(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タービン及び/又は膨張装置の機械的エネルギー出力は、ポンプ及び/又は圧縮器モーターを駆動する、及び/又は前記車両に搭載された蓄電池を充電するために用いられる電気を発生させるのに使用される、請求項1に記載のプロセス。
前記吸着溶液は、水、アミン官能化分子、アルカリ金属炭酸塩及び重炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物、アンモニア水及び炭酸アンモニウム、アルコール、ポリエーテル、アミド化合物、モレキュラーシーブ、MOF、COFからなる群から選択される1つ以上の化合物から調製される、請求項1に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
現在受け入れられている考えは、地球温暖化が二酸化炭素(CO
2)及びメタン(CH
4)などの温室効果ガスの排出によるものであるということである。地球上の人為起源のCO
2排出の約4分の1は現在、移動源、すなわち内燃機関(ICE)によって駆動される自動車、トラック、バス、及び列車からのものと推定される。この比例的な寄与は、発展途上国における自動車及びトラック所有の急増の予測とともに、近い将来急速に拡大する可能性が高い。現在、輸送部門は原油の主要市場であり、例えば電気モーター及び蓄電池によって駆動される車などの代替技術からの挑戦に直面した輸送部門における原油市場の存続可能性を維持するためには、CO
2排出を制御することが、環境に配慮した、かつ望ましい目標である。
【0003】
移動源からの二酸化炭素の管理は、空間及び重量制限、規模の経済性を達成できないこと、及び移動源を駆動するICEの動作の動的性質、を含む多くの課題を提示する。
【0004】
燃焼ガスからのCO
2を捕捉するための従来技術の方法は、主として、例えば発電所などの定常源に集中している。室温から約80℃までの範囲の温度でCO
2を吸収するために、例えばアミン及びアミン官能化液体及び溶液などを使用するプロセスが開発されている。ICEによって駆動される車両で遭遇する100℃を超える温度、特に約130℃から600℃の範囲の温度では、アミンは低いCO
2吸収能力を示す。従って、ICE排ガスが高温であることは、液体アミン溶液でCO
2を除去する直接的な処理を非実用的なものにする。
【0005】
アンモニア水はまた、二酸化炭素だけでなくSO
x及びNO
x化合物を捕捉するために発電所で使用されている。吸収プロセスは、効果的であるためには比較的低温で行わなければならず、故に溶液は例えば約27℃に冷却されなければならない。いわゆるチルドアンモニアプロセスは、特許文献1に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
例えば熱エネルギーを使用可能な機械力に変換するための発電設備などの定常又は固定源に使用される、受け入れられている従来技術の熱力学的プロセスは、カリーナサイクルである。カリーナサイクルは、燃料源から回収されるエネルギーの全体的な効率を高めるために実施され得る。本プロセスは、アンモニア水混合物を作動流体として利用する閉鎖システムであり、システム効率を改善し、周期的なピークエネルギー要求期間を有する様々な運転条件下でより柔軟性を提供する。カリーナサイクルは、ランキンサイクルシステムと比較して、追加の重量及び関連する資本費用を伴うため、別個の機械的エネルギー/仕事生産システムとしての移動源での搭載使用には適していない。
【0007】
歴史的に、移動源からのCO
2捕捉は、分散型システム及び逆スケールの規模の経済性を伴うため、一般に高価すぎると考えられてきた。この問題に対する解決策は、搭載車両の空間制限、エネルギー及び装置の追加要件、及び車両の動作サイクルの動的性質、例えば急な加速及び減速の断続的な期間など、の実用上の検討事項について考慮しなければならない。
【0008】
移動源からのCO
2排出を減少させる問題に対処する幾つかの従来技術の方法は、CO
2捕捉剤の再生及び再利用にさらされ、様々な搭載源から回収された廃熱を利用することができる吸着材料を使用する。酸素のみを使用して定常源で使用される酸素燃焼プロセスは、排ガスからCO
2を分離するよりもエネルギー集約的であり車両に搭載しようとするとより問題になる酸素−窒素分離ステップを必要とする。
【0009】
本発明を説明する目的で、「移動源」とは、物品及び/又は人を輸送するのに使用され得、CO
2を含む高温排ガス流を生成する1つ以上の内燃機関又は外燃機関によって駆動される広範囲の既知の輸送機関の何れかを意味する。これは、燃焼からの排気が大気中に排出される前に収容導管内に排出される、陸上で移動する全てのタイプの自動車並びに列車及び船舶を含む。
【0010】
本明細書で使用される用語「廃熱」は、典型的な内燃機関(ICE)が生成する熱であり、主に高温排ガス(〜300℃から650℃)及び高温冷却液(〜90℃から120℃)に含まれる。追加の熱は、エンジンブロック及びそれに関連する部品、及びマニホールド、パイプ、触媒コンバータ及びマフラーを含む、排ガスが通過する他の部品からの対流及び放熱によって、放出され失われる。この熱エネルギーは、燃焼したときに典型的な炭化水素(HC)燃料が生成するエネルギーの約60%を占める。
【0011】
本明細書で使用される用語「内部熱交換器」は、それぞれの加熱及び冷却流体が移動源に由来する熱交換器を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「定常源」は、炭素含有燃料を燃焼させてCO
