【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、時間の点で比較的長いCT検査中の造影剤投与とは対照的に、流入持続時間に関してボーラスの小さな広がり(分散)がほとんど役割を果たさず、造影剤増強MR画像法、特に動脈血管の場合に、可能な限り正確に造影剤プロファイルを予測することができるようにするためには、短い造影剤投与の広がりの効果を特に数秒の範囲内で知り、考慮に入れることが必要であることを認識した。さらに、本発明者らは、広がりの変動と、選択された場所での血管系における血液の、または2つの選択された位置の間の速度差の、例えば流速または体積流量のような血流特性との間に、評価可能な相関があることを確認しており、この相関によって、造影剤ボーラスの広がりの発生を予測することが可能になることを確認した。可能な限り意味のある相関値を得るためには、相関値を確立する場合に可能な限り比較可能な患者構成がさらに使用されるならば、すなわち、検査される患者に適合する性別、身長、体重などのパラメータが使用されるならば、本明細書では特に有利である。
【0023】
位相コントラスト磁気共鳴測定によって、造影剤を投与することなく、血管系内の所定の位置で相関する流速または血流および他の血流特性を決定することが可能であるので、検査の直前に実施される、造影剤なしの血流特性の決定の助けを借りて、所定の血管位置で予想される造影剤ボーラスの広がりを推測することが可能になる。
【0024】
したがって、投与された造影剤ボーラスの広がりと、血管系内で測定された血流特性、またはそれから得られるパラメータとの相関を、比較可能な患者集団に対する前述の可能な造影剤増強検査によって、決定することが可能である。患者の造影剤増強検査の場合には、造影剤が存在しない状態で、対応する血流特性またはそれに依存するパラメータを決定することが最初に可能であり、これから、例えば探索表(LUT)を使用することによって、ボーラスの予想される広がりを推定することが可能である。ボーラスの移動時間もまた、存在する流速または体積流量に依存することが知られているので、そのようなLUTはボーラス移動時間(BTT)を決定するために生成されることができ、または、ここではBTTを予測するために、異なる既知のプロセスが使用され得る。両方の情報項目を使用して、次いで投与されたボーラスの実際の予想される開始および終了時間を予測し、これを造影剤増強MRI測定を用いて投与されたボーラスの時間同期化に使用することが可能である。
【0025】
このために必要とされるすべての情報は、造影剤の存在なしに位相コントラストMRI検査の助けを借りて、患者の現在の検査の中で確立され得る。背景雑音の増加、すなわち信号対雑音比の悪化、したがって画像結果の悪化を招く可能性のある他の以前に投与された造影剤が、測定中に患者の体内に存在しないので、さらに画質の向上につながる。このことは、特に、本発明による方法は、MR検査が「第1のパス」、すなわち観察されたROIの領域内で投与された造影剤の第1の流入フェーズで実施されるMR検査にのみ関連するので、したがって撮影の間「背景」内に造影剤がまったく存在しない。
【0026】
従来技術における現在の限界が、造影剤検査の直前に存在する患者の個々の心血管状態に関して、ユーザの不正確な、または不完全な知識に定常的に基づいているので、上述の方法は、下肢の末梢(CE−pMRA)の表示に特に適している。流速が画像造影剤検査の直前に決定される結果として、関心領域内の患者の現在のストレスレベルもやはり自動的に考慮されるので、患者の個々の心血管状態について以前から従来通りであった知識よりも、より正確で、かつより包括的な知識が、特に現在には存在する。
【0027】
造影剤注入の開始時間、またはボーラス伝達時間(BTT)後の秒単位のボーラス到達時間(BAT)のような、単一の個々のスカラーパラメータの正確な知識に基づく、以前に実施された方法は、必要であるが、しかしすべての検査事例において診断的に最適化されたCE−pMRAにとって十分条件ではない。予想される造影剤濃度プロファイルは、注入部位から標的領域(ROI)までの経路上の造影剤ボーラスの広がりのさらなる予測および知識に起因して、より正確に理解され、かつ決定されることがここで可能になる。
【0028】
したがって、本発明によれば、動脈血管系の異なる位置で血流測定を行うことが可能であり、これにより、仮定され、初めてボーラス分散と様々な血液流量パラメータとの間の証明された相関に基づいて、急性および患者特有の心血管状態に関する知識を得ることができ、所望の造影剤濃度プロファイルを達成するために必要な造影剤ボーラスおよびMR検査の実施に対するタイミングが、改善された信頼性によって正確に選択され得るようにする。
