特許第6763872号(P6763872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763872
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】光電子素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0445 20140101AFI20200917BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   H01L31/04 530
   H01L31/04 266
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-547963(P2017-547963)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-509766(P2018-509766A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016021178
(87)【国際公開番号】WO2016144869
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/131,938
(32)【優先日】2015年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/963,736
(32)【優先日】2015年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/963,778
(32)【優先日】2015年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/963,799
(32)【優先日】2015年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/963,832
(32)【優先日】2015年12月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカミー、ジェイムズ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マ、チーシュン
(72)【発明者】
【氏名】カバガンブ、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】コラム、クワク、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チェン − ハン
(72)【発明者】
【氏名】ネリス、ゲイリー ジェイ.
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516573(JP,A)
【文献】 特表2009−509350(JP,A)
【文献】 特開平11−195801(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/002394(WO,A1)
【文献】 特表2014−510364(JP,A)
【文献】 特開2006−286616(JP,A)
【文献】 特開2014−214355(JP,A)
【文献】 特開2014−150081(JP,A)
【文献】 特表2013−529845(JP,A)
【文献】 特表2013−509352(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0168261(US,A1)
【文献】 Yanwei Huang et al.,"Investigation on structural, electrical and optical properties of tungsten-doped tin oxide thin films",Thin Solid Films,2010年,Vol.518,p.1892-1896,DOI:10.1016/j.tsf.2009.07.119
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(14)及び第2の表面(16)を有する第1のガラス基板(12)と、前記第2の表面(16)上の光電子被膜(17)とを備える太陽電池(10)であって、
前記光電子被膜(17)が、
前記第2の表面(16)上に位置付けられる下層(18)と、
前記下層(18)の上の第1の導電層(20)と、
前記第1の導電層(20)の上の上層(22)と、
前記第1の導電層(20)の上の半導体層(24)と、
前記半導体層(24)の上の第2の導電層(26)と、を備え、
(i)前記第1の導電層(20)が、酸化スズ及びタングステンを含む第1の層と、酸化スズ及びフッ素を含む第2の層とを有し、
(ii)前記上層(22)が、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、及びマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1つの材料とを含むバッファ層(42)を備える、太陽電池(10)。
【請求項2】
前記下層(18)が、酸化シリコンを含むナトリウムバリヤー層(38)と、スズ、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、及びこれらの混合物の少なくとも一つの酸化物を含む底部光学層(36)と、の少なくとも一方を備える、請求項1に記載の太陽電池(10)。
【請求項3】
前記上層(22)が、硫化カドミウムと、硫酸カドミウムと、の少なくとも1つを含む絶縁層(44)をさらに備える、請求項1又は2に記載の太陽電池(10)。
【請求項4】
前記半導体層(24)が、テルル化カドミウムを備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池(10)。
【請求項5】
前記第2の導電層(26)が、金属層を備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池(10)。
【請求項6】
前記第1のガラス基板(12)の前記第2の表面(16)上の、又は前記第2の表面(16)に隣接した、もしくは前記第2の表面(16)の上であってかつ前記第2の表面(16)に隣接した内部光抽出領域(34)を含み、前記内部光抽出領域(34)は、ナノ粒子を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池(10)。
【請求項7】
前記第1のガラス基板(12)の前記第1の表面(14)上の機能層(32)を含み、前記機能層(32)が、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択された材料の酸化物を含む反射防止層(33)と、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及びこれらの混合物を含む外部光抽出層(35)と、の少なくとも1つを備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池(10)。
【請求項8】
前記第1のガラス基板(12)が、低濃度鉄含有ガラスを備え、前記下層(18)が、酸化シリコンを含むナトリウムバリヤー層(38)とスズ及び亜鉛の酸化物を含む底部光学層(36)とを備え、前記上層(22)が、亜鉛でドープされた酸化スズを含むバッファ層(42)を備え、前記半導体層(24)が、テルル化カドミウムを含み、前記第2の導電層(26)が、金属銀を含み、前記太陽電池(10)が、前記第1のガラス基板(12)の前記第2の表面(16)の上に、又はこれに隣接して、もしくはこの上であってかつこれに隣接してナノ粒子を含む内部光抽出領域(34)を備え、前記太陽電池(10)が、前記第1のガラス基板(12)の前記第1の表面(14)上の機能層(32)を備え、前記機能層(32)が、(i)チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択された材料の酸化物を含む反射防止層(33)と、(ii)シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及びこれらの混合物の少なくともいずれか1つを含む外部光抽出層(35)と、の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の太陽電池(10)。
【請求項9】
前記金属層が金属銀の層である、請求項に記載の太陽電池(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの材料が、亜鉛、またはマグネシウムである、請求項1に記載の太陽電池(10)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの材料が、亜鉛である、請求項1に記載の太陽電池(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府支援の通知)
本発明は、エネルギー省によって授与された契約第DE−EE0004736号の下で政府の支援によりなされたものである。米国政府は、本発明に特定の権利を有し得る。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年3月12日に出願された米国特許仮出願第62/131,938号に対する優先権を主張する。本出願はまた、全て2015年12月9日に出願された、米国特許出願第14/963,736号、第14/963,778号、第14/963,799号、及び第14/963,832号に対する優先権も主張する。上記出願の全ては、その全体について本明細書に参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は一般に光電子素子、例えば太陽電池、発光ダイオード、有機発光ダイオード、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
光電子素子は、電気/光又は光/電気変換器である。光電子素子の例には、太陽電池(即ち、光電池)、発光ダイオード、及び有機発光ダイオードが含まれる。
【0005】
太陽電池又は光(PV:photovoltaic)電池は、太陽光を電気に直接変換する光電子素子である。太陽電池を照らしている光が、電流及び電圧を発生して電力を作り出す。太陽電池中で、太陽光の光子が、半導体材料によって吸収される。電子は、原子から弾き出され自由になり、電位差が生じる。電流が、電位差を相殺するように半導体材料を通って、そして導電層へと流れる。
【0006】
有機発光ダイオード(OLED)は、有機半導体材料の有機薄膜、例えば、電界発光放射層を有する活性スタックを組み込んだ多層構造を有する光電子素子である。活性スタックは、2つの導電性電極(アノード及びカソード)の間に位置する。電流をアノードとカソードとの間に通すと、放射層は電流の印加に反応して、光、通常は可視光を発する。