2を放出し、熱、仕事、電気又はそれらの組み合わせを生成し、かつ物理的に固定されている広範囲の既知の工業システム及びプロセスの何れかを意味する。
【0013】
本明細書で使用される用語「希薄荷重(lean lodaing)」は、CO
2ストリッパーの底部から出る希薄吸着/吸収溶液中に残存するCO
2量を意味する。本分野での確立された使用に応じて、荷重は、吸着又は相対吸収によってCO
2を捕捉するアミン基又は他の化合物1モルあたりのCO
2モル数として定義される。本明細書で使用される用語「CO
2豊富溶液」及び「CO
2希薄溶液」は、「豊富荷重CO
2溶液」及び「希薄荷重CO
2溶液」と同義語である。
【0014】
ICEにおける炭化水素燃料の燃焼から回収されるエネルギーの効率を改善する問題は、エンジン冷却液、排ガス流、及びエンジンブロック、マニホールド及びその他の金属部品に存在する廃熱を利用することによって対処されている。
【0015】
エネルギー回収システムを組み込むことは、空間、追加の重量、及び特定の設備投資額を必要とする。しかしながら、エネルギー回収システムが、大気中へのCO
2排出を減少させながら燃料の機械力への変換の全体的効率を改善し、かつ燃料消費を実質的に増加させることなくこれを行うならば、この投資は価値がある。
【0016】
クロロフルオロカーボン(CFC)冷媒を使用する前に、空調システムにおいて無毒かつ非可燃性の冷媒ガスとしてCO
2を使用することが、長い間実践されてきた。近年では、車両の効率を改善するために、空調システムを逆に作動し、車両の高温排ガス流からの熱を利用して車両上で使用するための追加の動力を発生させることが提案されている。例えば非特許文献1を参照のこと。考えられるシステムは閉鎖システムであり、CO
2の臨界圧力の中程度の値に基づく。環境へのCO
2排出を減少させるために排ガス流からCO
2を捕捉及び回収することはない。
【0017】
超臨界CO
2(ScCO
2)を作動流体として使用する閉ループシステムにおいて、定常源によって生成された煙道ガスからの廃熱を使用するいわゆる発電用の熱機関が記載されている。非特許文献2を参照のこと。ScCO
2は高温の煙突の煙道ガスと熱交換した後、タービンを通過し、そこで廃熱が機械的シャフト作業に変換されて電気を生成する。復熱器は残留熱の一部を回収し、残りは水冷又は空冷凝縮器を介して系から排出され、そこからCO
2はポンプ入口への通過のための過冷却液体として出る。ここでも、この閉鎖システムは、関連するシステムの全体的な効率を改善するために、工業用熱源との統合使用に適合される。大気中への排ガスを有するCO
2排出を直接的に減少させる目的でCO
2を捕捉することはない。
【0018】
CO
2排出を減少させるために移動源上にCO
2捕捉システムを組み込むことは、重量、エネルギー消費、設備投資額及びメンテナンスを追加する。課題は、操作が容易で、かつ容認可能で競争力のある製造コストでメンテナンスすることが容易であるコンパクトなシステムを提供することである。
【0019】
本発明によって対処される別の課題は、搭載貯蔵のためにCO
2を圧縮するのに必要な電気的及び/又は機械的エネルギーを生成し、関連するシステムを動作させ、かつ移動源アクセサリを駆動する、エネルギー回収及び変換システムと組み合わせた効果的かつ効率的なCO
2捕捉システムを如何に提供するかである。
【0020】
関連する課題は、全体的な効率を高め、かつ部品数、重量、設備投資額、及びシステム全体及び車両のメンテナンスを減らすために、CO
2捕捉システムとエネルギー回収システムとを如何に組み合わせるかである。
【0021】
移動源からのCO
2捕捉に関連する技術的課題は、炭化水素燃料により駆動される従来のICEの動作が全ての電気及びハイブリッド自動車に対して経済的及び環境的に競争力を維持するように、搭載CO
2捕捉の効率を如何にさらに高めるかを含む。これらの従来の課題は、CO
2捕捉と、熱回収と、CO
2捕捉剤の再生及び再使用システムとを統合する例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に開示されたプロセス及びシステムによって対処され、以下で「複数システム」と呼ばれる。しかしながら、移動用途で複数システムを利用することはまた、重量、エネルギー消費、設備投資額、車両の動作に関連するメンテナンスを増加させる。
【0022】
この課題には、移動源を駆動するICEからの高温排ガス流からのCO
2の効率的な搭載捕捉をさらに改善することが残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、発電をCO
2捕捉及び搭載CO
2高密度化及び貯蔵と組み合わせ、不可逆性を低減してプロセス及び運転システムの全体的な効率を向上させ、それによって車両を駆動するために使用される炭化水素燃料からの有用なエネルギーの回収を最大にする、内燃機関(ICE)によって駆動される車両に搭載して使用するためのプロセス及び統合システムを広く含む。
【課題を解決するための手段】
【0026】
より具体的には、本発明は、様々な従来の移動用途からのCO
2排出を減少させるための、排ガス流からのCO
2捕捉及びエネルギー回収のためのプロセス及びシステムを対象とし、ここで、捕捉されたCO
2は、仕事を生産するためにエネルギー生産サイクルにおいて作動流体に保持され、CO
2は実質的に作動流体から分離され、圧縮され、最終的な搭載変換又は移動源からの回収のために一時的に搭載して貯蔵される。本発明の主要な方法及びシステムはまた、例えば隔離(sequestration)などによる処理のための、回収された定常源からのCO
