(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は通常、骨形成、 骨誘導、 骨伝導、および/または骨刺激特性を呈することができるバイオマテリアルおよびこのバイオマテリアルから作成する移植片に関する。本発明はさらにバイオマテリアルおよび移植片の作成方法、およびバイオマテリアルまたは移植片を哺乳動物に投与することにより哺乳動物における骨または創傷治癒を促進する方法に関する。本発明はさらに1以上のバイオマテリアル、移植片、またはその構成要素を含むキットに関する。
【0018】
本発明の実施形態の例のさらなる態様、利点および/またはその他の特徴は、以下の詳細な説明を参照すれば明白であろう。ここに記載の実施形態が典型的な例に過ぎず、説明のためのものであり、また制限的ではないことは、当業者には明白であるはずである。その改良形態の多数の実施形態は、本開示の範囲およびこれと同等のものの範囲内であると考えられる。
【0019】
実施形態例の記載においては、明瞭さのために特定の用語法を用いる。しかし、これら実施形態は、この特定の用語法に限られることは意図しない。他に示さない限り、専門用語は従来の用法に従って用いられる。
【0020】
本発明で使用する、「1(a)」または「1(an)」は、1以上を意味し得る。本発明で使用する「別の(another)」は、少なくとも2つめかそれ以上を意味し得る。文脈上必要とされない限り、本発明で使用する、用語の単数形は、複数形のそれも含み、複数および複数形の用語は単数形のそれも含む。
【0021】
本明細書および請求項で使用する、用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は包括的または非限定的であり、また、ここに挙げられていない追加のエレメント、組成の構成要素、または方法のステップを除外するものではない。したがって、用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、より限定的な用語「実質的に成る(consisting essentially of)」および「から成る(consisting)」をも包含する。
【0022】
他に特定しない限り、ここに記載の値の全ては、〜までの値、および示したエンドポイントの値を含み、また組成物の構成物質または構成要素の値は、その組成物中の各成分の重量パーセントまたはwt%で表される。
【0023】
本明細書で使用する各化合物は、その化学式、化学名、略称等について互換的に扱うことができる。例えば、PEGは、ポリエチレングリコールと互換的に使用し得る。
【0024】
ここに記載の実施形態は通常、バイオマテリアル、これから作成する移植片、これらを作成する方法、および骨の治癒または融合を促進するためのその使用法に向けられ得る。バイオマテリアルまたは移植片は別途論じることもできるが、記載のバイオマテリアルはそれ自体で用いることができるし、または数多くの様々な臨床的成果をあげるべく異なる形、サイズ、および向きの移植片の作出に用い得ることは、当業者には理解されるであろう。したがって、バイオマテリアルについての考察は等しく移植片の考察に適用可能であり、その逆も同様である。
【0025】
バイオマテリアル組成物は、骨形成性、骨誘導性、骨伝導性および/または骨刺激性であり得、骨の治癒および修復に有益であり得る。バイオマテリアルが新しい骨の成長のための表面積を提供する足場としての役割を果たす場合、バイオマテリアルは骨伝導性であり得る。バイオマテリアルが骨前駆細胞を刺激または間葉系幹細胞を誘導して骨芽細胞に分化させ、新しい骨形成を開始させる場合は、バイオマテリアルは骨誘導性であり得る。バイオマテリアルが骨再生可能な細胞(例えば、生細胞)を含む場合、バイオマテリアルは骨形成性であり得る。バイオマテリアルが骨形成プロセスを加速させる場合は、バイオマテリアルは骨刺激性であり得る。組成物はまた「生体適合性」であってもよく、この用語は、特定のアプリケーションにて適切な宿主応答で実行する、かまたは、少なくとも宿主の生命システムに有毒かさもなければ有害な影響を局所的または全身的に及ぼすことなく実行する能力(例えば、組成物または材料の)のことを指す。バイオマテリアルおよび/または移植片は「生物学的に分解可能」であり得るので、該マテリアルは、患者体内における細胞吸収および/または加水分解によって分解し得る。いくつかの実施形態によれば、バイオマテリアルは、十分な骨伝導性、多孔度、機械的強度、および分解時間を有することが望ましい場合がある。例えば、組成物は約3〜12ヵ月、約3〜9ヵ月、約3〜6ヵ月、約6〜12ヵ月、約6〜9ヵ月、または約9〜12ヵ月の期間にわたって生物学的に分解可能であり得る。
【0026】
一実施形態によると、バイオマテリアル組成物は、標的修復部位での骨の修復または再生を促進するよう構成し得る。この標的修復部位は、例えば、空隙、間隙、またはその他の欠損もしくは外科医が患者体内の骨、骨と骨との間、またはその他骨性構造につくった開口部分であることができる。例えば、バイオマテリアル組成物は、患者体内の脊椎、骨盤、手や足、頭蓋もしくは他の骨、骨と骨との間、または骨性構造における標的修復部位での骨の成長を促進するよう構成できる。バイオマテリアル組成物は、直接的に移植するかさもなければ標的修復部位に配置したりこれに接触して配置するよう構成し得る。
【0027】
バイオマテリアル組成物は、脱灰骨基室(例えば、チップ、繊維、または粒子形態の)、リン酸カルシウムまたは生理活性ガラス等のセラミック、コラーゲン、および1以上の追加構成要素の各種組合せを含むことができ、それぞれについては以下に詳しく記載する。
