
【0017】
本明細書で比がX:1以上であると言われる場合、比はY:1(YはX以上である)を意味する。例えば、比が3:1以上であると言われる場合、その比は、3:1または5:1または100:1であってもよいが、2:1であってはならない。同様に、本明細書で比がW:1以下であると言われる場合、比はZ:1(ZはW以下である)を意味する。例えば、比が15:1以下であると言われる場合、その比は、15:1または10:1または0.1:1であってもよいが、20:1であってはならない。
【0018】
本発明は、コポリマー(A)の使用を伴う。コポリマー(A)のために好ましいコポリマーは、ビニルポリマーである。ビニルポリマーの中でも、「ANポリマー」及び「ビニル芳香族ポリマー」と本明細書で標示される2種類のビニルポリマーが好ましい。
【0019】
ANポリマーは、アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリルまたはこれらの組み合わせの重合単位を含有するビニルポリマーである。好ましいANポリマーは、いずれのビニル芳香族モノマーの重合単位も有しない。ANポリマーの中で、好ましくは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの重合単位の量は、ANポリマーの重量に基づいて、50重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上である。ANポリマーの中でも、ポリ(アクリロニトリル)ホモポリマーが最も好ましい。
【0020】
ビニル芳香族ポリマーが好ましい。ビニル芳香族ポリマーの中で、好ましくは、ビニル芳香族モノマーの重合単位の量は、コポリマー(A)の重量に基づいて、50重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、より好ましくは99重量%以上である。好ましいビニル芳香族モノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アルファ−アルキルスチレン、及びジビニルベンゼンであり、スチレン及びジビニルベンゼンがより好ましい。ビニル芳香族ポリマーの中で、好ましくは、スチレンの重合単位の量+ジビニルベンゼンの重合単位の量は、コポリマー(A)の重量に基づいて、40重量%以上であり、より好ましくは65重量%であり、より好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。好ましくは、ジビニルベンゼンの重合単位の量は、コポリマーの重量に基づいて、10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。
【0021】
好ましいビニルポリマーは、1つ以上のマルチビニルモノマーの重合単位を有する。好ましくは、マルチビニルモノマーの重合単位の量は、ビニルポリマーの重量に基づいて、0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上である。好ましくは、マルチビニルモノマーの重合単位の量は、ビニルポリマーの重量に基づいて、100重量%以下である。
【0022】
本発明はいかなる特定の理論にも限定されないが、ANポリマーが、硫酸を含有する水と反応するとき、ニトリル基の一部または全部がカルボキシル基に変換されることが企図される。ビニル芳香族ポリマーが、芳香族環の一部または全部において、硫酸と反応するとき、芳香族環内の炭素原子に結合した水素原子が1つ以上の−SO基で置き換えられることがさらに企図される。
【0023】
コポリマー(A)は、粒子(A)の集合体の形態である。好ましくは、体積平均粒子径は50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、より好ましくは300μm以上である。好ましくは、体積平均粒子径は2mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。
【0024】
本発明は、硫酸の使用を含む。コポリマー(A)がビニル芳香族ポリマーである場合、硫酸に対する以下の好ましい選択が適用される。水及び硫酸の溶液が使用される場合、好ましくは、硫酸の濃度は、硫酸の水溶液の重量に基づいて、92重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上である。好ましくは、硫酸は発煙硫酸の形態で存在する。好ましくは、発煙硫酸の濃度は100重量%以上、より好ましくは103重量%以上である。好ましくは、%発煙硫酸は5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。