2にも適用可能である。
【0027】
本発明のプロセスは、CO
2含有排ガス流とともに、例えば膜吸収装置を使用する直接接触又は間接接触によって吸収ゾーンにおいて、本明細書及び特許請求の範囲で「溶液」又は「吸着溶液」と呼ばれることがあるCO
2吸収液体を使用し、そうでなければ大気中に排出されたであろうCO
2の全部又は一部を吸収する。
【0028】
水は、経済性、入手可能性、及び新鮮な水との交換が選択されてシステムから排出される場合に環境上の懸念がないという理由から、システムを作動するためにアミン及び例えば重炭酸塩などの他のCO
2吸収剤が溶解される好ましい溶媒である。アルコールはCO
2を捕捉するために使用することができ、溶媒又は溶質として使用することができる。例えば溶媒として水を含むコロイド溶液及びCO
2を捕捉する懸濁固体吸着剤もまた、本発明のプロセスで使用することができる。このような溶液を加熱することは、結果として、固体粒子からのCO
2脱着及び水の蒸発をもたらし、タービンを駆動する。当業者には明らかであるように、CO
2吸収剤及び吸着剤及び溶媒の仲間は、気候、吸着剤及び溶質材料の入手可能性、及びICEのタイプを含む特定の使用条件に基づいて選択することができる。以下の説明のために、水が作動流体として選択される。
【0029】
本プロセスの動作は、カリーナサイクル及び吸収システムなどの従来技術のシステムの動作と同様である。しかしながら、これらのプロセスはともに閉鎖システムであり、カリーナサイクルの場合には発電に使用され、吸収システムの場合には冷却又は加熱用に使用される。
【0030】
以下の明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、用語「外部熱交換器」は、空冷式又は水冷式の熱交換器、すなわち、プロセス又はシステムの外部のエネルギーループを閉じるために必要とされるエネルギーシンクを意味する。
【0031】
吸収装置を出るCO
2豊富溶液は、1つ以上の熱交換器を介して加熱され、ICEからの高温排ガス流によって加熱されるボイラーに送られる。ボイラーでは、CO
2が吸着溶液から脱着され、溶液中の水の少なくとも一部が蒸発して蒸気を形成する。その後、蒸気相は分離ゾーンに送られ、そこで、高温液体/蒸気分離器は、高濃度のCO
2吸収化合物を有する現在の濃縮された吸着溶液の流れを生成する。
【0032】
分離ゾーンからのCO
2/水蒸気流は、次いで過熱ゾーンに送られ、そこで、200℃から800℃の範囲の温度であるICEから直接送られた高温排ガス流との熱交換にさらされる。過熱蒸気相は、1つ以上のタービンで膨張して動力を発生させる。複数のタービンの場合、捕捉されたCO
2を含む作動流体のサイクル効率を最大にするために、高温排ガスとの熱交換による段間加熱が使用される。
【0033】
液体/蒸気分離器を離れる液体CO
2希薄溶液は、第1の内部熱交換器に送られ、CO
2豊富溶液を加熱し、サイクル効率を向上させる。CO
2希薄溶液は次いで、タービンで又は膨張弁を通って膨張され、次いで、周囲空気又はエンジン冷却液との接触によって外部熱交換器において、吸収ゾーンへ送るための所望の吸収温度まで冷却される。
【0034】
タービンから離れるCO
2/水流は、周囲空気又はエンジン冷却液との接触によって作動する外部熱交換器によって、CO
2豊富ガス流が回収されて凝縮された水が液体として回収されるCO
2/水分離器の温度まで冷却される前に、第2の内部熱交換器に送られ、CO
2豊富溶液に熱を供給し、サイクル効率を向上させる。
【0035】
凝縮された水の全部又は一部は、分離器からの濃縮された吸着溶液と混合されて、所望の濃度を溶液に戻すことができ、次いで、吸着剤入口にポンプで注入される。CO
2豊富ガス流は、段間冷却及び水ノックアウトを有する多段式CO
2圧縮器で圧縮され、凝縮器/分離器からCO
2とともに運ばれてきた水を除去する。圧縮された純粋なCO
2は、最終的な処分を待っている一時的な搭載貯蔵のための高圧タンクに送られる。中程度の圧縮又は圧縮しないこともまた、金属有機構造体(MOF)及び共有結合性有機構造体(COF)などの大容量保持材料における化学変化によるCO
2変換又はCO
2貯蔵に対して実用的であり得る。永続的な処分のために定常CO
2源から捕捉されたCO
2の場合、捕捉されたCO
2は、例えば地下隔離などによる永続的な貯蔵のために、パイプライン内を搬送することができる。
【0036】
タービンによって生成された動力は、1つ以上の吸収液ポンプ及び/又はCO
2圧縮器を駆動するために使用することができる。余分な動力は、車両の電池を充電するために、又は搭載された電気部品を駆動するために使用することができる。
【0037】
本発明は、車両に搭載されたポンプ及び/又はCO
2圧縮器の要件を満たすために機械的及び/又は電気的エネルギーを生成するプロセスにおいて、捕捉されたCO
2を加熱及び加圧された作動流体中の成分として利用することによって排ガス流の廃熱からエネルギーを回収する、非常に効率的なプロセス及びシステムを提供する。
【0038】
上記の説明から、本発明は、車両に搭載された吸着剤でCO
2の少なくとも一部を捕捉し、吸着剤からCO
2を回収し、車両上に一時的に貯蔵するためにCO
2を圧縮することによって、車両を駆動するのに使用されるICEでの炭化水素燃料の燃焼によって生成された排ガス流とともに大気中に放出されるCO
2量を減少させるためのプロセスを対象とし、そのプロセスは、