【0028】
特定の実施形態によれば、組成物は脱灰骨基室を含み得る。脱灰骨基室(DBMとしても知られる)により、骨伝導特性、骨誘導特性および/または骨形成特性を提供し得る。したがって脱灰骨基室は、骨組織の形成を誘導する。本発明で使用する用語「脱灰骨」、「脱灰骨基室」、および「DBM」は互換的に使用してよい。この脱灰骨は、例えば、繊維、チップ、および/または粒子の形態でバイオマテリアル組成物上に配置、バイオマテリアル組成物内に埋込みおよび/またはバイオマテリアル組成物内に混入できる。
【0029】
脱灰骨基室は、シート、繊維、ネジ、ストリップ、チップ、破片、細長い粒子、粉末、または微粒子形態などであり得る。脱灰骨基室としては、あらゆる形、サイズ、厚さ、および規則的、不規則的またはランダムな形状を有する構造の骨のピースが挙げられる。例えば繊維は、約250um〜約2mm、約250マイクロメートル〜約750マイクロメートル、約750マイクロメートル〜約1.25ミリメートル、または約1.25ミリメートル〜約2ミリメートルの平均繊維長を有し得る。加えて、繊維は、約1:1〜約50:1、約10:1〜約40:1、約5:1〜約10:1、または約2:1〜約5:1のアスペクト比(繊維長対直径の比として定義)を有し得る。骨チップは例えば、最大直径で約1mm〜約10mm、約1mm〜約2mm、約1mm〜約4mm、約1mm〜約6mm、約2mm〜約4mm、約2mm〜約6mm、約4mm〜約6mm、約6mm〜約8mm、または約8mm〜約10mmのサイズを有し得る。骨粒子または微粒子は、例えば、約0.01〜約2mm、約0.1mm〜約1.0mm、約100〜約500ミクロン、または約100〜約400ミクロンの範囲のサイズであり得る。脱灰骨材料の製造にあたり、寸法についてはいくつかのバリエーションが考えられることは理解されるであろう。
【0030】
いくつかの実施形態において、脱灰骨基室の製造に用いる骨は、自家、同種異系間、異種間または遺伝子組換えに由来する皮質、海綿質、コルチコ-海綿質であることができる。したがって、その繊維、チップ、または粒子の例としては、皮質、海綿質、またはコルチコ-海綿骨を挙げることができる。好ましくは、脱灰骨は、皮質骨由来の繊維、皮質骨由来の粉末、および/またはコルチコ-海綿骨由来のチップの形態である。
【0031】
骨基質を調製するには、典型的には骨材料を処理して骨基質を洗浄、脱脂、殺菌、ウイルスを不活化、消毒、脱灰、脱水、および/または乾燥させる。DBMの調製方法は当業者らに周知であり、これらに限るものではないが、骨を細い削りくずまたは繊維に削ること、及び骨をチップまたは粒子等に切削、粉砕、または破砕することを含む。骨の処理前または処理後に、骨材料に脱灰化を行い、無機質含有量を低いレベルに減らす。例えば、脱灰骨は、無機鉱物を人または動物の骨から酸抽出、熱フリージング、照射または物理的抽出して生産できる。酸抽出においては、塩酸もしくはリン酸等の無機酸、または、ギ酸、酢酸、過酢酸、クエン酸、プロピオン酸等の有機酸を用い得る。当業者は認識すると考えられるが、骨表面中への脱灰の量および深度は、処理時間、脱灰溶液の温度、脱灰溶液の濃度、処理中の撹拌強度等の調整により制御できる。
【0032】
用語「脱灰した(骨または骨材料)」は、こうした骨または骨材料が、その元の無機質含有量(例えば、カルシウム含有量)より低いレベルの無機質を含むことを指し、また「実質的に脱灰」「部分的に脱灰、」および「完全に脱灰した」骨材料をも包含し得る。例えば、脱灰骨は、骨の元の無機質含有量(例えば、カルシウム含有量)の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の無機質を含み得る。
【0033】
存在する場合、脱灰骨基室は、例えば、約1〜80%(w/w)、1〜60%(w/w)、約10〜60%(w/w)、約15〜60%(w/w)、約20〜60%(w/w)、約30〜60%(w/w)、約10〜50%(w/w)、約20〜50%(w/w)、約30〜50%(w/w)、約10〜40%(w/w)、約20〜40%(w/w)、約30〜40%(w/w)、約10〜35%(w/w)、約20〜35%(w/w)、約30〜35%(w/w)、約10〜30%(w/w)、約20〜30%(w/w)、約20〜25%(w/w)、約50〜90%(w/w)、約60〜95%(w/w)、約75〜99%(w/w)、約80〜99%(w/w)、約90〜99%(w/w)、約95〜99%(w/w)、または約95〜100%(w/w)の範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0034】
特に、存在する場合、組成物は脱灰した骨粉末、脱灰骨チップ、脱灰骨繊維またはその組合せを含み得る。例えば、脱灰骨粉末は、約15〜60%(w/w)、約15〜50%(w/w)、約15〜40%(w/w)、約15〜30%(w/w)、約15〜20%(w/w)、約20〜60%(w/w)、約20〜50%(w/w)、約20〜40%(w/w)、約20〜30%(w/w)、約30〜60%(w/w)、約30〜50%(w/w)、約30〜40%(w/w)、約50〜90%(w/w)、約60〜95%(w/w)、約75〜99%(w/w)、約80〜99%(w/w)、約90〜99%(w/w)、約95〜99%(w/w)、または約95〜100%(w/w)の範囲の量で存在し得る。例えば、脱灰骨チップは、約1〜20%(w/w)、約5〜20%(w/w)、約10〜20%(w/w)、約15〜20%(w/w)、1〜15%(w/w)、約5〜15%(w/w)、約10〜15%(w/w)、1〜10%(w/w)、約5〜10%(w/w)、または1〜5%(w/w)の量で存在し得る。例えば、脱灰骨繊維は、約15〜60%(w/w)、約15〜50%(w/w)、約15〜40%(w/w)、約15〜30%w/w)、約15〜20%(w/w)、約20〜60%(w/w)、約20〜50%(w/w)、約20〜40% (w/w)、約20〜30%(w/w)、約30〜60%(w/w)、約30〜50%(w/w)、約30〜40%(w/w)、約50〜90%(w/w)、約60〜95%(w/w)、約75〜99%(w/w)、約80〜99%(w/w)、約90〜99%(w/w)、約95〜99%(w/w)、または約95〜100%(w/w)の範囲の量で存在し得る。