【0007】
光散乱又は「ヘイズ」は、光電子素子の活性領域中に光を閉じ込めるために用いられる。より多くの光を素子に閉じ込めるほど、得られる効率はより高い。しかしながら、ヘイズは、導電層を通過する光の透過率に悪影響を与えるほど大きくすることができない。
【0008】
また、最大量の電磁放射が、半導体層へ又は半導体層から通過できるよう、導電層は非常に透明であることが望ましい。導電層は、電子の移動を容易にするため導電性が高くなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開特許01/28941号
【特許文献2】米国特許第4,924,936号明細書
【特許文献3】米国特許第5,356,451号明細書
【特許文献4】米国特許第7,730,747号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
向上された導電性及び/又は光透過性及び/又は光散乱性を有する導電層を有する光電子素子を提供することは望ましい。これらの要因の1つ以上に影響を及ぼす(例えば、増加させる又は減少させる)ように、導電層を変更する方法を提供することは望ましい。光電子素子に有用な導電層を提供することは望ましい。基板の製造に有用な成膜装置及び/又は光電子素子に有用な成膜基板を提供することは望ましい。光電子素子において有用な成膜基板を提供するために、一方又は両方の主表面上でガラス基板に成膜する方法を提供することは望ましい。上記結果のうちの1つ以上達成するために、物品及び/又は方法を提供することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
光電子素子は、第1の表面と第2の表面を有する第1の基板を備える。光電子被膜は、基板の少なくとも一方の表面に位置する。光電子被膜は、例えば第2の表面の上に位置する、下層を含む。第1の導電層が、下層の上に位置する。上層が、第1の導電層の上に位置する。半導体層が、導電性酸化物層の上に位置する。第2の導電層が、半導体層の上に位置する。第1の導電層は、導電性酸化物及びタングステン、モリブデン、ニオブ、及び/又はフッ素からなる群から選択された少なくとも1つのドーパントを含むことができる。例えば、第1の導電層は、タングステンをドープされた酸化スズを含むことができる。例えば、上層は、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム及びマグネシウムからなる群から選択された少なくとも一つの材料とを含んだバッファ層を含むことができる。
【0012】
光電子素子のための透明な導電性酸化物層は、タングステンをドープされた金属酸化物を含む。例えば、タングステンをドープされた酸化スズである。
【0013】
蒸着装置は、注入口プレナム及び排出口プレナムを備えたプレナム組立品と、放出面を備えたノズルブロックを備える。放出チャネルは、注入口プレナムと流体連通している。排出口導管は、排出口プレナムと流体連通している。放出チャネルは、成膜ブロックの放出面に対して角度を付けられている。
【0014】
ガラス製造システムにおいてガラス基板上に被膜を形成する方法は、第1の成膜前駆体材料を、第1の注入口プレナムが第1の放出チャネルと流体連通し、第1の放出チャネルが第1の放出経路を定めている、放出面を有する蒸着装置の第1の注入口プレナムに提供することと、第2の成膜前駆体材料を、第2の注入口プレナムが第2の放出チャネルと流体連通し、第2の放出チャネルが第2の放出経路を定めている、蒸着装置の第2の注入口プレナムに提供することと、を備える。第1の放出経路は、(a)ガラスリボンの表面より上方、又は(b)ガラスリボンの表面、又は(c)ガラスリボンの表面より下方、から選択される位置で第2の放出経路と交わる。
【0015】
ドローダウン組立品は、ガラスリボン経路の第1の側面及び/又は第2の側面に隣接して位置付けられる、蒸着装置などの少なくとも1つの成膜装置を備える。ドローダウン組立品は、ガラスリボン経路の第1の側面又は第2の側面に隣接して位置付けられる、溶射装置などの少なくとも1つのナノ粒子堆積装置を含むことができる。
【0016】
ドローダウン法で成膜ガラス物品を形成する方法は、少なくとも1つの第2の成膜装置をガラスリボン経路の第2の側面に隣接して位置付けることと、任意選択で、少なくとも1つの第1の成膜装置をガラスリボン経路の第1の側面に隣接して位置付けることと、ガラスリボンの第2の側面の上に第2の被膜を適用するために第2の成膜装置を用いることと、任意選択で、ガラスリボンの第1の側面の上に第1の被膜を適用するために任意選択の第1の成膜装置を用いることと、を備える。
【0017】
ドローダウン法によって形成される両面を成膜した物品は、第1の表面と、対向する第2の表面とを有するガラス基板を備える。第1の被膜は、第1の表面に隣接した第1の化学気相成長装置によって、第1の表面上に形成される。第2の被膜は、第2の表面に隣接した第2の化学気相成長装置によって、第2の表面上に形成される。内部光抽出領域は、少なくとも1つの粒子堆積装置によって、ガラス基板の第2の表面上に及び/又はこれに隣接して形成される。
【0018】
本発明の完全な理解は、全体を通じて同様の参照番号が同様の部分を特定している添付の図面に関連して、以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の特徴を組み込んでいる太陽電池の形状の光電子素子の横断面図である。
図2】本発明の特徴を組み込んでいる化学気相成長(CVD)成膜装置の横断面図である。
図3】変更された放電チャネル配置を有する変更されたCVD成膜装置のノズルブロックの横断面図である。
図4】本発明の特徴を組み込んでいるガラスドローダウン法(glass drawdown process)の末端断面図である。
図5】本発明の典型的な成膜物品の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で用いられるように、「左」、「右」、「内」、「外」、「上方」、「下方」などの空間又は方向の用語は、図面に示されるような本発明と関連している。しかしながら、本発明はさまざまな代替的方向を仮定することができ、したがって、このような用語は制限的なものとみなすべきではない。
【0021】
本明細書及び本特許請求の範囲で使用されるすべての数字は、「約」という用語によって全ての場合において変更されるものとして理解されるべきである。「約」とは、述べられた値のプラス又はマイナス10パーセントの範囲を意味する。本明細書で開示されたすべての範囲は、始めと終わりの範囲値を包含し、そしてあらゆる部分範囲がその中に包括される。本明細書に開示された範囲は、具体的に挙げられた範囲の平均値を表す。
【0022】
本明細書で記述される被膜層又は薄膜に関して、「上」の用語は、議論されている被膜層又は薄膜が載っている基板(又は基層)からより遠くを意味する。例えば、第1の層の「上」に位置している第2の層は、第2の層が第1の層よりも基板(又は基層)からより遠くに位置していることを意味する。第2の層は、第1の層と直接接触していてもよい。あるいは、1つ以上のその他の層が、第1の層と第2の層との間に位置していてもよい。
【0023】
「薄膜」の用語は、化学的に異なった及び/又は均質な組成を有する領域を意味する。「層」は、1つ以上の「薄膜」を備える。「被膜」は、1つ以上の「層」を備える。
【0024】
「ポリマー」又は「重合体」の用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーを含み、例えば、2種類以上のモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。
【0025】
「紫外放射」の用語は、100nm〜380nm未満の範囲内の波長を有する電磁放射線を意味する。「可視放射線」又は「可視光」の用語は、380nm〜780nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を意味する。「赤外放射線」の用語は、780nm超〜100,000nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を意味する。「太陽光の赤外放射線」の用語は、1,000nm〜3,000nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を意味する。「熱赤外放射線」の用語は、3,000nm超〜20,000nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を意味する。
【0026】
本明細書で参照するすべての文書は、その完全が「参考として組み込まれる」。
【0027】
「光学厚さ」の用語は、550nmの基準波長での材料の屈折率によって乗算される材料の物理厚さを意味する。例えば、5nmの物理厚さと、550nmの基準波長で屈折率2を有する材料は、10nmの光学厚さを有する。
【0028】
「鍛えられた」又は「熱処理された」などの用語は、物品の熱的強化(thermal tempering)、加熱曲げ加工(heat bending)、及び/又は加熱強化(heat strengthening)を成すために十分な温度まで、議論されている物品を加熱することを意味する。この定義は、例えば、熱的強化、加熱曲げ、及び/又は加熱強化を成すために、少なくとも600℃、少なくとも620℃など、少なくとも580℃の温度でオーブン又は炉内で、一定期間、例えば、1〜5分など、1〜15分の範囲で一定期間、物品を加熱することを含む。
【0029】
シリコンは従前、金属とみなさない場合があるとしても、伝統的に認知されている金属及び金属酸化物と同様に、「金属」及び「金属酸化物」の用語は、それぞれ、シリコン及びシリカを含む。
【0030】
「少なくとも」は、「以上」を意味する。「せいぜい」は、「以下」を意味する。
【0031】
光学的値(例えば、可視光透過率)は、特にそうではないと明記しない限り、パーキンエルマー社(Perkin Elmer, Inc.)製1050分光光度計を使用して決定される。シート抵抗値は、特にそうではないと明記しない限り、4探針(例えば、ナジーインスツルメンツ社(Nagy Instruments, GmbH)製SD−600測定装置)を使用して決定されるものである。表面粗さの値は、特にそうではないと明記しない限り、ビーコインスツルメンツ社(Veeco Instruments Inc.)製Dimension3100原子間力顕微鏡を使用して決定されるものである。
【0032】
量に対する全ての言及は、特にそうではないと明記しない限り、「重量%」である。
【0033】
膜厚値は、特にそうではないと明記しない限り、物理厚さの値である。
【0034】
「ドーパント」は、5重量%未満、4重量%未満、2重量%未満などの、10重量%未満の量で存在することができる。例えば、1重量%未満である。例えば、0.5重量%未満である。例えば、0.1重量%未満である。
