(54)【発明の名称】コンプレッサ又はエキスパンダ装置の液体注入の制御方法、液体注入式コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置、及び液体注入式コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置(1)の液体注入を制御する方法であって、前記コンプレッサ装置は、少なくとも1つのコンプレッサ要素又はエキスパンダ要素(2)を備え、該要素(2)は、軸受(8)を介して少なくとも1つのロータ(7)が回転可能に取り付けられたロータ室(4)を含むハウジング(3)を有し、前記要素(2)には液体が注入され、前記方法は、2つの独立分離した液体供給を前記要素(2)に対して行うステップを含み、一方の液体供給は前記ロータ室(4)内に注入され、他方の液体供給は前記軸受(8)の位置に注入され、前記分離した液体供給は、注入モジュールのモジュール式偏流部品によって実現され、前記方法は、前記液体の前記温度と前記液体の前記質量流量の両方を両液体供給について独立して制御するステップを含み、
前記方法は、前記液体供給の前記温度と前記質量流量とを、前記コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置(1)の動力(P)と、前記コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置(1)によって供給される流量(FAD)との比率である比エネルギー要件が最小になるように制御することから成り、前記コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置(1)によって供給された流量(FAD)は、前記コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素(2)の入口条件に逆変換されていることを特徴とする方法。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンプレッサ装置を冷却するために、コンプレッサ要素のロータ室内に油又は水などの液体を注入することが知られている。
【0003】
このようにして、例えばコンプレッサ要素の出口の温度を、温度が低くなり過ぎないことによって圧縮空気中における凝縮物の形成が防がれ、液体温度が高くなり過ぎないことによって液体の品質が最適に留まるように、一定の限度内に保つことができる。
【0004】
この注入液は、良好な動作が得られるようにコンプレッサ要素又はエキスパンダ要素の密封及び潤滑に使用することもできる。
【0005】
注入液の量及び温度は、冷却、密封及び潤滑の効率に影響を与えることが知られている。
【0006】
コンプレッサ装置における液体注入の制御方法としては、注入液の温度に基づいて、さらなる冷却が望ましい場合に液体を冷却器に通すことによって注入液の温度を低下させることから成る制御を使用する方法が既に知られている。
【0007】
温度を制御することにより、液体の粘度、従って液体の潤滑特性及び密封特性を調整することもできる。
【0008】
このような方法の不利点は、注入液の最低到達温度が、冷却器において使用される冷却剤の温度によって制限される点である。
【0009】
コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置における液体注入の制御方法としては、注入液の質量流量に基づいて、例えばさらなる冷却又は潤滑が望ましい場合にさらに多くの液体を注入することから成る制御を使用する方法も知られている。
【0010】
多くの液体を注入することにより、温度の上昇が抑えられる。これにより、最大出口温度を上回ることなく高い注入温度が可能になり、冷却剤温度が高い場合に冷却器の寸法を過度に大きくする必要がなくなる。
【0011】
このような方法の不利点は、注入液の温度を間接的にしか制御できない点である。
【0012】
これらの既知の方法のさらなる不利点は、ある割合の注入液を用いて軸受を潤滑する際に、この液体が、ロータ室の冷却のためにロータ室に注入される液体と同じ温度を有する点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
実際に、このようなコンプレッサ装置又はエキスパンダ装置では、好適な温度制御の欠如によって軸受の寿命にひどい悪影響が及ぶことが分かっている。
【0014】