【0035】
特定の実施形態によれば、組成物は、セラミックの構成要素を含み得る。例えば、セラミックとしては、骨形成の促進に有用なセラミックの鉱物または無機充填材が挙げられる。セラミックの構成要素としては、これらに限るものではないが、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、テトラ-リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト(HA)、二相性リン酸カルシウム(例えば、HAとβ−TOP間の複合物)、生理活性ガラス、並びにその組合せおよび混合物等の、合成や天然に生じる無機充填材が挙げられる。リン酸三カルシウムと生理活性ガラスは共に、同様の表面特性を有しており、インビボ設定において増強した骨伝導性を呈する。リン酸三カルシウムはヒドロキシアパタイトと同様の組成を有するが、カルシウム対リン酸塩(Ca/P)比はより低いために、より早く吸収する。例えば、ヒドロキシアパタイトは、Ca/P比を約1.67有するのに対し、リン酸三カルシウムはCa/P比を約1.5有する。
【0036】
存在する場合、1以上のセラミックは、存在するセラミックのタイプまたはその複数のタイプによるが、例えば、約10〜40%(w/w)、約10〜30%(w/w)、約10〜20%(w/w)、約25〜35%(w/w)、約20〜40%(w/w)、約20〜30%(w/w)、約15〜40%(w/w)、約15〜30%(w/w)、または約15〜20%(w/w)、約40〜70%(w/w)、約40〜80%(w/w)、約50〜70%(w/w)、約50〜80%(w/w)、約60〜70%(w/w)、約60〜80%(w/w)、または約65〜70%(w/w)、50〜95%(w/w)、約60〜95%(w/w)、約70〜95%(w/w)、約75〜95%(w/w)、約50〜90%(w/w)、約60〜90%(w/w)、約70〜90%(w/w)、約75〜90%(w/w)、約80〜90%(w/w)、または約85〜90%(w/w)の範囲で組成物に含まれ得る。
【0037】
特定の実施形態において、セラミックは、β-リン酸三カルシウム(TCP)を含む。リン酸カルシウムは、標的修復部位での骨の再成長を促進するよう構成し得る。いくつかの実施形態において、骨移植片組成物のリン酸カルシウムは骨誘導剤である。このリン酸カルシウムは、バイオマテリアル組成物上に配置、その中に埋込み、さもなければその中に混入するよう構成する。リン酸カルシウムは、どんな好適形態であることもできる。例えば、リン酸カルシウムは、粒子または顆粒形態であることができる。リン酸カルシウムは、約1〜500μm、約25〜約450μm、約50〜約400μm、約75〜約300μm、または約100〜約250μmの範囲の粒径を有し得る。リン酸カルシウムは、多孔質または非多孔質であり得る。好ましくは、リン酸カルシウムは非多孔性リン酸三カルシウムである。
【0038】
存在する場合、リン酸三カルシウムは例えば、約40〜70%(w/w)、約40〜80%(w/w)、約50〜70%(w/w)、約50〜80%(w/w)、約60〜70%(w/w)、約60〜80%(w/w)、または約65〜70%(w/w)の範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0039】
セラミックはさらに生理活性ガラスを含み得る。生理活性ガラスは、標的修復部位での骨の再成長を促進するようにも構成し得る。いくつかの実施形態において、生理活性ガラスは骨伝導剤であることができる。生理活性ガラスは骨刺激特性を有し、これは硬組織の再生に有用であり得る。生理活性ガラスは、バイオマテリアル組成物上に配置、その中に埋込み、および/またはその中に混入させることができる。生理活性ガラスは、生物学的環境との接触後に骨形成を促進する、アルカリ含有セラミック、ガラス、ガラス−セラミック、または結晶材料のいずれであることもできる。好適な生理活性ガラスとしては、ゾル‐ゲル由来生理活性ガラス、溶融法由来の生理活性ガラス、石英系生理活性ガラス、ホウ酸系生理活性ガラスやリン酸系生理活性ガラス等の無石英生理活性ガラス、結晶化生理活性ガラス(部分的か全体的のどちらか)、および微量元素または銅、亜鉛、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛等の金属、フッ化物、鉱物学的カルシウム源等を含む生理活性ガラス等が挙げられる。
【0040】
代表的な生理活性ガラスとしては、バイオガラス45S5(46.1mol%Si0
2、26.9mol%CaO、24.4mol%Na
20および2.5mol%P
2O
5)、58S(60mol%SiO
2、36mol%CaOおよび4mol%P
2O
5)、70S30C(70mol%Si0