【0035】
「含む」の用語は、「備える」と同義であることを考慮されなければならない。
【0036】
「硬化可能」の用語は、重合又は架橋可能な組成を意味する。「硬化した」とは、材料が少なくとも部分的に重合又は架橋されるか、好ましくは完全に重合又は架橋されることを意味する。「上流」及び「下流」の用語は、ガラスリボンの移動方向に関する。
【0037】
本発明の説明では、特定の特徴、特定の限界の範囲内で「特に」又は「好ましくは」のように(例えば、特定の限界の範囲内で、「好ましくは」、「より好ましくは」、又は「更に好ましくは」)記載する場合がある。本発明は、これらの特定の又は好適な限界に制限されないが、本開示の全ての範囲を包含することを理解すべきである。
【0038】
本発明は、本発明の以下の態様を、任意の組み合わせで、備え、から成り、又は、から本質的に成る。本発明のさまざまな態様は、別々の図面にて図示される。しかしながら、これは、単に図解及び説明の容易さのためであることを理解すべきである。本発明の実施に際して、ある図面に示される本発明の1つ以上の態様は、1つ以上のその他の図面に示される本発明の1つ以上の態様と組み合わせることができる。
【0039】
本発明は、太陽電池に関して記載される。しかしながら、本発明が他の光電子素子、例えば、有機発光ダイオード、発光ダイオード、表示装置及び/又は電子スイッチによって実施し得ることを理解すべきである。
【0040】
本発明の特徴を組み込んでいる典型的な光電子素子10を、太陽電池の形態で、図1に示す。光電子素子10は、第1の(例えば、外側の)主表面14及び第2の(例えば、内側の)主表面16を有する第1の(例えば、外側の)基板12を含む。「外側の」とは、入射光、例えば、太陽光に向かう表面を意味する。光電子被膜17は、基板12の表面上、例えば、第2の主表面16上に位置する。光電子被膜17は、第2の表面16上に位置する下層18を含む。第1の導電層20は、下層18上に位置する。上層22は、第1の導電層20上に位置する。半導体層24は、上層22上に位置する。第2の導電層26は、半導体層24上に位置する。任意の第2の(例えば、内側の)基板28は、第2の導電層26上に位置することができる。例えば、任意の第2の基板28は、任意のポリマー中間層30によって第2の導電層26に接続されることができる。任意の機能層32は、基板12の第1の表面14上に位置することができる。任意の内部光抽出層又は領域34は、基板12の表面の上に及び/又は隣接して位置することができる。
【0041】
第1の基板12は、高い可視光透過率を有するのが好ましい。「高い可視光透過率」とは、550ナノメートル(nm)の基準波長及び2ミリメートル(mm)の基準厚さで、少なくとも87%のような、少なくとも85%の可視光透過率を意味する。例えば、少なくとも90%である。例えば、少なくとも91%である。例えば、少なくとも92%である。例えば、少なくとも93%である。
【0042】
第1の基板12は、低濃度鉄含有ガラスであることができる。「低濃度の鉄」とは、350百万分率(ppm)未満のような、400ppm未満の総鉄含有量を有することを意味する。例えば、総鉄含有量は、300ppm未満であってよい。例えば、総鉄含有量は、200ppm未満であってよい。
【0043】
第1の基板12に好適な材料の実施例としては、ソーダライムシリケートガラス、例えばフロートガラスが含まれる。
【0044】
本発明に使用可能なガラスの実例は、Starphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)、Solarphire(登録商標) PV、及びCLEAR(商標)ガラスといった、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズ社(PPG Industries, Inc.)から市販されているすべてを含む。
【0045】
第1の基板12は、任意の所望の厚さであることができる。例えば、第1の基板12は、1mm〜10mm、1mm〜4mmなどの、0.5mm〜10mmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、第1の基板12は、2mm〜3.2mmの範囲の物理厚さを有することができる。
【0046】
下層18は、単一層、均質層、勾配層であるか、又は複数の層を含むことができる。「均質層」とは、材料が被膜の全体にわたってランダムに分布した層を意味する。「勾配層」とは、基板12からの距離が変わるにつれて、成分の濃度比率が変化する(例えば、連続的変化又は段階的変化)、2つ以上の成分を有する層を意味する。
【0047】
下層18は、任意選択の底部光学層36であるか又はそれを含むことができる。底部光学層36は、1つ以上の金属酸化物層を含むことができる。好適な酸化物材料の実例には、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、及び/若しくは合金の酸化物並びに/又はこれらの混合物が含まれる。例えば、底部光学層36は、亜鉛、シリコン、スズ、アルミニウム及び/又はチタンの酸化物を含むことができる。例えば、底部光学層36は、亜鉛及び/又はスズの酸化物を含むことができる。
【0048】
酸化亜鉛膜をスパッタするための亜鉛ターゲットは、亜鉛ターゲットのスパッタリング特性を向上させるために、1つ以上の他の材料を含み得る。例えば、亜鉛ターゲットは,5重量%以下などの、10重量%以下のそのような材料を含むことができる。得られた酸化亜鉛層は、添加した材料の酸化物を、例えば、10重量%以下の酸化物材料、例えば、5重量%以下の酸化物材料といった、小さな割合で含むことになる。添加した材料(又は添加した材料の酸化物)が少量存在し得るとしても、亜鉛ターゲットのスパッタリング特性を高めるために、10重量%以下の添加材料を有する亜鉛ターゲットから堆積された層は、本明細書において「酸化亜鉛層」と呼ばれる。このような材料の一例が、スズである。
【0049】
底部光学層36は、スズ酸亜鉛層であるが、又はこれを含むことができる。「スズ酸亜鉛」とは、「x」が0より大きく1未満の範囲で変化するときに、ZnSn1−x2−x(式1)の式の組成物を意味する。例えば、「x」は、0よりも大きいことができ、そして0より大きく1未満の間のいかなる分数又は小数であり得る。スズ酸亜鉛層は、式1の1つ以上の形態を、支配的な量で有する。x=2/3であるスズ酸亜鉛層は、通常、「ZnSnO」と称される。
【0050】
下層18は、任意選択のナトリウムイオンバリヤー層38であるか又はこれを含むことができる。ナトリウムイオンバリヤー層38に好適な材料の例としては、金属酸化物及び金属合金酸化物材料が含まれる。例えば、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、及び合金の酸化物並びにこれらの混合物である。例えば、ナトリウムイオンバリヤー層38は、酸化シリコンを含むことができる。例えば、ナトリウムイオンバリヤー層38は、少なくともシリカ及びチタニアの混合物を含むことができる。例えば、ナトリウムイオンバリヤー層38は、シリカ、チタニア、及びリン酸化物の混合物を含むことができる。
【0051】
図1において、ナトリウムイオンバリヤー層38は、底部光学層36上に図示される。しかしながら、あるいは、ナトリウムイオンバリヤー層38は、第1の基板12と底部光学層36との間に配置されることがあり得る。
【0052】
下層18は、任意選択の底部光学層36と任意選択のナトリウムイオンバリヤー層38の両方を備えることができる。あるいは、底部光学層36又はナトリウムイオンバリヤー層38の1つのみ、存在し得る。
【0053】
下層18は、20nm〜400nmなどの、10nm〜500nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、20nm〜300nmの範囲の物理厚さである。
【0054】
下層18は、40nm〜800nmなどの、20nm〜1000nmの範囲の光学厚さを有することができる。例えば、40nm〜600nmの範囲の光学厚さである。
【0055】
第1の導電層20は、単層であるか若しくは複数の層又は領域を有することができる。第1の導電層20は、少なくとも1つの導電性酸化物層を含むことができる。例えば、第1の導電層20は、ドーピングした酸化物層を備えることができる。例えば、第1の導電層20は、1つ以上の金属酸化物材料を含むことができる。例えば、第1の導電性層20は、スズ酸亜鉛などの、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si、Inの1つ以上の酸化物の1つ以上、又はこれらの材料の内の2つ以上の合金を含むことができる。例えば、第1の導電層20は、酸化スズを含むことができる。
【0056】
第1の導電層20は、F、In、Al、P、Cu、Mo、Ta、Ti、Ni、Nb、W、Ga、Mg、及び/又はSbなどであるがこれらに限定されない、1つ以上のドーパント材料を含むことができる。例えば、ドーパントは、W、Mo、Nb、及び/又はFであることができる。例えば、ドーパントは、W又はFであることができる。例えば、ドーパントは、Wであることができる。
【0057】
例えば、第1の導電層20は、W及び酸化物材料を含むことができる。例えば、第1の導電層は、タングステンをドープされた酸化スズを含むことができる。
【0058】
「ドーパント」は、5重量%未満、4重量%未満、2重量%未満などの、10重量%未満の量で存在することができる。例えば、1重量%未満である。例えば、0.5重量%未満である。例えば、0.1重量%未満である。
【0059】
第1の導電層20は、第1の層又は領域、及び第1の層上に位置する第2の層又は領域を備える多層膜であることができる。例えば、第1の層又は領域は、タングステンドープ酸化スズであることができる。例えば、第2の層又は領域は、フッ素ドープ酸化スズであることができる。
【0060】
第1の導電層20は、200nm〜600nm、200nm〜500nmなどの、150nm〜700nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、第1の導電層20は、200nm〜450nmの範囲の物理厚さを有することができる。
【0061】
第1の導電層20は、400nm〜1200nm、400nm〜1000nmなどの、300nm〜1400nmの範囲の光学厚さを有することができる。例えば、第1の導電層20は、400nm〜900nmの範囲の光学厚さを有することができる。
【0062】
第1の導電層20は、10Ω/sq.〜20Ω/sq.などの、8オーム/スクエア(Ω/sq.)〜25Ω/sq.の範囲のシート抵抗を有することができる。例えば、10Ω/sq.〜17Ω/sq.などである。
【0063】
第1の導電層20は、5nm〜40nm、5nm〜30nm、10nm〜30nm、10nm〜20nmなどの、5nm〜60nmの範囲の表面粗さ(二乗平均)を有することができる。例えば、10nm〜15nmなどである。例えば、11nm〜15nmなどである。