本発明の目的は、上記の及びその他の不利点のうちの少なくとも1つに対する解決策を提供し、及び/又はコンプレッサ装置又はエキスパンダ装置の効率を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素の液体注入を制御する方法であって、この要素は、軸受を介して少なくとも1つのロータが回転可能に取り付けられたロータ室を含むハウジングを有し、要素内には液体が注入され、この方法は、2つの独立分離した液体供給を要素に対して行うステップを含み、一方の液体供給はロータ室内に注入され、他方の液体供給は軸受の位置に注入され、この分離した液体供給は、注入モジュールのモジュール式偏流部品(modular channelling piece)によって実現される。
【0016】
「独立分離した液体供給」とは、液体供給が、例えば液体リザーバから開始して、一方がロータ室内で終了し、他方が軸受の位置で終了する独立経路又はルートに従うことを意味する。
【0017】
引用により本出願に組み入れられるベルギー国特許出願第2016/5147号には、注入モジュールを除いて既にこのような方法が記載されている。
【0018】
利点は、例えば温度及び/又は質量流量などの注入液の特性を各液体供給について独立して制御できる点である。
【0019】
このようにすると、軸受、及びロータを含むロータ室の両方に最適な液体供給をもたらすことができる。
【0020】
このようにすると、コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素が、既知の要素よりも最適かつ効率的に動作することができる。
【0021】
制御可能な液体(又は潤滑剤)注入は、液体の密封機能と、液体に起因する流体力学的損失とに関する最適な状態を達成して、機械の状態毎及び機械における考えられる液体注入ポイント毎にこの最適な動作点に到達できる方法をもたらす。
【0022】
さらなる利点は、モジュール式偏流部品を使用するモジュール構造が、輪転式容積型機械(rotating volumetric machines)の全範囲におけるこの知的な液体注入方法のコスト効率のよい実装を可能にする点である。
【0023】
ここで言う「モジュール式」とは、関連する機械のハウジング上に偏流部品を装着又は構築する必要があることを意味する。ここでは、1つの偏流部品を異なる機械に装着できることや、又はある機械への装着に異なる偏流部品が適することは除外されず、機械の(予想される)動作条件とは無関係に最適な偏流部品が選択される。換言すれば、偏流部品は、機械の交換可能部品である。
【0024】
偏流部品は、液体供給を分割するので、偏流部品を接続するためには、コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素のハウジングにいくつかのさらなる開口部を設ける必要がある。
【0025】
最も好ましい実施形態では、方法が、液体の温度と液体の質量流量の両方を両液体供給について独立して制御するステップを含む。
【0026】
このことは、温度及び質量流量が液体供給毎に制御され、一方の液体供給の制御が他方の液体供給とは無関係に行われることを意味する。
【0027】
これには、一方の液体供給の制御が他方の液体供給と完全に無関係であるため、液体の温度と量が、いずれも軸受又はロータ室のニーズに明確に調和するという利点がある。
【0028】
また、もはや寸法が過度に大きな冷却器を設ける必要もない。
【0029】
さらに、液体の温度と量の両方の制御には、相乗効果が生じるというさらなる利点もある。
【0030】
注入液の温度と量の両方を別個に最適化すると、コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素の効率に好ましい効果がもたらされる。
【0031】
しかしながら、これらの両方が最適化されると、これらの2つの制御間に、個々の制御の効率改善を両方共に足し合わせたものよりも大きな要素の効率改善をもたらす機能的相補作用が存在するようになり、従ってこれらの制御は、集約又は並置のみならず組み合わせにとっても重要になる。
【0032】
この機能的相補作用は、液体中に溶解した空気の量に関連する曝気現象に部分的に起因する。
【0033】
温度と質量流量の両方を制御することによって、液体中に溶解した空気の量が少なくとも部分的に排除され、これによって効率が高くなる。
【0034】
一方で、注入液の粘度と、利用可能な液体の質量流量とに部分的に起因する密封能力を考慮する必要もある。液体の流れと粘度との理想的な組み合わせは動作点毎に存在し、この組み合わせは、両パラメータが補強し合う温度の関数である。
【0035】
この方法は、液体の流れ、液体の温度、及び/又はモジュール式偏流部品の液体空気含有量を制御するステップを含むことが好ましい。