2、 30mol%CaO)、または前述のバイオガラスの組合せが挙げられる。生理活性ガラスは、繊維、顆粒、粒子、またはその組合せの形態をとり得る。生理活性ガラスは、例えば、形が不規則であり得る。生理活性ガラスは、単峰または2峰粒径分布を有し得る。生理活性ガラスは、例えば、約1〜1000μm、約50〜750μm、または約75〜500μmの範囲の粒径を有し得る。粒径および分布は、ふるい分折またはBET(ブルナウアー‐エメット‐テラーの)試験等の当該技術分野で周知の定型的技術によって測定し得る。
【0041】
存在する場合、生理活性ガラスは例えば、約10〜40%(w/w)、約10〜30%(w/w)、約10〜20%(w/w)、約25〜35%(w/w)、約20〜40%(w/w)、約20〜30%(w/w)、約15〜40%(w/w)、約15〜30%(w/w)、または約15〜20%(w/w)の範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0042】
特定の実施形態によれば、組成物はコラーゲンを含み得る。コラーゲンは例えば標的修復部位にて足場として機能する、骨伝導特性を有し得る。コラーゲンとしては、可溶性コラーゲン、不溶性コラーゲン、またはその組合せが挙げられる。コラーゲンとしては、コラーゲンタイプI、コラーゲンタイプII、コラーゲンタイプIII、コラーゲンタイプVII、別の好適なタイプのコラーゲン、またはその組合せであることができるかまたはこれらが例として挙げられる。コラーゲンは、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、もしくはマウス由来、合成、または別の好適なものに由来することができる。一実施形態において、コラーゲンは哺乳動物に由来し、好ましくは、ヒトに由来する。コラーゲンは、粒子、ゲル、または別の好適な形態であり得る。コラーゲンは多孔質または非多孔質であり得る。
【0043】
存在する場合、コラーゲンは例えば、約1〜20%(w/w)、約1〜15%(w/w)、約1〜10%(w/w)、約1〜5%(w/w)、約5〜20%(w/w)、約5〜15%(w/w)、約5〜10%(w/w)、約8〜20%(w/w)、約8〜15%(w/w)、または約8〜10%(w/w)の範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0044】
コラーゲンに加えてまたはこれに代えて、1以上の担体、足場材料、または加工添加物をバイオマテリアル組成物中に使用し得る。担体はこの材料の全体的な取り扱いに影響することがあり、またこの材料の安全性、有効性、および機能性(例えば、骨誘導性)に影響を及ぼし得る。好ましくは、担体は不活性であるか、または組成物の骨形成特性、骨誘導特性、骨伝導特性、および/または骨刺激特性を増強する。好適な担体、足場、または添加物としては、これらに限るものではないが、リン脂質、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グリセリン、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロゲル、ポロクサマー、ポリ乳酸(PLA)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、同族のその他共重合体、およびその組合せが挙げられる。
【0045】
担体の例としては、ポロクサマー(例えば、PEO−PPO−PEOトリブロック共重合体)等の、逆相ヒドロゲルまたは感温ヒドロゲル等のヒドロゲルが挙げられる。特に、ポロクサマーとしては、ポロクサマー407、ポロクサマーPI88、ポロクサマーP338等が挙げられる。ポロクサマーはさらに、1以上の末端ヒドロキシル基をメトキシ基と置換する等、化学的に修飾し得る。他の好適な材料としては、ヒアルロン酸(HA)、アルギン酸ナトリウム、生理食塩水または骨髄穿刺液等が挙げられる。担体、足場材料または加工添加物は、水系または非水系のどちらかであり得る。
【0046】
存在する場合、1以上の担体は、担体のタイプまたはその複数のタイプによるが、例えば、約1〜20%(w/w)、約1〜15%(w/w)、約1〜10%(w/w)、約1〜5%(w/w)、約5〜20%(w/w)、約5〜15%(w/w)、約5〜10%(w/w)、約8〜20%(w/w)、約8〜15%(w/w)、または約8〜10%(w/w)、約10〜40%(w/w)、 約10〜30%(w/w)、約10〜20%(w/w)、約25〜35%(w/w)、約20〜80%(w/w)、約20〜70%(w/w)、約20〜60%(w/w)、約20〜50%(w/w)、約20〜40%(w/w)、約20〜30%(w/w)、約15〜40%(w/w)、約15〜30%(w/w)、または約15〜20%(w/w)、約40〜70%(w/w)、約40〜80%(w/w)、約50〜70%(w/w)、約50〜80%(w/w)、約60〜70%(w/w)、約60〜80%(w/w)、または約65〜70%(w/w)、50〜95%(w/w)、約60〜95%(w/w)、約70〜95%(w/w)、約75〜95%(w/w)、約50〜90%(w/w)、約60〜90%(w/w)、約70〜90%(w/w)、約75〜90%(w/w)、約80〜90%(w/w)、または約85〜90%(w/w)の量で組成物に含まれ得る。
【0047】
ポロクサマー、ヒアルロン酸またはアルギン酸塩等のヒドロゲルの場合、材料の体積は膨潤し得る。例えば、担体(例えば、HA)は、担体の体積を膨潤させる、水、緩衝液、塩酸、硝酸、硫酸等の酸と混合し得る。代表的な一実施形態において、ヒアルロン酸は、塩酸に浸漬すると体積が膨潤する。当業者により認識されるように、ヒドロゲルの膨潤は温度、表面積、分子量、架橋度、pH等の多くの因子により影響され得る。例として、担体は、例えば、約1〜15℃、約1〜10℃、約1〜6℃、約2〜4℃、約2〜5℃、約2〜6℃、約3〜6℃、または約3〜5℃の範囲の低下温度で膨潤され得る。