【0064】
上層22は、均質層、勾配層であり、及び/若しくは複数の層又は薄膜を含むことができる。
【0065】
上層22は、任意選択のバッファ層42であるか又はこれを含むことができる。バッファ層42は、半導体層24への電磁エネルギー量を向上させることができる。
【0066】
バッファ層42は、1つ以上の酸化物材料を含むことができる。バッファ層42に好適な材料の実例としては、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、マグネシウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、ガリウム、鉛、インジウム、及び/若しくはスズの酸化物、並びに/若しくは合金類並びに/又はこれらの混合物が含まれる。例えば、バッファ層42は、亜鉛、インジウム、ガリウム、及び/又はスズの酸化物を含むことができる。例えば、バッファ層42は、酸化スズを含むことができる。
【0067】
バッファ層42は、酸化物材料をドープ又は合金化された、1つ以上の他の材料を含むことができる。他の材料の実例としては、亜鉛、マグネシウム、及び/又はスズが含まれる。
【0068】
例えば、バッファ層42は、スズ酸亜鉛を含むことができる。例えば、バッファ層42は、亜鉛及び/又はマグネシウムをドープされた酸化スズを含むことができる。例えば、バッファ層42は、亜鉛をドープされた酸化スズを含むことができる。
【0069】
上層22は、任意選択の絶縁層44であるか又はこれを含むことができる。絶縁層44に好適な材料は、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムが含まれる。絶縁層44は、テルル化カドミウム太陽電池に特に有用である。
【0070】
上層22は、任意選択のバッファ層42と任意選択の絶縁層44の両方を備えることができる。あるいは、任意選択のバッファ層42及び任意選択の絶縁層44の1つのみが、存在し得る。
【0071】
上層22は、20nm〜400nm、20nm〜300nmなどの、20nm〜500nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、上層22は、20nm〜200nmの範囲の物理厚さを有することができる。
【0072】
半導体層24は、いかなる従来の光電子素子半導体材料も含むことができる。太陽電池用では、半導体材料の実例としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウム、及び/又はセレン化/硫化銅インジウムが含まれる。OLED用では、材料の実例としては、低分子、例えば、有機金属キレート(例えば、Alq)、蛍光及びリン光性色素、複合型デンドリマー、エレクトロルミネセンス高分子材料、並びにリン光材料が含まれる。
【0073】
半導体層24は、200nm〜800nm、300nm〜500nmなどの、200nm〜1,000nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、300nm〜400nmの範囲の物理厚さである。例えば、350nmの物理厚さである。
【0074】
第2の導電層26は望ましくは金属層である。第2の導電層26に好適な材料の実例としては、銀、バリウム、カルシウム及びマグネシウムが含まれる。第2の導電層26は、比較的厚い層であることができる。例えば、第2の導電層26は、550nmの波長を有する光に不透明であることができる。「不透明」とは、550nmの波長で、5%未満、3%未満などの、10%未満透過率を有することを意味する。例えば、1%未満などである。例えば、0%である。
【0075】
任意選択の第2の基板28は、第1の基板12について上で記述したいかなる材料であることもできる。第1の基板12及び第2の基板28は、同一の又は異なる材料及び同一の又は異なる厚さであることができる。例えば、第2基板28は、フロートガラスを備えることができる。
【0076】
任意選択の中間層30は、エラストマー系ポリマーであることができる。実例としては、エチレンビニルアセテート(EVA)、及びポリビニルブチラール(PVB)が含まれる。
【0077】
任意選択の機能層32は、均質層、勾配層であり、及び/若しくは複数の層又は薄膜を含むことができる。
【0078】
任意選択の機能層32は、任意選択の反射防止層33であるか又はこれを含むことができる。例えば、反射防止層33は、単層であるか、若しくは反射防止材料及び/又は誘電材料の複数の薄膜を備えることができる。実例としては、金属酸化物、合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、又はこれらの混合物が含まれる。反射防止層33に好適な金属酸化物の実例としては、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズの酸化物、及び/又はこれらの混合物が含まれる。これらの金属酸化物は、例えば、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなど、少量の他の材料を有することができる。加えて、亜鉛及びスズを含んでいる酸化物(例えば、スズ酸亜鉛)、スズインジウム合金の酸化物、窒化シリコン、窒化アルミニウムシリコン、又は窒化アルミニウムなどの、合金又は金属混合物の酸化物を使用することができる。更に、例えば、アンチモン若しくはインジウムをドープされた酸化スズ又はニッケル若しくはホウ素をドープされた酸化シリコンなどの、ドープされた金属酸化物を使用することができる。
【0079】
反射防止層33は、10nm〜500nm、20nm〜400nm、25nm〜300nm、25nm〜200nm、25nm〜100nmなどの、5nm〜600nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、25nm〜50nmの範囲の物理厚さである。例えば、30nm〜40nmの範囲の物理厚さである。
【0080】
反射防止層33は、20nm〜1000nm、40nm〜800nm、50nm〜600nm、50nm〜400nm、50nm〜200nmなどの、10nm〜1200nmの範囲の光学厚さを有することができる。例えば、50nm〜100nmの範囲の光学厚さである。例えば、60nm〜80nmの範囲の光学厚さである。
【0081】
任意選択の機能層32は、任意選択の外部抽出層35であるか又はこれを含むことができる。荒くした外面を有する、金属酸化物被膜などの被膜によって、外部抽出層35を形成することができる。外部抽出層35に有用な酸化物の実例としては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及び/又はこれらの混合物が含まれる。
【0082】
外部抽出層35は、5nm〜500nm、50nm〜500nmなどの、5nm〜500nmの範囲の平均表面粗さ(Ra)を有することができる。例えば、50nm〜200nmなどである。例えば、100nm〜200nmなどである。
【0083】
外部抽出層35は、100nm〜250nmの範囲の二乗平均粗さ(Rq)を有することができる。例えば、150nm〜200nmなどである。
【0084】
外部抽出層35は、50nm〜500nmなどの、10nm〜500nmの範囲の物理厚さを有することができる。例えば、100nm〜500nmの範囲の物理厚さである。外部抽出層35は、単層又は任意選択により多層被膜であることができる。
【0085】
外部抽出層35は、100nm〜1000nmなどの、20nm〜1000nmの範囲の光学厚さを有することができる。例えば、200nm〜1000nmの範囲の光学厚さである。
【0086】
任意選択の機能層32は、反射防止層33及び外部抽出層35の両方を備えることができる。あるいは、任意選択の機能層32は、反射防止層33及び外部抽出層35の1つのみを備えることができる。あるいは、機能層32は、存在しなくてもよい。
【0087】
以上に記述した1つ以上の層は、いかなる従来の成膜法によっても形成されることができる。実例としては、噴霧熱分解(spray pyrolysis)、化学気相成長(CVD)のような蒸着(vapor deposition)、充填層蒸発(packed-bed vaporization)、平台型蒸発(flat-bed vaporization)、及び流下膜式蒸発(falling film vaporization)、及び/又はマグネトロンスパッタリング真空蒸着(magnetron sputtered vacuum deposition、MSVD)が含まれる。層は全て同じ方法によって形成されるか、又は異なる層を異なる方法によって形成することができる。例えば、1つ以上のその他の層が、例えば、MSVD又は噴霧熱分解により形成される一方で、1つ以上の層をCVD法により形成することができる。
【0088】
例えば、1つ以上の層又は領域をフロートガラス法で形成することができる。他の実例において、1つ以上の層又は領域をドローダウン法で形成することができる。
【0089】
フロートガラス法において、ガラスバッチ材料が炉内で溶融され、フロート浴中の溶融金属プールの上面上に流される。ガラス溶解物は溶融金属の表面全体に広がって、ガラスリボンを形成する。ガラスリボンはフロート浴から搬出され、制御された冷却のための徐冷窯に運ばれることができる。化学気相成長(CVD)装置又は粒子堆積装置、溶射装置などの1つ以上の成膜装置が、フロート浴に位置することができる。
【0090】
揮発性の前駆体を適用するに特に適している蒸着装置46を図2に示す。成膜装置46は、プレナム組立品48及びノズルブロック50を含む。ノズルブロック50は、例えばガラスリボン96である、成膜される基板の方へ向けられた放出面51を有する。図示された典型的なプレナム組立品48は、第1の注入口プレナム52、第2の注入口プレナム54及び第3の注入口プレナム56を有する。プレナム組立品48は、第1の排出口プレナム58及び第2の排出口プレナム60を有する。典型的なノズルブロック50は、ボルトなどによって、プレナム組立品48に接続されている。
【0091】
第1の注入口プレナム52は、第1の放出口(スロット)64を有する第1の放出チャネル62と流体連通している。第2の注入口プレナム54は、第2の放出口(スロット)68を有する第2の放出チャネル66と流体連通している。第3の注入口プレナム56は、第3の放出口(スロット)72を有する第3の放出チャネル70と流体連通している。注入口混合チャンバ74が、放出チャネルに位置することができる。
【0092】
第1の排気導管76は、放出面51から第1の排出口プレナム58に及ぶ。第2の排気導管78は、放出面51から第2の排出口プレナム60に及ぶ。排出口チャンバ80が、排気導管76、78に位置することができる。
【0093】