【0029】
したがって、本発明者らは、造影剤の第1の流入フェーズ(第1のパス)中のみにおける患者の造影剤増強MR画像法の場合に、関心領域内の血管位置での造影剤濃度の時間プロファイルの事前決定を最適化する方法を提案しており、その方法では、関心領域内に配置される所定の第2の血管位置で第2の幅を有する造影剤濃度プロファイルに関連して、患者の所定の第1の血管位置での第1の幅を有する造影剤ボーラスプロファイルの広がりが、第3の血管位置での少なくとも1つの血流特性に依存し、かつ広がりと相関する少なくとも1つの流量パラメータを決定することによって確立される。
【0030】
造影剤濃度プロファイルという用語は、血液中の造影剤の実際の濃度のプロファイルを意味するだけでなく、MR検査中に造影剤が引き起こすMR信号の増加のプロファイルもまた意味すると理解すべきであるという事実を参照されたい。さらに、本方法は、流れに対して心肺血管の下流に配置された、すなわち動脈に関して心臓の後ろに配置された血管位置に対して造影剤ボーラスプロファイルを決定するために特に提供され、特に、これは、患者の末梢領域、特に手足の1つに位置する周辺血管位置および/または関心領域を意味すると理解すべきである。
【0031】
したがって、所定の血管位置で経時的に造影剤濃度プロファイルを事前決定するために予想される確立された広がりは、追加の使用のために利用可能にすることができ、記憶は、好ましくはコンピュータによる追加の使用のために電子メモリ内で実行される。
【0032】
特に、少なくとも1つの血流特性は、位相コントラスト磁気共鳴測定によって造影剤の存在なしに確立され得る。そのような測定は、実際のMR検査の直前に実施されることが可能であり、有利なことに、このような測定が、検査される患者の現在の実際の構成および状態を考慮し、したがって理想的には実際のMR検査に調整される。
【0033】
原則的には、本発明によるボーラスの広がりの決定と、ボーラス伝達時間BTTまたはボーラス到達時間BATの決定とを組み合わせることが可能であり、これは、造影剤濃度プロファイルを全体的に予測するために先行技術において知られているように、試験ボーラスを任意でやはり使用する。しかしながら、第1の血管位置と第2の血管位置との間で追加的に決定されたボーラス伝達時間、またはボーラス到達時間もまた、造影剤なしで測定された血流特性との所定の相関に基づいて決定されることが特に有利である。
【0034】
患者の造影剤増強MR画像法の場合に、関心領域内の血管位置での造影剤濃度の時間プロファイルの事前決定を最適化する目的でさらに提案されるものは、以下の方法ステップ、
第2の血管位置で第2の幅を含む造影剤濃度プロファイルに対する、第1の血管位置に存在し、第1の幅を含む少なくとも1つの造影剤ボーラスプロファイルの広がりの相関を確立するステップであって、第3の血管位置で、少なくとも血流特性に依存する流量パラメータを使用して、検査される患者集団の少なくとも1つの患者パラメータを考慮に入れて確立するステップと、
患者の現在の少なくとも1つの流量パラメータを決定するステップと、
第2の血管位置で所望の造影剤濃度プロファイルを選択し、事前に確立された相関から、患者の少なくとも1つの患者パラメータを考慮して、そのために必要な造影剤ボーラスプロファイルを確立するステップと、
造影剤増強MR検査、特にMR血管造影で使用するために、造影剤注入装置で必要な造影剤ボーラスプロファイルを選択し、または必要な造影剤ボーラスプロファイルを造影剤注入装置へ伝達するステップと
を実行することである。
【0035】
本発明に従ってさらに提案されていることは、患者の少なくとも第3の血管位置での血流特性の決定が位相コントラスト磁気共鳴検査によって実施されることである。特に、血流特性を決定するための位相コントラスト磁気共鳴検査は、造影剤が患者の血液循環中に存在することなく、本明細書では実施され得る。
【0036】
その結果、可能であれば、確立された広がりが現在の患者にできるだけ特徴的であるように存在する予備検査のデータプールもやはり、検査される現在の患者のために用いられる。広がりに関する予備試験のデータが由来する患者集団は、現在検査されている患者とできる限り類似するべきである。これは、広がりに関連する予備試験のデータが由来する現在の患者および関連する患者集団が、できるだけ多くの患者パラメータに関して一致するという事実によって保証され得る。特に、循環および血管構造に対する解剖学的、生理学的および医学的関連性を有する患者パラメータはここで考慮されるべきである。特に、これによれば、以下の変数、性別、体重、身長、年齢、心拍数および/または体格指数(BMI)の少なくとも1つが、少なくとも1つの患者パラメータとして使用され得る。