(a)第1の熱交換ゾーンにおける複数の熱交換器を介してICEからの高温排気ガス流を通過させ、排ガス流の温度を所定の温度範囲の値に低下させるステップ;
(b)吸収ゾーンにおいて、冷却された排ガス流を所定の温度範囲内の温度で液体CO
2吸着溶液と接触させるステップであって、溶液は、CO
2と可逆的に結合して排ガス流からのCO
2の少なくとも一部を捕捉し、CO
2豊富溶液を提供する、少なくとも1つの化合物が溶解された水を含む、ステップ;
(c)CO
2豊富溶液を、低減されたCO
2含量を有する残りの排ガス流から分離するステップ;
(d)低減されたCO
2含量を有する残りの排ガス流を、大気中に排出するステップ;
(e)CO
2豊富溶液を加圧し、部分的に冷却された排気ガス流との第1の熱交換関係で通過させるためにボイラー内に送り、その温度を上昇させてCO
2を脱着させて濃縮されたCO
2希薄吸着溶液を提供し、その吸着溶液からの水の一部を蒸発させて、蒸発した水/CO
2混合物を提供するステップ;
(f)第1の分離ゾーンにおいて、蒸発した水/CO
2混合物からCO
2希薄吸着溶液を分離するステップ;
(g)蒸発した水/CO
2混合物を過熱ゾーンに送り、そこで、直接ICEからの高温排ガス流との第2の熱交換関係で通過させ、混合物の温度を約400℃までさらに上昇させる、ステップ;
(h)過熱された水/CO
2混合物をタービンに送り、混合物を所定のより低い圧力値まで膨張させるステップ;
(i)高温の膨張した水/CO
2混合物を、加圧されたCO
2豊富溶液と熱交換して通過させるステップ;
(j)水/CO
2混合物を凝縮熱交換器に送り、その温度を低下させて、実質的に全ての水蒸気を液体状態に凝縮させるステップ;
(k)第2の分離ゾーンにおいてCO
2から凝縮された水を分離し、凝縮された水の全部又は一部を吸収ゾーンの上流の吸着溶液と混合するか、又は車両から水を排出するステップ;
(l)実質的に純粋なCO
2を第2の分離ゾーンから回収し、それを圧縮ゾーンに送ってCO
2を高密度化し、残りの水を排出するステップ;
(m)加圧された純粋なCO
2を回収し、貯蔵又はさらなる処理のために搭載容器にそれを送り、物理的及び/又は化学的状態の変化によってその体積を減少させるステップ;
(n)第1の分離ゾーンからの加圧されたCO
2希薄溶液を熱交換関係で通過させ、吸収ゾーンからの加圧されたCO
2豊富溶液の温度を上昇させるステップ;
(о)加圧されたCO
2希薄溶液を膨張装置内に導入し、機械的エネルギーを生成するステップ;
(p)膨張装置からの減圧かつ濃縮されたCO
2希薄溶液を、水が添加される混合弁に送り、吸着溶液の所望の濃度を回復させるステップ;
(q)吸収ゾーン内に送る前に、CO
2希薄溶液を所定の温度範囲に冷却するステップ;及び
(r)吸収ゾーンの上流でCO
2希薄吸着溶液を加圧するステップ;
によって特徴付けられると理解されるであろう。
【0039】
当業者に理解されるように、上記のステップ(g)における過熱され蒸発した水/CO
2混合物の温度は、400℃から変化することができ、システムの最適な動作条件に依存する。CO
2の体積の低下は、それを液体、固体又は超臨界状態に維持することによって達成することができる。上述したように、水以外の溶媒も本プロセスの実施に使用することができる。
【0040】
本発明は、以下で添付の図面を参照してさらに説明され、図面において、同一又は類似の要素は同じ番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
上述したように、本発明のプロセスは、ICEの排ガス流からCO
2を捕捉して機械的エネルギー又は仕事を生成し、動力生産サイクルでCO
2を含む作動流体を利用する、半閉鎖システムとして動作する。本プロセスは、内燃機関(ICE)によって駆動される移動源からのCO
2捕捉のために有利に使用することができる。
【0043】
図1に概略的に示された本発明の実施形態を参照すると、CO
2が動力生産サイクルで捕捉され圧縮されるプロセスの単純化されたサイクルが示される。
【0044】
例えば炭酸カリウム水溶液などの希薄荷重CO
2吸収溶液(以下「溶液」と呼ぶ)は、流れ(102)としてポンプ(10)を介して吸収ユニット(20)に移送され、大気圧又は大気圧付近で排ガス流からのCO
2を捕捉する。
【0045】
CO
2吸収ユニット(20)は、充填カラムなどの直接接触液体/ガスカラム又は気液膜接触器などの間接接触膜吸収装置であり得る。便宜上、以下の説明は、直接接触吸収ユニットにおける本発明のプロセスの実施に言及する。しかしながら、当業者には理解されるように、間接吸収装置を実質的に同じ効果で使用することができる。
【0046】
ICEを出る高温排ガス流(901)は、過熱器(31)を通過することによって最初に冷却され、低温流(902)としてボイラー(30)に入る。ボイラー(30)を出る排ガス流(903)は、熱交換器(36)において30℃と100℃の間の所定の温度にさらに冷却され、冷却された流れ(904)は吸収ユニット(20)に入り、そこでCO
2は、30℃と100℃の間の温度で、流れ(102)を介して吸収装置(20)に入る冷却されたCO
2希薄荷重溶液によって吸収される。
【0047】
残りの排ガス(905)は、CO
2捕捉後に吸収装置(20)を離れ、大気中に排出される。
【0048】
CO
2豊富溶液は、以下でさらに詳細に説明するように、流れ(200)を介して吸収装置(20)を離れ、ポンプ(11)によってシステムの高圧値、例えば4MPaに加圧され、流れ(201)として第1の内部熱交換器(34)に送られ、そこで、タービン(51)を離れるCO