【0036】
この目的のために、偏流部品は、液体供給を分割する役割だけでなく、パラメータ/その特性を制御する役割も担うように、必要な手段を備えることができる。
【0037】
これらの手段は、偏流部品に統合されることが好ましい。
【0038】
本発明は、液体注入式コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置であって、少なくとも1つのコンプレッサ要素又はエキスパンダ要素を備え、この要素が、軸受を介して少なくとも1つのロータが回転可能に取り付けられたロータ室を含むハウジングを有し、コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置が、液体分離器に接続された圧縮ガス又は膨張ガスのための、注入回路を通じて要素に接続されたガス入口及び出口をさらに有し、注入回路が、ロータ室と、ハウジング内の軸受の位置とにそれぞれ開口する2つの少なくとも部分的に分離した注入管を含み、2つの分離した注入管が注入モジュールのモジュール式偏流部品に少なくとも部分的に取り付けられた、液体注入式コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置にも関する。
【0039】
このようなコンプレッサ設置又はエキスパンダ設置は、軸受及びロータ室がその特定の動作点においてそれぞれ必要とする最適な特性に従って両液体供給を制御できるように、軸受の潤滑及びロータ室の冷却のための液体供給を互いに無関係に制御することができるという利点を有する。
【0040】
本発明は、軸受を介して少なくとも1つのロータが回転可能に取り付けられたロータ室を含むハウジングを有する液体注入式コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素であって、この要素が、要素内に液体を注入する注入回路のための接続部をさらに有し、注入回路への接続部が、ハウジング内の複数の注入ポイントによって実現され、ハウジングが、ハウジング内の注入ポイントから開始してロータ室内と軸受とにそれぞれ開口する分離した統合流路をさらに有し、分離した統合流路がモジュール式偏流部品の一部を少なくとも部分的に形成する、液体注入式コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素にも関する。
【0041】
このような液体注入式コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素は、本発明によるコンプレッサ装置又はエキスパンダ装置において使用することができる。このようにすると、コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置の注入回路の少なくともある割合の注入管が、コンプレッサ要素又はエキスパンダ要素のハウジング内で、言うなれば上述した統合流路の形で部分的に独立して延びる。
【0042】
このような方法は、注入管の接続部をもたらす注入ポイントの数を制限された状態に保つとともに、例えばハウジング内の流路の好適な分割によって異なる軸受への液体供給の分割を実現できることを確実にする。
【0043】
注入ポイントの位置を自由に選択することにより、ハウジング内の流路が、油の供給が適切な位置に導かれることを確実にすることもできる。
【0044】
以下、本発明の特徴をより良好に示す目的で、本発明によるコンプレッサ装置又はエキスパンダ装置の液体注入を制御する方法、並びに液体注入式コンプレッサ装置又はエキスパンダ装置のいくつかの好ましい変形例を、添付図面を参照しながら、限定的な性質を一切伴わずにほんの一例として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に示す液体注入式コンプレッサ装置1は、液体注入式コンプレッサ要素2を含む。
【0047】
コンプレッサ要素2は、ガス入口5と圧縮ガスの出口6とを有するロータ室4を定めるハウジング3を含む。
【0048】
ハウジング3には、この例ではロータ7のシャフト9に取り付けられた2つの軸受の形の軸受8を介して1又は2以上のロータ7が回転可能に取り付けられる。軸受8は、ころ軸受を介して、又は滑り軸受の形で実現することもできる。
【0049】
さらに、ハウジング3は、液体を注入するための複数の注入ポイント10a、10bを備える。
【0050】
この液体は、例えば合成油、水、又はその他とすることができるが、本発明は、このように限定されるものではない。
【0051】
注入ポイント10a、10bは、ロータ室4の位置と、上述した軸受8の位置とに配置される。