図示された例では、第2の放出チャネル66は、放出面51に垂直である(すなわち、第2の放出チャネル66の中心線軸は、放出面51の平面に垂直である)。しかしながら、第1の放出チャネル62及び第3の放出チャネル70は、放出面51に対して角度を付けられている。第1の放出チャネル62及び第3の放出チャネル70の中心線軸は、放出面51の下の位置で交差する。この為、放出口64、68、72からの前駆体蒸気は、ノズルブロック50から放出する後まで混合されない。これは、前駆体の予混合が早すぎる反応を引き起こす、揮発性の前駆体に対して特に有用である。
【0094】
2つ以上の放出チャネル62、66、70の中心線軸が所望の場所(例えば、放出面51からの間隔及び/又は下に横たわる基板に対する位置)で交差するように、放出面51に対する1つ以上の放出チャネル62、66、70の角度を変更することができる。例えば、異なる放出チャネルの角度を有する異なるノズルブロック50を提供することができる。所望の放出チャネルの角度を有するノズルブロック50を選択し、プレナム組立品48上にボルト締めすることができる。あるいは、ノズルブロック50を別々の区間により形成することができる。第1の排気導管76はある区間に在ることができ、第2の排気導管78は他の区間に在ることができ、そして放出チャネル62、66、70は第3の区間に在ることができる。異なる区間は、プレナム組立品48と個別に接続可能であることができる。この態様では、放出チャネル62、66、70を伴うノズルブロック50の区間だけが、所望の放出チャネルの角度を有する区間と置き換えられることを必要とする。あるいは、第1の放出チャネル62、第2の放出チャネル66、及び第3の放出チャネル70は、ノズルブロック50の別々の区間に位置し、プレナム組立品48に、例えば摺動可能に接続するというように、移動可能に接続されることができる。例えば、図2を参照すると、第1の放出チャネル62がある摺動可能な区間に位置し、第3の放出チャネル70が別個の摺動可能な区間に位置する場合、第1の放出チャネルを含む摺動可能な区間及び/又は第3の放出チャネル70を含む他の摺動可能な区間を、図2に関して左又は右に摺動させることは、放出チャネルの中心線の交点を変えることになる。例えば、図2において、第1の放出チャネル62を含んでいる区間を左に摺動させ、第3の放出チャネル70を含んでいる区間を右に摺動させることは、放出面51に対する交点の距離を増すことになる。
【0095】
基板、例えばガラスリボン96の表面より上で、若しくは基板表面で、又は基板表面より下で中心線軸が交差するように、放出チャネル62及び/又は70の角度を変更することができる。算出された交点が基板表面より下にある場合、放出面51に垂直な第2の放出チャネル66からの蒸気は、ガラスリボン上に単分子層を形成し、第1の放出チャネル62及び第3の放出チャネル70からの材料が、それと反応する。図2において、放出チャネルの中心線軸は、ガラスリボン96より上で交差する。
【0096】
修正された成膜装置47の修正されたノズルブロック50の中央部分を図3に示す。この修正において、第1の放出口64及び第3の放出口72は、放出面51より上で第2の放出チャネル66と流体連通している。この為、第2の放出口68から放出される前に、3つの放出チャネルからの蒸気が混合する。
【0097】
複数の放出スロットを有する成膜装置46、47は、上記の層の1つ以上を施すことに対して特に有用である。
【0098】
上述した層の1つ以上を、複数の前駆体材料の選択蒸着によって作製することができる。例えば、第1の導電層20を2つ以上の異なる前駆体材料を使用して形成することができる。三塩化モノブチルスズ(monobutyltin trichloride、MBTC)によって作成される酸化スズ被膜は概して、四塩化スズ(tin tetrachloride、TTC)などの他のスズ前駆体より少ないヘイズを有する被膜を提供する。しかしながら、TTCの堆積効率は、MBTCより良好である。また、TTCは、MBTCから作製される被膜より低いシート抵抗を伴う被膜をもたらす傾向がある。従って、第1の導電層20を、最初にMBTCを使用して(ヘイズのため)形成し、続いて、第1の導電層20の残部を形成するために、前駆体材料をTTCへ切り替えることができる。全体的な効率は増し、得られた被膜は、MBTCのヘイズの利点及びTTCのシート抵抗の利点を有する。
【0099】
他の実例では、MBTC及びジブチルスズジアセテート(dibutyltin diacetate、DBTA)を使用して、第1の導電層20を形成することができる。MBTCで形成されたスズ被膜は、通常はDBTAで形成されたスズ被膜より大きな表面粗さを有する。しかしながら、DBTAは、より遅い堆積速度を有する。MBTCをDBTAと混合した場合、得られた被膜は、MBTC単体でよりも滑らかであり、堆積速度はDBTA単体ほど低くはない。
【0100】
第1の導電層20は、複数の層及び/又は領域を有するように形成されることができる。例えば、第1の導電層20の第1の領域は、スズ前駆体及びタングステン前駆体を使用して、タングステンをドープされた酸化スズ被膜を提供するように形成することができる。例えば、スズの前駆体は、MBTC又はTTCであることができる。タングステン前駆体は、四塩化タングステンであることができる。例えば、第1の導電層20の第2の領域を、スズ前駆体及びフッ素前駆体を使用して、フッ素をドープされた酸化スズ領域を提供するように堆積することができる。
【0101】
スズ前駆体及び亜鉛又はマグネシウムのための前駆体を使用して、バッファ層42を作製することができる。例えば、スズ前駆体は、MBTC又はTTCであることができる。亜鉛前駆体は、ジエチル亜鉛(DEZ)、ジメチル亜鉛(DMZ)、亜鉛アセチルアセテート(zincacetyl acetate)又はアルキル亜鉛アルコキシド(alkzinc alkoxide)であることができる。マグネシウム前駆体は、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(bis(cyclopentadienyl)magnesium)であることができる。例えば、MBTCと混合した塩化マグネシウムを使用して、バッファ層42を作製することができる。
【0102】
本発明は、フロートガラス法に制限されない。1つ以上の層を、ガラスドローダウン製造法を使用して形成することができる。ドローダウン法においては、溶融ガラスは、受け皿内に位置する。溶融ガラスは、受け皿から流出して、重力の影響を受けて下方へ移動するガラスリボンを形成する。ドローダウン法の実例としては、スロットドローダウン法(slot drawdown process)及び融合ドローダウン法(fusion drawdown process)が含まれる。スロットドローダウン法においては、受け皿は、トラフの底部に開いた放出スロットを有する細長いトラフである。溶融ガラスは放出スロットを通って流れ出て、ガラスリボンを形成する。融合ドローダウン法においては、受け皿は、開口頂部を有するトラフである。溶融ガラスは、トラフの最上部から流出し、トラフの対向した外側を下り、トラフの下方でガラスリボンを形成する。図4は、融合ドローダウン組立品として構成したドローダウン組立品81を示す。しかしながら、ドローダウン組立品81は、スロットドローダウン組立品として例示することもできる。
【0103】
図4に示す例示的融合ドローダウン法においては、溶融ガラス82は、チャネル84及び対向した側面88、90を有する成形トラフ(forming trough)86の形状の受け皿83に位置する。溶融ガラス82は、チャネル84を溢れ出て、側面88、90の外部表面に沿ってそれぞれ下方へ流れ、トラフ86の下で互いに結合してガラスリボン96を形成する2つのガラスのフィルム92、94を形成する。ガラスリボン96は、重力のもとで下方へ移動する。融合ドローダウン法又はスロットドローダウン法などのガラスドローダウン法において、ガラスリボン96がこれに沿って移動する垂直面によって、ドローダウン法のガラスリボン経路98が定められる。ガラスリボン経路98は、ガラスリボン96の第1の表面114及び第2の表面116をそれぞれ定める、第1の側面106及び第2の側面108を有する。上述のように、スロットドローダウン法では、受け皿83は、ガラスリボン96が現出するスロットをトラフの底部に有する、細長いトラフの形状であり、ガラスリボン96の垂直面を定める。
【0104】
1つ以上の成膜装置が、ガラスリボン96に隣接して(すなわち、ガラスリボン経路98の片面又は両面106、108に)位置している。成膜装置は、例えば、CVD成膜装置及び/又はスプレー式成膜装置及び/又は溶射式成膜装置及び/又は蒸発式成膜装置であることができる。図示された例では、少なくとも1つの成膜装置100は、ガラスリボン96の第2の表面116に隣接して(即ち、ガラスリボン経路98の第2の側面108上に)位置している。任意選択で、少なくとも1つの他の成膜装置102が、ガラスリボン96の第1の表面114に隣接して(即ち、ガラスリボン経路98の第1の側面106上に)位置することができる。この為、光電子被膜17及び/又は機能層32の上述した層の1つ以上を、ガラスリボン96の片面又は両面に形成することができる。例えば、成膜装置100、102は、CVD成膜装置などの、従来の蒸着成膜装置であることができる。例えば、1つ以上の成膜装置100、102は、上に記載した、成膜装置46又は成膜装置47であることができる。
【0105】
図1に示すとおり、基板12は、任意選択の内部光抽出領域34を含むことができる。基板12の第2の表面16上に組み込まれる、及び/又は第2の表面16に隣接した基板12の領域内に埋め込まれるか若しくは組み込まれるナノ粒子40により、内部光抽出領域34を形成することができる。好適なナノ粒子40の実例としては、これに限定されるものではないが、酸化物ナノ粒子が含まれる。例えば、これらに限定されないが、アルミナ、チタニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、シリカ及びジルコニアである。その他の実例としては、金属ナノ粒子が含まれる。例えば、これらに限定されないが、鉄、鋼、銅、銀、金及びチタンである。更なる実例としては、2つ以上の材料の合金を含有した合金ナノ粒子が含まれる。追加の実例としては、硫化物含有ナノ粒子及び窒化物含有ナノ粒子が含まれる。これらのナノ粒子は、基板表面から0マイクロメートル〜10マイクロメートル、0マイクロメートル〜5マイクロメートルなどの、0マイクロメートル〜50マイクロメートルの範囲の深さで、基板12(例えば、ガラスリボン96)に組み込もれ得る。例えば、0マイクロメートル〜3マイクロメートルなどである。
【0106】