【0037】
さらに、上述の患者パラメータに加えて、造影剤自体が、広がりを特徴付ける追加的なパラメータとして導入され得るという事実もまた参照されたい。したがって、提案されたLUTは、本発明の範囲から逸脱することなく、採用される造影剤を典型的に表すために、この造影剤パラメータによって拡張され得る。
【0038】
考慮される血流特性に関して、ボーラスの広がりと相関を有する非常に異なる流量特性が使用され得る。本明細書において留意すべきことは、よく知られているように、血管を通る血流は、血管横断面にわたって、パルス位相にわたって、および比較的長期間、一定である単一の直接測定可能な変数によって一般に定義することができないということである。したがって、血管位置での血管を通る血流は、cm/s単位の速度またはml/s単位の血流によってばかりでなく、時間および空間において変化するプロファイルによってもまた特徴付けられる。それにもかかわらず、または正確にはこのために、ボーラスの広がりと良好な相関を有する、例えば、速度および流量の最小値、最大値または平均値など、血流の特徴的な特性を適切な測定によって表すことが可能である。
【0039】
したがって、本発明者らは、以下の特性の少なくとも1つが、少なくとも1つの血流特性として使用されることを提案しており、以下の特性は、
血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流速度と、
所与の心臓またはパルス位相での血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流速度と、
所定の測定期間にわたる、所与の心臓またはパルス位相での血管位置における血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流速度と、
血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流量と、
所与の心臓またはパルス位相での血管位置における血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流量と、
所定の測定期間にわたる、所与の心臓またはパルス位相における血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置での最大、最小または平均血流量と、
血管位置での血管の断面にわたる速度プロファイルの幾何学的特性と、
所定期間または心拍当たりの正味排出量と
であり、リスト自体の中の個々の項目それ自体は、再び、それ自体で使用可能な複数の特性を含んでいる。
【0040】
本発明による方法の特に簡単な実施形態の変形形態では、血流特性それ自体が、流量パラメータとして使用され得る。
【0041】
原則的には、1つの血管位置での血流特性の測定を実施することも可能であるばかりでなく、異なる血管位置でこれらの特性を確立することも可能であり、それによって血管地点間の経路の特性について、従って血管特性についてもやはり特に強い記述を得ることができ、その記述は、血管経路にわたるボーラスの広がりと特に互いに関連付けられる。
【0042】
したがって、少なくとも1つの第4の血管位置で血流特性を測定し、好ましくは、流量パラメータとして少なくとも1つの第4の血管位置での同じ血流特性に対する第3の血管位置での血流特性の絶対的相違、または相違率を使用することが、同様に提案される。
【0043】
実施される測定のための特に有利な血管位置に関して、本発明者らは以下の提案を行う。
【0044】
したがって、第1の血管位置が、以下の位置または条件、
第1の血管位置が、静脈血管内に位置すること、
第1の血管位置が、腕静脈内に位置すること、
第1の血管位置が手の甲に位置すること、
第1の血管位置が、中心静脈カテーテルに位置すること、
第1の血管位置が、手の甲と腋窩静脈との間に位置すること、
第1の血管位置が、足と大伏在静脈との間に位置すること、
第1の血管位置が、中心静脈血管内に位置すること
の少なくとも1つを満たすことができる。
【0045】
第2の血管位置が、以下の位置または条件、
第2の血管位置が、動脈血管内に位置すること、
第2の血管位置が、脚動脈内に位置すること、
第2の血管位置が、第3の血管位置の下流に位置すること、
第2の血管位置が、大動脈の分岐部の下流に位置すること、
第2の血管位置が、好適には、膝領域の末梢動脈に位置すること、
第2の血管位置が、腕領域内に位置すること、
第2の血管位置が、頸部領域内に位置すること
の少なくとも1つを満たすべきである。