【0048】
存在する場合、ヒアルロン酸は例えば、約0.1〜5%(w/w)、約0.1〜2%(w/w)、約1〜5%(w/w)、約1〜4%(w/w)、約1〜3%(w/w)、約1〜2%(w/w)、または約2%(w/w)の範囲の量で組成物に含まれ得る。
【0049】
存在する場合、ポロクサマーは、ポロクサマーおよび水の混合物を含んで成るヒドロゲルとして、例えば、約10〜50%のポロクサマー、約10〜40%のポロクサマー、約10〜30%のポロクサマー、約20〜50%のポロクサマー、約20〜40%のポロクサマー、約20〜30%のポロクサマー、約30〜50%のポロクサマー、約30〜40%のポロクサマーで残りは水、という範囲の量で組成物に含まれ得る。ヒドロゲル混合物は、最終組成が例えば、約50〜90%(w/w)、約50〜80%(w/w)、約50〜75%(w/w)、約60〜90%(w/w)、約60〜80%(w/w)、約60〜75%(w/w)、約65〜80%(w/w)、約65〜75%(w/w)、約60〜80%(w/w)、または約60〜75%(w/w)の範囲の量で存在し得る。
【0050】
加えて、生物学的製剤をバイオマテリアルまたは移植片に添加し得る。これら生物学的製剤は、いくつか例を挙げるなら、骨形態形成タンパク質(BMP)、ペプチド、骨の成長因子、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インスリン由来成長因子(IDGF)、ケラチン合成細胞由来成長因子(KDGF)、または繊維芽細胞由来成長因子(FDGF)、幹細胞、骨髄、および多血小板血漿(PRP)を含み得る。必要に応じて、1以上の活性医薬成分または薬物を、バイオマテリアルまたは移植片に組み入れてもよい。生物学的製剤は、当該技術分野で周知のあらゆる好適な薬学的に許容可能かつ効果的な量で添加してもよい。
【0051】
一実施形態によると、 組成物は骨再生を助けるために、TCPおよび生理活性ガラスを含む足場を含む。特に、生理活性セラミック足場は、リン酸三カルシウムと生理活性ガラスを組み合わせて製造し得る。さらに、リン酸三カルシウムおよび生理活性ガラスを含む生理活性足場は、任意に1以上のウシコラーゲンタイプI、ヒアルロン酸、グリセロール、および/またはポリエチレングリコールと混合して、取扱性を助け得る。これらバイオマテリアルは、意図するアプリケーションにとって十分な骨伝導性、多孔度、機械的強度、および分解時間を有し得る。
【0052】
特定の実施形態によると、組成物は約50〜65%(w/w)のリン酸三カルシウムおよび約20〜35%(w/w)の生理活性ガラスを含む生理活性足場を含む。また、生理活性足場は、約4〜12%(w/w)のコラーゲンおよび約1〜3%(w/w)のヒアルロン酸を含み得る。一実施形態によると、組成物は、約60〜70%(w/w)のリン酸三カルシウムおよび約15〜30%(w/w)の生理活性ガラスを含む生理活性足場を含む。さらに、この生理活性足場は約8〜15%(w/w)のコラーゲンおよび約0.1〜2%(w/w)のヒアルロン酸を含み得る。
【0053】
一実施形態によると、組成物は、骨再生を助けるための脱灰皮質繊維、脱灰骨粉末、TCP、および生理活性ガラスを含む足場を含む。また、生理活性足場は、取扱を助けるために、任意に1以上のヒアルロン酸、ポロクサマー、グリセロール、および/またはポリエチレングリコールと混合し得る。
【0054】
さらに別の一実施形態によると、組成物は脱灰骨粉末およびヒドロゲルを含む。例えば、組成物は、脱灰骨粉末、ポロクサマー、水、および任意に脱灰骨チップを含み得る。特に、組成物は、約15〜60%(w/w)の脱灰骨粉末および約15〜40%(w/w)のポロクサマーを含む約40〜85%(w/w)の担体と残りは水を含むことができる。一実施形態によると、組成物は、約20〜40%(w/w)の脱灰骨粉末、20%(w/w)までの脱灰骨チップ、および約30〜40%(w/w)のポロクサマーを含む約60〜80%(w/w)の担体と残りは水を含む。
【0055】
バイオマテリアル組成物は、当該技術分野で周知のあらゆる好適な手順および技術を用いて取得し得る。例えば、ここに記載の組成物の構成要素を共に混合して結果として得られる組成物を形成し得る。構成要素は撹拌下、例えば、室温(例えば、約20および26℃)、上昇もしくは低下温度、または当該技術分野で周知のあらゆるその他好適な温度および条件下で組み合わせ得る。
【0056】
バイオマテリアル組成物は、型に加えて成形バイオマテリアル組成物を形成し得る。この形態または型は、所望の形態にした移植片またはその一部分を得るためのあらゆる好適なサイズおよび形であり得る。特に、型は圧縮移植片の形成に必要な所定の圧力および温度下に供し得る。換言すれば、組成物は、所望に形成した移植片またはその一部分を作出するのに十分な時間と圧力で圧縮し得る。圧力をバイオマテリアル組成物にかけると、脱灰骨粒子および/またはその他構成要素を次々と接触、共に接着させ得る。好ましくは、型を、バイオマテリアルを圧縮して一体化した形態にするのに十分な上昇温度(すなわち、大気温度より高い)下におく。バイオマテリアルまたは得られる移植片は、例えば、パテ、ゲル、ペースト、ストリップ、シート、一片ずつ、スポンジ、砕片(クランチ)、押出し成形可能なまたは流動可能な材料(例えば、注射器から)等の形に形成し得る。さらに、パターンもしくはデザインを切断して成形移植片としたり、成形移植片からパターンもしくはデザインを切断したりして、その他の所望の形とし得る。