ナノ粒子は、成膜装置又は粒子堆積装置から基板12に向かってナノ粒子を進ませることによって、基板12の上に及び/又はその中に組み込むことができる。例えば、フロートガラス法では、上記のフロート法におけるCVD成膜装置の上流のフロートチャンバー内に、粒子堆積装置(燃焼堆積装置(combustion deposition device)又は溶射装置など)を取り付けることができる。好適な溶射装置は、フィンランドのヴァンター(Vantaa)にあるベネク社(Beneq-Oy)から市販されている。他の好適な溶射装置は、特許文献1に記載されている。溶射装置において成膜材料は、粉砕され、燃焼され、続いて熱いガラスリボン上に直接吹き付けられる。粒子は、リボンの表面の上に形成及び/若しくはその中に拡散されるか、又は表面に突き刺さり、ガラスリボンの上部に組み込まれる。金属酸化物ナノ粒子などのこれらの粒子は、ガラスの表面に存在するか、又はガラス中に拡散され、ガラスマトリックスと反応する。この工程は、フロートチャンバーの任意の好適な場所で実施されることができるが、しかし、ガラスリボンの温度が、500℃〜900℃、500℃〜800℃、600℃〜800℃などの、400℃〜1,000℃の範囲である位置でより実際的であると考えられている。例えば、700℃〜800℃などである。表面の上及び/又はその中でのナノ粒子の堆積後、ガラスリボンは、1つ以上の上記被膜層の適用のため、CVD成膜装置の下に移動することができる。
【0107】
図4に示されるドローダウン法において、1つ以上の粒子堆積装置104が、ガラスリボン経路98に隣接して位置することができる。例えば、粒子堆積装置104は、従来の溶射装置であることができる。例えば、粒子堆積装置104は、成膜装置100、102の一方又は両方の上流に(即ち上方に)位置することができる。ガラスリボン96の片面又は両面114、116の上、及び/又はその中に、ナノ粒子40を堆積することができる。その後、成膜装置100、102によって、ガラスリボン96の片方又は両方の表面114、116上に、1つ以上の上記被膜層を適用することができる。例えば、粒子堆積装置104は、ガラスリボン96の第2の表面116(例えば、基板12の第2の表面16に対応している)の上に及び/又はその中に、ナノ粒子40を堆積させることができる。その後、1つ以上の成膜装置100が、ガラスリボン96の第2の側面116の上に光電子被膜17の、1つ以上のその他の層を適用することができる。1つ以上のその他の成膜装置102は、ガラスリボン96の第1の側面114の上に、任意選択の機能層32の1つ以上の層を適用することができる。
【0108】
任意の従来の方法によってナノ粒子を生成することができる。ある具体的実例では、蒸気を形成するために、液体の前駆体を蒸発器内で加熱することができる。所望のナノ粒子を形成するために、蒸気を反応域へ向かわせることができる。液体反応蒸発器の実例は、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示されている。例えば、四塩化チタンなどの金属塩化物が蒸発器内で加熱され、前駆体蒸気を形成することができる。蒸気は、散布器又は捕集器へ向かうことができる。例えば、溶射装置などの粒子堆積装置に、蒸発器を接続することができる。四塩化チタンの蒸気は、二酸化チタンナノ粒子を形成するように、加水分解又は酸化させることができる。有機金属化合物などの他の前駆体を使用することができる。オルトチタン酸テトライソプロピル(titanium isopropoxide)は、二酸化チタンナノ粒子を形成するために蒸発させられることができる別の材料の実例である。純粋な組成物、混相及び/若しくは混合組成物を伴う組成物、又は単一若しくは多数の相の均一な合金を有するナノ粒子が形成できるように、前駆体流は、1つ、2つ、又はそれ以上の、異なる組成の液体反応材料で構成され得る。当業者には理解されるように、所望の組成のナノ粒子を形成するために、液体反応材料を様々な比率で供給することができる。更に、所望の組成のナノ粒子を形成するために、1つ以上の前駆体をガス源から供給し得る。この実例としては、硫化物含有ナノ粒子を形成するために硫黄含有前駆体として硫化水素を供給することや、又は窒化物含有ナノ粒子を形成するためにアンモニア(NH3)を供給することが含まれる。
【0109】
図5は、本発明のドローダウン法によって作製された成膜物品110を示す。成膜物品110は、第1の側面114の上に形成される第1の被膜118及び第2の側面116の上に形成される第2の被膜120を伴う基板112、例えば、ガラスリボン96を含む。第1の被膜118は、上述した1以上の機能性被膜32の層を備えることができる。第2の被膜120は、上述した1つ以上の光電子被膜17の層を備えることができる。
【0110】
本発明は、以下の番号付けた条項に更に記載され得る。
【0111】
(条項1)
第1の表面14と第2の表面16とを有する第1の基板12と、第2の表面16の上に位置する下層18を備える光電子被膜17と、下層18の上の第1の導電層20と、第1の導電層20の上の上層22と、第1の導電層20の上の半導体層24と、半導体層24の上の第2の導電層26と、を備える、光電子素子10。第1の導電層20は、導電性酸化物と、タングステン、モリブデン、ニオブ、及び/又はフッ素からなる群から選択された少なくとも1つのドーパントとを備えることができる。
【0112】
(条項2)
第1の基板12が、低濃度鉄含有ガラス12を備える、条項1の光電子素子10。
【0113】
(条項3)
下層18が、酸化シリコンを含むナトリウムイオンバリヤー層38を備える、条項1又は2の光電子素子10。
【0114】
(条項4)
下層18が、スズ、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタンの酸化物、及び/又はこれらの混合物を含む底部光学層36を備える、条項1〜3のいずれか一項の光電子素子10。
【0115】
(条項5)
下層18が、酸化シリコンを含むナトリウムバリヤー層38と、スズ及び亜鉛の酸化物を含む底部光学層36とを備える、条項1〜4のいずれか一項の光電子素子10。
【0116】
(条項6)
第1の導電層20が、酸化スズとタングステンとを含む、条項1〜5のいずれか一項の光電子素子10。
【0117】
(条項7)
第1の導電層20が、酸化スズとタングステンとを含む第1の層と、酸化スズとフッ素とを含む第2の層とを備える、条項1〜6のいずれか一項の光電子素子10。
【0118】
(条項8)
上層22が、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、マグネシウム、及び窒素のうち少なくとも1つとを含むバッファ層42を備える、条項1〜7のいずれか一項の光電子素子10。
【0119】
(条項9)
上層22が、酸化スズと亜鉛とを含むバッファ層42を備える、条項1〜8のいずれか一項の光電子素子10。
【0120】
(条項10)
上層22が、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44を備える、条項1〜9のいずれか一項の光電子素子10。
【0121】
(条項11)
上層22が、酸化スズと亜鉛並びに/又はマグネシウムとを含むバッファ層42と、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44とを備える、条項1〜10のいずれか一項の光電子素子10。
【0122】
(条項12)
半導体層24が、テルル化カドミウムを含む、条項1〜11のいずれか一項の光電子素子10。
【0123】
(条項13)
第2の導電層26が、金属層を備える、条項1〜12のいずれか一項の光電子素子10。
【0124】
(条項14)
第2の導電層26が、銀を備える、条項1〜13のいずれか一項の光電子素子10。
【0125】
(条項15)
第2の導電層26の上の第2の基板28を含み、第2の基板28がガラスを備える、条項1〜14のいずれか一項の光電子素子10。
【0126】
(条項16)
第1の基板12の第2の表面16の中に及び/又はその上に内部光抽出領域34を含む、条項1〜15のいずれか一項の光電子素子10。内部光抽出領域34は、ナノ粒子を含むことができる。
【0127】
(条項17)
第1の基板12の第1の表面14の上の機能層32を含み、機能層32が、反射防止層33及び外部光抽出層35からなる群から選択される、条項1〜16のいずれか一項の光電子素子10。
【0128】
(条項18)
反射防止層33が、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化物材料を含む、条項17の光電子素子10。
【0129】
(条項19)
外部光抽出層35が、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、条項17又は18の光電子素子10。
【0130】
(条項20)
第1の導電層20が、第1の前駆体材料から堆積した第1の領域と、第2の前駆体材料から堆積した第2の領域とを備える、条項1〜19のいずれか一項の光電子素子10。
【0131】
(条項21)
第1の前駆体材料がMBTCを含み、第2の前駆体材料が、TTC及びDBTAからなる群から選択される、条項20の光電子素子10。
【0132】
(条項22)
酸化スズ及びタングステン、好ましくはタングステンをドープされた酸化スズを含む、物品、例えば、光電子素子10のための透明な導電性酸化物層20。
【0133】
(条項23)
少なくとも一つの注入口プレナム52、54、56と、少なくとも一つの排出口プレナム58、60とを備えているプレナム組立品48と、放出面51と、少なくとも一つの注入口プレナム52、54、56と流体連通した少なくとも一つの放出チャネル62、66、70と、少なくとも一つの排出口プレナム58、60と流体連通した少なくとも一つの排出口導管76とを備えているノズルブロック50とを備える、蒸着装置46、47。少なくとも一つの放出チャネル62、66、70は、ノズルブロック50の放出面51に対して角度を付けられている。
【0134】
(条項24)
少なくとも一つの排出口導管76が、放出面51に対して角度を付けられている、条項23の蒸着装置46、47。
【0135】
(条項25)
第1の放出チャネル62と流体連通した第1の注入口プレナム52と、第2の放出チャネル66と流体連通した第2の注入口プレナム54と、第3の放出チャネル70と流体連通した第3の注入口プレナム56と、を含み、放出チャネル62、66、70の少なくとも1つが、放出面51対して角度を付けられ、放出チャネル62、66、70の少なくとも1つが、放出面51に対して垂直である、条項23又は24の蒸着装置46、47。
【0136】
(条項26)
第1の排出口導管76と流体連通した第1の排出口プレナム58と、第2の排出口導管78と流体連通した第2の排出口プレナム60とを含み、第1の排出口導管76と第2の排出口導管78とが、放出面51に対して角度を付けられている、条項23〜25のいずれか一項の蒸着装置46、47。
【0137】
(条項27)
注入口プレナム52、54、56と放出面51との間の放出チャネル62、66、70に位置する少なくとも一つの混合チャンバ74、を含む、条項23〜26のいずれか一項の蒸着装置46、47。
【0138】
(条項28)
排出口プレナム58、60と放出面52との間の排出口導管76、78に位置する少なくとも一つの排出口チャンバ80、を含む、条項23〜27のいずれか一項の蒸着装置46、47。