【0046】
第3の血管位置に関して、第3の血管位置が、以下の位置または条件、
第3の血管位置が、第2の血管位置であること、
第3の血管位置が、胸郭大動脈内に位置すること、
第3の血管位置が、腹部大動脈内に位置すること、
第3の血管位置が、胸郭大動脈の間に位置すること、
第3の血管位置が、分岐部の上流に位置すること、
第3の血管位置が、分岐点と第2の血管位置との間に位置すること
の少なくとも1つを満たすことが提案される。
【0047】
第4の血管位置における測定が使用される場合、本発明者らは、第4の血管位置が以下の位置または条件、
第4の血管位置が、第3の血管位置の上流に位置すること、
第4の血管位置が、第3の血管位置と第2の血管位置との間の下流に位置すること、
第4の血管位置が、第2の血管位置の下流に位置すること
の少なくとも1つを満たすべきであることを提案する。
【0048】
本発明による方法は、造影剤増強MR検査のみに関連し、CT検査には関係しない。上記に提示したように、これから生じる特異性は、ボーラス投与の期間が特に短くなければならないということである。したがって、造影剤ボーラスプロファイルの幅に関して、本発明者らは、前者が1〜20秒、好ましくは3〜15秒の範囲にあることを提案する。当然のことながら、それぞれ現在の広がりを考慮すると、血管系における造影剤濃度プロファイルの幅は、同様の時間枠内にある。造影剤ボーラスプロファイルの幅は、その急勾配の縁部に起因して、一意的に決定されるが、造影剤濃度プロファイルの幅の定義にある程度の曖昧さが存在する。したがって、当業者は、一般に、造影剤濃度の半値全幅、または造影剤によって生成された信号の半値全幅であるように幅を設定し、あるいは幅を定義するために、所定の信号値の到達、またはそれによって生成された信号レベルの到達を使用する。しかし、患者のMR検査において、予備検査のデータと現在の測定データとの間に比較可能な記述を得るためには、各場合に、幅の同様の定義が使用されるべきである。
【0049】
原則的には、予想される広がりと、それぞれ考慮される流量パラメータとの間に予め確立された相関は、本発明の範囲内で、例えば数学的に記載された関数関係を使用することによっても所望されるように表されることができる。しかし、「探索」表(LUT)の適用は、特に有利であり、簡単であって、流量パラメータと広がりの相関が、好ましくは電子的に記憶された表から集められるようにする。本明細書において、基準測定値からあらかじめ決定された表は、前述の患者パラメータの少なくとも1つもまた含むことができる。別法として、流量パラメータと広がりの相関は、基準測定値からあらかじめ決定された関数によって計算することができ、基準測定値からあらかじめ決定された関数もまた、少なくとも1つの患者パラメータを変数として含むことができる。
【0050】
上述の方法に加えて、本発明の範囲は、動作中に実行されるプログラムのためのメモリを少なくとも含むコンピュータも含み、本明細書において開示された特徴の組み合わせに従って本発明による方法を実行するプログラムが、そこに記憶される。
【0051】
さらに、本発明の範囲は、コンピュータによって制御される造影剤注入器を含む造影剤増強MR画像法またはMR血管描写を生成するための磁気共鳴システムも含み、そのコンピュータは、動作中に実行されるプログラムのためのメモリを備え、本発明による方法を実行するプログラムがその中に記憶される。
【0052】
関連する態様では、本発明は、関心領域内に位置する血管の中への造影剤の最初の流入フェーズ中のみにおける関心領域の造影剤増強磁気共鳴(MR)画像法に関連して、患者の血管内のある位置での造影剤濃度の時間プロファイルを予め決定する方法を提供する。この方法は、式ΔW=W2−W1に従って造影剤ボーラスプロファイルB(t)の予想される広がりを確立するステップを含み、式中、W1は、患者の所定の第1の血管位置での造影剤ボーラスプロファイルB(t)の第1の幅であり、W2は、患者の関心領域に位置する所定の第2の血管位置での造影剤濃度プロファイルK(t)の第2の幅である。予想される広がりは、第3の血管位置での患者の少なくとも1つの血流特性に依存し、かつ造影剤ボーラスプロファイルB(t)の予想される広がりと相関する少なくとも1つの流量パラメータを決定することによって確立される。
【0053】