2/水流(403)によって約100℃に加熱される。
【0049】
加圧されたCO
2豊富溶液(202)は、内部熱交換器(34)を出て、さらに加熱するために第2の内部熱交換器(33)を通過する。第2の内部熱交換器(33)は、高圧CO
2希薄溶液(300)によって加熱される。次いで、高圧CO
2豊富溶液(203)はボイラー(30)に入る。
【0050】
高圧CO
2豊富溶液(203)は、ICEの排出マニホールド付近の過熱器(31)の下流の高温排ガス流(902)によって加熱されるボイラー(30)で部分的に蒸発される;CO
2及び水は、それらの低い標準沸点により蒸発される。
【0051】
高圧CO
2豊富液体/ガス混合物(205)は、例えば約210℃の上昇した温度でボイラー(30)を離れ、残りの高圧CO
2希薄溶液(300)からガス状CO
2/水混合物を分離する液体/蒸気分離器(40)に入る。
【0052】
高圧CO
2希薄溶液(300)は、液体/蒸気分離器(40)を離れ、内部熱交換器(33)に入り、流れ(301)として例えばタービン又は絞り弁などの膨張装置(50)に送られ、そこで、流れ(302)として液体ヘッダー(100)に送られる前に、低圧に膨張される。膨張装置(50)は、システムの動力Pを廃熱から回収し、ポンプ(10)及び(11)に機械的エネルギーを供給する。
【0053】
液体/蒸気分離器(40)を出るCO
2/水蒸気混合物(401)は、排ガス流(901)によって加熱される過熱器(31)を通過し、過熱流(402)として約400℃の温度で出て、タービン(51)で膨張して動力を生成し、流れ(403)としてほぼ大気圧で出る。
【0054】
タービン(51)からの動力Pは、必要に応じて、システム内のポンプを作動させ、CO
2を圧縮し、及び/又はプロセスユーティリティを操作するために適用される。
【0055】
流れ(403)としてタービン(51)を出る低圧のCO
2/水は、内部熱交換器(34)を通過し、流れ(406)を介して別の熱交換器(37)に出て、そこで、水を凝縮させるために約40℃に冷却される。流れ(407)を介して熱交換器(37)を出た後、低圧のCO
2/水は分離器(41)に送られ、そこで凝縮された水はCO
2ガスから分離される。分離器(41)を出る凝縮された水の流れ(500)は、溶解したCO
2をいくらか含む水で構成され、その全部又は一部が流れ(502)として液体ヘッダー(100)に送られ得る;過剰な水は、流れ(501)として系から排出され得る。
【0056】
液体溶液(100)はさらに、CO
2吸収装置(20)に供給するポンプ(10)の吸引ライン(101)に供給される前に、熱交換器(35)において所望のCO
2吸収温度まで冷却される。
【0057】
主にCO
2からなる蒸気流(600)は、分離器(41)から圧縮ゾーン(60)に送られ、そこで圧縮されて高純度CO
2流(601)を生成する。高純度CO
2流(601)は、移動用途では搭載貯蔵所に、定常又は固定のCO
2源の場合には貯蔵所及び/又はパイプラインに送ることができる。残りの水は、中間冷却及び相分離によって凝縮され、水流(700)として系から排出される。
【0058】
凝縮された水(700)の全部又は一部(704)は、必要に応じて、三方弁(702)を介してループ(100)又はポンプ吸引ライン(101)に注入し戻すことができ、処理中の希薄吸収溶液の含水量を制御し、塩の沈殿を防止する。新鮮な補充水もまた、この目的のために、単独で、又は凝縮された水の流れ(700)と組み合わせて使用することができる。あるいは、凝縮された水(700)は系から排出(706)され得る。
【0059】
図2に概略的に示される本発明の別の実施形態では、全体的なサイクル効率を高めるために、作動流体の第1の膨張後に出口蒸気流が再加熱される任意の再加熱ステップが提供される。
【0060】
この実施形態では、高温排ガス流(900)は熱交換器(32)を介して系に入り、そこで、例えば1Mpaの中圧CO
2/水混合物(403)は約400℃に再加熱され、加熱流(404)として出る。
【0061】
熱交換器(32)からの冷却された排ガス流(901)は、過熱器(31)に入り、
図1で説明したのと同じ経路をたどる。
【0062】
過熱器(31)からの過熱されたCO
2/水流(402)は、タービン(51)において約1MPaの中圧まで膨張され、流れ(403)として出る。流れ(403)は熱交換器(32)に送られて、流入排ガス流(900)によって約400℃の温度に再加熱され、次いで流れ(404)としてタービン(52)に送られる。膨張した低圧流れ(405)は、ほぼ大気圧でタービン(52)を出て、内部熱交換器(34)に送られ、高圧CO
2豊富溶液流れ(201)と熱交換し、流れ(406)として出る。
【0063】
流れ(406)の処理ステップは、
図1の実施形態に関連して上述したものと同じである。
【0064】
再加熱ステップの後に、系内の不可逆性を低減して全体的なシステム効率を高めるためのさらなる膨張ステップが続く。プロセス中の含水量を制御して塩の沈殿を防止するための、補充水としてライン(100)又は(101)を介してループに戻され得る凝縮液流れ(700)の使用を含む
図1のプロセスの他の態様もまた、
図2の実施形態に適用可能である。
【0065】
図3に概略的に示される本発明の第3の実施形態では、タービン出口における圧力は、膨張力回収を増加させるために、大気圧未満、例えば真空まで低下される。
【0066】
この利点は、周囲温度でのCO
2水飽和圧が大気圧よりも低いため、流体の膨張からのより高い出力回収及び本発明のプロセスの正味の出力及び効率の増加を可能にして実現することができる。