【0052】
本発明によれば、ハウジング3は、ハウジング3内の上述した注入ポイント10a、10bから開始して圧縮空間4内と上述した軸受8内とにそれぞれ開口する分離した統合流路11を備える。
【0053】
また、ハウジング3内には、圧縮空間4のための液体の液体リザーバ、又は軸受8のための液体の液体リザーバの機能を果たすことができる1又は2以上の空洞12を設けることもできる。
【0054】
さらに、液体注入式コンプレッサ装置1は、圧縮ガスの出口6が接続された入口14を有する液体分離器13を含む。
【0055】
液体分離器13は、例えば図面には示していない消費者ネットワークに圧縮ガスを導くことができる圧縮ガスの出口15を含む。
【0056】
液体分離器13は、分離した液体の出口16をさらに含む。
【0057】
液体分離器13は、コンプレッサ要素2に接続された注入回路17を介して上述した出口16に接続される。
【0058】
この注入回路17は、いずれも液体分離器13から開始する2つの別個の分離した注入管17a、17bを含む。
【0059】
注入管17a、17bは、コンプレッサ要素2への2つの別個の分離した液体供給を確実にする。
【0060】
ハウジング3内の注入ポイント10a、10bは、注入回路17に対するコンプレッサ要素2の接続を確実にする。
【0061】
第1の注入管17aは、圧縮空間4の位置における上述した注入ポイント10aに至る。
【0062】
第2の注入管17bは、軸受8の位置に配置された注入ポイント10に至る。
【0063】
この例では、必ずしもそうではないが、軸受8のための注入ポイント10bが2つ、すなわちロータ7のシャフト9の各端部に1つずつ存在する。
【0064】
この目的のために、第2の注入管17bは2つの副管18a、18bに分かれ、シャフト9の各端部に一方の副管18a、18bが現れる。
【0065】
第1の注入管17aには、冷却器19が設けられる。
【0066】
必ずしもそうではないがこの例では絞り弁である制御可能な弁20も設けられる。
【0067】
この絞り弁を通じて、圧縮空間4に注入される液体の量を調整することができる。
【0068】
第2の注入管17bにも冷却器21が設けられ、この例では2つの制御可能な弁22が各副管18a、18bに1つずつ設けられる。
【0069】
コンプレッサ装置1の動作は非常に単純であり、以下の通りである。
【0070】
コンプレッサ装置1の動作中には、ガス入口5を介して例えば空気などのガスが引き込まれ、このガスがロータ7の動作によって圧縮され、出口を介してコンプレッサ要素2から離れる。
【0071】
動作中に圧縮空間4に液体が注入されると、この圧縮空気が一定量の液体を含むようになる。
【0072】
圧縮空気は、液体分離器13に導かれる。
【0073】
そこで液体が分離され、液体分離器13の底部に収集される。
【0074】
この時点で液体を含んでいない圧縮空気は、圧縮ガスの出口15を介して液体分離器13から離れ、例えば図面には示していない圧縮ガス消費者ネットワークに導くことができる。
【0075】
分離した液体は、注入回路17によってコンプレッサ要素2に戻される。
【0076】
ある割合の液体は、第1の注入管17aと、第1の注入管17aに接続された流路11とを介して圧縮空間4に運ばれ、別の割合の液体は、第2の注入管17bと、2つの副管18a、18bと、これらの副管18a、18bに接続された流路11とを介して軸受に運ばれる。
【0077】
これにより、冷却器19、21及び制御可能な弁20、22は、最初に液体供給の質量流量、すなわち制御可能な弁20、22を制御し、次に液体供給の温度、すなわち冷却器19、21を制御することから成る方法に従って制御される。
【0078】
従って、上述した制御は一種のマスタースレーブ制御であり、この例では制御可能な弁20、22の制御であるマスター制御が常に最初に行われる。
【0079】
ここで重要な点は、冷却器19、21及び制御可能な弁20、22が互いに無関係に制御され、すなわち一方の冷却器19の制御は他方の冷却器21の制御による影響を受けず、或いは一方の制御可能な弁20の制御は他方の制御可能な弁22の制御に影響を与えないという点である。
【0080】
この制御では、液体の特性が圧縮空間4及び軸受8の要件にそれぞれ見合うようなものになる。
【0081】
上述したように、両方の制御を適用することにより、2つの制御間の機能的相補作用の結果としての相乗効果が生じる。
【0082】
本発明によれば、この分離した液体供給が、
図1に破線で概略的に示すモジュール式偏流部品23によって実現される。
【0083】