【0057】
成形のための代表的な圧力としては、約15psi〜約30000psi、約15psi〜約10000psi、約15psi〜約1000psi、約15psi〜約500psi、約15psi〜約100psi、約15psi〜約50psi、約15psi〜約25psi、約15psi〜約20psi、約20psi〜約20000psi、約20psi〜約10000psi、約20 psi〜約1000psi、約20psi〜約500psi、約20psi〜約100psi、約20psi〜約20psi、約20psi〜約25psi、約30psi〜約10000psi、約30psi〜約1000psi、約30psi〜約500psi、約30psi〜約100psi、約30psi〜約50psi、約40psi〜約5000psi、約40psi〜約1000psi、約40psi〜約500psi、約40psi〜約100psi、約40psi〜約50psi、約50psi〜約2500psi、約50psi〜約1000psi、約50psi〜約500psi、約50psi〜約100psi、約100psi〜約1000psi、約100psi〜約500psi、または約100psi〜約200psiの範囲の圧力が挙げられる。用いる特定の圧力は、共に圧縮される材料に依存し得る。
【0058】
代表的な組成物の圧縮時間としては、約1〜200分、約1〜100分、約1〜50分、約1〜25分、約1〜10分、約1〜5分、5〜200分、約5〜100分、約5〜50分、約5〜25分、約5〜10分、10〜200分、約10〜100分、約10〜50分、約10〜25分、15〜200分、約15〜100分、約15〜50分、または約15〜25分の時間範囲が挙げられる。用いる特定の時間は、共に圧縮される材料に依存し得る。
【0059】
バイオマテリアル組成物は、およそ室温または上昇温度にて型内で圧縮し得る。例えば、組成物は、約20〜100℃、約20〜50℃、約20〜40℃、約20〜30℃、約20〜25℃、約25〜50℃、約25〜40℃、約25〜30℃、約30〜50℃、または約30〜40℃の範囲の温度で圧縮し得る。用いる特定の温度は、共に圧縮される材料に依存し得る。
【0060】
得られる材料は、固体、層状、非多孔質、多孔質、スポンジ様、またはその他あらゆる好適な構成のものであり得る。例えば、得られるバイオマテリアルまたは移植片は望ましくは実質的に非多孔質であり得る。別の実施形態では、得られるバイオマテリアルまたは移植片は部分的または完全に多孔質(例えば、多孔度を有する)であり得る。例えば、平均孔径は約1〜1000ミクロン、約50〜750ミクロン、または約200〜500ミクロンの範囲であり得る。孔径は、N
2吸着による測定、BET(ブルナウアー−エメット‐テラー)試験等の当該技術分野で周知の定型的技術によって測定し得る。
【0061】
組成物は、例えば、材料を化学殺菌および/または放射線殺菌にかけることにより、殺菌し得る。例えば、化学殺菌は、エチレンオキシド、二酸化窒素、オゾン等の化学殺菌剤への曝露を含み得る。放射線殺菌は、材料の、ガンマ、X−線および/または電子照射等の殺菌源への曝露を含み得る。組成物は例えば、空気または凍結乾燥によって、脱水または乾燥させ得る。凍結乾燥は、材料を凍結(例えば、液体窒素中)し、また周囲の圧力を下げて材料中の凍結水を、固相から気相へ直接昇華させることを含み得る。さらに、組成物は、部分的または完全に架橋し得る。例えば、材料を、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはグルタルアルデヒドなどのモノアルデヒド等の化学架橋剤に曝露することにより、架橋させ得る。加えて、または別途、材料を、ガンマ、紫外線、または熱源等の架橋源に曝露することにより、架橋させ得る。
【0062】
さらに、バイオマテリアルは、所望のアプリケーション用に特定のサイズや形に形成し得る。例えば、移植片は、頸部、胸部、または腰部への適用に好適なフットプリントを有し得る。移植片は例えば、ストリップ、環、円筒、プラグ等の形態に形成し得る。移植片は、ここに記載のバイオマテリアルまたはその他当該技術分野で周知の移植材料で充たすのに好適な1以上の開口部分または窓を備え得る。移植片は単独で、またはケージ、フレーム、同種移植片、移植材料、もしくはその他当該技術分野で周知のバイオマテリアルと組み合わせて用い得る。移植片は、前方、後方、側方、斜め、前外側、経椎間孔アプローチ、またはその他当該技術分野で周知の好適なアプローチに、好適であり得る。
【0063】
一実施形態によると、型に装填、圧縮、さらに凍結乾燥する、粒子状の脱灰骨組織で移植片を作成する。最終的な移植片の形は、パターンカットよりむしろ型の形で決まり、さらに任意に中実な骨組織から組み立てる。
【0064】
一実施形態によると、移植片は、型に装填、圧縮、さらに任意に凍結乾燥する、粒子状の脱灰骨組織で作成される。最終的な移植片または集めて組み立てられる移植片部分の形は、型の形によって決まる。この最終的な圧縮移植片は単独でか、または中実な骨の同種移植片および/またはケージもしくはフレームと組み合わせて使用してよく、例えば、チタンまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の移植片級の材料から作成される。
【0065】
圧縮および/または成形移植片は例えば、1以上の以下の特質、すなわち(1)シングルピースのデザイン、(2)マルチピースのデザイン、(3)層状構造、(4)一体構造、(5)移植材料のための中央開口部分または複数の開口部分を備える、(6)骨ネジの一部分を受けるよう構成される1以上のノッチで形成される、(7)同じかまたは異なる材料のプラグ、および(8)単独で用いるか、または例えばその中の中央開口部分を充たすケージもしくはフレームと組合せて用いる、を含み得る。