【0067】
図3のプロセスは、
図1に関連して上述した第1の実施形態と類似しており、タービン(51)を出る流れ(403)の出口圧力がすなわち20kPaの絶対圧に低下している点、及びポンプ(12)が液体流れ(500)を大気圧付近まで加圧するためにプロセスに追加されている点で異なる。
【0068】
過熱器(31)を離れる過熱されたCO
2/水流(402)は、膨張エネルギーを回収するために、タービン(51)で20kPaに膨張される。CO
2/水流は、流れ(403)を介してタービン(51)を離れ、内部熱交換器(34)に入り、CO
2水流は流れ(406)として出る。
【0069】
CO
2/水流(406)は、熱交換器(37)でさらに冷却され、水を凝縮させることによってCO
2の所望の分離を達成する。熱交換器(37)を出る流れ(407)は、分離器(41)に送られ、そこで、CO
2豊富流(600)は、例えば20kPaの真空下で回収され、多段階圧縮器(60)で所望の出口圧力に圧縮され、加圧流(601)は貯蔵又はさらなる処理のために送られる。
【0070】
主に水からなる凝縮流(500)は、ポンプ(12)によって液体ヘッダーライン(100)の圧力、例えば100kPaに加圧されて、サイクルを完了する。ポンプ(12)を出る流れ(510)は、流れ(502)を介して流れ(100)に添加するために全部又は一部が運ばれ、過剰分は流れ(501)として系から排出される。
【0071】
追加の仕事エネルギーを回収してプロセスの効率を高めるために、タービン(52)の出口圧力を例えば20kPaに低下させることにより、同じ真空凝縮原理を再加熱構成に適用することができる。
【0072】
図4に概略的に示される本発明の第4の実施形態では、排ガス流(903)は、全体のサイクル効率を高め、より多くのCO
2を捕捉するか又は同じCO
2捕捉率でより多くの動力を供給するために、1つのステップで、高圧CO
2豊富溶液流(202)と熱交換してさらに冷却される。
【0073】
図4のプロセスは、
図3に関連して上述した実施形態と類似しており、熱交換器(30)と外部熱交換器(36)との間の排ガスライン上、及び熱交換器(34)と熱交換器(33)との間の高圧CO
2豊富溶液上に追加の内部熱交換器(39)を含む点で異なる。
【0074】
流れ(903)中の熱交換器(30)を離れる排ガスは、熱交換器(34)を出る高圧CO
2豊富溶液流(202)を加熱する。より低温の排ガス流(934)は、熱交換器(39)を離れて熱交換器(36)に入り、
図3に記載のプロセスを続ける。
【0075】
熱交換器(34)を離れる高圧CO
2豊富溶液流(202)は、熱交換器(33)に入る前に、高温排ガスによって熱交換器(39)で加熱され、流れ(222)を介してさらに加熱される。その後、高圧CO
2豊富溶液は、
図3に記載されたプロセスと同じステップを経る。
【0076】
さらに別の実施形態では、
図2に記載のシステムの再加熱構成、又は上述の本発明の
図1に示された上記の大気圧出口構成において、熱交換器(39)を組み込むことが可能である。
【0077】
プロセス及びシステムの上記説明から当業者に明らかなように、3つの熱交換器(例えば、33、34及び39)に循環される流体は、そのプロセスの動作特性及び要求に応じて変えることができる。例えば、以下でさらに説明するように、タービン(50、51、52)からの追加の動力を得るために、熱力学的特性を調整することができる。
【0078】
先の実施形態に関連して上述したように、プロセスで使用される溶液の含水量を制御して塩の沈殿を防止するために、水流(700)の全部又は一部をライン(100)又は(101)のループ内に注入し戻すことができる。この目的のために、単独で又は流れ(700)からの水と組み合わせて、新鮮な補充水を使用することもできる。
【0079】
図4に示されるプロセスはまた、プロセス効率をさらに高めるために先に
図2で示した再加熱ステップを含むことに留意すべきである。
【0080】
本発明によるプロセスは、所定のCO
2捕捉目標、例えば25%を達成するように、又は所定の所要動力量を生成するように操作することができる。
【0081】
CO
2捕捉用途では、CO
2圧縮がシステムの主なエネルギー集約的構成要素であり、正味の動力出力は、「タービンによって生成された正味の動力」マイナス「ポンプによって及び単一又は複数のCO
2圧縮ステップで消費された動力」である。
【0082】
ポンプはシステムの動作に不可欠であるので、ポンプの動作に関する要求を満たす変動は殆どないか全くないことがある;しかしながら、CO
2圧縮の程度は変えることができ、CO
2捕捉率及び/又は搭載貯蔵容量に依存する。
【0083】
CO
2捕捉率要件のない動力指向動作モードでは、例えば、CO
2捕捉率を減少させてCO
2圧縮動力要件を低減することによって、所望の正味動力出力に応じて率を調整することができ、それによってシステムの正味動力出力を増加させる。
【0084】
代替的に、CO
2捕捉率が、例えば所与の範囲内又は所定値よりも小さくないように固定される場合、システムは、正味動力生産の自由度を伴わずに、必要なCO
2捕捉流量で動作するべきである。
【0085】
システム全体にわたる圧力及び温度の選択は、生産サイクルのパラメータ及び潜在的なCO
2捕捉率を決定する。例えば、過熱及び再加熱を使用して、システム内で動力出力を増加させて不可逆性を低減することができる。その結果、過熱及び再加熱は、CO
2捕捉率に影響を与えないが、生産される正味動力には影響を与える。
【0086】
CO