例えば、上述した2つの別個の注入管17a、17bがモジュール式偏流部品23内に取り付けられ、及び/又は上述した分離した統合流路11がモジュール式偏流部品23の一部を成す。制御可能な弁20、22と、適用可能な場合には冷却器19、21も、偏流部品23の一部を成す。
【0084】
モジュール式偏流部品23を含む注入モジュール24の実施形態については
図2に示す。
【0085】
本発明による注入モジュール24の制御可能又は調整可能パラメータは、(圧力低下に変換される)潤滑剤流と、潤滑剤の温度と、注入モジュール24の潤滑剤空気含有量とを含むことができる。
【0086】
本発明による注入モジュール24を製造するための製造技術は、従来の加工技術及び/又は付加製造技術を含むことができる。使用できる材料としては、例えば金属及びポリマーを挙げることができるが、本発明はそのように限定されるものではない。
【0087】
本発明によれば、注入モジュール24は、コンプレッサ要素2内の各液体注入ポイント10a、10bへの流量制御を統合できる交換可能部品として設計される。これらの潤滑剤流制御手段は、例えば制御可能な弁20、22、及び/又は空気圧式、油圧式及び電気的作動手段を含むことができる。空気圧式及び/又は油圧式作動は、既にコンプレッサ要素内に存在する直接的又は間接的な圧力信号によって実現することができる。このモジュールには、従来の「パッケージ逆止弁(packaged check valves)」、O−停止弁(o−stop valves)及び温度調整弁を統合することもできる。
【0088】
応用としては、圧力範囲全体にわたる「固定速度」機械と、速度及び圧力範囲全体にわたる可変速度機械とが考えられる。
【0089】
図2に、本発明による注入モジュール24の考えられる実施形態を示す。この図面で分かるように、提示する注入モジュール24は、例えば3つの部品、すなわち接合部(interface)26と、接続路27と、本文書ではマニホルド部品又はノズル部品とも呼ぶモジュール式偏流部品23とを含む。この図面には、逆止弁/O−停止弁との接合部26、及びコンプレッサ要素2の出口6を示す。この接合部26は、コンプレッサ要素2の出口6に配置されたフランジの形で構成され、モジュール式偏流部品23への液体の取り出し(tapping off)を確実にする。
【0090】
接続路27は、この目的で設けられたノズル部品23を介してコンプレッサ要素2に、より具体的にはロータ室4に接続し、本発明の好ましい特徴によれば、これらは付加製造技術によって製造される。接続路27は、接合部26をモジュール式偏流部品23に接続する。
【0091】
本発明の特定の特徴によれば、油などの潤滑剤の供給をコンプレッサ要素2の特定の部分に制限するために、潤滑剤供給装置が、1又は2以上のノズル部品23内に収縮手段28を備えることができる。
【0092】
上述したように、注入管17a、17b及び流路11は、偏流部品23内に統合される。偏流部品23の流路29は、液体供給の制御を可能にするために、ソレノイド弁30の形の作動手段を備えることができる1又は2以上の副流路29a、29bを備えることができる。
【0093】
偏流部品23は、付加製造技術によって製造されることが好ましい。他の2つの部品、すなわち接合部26及び接続路27は、従来の製造技術及び材料を用いて製造することも、或いは付加製造技術によって製造された部品に組み込むこともできる。
【0094】
マニホルド23は、迂回路29aと、ソレノイド弁30を用いて閉鎖できる2つの流路29とを含む。これらの流路29a、29b及び弁30を正しく寸法決めすることにより、各流量が特定の用途の一定範囲の条件に合わせて最適化された4つの別個の流量を取得することができる。モジュール式偏流部品23が接続されたコンプレッサ要素2の調整は、従来のコンプレッサ要素2に比べるとわずかであり、コンプレッサ要素2のハウジング3内のロータ毎にたった1つのさらなる開口部を設ければよい。ハウジング3内に存在する、歯車及び軸受に油又は潤滑剤を供給する従来の油路は、この開口部の位置に応じて、例えばノズルインサートの形の収縮手段28によって制御される形で最適に調整することができる。
【0095】
このようなマニホルド23は、例えばポリアミドのSLS(選択的レーザ焼結)付加製造によって製造することができる。潤滑剤流を制御可能にすることは、考えられる選択肢である。
【0096】
図3に、固定速度用途及びVSD(可変速度)用途の両方に適した本発明による注入モジュール24を概略的に示す。機械加工された流路11内に存在する注入モジュール24の部品又は構成要素31は、コンプレッサ要素2の異なる部品に油の流れを分配する。コンプレッサ要素2の外部のマニホルド23は、これらの分離した流路11をソレノイド弁30(外部注入モジュール24を含む