上述の方法の特定の限定しない実施形態では、関心領域および/またはその中の所定の第2の血管位置は、その中の血液の流れに関して患者の心肺血管の下流に位置する。関心領域および/または所定の第2の血管位置は、手足の1つなどの患者の末梢領域に位置する。予想される広がりは、コンピュータによってさらに使用されるために電子メモリに記憶され得る。少なくとも1つの血流特性は、位相コントラスト磁気共鳴測定によって造影剤の存在なしに確立され得る。この方法はまた、所定の第1の血管位置と所定の第2の血管位置との間のボーラス伝達時間および/またはボーラス到達時間を決定するためにも使用され得る。第2の血管位置での造影剤濃度プロファイル(K(t))は、予想される広がり、およびボーラス伝達時間またはボーラス到達時間のいずれか、あるいはその両方から決定され得る。
【0054】
別の態様では、本発明は、患者に対して実行される造影剤増強磁気共鳴(MR)画像法手法に関連して、患者(P)の関心領域における血管内の位置での造影剤濃度の時間プロファイルを予め決定する方法を提供する。この方法は、コントラストに関して、第2の血管位置(P2)で第2の幅(W2)を有する造影剤濃度プロファイル(K(t))に対する、第1の血管位置(P1)で第1の幅(W1)を有する少なくとも1つの造影剤ボーラスプロファイル(B(t))の広がり(ΔW=W2−W1)の相関を確立するステップを含み、その相関が、第3の血管位置(P3)での患者(P)の少なくとも血流特性(f
B)に依存する流量パラメータ(P
G)を使用し、検査される患者集団の少なくとも1つの患者パラメータ(P
P)を考慮に入れて確立される。本方法はさらに、患者(P)から現在その代表である少なくとも1つの流量パラメータ(P
Pa)を決定するステップと、第2の血管位置(P2)で達成される所望の造影剤濃度プロファイル(K(t))を選択するステップと、相関を用いるステップと、そのために必要な造影剤ボーラスプロファイル(B(t))を決定するステップと、患者(P)の少なくとも1つの患者パラメータ(P
P)を考慮するステップと、MR血管造影などの造影剤増強MR検査で使用するために、必要な造影剤ボーラスプロフィール(B(t))を注入装置から選択可能であるか、または注入装置に伝達可能であるかの一方であることを可能にするステップとを含む。
【0055】
前述の方法の特定の限定しない実施形態では、第3の血管位置(P3)での患者の血流特性(f
B)は、位相コントラスト磁気共鳴検査によって決定される。造影剤が患者(P)の血液循環内に存在することなく、血流特性(f
B)を決定するための位相コントラスト磁気共鳴検査が実施され得る。少なくとも1つの患者パラメータ(P
P)として、以下の変数、性別、体重、身長、年齢、心拍数、体格指数、外見のタイプ、および血管位置間の距離の少なくとも1つが使用され得る。
【0056】
上述の方法の特定の限定しない実施形態では、以下の特性、
(a)血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流速度(v
G)と、
(b)所与の心臓またはパルス位相での血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流速度(v
G)と、
(c)所定の測定期間にわたる所与の心臓またはパルス位相での血管位置における血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流速度(v
G)と、
(d)血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流量と、
(e)所与の心臓またはパルス位相における血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流量と、
(f)所定の測定期間にわたる所与の心臓またはパルス位相における血管位置での血管の断面内の少なくとも1つの所定の位置における最大、最小または平均血流量と、
(g)血管位置での血管の断面にわたる速度プロファイルの幾何学的特性と、
(h)所定期間または心拍当たりの正味排出量と
の少なくとも1つが血流特性(f
B)として使用されうる。
【0057】
上述の方法の特定の限定しない実施形態では、血流特性(f
B)自体が、流量パラメータ(P
G)として使用され得る。流量パラメータ(P
G)はまた、第4の血管位置(P4)での同じタイプの血流特性(f
B)に対する、第3の血管位置(P3)での血流特性(f
B)の絶対的相違または相違率であることができる。
【0058】
上記の方法の特定の限定しない実施形態では、第1の血管位置(P1)は、以下の位置または条件、
(a)第1の血管位置(P1)が、静脈血管内に位置すること、(b)第1の血管位置(P1)が、腕静脈内に位置すること、
(c)第1の血管位置(P1)が手の甲に位置すること、(d)第1の血管位置(P1)が、中心静脈カテーテルに位置すること、
(e)第1の血管位置(P1)が、手の甲と腋窩静脈との間に位置すること、