2捕捉率に影響を与える重要なパラメータは、熱交換器(30)を出て分離器(40)に入る流れ(205)の温度及び圧力であるが、なぜなら、この流れの条件は、どれくらいのCO
2及び水が分離器(40)で蒸気相内に入るかを決定するからである。
【0087】
熱交換器(37)出口の温度及び圧力、並びに分離器(41)の動作温度及び圧力は、実際のCO
2捕捉率に関連するが、なぜなら、分離器(41)の温度及び圧力が液体相と蒸気相との比を制御するからである。従って、所望の動力生産を達成するためのシステムの動作、及び/又はこれらの装置(37、41)内の温度及び圧力を制御することによるCO
2捕捉及び排出低下のレベルを調整することが可能である。
【0088】
本発明によるプロセスは、排ガス流の熱に加えて、例えばエンジン冷却液エネルギー、太陽エネルギー、又は回収可能な熱エネルギーの任意の他の利用可能な形態などの1つ以上の異なるエネルギー源を使用して、動力生産を最大にするために熱交換器(30)及び/又は(31)及び/又は(32)及び/又は(39)の動作を支援することができる。
【0089】
例えば動力学的、機械的及び/又は電気的エネルギーなどの回収可能なエネルギーは、タービンの出力を増加させる及び/又はCO
2圧縮器を動作させるために、本プロセスで使用することができる。全ての電気又はハイブリッド自動車に使用されるエネルギー回収システム及び装置はまた、電力を直接的に、又は蓄電池又は他の装置を介して供給するICEによって駆動される車両にも使用することができる。
【0090】
周囲又は外部の流れで流れを冷却するために使用される本プロセス中の任意の冷却装置、例えば空冷熱交換器(36)は、例えば熱電装置、又は作動流体流れを所望の温度に冷却しながら熱を捕捉してエネルギーに変換する他の装置などのエネルギー回収装置で置き換えることができ、回収されたエネルギーは本プロセスで利用され得る。例えば、熱交換器で排ガス流を200℃から60℃に冷却する代わりに、熱電装置を利用して、回収されたエネルギーから電気を生成しながら、流れ(903)を所望の温度に冷却することができる。
【0091】
本発明のプロセスはまた、ポンプの位置を変えることによって、又はポンプをイジェクタに置き換えることによって変更することができる。また、吸収装置(20)のタイプ、すなわち閉鎖タイプ、膜型吸収装置などに応じて、吸収ユニット(20)の上流、又は好ましくは下流のポンプ(11)の位置の何れかである単一ポンプで、ポンプ(10)とポンプ(11)を組み合わせることも可能であり、より低い溶液圧で吸収を実施することができる。
【0092】
本発明のプロセスはまた、膜又は他の分離手段などのCO
2及び水の分離のための種々のプロセスを用いることもできる。
【0093】
本発明によるプロセスで使用されるCO
2吸収溶液は、物理的又は化学的プロセスの何れかによってCO
2を捕捉する塩及び/又はアミン及び/又は他の分子を含む水ベースの溶液であり得る。本発明のプロセスで使用されるCO
2吸着溶液は、以下から選択することができる:
(a)物理的又は化学的にCO
2を吸収する塩及び/又はアミン及び/又は他の分子を含む溶媒ベースの溶液;
(b)固体のCO
2吸着粒子が分散され、CO
2が低温で粒子に吸着されて高温で粒子から脱着され、粒子が再生されてリサイクルされる溶媒ベース又は水ベースの担体、及び、好ましくは低温で物理的又は化学的にCO
2を吸着又は吸収し、高温でCO
2を脱着して流量及びコンタクターのサイズを減少させる液体担体;
(c)CO
2を可逆的に吸収及び/又は吸着し、適切な条件でCO
2を脱着する、コロイド流体又はクリスタロイド流体;及び
(d)吸収液体と吸着液体との混合物。
【0094】
上記の説明及び実施例から理解されるように、本発明のプロセスは、不可逆性を低減し、それによって処理及び動作システムの全体的な効率を向上させる統合システムにおけるCO
2捕捉の組み合わせを広く包含する。
【0095】
本発明のプロセスは、移動用途における効率及び廃熱回収の向上に加えて、別個の熱回収及びCO
2回収システムと比較して、より少ない数の構成要素を必要とするという利点を含む。この統合されたシステムは、移動源に搭載される空間及び重量を節約し、設備投資額及び運転維持コストを削減する。
【0096】
図5は、
図2に示されるプロセスと同様の本発明の実施形態を表すアスペンプラスシミュレーションフローシートのスクリーンショットである。
【実施例】
【0097】
移動用途のための本発明のプロセスの実施に対する
図3に示される実施形態の最良の形態によるプロセスについて、この実施例においてさらに詳細に説明する。希薄炭酸カリウムCO
2吸収水溶液は、ポンプ(10)によって加圧され、吸収ユニット(20)内に流れ(102)として導入され、冷却された排ガス流からCO
2を捕捉する。CO
2吸収ユニット(20)は、大気圧又は大気圧付近の圧力で作動する直接接触液体ガスカラム又は間接接触膜吸収装置であってもよい。
【0098】
高温排ガス流(901)は、過熱器(31)及びボイラー(30)を通過する際に冷却される。ボイラー(30)を出る排ガス流(903)は、熱交換器(36)で周囲条件に応じて30℃と100℃の間の所定の温度にさらに冷却され、冷却された排ガス流(904)は吸収ユニット(20)に入り、そこでCO
2がCO
2希薄溶液(102)に吸収されて、吸収が完了する。
【0099】
低減されたCO