【0066】
図1〜19を参照すると、圧縮脱灰骨組成物を利用する各種実施形態が示されている。
図1は、シングルピースの一体構造を有する圧縮および/または成形移植片10を示す。換言すれば、単一型を用いて脱灰骨組成物から移植片10を形成する。移植片10またはここに記載の他のいずれの移植片も、円形、正方形、長方形、バナナ形、キドニー形、またはその他同様の形など、各種形状を有し得る。得られる移植片10は、実質的に円形および/または平面の側壁を有するよう成形し得る。
図1に示すように、上面と底面、骨係合表面は実質的に平らであるかまたは平面であり得る。上面と底面、骨係合表面を弯曲、または傾斜などさせて、隣接椎骨の解剖学的構造によりよくフィットさせ得ることがさらに想定される。一方で骨係合表面は、突出部または歯等を含み得る。
図2は、椎骨係合表面上に複数のリッジと溝を備えるシングルピースの一体構造を有する圧縮または成形移植片12を示す。
【0067】
移植片は例えば、1以上の骨移植材料を受けて隣接する椎体への融合を促進するための、1以上の開口部分を備え得る。例えば、死体骨、自家骨、骨スラリー、骨形態形成タンパク質(BMP)、またはその他同様の材料は、椎間腔内の組織成長を増強し得る。
図3は、単一中央開口部分16を備えるシングルピースの一体構造を有する圧縮または成形移植片14を示す。開口部分16は第1骨係合表面から第2骨係合表面に延びて1以上の骨移植材料を保持するのに好適な実質的に中空の中央部分を画定し得る。骨係合表面は、ここに示すようなリッジおよび/または溝を含み得る。
【0068】
移植片は例えば、それぞれが、締結エレメントまたはファスナーの一部分を受けて、移植片またはその一部分を、例えば、プレート、ロッド、追加ファスナー等によりさらに固定する必要が無い、独立型装置として提供し得るよう構成される、1以上のノッチを備え得る。締結エレメントとしては、骨ネジ、ピン、くぎ、スパイク等が挙げられる。
図3は、第1および第2ファスナー(図示しない)の一部分を受けるよう構成された第1および第2ノッチ18、20を有する圧縮または成形移植片14を示す。
【0069】
移植片は、マルチピースデザインから形成し、一般に中実骨と採用される技術を用いて組み立て得る。例えば、ほぞ穴やほぞジョイント、ダブテールコネクション、タング(舌片)および溝、ピン、シム、粘着物、または複数の材料ピースを結合させるためのその他同様のメカニズムを利用して、2ピースかそれ以上のピースを共に組み立てられ得る。
図4は、構成要素が共に連結される、マルチピースの一体構造を有する圧縮または成形移植片22を示す。特に、凹部またはほぞ穴を有する、第1部分24は、第1部分24の凹部またはほぞ穴で受ける延長部分またはほぞを有する第2部分26と連結され得る。
図5は、圧縮または成形材料の複数の実質的同心環が一緒に結合される、マルチピースの一体構造を有する圧縮または成形移植片28を示す。同心環は同じかまたはいろいろな厚さを有し得る。
【0070】
圧縮移植片材料はフレームまたはケージと組み合わせて、独立型移植片等の最終的に移植可能な装置を作出し得る。特に、このフレームまたはケージは圧縮および/または成形移植片を受けるようなサイズや寸法にしてある中央開口部分を有し得る。フレームまたはケージは、いかなる好適な形またはデザインであってもよく、例えば突出部、歯、リッジや溝等、または挿入器具等を係合するための領域を備える骨係合表面などの特質を有し得る。ケージは、移植片を1つかまたは両方の隣接椎骨に固定するための、骨ネジ等の1以上のファスナー(図示しない)の一部分を受けるよう設計された、1以上の開口部分をも含み得る。
【0071】
図6は、圧縮または成形移植片32を、骨移植材料のプラグを受けるよう構成された開口部分34を有する一体化した形態に保持するために好適であり得る、フレームまたはケージ30の1例を示す。
図11は、フレームまたはケージ30を示し、ここで圧縮または成形移植片44は、開口部分やノッチが無い一体化した形態のシングルピース構造を有する。
図12は、フレームまたはケージ30であり、ここで立体圧縮および/または成形移植片46は、それぞれ骨ネジ(図示しない)等のファスナーの一部分を受けるよう構成された、複数のノッチを含む。
図13は、フレームまたはケージ30であり、ここで立体圧縮および/または成形移植片48は、その中に受けた骨移植材料のプラグ50を備える開口部分を有する。プラグ50は移植片48と同じかまたは異なる材料を含んでなってよい。
図14はプラグ50、移植片48、およびフレーム30の分解組立図である。
図15は、移植片48およびプラグは取り除かれているフレーム30の分解組立図である。
図16は、
図15のバージョンを、その中に受けた移植片48を有しプラグは取り除かれているフレーム30と組み立てたものを示す。
図18は、移植片54の外形を模倣する、細長い中央開口部分を備えた一体構造を有する圧縮および/または成形移植片54を保持するフレーム30を示す。
図19は、骨移植材料の1以上のプラグを受けるよう構成された複数の開口部分を有する圧縮または成形移植片56を示す。
【0072】
移植片またはその一部分は、層状化技術を用いて調製してもよい。例えば、脱灰骨組成物の複数の層を例えば型内に層状化して移植片を作出し得る。各層は同じか異なる材料からなってよい。例えば、層状化複合体は、異なる組成物の交互層を含み得る。