【0139】
(条項29)
第1の放出チャネル62が、第1の放出口64を有し、第2の放出チャネル66が、第2の放出口68を有し、第3の放出チャネル70が、第3の放出口72を有し、第1の放出口64と、第2の放出口68と、第3の放出口72とが、放出面51上に位置する、条項25の蒸着装置46、47。
【0140】
(条項30)
第1の放出チャネル62が、第1の放出口64を有し、第2の放出チャネル66が、第2の放出口68を有し、第3の放出チャネル70が、第3の放出口72を有し、第2の放出口68が、放出面51上に位置し、第1の放出口64と第3の放出口72とが、放出面51からある距離をおいて、例えば、放出面51より上で、第2の放出チャネル66と流体連通している、条項25の蒸着装置46、47。
【0141】
(条項31)
少なくとも一つの放出チャネル62、66、70の角度が、放出面51に対して調整可能である、条項23〜30のいずれか一項の蒸着装置46、47。
【0142】
(条項32)
ガラス製造法においてガラス基板12、112上に被膜を形成する方法であって、第1の成膜前駆体材料を、放出面51を有する蒸着装置46、47の第1の注入口プレナム52に提供するステップであって、第1の注入口プレナム52が第1の放出チャネル62と流体連通しており、第1の放出チャネル62が第1の放出経路を定めるステップと、第2の成膜前駆体材料を、蒸着装置46、47の第2の注入口プレナム54に提供するステップであって、第2の注入口プレナム54が第2の放出チャネル70と流体連通しており、第2の放出チャネル70が第2の放出経路を定めるステップと、からなり、第1の放出経路は、(a)ガラスリボン96の表面より上方、又は(b)ガラスリボン96の表面、又は(c)ガラスリボン96の表面より下方、から選択される位置で第2の放出経路と交わる、方法。
【0143】
(条項33)
受け皿83と、ガラスリボン経路98の第1の側面106及び/又は第2の側面108に隣接して位置する少なくとも1つの蒸発式成膜装置100、102と、を備える、ドローダウン組立品。例えば、受け皿は、成形トラフ86、又は放出スロットを有する細長いトラフを備えることができる。
【0144】
(条項34)
ガラスリボン経路98の第1の側面106及び/又は第2の側面108に隣接して位置する少なくとも一つの粒子堆積装置104を含む、条項33のドローダウン組立品81。
【0145】
(条項35)
第2の側面108上に位置する蒸発式成膜装置100と、第1の側面106上に位置する他の蒸発式成膜装置102と、第1の側面106上の蒸発式成膜装置100の上流に位置する粒子堆積装置104と、を含む、条項33又は34のドローダウン組立品81。
【0146】
(条項36)
ドローダウン法で成膜ガラス物品110を作製する方法であって、ガラスリボン経路98の第2の側面108に隣接して少なくとも一つの成膜装置100を位置付けることと、ガラスリボン経路98の第1の側面106に隣接して少なくとも一つの他の成膜装置102を位置付けることと、ガラスリボン96の少なくとも1つの側面上に少なくとも1つの被膜を適用するために成膜装置100、102を使用すること、を備える、方法。
【0147】
(条項37)
少なくとも1つの成膜装置100が蒸着装置100を備える、条項36の方法。
【0148】
(条項38)
少なくとも1つの他の成膜装置102が蒸着装置を備える、条項36又は37の方法。
【0149】
(条項39)
第2の側面108上に位置付けられた少なくとも1つの粒子堆積装置104と、任意選択で、第1の側面106上に位置付けられた少なくとも一つの粒子堆積装置104と、を含む、条項36〜38のいずれか一項の方法。
【0150】
(条項40)
少なくとも1つの粒子堆積装置104が、成膜装置100及び/又は成膜装置102の上流に位置付けられる、条項39の方法。
【0151】
(条項41)
ドローダウン法によって形成される両面成膜物品110であって、第1の表面114及び対向する第2の表面116を有するガラス基板112と、第2の表面116に隣接した化学気相成長装置102によって第2の表面116上に形成された第2の被膜120と、任意選択で、第1の表面114に隣接した別の化学気相成長装置100によって第1表面114上に形成された第1の被膜118と、を備える、両面成膜物品。
【0152】
(条項42)
光電子素子10のためのバッファ層42であって、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、及びマグネシウムの少なくとも1つと、を含む、バッファ層。
【0153】
(条項43)
バッファ層42が、酸化スズ及び亜鉛を含む、条項42のバッファ層42。
【0154】
(条項44)
バッファ層42が、酸化スズ及びマグネシウムを含む、条項42のバッファ層42。
【0155】
(条項45)
第1の表面14及び第2の表面16を有する第1の基板12と、第2の表面16上に位置する下層18と、下層18上の第1の導電層20と、第1の導電層20上の上層22と、第1の導電層20上の半導体層24と、半導体層24上の第2の導電層26と、を備える、光電子素子10。上層18は、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、及びマグネシウムの少なくとも一つとを含むバッファ層42を備える。
【0156】
(条項46)
バッファ層が、酸化スズ及び亜鉛を含む、条項45の光電子素子10。
【0157】
(条項47)
バッファ層42が、酸化スズ及びマグネシウムを含む、条項45の光電子素子10。
【0158】
(条項48)
基板12の第1の表面14上の機能層32、を含み、機能層32は、反射防止層33及び外部光抽出層35からなる群から選択される、条項45〜47のいずれか一項の光電子素子10。
【0159】
(条項49)
第1の表面14上の少なくとも1つの層及び第2の表面16上の少なくとも1つの層が、ガラスリボン経路98の対向した側面に位置した少なくとも1つの成膜装置100、102、104を有するガラスドローダウン法で形成される、条項45〜48のいずれか一項の光電子素子10。
【0160】
(条項50)
第1の導電層20は、導電性酸化物、並びにタングステン、モリブデン、ニオブ及び/又はフッ素からなる群から選択された少なくとも1つのドーパントを含む、条項45〜49のいずれか一項の光電子素子10。
【0161】
(条項51)
第1の基板12が、低濃度鉄含有ガラスを含む、条項45〜50のいずれか一項の光電子素子10。
【0162】
(条項52)
下層18は、酸化シリコンを含むナトリウムイオンバリヤー層38を備える、条項45〜51のいずれか一項の光電子素子10。
【0163】
(条項53)
下層18が、スズ、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、及び/又はこれらの混合物の酸化物を含む底部光学層36を備える、条項45〜52のいずれか一項の光電子素子10。
【0164】
(条項54)
下層18が、酸化シリコンを含むナトリウムバリヤー層38と、スズ及び亜鉛の酸化物を含む底部光学層36とを備える、条項45〜53のいずれか一項の光電子素子10。
【0165】
(条項55)
第1の導電層20が、酸化スズ及びタングステンを含む、条項45〜54のいずれか一項の光電子素子10。
【0166】
(条項56)
第1の導電層20が、酸化スズ及びタングステンを含む第1の層と、酸化スズ及びフッ素を含む第2の層とを備える、条項45〜55のいずれか一項の光電子素子10。
【0167】
(条項57)
上層22が、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44を備える、条項45〜56のいずれか一項の光電子素子10。
【0168】
(条項58)
上層22が、酸化スズと、亜鉛及び/又はマグネシウムとを含むバッファ層42と、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44とを備える、条項45〜57のいずれか一項の光電子素子10。
【0169】
(条項59)
半導体層24が、テルル化カドミウムを含む、条項45〜58のいずれか一項の光電子素子10。
【0170】
(条項60)
第2の導電層26が、金属層を備える、条項45〜59のいずれか一項の光電子素子10。
【0171】
(条項61)
第2の導電層26が、銀を含む、条項45〜60のいずれか一項の光電子素子10。
【0172】
(条項62)
第2の導電層26上の第2の基板28を含み、第2の基板28がガラスを備える、条項45〜61のいずれか一項の光電子素子10。
【0173】
(条項63)
基板12の第2の表面16上の及び/又はこれに隣接した内部光抽出領域34を含み、内部光抽出領域34は、ナノ粒子40を含む、条項45〜62のいずれか一項の光電子素子10。
【0174】
(条項64)
基板12の第1の表面14上の機能層32を含み、機能層32は、反射防止層33及び外部光抽出層35からなる群から選択される、条項45〜63のいずれか一項の光電子素子10。
【0175】
(条項65)
反射防止層33が、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ及びこれらの混合物からなる群から選択される材料の酸化物を含む、条項64の光電子素子10。
【0176】
(条項66)
外部光抽出層35が、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、条項64又は65の光電子素子10。
【0177】
(条項67)
第1の導電層20が、第1の前駆体材料から堆積された第1の領域及び第2の前駆体材料から堆積された第2の領域を備える、条項45〜66のいずれか一項の光電子素子10。
【0178】
(条項68)
第1の前駆体材料がMBTCを含み、第2の前駆体材料が、TTC及びDBTAからなる群から選択される、条項67の光電子素子10。
【0179】
(条項69)
電子デバイスのための透明な導電性酸化物層20であって、タングステン、モリブデン及びニオブからなる群から選択される材料をドープされた酸化スズ層を含む、透明な導電性酸化物層。
【0180】
(条項70)
透明な導電性酸化物層20が、酸化スズ及びタングステンを含む、条項69の透明な導電性酸化物層20。
【0181】
(条項71)
電子デバイスが、太陽電池、有機発光ダイオード、及び発光ダイオードからなる群から選択され、好ましくは太陽電池である、条項69又は70の透明な導電性酸化物層20。
【0182】
(条項72)
第1の表面114及び第2の表面116を有する基板112と、第1の表面114上の第1の被膜118と、第2の表面116上の第2の被膜120と、を備える、成膜物品110。第2の被膜120は、タングステン、モリブデン、及びニオブからなる群から選択される材料をドープされた酸化スズを含む第1の導電層20を備える。
【0183】
(条項73)
第1の導電層20が、タングステンをドープされた酸化スズを備える、条項72の成膜物品110。