2含量を有する排ガス流(905)の残りの部分は、吸収装置(20)を出て大気中に排出される。代替的な実施形態では、大気中に排出される前に、例えばその体積を拡大するために、煙道ガス流(905)を再加熱することができる。流れ(905)の再加熱は、熱交換器(36)に入る流れ(903)からの熱を用いて達成することができる。この実施形態では、熱交換器36を内部熱交換器で置き換えることができ、又は、このシステムにおいて熱交換器(36)の上流に内部熱交換器を組み込み、流れ(903)が流れ(905)に熱を供給することができる。
【0100】
以下でさらに詳細に説明するように、CO
2豊富溶液(200)は吸収装置(20)を出て、ポンプ(11)によってシステムの高圧値、例えば4MPaに加圧され、加圧流(201)として第1の内部熱交換器(34)に送られ、そこでタービン(51)を離れるCO
2/水流(403)によって加熱される。
【0101】
加熱された高圧CO
2豊富溶液(202)は、第1の内部熱交換器(34)を出て、追加の加熱のために第2の内部熱交換器(33)を通過する。第2の内部熱交換器(33)は、CO
2が以前に回収された高温の高圧CO
2希薄溶液(300)によって加熱される。次いで、高圧CO
2豊富溶液(203)はボイラー(30)に入る。
【0102】
加圧されたCO
2豊富溶液(203)は、高温の排ガス流(902)によって加熱されるボイラー(30)で部分的に蒸発される;吸収されたCO
2の一部は脱着され、水の一部はそれらの通常の沸点が低いため蒸発される。炭酸カリウムの濃度が増加するにつれて、溶液の沸点も上昇するので、溶液は流動可能な液体状態のままである。
【0103】
高圧CO
2豊富溶液(205)は、約210℃の温度でボイラーから送られ、CO
2/水のガス状混合物を残りの加圧されたCO
2希薄溶液から分離する液体/蒸気分離器(40)に入る。
【0104】
加圧されたCO
2希薄溶液(300)は、液体/蒸気分離器(40)を離れ、内部熱交換器(33)を通過し、次いで流れ(301)として、例えばタービン又は絞り弁などの膨張装置(50)に入り、そこで、流れ(302)として低圧プロセス液体ヘッダー又は導管(100)に送られる前に、より低い圧力に膨張される。
【0105】
膨張装置(50)は、ポンプ(10)、(11)及び
図4の(12)の動作に必要な動力Pを回収する絞り弁又はタービンであってもよい。膨張装置(50)は、好ましくは、高圧ポンプ(11)のシャフトに直接連結される。あるいは、動力を回収して、ポンプを駆動するために電気を供給する電池を充電することができる。別の実施形態では、1つ以上のポンプをタービンからの共通の駆動シャフトに接続することができる。
【0106】
液体/蒸気分離器(40)を出るCO
2/水蒸気混合物(401)は、高温排ガス流(901)によって加熱される過熱器(31)を通過し、400℃付近の温度で過熱されたCO
2/水混合物(402)として出る。流れ(402)は、タービン(51)でシステムの真空圧力値、例えば20kPaまで膨張され、システムでポンプを動作させるために必要に応じて加えられる動力Pを生成し、CO
2を圧縮し、プロセスユーティリティを操作する。
【0107】
低圧のCO
2/水混合物は、流れ(403)としてタービン(51)を離れ、内部熱交換器(34)に入り、次いで流れ(406)として熱交換器(37)に入る。
【0108】
CO
2/水流(406)を冷却して水を凝縮させ、CO
2と水との所望の分離を達成する。流れ(407)は熱交換器(37)を出て分離器(41)に送られ、そこで、CO
2豊富流れ(600)が真空、例えば20kPa下で回収される。
【0109】
蒸気流(600)は、主にCO
2からなり、圧縮ゾーン(60)に送られ、そこで圧縮されて、圧縮された高純度のCO
2流(601)を提供する。高純度のCO
2流(601)は、移動用途では搭載された貯蔵所に、最終的にはパイプラインを介して恒久的な地下又は他の貯蔵所に送ることができる。残りの水は、中間冷却及び相分離によって凝縮され、系から廃水流(700)として排出される。
【0110】
分離器(41)からの凝縮液流(500)は、主として、溶解したCO
2をいくらか含む水で構成され、約100kPaの圧力で液体ヘッダーライン(100)内に導入するためにポンプ(12)によって加圧される。ポンプ(12)から出る流れ(510)は、流れ(502)として吸着溶液流(100)に全体的又は部分的に送られ、過剰分は流れ(501)として系から排出される。
【0111】
吸収溶液流(100)は、熱交換器(35)で所定のCO
2吸収温度までさらに冷却され、次いでCO
2吸収装置(20)内に導入するためにポンプ(10)の吸引ライン(101)に送られる。
【0112】
CO
2排出量の低減に関する従来技術のシステムは、エネルギー回収システムにおける作動流体としての排ガス流からのCO
2の利用を意図していない。
【0113】
[実施例]
ベンチテストの代わりにアスペンテクノロジープログラムモデルを使用して、コンピュータ解析/シミュレーションを作成した。このモデルは、
図1に示す概略構成に一般的に対応している。計算は、装置全体で圧力降下がない25%CO
2捕捉率に基づいている。
【0114】
結果は指標であり、幾つかの不確実性は残っているが、結果は特定の条件に対する有用なデータを提供することが理解されるであろう。以下の表1は、
図5に示されたアスペンシミュレーションに対する上記の様々な流れの特性を含む。
【0115】
【表1】
【0116】
本発明の様々な例示的な実施形態が上記及び添付の図面に記載されているが、当業者であれば、これらの実施例及び説明からさらなる変更が明らかであろう。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。