【0025】
コポリマー(A)がビニル芳香族ポリマーである場合、好ましくは、コポリマー(A)は、硫酸と接触する前に、比較的少量の水を含有する。好ましくは、水対乾燥コポリマー(A)の重量比は、0.25:1以下であり、より好ましくは0.11:1以下である。
【0026】
コポリマー(A)がANポリマーである場合、硫酸に対する以下の好ましい選択が適用される。好ましくは、硫酸は硫酸水溶液の形態である。好ましくは、硫酸の濃度は、硫酸水溶液の重量に基づいて、20重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上である。好ましくは、硫酸の濃度は、硫酸水溶液の重量に基づいて、90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。
【0027】
本発明は、BET法による50m/g〜5,000m/gの表面積を有する固体粒子(B)を使用することを含む。好ましくは、粒子(B)は、100m/g以上、より好ましくは200m/g以上、より好ましくは500m/g以上、より好ましくは800m/g以上の表面積を有する。好ましくは、粒子(B)は2,500m/g以下の表面積を有する。
【0028】
好ましくは、固体粒子(B)の体積平均粒子径は、200μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。好ましくは、固体粒子(B)の体積平均粒子径は0.01μm以上であり、より好ましくは0.02μm以上である。
【0029】
好ましい固体粒子(B)は、樹脂粒子もしくは活性炭粒子またはそれらの混合物である。固体粒子(B)が樹脂粒子である場合、好ましくは、樹脂粒子は、高DVB樹脂、架橋後樹脂、及び熱分解樹脂から選択される。高DVB樹脂は、高DVB樹脂の重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上の量のジビニルベンゼン(DVB)の重合単位を有する。架橋後樹脂は、スチレン及びDVBを含むモノマーの共重合によって製造され、得られたコポリマーを架橋反応に付し、好ましくはフリーデル−クラフツ反応により、メチレン架橋を作り出す。熱分解された樹脂は、スチレン及びDVBを含むモノマーの共重合によって製造され、得られたコポリマーを硫酸と接触させてスルホネート基をコポリマーに付加してスルホン化樹脂を形成し、次いでスルホン化樹脂を熱分解させる。樹脂粒子は、好ましくは懸濁重合によって作製される。任意に、懸濁重合後、樹脂粒子に研削等の機械的処理を施して体積平均粒子径を小さくしてもよい。
【0030】
好ましくは、固体粒子(B)は、活性炭の粒子である。粉末活性炭が好ましい。
【0031】
硫酸が発煙硫酸の形態で存在しない場合、好ましくは、硫酸対コポリマー(A)の重量比は5:1以上であり、より好ましくは10:1以上であり、より好ましくは20:1以上である。硫酸が発煙硫酸の形態で存在しない場合、好ましくは硫酸対コポリマー(A)の重量比は200:1以下であり、より好ましくは100:1以下である。硫酸が発煙硫酸の形態で存在する場合、好ましくは、発煙硫酸対コポリマー(A)の重量比は5:1以上であり、より好ましくは10:1以上であり、より好ましくは20:1以上である。硫酸が発煙硫酸の形態で存在する場合、好ましくは、発煙硫酸対コポリマー(A)の重量比は200:1以下であり、より好ましくは100:1以下である。
【0032】
好ましくは、固体粒子(B)対コポリマー(A)の重量比は0.01:1以上であり、より好ましくは0.03:1以上であり、より好ましくは0.09:1以上である。好ましくは、固体粒子(B)対コポリマー(A)の重量比は3:1以下であり、より好ましくは2:1以下であり、より好ましくは1:1以下である。
【0033】
本発明の方法は、コポリマー(A)と、硫酸と、固体粒子(B)との反応混合物を一定期間、保持温度に加熱する工程を含む。コポリマー(A)がビニルポリマーである場合、好ましくは、保持温度は100℃以上であり、より好ましくは110℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。コポリマー(A)がビニルポリマーである場合、好ましくは、本発明の方法で到達する最高温度は250℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。好ましくは、保持温度は1時間以上、より好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上の持続期間にわたって維持される。好ましくは、保持温度は24時間以下、より好ましくは18時間以下の持続期間にわたって維持される。