【0184】
(条項74)
第1の表面114上の少なくとも1つの層及び第2の表面116上の少なくとも1つの層が、ガラスリボン経路98の対向した側面上に少なくとも1つの成膜装置100、102、104を有するガラスドローダウン法で形成される、条項72又は73の成膜物品110。
【0185】
(条項75)
成膜物品110が、太陽電池、光起電力電池、有機発光ダイオード及び発光ダイオードからなる群から選択される、条項72〜74のいずれか一項の成膜物品110。
【0186】
(条項76)
第2の被膜120が、第2の表面116上に位置する下層18と、下層18上の第1の導電層20と、第1の導電層20上の上層22と、第1の導電層20上の半導体層24と、半導体層24上の第2の導電層26と、を備える、条項72〜75のいずれか一項の成膜物品110。
【0187】
(条項77)
基板112が、低濃度鉄含有ガラス12を含む、条項76の成膜物品110。
【0188】
(条項78)
下層18は、酸化シリコンを含むナトリウムイオンバリヤー層38を備える、条項76又は77の成膜物品110。
【0189】
(条項79)
下層18が、スズ、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、及び/又はこれらの混合物の酸化物を含む底部光学層36を備える、条項76〜78のいずれか一項の成膜物品110。
【0190】
(条項80)
下層18が、酸化シリコンを備えているナトリウムバリヤー層38と、スズ及び亜鉛の酸化物を備えている底部光学層36とを備える、条項76〜79のいずれか一項の成膜物品110。
【0191】
(条項81)
第1の導電層20が、酸化スズ及びタングステンを備える、条項76〜80のいずれか一項の成膜物品110。
【0192】
(条項82)
第1の導電層20が、酸化スズ及びタングステンを含む第1の層と、酸化スズ及びフッ素を含む第2の層とを備える、条項76〜81のいずれか一項の成膜物品110。
【0193】
(条項83)
上層22が、酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、マグネシウム及び窒素の少なくとも1つとを含むバッファ層42を備える、条項76〜82のいずれか一項の成膜物品110。
【0194】
(条項84)
上層22が、酸化スズ及び亜鉛を含むバッファ層42を備える、条項76〜83のいずれか一項の成膜物品110。
【0195】
(条項85)
上層22が、硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44を備える、条項76〜84のいずれか一項の成膜物品110。
【0196】
(条項86)
上層22が、酸化スズと、亜鉛及び/又はマグネシウムとを含むバッファ層42、並びに硫化カドミウム及び/又は硫酸カドミウムを含む絶縁層44を備える、条項76〜85のいずれか一項の成膜物品110。
【0197】
(条項87)
半導体層24が、テルル化カドミウムを備える、条項76〜86のいずれか一項の成膜物品110。
【0198】
(条項88)
第2の導電層26が、金属層を備える、条項76〜87のいずれか一項の成膜物品110。
【0199】
(条項89)
第2の導電層26が、銀を含む、条項76〜88のいずれか一項の成膜物品110。
【0200】
(条項90)
第2の導電層26上の第2の基板28を含み、第2の基板28がガラスを備える、条項76〜89のいずれか一項の成膜物品110。
【0201】
(条項91)
基板112の第2の表面116内の及び/又はその上の内部光抽出領域34を含み、内部光抽出領域34は、ナノ粒子40を含む、条項76〜90のいずれか一項の成膜物品110。
【0202】
(条項92)
第1の被膜118が、基板112の第1の表面114上の機能層32を含み、機能層32は、反射防止層33及び外部光抽出層35からなる群から選択される、条項76〜91のいずれか一項の成膜物品110。
【0203】
(条項93)
反射防止層33が、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料の酸化物を備える、条項92の成膜物品110。
【0204】
(条項94)
外部光抽出層35が、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、条項92又は93の成膜物品110。
【0205】
(条項95)
第1の導電層20が、第1の前駆体材料から堆積された第1の領域及び第2の前駆体材料から堆積された第2の領域を備える、条項76〜94のいずれか一項の成膜物品110。
【0206】
(条項96)
第1の前駆体材料がMBTCを含み、第2の前駆体材料がTTC及びDBTAからなる群から選択される、条項95の成膜物品110。
【0207】
(条項97)
ガラスドローダウン法で、光電子素子10などの、物品110の構成を作製する方法であって、ガラスリボン経路98の第2の側面108に隣接して少なくとも1つの成膜装置100を位置付けることと、任意選択で、ガラスリボン経路98の第1の側面106に隣接して少なくとも1つの他の成膜装置102を位置付けることと、ガラスリボン96の第2の表面116上に第2の被膜120を適用することと、を備え、第2の被膜120が、(i)酸化スズと、亜鉛、インジウム、ガリウム、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つの材料とを含むバッファ層42、並びに(ii)タングステン、モリブデン、及びニオブからなる群から選択される材料をドープされた酸化スズを含む透明な導電性酸化物層20、の少なくとも1つを備える、方法。
【0208】
(条項98)
バッファ層42が、酸化スズ及び亜鉛を含む、条項97の方法。
【0209】
(条項99)
バッファ層42が、酸化スズ及びマグネシウムを含む、条項97の方法。
【0210】
(条項100)
透明な導電性酸化物層20が、タングステンをドープされた酸化スズを含む、条項97〜99のいずれか一項の方法。
【0211】
(条項101)
放出面51と、少なくとも1つの注入口プレナム52、54、56と流体連通した少なくとも1つの放出チャネル62、66、70とを備えるノズルブロック50、を備える、蒸着装置46、47。少なくとも1つの放出チャネル62、66、70の角度は、放出面51に対して調整可能である。
【0212】
(条項102)
第1の放出チャネル62と、第2の放出チャネル66と、第3の放出チャネル70とを含み、放出チャネル62、66、70の少なくとも1つが放出面51対して角度を付けられ、放出チャネル62、66、70の少なくとも1つが放出面51に対して垂直である、条項101の蒸着装置46、47。
【0213】
(条項103)
第1の放出チャネル62が第1の放出口64を有し、第2の放出チャネル66が第2の放出口68を有し、第3の放出チャネル70が第3の放出口72を有し、第1の放出口64、第2の放出口66、及び第3の放出口72は、放出面51上に位置する、条項101又は102の蒸着装置46、47。
【0214】
(条項104)
第1の放出チャネル62が第1の放出口64を有し、第2の放出チャネル66が第2の放出口68を有し、第3の放出チャネル70が第3の放出口72を有し、第2の放出口68が放出面51上に位置し、第1の放出口64及び第3の放出口72が、放出面51より上で第2の放出チャネル66と流体連通している、条項101又は102の蒸着装置46、47。
【0215】
(条項105)
ガラス製造法においてガラス基板上に被膜層を形成する方法であって、選択された被膜層の第1の成膜領域を形成するために、選択された被膜層組成物のための第1の成膜前駆体材料を、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置46、47に提供することと、第1の領域上に選択された被膜層の第2の成膜領域を形成するために、選択された被膜層組成物のための第2の成膜前駆体材料を、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置46、47に提供することと、を備える、方法。第1の成膜前駆体材料は、第2の前駆体成膜材料とは異なる。
【0216】
(条項106)
ガラス製造法は、フロートガラス法であり、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置46、47は、フロート浴に位置している、条項105の方法。
【0217】
(条項107)
ガラス製造法は、ガラスドローダウン法であり、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置46、47は、ガラスリボン経路98に隣接して位置する、条項105の方法。
【0218】
(条項108)
ガラス製造法は、第1の側面106及び第2の側面108を備えているガラスリボン経路98を有するガラスドローダウン法であり、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置100が、ガラスリボン経路98の第2の側面108に隣接して位置し、少なくとも1つの他のマルチスロット成膜装置102が、ガラスリボン経路98の第1の側面106に隣接して位置する、条項107の方法。
【0219】
(条項109)
ガラス製造法は、第1の側面106及び第2の側面108を備えているガラスリボン経路98を有するガラスドローダウン法であり、少なくとも1つのマルチスロット成膜装置100が、ガラスリボン経路98の第2の側面108に隣接して位置し、少なくとも1つの他のマルチスロット成膜装置102が、ガラスリボン経路98の第1の側面106に隣接して位置する、条項107の方法。
【0220】
(条項110)
ガラス製造法においてガラス基板上に被膜を形成する方法であって、第1の放出経路を有する第1の放出チャネル62、66、70に第1の成膜前駆体材料を提供することと、第2の放出経路を有する第2の放出チャネル62、66、70に第2の成膜前駆体材料を提供することと、を備える、方法。第1の放出経路は、(a)ガラスリボン96の表面より上方、又は(b)ガラスリボン96の表面、又は(c)ガラスリボン96の表面より下方、から選択される位置で第2の放出経路と交わる。
【0221】
(条項111)
光電子素子10が、太陽電池、発光ダイオード及び有機発光ダイオードからなる群から選択され、好ましくは太陽電池である、請求項1〜21又は45〜68のいずれか一項の光電子素子10。
【0222】
先の記述に開示される概念から逸脱することなく、本発明に対して改変がなされ得ることは当業者には容易に理解されるであろう。従って、本明細書に詳細に記載された具体的な実施形態は、例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲並びにその任意の及び全ての均等物の全範囲が与えられるべきである本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5