図2の実施形態と同様の一群のソレノイド弁30)に接続する。
【0097】
図3には、ロータハウジング3の出口側6における軸受ハウジング32と、歯車箱33と、出口側6における軸受34と、軸受と、適用可能な場合にはコンプレッサ要素2の入口側5における歯車箱35とを示す。コンプレッサ要素2内には、ロータ室4が存在する。
【0098】
油が入り込む側面は、参照番号36によって示す。様々な矢印Pは、様々な流路11における潤滑剤の流れ方向を示す。さらに、偏流部品23及びソレノイド30を確認することもできる。
【0099】
この実施形態では、コンプレッサ要素の既存の潤滑路11内に注入モジュール24の構成要素31がいくつか取り付けられている。
【0100】
この目的のために、必要に応じてこれらの既存の流路11を拡大及び/又は延長することができる。一定速度の用途及び一定の周囲条件では、最適な潤滑剤流量に従う統合注入モジュール24の流量制限の設計が、本発明による注入モジュール24をもたらす。すなわち、異なる用途が同じコンプレッサ要素2を、ただし異なる最適化されたモジュール式偏流部品23と共に利用することができる。
【0101】
可変速度の(すなわち、コンプレッサ要素2をVSDで駆動する)用途及び可変周囲条件では、注入モジュール24の構成要素31をできるだけコンパクトに構成する必要があるので、最適な流れの埋め込み電気制御は困難である。このような場合には、例えば直接的又は間接的な圧力信号(間接的な圧力信号の一例は、高速流の動圧である)によって駆動される埋め込み空気圧弁及び/又は油圧弁、或いはコンプレッサ要素2の外部に固定されたさらなる外部部品の一部を成す同様の空気圧弁及び/又は油圧弁又は電気制御弁を使用することができる。
【0102】
言うまでもなく、流路11の分離は、いずれかの鋳造部品が認める場合には(又はいずれかの鋳造部品をさらに修正して)、コンプレッサ要素2の従来の加工技術によって実現することができる。(弁と収集された油又は潤滑剤とに接続された)外部注入モジュール24は、従来の形で実装することもできる。
【0103】
マニホルド23内のソレノイド弁30を設ける必要がある場所には、溝付き切り欠き部(Grooved cutaways)37を設けることができる。この時、これらのソレノイド30は、関連する溝付き切り欠き部37内に摺動させた後で、必要に応じて例えば固定ジブ(fixation gib)38を用いて固定することによって適切な場所に装着することができる。このようにすると、接着剤又はねじ及びボルトの使用が回避されて、高温時及び機械の機械的振動の際にも強固な接続を保証できるようになる。
【0104】
図4に、このような溝付き切り欠き部37の一例を示す。切り欠き部37は、ソレノイド30を切り欠き部37の流れ側の壁部に押し付けるために、ソレノイド30の弁座の方向に徐々に狭くすることができる。
【0105】
図5は、切り欠き部37に装着された状態のソレノイド30の平面図である(コイルは図示せず)。破線は、ソレノイドマニホルド23に出入りする油路39を表す。
【0106】
図6には、ジブ38を示し、
図7には、このようなジブ38を固定手段としてどのように装着できるかを示す。このジブ38の後部は、ソレノイド30の形状に対応する複雑な形状を有することができる。
【0107】
この方法は、液体供給の温度及び質量流量を、液体注入式コンプレッサ装置1の比エネルギー要件(specific energy requirement:SER)が最小になるように制御することから成ることが好ましい。
【0108】
比エネルギー要件は、コンプレッサ装置1によって供給される流量(FAD)をコンプレッサ要素2の入口条件に逆変換したものに対するコンプレッサ装置1の動力(P)の比率である。
【0109】
本発明によれば、上述した液体は、例えば油又は水とすることができる。
【0110】
上述した例は、本発明によるコンプレッサ装置及びコンプレッサ要素を説明するものである。エキスパンダ装置の状況とエキスパンダ要素の状況とは非常に似通っており、入口が出口に、及びこの逆になるように基本的に流れの方向のみが変化することが明らかである。また、コンプレッサ要素及びコンプレッサ装置は、真空ポンプに関連することもできる。
【0111】
本発明は、一例として説明し図面に示した実施形態に決して限定されるものではなく、このような本発明によるコンプレッサ装置及び液体注入式コンプレッサ装置の液体注入を制御する方法は、本発明の範囲から逸脱することなく異なる変形例に従って実現することもできる。