【0034】
コポリマー(A)がANポリマーである場合、保持温度は好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上である。コポリマー(A)がANポリマーである場合、保持温度は好ましくは100℃未満である。
【0035】
好ましくは、反応混合物が加熱される間、それはまた攪拌される。好ましくは、撹拌は、樹脂粒子、硫酸、及び固体粒子(B)粒子の間の完全で密接な接触を提供するのに十分なほどである。好ましくは、撹拌は、反応混合物中に渦を作り出すのに十分なほどである。
【0036】
反応混合物が硫酸と樹脂との間の反応が完全である、または所望の程度に完全であると見なされるまで保持温度に加熱された時点、その時点が終了時間と見なされる。好ましくは、終了時間に達した後、反応混合物を100℃未満の温度に冷却する。好ましくは、終了時間に達した後、比較的希薄な硫酸を反応混合物に添加する。「比較的希薄な硫酸」は、終了時に反応混合物中に見出される硫酸対水の重量比よりも低い硫酸対水の重量比を有する硫酸水溶液である。好ましくは、希硫酸を添加した後、水を添加する。反応混合物を冷却し、比較的希薄な硫酸を添加し、水を添加することは全て、樹脂と硫酸との間の反応を停止処理するのに役立つことが企図される。
【0037】
好ましくは、硫酸とコポリマー(A)との間の反応が行われた後、得られた樹脂は硫酸から、固体粒子(B)から、及び存在し得る水の一部または全部から分離される。好ましくは、樹脂のポリマー粒子は、固体粒子(B)の粒子より大きい。樹脂を分離する好ましい方法は、液体を通し、かつ固体粒子(B)を通すが樹脂のポリマー粒子を通さない濾過媒体に反応混合物を通すことである。1つの好ましい濾過媒体は、樹脂のポリマー粒子の90体積%以上を保持し、かつ90体積%以上の固体粒子(B)の粒子を通過させるように選択された開口部を有するメッシュスクリーンである。
【0038】
好ましくは、樹脂を硫酸及び固体粒子(B)から分離した後、樹脂を水で洗浄する。好ましい洗浄方法はクロマトグラフィー洗浄であり、樹脂をクロマトグラフィーカラムに入れ、水をカラムに通す。
【0039】
好ましくは、反応プロセス中の固体粒子(B)の存在または非存在は、反応プロセスならびに反応停止処理及び洗浄後に測定される樹脂の最終特性に実質的に影響しない。例えば、保水性及びH型陽イオン交換容量は実質的に変化しないことが好ましい。保水性及びH型陽イオン交換容量は、それぞれASTM D2187−94、方法B及びGによって測定される。
【0040】
本発明はいかなる特定の理論にも限定されないが、樹脂中のカラースローは発色分子の存在によって引き起こされることが企図される。発色分子は樹脂から固体粒子(B)に移動することが企図される。
【0041】
以下は、本発明の実施例である。
【0042】
樹脂1は、スチレンとジビニルベンゼン(DVB)とのコポリマーであり、標準的な技術を用いて懸濁重合によって作製された。DVBは、85重量%純粋DVB及び15重量%不純物を含有する市販のDVB混合物の形態で提供されたものを用いた。主要な不純物はエチルビニルベンゼンである。樹脂1を製造するために使用したモノマーは、重量部で、81.2部のスチレン、16部のDVB、及び市販のDVB混合物により担持された2.8部の不純物であった。
【0043】
硫酸は発煙硫酸の形態で、20%発煙硫酸であった。
【0044】
活性炭は、Cabot CorporationからのNORIT(商標)粉末活性炭であった。
【0045】
実施例1:活性炭有り及び無し
【0046】
各反応混合物中で、10gの樹脂1を150mLの発煙硫酸と混合した。以下に示すように反応混合物の一部に活性炭を添加した。反応混合物を125℃に加熱し、激しく撹拌しながら125℃で6時間保持した。得られた混合物を次に室温未満に冷却し、次いで撹拌を維持しながら希硫酸を添加し、続いて脱イオン水を添加した。次に樹脂をデカントし、次いで樹脂を500mlの水でクロマトグラフィー洗浄した。樹脂を50mLの脱イオン水と混合し、約22℃で30日間放置した。その後、5mLの水を除去し、UV−VIS分光光度計に入れた1cmの光路長のキュベットに入れ、波長420nmで吸光度を測定した。
【0047】
結果は以下のとおりである。
【0048】
【表1】
【0049】
活性炭の使用は、吸光度の低い数字で示されるように、樹脂のカラースローを有意に減少させた。活性炭の使用により、樹脂の保水性及び容量が大きく変化することはなかった。