図7は、複数層を含んで成る圧縮および/または成形移植片36を含み、骨移植材料のプラグを受けるよう構成された開口部分を有する、フレームまたはケージ30を示す。
図8は、骨移植材料のプラグを受けるよう構成された開口部分および骨ネジの一部分を受けるよう構成されたノッチを有する、多層圧縮および/または成形移植片38のバージョンを示す。
図9は、骨ネジの一部分を受けるよう構成されたノッチを有する多層圧縮および/または成形移植片40のバージョンを示す。
図10は、開口部分またはノッチが無い一体化した形態の多層圧縮および/または成形移植片のバージョンを示す。
図17は、圧縮および/または成形移植片52を保持するフレーム30を示し、これは骨移植材料のプラグを受けるよう構成された開口部分を備える多層構造を有する。
【0073】
ここに記載のバイオマテリアルおよびこれから形成した移植片は、例えば、傷害や欠損等による骨修復部位での適用を意図する。移植片は、広範囲の整形外科、歯周組織、神経外科的、口腔および顎顔面の外科手技に利用できる。特に、バイオマテリアルは、脊椎固定や内固定を含む脊柱の修復;腫瘍手術、例えば、欠損充填;椎間板切除術;椎弓切除術;側弯、脊柱前弯および脊柱後弯の治療に好適であり得る。考えられる臨床応用としては例えば、脊椎円板変性または疾患、外傷、病理的なもしくは疲労骨折、先天性欠損もしくは骨折、または、体のあらゆる骨または骨と骨の間における手術の欠陥の治療があげられる。
【0074】
組成物および移植片は、患者の体内の各種標的修復部位にて用い、その中での骨の成長を促進するよう構成し得る。いくつかの実施形態において、組成物は、患者の脊椎内の標的修復部位にて用いるよう構成する。例えば、組成物は、第1椎骨体と第2椎骨体との間の骨の成長を促して、2つの椎骨の椎体間融合を行うことができる。脊椎固定術において、組成物は、1以上の機械的な支持(例えば、ケージまたはフレーム、スペーサー、プレート、複数のネジおよび/またはロッド等)と関連して用い得る。脊椎を記載するが、組成物は、患者の体内の異なる骨または骨性構造の中またはそこにおける標的修復部位の中へかまたはそこで、埋め込むよう構成できる。
【0075】
用語「治療する(treating)」およびフレーズ「疾患の治療(treatment of a disease)」および「状態の治療(treatment of a condition)」は、疾患または状態の徴候または症状を緩和するための、記載の組成物、装置および方法の使用、および/または1以上のバイオマテリアルの患者(人間、正常もしくはそれ以外の場合、またはその他の哺乳動物)への投与を含み得るプロトコルの実施を指す。緩和は、疾患または状態の徴候もしくは症状が現れる前並びに後に起こり得る。したがって「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、疾患または望ましくない状態を「予防する(preventing)」またはその「予防(prevention)」を含む。さらに「治療する(treating)」または「治療(treatment)」の意味するところには、徴候または症状の完全な緩和や病気の治癒は必ずしも含まれない。
【0076】
さらなる実施形態の例は、本発明のバイオマテリアルおよび移植片を作成する構成要素を含むキットに向けたものであり、例えば、担体または足場、ケージ(例えば、チタンおよび/またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)スペーサー)、同種移植片スペーサー、脱灰骨材料、細胞培地、リン酸緩衝食塩水(PBS)、フラスコなどの組織培養基材、トリプシンもしくは混合物、骨移植片回収ツール、骨髄穿刺液取込ツール等が含まれる。追加の構成要素、手順および/または装置も含まれ得る。
【0077】
以下の実施例において、各種の非限定的実施形態および技術をさらに説明する。ただし、これら実施例はあくまで説明を意図するものであり、請求項の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者には明白であると考えられるが、本発明の精神と範囲内で多くの変形や修正の包含を意図する。
【実施例】
【0078】
本実施例において、生理活性セラミック足場は、リン酸三カルシウム、生理活性ガラス、およびコラーゲンを用いて作成する。パテおよびストリップの調合物は下表に示すように開発した。
【表1】
【0079】
まず、コラーゲンおよびヒアルロン酸を塩酸中に混合し4℃で24時間まで膨潤させた。膨潤の最後に、混合物をTCPと生理活性ガラスと組み合わせ、十分に混合した。ストリップの場合、混合物を型に浸し、凍結、次いで凍結乾燥させた。凍結乾燥させたストリップをホルムアルデヒド架橋剤を用いて架橋させ、残留ホルムアルデヒドを脱イオン水ですすいで除去した。最終生成物はエチレンオキシドを用いて殺菌した。パテは成形可能であり、ストリップは可撓性であった。パテとストリップは、骨再生で助けとなる骨伝導特性および骨刺激特性を示した。
【0080】
本発明を特定の実施形態を参照して詳細に記載したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく各種の変更や修正が成され得ることは当業者に明白であろう。したがって、本発明の修正および変更は、添付請求項およびこれに相当するものの範囲を逸脱しない限り、本発明により包含されることを意図する。また例えば、本文書におおまかに列挙する全ての範囲は、その範囲内に、より広い範囲内に含まれる全てのより狭い範囲を含むことを明白に意図する。上述に開示する各種材料、移植片、および装置の構成要素は、あらゆる好適な構成において組み合わせるかまたは修正し得ることも意図する。