(f)第1の血管位置(P1)が、足と大伏在静脈との間に位置すること、(g)第1の血管位置(P1)が、中心静脈血管内に位置すること
の少なくとも1つを満たす。第2の血管位置(P2)が、以下の位置または条件、
(a)第2の血管位置(P2)が、動脈血管内に位置すること、(b)第2の血管位置(P2)が、脚動脈に位置すること、
(c)第2の血管位置(P2)が、第3の血管位置(P3)の下流に位置すること、
(d)第2の血管位置(P2)が、大動脈の分岐部の下流に位置すること、(e)第2の血管位置(P2)が、膝領域の末梢動脈内に位置すること、
(f)第2の血管位置(P2)が、腕領域内に位置すること、(g)第2の血管位置(P2)が、頸部領域内に位置すること
の少なくとも1つを満たす。第3の血管位置(P3)が、以下の位置または条件、
(a)第3の血管位置(P3)が、第2の血管位置(P2)であること、
(b)第3の血管位置(P3)が、胸郭大動脈内に位置すること、
(c)第3の血管位置(P3)が、腹部大動脈内に位置すること、
(d)第3の血管位置(P3)が、胸郭大動脈と(P2)との間に位置すること、
(e)第3の血管位置(P3)が、大動脈の分岐部の上流に位置すること、
(f)第3の容器位置(P3)が、分岐点と第2の血管位置(P2)との間に位置すること
の少なくとも1つを満たす。第4の血管位置(P4)が、以下の位置または条件、
(a)第4の血管位置(P4)が、第3の血管位置(P3)の上流に位置すること、(b)第4の血管位置(P4)が、第3の血管位置(P3)と第2の血管位置(P2)との間の下流に位置すること、(c)第4の血管位置(P4)が、第2の血管位置(P2)の下流に位置すること
の少なくとも1つを満たす。
【0059】
上記の方法の特定の限定しない実施形態では、造影剤ボーラスプロファイル(B(t))の幅は、好ましくは3〜15秒の範囲にあるが、1〜20秒の範囲外ではない。広がり(ΔW=W2−W1)と流量パラメータ(P
G)との間の相関は、記憶された探索表から収集することができる。記憶された探索表は、基準測定値から予め決定され、少なくとも1つの患者パラメータ(P
P)として、以下のパラメータ、性別、体重、身長、年齢、心拍数、体格指数、外見のタイプ、および血管間の距離の少なくとも1つを含む。別法として、広がり(ΔW=W2−W1)と流量パラメータ(P
G)との間の相関が、基準測定値から予め定められた関数(f(P
G、P
P))によって計算され得る。関数(f(P
G、P
P))が、少なくとも1つの患者パラメータ(P
P)として、以下のパラメータ、性別、体重、身長、年齢、心拍数、体格指数、外見のタイプ、および血管位置間の距離の少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0060】
別の態様では、本発明は、コンピュータによって制御される造影剤注入器を含む磁気共鳴システムを提供する。コンピュータは、その中にプログラムを記憶するためのメモリを備えていることが好ましい。このプログラムは、関心領域内に位置する血管の中への造影剤の最初の流入フェーズ中のみにおける関心領域の造影剤増強磁気共鳴画像法に関連して、患者の血管内のある位置での造影剤濃度の時間プロファイルを予め決定する方法を少なくとも一部分において含む。コンピュータによって実行される場合、この方法は、式ΔW=W2−W1に従って造影剤ボーラスプロファイルB(t)の予想される広がりを少なくとも確立することができ、式中、W1は、患者の所定の第1の血管位置での造影剤ボーラスプロファイルB(t)の第1の幅であり、W2は、患者の関心領域に位置する所定の第2の血管位置での造影剤濃度プロファイルK(t)の第2の幅である。予想される広がりは、第3の血管位置での患者の少なくとも1つの血流特性に依存し、かつ造影剤ボーラスプロファイルB(t)の予想される広がりと相関する少なくとも1つの流量パラメータを決定することによって確立され得る。
【0061】
さらに、ボーラスの広がりを決定する代わりに、またはそれに加えて、ボーラス伝達時間と本明細書に記載の流量パラメータの少なくとも1つとの間の相関が、経験的に、場合によっては患者のパラメータに依存する方法で、同じ方法で確立され、対応して記憶されて、直前の造影剤なしの位相コントラストMR検査によって、患者の現在の検査について、BTTについても同様に、少なくとも1つの必要な流量パラメータが決定され、予想されるボーラス伝達時間が、確立された相関に基づいて予測される。
【0062】
続いて、図面に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明の理解に必要な特徴のみが示されている。詳細には: